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中国リポート(1):Shenzhen 01.12.17

こんにちは、吉田繁治です。中国から戻りました。今最もエキサイ
ティングな国です。本稿では<エキサイティング>ということの内
容を解くことをテーマします。私は今回、思考を変えた。


 <Vol.83 中国リポート(1):あぁ、Shenzhen>
    トランザクションからリレーションへ


目次】
1.まずは雑感から
2.コストが高い・安いということ
3.日本では衰亡する技術が、今後20年は生きる国
4.儒教の国:両親を豊かにするための出稼ぎ労働
5.エリートの大群
6.視野の狭さを捨てる
7.70%部分が移管可能・・・
8.序列意識を捨て、相違の認識を
9.アジアの日本人には未だに問題がある
10.無知
                     (続く)


1.まずは雑感から

日本人は中国をまともに見ていない。マスコミも含め世界への視野
が狭い。世界はアメリカだけと思っている。国内問題ばかりを論じ
る。

日本の成功と失敗

日本経済は、世界との関係を通じて発展した。OECD10億人が
20世紀までの<世界>だった。OECDの中では、日本は後発の
成功者だった。21世紀は、ここに30億人が加わる。地球レベル
では、今後20年の高成長がある。そのためのインフラが、インタ
ーネットです。中国の成長は、あらゆる商品分野で、携帯電話が数
年で5000万台になるような成長です。

【空洞化という負け犬根性
10億人+30億人=40億人の世界での、戦略的な構図を描けて
いない。単に空洞化論がある。もう10年間も、眼を三角にし、額
に皺を作り、白髪を増やして、不況を嘆き、需要不足を埋める公共
投資をやっている。

広州空港と関空】
広州国際空港は、日本で言えば昭和30年代のローカル空港の規模
です。そこに乗降客が溢れる。

帰途は3時間で、関西国際空港に着いた。イタリア人の設計になる
素晴らしい空港です。大赤字です。

人がいない。閑散としていて寒い。客が集まらない空港に、大阪府
は更に第2滑走路を作ろうとしている。倒産した青木建設は土木で
最大受注を受ける予定だった。この国は、一体なにをやっているの
か。マネーを海に捨て殺す国です。これでは、みんなが逃げる。

空港で、預けた荷物が出てくる間、数分考えた。
日本人と日本政府、地方自治体はマネーを殺している。

中国のように客が溢れ、足りない設備を増やすのならわかる。
集まる客がいないのに、更に設備を増やしてどうなるのか。建設費
の(赤字)予算で、一時的に潤い、後は大赤字。これが90年代の
日本だった。10年で、400兆円も使ったのです。

10倍の価値

飛行機で3時間も飛べば、10倍、20倍になって生きる国がある。

1000円が1万円くらいの価値になる。あなたに1000万円の
預金があれば、1億円の価値で活きる。20万円も出せば、優秀な
20人が雇用できる。オフィスの賃料も、20分の1以下です。坪
500円。1兆円分の投資なら10兆円、20兆円の価値になる。

あぁ、これはもう、成長地域が変ってしまったと思った。
<視野を広く>し、目を瞠(みひら)くことです。

カントリーリスクと言うこと

中国の共産党独裁のリスクを言う人が多い。実際に行って見て、こ
れは嘘だと思った。今後、統治の政体は変るかもしれない。しかし
経済が後戻りすることは無い。

13億人の民衆の、溢れんばかりの経済成長への欲望を抑えること
は誰にもできない。政体が変れば更にそれが加速される。変更は、
開放へ、そして更なる自由化、民主化への変更でしかありえない。

文化大革命や天安門事件は、葬り去られた過去の歴史です。ケ小平
がすべてを変えた。日本の25倍の大陸の欲望に、火がついた。必
要なものは資本と技術。いずれも日本人が持つ。後は一瀉千里。

長期的リレーションを持つことにリスクはない。
短期的リレーションならむしろリスクでしょう。

2.コストが高い・安いということ

コストが高ければ、安いところがあるのが論理

日本は賃金を含め、世界最高にコストが高い。乾いた雑巾を絞るコ
ストダウンをしても、最大で30%です。30%を超えるコストダ
ウンは国内ではできない。私は<30%枠>と言っています。微細
な世界です。

<高い安い>は比較の問題です。コストが安い国があるから、コス
トが高い国もあることになる。中国のコストが安いから、日本は高
くなった。それだけの単純なことです。

普遍原理に目覚めよ

コストの安い国(または地域)でモノを作ってリードタイムを短く
して運び、コストの高い国で売ることが事業の古今東西の普遍原理
です。われわれはビジネスの普遍原理を、<斜めから見る>ように
なったのではないか。本稿を通じての、基調低音がこれです。

30%ではなく、5分の1、10分の1の世界です。
その距離は、<e-Logistics>が結ぶ。容易なことです。

【空洞化論は一部しか正しくない】
中国と言えば、即座に出てくるのが<日本の製造業の空洞化論>で
すね。中国が工業化を進めれば、日本は没落するということ。
この論は、一部分しか正しくないのです。

GDPを構成する付加価値には、大別して(1)製造の付加価値、
(2)流通の付加価値、(3)サービスの付加価値の3つがありま
す。

▼流通の付加価値が9倍

ユニクロの1980円の服の、中国の工場での出荷価格(裸原価)
は、およそ200円(13元)です。

製造部分は10%に過ぎない。これが中国のGDPです。製造原価
が売価の10%であることは、ユニクロの柳井社長の本人の発言に
よるものです。(01.12.17 日経新聞)残りの90%は、日本のGD
Pです。こうした水平分業がある。

3.日本では衰亡する技術が、今後20年は生きる国

日本の高齢技術者が生き

ユニクロの60箇所の中国提携工場で、現場の技術指導にあたって
いるのは、日本の繊維工場、縫製工場を追われた優秀な中年技術者
や退職後技術者です。日本で放り出された技術が、中国では生きる。

【インターネットの本領】
デザインは日本の本社でやる。CADデータを中国工場に送る。
試作する。ライフテストをする。作り変える。そして量産をする。
中国にあろうが日本にあろうが、ネットワークではリアルタイムで
す。それが21世紀のインターネットです。

グローバルな可視性

サプライチェーンで、生産計画から、在庫、出荷、コンテナ積送、
入荷、輸配送、店頭在庫、POSでの販売まで、すべてを可視的に
できる。デスクの上のPCでリアルタイムモニターと制御ができる。
世界中を、です。今日の店舗の売上を、今日の生産計画にフィー
ドバックできる。これが新たな工業化です。鍵は流通。

工場も、システムもある。どう利用するかです。

優秀さ】
中国人の現場労働者は、日本人からOJT(on the job training)
で技術を学ぶ。スポーツの技術を学ぶのと同じです。曲技団の世界。
すごい技術者のチームが数年でできる。給与は、出来高給です。
一個でいくらの変動費です。ピース(個数)ワーカーと言います。

4.儒教の国:両親を豊かにするための出稼ぎ労働

労働

若い労働者の目が輝いている。顔を上げず、一心不乱に作業をする。
労働の意欲、やる気、技術習得への意欲は、甘やかされた日本人
の比ではない。声を掛けるのがためらわれる。英語は、通じない。

田舎の貧しい家族は、1ヶ月1200円(誤植ではありません、1
日ではなく1ヶ月1200円です)で、収穫の乏しい農業の自給自
足で暮らしている。こうした人が10億人もいる。農村の10億人
と沿岸部の3億人では、5倍の所得格差、経済格差がある。

シンセンへの出稼ぎで700元(10500円)の<高給>をもら
い、工場に隣接する寮:10畳の広さの部屋の2段ベッドに10人
が眠る。朝8時から夜10時まで働く。

両親に毎月8000円くらいを送金する。両親は立派な家を建て、
近所には孝行息子・娘を自慢する。中国は親への孝行、年寄りへの
尊を説く儒教(孔子)を生んだ国です。
中国人はプライドが高い。

2週間の休暇には、木製の座席の、満員の鉄道で3日も揺られ、田
舎の両親のもとに、都会のお土産を抱えきれないくらい持って帰る。

▼経済特区シンセン

香港のすぐ北の、高層ビルが林立する香港と見まがう経済特区シン
セン(Shenzhen)。人口700万のうち男が140万人くらい、女
性が560万人くらいの割合と言う。工場内では、男性1名に対し
て女性5名の割合です。

経済特区では、外資の導入を自由化している。5箇所ある。シンセ
ン、珠海(チューハイ)・汕頭(スワトウ)・厦門(アモイ)、そ
して1988年に海南省(ハイナン)も指定された。いずれも、高
層ビルが並ぶ。中国の開放経済の窓です。

若い女性の労働

溢れる
シンセンには10台後半から20台前半の女性が溢れている。1人
分が1畳の広さの工場の寮に暮らす。月7000円をもらう。化粧
っけはない。スタイルがいい。

訪問した工場の窓から、闇に浮かぶ、蛍光灯の寮の窓を見つめた。
作業を終わって、続々と小さな<ひとつの部屋の>入り口に入って
いく。窓には洗濯物。10畳くらいに10人が住む。7000円の
賃金から必要な2000円くらいを除き、5000円を両親に送金
する。

耳を澄ますと、音楽的な中国語の透き通るような話し声が聞こえる。
明かりがぼんやりと歪んで、私は彼女らのけなげさを想い泣いて
いたようです。日本にも農村からの集団就職の時代があった。多く
が中卒で都会の工場で働いた。そして高度成長経済を作った。それ
から約40年。

われわれが忘れた大切なものが今中国にある。

賃金は、初任給の最低ランクが月350元(5250円)、技術が
つけば500元(7500円)、700元(10500円)になる。
出来高に比例する。平均労働時間は11時間。

入れ替わり】
シンセンには男が少ない。女は中学を卒業し15歳から18歳でシ
ンセンに来る。働いてお金を貯め23歳ころになると結婚で、田舎
に帰る。こうして、工場の労働は入れ替わる。

同一職種での賃金の上昇はない。農村には、沿岸部の5分の1の所
得の10億人が住む。皆、沿岸を目指す。シンセンは人口を制限す
る。入境には、中国政府が発行するビザが要る。近年は、海南島も
注目される。

現地に10年もいる日本人事業家は、シンセンはいろんなものが高
くなりました。これからは、北京でしょうと言った。

北京には近郊を含めれば3000万人の人口がいる。人類史上最大
の都市です。香港、台湾からの投資が殺到した経済特区シンセンに
比べると、人件費を含めあらゆるものが2分の1です。大学を出た
エリートも多い。日本語熱も盛んです。飛行機で2時間。航空運賃
は3万円くらい。コンテナも2日で着く。

中華レストランに

腿まで深くスリットの入った中国服を着た女性が、玄関に数人立つ。
そこへ向かえば、ドアを開け、一斉に歓迎の挨拶をし、席に案内
する。一瞬、王侯貴族の気分。

(現地では高級な)レストランに入ると、われわれ4人に、5人く
らいのウエィトレスがつく。注文を取る係り、料理を運ぶ係り、ビ
ールの栓を抜く係り。料理はラードが大量に使ってある点を除けば、
美味い。日本では高価な上海蟹、すっぽん料理、乾燥あわび等を
食べた。邱永漢の名著『食は広州にあり』を想った。私はまさに広
州にいた。

箸を休めタバコを手にすると、後ろから無言で、ライターが目の前
に来る。びっくりします。食べるのをやめると、残っていてもすぐ
皿を下げる。中国茶をドボドボと注ぐ。

日本ではこれを一人でやる。つまり、日本人のウエイトレスは約5
倍生産性が高い。1人あたり賃金は20分の1でしょう。となると
レストランの価格は、日本の4分の1ですね。食の内容はグンと上
ですが。

全体が見渡せるところで人数を数えた。コンサルタントの職業意識
です(笑)客が10に対して、従業員はその2倍くらいいた。全部
が、仕事の内容を限定した単能工です。ということは熟練が早い。

5.エリートの大群

精華大学(中国の東大)、北京大学で、13億人のなかからの選別
を受けた学生の優秀さは、比較を絶する。日本人1名に対して20
名のコストが同じです。

中国政府は、IT産業で世界ナンバーワン、世界制覇を目指してい
る。これが国策です。税の軽減を含め、オフィスの賃料、雇用など
様々な投資支援策を取っている。ハイテク分野の外資は大歓迎です。

土地は国家が持つ。企業は、年契約で破格の賃料で借りる。

アメリカのITは中国人技術者が支え

米国マイクロソフトの中核のシステムエンジニア、設計者は中国人、
インド人です。他のソフトでも、IT産業でも90年代の米国の
繁栄の中核部分を作ったのは中国人だった。

今はインターネットで国境はない。シリコンバレーに呼んで、米国
並みの賃金を払う必要はない。

方法】
北京、または大連でオフィスを構え、中国人チームを作る。会議は、
TV会議でいい。使い放題で、ADSLの1回線2000円です。

デスクが隣であろうが、北京郊外であろうが、ネットワークでやる
仕事は変らない。事務作業すら中国に移管できる。彼らにとって日
本語や英語はやさしい。2年でぺらぺらになる。

コンピュータ画面を使ってやる仕事に国境はない。距離はない。
唯一の距離が、あなたの視野、品性、そして技術です。

コールセンター】
顧客サービスで、1対1の人手が掛かるコールセンターも中国に置
けば、コストは20分の1です。Windowsは世界共通です。
20倍の手厚いサービスが、日本人顧客に対してできる。

事実日本を含め、多くのIT産業が北京にコールセンターを置く。

6.視野の狭さを捨てる

▼適地の移動は止(や)まない

製造部分のコストでは、中国が一番安い。同じ中国でも香港やシン
セン含む広東省ではなく、上海周辺が半分のコストです。こうして、
製造の適地は、およそ5年単位で移動する。移動するのが経済原
理です。<一所>懸命の、農耕民族的発想を捨てることです。

流通の付加価値の視点

流通の付加価値は(1980−200)=1780円で、90%部
分になる。これが、ユニクロの付加価値であり、日本のGDP部分
になる。

製造の中国の、GDP部分の9倍です。流通の付加価値は豊かな消
費者がたくさんいる地域や国のものになる。買うにせよ、売るにせ
よ、中国との<長期リレーション>は欠かせない。リレーションに
は深い意味があります。

断言

断言します。大陸中国との良好な(=win-winの)リレーションを持
たなくて、ビジネスはない。米国の世界戦略で、最も恐れているこ
とは、資本と技術を持つ日本と、市場と工場を持つ13億人の中国
が結びつくことです。

米国の基本戦略
米国にとって、日本と中国の関係にクサビを打ち込んでおくことは、
国際戦略の最重要課題です。国際会議、マスコミを総動員し、中
国と日本を結び付けない戦略をとる。60年前の太平洋戦争の原因
も、中国市場だった。

戦後、戦勝国の中国は共産圏になって門戸を閉ざした。開放された
のが1980年からです。13億人(正確には、まだ沿岸部2億人)
が自由世界に雪崩を打って参入した。そして、2001年11月、
WTO(世界貿易機構)に加盟した。WTOは自由貿易の推進機
構です。

13倍のマーケット

中国から帰って直後、ヤマハから呼ばれ講演で浜松に行きました。

テーマは<ロジスティクス論とWMS(Warehouse Management Sys−
tem)> 日本で理解が遅れている、国際を含む物流問題です。

2時間の講演が終わりパーティの時、ヤマハ発動機の常務さんが言
っていた。<日本のオートバイ市場は今年で78万台、一方で中国
は1000万台から1300万台> 13倍から15倍です。この
市場をほうっておいて、日本の産業が伸びるわけがない。

自転車がオートバイに・・・】
わずか数年前は、自転車だった。大群がすごいスピードで走ってい
た。自転車も大群になると、シャーっという音が増幅され、迫力が
ある。それが、延々と続く。ホテルの窓から見て感動を覚えた。形
容は変ですが、大きなバッタの群のようだった。

今自転車がオートバイに変りつつある。信号には数十台のオートバ
イが並び、ほとんどは2人乗りで、青になると一勢にとび出し、時
速50キロの速度で走る。マラソンの隊列のようにね。

交差点に立ち、途切れることのない隊列に見とれていると、同行の
方から<先生、危ないですよ。ひき殺されても、保証は30万円の
国です>と手を引っ張られた。オートバイの価格は10万円くらい。
ワーカーの年収に匹敵します。

暴走族の迫力を超えます。なんという国だ・・・と思ったのです。
オートバイはあと数年で軽自動車になる。一国で先進国市場全体を
越えます。

▼成熟化市場と、普及率市場

日米欧の10億人の先進国市場は、若い米国を除けば一様に<成熟
化市場>です。成熟化市場とは、基本が(1)買い替え、(2)改
善(improvement)、(3)メンテナンスの市場であるということで
す。サービス化経済とも言います。

中国は、13億人がこれから<モノの普及率のマーケット>に向か
う。
沿岸部の3億人から。これで10年。そして次の10年は残りの1
0億人へ波及。更には10億人のインドが続く。とんでもない成長

20年になることが確定している。

10億人の成熟化市場に、13億人の普及率市場が加わった。

慌しい中国訪問で、世界のGDP(4000兆円)は今後20年経
つと8000兆円に向かうことが確定したと思った。確信になった。

地球経済の高度成長です。これに東欧・ロシア・インドも加わる。
これを見ていない国は滅びる。

日本人の視野の狭さ、視野狭窄を感じます。国内の政治・経済と地
域経済だけを見て自家中毒になった国。

ビジネスで志を持つ人は、中国語を学んで欲しい。中国大陸を目指
して欲しい。真正面から見ることです。皮肉な見方はすべてを殺す。

私も始めます。言語は文化であり、行動です。
ビジネス知識源の中国語訳も考えます。
(↓翻訳を行うご希望の方はメールで応募してください)
yoshida@cool-knowledge.com

来年は、本マガジンの読者を対象に中国視察ツアーも組みましょう。
5月でしょうか。

7. 70%部分が移管可能・・・

ある日本の事業家が、会社の、ソフト開発を含む全業務の内容を項
目別に調べ、中国に移管できる可能性があるものを探した。彼はそ
こでびっくりします。人件費の60%から70%部分を占める業務
は、<今の中国>に移管できる。明日の整備された中国への移管で
はない。

一方で醜悪

醜い集団】
ラードを大量に使う連日の中華料理に胃が疲れ、日本料理店に入っ
た。中央のテーブルに、7名くらいの日本人の中年集団がいた。大
声で話していた。全部、聞こえた。

大声
<中国人は***だ。中国の女は***だ・・・>
***の内容は、書けません。大声の主は中国支社長でした。たぶ
ん<偉い人>なのでしょう。会社名を言えば、誰でも知っている日
本の大手電機メーカーの集団でした。

激しく恥ずかしくなった。5人くらいはいた中国人ウェイトレスが、
日本語を理解しないことを願った。

【醜悪】
こうした人達がやっている中国ビジネスは失敗すると思った。失敗
させなければならないと思った。視野の狭さと、洗練のカケラもな
い醜悪が腐臭を放っている。どうしてこんなに醜いのか。

態度を決めかねている

日本人】
香港に10年住み、シンセン(Shenzhen)で事業をやっている人に
中国人は日本人のことをどう思っているかと尋ねた。彼は、少し間
を置き、<お金で関係を持っているから仕方がないと考えているけ
れど、日本人は嫌われていることが多いでしょう>と答えた。

パートナーシップ】
米国人はどうかと尋ねると<米国人は、中国人をパートナーとして
扱う文化を持っています>とのことだった。なるほど、私の経験と
合致します。日本人のアジアに対する傲慢さは抜きがたい。

同根】
東南アジアや中国に対して尊大に振舞う。同じ人物が、欧米の特に
白人に対して卑屈な態度をとる。二つの態度は同根です。

更に言うなら、日本の外務省、政治家、新聞の、中国に対する卑屈
な態度も同根です。卑屈さと尊大さの両極でゆれるのが日本人。20
年前のことではない。今日のことです。歴史教科書の問題も、同
じ根でしょう。

8.序列意識を捨て、相違の認識を

国際化とは、相手国の文化、価値観、行動様式を認めることです。
<文化的・経済的な優劣の序列>で見ることではない。

優劣の序列でしか判断できない人がいる。知性と品性の貧困な輩で
す。言葉ができることは瑣末なことです。人間としての品性の問題
です。生きるときもビジネスでも、重要なことを取り違えている。

基本

経済的にも良好な関係を持つには、品性が基本です。国対国の関係、
文化対文化ではない。個人対個人の関係が、すべてのベースでし
ょう。ビジネスは、マネーのみでなく、人間で動く。

重要】
経済的な関係には2種があります。ひとつはリレーションシップ(
関係性)、もうひとつは一回一回のトランザクション(取引)です。

日本企業は、アジアでは<トランザクションの態度>だった。今後
の課題は、それをどう<リレーションシップ>に高めるかでしょう。
言い換えればパートナーシップです。

顧客と企業の関係でも同じことが言える。単なる購買のトランザク
ションから、顧客との<信>の関係であるリレーションシップに移
行できるか。ここが、CRMの目的でもある。

9.アジアの日本人には未だに問題がある

日本人も、欧米人に対し平静に振舞える人が増えた。欧州や米国に
行っても、日本人の態度を見て恥ずかしさを感じることは少なくな
った。(一部にはまだ見かけます)

中国に対して、日本人はスタンスを決めきれないでいる。

これが、日本のアジアにおける最大の問題でしょう。彼らが、太平
洋戦争の時の日本軍の問題を持ち出すのは、ビジネスマンや団体観
光客に接したとき感じられる日本人の品性に疑問を感じていること
があるために違いない。仮に日本語で話していても、語調は伝わる。

すぐ国粋主義に傾斜する

文化面で日本文化礼賛になると、一挙に他国を否定する。

フランス人は、先進国ではもっとも文化的な国粋主義です。
しかし、他国や他国の文化には成熟した態度をとることができる。
純粋のフランス人ではありませんが、国際人カルロス・ゴーンを見
ればわかるでしょう。

訓練の欠落】
洗練された日本文化を持つ国が、海外との関係になると稚拙になる。

国際化の訓練が欠けている。文化的なセットを国内だけで作った。
文化は価値観の具現です。価値観とは、何を大切にするかというこ
とです。価値観が具体的な形をとったものが文化です。

コーポレート・カルチャー(企業の価値観:リーダシップ論のValu
e:行動綱領)にまで通じます。コーポレート・カルチャーを国の単
位にまで拡大したものが文化です。

欧米に対する恭順の時代から傲慢へ、そして自信喪失の10年

1960年代、プロペラ機の時代、米国チェーンストアの見学に店
主が出かけた。彼らは皆が白い靴下を履き、一張羅の背広で緊張し、
社員や家族に見送られながら羽田を飛び立った。海外旅行は水盃
(みずさかずき)の時代だった。

安モーテルに泊り、コカコーラとハンバーガーに感激し、勉強した。
見学後は、興奮して眠れず徹夜で議論したと聞きます。

おそらく、米国のストアマネジャーや店員に対し、尊敬をもって接
した。多くの見間違えがあったが、<謙虚な学ぶ態度>が戦後の日
本をつくってきたと言っていい。現在の量販店をつくった世代です。

80年代後期から、<欧米に学ぶことはない。これからは日本の時
代>と言った途端に、経済は沈んだ。自信喪失の90年代があった。
理由は、<謙虚な学び>をやめたからです。

▼問題

中国を含むアジアに対して、相手の文化・価値観を学び、併置する
態度があるか?

西欧・米国との比較論はやってきた。
アジアに対しては、それを行っていない。

中国に対しては日本文化の根として尊敬する態度は持ちながらも、
日清戦争(1894年〜95:明治27〜28年)の勝利以降、1
00年を越え、アジアに対しては支配の意識になったのではないか。

アジア側も、日本に対するスタンスを決めかねている。アジアとし
ての一体感はない。西欧世界でも、日本は孤児です。

2つの極点しか知らない

日本人は、外国に対し支配するか支配されるかの両極しか想定でき
ないのではないか。国家対国家、文化対文化の比較論からくるパー
トナーシップの意味を理解していない。そう思えるのです。

ここが欧米への卑屈とアジアへの尊大の根にある問題です。60歳
以上は敗戦の世代。深い部分で、国家観と、それに関係する自己観
が壊れている。政治家の態度で、わかります。

諸外国に対する態度で、成熟した態度が取れない視野の狭さがある。
世界の中での日本を思考できていない。視野の狭さ、これが諸外
国に対したときの日本人の特徴になっている。担当する商取引のみ
のサラリーマン意識でしか諸外国を見ていない。

必然的にグローバル化する21世紀に、日本の障害になるはずです。
90年代の経済の停滞は、私には中国との関係の持ち方の失敗に
思えるのです。

■10.無知

2時間、2日

中国のことは、ほとんど知らない。周辺をふくめれば3000万人
の人口の上海は、飛行機で2時間の距離であること、船便のコンテ
ナでも2日で来ることを聞いて、驚く。2日で来るなら国内と変ら
ない。2時間で行ければ国内と変らない。中国から、日本の地図を
逆に眺め実感したことです。

15年の変貌

中国が80年代中期から90年代にかけてどんな変貌を遂げたかを
知る人は少ない。今は、中国の工業化が日本の製造業の空洞化をも
たらすという見方で中国を見ている。今のままでは日本産業の空洞
化は必然でしょう。経済原理はその方向を示す。

▼比較賃金

日本人は、どんな特権があって、中国人の20倍から30倍の賃金
を得ることができるのか。それを、根底から思考すべき時期です。
特権はどこにあるのか。個々人が、中国人の20倍の技術と生産性
があるのか。

日本の大学生は、中国の工場で働く同世代の人が月給1000元(
1万5000円)と聞いて、20万円もらえることを、世界経済の
なかで正当化できるか。ここが根底です。生産性という正当性がな
ければ、いずれ両国の賃金は近づく。要素生産性の均等化原理と言
います。

現実

日本の事業家にも、国内の工場、事業所を畳み、中国へは投資し、
中国人を雇用するひとが出始めた。1人分のコストで、20名が雇
える。20名です。日本語を学習したいという人は中国には多い。
日本の1倍の13億人がいる。

中国もアジアも、心理的に遠い国だった。

欧米には企業のトップが、出かけることが多い。
中国を含むアジアには、担当者しか行かないことが多い。
なぜか? アジアをまともに見ていないからです。

態度の誤謬がある

日本人ビジネスマンは、中国の安い商品を仕入れるために、国内出
張の延長で中国に来ると言っていた。これでは、<関係性のビジネ
ス>は作れない。月並みな<トランザクション>のビジネスです。

ユニクロがユニークなのは、どこでもやるトランザクションの集荷
バイイングを、工場との直接的な<長期的リレーション>のビジネ
ス・モデルに変えたからではないのか? そうしたモデルがありな
がら、まだ眠っていていいのか。柳井社長は先頭に立って中国へ行
った。

一方、創業50年で老害が出ていた大手量販は、商品部長に任せた。

事業の機会を逃しているように思えます。

日本の通販大手の評判が悪かった。仕方なく売ってはいるが、でき
れば関係を持ちたくないと言う。なぜか?

出張社員は、本社を見て方針と約束を変える。工場に無理を言う。
品性が下劣である。偉そうに買う。俺たちは客との態度。倣岸。普
通のサラリーマンが、中国で傲慢になる。こうした会社が多い。

ビジネスは単に取引とマネーのやりとりではない。人間と人間の関
係作りなのです。特に、原則と自尊心の国である中国は、敏感です。

初めて行うことを、責任をとれないサラリーマン部下に開拓させ、
本社から小言を言うのは卑怯です。リスクを部下に押し付ける態度
がある。

トップ自ら出かけ、考え、ビジネス・モデルを開拓しなければなら
ない。そうでなければ成功しない。日本人サラリーマンは、現地で
の責任を持った決定を避けるのです。これではいずれ失敗する。

米国のバイヤーは、雇用形態は独立事業主です。約束を守る。
中国ビジネスでの成功の鍵は、ここにあります。
トップ自ら見て、触れ、考え、試行錯誤し作り上げる。

根源的な思考を迫る国:中国

1970年代、経済特区シンセン(Shenzhen)は、人口2万人の村
だったと言う。今は周辺をふくめれば700万人になる。

2万人の人口が、20年で700万人になった。大阪圏の人口に匹
敵します。すぐ南に、650万人の香港がある。両方をあわせれば
東京都の規模を超える。シンセンは、ハイパー都市:香港に見まが
います。物価、賃金は香港ではなく中国です。

高層ビル、高層アパートが林立し、ビルの上から周囲を見ると視界
の中にどこからでも数箇所の工事中の巨大ビルが見える。目まぐる
しく動く世界時間がある。深い停滞の国日本の活力源は、中国との
長期リレーションにある。

<中国リポート(1):あぁ、Shenzhen>を終わります。
来週お会いしましょう。ふつふつと途切れなく言葉が沸き、見た映
像がめぐる。

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