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2002年2月8日の時事考察 |
こんにちは、吉田繁治です。本無料版の送信が4日遅れになったこ とを深くお詫びします。昨日の深夜、東京出張から帰りました。 <Vol.88 現象の点と点を線で結べば・・・こんなに単純> 【目次】 1.e-Logisticsということ 2.官僚資本主義 3.官僚資本主義の向かう先 4.先進諸国の90年代から現在まで 5.国家、及び金融機関という負債装置 6.浅草観音、本郷、麻布十番 7.エンロン問題は、米国をどこへ向かわせるか 8.ゴールドと石油資源 ■1.e-Logisticsということ 水曜日は家具業界の製造・卸の方への講演でした。中国からの輸入 品で国内製造と卸の売上が減少し、将来をどの方向に想定するかと いう点で悩みがあります。 ▼部品点数の視点 家具生産は組み立てる部品点数が少ない工業です。こうした工業は、 最適産地の移転が速い。生産の中国化が進んでいます。既に40 %くらいが中国を含む海外からの輸入製品になっています。 10年前は、家具の輸入製品は10%くらいでした。それも台湾か らの籐製品が多かった。家具においても、国内製造、卸、小売がワ ンセットになっていた。 ここで以下の変化が起こった。 【家具流通のマクロ変化】 91年 00年 増減 小売の伸びとの差 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 国内製造業 9307億円 6550 -30% 30+17=47% 社数 500 427 国内卸売業 7958 4914 -38% 38+17=55% 社数 389 286 国内小売業 10152 11926 +17% 社数 564 549 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (年商3億円以上の企業の集計) 国内の専門店小売(年商3億円以上)は、1兆152億円から1兆 1926億円へと10年で17%伸びた。一方国内製造業は、30 %も出荷を減らして、その結果国内の店舗の総売上に対して47% のシェアを減少させた。卸売業はもっと激しく、55%のシェアの 減少です。 この国内製造と卸のシェアの減少を埋めたのは、チェーン化した小 売による直接輸入です。推計では40%の金額は、中国・アジア製 品になった。金額の低いものが多いので数量では60%以上が既に アジア製品の浸透でしょう。 この変化は、各業界での日本の産業を象徴する先行事例です。 ▼ドイツの卸売業の90年代 ドイツでは90年代の世界的な変化への対応が見えます。 (1)人手作業を含む軽度工業製品の生産地移転は、今後も止める ことができない。しかし消費地は日本国内です。 (2)人件費が負担が高いドイツは、家具では冷戦終了後、東欧で の生産のネットワーク業を作った。販売先は、西欧・米国です。 ▼ロジスティクス産業 最適コストの生産地が移転するとき、流通ネットワーク業が必要に なる。つまりはロジスティクス産業です。 今後の変化を、一般化すれば、 (1)先進諸国での、生産部分の付加価値は減少する。 (2)浮上するのは、流通部分の付加価値です。 【商品原価】 製品の最終価格は、以下の原価要素で構成されます。 (1)生産コスト部分 ・資材、部品コスト ・組み立て、加工コスト (2)流通部分のコスト ・在庫リスク ・中間流通のコスト ・小売のコスト ▼大きくなる流通の付加価値 上の項目のうち生産コスト部分は、世界的に縮小します。ユニクロ の1980円のフリースの工場出荷原価はその10%、つまり20 0円レベルであると柳井正社長はあちこちで言明しています。つま り中国のGDP部分は、200円です。(元布の輸入部分があれば、 それを200円からマイナスしますが) 一方、流通部分のコスト(=付加価値)は、90%の1780円で す、これは流通部分を担う企業、または国のGDPになる。生産部 分の付加価値減少は、流通部分の付加価値の増大と同じ意味です。 【e-Logistics】 そうなると、流通部分を合理化する産業が伸びる。一般化して言え ば、ロジスティクス産業です。それも、流通を電子化するe-Logist- icsです。 (1)店舗販売データの解析 (2)需要プル型の量産 (3)中間在庫の倉庫統合による合理化 (4)物流の規模化による合理化、です。 これは卸売業です。ただし需要プル型の電子化された卸売業、つま り、e-Logisticsです。こうした方向を設定すべきであろうというの が、家具業界のメーカー・卸の経営者への私の提案でした。理解さ れたかどうか・・・ 会場には50名弱のトップ企業の経営者が参加されていた。右後ろ の席に亡くなった父と瓜二つの人がおられた。終始、悲しそうな表 情だった。これにはびっくりしました。 一瞬、父の霊が現われたかと思ったのです。そんなことはあるまい と思い直し平静を装って講演を行った。その方に声をかける勇気は 出なかった。5時きっかりに終り皆さんへの挨拶もそこそこに、名 古屋駅に向かった。 【3年前】 約3年前、これからは製造も卸も小売もe-Logistics化すべきである。 つまり需要プル型の、中間流通のシステムである、その方法は? というテーマの論文を書いた。周囲のごく一部の人にしか発表して いません。e-Fulfillmentという副題を持たせた。 【組織と機能の分離】 メーカーと小売の直結が進むから、卸の将来はないという見方が一 般的です。確かに従来型の卸売業は多くが消えます。しかしロジス ティクス距離のグローバル化で卸の機能はますます必要になる。 以下の事業発想が必要です。 (1)製造はコスト最適地に移転する。しかし、生産機能が消える わけではない。どこかで生産する。 (2)卸売業も過半は消える。しかし卸機能はますます重要になる。 ロジスティクスの距離が伸びるからです。 (3)現在の、日本の全業種の小売140万店舗(142兆円)は、 70万店舗へ向かう。POSを使った需要センサーとして小売 機能は、ますます洗練される。 ▼e-Logistics 以上をまとめれば、生産機能、卸機能、小売機能を電子的に結びつ けるネットワーク業、つまりe-Logisticsがこれからの大産業になる。 (おそらくこの推進が、私の事業ドメインになる) 【販売革新】 『販売革新』という流通の理論雑誌があります。その3月号(3月 1日に書店に出ます)に<チェーンストアの構造改革:その戦略課 題>というテーマで、25,000文字(65枚)を出稿しました。 (1)e-Logisticsのごくさわりの部分を、クロスドックセンターシ ステムとして、 (2)破綻したKマートと、飛躍を続けるウォルマートの内容を比 較しながら示しています。 ▼流通システム産業 ウォルマートは小売業ではないのです。店舗を含むe-Logisticsを、 クロスドックセンターとして大規模に実現(年商25兆円:4400 店)した流通のシステム産業です。 ユニクロも、コスト最適の生産地と大消費地を結ぶロジスティクス 産業です。セブン・イレブンのビジネスも同様です。商品はなんで あっても構わない。生産の最適地と消費地を電子的に結ぶ需要への クイック・レスポンの流通システム作りです。 ユニクロも有機野菜を商品にすると言う。ロジスティクス産業です から、商品には拘泥しない。消費と生産を結ぶ流通に合理化の余地 があれば、事業創造の機会になるのです。 【それにしても、発想の固定化が】 こうした、骨格を太くはっきりさせた戦略がある。 障害は、至るところに見える事業発想の固定化です。 ■2.官僚資本主義 ▼のぞみ 3時から5時までの2時間の講演を名古屋で済まし、その後のぞみ で東京へ。隣の席は吉野家(1000店;年商930億円;経常利 益162億円;2000年)の阿部修二社長でした。脱がれた靴は マレリー、時計はブルガリだった。ところが紺の靴下は毛玉だらけ だった。彼は確定申告の書類を見ていた。あぁそう言えば、3月1 5日が近いと思った次第です。私も、変な観察をしますね。(笑) 【MD】 自分の講演を録音したMDを、反省のために聴いていると自然に眠 っていた。前日が、徹夜でした。聴くと最初はゆっくりですが、中 間以降が早口になっている。いつもの癖です。話しているときは感 じないのですが、聴き直すとはっきりします。この速度ではメモを とる時間がないだろうなと思った。直すべきですね。 【ワシントン+ウォール街】 7時ころ東京についてタクシーで六本木へ。皇居前の大手町、霞ヶ 関、内幸町の風景は好きなもののひとつです。政府機関、金融機関 が集まっている。日本の〔ワシントン+ウォール街〕でしょうか。 今ここで、時間単位で激震が走っている。タクシーの窓から見る景 色は平穏です。物理的な震災ではないから建物は残る。しかし、建 物の内容が変わる。交代が起る。 六本木では、昨年11月のロスアンジェルス研修ツアーの参加者と の遅い新年会でした。北海道、中国、関西からを含め、多忙にもか かわらず15名の方が集まっておられた。防衛庁の前にある『東一 』という中華料理店です。『ケントップ』というIT関連の会社の 芝さんが、集合の音頭取りを含め幹事役でした。 (大変お世話になりました) 酒席の話題は金融危機でした。それぞれの方が仕事の現場で、肌で お感じになっているようです。私は、取り上げられることの少ない 日銀のバランスシートの話をしました。マネーの番人の中央銀行が、 信用を失う事態が起りつつあるということです。 予測される金融危機は、病で言えば発症した結果の現象です。将来 の利を生まない産業に多くの資金が投入されている。方向を見定め ていたマネーが動き出した。これが不良債権処理と金融危機です。 ▼先進国の官僚資本主義 経済、及び金融の原理では、最終局面では第2次世界大戦の終戦直 後のような制度変更、企業交代、世代交代が起るはずです。ここで <政策>は変化を留めようとする。<原理>と<人為>のせめぎあ いです。第二次世界大戦後の先進国の経済は、官僚の役割を大きく した官僚資本主義です。これが変化の障害です。 旧大蔵省は、国民負担率が、西欧の成熟経済に比べて低いことを毎 度持ち出します。つまり、増税して官が関与する領域を増やしたい のです。彼らには、減税の発想はゼロです。 国民負担率= 社会保障負担+資産課税負担+消費課税負担+法人税+個人所得税 +財政赤字 (注)新聞等で発表される国民負担率には、財政赤字(潜在的国民 負担)の項が抜けていますね。 ▼先進諸国の国民負担率(GDP構成比) 社会保障 資産 消費税 法人税 個人所得 財政 合計 負担 課税 税 赤字 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 日本 14.4 3.8 6.9 4.3 7.5 12.3 49.2% 米国 10.1 3.9 6.1 3.4 14.1 1.1 38.7% 英国 10.2 5.1 16.4 5.0 12.2 5.8 54.7% 独 26.7 1.4 13.8 2.0 11.9 3.7 59.6% 仏 28.3 7.1 17.1 3.6 8.6 4.6 69.2% 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/memo/memo03.htm 日本では49.2%が、米国では38.4%が、そして西欧諸国で はGDP(≒国民所得)のうち54%から70%までが、国家(自 治体を含む)の行政機関を経由する経済になっている。 ▼通論の前提を疑うこと 先進諸国共通に、戦後の経済は政府部門をどんどん大きくする官僚 資本主義だった。日本でも、個人所得と企業所得のうち、49.2 %が行政に支配されています。 日本ではGDPのうち半分、個人所得のうち半分は官僚資本主義の 部分です。つまり官の支配です。 資本主義は、市場経済であると言われます。私は、そうは思わない。 経済の50%部分以上を官僚が支配するようになった経済を、ど ういう根拠で市場経済と言えるか疑問です。官僚民主主義経済とい う概念が適当でしょう。 【80年代は共産国家の財政破綻】 官僚独裁の共産国家は、国家財政の破綻を理由に90年代に崩壊し た。国有企業が利益を生めなかったにもかかわらず、所得は、購買 力のないマネーを印刷し、固定的に分配されたのです。 ソ連に典型的に見ることができるように、ルーブルの増発が最後は ハイパーインフレと高金利を生んで、国家の体制が維持できなかっ たことが、共産圏の崩壊の本質です。 ▼米国という金融ローマ帝国 先進5カ国では、米国のみが国民負担率38.7%です。市場経済 部分が61.3%で市場経済の盟主に見えます。 しかし実態は違う。西欧・日本から資本を集めた上での市場経済で す。資本の流入がとまれば世界からの商品流入(年間50兆円規模 の貿易赤字)の経済は、<米ドルとしては>維持できなくなる。 米ドル経済は世界からの資本流入、商品流入で成立してます。その 意味でドルは日欧の官僚資本主義に支えられた市場経済です。 (注)生産委託や輸入を行う多国籍企業が維持できないという意味 ではないのです。為替のヘッジを行えば、通貨変動は無効化できま す。例えばユーロー、ドル、円を三分の一ずつ持てば、どの通貨が 崩落しても無関係になる。ここで言うのは、米ドの部分です。 (予想される元の勃興は別領域です) ■3.官僚資本主義の向かう先 世界の先進諸国は、共通に〔税+社会福祉+財政赤字負担〕の合計 が5割を超え、西欧では6割、7割です。 肥大した官僚の自由経済への関与が、これからどう向かうか。 ここが問題の焦点になる。関与が更に深くなるか。軽減か。 中央銀行を含め行政が行えるのは、生産ではない。税で集めた所得 の分配です。税収が分配(予算)に不足するときは、国債発行や借 り入れを行う。そうしてマネーの発行額は、必ず実体経済の成長率 部分より高くなるのです。 したがって官僚資本主義は、長期的にはインフレを含みます。 ▼フィッシャーの貨幣数量方程式を見れば原理が MV=PT (=名目GDPの総額) 【左辺】 M=名目貨幣の量 (通貨の総量) V=貨幣の流通速度(一定期間で買い物に使われる回数) 【右辺】 P=商品とサービスの平均価格 T=取引回数(取引数量) (注)商品とサービス(P)の平均価格と取引回数(T=取引数量) をかけたPTは、名目額でのGDPをあらわします。 これがマネタリストが金融理論の原理とする仮説です。 総帥フリードマンは言う。 <要するに、フィッシャー公式は、金融理論の基礎であり、物理学 におけるアインシュタインの方程式 E=m×cの2乗と同じ役割を果た す『貨幣の悪戯』邦訳P60> <長期的には>マネーの増加はインフレになるとの原理が成立しま す。逆はデフレです。問題は<長期がいつか>ということです。 ■4.先進諸国の90年代から現在まで 【1】西欧 西欧は、ユーローへの通貨統一で失業率を高め(10%)に維持し ながら財政赤字を減らしてきた。西欧の余剰マネーは利を求め米国 へ流れた。つまり西欧の国内ではマネーの増発効果はなかった。 【2】日本 日本では、90年代の需要縮小と失業の増加を回避するため預金を 吸収する国債発行での需要維持を行った。他方、不良債権の処理の ため金融機関の融資仲介機能は壊れ、国内市場へは増発されたマネ ーが流れない。円の余剰は利を求めドル買いへ向かった。国内はマ ネー不足ではなく、マネーの流通障害です。だから価格が下がる。 MV=PTの、M(総額)は十分ですがV(流通速度)が劣化した。 【3】米国 米国は世界の商品を集め国内で売った。貿易赤字(年50兆円)の 決済は世界から集まったマネーで行った。ドルの破綻は起らず繁栄 を謳歌した。Mを散布したのですが、増加分が海外で保有された。 【増加マネーの縮小】 最初は日本で(経済原理から来る)土地と株のバブル崩壊が起こり、 増大したマネー額の縮小、民間の購買力と投資力の劣化が起った。 10年後の2000年には米国で株価の崩落が起こり、マネーの 縮小が起って、増加マネーの多くが消えた。 (注)土地・株の価格上昇はそれを担保(信用)に融資(マネーの 増加)を受けることができるという意味で、マネーの増加と同じ意 味です。信用という広義のマネーは中央銀行のみでなく民間でも増 加したり縮小したりする。通貨そのものは中央銀行が制御しますが。 ▼アジア 90年代から現在まで具体物である増加商品の部分を供給したのは、 東南アジア諸国と中国でした。7%から10%の経済成長を行っ た諸国は輸出代金でドルを貯めたため、ドルの価値の崩落は起らな かった。<ドルの機軸通貨効果>と言われます。 【生産のアウトソース】 米国に流れたマネーは米国の投資機関や企業を仲介に再還流してア ジアへの投資に向かった。中国を含むアジアは、先進諸国の低付加 価値部分の生産を行う工場として組み込まれたのです。 アジアの生産基地を、低賃金で流通ネットワークに組み込むことで、 先進諸国の増加マネーを原因とする物価の上昇は抑えられたので す。ユニクロやデル等の利益はここから来る。 まとめれば90年代から現在まで先進国がデフレ基調になった原因 は以下の2項です。 (1)日本は土地と株、米国では株の崩落があって、マネーの増加 部分が吸収された。 (2)アジアが工業化することで先進国の平均では実質賃金の上昇 を止め、その後は下落させた。つまり、個人の購買力は価格の下落 分のみの増加だった。 ■5.国家、及び金融機関という負債装置 金融危機とはなにか? (1)国家の金融信用力を超えた国債を発行する官僚と、 (2)自己資本の信用力を超える負債を抱える金融機関(銀行、生 命保険)に信用危機が起ることです。 国債が売れにくくなり、定期預金や生命保険が解約されて民間の現 金通貨(タンス預金)は増えますが、金融機関を通じた融資として 企業に還流するマネーが減る。2002年2月、日本ではマネーの 流通速度が激しく低下している。 ここで認識すべきことがあります。民間や特殊法人のどんなに多額 の不良債務があっても国家の信用、および金融機関の信用が高けれ ば金融危機は起らない。負債過剰でバランスシートの壊れた企業が、 貸倒引当金を使って清算されるだけです。 2兆3000億円(グループでは4兆円と言われますが)の負債を 持つダイエーを倒産させ清算することができなかった理由は、融資 をしている金融機関に貸倒引当金の不足があってそのため清算を行 えなかったということです。 認識の変更が必要です。金融危機は起っている。金融機関の体力で は不良債務企業の清算が行えない。人体で言えば、(経済原理的な) 手術に耐える体力が金融機関にないため、手術を放棄し現状固定 のための輸血を行った。これが、まさに金融危機です。 一般の認識では企業が倒産したあと危機を言います。それは誤りで す。倒産の後は倒産後の新経済です。今は、新経済に向かえないく らい不良債権の総額が大きいことが危機です。 その時、利を求めるマネーはどこへ向かうか。個々に安全と思える ところへ避難します。マネー・エクソダスです。これが起ると手当 すべき部分が一層広がります。 まずは金融機関、次には、国家信用の問題になります。 経済原理での、マネー・エクソダスの結果は金利の高騰です。 経済原理で起る金利高騰を中央銀行のマネー政策で人為的に止めよ うとすればインフレ・スパイラルに入ります。 しかしここで世界の中央銀行は協調し日銀のマネー増発策を抑えに かかるはずです。日本に崩落的なインフレ・スパイラルの危険があ れば、波及を恐れる世界は日銀に引き締めのマネー規律を求める。 その時倒産企業が多数になる。失業率は、西欧並みの10%を超え ます。(最近いただくメールを読むと10%=2000人の方が失 業か、その方向へ向かっている感じです) 最終的に日本国内ではどんな形で不良債権の清算が起るか。 (1)日本経済不信任での円安。 <世界の通貨バスケット>から見たときの実質的な賃金切り下 げです。 (2)円安での輸入物価上昇による国内物価の下落の終了。 言い換えれば実質的な購買力の低下。 (3)国債の増発が困難になり、地方を含めれば60兆円の赤字を 出す政府と自治体予算は縮小する。 言い換えれば特殊法人の清算と社会福祉の減額。そして増税。 以上が経済原理です。細かく言えば人為的な政策を使い微温化のた めの修正があります。大切なことは根底の筋を見ることです。 ■6.浅草観音、本郷、麻布十番 東京への出張は多いのですが日帰りが多い。昨日は六本木全日空ホ テルに泊まって遅い朝食をとり湯島天神へ行き、ふと思いついて本 郷の東大へ散策です。何年ぶりでしょう。 【構内】 過去のままの風景があった。違うのは大学構内に女性が増えたこと です。安田講堂へ向かう銀杏並木はやはり堂々としています。西欧 の古い町の風情。教室を覗くと内部は以前のままでした。工事中の 安田講堂へ向かって歩くと、地下からカレーの匂い。あぁここは学 生食堂だったと思い出し降りてみました。 女子大学の食堂に似ています。以前の汚い雰囲気とは、違います。 三四郎池にも降りた。ビニール袋やゴミが、池に沈んでいる。 昔通った総合図書館に入ろうと思った。フランスの古い教会のよう で好きだったのです。石の階段を登って見ると、駅の改札のような 無粋な回転バーがあって中にはいる気を失った。つぶやきながら歩 いているおそらく大学院の高齢学生の目に、壊れたものを感じた。 【浅草】 その後浅草観音に行って古ぼけた商店街を歩きラルースというロシ ア料理店に行った。お昼ですが、多少の贅沢をして生牡蠣、エスカ ルゴ、ボルシチです。美味しかった。 【麻布十番】 タクシーで麻布十番に向かった。学生の頃白金に住んでいたので、 たまに散歩で来たのです。料理屋、ファッション店が多い。韓国料 理店も目立ちます。 不動産屋に入って住宅の価格と賃料を聞いた。1坪が3,000万 円だった土地は300万円だと言う。住宅の家賃水準は1坪で月 16,000円くらいですね。30坪で約50万円。マンハッタン の中心部の2倍でしょうか。それでも需要はある。 改めて、東京の経済は厚いと感じた。大阪では得られない感覚です。 金融危機が深まっても立ち直りは速いでしょう。問題に蓋をし危機 を先送りすることが危機を深める。金融は時間とともに増える金利 を伴うからです。 米国に目を転じます。エンロンの破産事件が、重大な事態になって きた。 ■7.エンロン問題は、米国をどこへ向かわせるか デリバティブで破綻した米国エネルギー卸の最大手エンロン(負債 総額2兆円以上)の不正経理と政治献金が、政界までを巻き込んだ 疑獄の様相を呈してきた。まだ損失の確定はなされていない。別の デリバティブ(金融派生商品)で飛ばされているようです。 米国の90年代末のデリバティブ、株、国家政策、自由化、401 Kの年金を象徴する大事件になっています。 【1】会計事務所疑惑 エンロンの会計監査を行なっていたアンダーセンに疑念があるとさ れる。アンダーセンは、多額の監査報酬を受け取っていた。5大会 計事務所の監査の正当性にまで、疑いが拡大しています。 このことは重い。 米国に世界のマネーが集まった理由のひとつが、5大会計事務所と SECを含む、企業の会計監査への信用だった。信頼が世界的に揺 らげば、<金融ローマ帝国の芯が揺れる>ことにつながる。 企業会計とデリバティブ関連の数字が信用できないと、米国企業の 財務に不信がつのる。世界のデリバティブ総額は1京3000兆円 (BIS統計)です。世界の4000兆円のGDP(実物経済)の 4倍。地球を何回も破滅させる量の核爆弾に似ている。 デリバティブの商品開発にはNASAの技術者が当たった。米国の 軍事費削減、軍事技術者の民間への転進からきた平和の配当だった。 【2】献金とエネルギー政策リーク エンロンからの最大献金先のブッシュ大統領を含め閣僚と上院議員 に$590(7億7000万円)の献金があった。献金と引き換え に、エンロンが先駆けた電力の自由化で、政策のリークがあったの ではないかとの疑惑が表面化している。 エンロンの公開証言をめぐって、政治的な動きが緊迫しています。 チェイニー副大統領は、議長を務めたエネルギー政策立案グループ で、エンロンを含むエネルギー会社と行った会議の情報公開を拒否 している。(ニューズ・ウイーク02.02.131号) エンロンのケネス・レイ会長も議会での証言を拒否した。 ブッシュ大統領は、情報の非公開は大統領の権限だと防衛している。 【3】自殺 1月25日にはエンロン事件の全容を握る人物とされていた元副会 長、クロフォード・バクスター氏が自宅前の車の中で、ピストル自 殺を図った。自殺かどうかの疑惑があるとされている。 【4】エネルギーと資源産業 ブッシュ政権が、石油エネルギーと資源産業のエスタブリッシュメ ントに基盤をもつことは誰もが知っています。ブッシュ戦略は、資 源とエネルギーの制圧です。 エネルギー戦略での対立は、過去も戦争を引き起こしてきた。 原油や地下資源の鉱脈は国境とは無関係です。だから紛争が起こる。 【5】カスピ海に眠る520兆円 以前に述べたようにアフガン戦争がカスピ原油(2000億バーレ ル:520兆円)の支配権をめぐるものだということも背景にある。 アフガンはカスピ海原油のインド洋へのパイプラインの格好の輸送 路になる。原油採掘には安定した輸送路が必要です。予想される原 油価格高騰が起これば520兆円の富はその何倍になるか。 インドは、アフガン戦争への協力と引き換えに米国からの資金援助 を受けたパキスタンのムシャラフ政権に対し、核戦争の最高度警戒 の態勢にあることを表明しています。インドとムシャラフのパキス タンは不倶戴天の敵なのです。パキスタン軍の内部には親タリバン が多い。 【6.悪の枢軸】 ブッシュ大統領は、北朝鮮、イラン、イラクを公然と名指し悪の枢 軸(axis of evil)と言った。主権国家に対して、悪の枢軸とは、 穏やかではない。近々、大規模な第二次戦闘の可能性がある。 湾岸戦争と異なり今回の戦闘の現場はマスコミに見えない。 以上の6項にどんな関連があるのか、それは、分からないのです。 点をつなげば、線が見える。これ以上は、言えません。 個人の責任で判断して下さい。 ■8.ゴールドと石油資源 世界で金が値上がりしています。日本では4月1日からのペイオフ 解禁を前に、資金運用を求めたものです。 主婦向けのテレビでも1Kグラムのゴールドバーを司会者が白い手 袋をして、これが金ですと騒いでいた。 5年くらい前、わずかな金額の定期預金を解約し田中貴金属に行っ た。私は慣れている、だからゴールドバーとスマートに言おうと思 ったのですが、確か出た言葉は<ノベボウ>だった。初めてで緊張 していたのかなぁ・・・(笑) 広い売り場に客はいなかった。中年の係員は白い手袋をしてビニー ルの袋に包まれたゴールドバーを持ってきた。 今は現物は手に入りにくいようです。 ▼1971年 1971年、ニクソン大統領は突然ドルの金との交換停止を宣言し た。米国の貿易赤字(=ドルの世界への散布)でドルが金と交換さ れれば、NY連銀の地下に眠る金塊が世界に流出する恐れがあった 。 【一貫してドルの減価】 世界は固定相場から変動相場に移行した。世界は喜んでパーパーマ ネーのドルを受け取ったが、2度の石油危機(1973年、80年) 資源価格高騰(=ドルの減価)が起こった。 80年代までは、ドルの減価の時代だった。 ドルの大量発行での減価は80年代までの先進国経済にインフレを 組み込んだ。 【3倍の価値になった円】 日本は、$1=360円が100円に減価しても輸出代金としてド ルを受け取り、$債券や株の購入で米国に還流させてきた。日本が、 輸出代金のドルを忌避しなかったことで、ドルは価値の崩落を免 れた。 【減価するのに基軸通貨】 90年代は南米の主要国が外資を呼び込むためドルとの固定相場制 を取った。対米貿易黒字で輸出マシンの日本を上回るようになった 中国も元をドルとリンクさせる固定相場を採用している。ここでも ドルの減価は忌避された。 【西欧の反抗】 ドル経済圏に巻き込まれることを嫌う大陸西欧では統一通貨のユー ロー圏を作ったが、経済そのものには弱体性が残るから、ドルとの 相互協調で通貨価値を維持する。英国はユーローに加盟していない。 【30年・・・】 ドルが金の裏づけを失って30年経った。30年という期間には意 味がある。経済の1世代が終って次世代経済が始まる。歴史上は3 0年は、大きな区切りだった。 ▼金を買い続けた米国という事実 世界には4万トンの金しかないと言われます。米国は80年代から 90年代の20年の金価格下落の時期にひとり世界の金を集めてい る。西欧の中央銀行も安くで金を米国に売った。 なぜ米国が金を一人で集め、西欧の中央銀行が売ったのか謎です。 金の価格が不気味に動き始めている。4万トンの金には、その何倍、 何十倍ものヘッジとレバレッジ(テコ)がかかっているはずです。 以上のことは事実です。点と点を結べば線が見えます。なにを意味 するかは、分からない。シナリオがあるとすれば、こんな大きなマ ネーの長期シナリオを描く人がいるのか。謎です。 9月11日に世界のペーパーマネーの取引の象徴だったWTCが崩 壊した時の直感は、あぁこれで80年代からのデリバティブもペー パーマネーの30年も終ったということだった。 先はまだ見えない。 ひとつだけ、はっきりしていることがある。30億人の工業化と経 済成長で、現状でも40年しかもたない石油資源は不足に向かうと いうことです。ここを記憶しておくことです。 米国内の原油の可能採掘期間は10年、英国は5年しかない・・・ ▼現在の生産高での世界の原油の可能採掘期間 (00年12月:英国BP統計) 埋蔵量 100万バーレル 構成比 可能採掘期間 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 米 国 29,700 2.8% 10.4年 メキシコ 28,300 2.7 23.5 ベネズエラ 76,900 7.3 66.4 ブラジル 8,100 0.8 17.7 サウジアラビア 261,700 25.0 81.1 イラン 89,700 8.6 65.7 イラク 112,500 10.8 * クウェート 96,500 9.2 * UAE 97,800 9.3 * オマーン 5,500 0.5 15.7 アンゴラ 5,400 0.5 20.1 アルジェリア 9,200 0.9 17.4 リビア 29,500 2.8 55.3 ナイジェリア 22,500 2.2 29.4 エジプト 2,900 0.3 10.4 インドネシア 5,000 0.5 9.8 英 国 5,000 0.5 5.3 ノルウェー 9,400 0.9 7.7 ロシア 48,600 4.6 20.6 カザフスタン 8,000 0.8 31.1 アゼルバイジャン6,900 0.7 63.4 中国 24,000 2.3 20.2 その他 56,900 5.4 15.6 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 計 1,046,400 100.0 39.9年 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 内OPEC計 814,400 77.8 74.3年 恐ろしくなる数字です。BP統計にないカスピ海2000億バーレ ル(世界の埋蔵量の20%:520兆円)がいかに重要かわかりま す。複雑に見える現象の根で、あからさまに単純なことが起こって いる。点と点を結べば、こんなに単純でいいのか・・・ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【ビジネス知識源 読者アンケート】 1.テーマと内容は興味が持てるか? 2.理解は進んだか? 3.疑問点や質問点は? 4.その他、感想等 5.差し支えない範囲で読者の横顔情報があると助かります。 コピーして、メールに貼りつけ、記入の上送信してください。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ▼著者へのひとことメール yoshida@cool-knowledge.com ※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。 あなたと、会社の、知識とスキルのブラッシュアップを。 ▼<ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊分を超える 情報価値をe-Mailで>のサンプル閲覧と申し込み http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?keyword=P0000018 有料マガジン大賞第一位を獲得することができました。 ▼クール・ナレッジ掲示板(BBS)で投稿 http://cgi.members.interq.or.jp/venus/yoshida/BBS/light.cg |
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