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経済特区というビジネス開発、雇用創出の方法
                    (02.02.11)

      日本は、既にGDPのなかの
               官の領域(国民負担率)が50%
      官の支配をいかに脱するかが、今後の経済の
               ポイントになる。      

こんにちは、吉田繁治です。前回報告することを忘れていたのですが、ラスベガス研修ツアー(2月19日〜22日)の定員は満席になっています。今回も、読者の方との出会いの楽しい旅になります。


  Vol.89経済特区というビジネス開発・雇用創出の方法>

【目次】

 1.当研修ツアーが現地集合方式をとる理由
 2.既得権での生き残りの代表例が官

 3.雇用全体では50%と50% 
 4.対外投資
 
 5.救済策:経済特区を出現させること

 6.金融庁の政治的な方法を推測すれば、いつか来た道
 7.官僚の方法の帰結
 8.米国の経済特区:ラスベガス


1.当研修ツアーが現地集合方式をとる理由

現地集合方式は当ツアーのみです。前回(01年11月:ロスアンジェルス)はJTBとの提携でのパックと、現地集合との併用をしましたが、旅行社のサービスや応対についての不満が多かったので、パックはやめました。

パックツアーなら個人で申し込むより、
(1)手間がかからない。    (コンビニエンス性)
(2)比較すれば安い。     (価格性)

(3)満足できるサービスがある。(サービス性)

当研修ツアーでも参加者のうち50%くらいの方は、海外旅行に不安を抱えておられます。不安を解消することが事業の機会です。

これからの事業発想で参考になる方法を示します。
差異化を作るための重要な4つの問いです。

▼差異化するための4つの問い(有料版のCRMシリーズ全5部から部分転載)

(1)業界標準(または平均や競争相手)と比べて、思いきり減らせる、顧客にとって不要な要素は何か?

(2)業界標準(または平均や競争相手)と比べて、大胆に増やすべき、顧客にとって必要な要素は何か?

(3)業界の暗黙の常識として、製品に備わっている要素のうち、顧客にとっては不要で、取り除けるものは何か?

(4)業界(または競争相手)ではこれまでは提供されていないが、顧客にとって必要で、付け加えるべき要素は何か?

鋭敏な人なら、この4項だけで明日にも製品やサービスの差異化戦略を立てることができるはずです。

横並び、二番煎じが得意だった日本では、特にこうした「製品価値、サービス価値の差異化」が必要ですね。

「業界標準」のところに競争相手、または〔目標としている会社・商品・サービス〕をいれて、具体的に考えればもっとクリアにわかるはずです

(コピーして利用してください。いろんな発想が湧くでしょう)

▼受付

読者に旅行社に勤務の方、あるいは経営的な立場の方がおられれば、今後の私が主催するツアー(年数回の定例)の旅行社申し込みを受け付けます。ご希望の会社は以下にメールを下さい。

yoshida@cool-knowledge.com

(誤解なきように)客の立場で偉ぶって言っているのではないのです。新たなサービスを「顧客満足の視点」で考、一緒に作ろうという姿勢からです。

TransactionRelation

一般的に言えば、旅行社はインターネットでの予約ができるという90年代後期からの新しい状況にコストとサービス優位での対応ができていない。CS(顧客満足)に問題がある。

CSは費用の安さのみではありません。申し込みへの応接から旅行終了後のアフターケアまで。CRM(Customer Relationship Management)という言葉はあってもその内容がない。

CRMについては有料版を特別にWEB公開しています。事業と仕事の改善のヒントが満載されているはずです。5部構成です。↓

http://www.cool-knowledge.com/011130Premium-CRM(1).htm

(1)顧客(単数形の「個客」)との関係を一回の取引のトランザクションとして考えるか、

(2)最初の取引から始まる長期的な関係(リレーションシップ)と考えるか、ここです。

CS面での欠陥を、既存の多くのサービス業が抱えていますから、事業参入の機会があります。GDPの60%部分(300兆円)が、現在は広義のサービス業に分類できます。官と行政もサービス業です。(その意識は見えず、統治意識です)

米国ではGDPの70%部分がサービス業に分類できます。

従来は、3次産業と言われた部分です。

▼生き残りという発想方法

多くの企業が生き残るにはどうするかというテーマを掲げています。<生き残り>という言葉にいつも違和感を感じるのです。

生き残りの発想は<生活共同体になった企業や組織をどう守るか>というところから来ていることが多い。そうでなければ言葉の意味を考えないで、安易に使っています。

■2.既得権での生き残りを目指す代表例が官

生活共同体を守ること、この典型は行政と行政関連のピラミッド型の共同体組織です。サービスの差異化と顧客満足の視点がない。逆に、民から収奪し統治する意がある。

【国民負担率】

前回のマガジンでも示したように日本の「国民負担率」は49.2%です。GDP(≒国民所得)の名目500兆円のうち246兆円の国民所得を行政が吸い上げ、行政を経由した分配です。

 国民負担率   (246兆円:49.2%)=
     社会保障負担 ( 72兆円:14.4%)
     +資産課税負担 ( 19兆円: 3.8%)
     +消費課税負担 ( 33兆円: 6.9%)
     +法人税負担  ( 22兆円: 4.3%)
     +個人所得税負担( 38兆円: 7.5%)
     +財政赤字   ( 62兆円:12.3%)

↓<点と点を結べば・・・こんなに単純>

http://www.cool-knowledge.com/020210jijibunseki-ten-to-ten.htm

行政の良質化ないと、この国はますます住みにくくなることが確定です。官が民の富を守って増やすのではなく、食う図式ですね。

▼イメージ

500万円の個人所得で負担を平均化すれば、社会保障(年金、健康保険、失業保険)で72万円、住宅の固定資産税などで19万円、消費税で33万円、法人税部分で22万円、個人所得税で38万円、財政赤字部分の将来負担で62万円を取られ、合計で246万円を国家と行政に支配されている。

246万円は官に強制的に徴収されていて自由に使えるのは254万円です。実際は所得での累進課税がありますから、所得が低いときは負担は少ない。しかし所得が低ければ、自由に使える部分も少ないから、同じことです。

法人税は個人負担ではないように見えますが、法人の所得から取られていますから、間接的に個人が負担しているのと同じです。法人の申告利益の50%は、税としてとられます。

▼5公5民と変わらない

国民負担率49.2%は収穫高の5割を藩が年貢として強制徴収した時代と変わりません。

【武士階級と官】

江戸時代の武士階級(官僚)は6%でした。6%の人口が50%の年貢を使った。農民に比べて8.3倍の平均所得が武士だった。封建制度と言われます。武力を独占することで、暴力による支配を行い、民の所得の5割を支配した。

今は平成時代。官が支配する所得部分が49.2%になった。行政の支配の割合では江戸時代です。違うのは、官と民の個人所得差が少ないことです。

■3.雇用全体では、50%と50%

このことはなにを意味するか?わが国の1億2700万人のうち、6350万人は、直接または間接に官の予算と国の制度での生活であるということです。

特殊法人の幹部の異常な額の退職金も、税負担ですね。

【判断】

この面での<構造改革>は国論を2分します。官の予算での受益者が6350万人だからです。族議員も行政組織もこの6350万人の支持の上に立っています。

国民所得での官の部分はあなたの隣にいる人です。あちら側ではない。私はそうした視線で、いつもこの国を見ています。

▼短期では正しいことが、長期では経済の内容の劣化に

どうして、官が仲介するGDP部分が、こんなに肥大したか?

景気対策で、政治を通じ、民間が国の責任を求めたからです。景気対策での予算の拡張は、官の利益にもなったからです。

根拠はケインズが主唱したマクロ経済対策です。

ケインズ的なマクロ経済対策(国債発行や政府予算拡張による公共事業や雇用対策等)は、<短期では>貯蓄に対する需要不足、投資不足補うために正しい。

90年代の日本では、以下の2つ点で正しくなかった。

【1.金融のグローバル化の見誤り】

金融はグローバル化していた。国民経済での貯蓄超過と需要不足があっても、放置すれば、海外への投資と資金流出が起こり、調整されるはずだった。つまり円安調整と、資本流失(=海外資産の増加)です。

円の資金流出(=海外資産の増加)は、世界全体では資本不足を補うことになって、世界経済の視点での成長を促すことになるはずだった。ケインズモデルは閉鎖経済を前提としています。

【2.国内公共事業の選択】

日本人は、海外での資産取や投資より国内の官を通じ公共事業をすることを求めた。資金の受託運用者として海外より国の官僚を信用していた。

ところが官僚がその内容を決めた公共投資は利を生むどころか赤字補填で税負担が増える。90年代の公共投資総額は、430兆円です。

430兆円が今の国民生活の向上に役立っていれば問題はないのです。提供できるサービスの質は悪く、設備維持のため、負担が増えるという悪循環が残った。

430兆円が国内公共投資ではなく、海外への投資、成長会社の株の取得に向かっていれば、世界経済はもっと成長したでしょう。日本人は現在の海外資産346兆円に加え、430兆円=776兆円の海外グロス資産になったのです。配当と金利で、生活ができた。

■4.対外投資

以下、その内容があまり取り上げられることのない海外投資の結果の資産を示します。

【2000年の対外資産のバランスシート:財務省】

    【海外資産】        【海外からの負債】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
直接投資   31兆円  海外からの直接投資   6兆円
証券投資  143兆円       証券投資 100兆円 
その他投資 129兆円      その他投資 107兆円
外貨準備   41兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
海外総資産 346兆円  海外からの総負債  213兆円


http://www.mof.go.jp/houkoku/1c018e_g.pdf

海外総資産(346兆円)から総負債(213兆円)を引いた133兆円が日本人の海外純資産です。この額は、世界最高です。

▼仮想の話:10年の430兆円を有効に使えば

【563兆円】

これに90年代公共投資の430兆円を加えた額は(仮想計算ではありますが)563兆円になる。430兆円とは言わず、その半分の215兆円(年20兆円)の海外投資でもよかった。

この分で利を生まない日本国の国債ではなく国民は有効な海外債または株を持っていたことになる。

【仮想の話ですが・・・】

フォーチュンの世界の株価上位企業をすべて買収することができたのです。今頃日本人は、欧米の全トップ企業の筆頭株主になって、国民はアラブの王族のような配当を手にすることができていた。

これが、高齢化に向かい世界最高(1400兆円)の個人金融資産がある国の最適戦略だった。高齢化は、金利生活者が増えることです。年金の分配も、運用金利や配当が原資になる。

郵貯・年金・簡易保険を使った財投を海外投資に向かわせれば、

(1)世界経済の成長の、更に大きな起爆剤の資本になった。

(2)日本人は、その成果を受け取ることできていた。

【世界の支配者の反撃】

もちろん英国・米国の国際戦略と、まともにぶつかったことでしょう。英国も米国も資本の面で世界の支配者になった経験を持つ国です。資本の果実酒を、極東の島国の1億2700万人に味わわせることを防止したことでしょう。

一方で、この国の旧大蔵省と政治家は、米国の日本封じ込め戦略に協力体制を取った。利用した資金は、大蔵省が財政投融資で運用権を一手に握っていた郵貯・年金・簡易保険でした。

【12年前の構造協議】

米国は89年から90年の<構造協議>で日本の内需拡大を約束させ、10年間で400兆円余の公共事業を国際公約にさせた。これは、歴史的な事実です。つまり日本国民の余剰資本を海外では有効に使わせず、国内で費消させる戦略です。

内需拡大を説いた80年代末の元日銀総裁が議長になった『前川リポート』は、国民の長期利益の観点で、結果の誤りを犯しています。

預金をすること、貯蓄をすることは経済成長の観点からはどこまで行っても正しい。余剰資本の運用を、財務省のキャリア官僚に任せたことが、日本人の選択の誤りですね。

▼残ったこと

財務省が運用の中枢になって10年経った結果は120兆円と言われる民間企業の不良債務、そして少なく見積もっても120兆円に匹敵する額はあると見込まれる、財投の不良債権です。

日本の銀行は民間とは言え、官の強い規制下にあります。君臨しているのは財務省であり日銀です。銀行の行為の結果は箸の上げ下ろしまで官の責任と判断しています。膨大な数の、大蔵・日銀から金融機関への天下りをみればわかるでしょう。

官は事実上金融のトップ人事を支配している。今も、変わりません。財務省が不良融資の貸し手責任を問えない根本の理由は、民間金融機関のトップは同じ共同体からの天下りだからです。官は天下りを拒否する金融機関に、どんな意地悪をするか誰でも知っています。

現在集計されている不良債権は、民間銀行500兆円の融資分のものだけに過ぎない。旧大蔵省が行った財投分、特殊法人分は集計すらない。集計すれば大騒ぎでしょう。

関西国際空港への貸付は不良債権であることは明らかです。道路も公共投資も同じです。不良債権ではないとする人の反論を待ちます。

余剰資本の国内投資の結果は10年経って不良債権と金融危機だった。いつまで馬鹿馬鹿しいことを続ける国でしょうか。

一例が新宿の東京都庁です。壮大な建物を作った。使ったのは税と地方債です。あの建物を見るたびに、あぁ壮大な誤りがあると感じる。受益者は、都民ではなく都の職員でしょう。

地方都市でも同じです。豪華ビルの筆頭は行政機関のビルです。これが5公5民の結果です。政治で、国民が選択した結果です。

ベルサイユ宮殿を作ったフランスのルイ王朝に匹敵する散財です。ルイ王朝は市民革命で葬り去られました。税の受益者が王族と貴族で少数だったからです。

議会制民主主義では、税の受益者が多数になっています。日本では、マクロ経済で計算すれば6350万人です。こうした国が経済成長できるかどうか、その判定は、これからの皆さんの選択にゆだねられます。

国会も地方議会の議員の大半は、市民益の代表ではなく、業界団体または官の利益代弁者です。その支持者は、6350万人です。

今後10年もまた続けば、現在のGDPの内容と質はどうなるか。経済学はGDPの量の計算であり、質の計量はないのです。

官を経由する所得部分が肥大し、見かけ上の名目所得は維持されます。しかし、質の劣化またはインフレが起こるのです。

現在49.2%の国民負担部分は増えることはあっても減ることはないと見ています。理由は何事も最後は官の責任とする国民の態度があるからです。官の関与を減らすことが、本道でしょう。

不況対策と経済対策を官に求める姿勢がある限りは、官の組織と予算は肥大します。

■4.救済策:経済特区を出現させること

官の支配が大きくなると、一方ではどんな現象が起こるか。

経済が大きく成長する地域または国は、税を含めた<経済特区>になります。経済特区に官の部分の肥大を嫌う成長企業や個人が移転したとき、国民負担率の高い地域または国が、没落する。

今後の先進国経済で、税負担を軽減した<経済特区>が現われること、または作ることは成長企業を呼ぶ国家戦略になるです。そのとき、日本のみならず先進国はどんなスタンスを取れるか、要はここでしょう。

▼日本人の国民負担についての感覚

日本人は平均では個人所得の50%を占める社会福祉と納税負担感をまだ感じていません。国民の危機意識は薄く、米国流のTax Payerとしての行政への要求意識が希薄です。すでにGDPの50%部分は官の関与だと言えば、皆が驚くでしょう。

(1)日本では累進課税のため、勤労者の25%は個人所得税を払っていません。

(2)サラリーマンの所得税は、会社が納税事務をまとめて代行し、税後を給与として受け取る源泉徴収制のため、負担感が希薄です。(米国は全員申告制です)

(3)社会保障(厚生年金・健康保険・失業保険)も会社負担と個人の折半になっていて給与控除であるため、負担感が薄い

(4)消費税は5%で他の先進国と比較すれば低い。

(5)今後最大の負担になる財政赤字部分は、国債で負担が先送りされている。実は、預金者の超低金利は、将来の負担の一部分が現在化したものでもあるのですが。今後は国債の資産としての空洞化ですね。これが金利上昇とインフレです。

(6)郵貯・年金・簡易保険の使用を一手に引き受けていた財投が大蔵省の第2の予算であり、これがあったため大きな政府予算をつくっても、増税しなくて済んだ。

ただしそのため、公共投資が官の自由裁量で、官と業界が益を分ける利権構造になってきた。

▼巧妙

旧大蔵省、現財務省は、悪魔の手を持つ巧妙な徴税者です。

【欠如しているもの】

ノブレス・オブリッジ、つまりエリートが先頭に立って危険やリスクに立ち向かう義務感が欠けているのが高級官僚です。どうやって自分が利益を確保するか、その点の才能は優秀ですけれど。

5.金融庁の政治的な方法を推測すれば、いつか来た道

現在の森金融庁は財務省人材で構成されています。金融危機の根底は融資の総額に対する銀行の自己資本不足であることは、明白です。

とすれば、金融危機を軟化させる対策は銀行への強制的な公的資本注入です。こうした明白なことを、金融庁は金融危機はないと言って回避している。理由はなにか?

▼だれの目にも明白な帰結

公的資本注入になることが明白であるにかかわらず、金融庁としては、自分たちはいやいやながら国民経済の危機を回避するため要請されてやったのだいう結果を取りたいのです。こうしたことを、普通の言葉では、利権獲得のシナリオが見える猿芝居と言います。

【スケープ・ゴートが出るまで待つ】

そして2月危機、3月危機が起こる。スケープ・ゴートでどこかの建設大手が潰れる。それとともに、銀行の自己資本不足が明白になる。庶民の預金は大幅には動かないでしょう。運用先がないからです。そこまでの危機意識はないのです。

【世論は容易に予測できる】

新聞やテレビは、連日失業の増加と悲惨な生活を言うはずです。大手銀行が潰れる事態になれば、マスコミは公的資金の注入で銀行を支えろという論になることははっきりしています。既に日経新聞は、今年の正月から公的資金投入の論調です。分岐点は朝日新聞です。

朝日新聞で金融庁の官僚は、銀行の救済に世論が変わったと判断します。そのとき、<やむなく>公的資本の注入です。なぜ、こんな方法をとるか?

▼政策実行責任の回避の論理

政策責任を取りたくないからです。世論の要請でやむを得ずやったとしたい。決定責任を逃れることができます。つまり公的資本注入は世論の方向であった。だからその結果がどうなろうと、財務省や金融庁の責任ではないと言えるのです。

そうして、最後は民間銀行を官僚が支配する体制になる。90年代のノーパン喫茶スキャンダルなどで、地に落ちた旧大蔵省の権威の回復と、大蔵省の金融支配の復権です。

その後の金融行政が、どうなるか。およそ全部は政府系金融機関になる。

以上の方向が、確定していますね。このことを記憶しておいて下さい。もう、筋書は決まっているのです。

■6.官僚の方法の帰結

【予防的政策が取れない国】

あらかじめの予防の対策はコストが少ないのですが、この国では、世論の非難を受けます。非難を受けるということは、世論を説得する材料、つまり使命感とノブレス・オブリッジを持っていなければならないということです。ところが、それがない。

ここで、どんな方をとるか?

(1)2段階の事前手続き

最初は米国筋の民間の学者、または政府の権威に発言させ、国際社会の世論という形式を取る。この国のマスコミ・学者・評論家つまりオピニオン・リーダーはこれに弱いのです。

次の段階は、官に都合のいい人選で審議会や**会議を構成し答申を出させます。官は表に出ません。その前の人選で、方向を決める。

官の意向に沿わない意見をもつオピニオン・リーダーには、税務調査や、私的なスキャンダルのリークという卑劣な方法も時に使われます。財務省が持つ、裏権力がこれです。

ここで、官も政治も無責任になる。答申は官の意見ではなく、民間のオピニオン・リーダーの意見だからです。世論のまとめである審議会の答申に従ったと言えば、決定責任を逃れることができます。

(2)ダメ押し

これで足りないときは、財務省の裁量行政でスケープ・ゴートを出す。そうするとマスコミの空気が変わります。結局は真面目な庶民の生活や、高齢者の生活、地域経済の破壊だという根拠で、マスコミは空気を作ります。

(3)そこで官は準備された政策を実行します。

そのとき、多くのケースで官の権益の拡大が含まれています。

これが大筋での官の方法です。こうした方法をとる根底の理由は、この国の官は<実質的な立法と予算の権力>を握っているにも関わらず、<強力な行政権の正統性>に疑念があるからです。

▼行政の実質権力の肥大と民度の見誤り

行政にも予算にも、深く官の政治的な意思が絡む。しかしその権力の正統性は、法的にはない。立法権は、選挙で選ばれる議会のものです。ところが議会は、行政が出した法案の採決機関に過ぎない。どこの議会でも議員立法は少なく、出しても潰されます。

そうなると論理的も実体的にも、官は、司法と行政を一手に握る憲法違反の機関です。行政の正統性の疑義とはここです。だからくらましのため上記(1)→(2)→(3)の世論醸成の方法を採るのです。

【米国との違い】

以上が、実体的に権力化した行政の内容です。米国でも同様のことはありますが、大統領の交代とともに行政の幹部スタッフの入れ替えが起こる点が違います。日本では行政の幹部はいつまでも同じです。大臣は変わります。そこで、派閥の族議員が権力を持つ。

【タブー】

日本では、官の人事に大臣や内閣が介入することはタブーです。法的にはできる。しかしやってはいけないことにになっているのです。

田中真紀子氏は行政官の長(=大臣)としては問題があり、能力に疑問があった。しかし国民的な人気を得ていた。理由は、不可侵だった官の人事に、直接介入したからです。だから国民、特に女性層は熱く支持した。

【民度への期待】

今、民度は成熟している。80年代までの官を信頼した国民とは違います。政治家への失望より、官僚への失望のほうが大きいのです。

官がこのことを無視すれば、官への大衆の反逆が来ます。

▼そして最悪の事例は80年代の共産圏

共産主義圏は、

(1)民間経済の全体を共産党のエリート官僚が支配することで、
(2)民の労働の士気低下を生み、
(3)結果として、政府の発行する悪貨が増え経済的に破綻しました。

【代議制の政体でも】

ところが、自由圏も実際のGDPの内容では、民主代議制の政体のもとで、年々官の支配部分を大きくしている。日本だけではないのです。西欧諸国は特に官の部分が大きい。

【国民負担率】

英国  GDPの54.7%
ドイツ     59.6%
フランス    69.2%
(米国)    38.7%

国民負担率が大きくなれば、経済は発展しません。数字上のGDPが肥大しても内容は劣化します。10億人の先進諸国の世界が向かっているのは、GDPの内容の劣化です。↓

http://www.cool-knowledge.com/020210jijibunseki-ten-to-ten.htm

先進諸国でこれ以上に官の部分の肥大があれば、GDPの内容の劣化は確定的と言えます。GDPの内容が劣化する原因は、以下です。

(1)民の部分では、競争に勝った独占企業(マーケットの60%以上を支配する)が現われて価格競争を抑制、または排除するとき。

(2)官の関与の部分が肥大するとき。官が提供するサービスの質が悪いのは言うまでもないでしょう。

■7.米国の経済特区:ラスベガス

ラスベガスには、必需的な生活維持の需要を超えた経済がどう向かうべきかの、一つの極端な成功事例があります。

砂漠に人と資本を集める方法

(1)ネバダ州の州税はゼロである。消費税は7%。

隣のカリフォルニア州は州の法人所得税が8.84%、個人所得税9.3%、消費税が8.25%です。タックス・へブン(租税回避地)としてネバダ州に名目上の本社を置くことの有利さを示します。

ネバダ州は法人・個人のマネーの流入の明細データを、他の州の税務当局からの要請があっても公開しない。徹底しています。

(2)ネバダ州では相続税もゼロです。資産家が相続税を逃れたければネバダ州に資産を移せばいい。ネバダ州はこれを歓迎する。

(3)土地への固定資産税はゼロである。(建物にはかかる)

(4)贈与税がゼロである。信じられない制度です。これなら存分に所得分散ができる。

(5)在庫税がゼロである。日本では在庫税はありませんが、米国の他の州ではかかります。

(6)フリーポート制度。在庫税ゼロに関連し一旦ネバダ州にストックし、他の州へ出荷するときの税はゼロである。

(7)個人所得にかかる州税もゼロである。他の州は多くが5%かから9%を課税する。

こうして90年代は景気回復で利益の増えた企業や、所得の増えた個人がラスベガスに投資した。

ネバダ州の収入はどこから来るか? カジノは厳格な免許制(相続と譲渡ができる)で、州はカジノ税をとる。行政予算の50%はカジノ税からです。カジノでの不正があれば州政府は即刻免許を取り上げます。カジノで悪評が立つことは、ネバダ州の死を意味しますから、カジノは厳格に管理されわれわれにとっては安全です。

いい気分でやっていれば、いくらでも「正当に、確率計算で」奪われます。先方はニコニコして歓待します。賭けは繰りかえせば確率に近づく。リピートを促す巧妙な装置があるのです。

ホテルの部屋に、豪華なフルーツ・バスケットが支配人の名刺入りで届く時は得意客で、ネバダ州の罠にはまっています。あまり自慢できたことではないのです。(笑)

ラスベガスの住民に代わって、訪れる観光客とコンベンションの客が、自主的に、喜んで州に税を納める、3方両得の制度です。

【人口の増加】

         1970年   2000年  年率増加

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ラスベガス市   125千人   483千人  4.8%

クラーク郡    273千人  1425千人  5.9%

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

クラーク郡はラスベガス市を含む郡です。30年で人口が5.2倍になっている。こんな都市が日本にあるでしょうか。米国ですら珍しい。↓人口が増えれば、いろんなビジネスが生まれます。

http://www.lasvegas24hours.com/learn.asp

【来訪者】       

      来訪者    消費総総額 1人あたり

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・90年  2100万人  $143億  $681
・99年  3380万人  
$286億  $841
     (年率5.4%増)   (年率8.0%)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

世界の観光都市で、こんな伸びを示すところがあるでしょうか。

【データサマリー:00年1月の1ヶ月間】

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・00年1月の来訪者    2795788人 (前年同月比+7.2%)

・ホテルの部屋数          120,638    (同+10.2%)

・コンベンションの数       271    (−10.3.%:年間3847

  コンベンション参加者    436,618人  (同+12.4%)

  コンベンションの経済効果 4.8億   (同+10.1%)

・ホテルの稼動率          87.4%    (全米の平均は63.3%)

  週末のホテル稼動    91.9%

・ホテルルーム×日=稼動指数               3,088,643

   内観光客             2,088,560

   内コンベンション客         1,000,083

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ラスベガスは、官の関与(税)を無くし、民間のリゾート、エンターテインメントでの開発を誘導し官はそれを支援した成功都市です。

減税の発想がゼロで、何でも関与・監督したがるどこかの財務省では、人も投資もビジネスのアイデアも、逃げるでしょうね。根本で、財務省は民を信用していない。

ラスベガスは、砂漠に豪華なフラミンゴホテルを建てたギャング、バグジー・シーゲルの構想力から始まった。今はビデオでも見ることができる『Bugsy』はいい映画です。

フラミンゴ(Anette Bening)というニックネームの女優を誘いドライブにでかける。突然、夕日に映える砂漠に降り立ち、両手を開いてバグジーを演じるWarren Beattyは言う。

<ここだ、神の啓示だ>

バグジーの愛人の名を冠したフラミンゴホテル(1946年建設)は、55年後の今、メガ・リゾートホテルの林立するラスベガス大通りの中心部です。

http://www.vegas.com/resorts/flamingo

自分の名前をつけたホテルを作ってもらったら、女冥利に尽きるでしょう。ラスベガスには他にもいたるところそうしたロマンの跡がある。

ラスベガスの90年代の発展は、事業家スティーブ・ウィンの構想力から始まった。最初は3039室のMirage(蜃気楼)ホテルです。ここから、ラスベガスは、テーマ型、大型化、リゾート化し、総合エンターテイメント産業、コンベンション、スーパーイベントの街になった。多くの日本人はまだそれを知りません。ラスベガスに通うと、あちらの世界の人だって、*億円賭博をやった浜幸を見るような、さげすんだ視線で見られます。(笑)

90年代の日本は沈む時代だった。90年代のラスベガスは繁栄の時期だった。あまりに、対照的過ぎます。

スティーブ・ウィンの構想力は、2000億円をかけた46階建・3000室の高級ホテル、ベラジオ(bellagio)に至る。ここで過剰投資が明らかになり、MGMを擁する高齢の事業家、カーク・カーコリアンに、6000億円でミラージュ・グループは買収されます。

2000年のちょうどラスベガス滞在中のビッグニュースでした。2月19日からの<ラスベガス研修ツアー>の初日のセミナー会場にはベラジオを使います。↓

http://www.vegas.com/resorts/bellagio

必需部分を越える需要の開発には、ラスベガス的要素が必要です。官の関与を取り除くことです。もう公団住宅、JIS規格、官製の国民宿舎、国民車の時代ではない。これらは国が生活の規格を決めるヒトラー的発想が源流です。

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