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02年3月15日 日本経済と企業の活力が失われた根底の 理由は、仕事や事業の夢を語ることを 無意識に、抑制しているためと思える |
こんにちは、吉田繁治です。昨日、商業界の『販売革新4月号(4 月1日発売)』の原稿を書き終え、編集部(担当は宮崎さん、彼は 優秀です)にメールで送りました。発売中の3月号(チェーンスト アの構造改革)の続編で<間違いだらけの単品管理>を解いていま す。 『販売革新』を初めて買ったという多くの人から励ましのメールを 頂いた。物理学のドクターはこんな雑誌もあったんですねとの感想 です。 4月号分は周到に書いて17,000字(43枚:スペースを含めると実質 50枚)ですが、1.5日かかりました。私の原稿生産性は、1日 400字詰め換算で30枚ということになる。 月間15日を書く日とすれば450枚。10年続けると450×1 2ヶ月×10年=5万4千枚です。300ページの単行本なら1冊 を約600枚として、90冊の本の量でしょうか。 加えて、講演週2回を移動を含めた時間的な限度とすれば年間10 4回、10年で1040回です。計算すると変な気分です。 本マガジンの読者は、今2万5千名です。最初は1万名が限度だと 想定していましたから、1年半での(目標ではなく想定に対する) 達成率が2.5倍です。 2万5千名がどれくらいの規模か、イメージが浮かびません。 (非現実の想定で)東京ドームに皆が集まればすごいエネルギーで しょう。どんな人が、どんな気持ちでお読みになっているんだろう と思います。長すぎて読まれていないか・・・(笑) メールマガジンを雑誌を補う新しい『メディア』にすることが目標 です。使命感です。雑誌の否定ではない。補いです。 今回は、最近の実話を混ぜ<現実から、事業と仕事の無謀な夢へ> <Vol 92 現実から、事業と仕事の無謀な夢へ> 【目次】 1.無謀な夢 2.マネジメントの双務契約と実行責任を示す3概念 3.意図せざる、結果としての世代間格差 4.なぜ国民負担部分が増えてきたか、根底にある国民の意識 5.アカウンタビリティ 6.リーダシップとマネジメント:新たな経営原理 7.100人で3000億円という無謀なビジョン ■1.無謀な夢 MLメンバーへ <古田さん、青木さん、桑原さんのMLメール、興味深く拝見。 何ごとも〔無謀な夢〕をもつことから始まる、これですね> ▼幻影から 実現可能性がないと思われる夢。実現可能性があれば(見えれば) 計画であって、夢ではない。フィージビリティ・スタディ(feasib ility study:実現可能性の精査)という言葉がある。 無謀な夢を、長期雇用のキャリアでの減点を恐れるサラリーマン意 識から、フィージビリティ・スタディで抑圧してきたことが、今は 日本経済の最大問題になったのではないか。トップを含め、事業家 ではなくサラリーマン意識、これが問題だと、常々感じます。 無謀な夢を実現の可能性がないとあきらめることではなく、夢を抱 き続け、実現の機会と方法を探すこと、特に考え続けること、これ が必要です。studyは否定的な精査ではなく<可能性と実行戦略を探 すという精査>でなければならない。 経済と事業のすべては、個人の、ヴィジョンと実現への当為(意思) からくる。意思は<現在の現実の関数>ではない。つまり現在の 現実に制限されるものではない。逆に、意思が未来の現実を作る。 数式で言えば、 未来⊂自由意思+実行戦略 私はそう考えてきた。それが、私の人生だった。現状比で15%の 伸びではなく、10倍、100倍、300倍、1000倍にするに はどうするか、その機会を探し準備する。家人は、あなたはいつも 断崖に立つから、片時も安心できないと言う。そんなに格好のいい ものではない、無謀なだけです、無鉄砲と言ってもいい。まだお棺 の蓋は閉じてない。閉じるまでに、実現すればいいのではないか。 好きなこと<青雲の志>、<事業のロマン> ▼ヴィジョンの原義 これがリーダーシップ論で言う、Vision(幻影、幻)の原義ではな いか。ヴィジョンを<理念や理想>と考えると近寄りがたくなって (少なくとも私は)人間的エネルギーが消えます。精査した理想で はなく、幻影こそ人を動かすものでしょう。 〔ヴィジョン(幻影)−ミッション(使命)−ヴァリュー(判断と 行動で大切にすること)〕の3点セット。ビジョンがないと未来は 開かない。ミッションがなければ、行動の精神ができない。ヴァリ ューがなければ、規範のない無原則の行動になって、見放される。 以上が未来を拓(ひら)く<縦軸>でしょう。〔ヴィジョン−ミッ ション−ヴァリュー〕の太い縦軸を事業の背骨に入れること、これ です。縦軸と横軸の交点に、実行の戦略が来る。 ▼実行組織とマネジメント 【組織】 実行の手足になる<横軸>にはマネジメントが来る。 (1)戦略(人材と、資金、技術の、arrangement=ゴールを達成す るための整列) (2)組織はorganize(有機的に人を組み合わせ)する、チームワー ク(専門知識と技術の持ち寄り)です。 人のarragement(機能的な配置)とorganize(人が活きるように組 織を作る)で才能を発揮するのは、米国人トップに多い。 短期プロジェクトの<マネジメント>を組み合わせた組織が、米国 の<会社>です。<長期生活共同体>になっている日本の会社と、 根底で違う感じがある。 組織は機能的(functional)で、プロジェクトがうまくいかないと、 解散(chapter 11:連邦破産法)で清算し、またプロジェクトを作 る。日本の、一家離散の悲劇まで生む倒産とは違います。破産法の 申請も、方法に組みこまれている感じです。 【マネジメント】 組織マネジメントとは、要は<PDC(Plan-Do-Check)>です。 (1)実行計画を立て (2)実行方法と必要技術を決めて、実行し、 (3)計画と実行結果の差を計量し、差を埋めるためのPDCを作 る。こうして、PDCのサイクルを回す。 ■2.マネジメントの双務契約と実行責任を示す3概念 プロジェクトマネジャー、またはボスと個々のチームメンバーの間 には<双務責任>の関係があります。 双務責任を分解した3つの概念が、 (1)コミットメント(commitment) (2)レスポンシシビリティ(responsibility) (3)アカウンタビリティ(accountability) ▼コミットメント コミットメントは、目標(数値、状態、期限)への、ボスとチーム メンバーの口頭、または文書(作業指示書)への契約であり、その 契約を果たせば、報酬(有形、無形の待遇)があるという双務契約 構造を持ちます。 ここには<東洋的な長と部下の身分の上下関係>はありません。 【契約の原義】 契約が有効であるには当時者の双方が自由で、選択権をもち、対等 でなければならない。この契約原理は人間は神(無限)に対しては すべてゼロであり、従って平等であるという思想があります。 この西洋的な契約が理解できないのが東洋人です。西欧的な無限の 神という概念がないからです。人間にあらかじめ序列を作るのが、 東洋でしょうか。身分と序列があれば契約はできない。仕事は宮仕 えになる。 【契約の背景にある東洋的<実情>】 契約は西洋的概念です。東洋(日本、中国、韓国等)では、契約は 契約、<実情(東洋の倫理)>とは違うという解決方法とられるこ とが多い。 外交でも同じです。中国人との契約で注意すべき事項になる。実情 とは、人間の<情(なさけ)と文化、共通価値観>です。 本契約に反する事柄が生じたときは、双方<誠意>もって問題の解 決に努めることとするという、付帯条項がこれです。仮にこの付帯 事項が文章としてはなくても、契約にはすべてこの付帯条項がつい ているのと同じように、運用される特性があります。 これは、西洋の形式論理では<本契約文は無効です>という表現で す。結果を、誠意をもって解決できるなら結果の処理方法を決める 契約は必要ない。利害が反するときの処理方法を決めるのが、契約 です。 誠意は<東洋的人間(または日本人)としての共有倫理や道徳>を 示しています。これは明文化されない。皆が<言外>で感得するも のであって説明できるものではない。これをもたない人は<あの人 は人間ではない>となる。つまり<情>がない人です。 契約を文字通り実行すれば、<情け容赦>がないとされる。 不良債権処理でも現れます。銀行は<情>をもって不良債権を処理 すべきだ、という暗黙の了解事項です。これが日本の民間不良債権 問題がだらだらと長引く根底にある。 ここでの人間とは、人類学的な世界の人間ではなく東洋(または日 本)の暗黙の共通規範・道徳・倫理・道を、持っている人という意 味です。 こうしたものを、(西洋的)リーダシップ論ではValue(価値観)と 言っています。価値観とは人間として大切にする規範とでもいう意 味です。実は西洋的リーダシップ論は、契約的なマネジメントから 発してはいますが、なんだか東洋的なんです。 しかし、東洋の問題は、このヴァリューを<暗黙に了解すべき共通 規範>として明文化することがなかったことではないか。ここに、 世代の相違が生じる。世代で価値観が違い、行動様式(ワークスタ イル)に違いが起こる。 日本、韓国、中国では、<文化を含む暗黙のヴァリュー>に違いが ある。今後、日本企業が世界との提携関係、言い換えればSCMを 含む、生産・流通・販売のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソ ース)を図る際、双方のネットワーク的な機能補完において、ヴァ リューをあらかじめ文章で明らかにする必要がある。 会社として守るべきValueを、はっきりと、Value Statement(行動規 範の表明)で、論理的に文章化するのが西洋的で、日本ではこれを、 暗黙に<最高の品質を追求する、顧客をなによりも大切にする>と するから、実際の行動で混乱が起こる。 最高の品質は、数学論理的には実現できないはずです。努力目標( 幻影)ではあっても現実には無理です。これはビジョンではあって も、Valueではない。<最高>は数学的には無限の概念になる。無限 は現実ではない。気分の修飾語であり曖昧な形容詞です。 ▼レスポンシビリティ コミットメントによる成果目標と報酬が記された双務契約に基づい て発生するのが、実行責任(responsibility)です。コミットメン トとは、マネジャー(またはボス、またはとトップ)との契約です。 その契約から、報酬や地位(ポジション)が発生するから、実行の 責任、期限内に業務成果をあげる責任が生じる。重要なことはコミ ットメント契約で明らかにすべき<期限>です。 ▼日本的雇用と、コミットメント&レスポンシビリティ (日本的)サラリーマン制では、個人責任と個人成果を明らかにし ないマネジメント方法をとった。成果の計量方法が難しいという方 法論の問題ではなく、年功序列賃金制度では、およそ40歳以降を 過去の業務成果を受け取る時期としてきたのです。 【Life Long Employment】 個人の業務成果や会社に与えた利益は<20年、30年の長期をか けて回収する気が遠くなるような仕組み>です。 これが、Life Long Employment(生涯雇用)です。 こうした背景があって、短期の業務契約と成果、失敗と成功をその 都度は明らかにしない日本的雇用、制度、ワークスタイルができあ がったのです。 業務で成果をあげても、周囲と比較した賃金の上昇には、ごくわず かしかつながらない。他方、業務で個人責任の損失が発生しても他 の人の利益成果で埋め平均化した。これが固定給と長期雇用の制度 です。 しかし固定給は、上り続けるならありがたい。ライフ・プランが立 つ。皆の暗黙の合意で、日本は<実体的には、成長経済型社会主義 >を作ってきたと言えます。 日本の戦後は、下請けを持つ大企業(雇用の30%)や官庁、公的 企業で安定した長期雇用と年功序列を成立させ、それが日本企業の 強みとされてきた。 他方、残り70%の中小企業、零細企業、自営では、もともと長期 雇用と年功序列が成立しえない二重構造と格差がある。 【1企業で勤続したときの標準年収】 (年齢) (標準年収) (22歳比) 22歳 248万円 100 25歳 381万円 154 30歳 517万円 208 35歳 649万円 261 40歳 774万円 312 45歳 950万円 383 (ここから1000万円超) 48歳 1003万円 404 50歳 1073万円 432 55歳 1140万円 460 60歳 954万円 384 退職金 2871万円(45ヶ月分) (1997年:労働省賃金構造基本統計調査) 長期で労働の成果を受けとる今の賃金制度を、今後も維持できるの か。新入社員は、今後も、50代で5倍の年収を期待できるか? そもそも30年後に、今勤務している会社はあるのか? 上場企業も三分の2は消える可能性が高くなってきた。 ここが、日本経済と企業のキーの問題です。働く人の士気にかかわ る。希望と士気がなければ、労働は死ぬ。働く喜びではなく、生活 のための苦役に転化するのです。 問題を、study(精査)します。 ■3.意図せざる、結果としての世代間格差 22歳で雇用され、利益の回収はおよそ25年後の40台後半から です。会社で40代後半以上の世代が、過半を占めるようになると、 その会社の方針は急に保守的になる。40歳以降は、利益回収の 世代だからです。 ここでは<生き残るにはどうするか>という発想が基本になる。大 きなリスクは避ける。そして若い世代の現場雇用は派遣社員やパー トにし、時間あたりの実質賃金を切り下げ、総人件費の増加を止め る策を採ることが多い。 全体の受取のパイが増えた80年代までの、成長経済にあるときは、 10年、20年もあとで成果を受け取る賃金制度も有効だった。 2002年の今、長期雇用、年功制は有効ではない。世代別に見た とき年収の<平均で>1000万円以上の賃金の世代を抱える国は 世界のどこにもない。その賃金は、平均的には維持できない。 日本経済、日本の大企業、そして官庁は、熟年者にすばらしく高賃 金の制度を作ってきた。これは、正当に評価したほうがいい。 ところが逆の面では<意図せざる大企業、官庁の熟年者天国>をつ くったのが日本経済です。 蓄積した金融資産も、熟年者世代に集中する。 住宅資産も同様です。 【世代別金融資産】 (2001年1月) (世代) 平均金融資産 中央値 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 20代 339万円 130万円 30代 653万円 450万円 40代 1150万円 800万円 50代 1692万円 1022万円 60代 1872万円 1300万円 70代以上 1775万円 1095万円 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (総務省郵政研究所「家計における金融資産選択に関する調査」) (1)大企業、官庁であれば、40代以降は年収1000万円を超 える。 (2)金融資産も、ある程度はある。 (3)土地の価格下落があったとはいえ、1985年以前に住宅を 購入した世代(主に50代以上)であれば、住宅ローン残額を引い た住宅の純資産もかなりある。 (4)年金も、現在の高齢者世代は、受取額が支払い額を超過する。 つまり、世代間の所得移転がある。 こうして・・・90年代までの国民の労働の成果は、現在の50代 以上の世代に集中して集まった。その意図は多分なかった。気がつ かないうちに<結果として>そうなったのです。 年功序列賃金制度を変えなかったための<負の成果>です。90年 代は、制度を変更せず、(借金財政での)政府資金によって、80 年代までの制度を10年以上も維持したのです。 ▼悲劇の30代以下 一方、30代以下の世代にとっての現実はどうか? (1)金融資産はない。 (2)住宅ローンでは、住宅の値下がりで、家計のバランスシート は債務超過になっている、または、破産に近い。 (3)賃金の2桁の上昇率は、期待できない。 (4)年金や生命保険は、きちんと受け取れると考えるほうが、間 違っている。今の高齢者世代が持っていく。 (5)、国債・地方債が690兆円を超え、政府の国債以外の借金 を含めれば1000兆円以上。国債の利払いに、将来は大幅増税、 消費税も25%を超えることが必要と、ほぼ確定している。 国家財政は、税収が50兆円で、80兆円以上の予算を組んで、年 間30兆円以上の国債を発行して赤字を埋めている。こんなことが 長期で続けられるわけがないことは、だれがどう言っても明らかで す。 これから働く20代の世代、これから年収が増える30代の世代は 、(1)将来の大幅増税、(2)年金支払いの引き上げ、(3)高 齢化で増える医療費の移転負担、(4)失業の増加で増える社会保 障費の負担を引き受けなければならない。現在、所得の50%にな った<国民負担率>は70%に向かう・・・・ 国民負担は〔政府消費と、公共投資、および政府を通じた所得分配 部分〕です。 国民負担率(246兆円:49.2%)= 社会保障負担 ( 72兆円:14.4%) +資産課税負担 ( 19兆円: 3.8%) +消費課税負担 ( 33兆円: 6.9%) +法人税負担 ( 22兆円: 4.3%) +個人所得税負担( 38兆円: 7.5%) +財政赤字 ( 62兆円:12.3%) こうした未来が見えるのに、見えなくても感じられるのに、若い世 代に向かって<夢を持て>、<需要不足だから消費をしろ>と言っ ても、根底で白々しく響くだけではないか。学校の荒廃の原因もこ の、暗い未来にある。10代は発言はしない、彼らは<感じとる> 50代以上の世代は、貧乏だった父母の生活水準を越えることはで きた。未来には、ささやかでも<希望>があった。日本経済は成長 していた。Japan as number1とも言われてきた。 しかし今、現在の50代以上が描いていた<勤続すれば将来は楽に なる>というライフ・プランはどこにもない。 マスコミのデスクも、主要なライターも50代以上が権限をもって、 記事を編集し、書く。以上に示した冷厳な現実はだれも言わない。 数字を集め総合し描けば、<世代間搾取>と言える年金制度、賃金、 所得、資産の偏差の現実がある。 ■4.なぜ国民負担部分が増えてきたか、根底にある国民の意識 日本人と国民は景気が悪くなると、マスコミを筆頭に政府に(ケイ ンズ的)経済対策を求めた。ケインズ的な経済対策は、短期では、 需要拡大を行い有効です。しかしそれを10年以上も拡大し続けるこ とはできない。ところが国民はそれを要求してきた。今も政府予算 拡大の要求は強い。 ▼弱者保護のための政治と官の権益の拡張 【経済での政府部門の拡大】 政府、政治家、官僚は、経済対策は権益の拡張につながるから、業 界や国民の要求という表向きの世論を理由に、政府予算を喜んで拡 張してきた。90年代は、民間部門は縮小した。政府部門が90年 代は超成長部門だった。現在も、年間30兆円(政府赤字)があっ て、赤字拡張は続いている。 赤字拡張を止めれば、政府予算で生活している人の雇用は一瞬で失 われ、経済は縮小する。民間移転もままならない。それが怖いから 30兆円の赤字での需要対策を要求し続ける。 ▼自民党と官僚 【部会と高級官僚】 長期政権の自民党は党の部会、委員会に、次官を含む高級官僚を招 いた。事務方といわれる官僚は、予算案や法案を通すには<自民党 の部会>の協力が必須だから、自民党の私的総務会、政調会を頂点 とする<部会>とのコネクションが行政官の実力とされた。重要な 予算配分は、自民党部会が決めるという構造だった。 法的には<官に対する私的裏権力>である自民党の部会がマスコミ や国民の目に隠れて、予算配分の実行権を握ってきた。 大臣は行政官です。法と官僚組織の、公式の手順に制約される大臣 はくるくる変わる帽子だった。帽子になることが必要だったのは、 選挙が楽になるからです。<おらが町の大臣> それが日本の戦後 民主主義の象徴だった。制度を最適化することに重点はなく税の拡 大分配が民主主義だった。 【構造改革の本質を忘れるな】 弱者保護を錦の御旗に、実際は権益と下部組織を拡大してきたのが 政治家と官僚です。多額の税を食うようになった権益と下部組を切 って政府予算を縮小し、政府に回っているマネーを民間で還流させ ることができるかどうかが、経済の構造改革の本質です。 【性能のいいスクリーン】 そてし・・・鈴木宗男という下品なしかし映写性能の高い新鋭のス クリーンが現われた。鈴木宗男が提供したスクリーンで、予算配分 と官僚の人事がどう行われているか、影絵のように映っている。国 民は鈴木宗男を通じ、実質的なしかし犯罪的な予算配分の権力のあ りかを知った。 【改革を唱える若手政治家も、マスコミも、3人の実力者も】 鈴木宗男から、自民党の若手政治家50人は政治資金の供与を受けて いる。名前も明らかな若手議員は、どういう立場でテレビに出て、 鈴木宗男を非難できるのか。 大手マスコミも、鈴木宗男が意図的に漏らす情報で記事を書いてき た。巧妙だった。肌で日本政治を知っていた。 政界の3人の実力者、青木幹男、野中広務、古賀誠も鈴木宗男の、 危ない集金力を、忠実な口の堅い部下とし、自らの手を汚さず使っ てきた。鈴木宗男は総裁候補とも言われるようになっていた。 離党や辞職で鈴木宗男を切りすてても、自民党の構造では、次の鈴 木宗男が現れる。 国民の民度の成熟、意識の変化を、今の自民党幹部は見誤っている。 私は、国民の民度に期待する。 しかし、以下の国民意識を変えることを条件に・・・ ▼きれいな池の鉄柵 9歳になって急に老いて、いつも眠っている室内犬と、一緒に出か ける池があります。<散歩だぞ>というと飛び起きる。 景観のいい池です。黒く塗った醜い鉄柵があって、魚釣り禁止とさ れている。おそらく、過去に池にはまる悲劇の事故が起こり、市は 付近のすべての池に税金を使って鉄柵をつくった。住民が行政責任 を追及したのでしょう。 子供が池にはまって、事故が起こるのは行政の責任か? わが国の 住民と行政の関係、税の使途での、問題の焦点はここです。 無粋な鉄柵で景観は壊れ、魚釣りのレジャーも禁止される。河川の 洪水も、台風の時の、海の波の被害も同じです。堰やダムを造る河 川工事をし、海岸はコンクリートで固め、池には鉄柵をつくって、 生活は豊かになったのか。 米国のフロリダは、広大な沼地です。沼は自然で、ワニが生息する。 鉄柵はない。噛まれる事故が時々起こる。ワニに注意とも書いて ない。ワニを捕獲して殺しもしない。フロリダを車で通ると、雄大 な沼の景色です。日本でワニが住む沼が存在できるか。 日本人は、自己責任と行政責任のどちらを選択するか。あらゆると ころで都合の悪いことが起これば、行政の責任とする国民性がある かぎり、行政の権益は無限に拡大し、税は高くなる。 そして<魚釣り禁止>を典型とする豊かさの障害の、規制の国にな る。なぜ行政は生活の豊かさにつながる魚釣りを禁止するのか。池 の土手に、散歩の途上でシャーリーの目を見て問うと、私は犬だか らわからないと答える。彼女は今、右目が緑内症で失明です。階段 を降りるとき、注意深くなっています。 行政と自己の関係を自らに問うことが、経済の構造改革の原点です。 住民意識、業界意識が、自己責任に変われば、行政と官の権益を カットできるのです。幼稚産業支援も、もう余分でしょう。 ■5.アカウンタビリティ リーダシップを縦軸とし、横軸のマネジメントにおける作業責任の 3点セットから、コミットメント、レスポンシビリティまでを解き ました。 関連して、長期雇用と年功序列の現実(世代間格差)、国民負担率 がますます増える行政依存の意識を示しました。マネジメントに戻 します。 ▼アカウンタビリティ 仕事の責任の3項目、アカウンタビリティは、説明責任と、反省責 任からなる。 (1)説明責任は、コミットした目標数字(定量的成果)、または 目標と状態(定性的成果)と、実際の結果を比較して、定量的、定 性的な差異ができた原因を、数字と文字で、論理的に説明すること です。 (2)反省責任は、次に同じようなことが起こったとき、同じ失敗 を防止するために、原因を解析して予防対策を立て、応用できるモ デルにすることまでを含む。 コミットした仕事の結果の説明責任、反省責任が果たされるから、 対価たる報酬が支払われるというのが責任原理です。マネジメント では、コミットメント、レスポンシビリティ、アカウンタビリティ の3項の責任がある。この3項が現場とマネジャーの間で、自律的 に果たされる企業文化をつくっていかなければならない。 これが、ヴィジョンの実行組織作りになる。 ■6.リーダシップとマネジメント:新たな経営原理 組織には、ビジョンの実現に向かう縦軸のリーダシップ(ヴィジョ ン、ミッション、バリュー、ストラテジーの4項)と、組織マネジ メントの責任の3項(コミットメント、レスポンシビリティ、アカ ウンタビリティ)が必要です。 縦軸のリーダシップ、横軸のマネジメントで経営の軸がクリアにな る。経営が科学になる。90年代の米国は有効概念を生んだ。 〔リーダシップの縦軸〕 ↑(ハイレベル) ↑ ↑ (ローレベル) ↑ (ハイレベル) →→→→→→→→→→→+→→→→→→→→→→→ 〔マネジメントの横軸〕↑ ↑ ↑ ↑(ローレベル) ▼リーダシップ 人を引っ張り方向付けるリーダシップが強くなれば、社員は仕事の 士気、やる気、自己学習を通じ成長する。これが企業成長の原動力 になる。弱くなれば、士気の低下で成長はできない。士気の低下が 起こると、社員からさわやかな笑顔が消え、顧客も人もマネーも遠 ざける経営になる。伸びる企業を横目に、否定的に皮肉に見るよう になる。否定の視線は、すべての人に平等に、周期的に訪れる機会 を殺す。 ▼マネジメント マネジメントの横軸は組織統制であり、利益に関係する。マネジメ ントが弱ければリーダシップはあっても、利益が出ない。 企業には、リーダシップ〔ヴィジョン、ミッション、ヴァリュー、 ストラテジー〕の軸と、マネジメント〔コミットメント、レスポン シビリティ、アカウンタビリティ〕の軸が必要です。点検すべきで すね。 過去の組織原理には、要はPDC(Plan-Do-Check)のマネジメントの 軸しかなかった。ヴィジョンは米国へのキャッチアップで、この国 では横並びだった。今横並びの製品、サービスなら、業界は1位と 2位の寡占になる。3位になると、利益が出ず、生存が困難です。 ▼製品とサービスの価値の差異化 異なる商品価値、サービス価値を提供しなければ、雇用が維持でき なくなったのが21世紀です。これがグローバル経済の現実。距離 や商圏の垣根は、ますますなくなる方向に向かう。 若い世代は、リーダシップとビジョンで奮い立つ。マネジメントの 軸のみでは、将来は暗い。黙って離反するでしょう。そうすれば会 社は、利益回収世代の40代以上ばかりになる。 ■7.100人で3000億円という無謀なビジョン 指導先の会社で最近、年度始めに売上3000億円:経常利益15 00億円の長期ビジョンと夢の発表を、ほぼ全権を持つ事業部長が 行なった。現在の事業部の売上の300倍です。<無謀な夢>です 。 可能性がないと誰もが思う。feasibility study(実現可能性の精査 )をすれば可能性は否定されるでしょう。社員の90%は部長が本気 なら気が狂い、普通の意識ならジョークを言っていると思ったかも しれない。 普通は10%、20%増しの予算を立てる。20%増でも、10年 後は6倍に過ぎない。10年後の6倍では、夢が喚起するエネルギ ーは出ない。それを300倍にすれば、これは質が違う。 10%や20%増の計画は、現状路線の上に描く。年で2倍になれ ば、これは現状路線ではなく<事業創造、需要創造>の領域になる 。2倍を5年続ければ、32倍、8年で256倍です。 10億は、2560億になる。 二ヶ月ほど前講演後に食事をしながら<今後、兆円規模の会社を作 るのは難しいでしょうね>と、今から思えば謎かけの問いがあった のを思い出した。 私は一般論として<例えば流通では、最大手5社のうち3社は、2 001年で脱落した。経営の方法が根幹から変わったからです。そ の観点では兆円規模の会社を、これから作る機会はあるでしょう> と答えた。 それがきっかけになったのかどうかは分からない。年商を300倍 にする。経常利益が売上対比50%という狂気のビジョンは、現実 だった。 事業部長の発表を聞きつつ、成長のS字カーブが浮かんだ。3年毎 に、3つのS字カーブを連続的に作る必要がある。商品もサービス も組織も人材も、3回は質的な転換をする必要がある。 (1)強いヴィジョンのリーダシップ経営で、縦に3段階、引っ張 り、3年ごとに基本戦略を設定し、 (2)同時に横軸のマネジメントの整備を、3年毎に大幅に3回、 (3)商品とサービスとして、おそらく5本軸は必要。 3時間の事業部メンバーへの講演の後、会食での意見交換は活発だ った。私はぜひ実現しましょう、お手伝いしますと言った。目標の、 実現戦略を提供するのが、コンサルタントの仕事です。 狭い範囲しか直接指導では知らないのですが、年2倍、3倍のペー スで伸びる会社もある。そうした会社では、幹部の会話が違う。< 不況って、本当にあるんですか?>です。<困った>と言うときは 商品在庫が足りないということを示している。 その会社を出て街を歩けば、別の風が吹いている。 ▼ラスベガスのメガホテルも、個人の幻影から スティーブ・ウィンは、1989年、ラスベガスを変えた最初のホ テルをMirage(蜃気楼)と名づけた。蜃気楼は、ないものがあるよ うに見える幻影です。あのホテルは、ウィンの幻影です。 そう言えばラスベガスそのものが全部、浮世を離れた幻影です。 幻で、それゆえ、ヴィジョンです。 幻影を実現に近づける方法が<戦略>です。 90年代のラスベガスのホテルは、それぞれがすべて幻影です。 ラスベガスは、アメリカ人の作った<天国>のイメージに見える。 アメリカ人には、世界を支配する意識が強い。 ラスベガスにはエッフェル塔も含め、世界の都市の象徴が、コピー で揃う。ラスベガスは、ネバダ砂漠の上の小ローマ帝国と言える。 日本人がイメージする天国は<葬式の時の祭壇>です。果物(貴重 な食物の象徴)とおどろおどろしい飾りがあって、あれが日本人の 天国のイメージでしょうか。 いや、日本人の(男の)天国は、<龍宮城>でしょう。 天女が、薄絹を着て舞を踊り、山海の珍味がある。 性欲と食欲です。つまり(男の)欲望の、全面肯定が龍宮城。 料亭の芸者も、日常化した舞を踊る天女の変形です。 欲望の、全面肯定の後の後は、玉手箱です。これが日本の道徳です。 現世での<勤勉>が必要になるという結論。 ラスベガスもまた欲望の全面肯定です。ここではマネー(賭博)と、 性と、世界のグルメ食と、スポーツと、ショー、エンターテイン メント、巨大建造物。アメリカ人のほうがぎらぎらと欲張りです。 スケールも大きい。欲望に対し、儒教的な<道徳>はゼロです。 米国には、欲望の歯止めの<玉手箱>がない。 だから別の面ではアフガンを攻めたり、アラブを攻めます。 そしてラスベガスのパラダイス通り。ギャンブルで一度は破産した 博士です。あの寿司屋(店名HAKASE)は、幻影と現実(プロ フェッション)の両方の象徴です。つまり<玉手箱>です。 私は今後20年を、仕事の期間にしています。3年で自分をスクラ ップしビルドし、つまり変わる必要があるので、7回の変身ができ るかどうか、これが試練です。 20年経てばハッピーリタイアする。リタイアは米国風に言えば、 成功の勲章です。夢と戦略を語れる仲間が一人でも増えて欲しい。 サラリーマン意識から脱皮することです。この国は、サラリーマン の長期雇用に対し、今後はライフ・プランを提供できない。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ▼著者へのひとことメール yoshida@cool-knowledge.com ※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。 あなたと、会社の、知識とスキルのブラッシュアップを。 ▼<ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊分を超える 情報価値をe-Mailで>のサンプル閲覧と申し込み http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?keyword=P0000018 有料マガジン大賞第一位を獲得することができました。 ▼クール・ナレッジ掲示板(BBS)で投稿 http://cgi.members.interq.or.jp/venus/yoshida/BBS/light.cg |
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