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Vol.95 特別号:単品管理作業を根源から解明する(1) 
            02年4月8日

     小売の現場の基幹作業は、単品管理作業
     ところが、この単品管理作業には浅い誤解と
     間違いが満ちている
     日本の小売業の再生のために、単品管理を
     根底から解く

こんにちは、吉田繁治です。5年ぶりくらいに「風邪なるもの」を
ひきました。症状をすっかり忘れていた。なるほどこれが風邪かと
思った。コンコンと眠ります。今日は回復した感じです。私の唯一
の持病は扁桃腺炎、今回これに至らなかったのは幸いです。扁桃腺
炎は食事が採れず、辛い。1日遅れの配信をお詫びします。

中国から帰って時間単位で飛び回った。時に身体の反乱というもの
はあります。犬と散歩に行く池の土手の見事な桜も散った。4月で、
読者の方多くの方は新年度。金融危機は先送りされた。今となる
と実は危機が起こることが近い将来の薬なのですが。慢性の疫病に
なってしまった。

月曜日は加藤紘一の参考人質疑でした。およそ10年前なら小さな
ことと見過ごされていたことが今は問題になる。そうした視点で捉
えることです。「時代の気分」は変わっている。そのことが、新し
い。重要なことほど、空気で左右される国。言霊の国でしょうか。



 <Vol 95 特別号:『単品管理作業』を根源的に解明する(1)>

【目次】
 1.前提の説明
 2.ウォルマートが行なったのは「単品管理の方法化」
 3.単品管理作業を、根源的に解明する
 第1章 単品管理と部門標準化という課題
 第2章 SKUの概念と、わが国の曖昧な単品概念
 第3章 単品管理の2階層
 4.中国視察・研修ツアーの事前ご案内



1.前提の説明

今回は特別号として4月号の『販売革新』に寄稿した<単品管理作
業を根源的に解明する>をメールマガジン向けに編集し、解説を加
えます。地方の書店では『販売革新』は入手しにくいようですね。

<書店に問い合わせたが、手に入らないとメールが多数来ています
が・・・>と編集部に尋ねると<『販売革新』は基本的に書店の買
取制で頒布しているので、そうしたことが起こると思います>との
こと。予約が必要らしいのです。

▼セブンイレブンとウォルマート

単品管理は店舗のPOSデータの利用方法として1980年代後期
のイトー・ヨーカ堂、というよりセブン・イレブンで方法化された。
店舗の「基幹作業」は単品管理作業と言っていいくらいです。

【成功する態度】
単品管理作業に、1980年代中期から関心をもったのがウォルマ
ートです。目のつけ方はさすがです。現在の28兆円・130万人
・4400店にもなったウォルマートの発展の原因は単品管理を、
システム的に方法化したことにある。

【悲しい態度】
日本人は、横の企業で現われた技術を一般に評価しない。世界的な
発明であるトヨタ生産方式を日産は評価しなかった。日産ではトヨ
タ生産方式という単語はタブーだった。ところが米国で評価を受け
るとそのあとは受け入れる。こんなことの繰り返しです。

ウォルマートは単品管理作業を知るために、ヨーカ堂と提携関係を
持った。こうしたことが戦略そのものです。最近の日本では弱体化
した小売資本を、The Shosha(商社)が狙っていますね。

日本の小売は、21世紀初頭に沸騰する産業になります。D社は、
残念ですが2兆円の隠れ債務保証でどうしようもありません。この
国で5大量販が社会経済的に意味をもった時代は終った。情報シス
テム、単品管理、グローーバルロジスティクスの3つの技術要素で
これから<下克上>が始まります。これがポイントです。

▼日本人の、世界の産業への二つの貢献

私は、日本人の、世界の産業に対する貢献では、
(1)生産では、トヨタの、部品調達における「カンバンシステム」
(2)流通では、セブンイレブンの売り場の商品の「タンピンカン
リ」があると判断しています。(カタカタで書くのは、米国でも、
カンバンやタンピンで通じるからです)

2.ウォルマートが行なったのは「単品管理の方法化」

その後ウォルマートはこの単品管理をベンダーとのリテイルリンク
の協働(co-working)の関係を作ってシステム化した。その方法が、
店舗の上流に設置したクロスドックセンターシステムです。

▼20世紀産業の発明

(1)クロスドックセンターシステムと、
(2)品目別売上、品目別在庫情報のオープン化、
この二つを組み合わせたことが、ウォルマートの産業の歴史での大
きな発明です。2つの組み合わせが重要なのです。

約5年後には、これが「戦略同盟(strategic alliance)」と言わ
れ、サプライチェーン形成の方法として喧伝(けんでん)されたの
はご存知でしょう。トヨタのカンバン方式とセブンイレブンの単品
管理が元になったサプライチェーンのシステムが、日本に逆輸入さ
れる形で紹介されたのは1995年からです。情けないことです。

他方ウォルマートがクロスドックセンターのシステムを完成させた
のはその10年前の、1985年ころです。

▼ウォルマートの方法

ウォルマートは「3000坪売場の5万品目」の管理を実行する方
法として、
(1)店舗の売上を示すPOSデータと、
(2)在庫データ(リアルタイム在庫)データを、リテイルリンク
の取引契約を結んだベンダーにオープンにした。
(3)つまり、売場の単品管理作業を、クロスドックセンターを使
って上流のベンダーが行なう方式を作った。

5万品目の単品管理を店舗の現場で行うのは、本稿の後で述べるよ
うに不可能な作業です。方法が不可能と言うのではない。単品管理
の作業そのものは単純です。

▼判断

ここで大切なことは、単品管理作業は大型店で数万品目、時には数
十万品目を扱う売場では不可能な作業になるという判断です。90
年代に増えたわが国の大型店は、このことを知らず(また無視して)
現場に単品管理作業強いている。そうであるから、今の業績です。

基幹作業を作らず売り場だけを作ったのです。順序がまるで逆です。
小売業は技術的に未成熟な産業です。

▼セブンイレブンの単品管理

セブン・イレブンでは、30坪・3000品目だから人手作業で単
品管理を行ったのです。方法はGOT(Graphical Ordering Termi
nal)だった。

【GOT】
GOTは、
(1)本部商品部のバイヤー(新規品目選定係)または、ディスト
リビュータ(数量管理係り)が、
(2)品目別に、全店データおよび個店データを分析して、そこか
ら「こうすればうまく行く」という仮説を導きだし、
(3)その仮説を文章にして数字を示し、全売場のGOTに配信し、
(4)発注作業では必ずその仮説とグラフ等を見なければ、発注が
できないようにした。

ポイントは現場の発注作業にあたって本部が作った仮説を見なけれ
ば発注できない作業プログラムにしたことです。発注を繰り返すう
ちに、現場担当に「知識」を共有化させる教育の方法です。実務発
注作業そのものを、教育プロセスと考えていることになる。

更に重要なことがあります。セブンイレブンは、毎日発注・毎日入
荷のクロスドックシステムを作っている。発注量は1日分で少なく、
売場の在庫リスクは極小化。売場での過剰在庫はデイリーな発注
システムで防止できる。

この方法を鈴木敏文氏が大型売場のヨーカ堂で実行しようとすると
実はうまくいっていない。毎日発注ではなく品目が多すぎ物流シス
テムの問題があり管理限界を超えるのです。

以上で、単品管理の意味を示す前提を終わり、次項から、本論です。

3.単品管理作業を、根源的に解明する

本シリーズはチェーンストアの経営と現場作業の基本概念を採り上
げ、技術進化のための考察を行ないます。

最初は「単品管理」です。単品管理が含む「管理作業」と「単品概
念」を考察します。混乱している流通業の経営判断に骨太の方向が
立つはずです。小売企業の基幹業務は、発注を含む単品管理に他な
らないからです。

社会学的な消費文化論ではなく現場作業論、Always Return to Bas
icによる作業論の徹底がビジネスです。本稿は経営指導と単品在庫
管理を核とするシステムデザインの、筆者の15年の経験を凝縮し
たものです。

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第1章 単品管理と部門標準化という課題
------------------------------------------------------------

【現象】
Kマートの、食品を扱う『スーパーセンター』では、緑色に変色し
た鶏肉を見ることが多かった。表示された賞味期限に期限超過はな
かったが、数日後や翌日に迫ったものがいつも50%以上だった。

これは全部が廃棄処分になる。結果は多額の損失。経営破綻の原因
は、こうしたところに典型的に見えていた。業績は、現場作業が作
る。

【チェーン店舗のフラクタル構造】
チェーンストアビジネスは、
(1)「部分」を決め、
(2)それを「モデル」にし、
(3)「標準部品」にして繰り返すことで、
(4)積み木を積み上げるように「部門」を作り、
(5)関連部門(カテゴリ)を構成して「店舗」を作り、
(6)標準部門で、多店舗を展開する。

鍵は、標準店ではなく「標準部門」です。(重要です)
1フィートの棚を単位(積み木の部品)に、繰り返しで全体を作る
フラクタルな(部分が繰り返す)構造。

3000坪の1000店舗は、こうして作り運営する。フラクタル構造とい
う視点で米国チェーンストアの棚と店舗を見ると、目の前の棚が別
のライムライトを浴びて光り啓示的な発見をもたらすはずです

最初に単品管理と同時に、単品管理の枠組みになる「売り場部門(
カテゴリ)管理(=金額管理)」の誤解を解きます。

単品管理とは作業が直接1個の商品に向かうことではない。「部門
(category)」という管理枠のなかでの「単品(unit)」です。

1.単品管理の逆説

例えば3000坪、数万〜10万品目の個々の在庫管理の作業である単品
管理は、人的作業の管理、つまりマネジメントでは不可能な作業で
す。

最初に逆説的なことを言いますが、
(1)どこまで行っても必須である単品管理に必要な人的作業を、
コンピュータアルゴリズム(算法)と標準テンプレート(雛形)に
置き換え、
(2)物流では、店舗前処理のクロスドックセンターを作って、
(3)自動化領域を増やすのが単品管理の方向です。

【システム設計の観点】
水準を越えるシステムデザイナーにとっては単品管理と言えば、(
1)データベース上の個々の在庫にシリアルナンバーをつけ、
(2)リアルタイム更新のデータベースのユニークなレコードを構
成し、
(3)管理作業をテンプレート化(雛形化)し、
(4)アラーム化(作業警告化)することまでが浮かぶ。

2.単品管理

単品管理の作業内容は、個々に見れば単純で、分解すればアルゴリ
ズム(算法)に還元できる。

人手では、膨大な人時を要し、採算上は実行できない作業だから、
(1)コンピュータで発注アルゴリズム(結果はテンプレート)と
、(2)品目改廃と、欠品および過剰在庫のアラームのロジックを
作り、発注・品目改廃・マークダウンの人的作業を支援する。

【現状】
売り場作業の見ると、人手では不可能な大量の作業を、技術と作業
実行にバラツキが多く時に任意の裁量を含むパートの手作業でやっ
ている。これでは売上がいくらあっても作業人件費で収益が消え、
無理から来る「不完全作業」が多発する結果を生む。それが日本の
店舗です。

「週間(または3日毎等)棚調べ発注」という作業が、それです。
単品管理は、売り場では、
(1)発注作業、
(2)品目の改廃作業、
(3)マークダウン作業ですから棚調べ発注に集約されます。

なぜ必要な「日次」の発注ではなく週間か。日次では人時がかかり
すぎ、現場では数万〜10万品目を対象には実行できないからです。

これを「管理システムの障害」と言います。実行すべき作業が実効
的に実行されない。頻度を上げれば、今度は不完全作業の結果だら
けになる。

【計量すれば驚く売り場の実相】
1000坪の売り場に5万品目があれば、週間棚調べ発注は5万品目×
5分(棚調べ作業から判断と発注を含む)=25万分(4166時間)を要
する。

1人の週間労働時間が40時間なら、週1回の棚調べ発注作業のみで
104人の配置を必要とする。これでは店舗は成立しない。単品管理作
業のうち発注のみを取り上げても現場は不可能な作業を行っている
。簡単な計算でわかることが本部の怠慢で放置されている。

(注)現在はファッションや住関連商品、家電も、週間棚調べ発注
では、顧客の購買行動の変化に遅れ、「不完全発注」、つまり単品
管理の不完全さに結果します。

以上が単品管理を考察する前提事項です。
次は、単品管理の枠組みになる部門です。

3.部門は金額で週間管理

チェーンビジネスの前提は、
(1)売り場の標準部門作り、
(2)部門の単品管理作業を含む作業標準(work standard)作り、
(3)部門の52週の、金額での週間管理(ウイークリー・マネジ
メント)です。

4.部門では52週の週間管理

部門管理は、売上、在庫、部門損益、決算を含め、金額数字の集計
を月単位でなく週単位にすることから始まります。

顧客の購買行動と店舗作業、つまり人間の行動は週と曜日を基準に
します。なぜ月間管理、月間集計にするのか、意味と実効がありま
すか? 仕入れや経費の集計も週の〆(しめ)にすべきです。そう
でないと無駄な集計の二重作業と、判断混乱が生じる。

これがチェーンビジネスの店舗管理(=部門管理)です。集計され
比較される数字から、顧客の動きと店舗作業の内容が見えないと数
字は意味がない。

5.売り場部門は部品

総合品種店・専門店を問わず、米国や西欧では当たり前の千店〜数
千店舗の多店舗経営、つまりチェーンビジネスは最小単位の棚から
部門そして店舗に至る「フラクタルな構造」を計画的に作り、自社
と他社のベストプラクティスとのベンチマークで基準をそろえて比
較し改善を加え続ける。

基準をそろえて比較し再現性を持つものにするのがサイエンスであ
りそれが店舗作りです。

棚を一つの部品にし部門、店舗までを組み上げたフラクタル構造を
作ることで、千店舗を越える経営が、部門と、細かくは1フィート
単位の棚番のスペースコードで横に串刺しにされ、店舗間比較つま
りベンチマークができる。

その中で、ベストプラクティスを発見しモデル化することを通じて、
改善を運営に組み込みます。

標準部門を作った管理は店舗が増えれば増えるほど、有効になる。
つまり、「標準部門」を確立することが店舗の多店舗化を更に有効
にするという「自己励起(れいき)作用」がある。

1店舗毎の経営とは次元が違う。標準部門で上空のチェーンビジネ
スになるという意味です。これがチェーンビジネス。

6.標準部門の確立がチェーンビジネス

品種軸でなく売り場の標準部門(カテゴリ)の確立は、多店舗管理
、つまりはチェーンビジネスの踏み外せない基本です。

「競争優位の標準部門」の確立がない限り多店舗経営は管理の羅針
盤を作れず無謀になる。わが国ではこの事例が多い。よく言われる
内実は感覚的な、地域対応も実務では
(1)標準部門をベンチマークを通じて競争優位化することであり、
(2)部門の内容を全国の店舗で任意に裁量的に変えること(経
営混乱)ではない。

店舗数が増えるほど、累積的に見えてくる部門管理システムを組み
上げるのがチェーンビジネス、その鍵は標準部門です。

7.誤り

部門の内容を店舗毎に変えれば、大型店でも店舗作業と管理の内実
はパパママ・ストアと変わらないベンダー依存の支店経営でありチ
ェーンビジネスではない。

店舗の地域対応と競争対応は、競争優位化した部門をの組み合わせ
を構成変えすることであり、標準部門の内容を変えることではない。
変えれば、翌日から経営管理での混乱が起こります。

具体的には、3000坪の売り場での標準部門が100部門(1部門30坪)
なら部門の軸で1000店舗の間の売上と在庫、配賦人時、配賦経費、
計算利益の串刺しで数値比較ができる。これが多店舗経営の武器で
す。

8.多店舗管理の実際は、部門比較

同じA部門で、
(1)利益でゴールドクラスの店舗(上位20%)、
(2)シルバークラス(平均的な40%)、
(3)ブロンズクラス(下位40%)の店舗の数字を並べ各店の部門の
作業重点、管理重点、ベンチマークの実例からの改善のPDC(Pl
an-Do-Check)を週間で回す。

数値の評価に絶対評価という軸はなく、常に優秀店との比較による
相対評価と損益原因の確定であって、こうしたリアルタイムの数表
化はコンピュータが行なう。

数値評価のキーは、最大売上ではなく最適利益(optimum profit)
です。

【店舗単位では現場が見えない】
ウォルマートは4400店($2,177億:01年)、Kマートは2100店($39
9億:01年)です。1店舗あたり5行の売上報告の帳票でも、紙に出せ
ば500枚から750枚になる。店舗をキーにすれば、部門つまり現場の
商品と作業は見えない。

売り場劣化があるKマートスーパーセンターと、上流のクロスドッ
クセンターによる常時補充とシステム的な単品管理でエキサイティ
ングさがあるウォルマートの売り場で、2100店舗(Kマート)や44
00店(ウォルマート)の単品管理・部門管理とは何かを考えた。

システム設計と連動すべき部門の作業標準の視点からの「単品管理」
と、一般にIY堂が始めたと言われ、実は誤解だらけの日常用語
になった「単品管理」に大きな乖離(かいり)があるのではないか。

70年代以降、この国の店舗の現場作業に「数量での」生産性の進
歩は見えない。つまり現場作業の技術進歩がない。大型化・業態論
・消費文化論しかなかった。だから単価下落で損益がおかしくなる。

▼9.生産性の根本問題

ウォルマートは単価は最低ライン。単価の低さが人時生産性を落と
すならウォルマートは存在できないはずです。

わが国の現状の問題は、店舗の作業設計と店舗作り、商品処理、物
流処理の設計とシステム設計が連動せず、システムとしては02年現
在、品目の販売管理のPOSにとどまっていることに求められます。

この国の店舗作業と流通の全体最適のシステム設計は遅れている。

業態論は売上の規模に関わる。店舗作業設計と連動する流通設計は、
利益に関わる。問題は利益です。日本の店舗の売上は大きいので
す。

2000年の商業統計を見れば、
(1)わが国の、全小売140万店舗の平均坪当り売上は358万円(全
店総売上は143兆円:小売面積4000万坪)は、
(2)日本の140万店の平均で、ウォルマートの年間坪当り売上195
万円の1.8倍、Kマートの116万円の3倍です。1$130円換算です。

これでわが国の店舗は売上高不足ではなく、根底に数量での作業生
産性の問題を抱えていることが分かります。

坪当りの平均で世界最高の358万円も売りながら店舗面積過剰と言い
(むしろ需要金額に対する売り場面積不足)、利益はなく、国際比
較ではまだまだ下落すべき商品単価を現状水準で嘆いています。認
識・経営方法・店舗作業システムに誤りがある。

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■第2章 SKUの概念と、わが国の曖昧な単品概念
------------------------------------------------------------

「単品概念」のもとになったものは、米国のSKU(Stock Keepin
g Unit:在庫管理で設定した単位)です。

Unitが表わす「単位」は、それ以上は分解できない(というより、
当社では「分解しない」)在庫の最小単位を表わします。単品管理
は正確な用語では、Unit Controlです。

SKU(スキュと発音)と言ったときは、コンピュータシステム上
の在庫管理で、在庫の最小単位を示す。わが社として、どのレベル
を、システム上の在庫管理の最小単位にするかを決める概念がSK
U。つまりSKUとは定義を持つシステム用語です。

▼1.SKUの意味

ユニット(単位)は製造観点から見れば、素材、部品、部材、成分
にまで分解できる。

SKUは、製造業が管理すべき細かい在庫管理の単位としても、小
売業がまずは管理すべきアイテム(品目)の単位を表わす概念とし
ても使えます。

2.「単品」の概念は曖昧

日本的用語での「単品」は一般に顧客が購買する単位(unit)であ
るアイテム(品目)を表わす用語と理解されています。

そうであるとすれば、一般に言う単品管理は正確には「アイテム管
理(品目管理)」です。在庫管理システムでは、アイテムを他と区
分するコードを、データベースのキーコード(他のレコードと区分
するためにつける先頭数字)として在庫マスターファイルを構成す
ることになる。

わが国では90年代以降アイテムの区分として、JANコードを製
造または販売元がつけるソースマーキングが普及した。

JAN、UPC(米国)、EAN(西欧)は、顧客販売の単位とす
る「品目」を区分する。このアイテム区分を、一般に、単品と言っ
ている。こうした単品概念の曖昧さから、単品管理がユニット概念
が必要な在庫管理の作業概念につながらない障害を生むのです。

3.在庫管理上での問題

例えば「単品管理」がデータベース上でも「JANコードのアイテ
ム」のレベルにとどまる時、緑色とピンクの鶏肉はデータベースで
どう区分管理されるか?

これを考えて欲しいのです。

4.POSのPLU

POS処理は、アイテム数量管理で処理できる。

アイテム(品目)で区分されているから、バーコードをPOSでス
キャンすれば、商品マスターファイルが含むA品目の鶏肉の価格フ
ィード(項目)をシステムが参照し(Price Look Up)、売価を表示
して計算し、販売作業(在庫引当と引落し)が行なわれる。これが
POS処理です。

では、売り場で必要な個々の在庫(単品)の「在庫管理」またはプ
ロセスセンターやクロスドックセンターでの「在庫管理」はどうか?

5.アイテム数量管理での在庫

緑色に変色したA品目の20個の鶏肉在庫もピンク色の20個の鶏肉も
、システムが品目管理のレコードしか持たなければ、Aという品目
の鶏肉の店頭在庫40個がシステム上では「有効在庫」として計上さ
れていることになる。

(こうした方法は、単品管理ではなく「アイテム(品目)数量管理」
として区分します)

売れるもの(有効在庫)はピンク色の鶏肉だけです。それが1日10
個売れると1日分として10個が発注されます。緑色を含んだ40個の
在庫は、4日分の有効在庫と計算される。ところが、ピンク色の売
れる有効在庫は、実際は20個で2日分しかない。

有効在庫を緑色になった20個を含んで40個とし、4日分の在庫と集
計すれば、顧客の目に映るのは売り場劣化と欠品です。単品管理の
不完全作業と言います。

賞味期限を持つ食品では、単品管理も「アイテム数量管理」の在庫
マスターファイルとアイテム数量管理のシステムでは十分ではない
ことがわかる。同じアイテムをシリアルに区分する「絶対単品管理」
のシステムが必要になる。

アイテム数量管理のシステムしか持たないのに、鮮度管理で「絶対
単品管理」をやれば、システム上ではアイテム数量の在庫マスター
ファイルしかないので、
(1)売り場で人時のコストをかけた「棚調べ」で、単品を一個ず
つ手にとり、
(2)賞味期限の実地検査を行ない全在庫の鮮度管理を行なう作業
が生じます。

(補注)Kマートのコンピュータ上のSKUで絶対単品管理をして
いないという意味ではない。データベース上で絶対単品管理のシス
テムがあっても、
(1)鮮度管理が、売り場作業と連動すること、
(2)発注から入荷までのリードタイムの短さ、
(3)売上数予測と入荷リードタイムから計算する基準在庫数の最
適(optimum)がなければならない。

こうした「単品管理」作業がズタズタになっていたのがKマートで
す。視察に行った売り場でいつも嘆息していたのです。

▼6.鮮度管理の対象は食品のみではない

今、鮮度管理が必要なのは食品のみではない。80年代以降日米と
も売り場は「多品目化」です。多品目化は同じ購買目的、用途、価
格(プライスライン)の品目が売り場で多数あふれていることを示
す。

7.大型化、多品目化と作業混乱

80年代初期に比べれば店舗の大型化があり、管理品目は3倍にな
っています。売り場の単品管理の作業は、手作業でやれば3倍に増
える。過去と同じ人的作業(同じ数量ベースの生産性)なら3倍の
人時が必要で、これでは経営にはならない。

多品目化現象は競争優位の売り場面積を拡大させ80年代初期に比
較すれば各業種で3倍くらいの売り場面積が必要になった。

店舗での展示の多品目化を原因に各品目の商品価値の短縮化、言い
換えれば「ライフサイクルカーブ」の短縮化と、時間とともに進む
価格(価値)の下落が生じる。

商品価値の「時間化」。コンビニの主力商品であるお弁当は時間化
商品の典型です。

あらゆる商品領域での価値の時間化とともに、ファッションも住ま
い関連商品も家電も在庫管理ではアイテムというレベルから一個一
個のいわゆる「単品」にまでSKU管理を深める必要がある。

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第3章 単品管理の2階層
------------------------------------------------------------

システム上の単品管理はまず、
(1)POSで売上処理ができる「アイテム数量管理」のSKUの
レベルか、
(2)一個一個の、商品の入荷日からの在庫年齢、日数、時間管理
、つまりは在庫管理ができる、「絶対単品のSKU」のレベルなの
かに分けて考える必要がある。

1.皆が間違えていること

「アイテム数量管理」は実は「本来の在庫管理」ではなく数量と金
額管理です。他方在庫管理は個々の絶対単品の在庫日数、在庫時間
の管理です。

「本来の単品管理」とは在庫管理であり、アイテムの金額と数量管
理ではない。絶対単品のみが具体物で、顧客が買うものです。アイ
テムは抽象概念です。(重要)

40個の同じJANの鶏肉があっても在庫時間と賞味期限は「絶対単
品」で個々に異なる。これを管理するのが「単品管理」

70年代までは「ビッグチケット商品」と言われた家具、家電、宝石、
高額ファッションで、システム上で絶対単品管理が必要とされた。

現在つまり20年後は低価格の日用品でもそれが必要です。ところが
POSを含む多くのシステムが対応していない。

対応していてもコンピュータ処理で分散的で、発注、入荷、販売で
、商品が動けばリアルタイムで更新される在庫データベースではな
い。こうして人手での単品管理の処理量の多さで「無理」が生じ不
完全作業を生む。

2.システム上の単品管理のレベルと人時生産性との関係

アイテム数量管理のデータベースしか持たなければすべての商品領
域で必要になってきた「鮮度管理」では、売り場にある数万、数十
万品目の在庫を一個ずつ手作業で在庫日数管理(または在庫年齢管
理)、劣化管理をする必要が出ます。

人時を無限に投入すれば行なえるが、実際に行なえば金額での人時
生産性が低下し、必要な在庫管理はできない。

つまり単品管理はシステムがアイテム数量管理のレベルの時は不可
能な作業です。現場がやっていると思うのは幻想。こうした実態は
現場に立てば1日でわかる。

一方総人時という経営観点で、棚調べと在庫検査、発注頻度を減ら
せば発注サイクルは長期化し、各アイテムの基準在庫数は多くなり
各店舗が各品目で店頭在庫リスクを抱えることになる。ここに二律
背反のトレードオフがある。

(補注)推奨品目のプロモーションのために、1品目の在庫をゴン
ドラエンド等に積み上げる陳列は、1品目あたりの発注サイクルの
長さからくる必要基準在庫数の量とは、意味が全く違います。

3.事例

Kマートの売り場で、ウォルマートより1品目あたりで60%も在
庫数量が多い基準在庫数を見ていつもそう感じていました。

(1)Kマートは、坪当り売上がウォルマートより6割以上も低い
(Kマート$8,893:ウォルマート$15,006)から配置できる人員も
6割以上少なくなる。
(2)1人でのカバー面積はKマートが6割以上広い。
(3)加えて、数量の1人当たりの人時生産性ではKマートが6割
も少ない。

こうしたベンチマークの比較視点が必要です。この差はクロスドッ
クセンター効果だったと3月号で述べました(前号参照)

(重要な補注)本来の人時生産性は、粗利益金額ではなく、単位時
間に処理可能な商品数量で表すべきものです。生産性を処理数で表
わさないから、単価下落に対し商品単価を上げるというよくある間
違った対策から、自滅の経営に向かう。生産性の本質問題は人時あ
たりの可能処理数量の多さ少なさにあるはずです。

日本型コンビニのように30坪・3000品目で単位面積あたり売上が大
きければ(坪当り売上670万円・年、全小売の2倍)、人時を投入し
人手作業で絶対単品管理も可能でしょうが、3000坪に数万から10万
品目を容(い)れ、坪当りの年間売上が200万円から100万円、また
はそれ以下の売り場でそんなことができるでしょうか?
(以下次号に続く)

以上で、発行スタントドの30Kバイトの送信容量制限です。
途中ですが、
第4章 売り場の実相は、単品管理と発注の不完全作業
第5章 単品管理の基盤と支援システム
は、次回の送信にします。


■4.中国視察・研修ツアーのご案内

中国視察・研修ツアーは現在詳細をつめている最中です。
およそ、以下の内容と方法です。

※内容は細かい部分では変わることがあります。期日の変更はあり
ません。確定です。

中国国内や東南アジア、その他の地域からの参加も歓迎します。初
めての方も、従来の2回の米国研修ツアーの感じでは、全く不安を
感じる必要はないと思います。業種、キャリア、年齢は多様ですが
昔からお互いに知っているコミュニティのような雰囲気が参加者相
互にすぐ出来上がります。同じメールマガジンを読んでいるという、
知識共有化の効果でしょうか。

(1)テーマ
<グローバル流通と生産及び情報化ロジスティクスの方法の研究>

(2)目的
単に中国のみならず、世界の日用品生産、輸出基地であるシンセン、
香港で、世界への流通システムを視察、研究する。

(3)方法
香港への現地集合方式
集合場所:『香港ペニンシュラホテル』のセミナールーム
     5月25日午後1時。
     ペニンシュラホテルは世界的に有名なホテルです。
     迷うことは100%、ありません。(笑)

【日程】
5月25日 午後1時からペニンシュラホテルで数時間のセミ
      ナー、および視察のオリエンテーション
5月25日 夕刻 香港からシンセンへ汽車で移動(約40分)
5月26日 午前 セミナー 午後から夕刻 バスで視察
5月27日 午前 セミナー 午後から夕刻 バスで視察
5月28日 午前 セミナー 午後から夕刻 バスで視察 夕食会
5月29日 午前中に香港へ汽車(40分)で戻って解散

香港の北の、経済特別区シンセンでの宿泊ホテル(5月25日から
28日まで4泊)は、ペニンシュラと同等クラスのものを旅行社を
通じて交渉手配します。

(4)参加条件
自律的な責任がとれる人、およびセミナーと視察時間のみは、講師
の指示に従うことのできる人です。年齢・業種・キャリアの制限は
ありません。

毎午前中にホテルで2時間程度のセミナーを行う予定ですから、原
則的には同じホテルに宿泊することを企画しています。原則的とは
、例外が許容されるという意味です。シンセンの宿泊ホテルは、指
定の旅行社から手配します。

(4)参加費用
視察ツアーとセミナーの研修費用は、1名84,000円(消費税
込み)です。米国研修ツアーと同じ方式です。

研修費以外の個人負担費用
  ・日本から香港への往復航空券
  ・シンセンや香港のホテルの宿泊費実費
  ・食事代(合同夕食代実費を含む)
  ・シンセン入境のビザ取得費用(出発の数日前までに日本の旅
   行社を通じて取得します。中国への入国はパスポート以外に
   ビザが必要です。)

およそ以上の内容です。<正式案内>は来週の特別号で行ないます。
季節の変わり目で風邪が流行っているようです。お身体大切に。
では、また。

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