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| こんにちは、吉田繁治ですと挨拶して97回、もうすぐ記念すべき 100号です。1年半前、暗中模索でメールマガジンを始めた。予 想は立てましたが、どんな結果になるか見当はつかなかった。真性 のメッセージなら受け取ってもらえるだろうという心、または直感 しかなかった。 事業でも仕事でも新しいことは計画を立てたとしても、最後は<跳 (と)ぶことの決断>が必要です。跳ぶことからすべてが始まり、 予想しない展開への思考や対応から、新展開がある。 <Vol.97 中国の国家論と産業論の諸相> 【目次】 1.感想:有限な時間と無限の時間 2.中国の国家論と産業論の諸相 3.政治的にナイーブな日本人 4.問題の整理の方法 5.中国論で混乱が起こる根底 6.民主政体でないときは、権力闘争 7.情報と教育の力への信頼 8.中国沿岸部、歌舞伎町論 9.IBMフォーラム講演会の日程 ■1.感想:有限な時間と無限の時間 ▼有限な個の時間 寿命は決められないが時間資源の配分(allocation)を決めるのは 個人です。時間は資源(resource)です。時間ほど平等に与えられ たものはない。 私の個性は「時間(resource)を売る」ことになじめなかった。自分 の支配下(control)に置きたかった。学校時代から時間割にもなじめ なかった。 ひとつの選択(choice)は、他の可能性を捨てること、同時に複数の 時間を生きることはできないとされるのが「世間の常識:common se nse」ですね。 ▼常識は本当か:複線の時間という内的時間 この常識は本当か? メールマガジンは3万名弱に「同時に」届く。 そしていくばくかの人が反発や共感を感じて読む。 (1)(無限に複製可能な)文字というコミュニケーション媒体 (media)を使うことで、 (2)事実上、読者数分の複線の時間を(ネットワークによって仮 想的virtualに)生きてることになるのではないか。 会社でも同じです。協働(co-working)や分業がある。 他の人と時間を共有し、役割と機能(function)を分担することで、 お互いは「複線の時間」を生きているのではないか? 人間は動物のようには孤独ではない。コトバ、メディア、表現方法 を持つ。コミュニケーションを通じて得られる「共感」の正体は、 複線の時間ではないか。 ▼母の時間 4人の子を持つ母は、自分の時間を含め4人分の子供の(内的)時 間を生きている。それが愛でしょう。 愛は他人の時間を、自分の時間であるかのように一緒に生きること の選択。キリストは教徒にとって永遠だというは、キリストが愛に よって教徒の全時間を生きているとされるからではないか。 母は自己を無にし子を思うことができる「能力」を持つ。 母の時間は、子供の数だけ、複線で流れるのではないか。 そのことを、3月末に母が死んだ後、薄い日記帳で知った。 脳梗塞のため、最後の部分は書かれた文字は判読できなかった。い たるところに「字が思い出せない・・・・」と書いてあった。 私はその愛に十分応えたとは言えない。後悔を背負って生きる。 後悔は先に立たない。 しかし後悔は先に立たないということをあとで知ることはできる。 痛切に知る機会やきっかけがあれば、それ以降、まなざしは変わる ことができるのではないか。焼いた直後の骨を入れた温かい骨壷を 抱きそう思った。 人には経験しなければわからないことがあります。 ▼時間の拡大の諸法 事業規模が大きくなること、仕事での他への影響が大きくなること は、事実上の複線の本数が増え時間が拡大しているのではないか。 人はそのことに喜びを感じる。これが事業拡大の欲望の根底にある。 そうなると、個(person)の時間は有限でも自我(ego)が持ちうる時間 の範囲は、事業の組織を通じ無限に至ることができるのではないか。 ビル・ゲーツは資産額も7兆円であるが、個性の仕事を通じ歴史上 最大の複線の時間を生きていることになる。 時に小林秀雄の精神の軌跡(la vie)を読む。小林は科学的には死 んで灰になって無です。だが私の時間には生きる。私にとって無で はない。余分なものを削ぎ落とした文を書くこと(expression)は、 小林という個性(ego)の事業(enterprise)だった。 ゴッホもモーツアルトもバッハも、個性の表現を通じ個の時間を芸 によって「仮想的に」超えた。 カナダの天才ピアニスト、グレン・グールドはレコードの平均率ク ラビア曲集で、私にとって、多くの愛好家にとって生きている。ジ ョン・レノンも生きている。 ▼この2週間 2週間、スケジュールが輻輳した。睡眠を削った。充実感があった。 メッセージが「伝わっている(correspondしている)かもしれない」 という感覚があった。他者との時間や価値観(value)、未来観(vi sion)の共有や方向の提案(leadership)という感覚だった。 ■2.中国の国家論と産業論の諸相 今回のテーマは、<中国の国家論と産業論の諸相>です。 中国と中国人に対して、日本人の多くは態度を決めかねている。 または、単に安価な労働力、安い物価に目を向け、数多くの失敗( 成功確率は10分の1と言われる)を無反省に重ねている。 日本人経営者・投資家の多くが80年代末の地価高騰、株価高騰を 見誤り、横並びの投資でマネーを失った。 約15年後の現在、今度は中国ビジネスでマネーを失うかもしれな い。 ▼脅威論とリスク論 ・低価格商品や部品の中国の輸出力で日本の失業は10%、15% 以上に増え、賃金が下がるのではないか。 ・中国共産党と中国軍はアジアの覇権への野望はないのか。 ・朝礼暮改に近い制度や法はどう向かうのか。 ・論理的整理がなされず、複雑怪奇な法は、整備されるのか。 ・人治から、法の下に平等の法治に向かうことができるのか。 ・選挙制ではない共産党独裁を21世紀も続けることができるのか。 ・国有企業への貸出しの50%に達すると言われる不良債権はどう 決着がつくのか。 ・尖閣列島問題はどう向かうのか。 ・台湾問題はどう向かうのか。 ・米国、ロシア、インドとの関係はどうか。 ・21世紀初頭の30年は、中国と米国の「新冷戦」に世界は引き 裂かれるのではないか。 リスクは利益の別名です。カオスは利益の機会ではないかとは思っ ても、中国に対する心理は複雑に揺れる。 経済の1軸だけでは割り切れない。経済に加え歴史、文化、イデオ ロギー、軍主導という4つの軸が絡み合う。 ▼マスコミ ・中国には選挙制がなく共産党独裁であるということ、 ・朱鎔基首相が特に沿岸部の地方経済の独立を強化したこと、 ・江沢民や、天安門事件の弾圧を指揮したとされる李鵬は一般にあ まり人気がないであろうことを、日本のマスコミは明確には報じな い。 中国政府に関しマスコミに先回りした配慮があって、基底のことを 曖昧にする。論は見えなくなる。 中国政府や人民解放軍には、言論の自由という近代民主主義の構成 概念はない。日本の主流派マスコミは報道の自己規制を続けている。 ODA(開発援助)の利権に群がる政治家は手を汚している。 【中国風論理】 事実(と思えること)を報じることは、時に「中国の悪い面を歪曲 し強調する」という論理によって、中国のどこかからの意思で任意 に、追放または入国拒否にあう「可能性」を含む。 ▼公安社会 マスコミ関係者のインターネット閲覧歴や、電子メールは監視にあ っているらしいこと、そして中国に関する日本を含む世界の著作物 はかなり綿密に読まれ、ある基準で著者の分類がなされているらし いという人も多い。 (私のWEBやメールマガジンもかなり多くの中国人の方にも読ま れています) 広く蔓延する賄賂が発覚するのも同僚の通報による。日本では薄ま っている「公安」という概念が、実体を持って生きているのが中国 です。 公安の概念は13億人の統治のための必要性から来ている。13億 人の一様な統治に無理があるのではないか。1%の反乱でも、13 00万人の規模です。 13億人の冷静な統治が果たして可能か。 人類はそうした経験を、持ちううるのか。 現代中国は、カオスを含む偉大な実験国家です。 ▼成文法 西洋社会は、市民と国家の間、市民の間を最後は「成文法」によっ て裁くという契約概念を作り安定した。 法の適用は任意や恣意ではなく、法理論から解釈して平等であると いう思想がある。官僚も警察も政治家も、抜け道を探し解釈に幅を 持たせる裁量あるが、「成文法」には従う。 成文法に反するときは「不正」という概念がある。 人治にはそもそも「不正」という概念があるのか。 ▼公安 「公安」は政治体制を守ることを社会の進歩や個人の自由より優先 するという国家統合の価値観であり、「公安に反する」ことは、国 家への反逆罪として重罪になる社会です。 何が「公安や公序、人民の公益に反する」のか、それが、誰かの任 意の、時には意図をもった戦略的な意思で変わる。 それを、法治ではなく「人治」といっている。 【コネクション原理】 人治であるから、コネクションで法とルール、税の適用が変わる。 どう変わるかは予測できない。権力者や当局の、担当の胸三寸とい う部分がある。そこにリスクがある。 ゲームのルールが途中で変わばゲームは成立しない。 審判とのコネクションが必要になる。 日本人の中国ビジネスで、華僑コネクション、香港エージェント、 台湾エージェントが必要になる理由が、ここにある。 ■3.政治的にナイーブな日本人 戦後日本人は、政治的にはナイーブです。 日本という国家と官僚を信用する。だから選挙にも棄権する。政治 は生活の根底や生命を奪うような無謀なことはしないだろうという 信頼を寄せている。 国家の軍が民に銃を向け(9000人が死んだと言われる)1989年の天 安門事件のようなことは、近世の歴史上日本では起こっていない。 (↓天安門事件の様々な記述) http://www.ut2.nu/html/seminar/chaina01.html 「誰が首相をやっても政治は同じ」というあきらめは実はあきらめ ではない。(おそらく自民党への)信頼でしょう。 表面は不満を言う。しかし世界で稀に(未だに)官僚と政府を信頼 しているのが日本国民。信頼していなければ、あなた任せの包括委 任(棄権)ではなく、選挙に行くはずです。日曜日の買い物より価 値がないのが、日本の選挙や政治です。 国家は、国民を守ってくれるだろうという暗黙の了解がある。 不正さえしなければいいではないか、という信頼がある。 一歩日本を離れれば露骨なリアルポリティスと闘争の世界。 海外への長期在住の方は、骨身に沁みて感じているはずです。日本 に帰りたくなるのは、海外のリアルポリティクスや闘争の非情さ、 民族というものの排他的エゴを知ったときではないか。 ■4.問題の整理の方法 ▼事実上の「地域国家」という導きの糸 中国は広大です。落ち着く先は多くの国家の集合体ではないかと思 えます。(仮説) 現在でも「resional states(地域国家)」が、上部構造では北京政 府及び共産党で連合している国というのが実相に思えます。 中国をひとつの国家と文化として論じればとらえどころがない。国 土の大きさは同じでも、米国2億7000万人と、中国13億人を 同じような統一体として見ることはできない。 19世紀にはすでに固定化していた西欧から見た新世界の米国には、 南北戦争こそあったが、エスタブリッシュメントは変わっていな い。 制度の変更も革命によるものではない。情報もオープンで米国は分 かりやすい。(9.11以降は、マスコミの自主規制を含む、露骨 な報道規制があります) 中国の近世は、共産主義革命を挟む。4000年の歴史は、民族間、 王朝間抗争の連続。そのプロセスでいろんな要素が混じり合う。 (1)現在の(事実上の王朝である)共産党中央政府内の権力闘争 の内容は、オープンではない。 (2)軍事国家の側面もある。軍事費の総額は、公式発表の10倍 はあるのではないかとも言われる。 (3)共産主義は公式イデオロギーです。 (4)経済特区や3億人の工業化した沿岸部は、共産主義とは無縁の、 原始資本主義風に露骨に資本主義です。 貧困な農村部の青年男女は労働許可証を持って、経済特区や上海に 出稼ぎに出かける。工場に隣接する2段ベッドの1部屋に10人も 住むことが珍しくない寮で生活し、月1万円、2万円の賃金の過半 を、農村に住む父母に仕送りをする。 他方成功した新興企業のマネジャーや幹部は先進国並みの賃金を稼 ぐ。現代中国には、どこを見ても、平均値がない。 見渡す限り高層ビルの立ち並ぶ上海、ハイパーモダンなビルが林立 するシンセンがある。急速に整備された高速道路を走り、脇に立ち 並ぶ(サプライチェーン化している)工場群を横目に1時間で農村 へいけば、そこには中世が現前する。 こうした異なる要素の整理がないから日本の中国論は迷走する。手 がかりはどこにあるのか。 ▼整理の方法 (1)地域国家と地域経済のことを見るのか、 (2)国営企業を見るのか、 (3)北京政府、共産党、人民解放軍のことを論じるのか、 (4)9億人の農村を論じるのか、 (5)3億人の、工業化している沿岸部を論じるのか、まずはここ を分ける必要があります。 この5項(または5層)を混同し、ひとつに見れば、中国の13億 人はカオスにあるように見え論は混乱する。そうした論が多い。 ▼そして方向:まずはイデオロギーという難物 【イデオロギーを無効にするwin-winの相互補完経済】 私の考察は「大主義であるイデオロギー」は、グローバルな相互補 完経済、つまり世界のサプライチェーン化によって、世界的に次第 に無化するのではないかという仮説に立ちます。 【イデオロギー】 イデオロギー(経済思想)の対立は、民族主義や国家主義のリアル ポリティクスでは、結局は軍需産業、軍事予算の正当化を行なって きた。 (1)人為的なイデオロギーが「新経済主義、または経済の相互補 完のグローバリズム」で次第に民の共感を失い、無効になりつつあ るとき、 (2)「9.11の陰謀的な事件」が起こって、テロリズムを共通 の敵にしたのが2002年現在でしょう。図式は明確です。 【しかし情報のパワー】 ここに情報のパワーが加わる。情報の非対称性、つまり、中央の機 関による情報の独占(民には知らしむべからず)というイデオロギ ーのツールは、無効化する方向へ向かう。 個人ですら発信できるインターネット情報を国家が遮断することは できない。国家イデオロギーは、ネットワークで世界の各所におい て無効化すると推論できるのです。 ▼解く鍵 中国がグローバル化するのではない。「沿岸部の地域経済」がグロ ーバル化する。そして西側社会や企業と相互補完の関係を結ぶ。 【根底】 中国のGDPの30%を占める輸出経済は、市場(つまり顧客)を 必要とする。顧客は西側世界。とすれば経済原理的には西側世界と は、対立と見せて妥協をする。対立は国民の所得格差への不満をカ モフラージュする方法に過ぎない。 中国政府の、ホンネと建前の使い分けが分かる。 輸出ができなければ貧困で中国は内部崩壊する。 他方、西側から見て、長期的に見たときの成功のキーは、 (1)技術や資本価値の格差による搾取ではなく、 (2)win-winの共生(地域経済の相互補完の関係)です。 コスト比較ではなく中国だからこそできるという部分にフォーカス しなければならない。 中国ビジネスを「内部化」したいと考える企業、及び個人は、価格 差は5年、10年の短期的なものだと意識しなければならない。 日本企業に勤めたとき、現地企業水準の2倍・3倍の賃金要求があ るのは当たり前のことです。それを不当な要求と思考する神経では 成功はおぼつかない。 国際的な価格差を利用する搾取ということは、従業員には分かるか らです。世界の人々は、すでに情報の面では覚醒した。「後進国」 という概念は19世紀の遺物です。 沿岸部の携帯電話普及率はもう日本と変わらない。インターネット の普及も同じ。事実に目をむけることです。これでイデオロギーは 無化する。 世界は、先端部では同時発展の時代になった。 ■5.中国論で混乱が起こる根底 以下でマスコミが述べない根底部分を述べます。 ▼共同体というやっかいなもの 【共同体化した組織の性格】 問題は生活共同体化した組織です。 日本で言えば、中央と地方の官僚組織とその展開である特殊法人や 、郵便局組織、農協、漁協、医師会、弁護士会、税理士会、公認会 計士協会も含む・・・・いわゆる業界団体です。 これらは高齢化とともに過去を守る生活共同体の色彩が強くなった。 「組織構成員の生活と、権力、経済基盤を守る」ということが、正 義になっている。 【軍と軍需産業、及び保険】 軍も、軍人と軍需産業の生活共同体です。 国際紛争や国内の公安の危機が減少し、(経済合理的に)軍の予算 (税の投入)が減れば軍人と軍需産業は雇用を失う。 リスクが減じれば軍事という保険料は下がるのが経済原理です。 【平和の配当】 90年代の米国経済の発展の端緒は、軍事費削減と、軍人の民間企 業への就職による軍の技術(ロジスティクス、インターネット、サ プライチェーン、確率計算によるデリバティブ)の民間開放だった。 【他方、経済原理では】 組織が、社会や公共の福祉や進歩のための機能的なものなら、その 福祉推進機能、進歩推進の機能が衰微すれば、それは解体やリスト ラされなければならない。 これが経済(エコノミー=資源の節約)の原理です。資源とはreso urce、天然資源のみではなく、経済全体の富の源泉の意味です。 【生活共同体】 ところが、企業であれ団体であれ、組織は固定化し多階層化する本 質を持つ。 その結果、組織構成員や外部関係者のための生活共同体に転じると、 組織を存続させ、組織のもつ権力や、既得権益、経済基盤(税の 投入)を守り、拡大することが「正義」になる。 組織人も個人としては正常な感覚をもつ常識人です。しかし、組織 を守るということになると、法や倫理すら犯すという二重規範を持 つ。 【特殊法人】 日本でも特殊法人そのものに問題があるのではない。 (1)最後は税で埋めるしかない赤字を出したり、 (2)特殊法人の存続(=組織構成員の生活と経済基盤)のために 規制や制度、法を作って、 (3)社会全体の福祉向上や社会の進歩に役に立たないことが問題 の本質です。 【真の危機】 国家イデオロギーを根拠に成立している機関が、経済原理からみた 有効性を失ったとき、生活共同体化した組織や機関はどんな抵抗を 示すか。命をかけた激しいものがあるはずですね。 「真の危機」はここにある。日本が中央と地方の官僚組織、郵政、 厚生、国土交通省の関連を含む特殊法人改革をするなら、真の危機 は日本ではこれから始まる。 ▼日本の特殊法人と中国の国営企業 中国の特殊法人は、膨大な赤字を出すと言われている「国営企業」 です。 国営企業は、資本主義社会の機能的な企業と言うより、人民の生活 共同体です。政府予算の投入部分は貸付ではなく国営企業の収益と して計上されている。日本の特殊法人にそっくりです。 ▼民主政体の最後の自己修正機能 民主社会では最後は選挙がある。選挙結果には誰も抵抗できない。 民主主義はそうした制度の選択です。モロには見えませんが、原理 的には民の合意が至上という自律的な修正機能を含む。 衆愚という副作用も民主主義の必要悪です。 もともと民主は衆愚政治であると思います。 衆愚こそ自浄作用だとクールに見ればいい。 衆愚を繰り返えすうちに覚醒派が増えます。 人は、間違いの後でないと、修正はしない。 ■6.民主政体でないときは、権力闘争 中国の政体は選挙制度を選択していない。 これは、どんな原理で動くか。 イデオロギー闘争を含む「上部権力闘争」が政治を決める。こうし た政治が、民主制への制度変革を含む「政体の危機」が起こったと きどこへ向かうか、誰も予測できない。 【外部危機の演出】 通常は、政体の内部の危機を、内部または外部の敵に目を向けるこ とで、外部攻撃のエネルギーにする。標的は、日本、台湾、米国等 でしょう。しかしこれは演出です。政権のホンネではない。なぜな ら中国は、輸出をしなければならないからです。 中国を論じるにあたって、普通は言われることが少ない政体の基本 性格を見る必要があります。 歴史で見れば、今も今後も「権力と既得権の維持を目的にした原理 的な動き」があることは確実に言えます。輸出経済は、市場を失う 戦争は起こさない。中国がホンネで領土的な覇権をもつことはない と判断します。あるのは危機の演出。そう見ておくことです。 ▼既存権力の原理と民の原理 【体制原理】 権力的な政体の維持の正当化、内部の不満を「晴らす」ためには、 民をそれから守るべき国際的な敵(国民が合意する外敵)、及び国 内の敵(階級闘争)が必要です。 【仮定】 私は、自由と豊かさを知り、イデオロギーから開放された豊かな経 済へ向かう中国人の動きは誰も止めることはできないと仮定してい ます。民に向かって軍を使えば逆効果です。 この仮定が、私に中国悲観論を捨てさせた根源です。 【教育】 20年の開放経済で、自由とマネー原理の国、米国のMBAへ留学 した大量のエリート層は逆転を阻止する側に立つ。根は教育です。 自由とマネーがイデオロギーに勝ったと見ることができます。 中国政府の動きに関して、 (1)国営企業の存続問題を含んで、途中で歯車が逆転する紆余曲 折(うよきょくせつ)があっても、 (2)長期的には楽観的に見るスタンスを取る。 歯車はもう回転が始まって、更に高速に回ろうとしている。 中国政府は、政体の維持のため今後も「強力な経済発展策」をとる 。文化大革命のような逆転は起こらない。 人民解放軍も、軍務に励む軍隊ではなく、武家の商法を越え商才の ある「事業を興す軍」になってきた。右手にそろばん左手に銃とい う感じです。 カントリーリスクがゼロというわけではない。 それを忘れることはできない。 しかし肯定的な色彩を見る。 (どこかのマスコミ、学者、政党のような中国シンパでは毛頭あり ません。誤解なきように) 中国政府が今後どう動くかは、米国政府の戦略と不離不可分(ふり ふかぶん)です。ここでブッシュ政権の本質を整理しましょう。 ▼国際戦略での米国政府の方法 米国のブッシュ政権は、9.11以降、軍事政権である性格を明ら かにしました。 湾岸戦争の英雄であり今は対アラブ穏健派の国務長官パウエルと、 強硬派の副大統領チェイニー、国防長官ラムズフェルドの政権内対 立も見えてきた。民主党は戦争反対に回った。この綱引きが、今後 の米国の軍事戦略を決めます。 (↓米国大使館によるラムズフェルドの経歴) http://usembassy.state.gov/tokyo/wwwhj094.html 米国政治は一般に、「政権の維持のためには世論へ向かった正当化 のための具体戦略」をとる、ここが根です。 中国との新冷戦の可能性、アラブとの50年の冷戦時代の可能性は 十分にある。 内政への不満を外へ向かわせる(仮想をふくめた)外敵があること が、政権維持や既得権益の保護になるという原理が働くのです。 企業トップが、無意識に社員に向かって「競争相手(敵)を叩き潰 せ」と言うのと論理構造は同じです。 国際政治のリアリティでは、敵の敵は味方で、敵も時には味方で、 軍にとっての敵は同じゲームを戦う相手です。ゲームは相手を欲す る。いなければ相手を作る。 ここが外敵の存在によってその存在が正当化される軍と軍需産業と いうものの宿痾(しゅくあ)ですね。 米国の軍需産業と産軍複合体が、80年代までは敵であったソ連帝 国主義を失って以降、21世紀の中国とアラブに何を欲するか、問 題の根はそこです。 ■7.情報と教育の力への信頼 にもかかわらず情報の面では、米国はオープンです。 中国は、オープンとは言いがたい。 日本の官僚は、オープンを気取って実際は姑息に隠す。 ▼情報 迂遠(うえん)に思える<情報のオープン化>が進むことが、世界 をいい方向に変えると確信しています。 私が将来楽観である理由は、今はインターネットがあるからです。 ▼教育 そして、これもまた迂遠に思える教育の効果は実は最強のものです。 中国が、米国風のビジネス社会に変わる可能性があると見る理由は、 (1)中国のベンチャービジネスを興す人達の多くが、米国MBA の出身か、 (2)シリコンバレーの技術者であるという事実からです。 ▼日本の高度成長もコピーだった 【粗雑なニセモノから】 日本の高度成長は、米国製品と産業のマネ、コピー、ニセモノ商品 で果たされた。ダイエー等の量販店は、米国の店舗モデル(当時は の頂点がシアーズ)こそすべてと公言した。これは教育だった。 店舗デザインや組織運営(=経営方法)、管理ツールのPOSを含 め、忠実に外形コピーを行なったのが、5大量販です。その時のイ デオローグの旗手は渥美俊一氏でした。(70年代まで) 【イデオロギー】 産業的イデオロギーは100年前の量産ラインのテーラーイズム( 定型作業による分業と上からの統制)でした。 【80年代は固定的シェアと、含み資本への安逸】 70年代以降、特に80年代。日本の小売業が方向を見失ったのは、 60年代の米国産業モデルに、独自性、業態創造、日本型組織運 営、ビジネスモデル創造を付加できなかったからです。 国内閉鎖経済時代の地価高騰が、独特の含み資本への安逸を生んだ。 グローバル経済が押し寄せたとき、国内のコストや商品価格は、国 際比較され、そして高いという結論になって、地価も物価も下がっ た。 そのことを根底の理由に、90年代の波乱(5大量販のうちダイエ ー、マイカル(ニチイ)、セイユーの事実上の破綻)が起こった。 根は80年代の、内需面の鎖国経済での、土地含み資本の上での安 逸にあるのです。 ▼コピーから 論を戻せば、このように最初は、(60年代の日本、現在の中国の ように)粗雑なコピーからすべてが始まる。 中国沿岸部は、 (1)技術とモラールでは留学組みのエネルギー、 (2)資本の供給では華僑資本(香港、台湾)によって、 (3)製品も経営も米国コピーを大量生産している。 中国では、どんな事業も、ベンチャーの性格がある。 すべてが、10年の歴史しかないのです。 これからグローバル経済で世界的な規模の盛田、本田、稲盛、中内 が生まれる。そうした時期でしょう。 ▼米国の90年代の闇と光 米国の90年代は、最後にはバブル経済の詐欺的なエンロン事件に 象徴される資本主義の精神の堕落を見せた。 別の面では、21世紀に向かう精華の芽も生んでいます。 (1)統制型組織運営を補う、リーダシップ型経営と、現場へのエ ンパワーメント(裁量枠の付与) (2)マネジャーに代わって、顧客ニーズが組織に命じるカスタマ ーセントリック経営 (3)株主資本主義に代わる、ステークホルダー経営。 ステークスホルダー:会社は商法的には株主のものだが、実体 的には社員、取引先、顧客のものだとする経営 中国も、米国も、日本も歴史的発展段階は異なるものの、同時代の なかにある。 ・製品コピー、 ・最新の情報システム、 ・最新鋭の工作機械、 ・豊富で士気が高いが安価な労働資源、 こうしたものの混合が現在の中国経済でしょう。 ■8.中国沿岸部、歌舞伎町論 台湾在住の日本人の方から以下のメールをいただいた。 <常々中国は歌舞伎町だ、と言っています。雑多で楽しく安いとこ ろもあれば、ぼったくりもある。ちゃんとした遊び人のガイドがい れば楽しめるが、素人が行けば危ない。無自覚に中国に出る日本企 業は田舎のぼんぼんがいきなり歌舞伎町にいくようなものです。 貴シンセンツアーはこのような歌舞伎町の光と闇を共々意識できる ものになっていただければ、とお祈り致します。今回残念ながら都 合がつかず参加かないませんが・・・> 新宿歌舞伎町には、アジアの光と影、露骨なマネーへの欲望、カオ スがある。確かに、実際に体験した感覚では、シンセン、上海は、 最近の六本木や歌舞伎町、そしてピンきりのアジア系料理店が並ぶ 麻布十番にも似ている。中国ツアーの申し込みは今81名です。 ■9.IBMフォーラム講演会の日程 IBM主催のフォーラムは、全国ツアーの7割を終りました。テー マ「競争優位のための知識経営」で、以下のスケジュールと時間で 基調講演の時間を担当します。。 5月16日 福岡 博多都ホテル(10:30-12:15) 5月21日 札幌 ホテルアルファ札幌(10:30-12:15) 5月31日 名古屋 ヒルトン名古屋(10:30-12:15) (過去、IBMとの関係が全くなくても、無料でどなたでも申し込 みができます。申し込みは↓で受付中です。お早めにどうぞ。) http://www-6.ibm.com/jp/gto/forum2002/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【ビジネス知識源 読者アンケート】 1.テーマと内容は興味が持てるか? 2.理解は進んだか? 3.疑問点や質問点は? 4.その他、感想等 5.差し支えない範囲で読者の横顔情報があると助かります。 コピーして、メールに貼りつけ、記入の上送信してください。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ▼著者へのひとことメール yoshida@cool-knowledge.com ※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。 あなたと、会社の、知識とスキルのブラッシュアップを。 ▼<ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊分を超える 情報価値をe-Mailで>のサンプル閲覧と申し込み http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?keyword=P0000018 有料マガジンベストトセラーを継続中です。 http://premium.mag2.com ▼クール・ナレッジ掲示板(BBS)で投稿 http://cgi.members.interq.or.jp/venus/yoshida/BBS/light.cg |
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