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(02年6月4日) |
こんにちは、吉田繁治です。参加者として女性10名、男性70名 お手伝いのスタッフ約10名の参加を得た<cool-knowledge中国 視察・研究ツアー>から帰りました。 帰ると日本は清潔でクリーンですが、活力を失っているように見え る。林閑とした関西国際空港で、哀しくなってしまいました。 中国的な、各地で沸騰する活力は、一筋縄で正のエネルギーに向か うものではない。一本のリーダシップで15億人を同じ方向に向か わせるという、史上最大の実験国家が中国です。 北京の為政者が、どんな気持ちで、毎日、15億人の自己主張の強 い民を見ているか、それに想いをはせます。 1日遅れの配信、お詫びします。実は、6月3日(月)の午後5 時に書き上げた後、気分を変えようと近所の料理屋に食事に行って ビール2本を飲み、帰ってソファに横になると瞬間に眠ってしま いました。朝起きて送っていないことにびっくりでした。大事な会 議に遅刻した気分です。申し訳ありません。 <Vol.102 視察後の中国随想> 【目次】 1.雑感 2.電子工場を持つ歌舞伎町:シンセン 3.沿岸部は皆、第二香港に:2008年のバブルへ向かって 4.中国の制度の根幹:土地の利用権 5.反世界のカオスの統制方法:トップダウン 6.民が参加できることの条件 7.笑いのプレゼント ■1.雑感 ▼政体も法も、行動原理も異なる国 【「大」ツアーだった】 650万人の人口を擁し、工場を持つ歌舞伎町、シンセン市の関係 者は、総勢90名のビジネス視察ツアーを迎えるのは、20年の市 の歴史で初めてのことだと言っていた。シンセン市の歴史に刻まれ るかもしれません(大げさです(笑)) こうしたことの、中国における重みを最初私は理解できなかった。 後の経緯を総合し推論すると、市が感じた重みが分かったのです。 GDP計算で言えば、日本人1人に対し中国人30人が等しい。 そうなると、中国とシンセン市にとっての重みは、90人×30倍 =2700人分の視察集団だった。 日本人にとっての1万円と、資本家ではない普通の中国人にとって の1万円は、その意味が次元を超えて違います。 ▼シンセン政府の関与 私は連絡も依頼もしていないのに、シンセン市の幹部(対外経済関 係局と税務関係)の次官クラスが4名も、2人の通訳を連れ、会場 のホテルに現れました。 日本人の「大」集団は一体何を目的にした視察か、シンセン市政府 としては確認し、集団の行動はシンセン市政府がコントロールする 枠内にあることを示す必要が(お役人の立場では)あったのでしょ うか。 【おなじみのシーン】 推論で事情を理解し、シンセンのシャングリラホテルでの、参加者 80名を集めたセミナー時間から、1時間を割くことにしました。 後はTVでおなじみの「中日友好」のシーンが展開された。 「cool-knowledge中国視察・研究ツアー」と書かれた大きな看板の 下に、赤い絨毯の演壇があり、シンセン政府要人6名と並び、私が ぼそっと、真ん中に立つ姿を想像してください。 笑える風景です。cool-knowledgeが大きな演台の赤絨毯で色づいて 恥ずかしく赤らみred-knowledgeになってしまった。(笑) 【意識した態度】 「人格と態度で、断固としたところを示し、上回ること」 瞬間の 判断です。参加者80名に、中国のお役人と接するときの態度を示 す実物研修の意味もあった。(単に気負いです(笑)) 瀋陽の領事館事件のような、日本国外務省と政府の、魂と心のない 態度が、念頭をよぎったことは確かです。(大げさですが) 相手が先に頭を下げ、私はそれを鷹揚(おうよう)な態度で受け入 れることにしました。身体が大きいのでこんなときは助かります。 セミナーは私が主宰し、シンセン政府も私が指示する命令に従って もらうのが、発言の機会を与える条件であること。発言の時間も私 が決めること。以上のことを、「礼」を尽く、相手に無言の雰囲気 で理解させること。最初の出会いの瞬間が大切です。幸い、うまく 行きました。視線でのやり取りです。 他の政府関連の機関からも、シンセン滞在中毎日「食事を伴う会談」 の申し入れがありました。ツアー中は深夜の時間しかないことを 理由に丁重にお断りしました。時間とコスト感覚が、違うのです。 ▼(おそらくは)善意からくる親切の、無秩序な重なりの結果 シンセン市サイドは、経済大国日本からの視察団に対し、彼らが考 える様々な「恐らくは親切」を施してくれたと思います。 元は善意でも、勝手な解釈での親切が、あちこちから毎日いくつも 重なると「合計したものは変なもの」に転じる。 中国ビジネスで、留意すべきことが、この点です。 中国ではひとつのことに絡む人間が多いことが問題の根底にある。 ここを日本人は、理解しなければならない。 【おそらく公安も】 視察のバスの後尾に(おそらくは)公安の車もついてきた。視察先 の駐車場にも、鋭い視線の人が2名くらいはいた。なにかの目的で、 監視を受けていたのでしょうか。 視察の途中での無用な事故やトラブルを防ぐための善意の派遣とも 取れます。中国では、公安に依頼し、先導を頼むことも可能です。 ▼他国の法を認める 中国ではジャーナリズムの発達を押さえ、同時に、インターネット を含め、西側風の言論の自由は制限されています。日本の法は当然 中国には及ばない。 中国に行けば中国政府(またはシンセン自治体)の法と公安の支配 におかれる。このことは片時も忘れることはできない。 以上の舞台裏の説明は、参加者の皆さんにはしていませんが、雰囲 気で気がついたツアー参加者には非日常の面白い体験だったと思い ます。 私は、セミナーとバスでの講義の内容と意見に、自己規制は加えな かった。それを行えば、中国報道における「朝日新聞」や他の新聞 と同じになると思った。そうしたことは私の「姿勢」に反します。 ▼根底で優先されること 中国では「官の統治と秩序」が他に優先します。自由な国日本では、 想像ができない統治の厳格さがある。そうでなければ、15億人 は統治できない。それを、体感しました。 幸い、無事、出国ができました。(笑) 友好的姿勢が認められたのでしょう。 当然、私に裏の目的は何もありません。 【友好の重み】 中国においては、現政府に対する「友好」は特別の重みを持ちます。 この友好は、単に儀礼的な表面の意味ではないのです。 ▼瀋陽の日本領事館事件も 瀋陽事件の発端も、日本領事館に対し、危険な部外者(北朝鮮人) の不法侵入を防ぐための中国公安の「親切心・善意」と取れないこ ともない。この善意が、現場で展開されるとトラブルの元になる。 善意のすれ違いくらい怖いものはない。味方が急に敵になる。 中国人や中国企業、中国人社会とリレーションを持つとき、常時、 気をつけなければならないことです。 ▼中国人とのコミュニケーションの6原則(重要) (1)目的と方法を、明確に、確認文書で伝え、説明する。 中国語の微妙ニュアンスを翻訳できる通訳、翻訳が必要です。 (2)可能な限り、数学的な定義した言語と数字で、論理的に、コ ミュニケーションする。 (3)安易に、その場その場で、妥協しない。 (4)妥協の代わりに、目的と原則を示し続ける。 (5)相手の立場を、常に尊重する。 (6)日本的な「よろしくお願いします」は、善意から発する誤解 の元になる。 論理的には相手に包括委任したことになるからです。 これは、中国人と共同作業を行うとき、マネジメントするときの、 6原則でもある。商契約でも同じです。 異文化(行動様式と価値観)とのコミュニケーションに当たって、 最も大切な精神は、相手の立場を尊重することです。 そして、何回も、発言の理由と、その人の立場を確認することです。 安易な、手前勝手な(無意識の日本の価値観での)理解で、判断し ないことです。 ▼大切な信義 更に言えば、個人との話し合いの時間を惜しんでいては、中国ビジ ネスはできない。 集団での話し合いもできない。集団でやれば、個人の発言が沸騰し、 誤解が充満します。個と個でなければならない。 こうして、真性と受けることのできるコミュニケーションを通じ、 「信義の関係、または朋友」に至れば、次からは、言わないことで も見事にスムーズにいくのが中国社会でしょう。 コミュニケーションの表面技術ではなく、その裏にある、立場を重 んじ信義を尽くす精神を大切にするのが中国人と中国社会です。 相手の精神を計量し、評価できる人的成熟と、感性が中国人にはあ る。信義の強い関係である「幇(ほう)」が、中国社会のコアです。 相手の信義への感度は、並外れて発達した国民が中国人でしょう。 変転を繰り返した王朝の下で、生きる知恵が、人と人の関係の信義、 幇、朋友だった。 以上は、「大」集団の視察・研究ツアーを率いた私の今回の体験か らのものです。 ▼共通原理 考えてみれば、以上すべては、どこでもビジネスでは当たり前のこ とです。 日本社会暗黙の共有価値観があるとして、普通は省略している言葉 の定義の確認を、細かく、厳密に、数学的にやることです。 その意味で、以上のビジネス・コミュニケーションの方法は、世界 的に普遍です。日本の会社の行動や契約が広い世界では特殊です。 米国でのビジネスも、中国に近いと言えます。 他にもいろいろ、興味深いことがあります。80名の参加者は、現 代中国に関して、それぞれに感慨を抱かれ、思わぬ発見があったこ とと思います。汲めども尽きせぬ材料を与えてくれる国です。 GDP大国の日本人がとる一人一人の言動は、中国では、米国にお けるより、30倍も重いものだと認識しなければなりません。 ■2.電子工場を持つ歌舞伎町:シンセン 中国には、喧騒・密集・乱雑、つまりエネルギーに満ちたカオスが ある。例えれば千代田区が日本で、工場のある歌舞伎町が中国です。 中国を訪問された方は、この例えが、実感を伴ったはずです。 ▼現実が想像を超える ともかく(論理を超えたanywayという感じ)、圧倒的という言葉が実 体の意味を持つ中国の人口(13億人ではなく15億人とします) は、現実のものなのに、イマジネーションから溢れるのです。(奇 妙な表現ですが) 【ショック】 先進諸国とは「人」の意味が違う。皆、その15億人の意味が整理 できず、そのため、時には人生観や、世界観を変えるまでの心理的 な「ショック」を受ける。 50センチ幅で整列した、小学生のような表情の、見事に揃った幼 い体格の女子工員が100人も整然と並んでいる生産ラインを実際 に見れば、現代日本人は衝撃を受けます。 私も、この風景を見ると毎回センティメンタルになる。 もっとも彼女たちの心理は想像とは別のものでしょう。 顔を上げない一心不乱の、緻密な作業という感じです。 【東欧】 同じ旧共産圏でも、中国と東欧とは違います。 東欧も、現場風景は中国と似ていますが、労働者は哀しそうに緩慢 (かんまん)に働いている感じを受けた。この理由はなんでしょう。 教育の普及によるものでしょうか。 他方、米国の現場労働者の多くには「あきらめ」が見えます。 【中途半端な日本】 肉体労働は、一般に生活の資を稼ぐための労働です。 知的作業は、「生きがい」と社会的意味を求めた労働です。 日本人の多くは、その中間にあります。 現場労働の知的作業化、これが日本の今のポジションです。 肉体労働は、分業と統制(PDCサイクル)がなじむ。 他方知的作業には、現場を自律させる、リーダシップ型マネジメン トが必要です。 しかし、多くの日本企業で、組織運営(=経営)の回答を、まだ見 出していない。肉体作業を統制するPDC(Plan Do Check)と分業 の方法しか知られていないからです。 ▼省力化(西側)と人力化(中国) 先進諸国の現代産業は、例外なく「省力化・機械化」です。現場か ら人を減らし続けています。省力化をする理由は人のコストが機械 より高いからです。 ここに、90年代で、突如、オートメーションではなくマン・メー ションで、中国が参入した。特に95年以降の世界経済は、中国の マン・メーションで、根底から変容を蒙ったのです。 日本の90年代の、方向の見失いは、この中国産業の位置づけを、 単に脅威とみていることが原因です。オートメーションでは日本は 勝った。しかし中国的マン・メーションをどう考えるべきか戸惑っ ている。 【人力化】 中国ではすべてに渡り「人力化」です。先進国では機械で行ってい ることを、細かく分けた分業でやる。 理由は、人のコストが、安いからです。工場の現場労働は1ヶ月1 万円(8時間労働換算。多くは残業を加える)、1時間で50円以 下でしょう。 【人のコスト】 ホテルでも自動ドアはない。2人で礼をもって開ける人力ドアです。 ホテルの受付も時間がかかる。よく見ると、宿泊を受け入れるため の書類の記入項目が多い。レストランの注文取りを含め、すべてに 渡って時間をかける。1時間50円だからです。1分1円。 サービス業での労働者の作業動線は、たっぷりと無駄を含みます。 個人の責任作業の範囲は、極小化されています。同時ワークシェア といってもいい。一人でできる作業を、5人掛かりでやる感じでし ょう。ということは、生産性上昇の余地だらけ。 【短期労働契約】 中国の工場やサービス業の、労働契約では、3ヶ月から6ヶ月の短 期契約がベースになります。当然、雇用を継続する契約更新はある のですが、基本が、日本のアルバイト契約のような短期であるとい う点に特徴をもちます。本格的な工業化は、ここ10年に過ぎない のです。 現場労働者の企業への忠誠心は、その概念すらない。 忠誠心は、長期雇用の保証からしか生まれない。 日本人の企業への忠誠心が強かった理由は、企業が、(1)不況で もレイオフをしないこと、(2)賃金は年功で上昇すること、(3) 長期雇用を企業が守ったことによるものです。日本人が、もとも と忠誠心が強いという国民性の理由からではない。 中国人も80年代までの日本のような長期雇用があれば、企業への 忠誠心は出ます。米国人も、西欧人もロシア人も同じです。 【無限に見える労働力供給】 一人っ子政策の影響が現れる2010年頃までは、10億人の貧困 な農村からの、現場労働力供給が続きます。 中国は、全土が平均化して経済発展している国ではない。 10億人とは無限ということ。 ▼中央政府の経済発展政策の根幹は、格差を作ること 90年代の、トウ・小平の「先富」の思想で、特定地域に外資と技 術を導入し、格差をむしろ労働意欲のバネに転じ、特定地域を次第 に広げる政策です。 特定地域への入境と居住は、政府のコントロール下にある。 居住地選択の自由はない。 水道の蛇口をひねったり排水口を制御して、バスタブの水のたまり 具合をコントロールしています。工場と人が溢れる賃金が上昇しよ うとすると、近くに次のバスタブを準備します。 国土は日本の27倍です。 シンセンの平均賃金は、月4万円くらいになっていて、香港(シン センの更に4倍くらい:人口600万人)を除く中国では最高です。 以下、中国産業の長期予測です。 ■3.沿岸部は皆、第二香港に:2008年のバブルへ向かって 以下は「確定した未来に」見えます。 訪れるたび、確信は深くなるのです。 ▼第2香港 今シンセン市の市外が、新しい工場の立地する地区になっています。 高層ビル、高層住宅が立ち並ぶシンセン市内は、より一層、第2 香港の外観を呈してきました。いたるところ、高層ビルの工事中で す。 そして、内陸部へ向かって、次第にシンセン化する。 3200万人の広東省全体が、香港化する日が近い。 周辺部を含めれば3000万人の上海と、双璧です。 中国は、実際に訪問しないと分からない。 訪問しても、1年前とは様相を一変する。 それくらい、成長と変化が激しいのです。 10年一日の日本とは、まるで違います。 ▼3億人が第2香港へ 2010年までに沿岸部3億人は香港化すると判断します。 香港並みの、3億人の工業・商業地域が沿岸部に誕生する。 世界は、中国、米国、西欧、日本という4極経済になる。 これを止めることはだれにもできない。 その時、中国の実質GDPは1000兆円の米国を上回るはずです。 およそ2004年くらいから、兆候がだれにも見えるようになる。 【世界の巨大企業の序列が代わる時代へ】 世界の巨大企業は、無限に思える中国人口の、所得の増加による内 需の拡大によって、中国を拠点にするものになるはずです。企業の 売上序列の激変が、数年後から起こる。 中国国内に売らなければ、量産の規模では世界の大企業とは言えな い世界競争の敗者になる。(幸い、日本製品ブランドのイメージは 高いものがあります。例えば資生堂の成功) 沿岸部3億人が仮に20%のGDP成長なら、 1.2の8乗=4.2倍 8年後の2010年は、シンセンの賃金が香港並みになる。 量産で世界ナンバー1、ナンバー2を目指すなら、ひとつの世界で ある中国マーケットを抜きにして、市場はないのです。量産領域以 外は別ですが。 【心配なエネルギー問題】 20世紀の経済発展は、エネルギーの多消費でした。米国モデルで す。日本は米国モデルとは違い、電力も石油も、1人あたりで米国 人の半分しか使わない。米国人が2000ccの車なら、日本人は 1000ccの車という感じです。 米国人のエネルギー消費が、日本人並みになれば、エネルギー問題 は解消するのです。 21世紀の生産物は、知識(技術)資源を大量に使い、省エネルギ ーに向かいます。これも確定的です。 例えば、今車は、1000ccから性能のいい500ccに向かっ ている。2000ccの車に乗る米国人が、500ccに乗るよう になれば、世界のエネルギー問題は、解消します。 エネルギー問題とは、中国の経済発展でのエネルギー多消費化では なく、米国の、溢れるようなエネルギー多消費社会の問題であるこ とが本質です。 ここに、人間の優しい知恵が働くでしょう。私は楽観的です。 【閑話】 それにしても、今の中国の大気汚染は酷い。 私は喉を痛め、最後は声が出なくなった(笑) 日本に帰ると、すぐ直りましたが。 あのならし放題の車のクラクション。 もう、びっくりします。 会議中でも電車でも、携帯電話は自慢げに使い放題です。 もう少し時間がかかるのでしょうか。 ▼2008年:北京オリンピックバブルへ 人口の年齢構成から言うと、ちょうど2008年から10年頃は、 日本の80年代後期バブル、米国の90年代後期バブルと同じよう な、マネーが乱舞する時代になります。これは、ほぼ確定であると 判断します。 【10倍の内需規模へ】 テレビやDVD、AV機器、携帯電話、PC、他の家電商品など、普 及率が100%に向かう日用商品の量産規模は、内需では日本の 10倍の規模があるのです。 この視点を深く心に刻むことです。品質面の問題は、繊維製品で解 消したように、数年で様変わりします。 元高が起これば、中国の海外商品購買力は、それに比例して上昇し ます。つまり内需が拡大する。 ▼国営企業の不良債権問題 国営企業の不良債権(現在融資額の50%と見られる)は、日本の ような低成長経済では問題ですが、中国のような成長経済では、年 々軽くなるのです。 ゴードン・チャンの、不良債権問題を起点に『やがて中国は崩壊が はじまる』(草思社)との論は、要素固定の延長をおこなった誤り です。 要素固定とは、現在の特定の数字(例えば不良債権額)を将来に延 長することです。金融の全体規模が4倍になれば、不良債権の額は 同じでも、その重みは四分の1に減じるという側面を無視する。 (注)日本の不良債権問題が、将来にわたって重いのは、名目金額 での経済規模が拡大しない低成長だからです。現在大手銀行の不良 債権は公表分で22兆円。観測では150兆円と言われます。この 7倍もの格差を、金融庁も政府も説明しきれていない。 ■4.中国の制度の根幹:土地の利用権 ここであまり知られていない、共産中国の資本主義化での本質的な 矛盾、つまり土地所有の問題を示します。 ▼人民の所有と使用権の管理機構 共産中国の全土地は、タテマエでは人民のものです。 共産中国は、日本国のような、擬似法人としての国有地を持たない のです。 しかし、(中央と地方)政府は、「土地の管理権」を独占的に持っ ているとされています。香港も同様です。 ▼使用権 外資や民間はそこから、使用権(最近では70年契約)を、(裁量 が含まれる)入札で買います。初期は土地の使用権の売買はできな かった。今は、使用権の売買ができる地域もあります。 資本主義的な、土地の絶対的私有権ではなく、許可を受けた使用権 です。70年使用権は、事実上の所有権ですが、許可がある点が根 本で違うのです。国家は、任意の都合で召し上げることができる。 ぎりぎりになると、法の解釈権は、政府が独占的にもちます。 中国政府はいたるところで、こうした1国2制度を、使い分けます。 ホンネとタテマエの使い分けです。中国政府の外交も、ホンネと タテマエから構成されます。 信義の関係がないと、または崩れると、タテマエを前面に出します。 信義の関係があれば、契約書が必要ないくらい、自在に使える。 ■5.反世界のカオスの統制方法:トップダウン 西洋近代の「反世界」が中国です。 私はそれを、アジア的ポストモダニズムと肯定的に見ます。 至るところ歌舞伎町の雑踏と密集。 制度と法の二重制、三重制、そして、政府による任意性。 中国政府は、このカオスを統治する。 ▼カオスを防止するのは、厳密な言語と契約のみ 中国では、曖昧な指示や契約では、放置すれば「人が多すぎること による混乱」がいたるところで起こります。 「厳密な言語と契約」に基づかない限り、組織や集団は、個人が勝 手な字義の解釈でばらばらに動いて、カオスになる。 ▼注意点 中国では、言葉で指示したことを、個人が勝手に(善意を含んで) 解釈し、「得られる結果が同じであれば、いいではないか」という 姿勢で、契約や現場作業が遂行されることが多い。 この理由を考えた。おそらく近代量産の未経験がある。 近代量産は、定型作業を敷くことによる、作業方法と手順を決める ことによって、結果の均質化を図る方法です。 つまり、近代量産には「作業プロセスの標準化」があります。 これに、われわれは慣れている。ところが中国の多くの人にとって 、得られる結果が同じであれば、「プロセスは勝手に解釈し、実行 してもOK」だという考えがあるのではないか。 ここで、作業の指示ミスが多発する。 ▼トップダウン 多くの中国の企業は、完全なトップダウン型統制をとります。 現場の自主的裁量を許さないところが多い。「得られる結果が同じ であれば、いいではないか」という姿勢で現場作業をやられては、 たまらないとの経験から来ているように思えるのです。 ここが、現場に任せる日本的経営と大きく異なる点です。 このことは、仕事の現場での指示でも同じです。 (1)個人の作業枠を厳密に決め、 (2)明確な言語と数字で指示を与え、 (3)作業目標を限定しない限り、 個々人が自分で解釈を行って、現場はカオスに陥る。 日本的マネジメントの本質にある「どうかよろしく」とか、現場へ の包括委任では、通じない世界が中国です。 現場の裁量権を与えれば、生まれるのは混乱。 ▼中国政府の方法も同じ 中国政府は「人が多すぎる国」の統治のために、頑固な原則主義を 取る。法は政府が「公布」し、政府が「解釈」し、「運用」します。 政府も、トップダウン法での国家・制度・法の運用です。 民の意見や政治参加は求めない。民の参加があれば、この国の中央 政府による政体は維持できない。民主制をとるなら、自治区的な省 単位の政府になるでしょう。(中国にとってその選択もある) ■6.民が参加できることの条件 民主主義は、古代ギリシアの小さな、城壁を持つ都市国家から発し た。数万人で「言語と価値観が共通で民度が均質」な都市国家だか ら「直接民主制」が成立したと言えます。 まずこの条件を想起すべきです。 都市国家より大きな、近代の「国民国家」では、方法的な、文化・ 言語・行動様式・価値観の共通化のための戦略があった。 ▼教育の効用 「義務教育」は国民としての価値観、行動様式の教育機能を果たす。 国民国家は、集団の協調をいたるところで教える義務教育で「国 民を作った」 国立大学は、大量の官僚養成機関でした。 宗教も、価値観の統一機能を果たした。 (日本では、宗教の機能を果たしたのは天皇です) 企業教育が「社員を作る」ための手続きであるように、義務教育は 「国民を作る」方法(戦術)です。国民は生まれるのではない。共 通言語、文化、義務教育で作られる。 加えて、不安定で感情に支配される直接民主制ではなく、 (1)「議会」での議員(エージェント:代理人)制度と、 (2)代理人の行動と政見を枠にはめる「政党」を作って、政党で まとめることで議会の秩序を維持しながら、政治を行わせた。 国家と政治は、あらゆるものを破壊することにもなる、その内部と 外部で人間の権力欲が衝突する「リバイアサン:統御できない怪獣」 です。権力欲をどう手なずけるか、ここが問題。権力とは、人間 を支配したいという欲望です。 今は自然に思える「近代国民国家」も、いたるところで、国民の統 一を確保するための工夫(戦術の合計を戦略と言ってもいい)があ る。 国民国家は、「国民国家になる戦略」によって、作られたものです。 ▼一人っ子政策の作用 今後中国は、一人っ子政策のために、親の所得に余裕が生まれ、留 学を含めて、子供の教育の、高度化の時期を迎えます。おそらくこ のことが、中国の社会を、根底から変える原因になる。 2010年頃から、中国は変わるでしょう。 漸進的(ぜんしんてき)な少しずつの民主化が図られるはずです。 ■7.笑いのプレゼント 香港で、以前にお土産に買った『迷奇』というナイト・クリームの 効能書きをプレゼントします。 以下のように日本語に翻訳されています。(原文のまま) 哀しいことがあったとき、悲嘆したとき、不幸を感じる時に読むと、 実にいいんですね。笑えます。声を出して読むと更にいい。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 <『迷奇』高級神秘の美容ナイトクリーム(合格書書き換える)> 高級神秘な美容ナイトクリーム『迷奇』には栄養性治療を主とし ている皮膚を保護した高級美容の上等品である。 この製品は、多種類の天然栄素ビタミン、ミネラルの成分を含ん でいるが皮膚上皮組織の栄養成分をよく改善できました。 そのうえ、皮膚上皮細胞の新陳代謝を促進するし、色素沈着を取 り除くし、老衰の過程を延ばすことができました。 数年の臨床の治療効果の観察と験証ことを経ってから、老年しみ、 蝶しみ、褐しみ、そばかす、挫創などの皮膚病に対して、みんな 効果があることである。さらに、しわの発生を遅られて、もう発生 したしわに対して、いっそうよく伸ばす作用があるである。 長期間に使えば、皮膚に純白、きめの細かい、光沢させて、その うえ弾力に富むことである。 この製品は、第38回ブリュッセルのユリカ国際新発明博覧会で 光栄にも金メダルを獲得られました。そのうえ米国のFDAで登録 されましたが、CPIS番号はF1070144である。 使い方:1.各種類型の皮膚に適用られる。 2.毎朝と毎晩に洗顔後ご使用してください。 3.お風呂に入った後、全身に塗りますと、もっと有効で ある。 中華人民解放軍301医院 中国迷奇日用化粧品株式会社 監修 香港総代理店 振堅発展株式会社 tel 8518669 fax 8507832 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 『銘奇』のナイトクリーム、匂いは安っぽく変でしたが、実際の効 果はあったと聞いています。 これくらいのユーモアのある翻訳ならいいのですが、中国語→日本 語、日本語→中国語では、双方が高度に洗練された表現を持つため に、翻訳によって深刻な誤解が生じます。中国ビジネスでは心すべ きことです。 今日はここまです。また来週お会いしましょう。では・・・ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【ビジネス知識源 読者アンケート】 1.テーマと内容は興味が持てるか? 2.理解は進んだか? 3.疑問点や質問点は? 4.その他、感想等 5.差し支えない範囲で読者の横顔情報があると助かります。 コピーして、メールに貼りつけ、記入の上送信してください。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ▼著者へのひとことメール yoshida@cool-knowledge.com ※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。 あなたと、会社の、知識とスキルのブラッシュアップを。 ▼<ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊分を超える 情報価値をe-Mailで>のサンプル閲覧と申し込み http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?keyword=P0000018 有料マガジンベストトセラーを継続中です。 http://premium.mag2.com ▼クール・ナレッジ掲示板(BBS)で投稿 http://cgi.members.interq.or.jp/venus/yoshida/BBS/light.cg |
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