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(02年6月10日) |
こんにちは、吉田繁治です。オフサイドの意味がやっとわかって、 俄(にわ)かサッカーファンになっています。今日は8時から、日 本VSロシア。先日のベルギー戦のときは、正月の夜のように街路 にだれもいず、車も見えなかった。 <Vol.103 日本の最善策は、国家財政破綻> 【目次】 1.新しいアイデンティティ:自己目標 2.90年代の日本の間違い 3.世界を支配できる資本をもつ日本 4.低金利の受益者:所得移転を受けた機関と人々 5.日本国の国家財政破綻が必要 6.国家財政破綻とは 7.増税と政府予算の拡大をやめること 8.6月25日大手町サンケイプラザでの講演のご案内 ■1.新しいアイデンティティ:自己目標 西欧で個人として活躍する中田英寿、米国メジャーのイチローは、 明治以降の日本人の世界観を変えたのではないか。30代以降の世 代の価値観に、新しい風穴を開けているように思えます。 中田の、通訳を介しないイタリア語を聞けば、世界へ向かった情熱 を喚起される若い世代は多い。21世紀の日本人は変わり得ると感 じます。アイデンティティは、国家でも会社でもなく、自己目標。 中田もイチローも、巨人軍のためにと言った長島茂雄とは違う。長 島には巨人軍という組織があった。巨人軍に一体化することに、長 島茂雄のアイデンティティがあった。会社のためにと言って働いて いたサラリーマンの人生観や価値観と連続的なものだった。 イチローと中田の仕事の場は、本場の米国と西欧だった。 イチローにも中田にも、過去の日本人のイエや組織のためにという 感じはなく、「自己目標で自律する」といった印象がある。自らに 課した、おそらくは苛烈なセルフコントロールがある。 多くが会社というイエに縛られ、イエにアイデンティティを託した 大手ジャーナリズムは、彼らの価値観、行動様式を捉え切れない。 イチローと中田がいなければ、日本人は自信喪失でアノミー(虚無) に陥ったのではないか。二人は、90年代の日本の救いになった。 今回は、中田が変わった。卓越したゲーム感覚と才をもつことを理 由としたクールな個人技から、日本チームを元気付け、率いるリー ダーになった。リーダーとはチームメンバーの成功を心から喜べる 人を言う。 ベルギーとの戦いで、彼は「点をとられたとき、みんな下を向く。 これではダメだ。顔を上げろ」と言った。 西欧でのおそらくは苦しい経験をへて、価値観を変えたのではない か。日本チームが点をとったときの、抱き合った歓喜の表情にそれ を見た。 彼の個性を、日本社会は理解できなかった。ベルギー戦で点を取ら れ「さぁ、みんな、顔を上げろ。本当の戦いはここからだ」と中田 が身振りの言語で叫んだように思えたとき、私は熱いものがこみ上 げるのを感じた。 今日のロシアチームとのおそらくは熾烈な戦いで、中田は、チーム の苦境で「さぁ、みんな、顔を上げろ。戦いはここからだ」と叫ぶ はずです。そのメッセージに、多くの日本人は熱い思いを抱く。 6月9日、午後8時30分、今後の日本人にとって、大切な意味を もつことになる試合が開始される。 ※以上を、読者の方は結果がでたあとに読むことになります。ゲー ム前の私の思いを伝えたいので、あえて書きました。 ■2.90年代の日本の間違い ▼金融のグローバル化の犠牲者だった ワールドカップは世界に中継される。極東のゲームを、世界の何十 億人が同時に見る。こうしたことは20年以上も前からあたり前で、 今はだれも不思議に思わない。 【世界の同時化と、引きずる意識枠】 ワールドカップでは世界のスターが生まれる。そのスターとの比較 で、ローカルなスターを見ることになる。テレビやハリウッドのス ターと、田舎回りをする劇団のスターに類比できます。 80年以降の、自由化された金融でも同じことが起こった。マネー は数字になって通信回線を移動できる。金額を表す数字はコンピュ ータ&ネットワークで、世界化、同時化している。 グローバルマネーはないのですがプラスチックのクレジットカード で実現しています。あたり前のことに、驚くべきことがある。 日本の銀行や保険は、資産規模は大きくても、ハリウッドスターと 対比されるローカルな劇団のポジションになった。金融の中田やイ チローは生まれていない。 ▼活かされていない金融資産:忘れられた視点 みずほ銀行は170兆円の(名目)資産規模で、世界最大。世界の 個人預金の30%は日本人のものです。GDPが世界の12%くら いであることを思えば、日本人の1人当たり個人金融資産は、世界 平均の約3倍はある。 【根底での誤り】 金融資産で最高の国が不況をかこつようになった。 ここに、90年代に政策の、根底での誤りがある。 今でも遅くはない、方向を転じることです。国内での自家中毒から、 中田やイチローのように脱することです。 世界中の日本人の対外純資産(対外資産−対外負債)は、179兆 円であり世界史上最大です。本源的に豊かな国は日本であるはずで す。 ▼意識と生活圏 グローバル経済とは言っても多くの人の生活圏と仕事の範囲は、以 前と変わっていない。地域と会社の枠組みで外部世界を見る。街を 歩いても、驚くほど似た顔と服装の日本人のみがいる。 金融は世界化した。生活や仕事の意識は世界化していない。だから、 マネーのみが、土地にしか投資できなかった自家中毒の日本から 逃げた。 金融のグローバル化に先行し、「日本人の意識と場の拡大」が必要 だった。90年代の世界の変化、つまり「経済の地球化」を多くの 日本人は歓迎しなかった。ここが根本問題です。日本人は、世界に 先駆け、世界に出て、経済の地球化を推進しなければならなかった。 マネーは海外逃避し国際化しているのに、日本人は世界を目指さな かった。海外逃避した日本人のマネーが、世界のいたるところに利 益の機会を産んでいたのですが。 【隣国では】 例えば中国では1万円は大金です。10万円は現場労働者の年収に 匹敵する。不動産が高くなったシンセンでも100平米の住宅は、 中レベルのものはまだ500万円です。日本の円の力は、中国では 10倍くらいに肥大する。 不動産投資で沸騰する上海では、5000万円の住宅投資は、年 15%以上の利回り。高い水準の不動産利益も海外にはある。 【製品輸出での成功と、マネー輸出での失敗】 80年代までは、日本は世界への製品輸出での成功者だった。 80年代末からの金融の輸出者としては米国と西欧のカモになった。 【金融機関の資産空洞化があっても、金融資産は残っている】 その結果、過去の金融資産の名目額は残っているものの、資産は実 質では空洞化し、新たな利を生むことにはなってはいない。 しかしここからが大切な点です。日本政府は、金融資産の実質額の 減額(つまりインフレ)は、望んでも起こしえていない。 金融機関の資産は空洞化していますが、預金の実質額はインフレが ないため、維持されている。 今後も1400兆円の金融資産を、(世界水準の)5%で回せば、 年間70兆円(世帯あたり155万円)の金利や配当になる。 10%の利回りなら、世帯あたりで310万円にもなる。 日本人全員が働く必要がない規模の金融資産、それが1400兆円。 ■3.世界を支配できる資本をもつ日本 ▼たった5%の金利(または配当)でも 1400兆円に対し5%の金利(所得)があれば、日本経済はすぐ に浮上する。消費もブーム化する。世界の産業の資本家になること ができる。この可能性をもつのは、本源的な貯蓄をもつ日本人だけ です。 個人の所得が増えないのに、消費が増えるわけがない。 (ただし、米国人は、要は海外から借金で消費を増やしています) 【米国と日本】 米国は世界からマネーを借りている。米国国債の30%以上をもっ ているのは日本です。米国人を働かせ、日本人は世界の資本家の位 置を占めることができる。これが、普通の考え方であり、とこまで いってもあたり前の、資本の原理です。 世界史上最大の金融資産を活かす政策と運用があれば、90年代の 日本は様変わりしていた。ところが日本の代わりに繁栄を謳歌した のは、借りた米国だった。 ▼不自然な構図 借金をした側が豊かになって貸した側が貧しいという構図は、根本 的に不自然です。理由は日本の異常な低金利です。低金利ならうま くマネーを借り投資した人が豊かになり、貸した人は貧しくなる。 こうした当然のことが、変に思えないのは財務省、マスコミ、経済 評論家の論が、(気がつかない間に無意識に)歪んでいるからです。 90年代の日本は金融機関救済の目的で異常な低金利策をとってい る。 ▼合法的所得移転 低金利は金融資産の所有者から借り手(占有者:使用者)への所得 移転です。 少なくとも1400兆円×3%=42兆円(年間)は所得移転があ る。10年で420兆円にもなる合法的な預金者からの所得簒奪( さんだつ)です。 他方預金者も、低金利に甘んじ預金を積み上げた。所得移転を受け 入れた。国税の総額は約50兆円です。加えて預金者は42兆円の (実質的な)税をも、低金利の結果として好んで納めたことになる。 ■4.低金利の受益者:所得移転を受けた機関と人々 ▼政府・企業・米国 低金利の資金を使ったのは、 (1)10年で400兆円の公共事業を行った政府と地方自治体、 および政府関連機関、 (2)80年代末から90年代初頭に借金を積み上げた国内企業、 (3)日本の低金利資金を呼び込んだ米国です。 公共事業は、失業防止の政策名目で実行された。官の権益の拡大と 官に近い企業の売上と利益になり、国民負担率は50%を超える勢 いになった。 ▼残った政府債務 そして、GDP(500兆円)の140%の700兆円という政府 ・自治体の負債が残った。この負債は、政府は返すことができない から、増税と国民負担の増加策をとることが確定している。 【政府は、今後も収奪を重ねる】 今の政府の、政策の根幹は、 (1)福祉のカット (2)および増税です。 ▼高齢化社会というプロパガンダ この2つは、国民の所得を、更に政府が召し上げようとすることを 意味します。政策名目は「高齢化社会論」です。2025年には4 人に1人が、65歳以上になる。そのための福祉を負担しなければ ならないという一見では優しい政策に裏がある。 【失業防止というプロパガンダ】 低金利の借金を積み上げた多くの企業は、借金の返済どころか利払 いいすらできない。契約通りの利払いと返済を迫れば、資金がショ ートし潰れる。潰れれば失業が増えるからという論理で、低金利と、 利払いと債権のカットが正当化されている。 ▼政府にも企業にも蔓延する粉飾 日本の会社のうち、三分の2の150万社は、税務申告上の赤字法 人です。財務省・日銀が決める日本の銀行の(公式な)融資制度で は、赤字企業への追加融資は、担保があっても普通はできない。 ここに2重ルールがある。赤字企業150万社への融資は、財務省 の融資規程どおりなら、多くは引き揚げなければならない。ここに 粉飾を許す構造がある。粉飾は資本主義では、アカウンタビリティ の根底を揺るがせる詐欺です。詐欺によって資本主義は潰れる。 米国も、日本から呼び込んだ資金を返す予定はない。 そのため、日本は低金利策を取り続けるべきだと外圧をかける。日 本の名目金利が米国の名目金利より高くなれば、資金の逆流が起こ るからです。 日本人の1400兆円の金融資産に、政府、債務超過企業、金融機 関、米国が群がったのが90年代です。本当の数字を出せば、マネ ーは引き揚げるから、粉飾でごまかす。 以上を総合すれば、以下の驚くべき結論になる。 日本の政府財政の破綻が、将来の日本を救うという逆説的な結論。 ■5.日本国の国家財政破綻が必要 日本国債は、そのほとんどを、日本人と金融機関、機関投資家がも っています。 この点が、米国やアルゼンチンと根本的に違う点です。 日本は、対外純資産179兆円の国です。 米国は、対外純債務の国です。 対外純債務の国の、国家財政の破綻は、国際マネーが引き上げるた め、国民生活に塗炭の苦しみを与えます。 しかし日本では、国家は身内からの借金をしている。 よく言われるように直接には国民からの借金でもない。 国債をもつのは、政府機関、日銀、金融機関のみです。 以下は、多少乱暴な論を展開します。 米国の政策も、国際金融マフィアの政策も、緻密なものではない。 ムーディーズの日本国債の格付けで、乱暴さが明らかになったので す。乱暴な戦術には、乱暴な論しか似合わない。 ▼ムーディーズというピエロが踊った 格付け機関のムーディーズは、日本の政府債務が700兆円(GD Pの1.4倍)になったことを理由に、日本国債の格付けを一挙に 2段階下げた。ピエロが踊って日本経済の評価を下げる観測気球を 揚げ、その後の、短期・長期の資金の動きを観察したのが、日本国 債の格下げですね。 評価に乗って、日本売りの自虐的な日本産業論を展開しているのが、 欧米への劣等感と、日本人への優越感を併せ持つ日本の大手紙で す。 【国際信用評価の各国比較】 政府債務 1人あたりGDP 外貨準備 国債 (GDP比) (米ドル) (億ドル) 格付 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 米国 58% 35,619 691 AAA 英国 51% 23,887 401 AAA ドイツ 63% 22,704 856 AAA フランス 65% 21,361 653 AAA カナダ 95% 22,768 349 AAA イタリア105% 18,604 485 AA 韓国 17% 8,658 1050 AA− イスラエル − 16,807 233 A ギリシア 98% 11,372 131 A 日本 142% 37,546 4067 A 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (日経新聞 02.06.01) 日本政府は、国内金融機関から借金をしています。これが、GDP の142%の政府債務。1国をひとつの家族と見れば、家族内での 貸し借りです。他方、米国は、隣の家全部(日本、西欧、中国)か ら借りている。 米国と日本と、根底でどちらが経済として健全か、一目瞭然です。 米国は、国際金利の高騰が起これば、ドルからの流失が起こって、 ほぼ一瞬で危なくなる。金融はいつも瞬間勝負です。 他方日本では、政府財政が破綻するだけです。 政府が財政破綻しても、官僚、官の関係者、直接・間接の予算受給 者はともかく、政府予算に関係のない、むしろ税の収奪を受けてい る50%の国民は、損害を受けません。(国民負担率50%の意味) 【二分】 国民は以下に二分されています。 受益者 =政府予算からの受益−支払う(税+福祉負担)>0 非受益者=政府予算からの受益−支払う(税+福祉負担)<0 受益者の総数と非受益者の総数が、50:50で等しいことを、財 政赤字を含めた、以下に示す国民負担率49.2%は示しているの です。 【国民負担率の比較(対GDP構成比)】 社会保障 資産 消費税 法人税 個人所得 財政 合計 負担 課税 税 赤字 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 日本 14.4 3.8 6.9 4.3 7.5 12.3 49.2% 米国 10.1 3.9 6.1 3.4 14.1 1.1 38.7% 英国 10.2 5.1 16.4 5.0 12.2 5.8 54.7% 独 26.7 1.4 13.8 2.0 11.9 3.7 59.6% 仏 28.3 7.1 17.1 3.6 8.6 4.6 69.2% 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/memo/memo03.htm ※日本は2000年度:米97年:英96年:独97年:仏97年 政府の財政危機は、行政機関のデフォルト(債務不履行)の危機で あり、国民の危機ではない。国債は、政府、日銀、金融機関がもつ。 国民はわずかしかもっていないのです。以下を見ればわかるでし ょう。 ※国家財政危機を、国民経済の危機と喧伝(けんでん)するのは、 行政官僚です。国家財政危機とは、国債が(今の0.8%や1%の 低金利では)売れにくくなることです。 過去にNY市は財政破綻でデフォルトと給料の遅配を起こした。 しかし、NY市はその後回復した。行政のデフォルトを怖がる必要 はない。デフォルトを避けるための増税こそ避けるべきものです。 0.8%の国債が売れる状態が異常です。普通なら5%の利回りが 必要です。これが本来の金融でしょう。 【主体別国債保有高】 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 政府等 36% 188兆円 日銀 14% 73兆円 市中金融機関 33% 172兆円 海外 5% 26兆円 家計 3% 15兆円 その他 9% 46兆円 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (02.01.15日経新聞等より筆者計算) 家計がもつ国債は15兆円にすぎない。私は国債をもっている人に 会ったことがありません(笑) 財政破綻を避けるための低金利と、増税、および福祉負担の増加が、 国民を貧しくさせます。政府の財政破綻が国民を貧しくさせると はむしろ虚言です。 増税と福祉負担の増加は、国民の富の、政府による収奪と分配です。 国債の下落(金利高騰)は、政府と政府機関および金融機関の会計 を破綻させるだけです。 ▼今慌てているのは国際金融マフィア 2000年の米国株(NYSEとナスダック)の株価崩落以降2年、 国際金融マフィアは慌(あわ)てています。 【9.11の根】 このうろたえが、01.9.11の同時多発テロ攻撃を薄々感じて いながら放置したというCIA、FBI、ブッシュ政権の動きまで を生んだ。 ニューズウイークまでがテロの予兆をブッシュ政権が無視したこと を報じています。『ブッシュはテロ攻撃を知っていた』(ニューズ ウイーク02.2.29号)ブッシュは追い詰められている。これ は大事件を引き起こす危険につながります。 戦争参加への世論の喚起のために、真珠湾攻撃を暗号の解読で知っ ていながら放置した、米国の歴史を思い出します。 【米国経済の真の危機は】 エンロンに代表される、続発する企業の粉飾決算です。 資本主義の総本山、米国の企業の、信用低下になる。 これでは、米国にマネーは集まらない。 (日本人はこうした粉飾に慣れているため不感症になっています) 今回のムーディーズは、格付けが、国際金融マフィアの日本買いの 戦略に乗ったものであることを白日のもとに晒したことになった。 格付け機関の信用が下がるのは、将来のためにいいことですね。 ▼明白な狙い 国際金融マフィアは、日本国債の格付けを象徴に、日本経済の評価 を下げることで、日本と日本企業を安く買い、そして高くなったと き売り抜けることを狙っています。 米国の企業は、今の日本と比較すれば危なくて買えないからです。 日本の株価が外人買いで上昇し、それに日本の郵貯や簡保、年金マ ネーが追随し、約20%くらい上がったところで、売り抜ける算段。 【容易に乗る日本人】 見え透いた戦略ですが、日本のサラリーマン・ファンドマネジャー と、投資意思決定者は、横並び行動ですから、上昇期に一時のつか み金をもらっただけで、最後は収奪を受けるでしょう。 【根本】 根本は、 (1)日本の機関投資家の投資行動が、環境に対してre-active(反 応的)であることが原因です。 (2)投資は、環境を変えるpro-active(先に変化を引き起こすこと) でなければならない。 だれにも明白な傾向が見えたとき、横並び行動をとれば、あがりす ぎて(バブルが発生し)後は下がるか、下がりすぎて買いの機会を 提供することにしかならない。 ▼金融はゼロサムゲーム マネーゲームは、商品生産とは違い、ゼロサムであり全体の富を増 やさない。だれかが、損をした人の分と等量の利益を受け取る。日 本人の負けは(主として)米国、西欧の勝ちになる。 しかしながら、今回のムーディーイズの見え透いた行動を見ると、 米国の金融の、奥の院は、エンロン事件以降、慌てているように思 えます。エンロン事件で米国企業は信用を失っている。 低金利は、預金者から借り手への富の移転です。普通の5%金利に なれば、日本の預金者は70兆円の所得を奪還できる。 だれが低金利で得をしたのか。 (1)膨大に借りた政府 (2)債務超過企業 (3)日本の資金を使った米国です。 損を蒙ったのは、世界の30%の金融資産をもつ日本人です。 米国人の金融資産は、株の上昇によるバブルです。(現在でも米国 株のPERは26、歴史的水準の13の2倍) 他方、バブル期をすぎた個人の1400兆円の金融資産は、消費の 節約による、本源的な預金の累積です。個人の持株はわずかです。 ▼根底は米国の恐怖(この項重要) エンロン事件のような、5大会計事務所の腐敗を示す米国企業の会 計不正や粉飾が、今後も発覚すれば、米国からマネーは逃げる。 米国からネーが逃げれば、米国経済は、瞬間に底に沈みます。 そこで、ムーディーズは日本を叩いた。日本はもっとひどいという アピールです。目的は、日本、中国、西欧のマネーを、米国にとど めるためであり、同時に一部投資家に日本株を底値で買わせること です。 【そして次は、見え透いた方策】 米国経済の維持の目的のためには、ブッシュ政権は、 (1)対イラク戦争と、カスピ海原油の支配、 (2)次は、新ドルの金兌換までを、狙うでしょう。 ■6.国家財政破綻とは 国家財政破綻とは何か? 今の税収と社会福祉収入では、政府の債務を返済できない「可能性」 が、金融市場に「広く」認識されることです。 そうなると、低金利の国債が売れなくなる。国債が売れなくなる( =国の借金増加に国民がノーと言う)ことは、国債価格の下落、つ まり金利の高騰を意味します。 (1)過去の低金利国債と政府債の市場価格は下落します。 (2)同時に国の予算の縮小が起こります。収入が減るからです。 国債をもっているのは、銀行、保険会社、郵貯、簡保、厚生年金、 政府、そして最大は日銀です。こうしたところは債務超過になる可 能性がある。 プロセスでは以下のことが起こります。 (1)政府予算は緊縮型になる。つまりこれ以上の、官の権益の拡 大は抑えられる。 (2)金利の上昇が起こり、債務超過になった企業が倒産する。つ まり、新しい企業が進出できる余地が拡大する。 (3)金融機関の破綻が起こる。預金者は、預金を一勢に引き出す から、一時的に預金封鎖が行われる可能性もある。 (4)日銀はマネー供給を、政府、金融機関に対して行う。 (5)商品のインフレは起こらない。中国製品があるから。 この5項の全体は、何を意味するか。 内実では、すでに、政府財政破綻が起こっている。 国家の税収が45兆円から50兆円にすぎないのに、政府予算は8 0兆円を超えるレベル。年収450万円から500万円の世帯が、 毎年、800万円を使っているに等しいのが、今の国家財政です。 ここで国家財政破綻とは、「公式に」国家と行政機関の債務返済が できないと「みなされる」ことにすぎない。 ムーディーズによる日本国債の格付けの意図的な下落は、日本政府 が財政破綻状態にあることを、世界に認めさせようとするものです。 本当の財政破綻は、金融機関が国債の増加発行分を、買わないとい う姿勢を示すことで阻止することです。1%金利の国債は買わない ほうがいい。国債を買い続けるから、政府や公共機関の無駄な支出 が続く。 80%の支持率だった小泉政権の人気が35%レベルに下がったこ との意味は大きい。政権(自民党)と高級官僚への信頼は、とりも なおさず国債への信用だった。 一旦は、政権与党と政府・官僚の信用が地に落ちたほうが、将来の この国のためでしょう。 日本の金融資産の過半は、50代上と退職者世代が保有しています。 インフレが起こらない限り、金融資産が減価することはありません。 日本の国家財政破綻が起こっても、日用品価格のインフレの可能性 は少ない。チャイナ・プライス効果があるからです。国内物価が高 くなれば、日用品の中国からの輸入が一層有利になる。 円安になれば、日本企業の輸出力と利益は回復するから、仮に政府 が財政破綻しても、つるべ落としの円安もない。企業の輸出力はま だ衰えてはいないからです。 更に、国内には、20%くらいの余剰生産力がある。インフレに向 かうとなれば、一勢に、眠った工場が稼動します。こうして、物価 の上昇は、ほどほどのものになる。 ▼世代別金融資産 個人金融資産の平均1,385万円(中央値は800万円)はご存 知でしょうが、世代別金融資産は、取り上げられることが少ない。 以下に示します。 (2001年1月) (世代) 平均金融資産 中央値 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 20代 339万円 130万円 30代 653万円 450万円 40代 1150万円 800万円 50代 1692万円 1022万円 60代 1872万円 1300万円 70代以上 1775万円 1095万円 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (総務省郵政研究所「家計における金融資産選択に関する調査」: 世帯でなく個人での集計) 【高金利で福祉予算はカットできる】 日本では、金融資産(預金・保険・年金・株)は50代以上の熟年 者、高齢者に集中しています。つまり高金利策は、有効な福祉策で もある。金利があれば、高齢者への福祉予算はカットできる。 高金利になれば、金融資産が活きます。政府には、預金封鎖や、日 銀によるマネー増発を今以上に拡大する力はないはずです。 【物価は】 物価では100円のものが130円にはなる可能性はあるが、20 0円、300円になるようなハイパーインフレは起こらない。すで に、1国経済ではなく安いものが流入するグローバル経済だからで す。 グローバル金融では、日銀も、重いポジションではありますが、1 プレーヤーにすぎないことを意味します。 〔国家財政破綻の認識→国債価格の下落→高金利〕は、90年代と は逆の、 (1)金融資産の保有者への、金利という所得の移転、これは消費 を喚起します。 (2)最大の借り手(700兆円)の政府部門からの利払いの増加 による、政府の裁量部分の減少、 (3)債務超過企業の淘汰が起こる。 いずれも、一時的には危機でも、将来のためにはプラス要素が大き い。危機は、1997年のアジア通貨危機の後、IMFの金融緊縮 策を受け入れた韓国のように、日本においても80年代と90年代 の清算をするのです。それが、「創造的破壊」で次の飛躍になる。 80年代は、マネーの借り手は、土地神話に乗った民間企業でした。 90年代は、政府だった。いずれも、返済が不可能な額を借りた。 それを清算するのが政府財政破綻の認識からくる高金利です。 ▼増税の選択はあるか 増税ができるかどうかは、官僚ではなく、政治が決めます。政治は、 選挙によって決まる。つまり国民が選択しなければ、増税策はと ることができない。世論に反して官僚が決めることはできないので す。 財務省や御用学者、経済評論家がどう言おうと、ここまで深く政治 家・官僚不信に陥っている国民が「増税や福祉費の増加」の選択を 行うとは想定できない。 今後の増税策では、内閣が次々に潰れます。 そして、数年後に、政策転換が起こる。 ■7.増税と政府予算の拡大をやめること 国債が売れないことは、金利の高騰であり、日本の金利の高騰は世 界のマネーを呼び込みます。 同時に、個人金融資産の1400兆円に5%の金利(70兆円)が つく方向に向かうことを意味します。世帯あたり155万円(5%) の年間受け取り金利は、10年以上も我慢してきた内需に火をつ ける。そこから、日本経済の再生が起こる。 政府の公共投資による内需拡大ではない。減税と受け取り金利によ る内需拡大です。 自然に振舞っても、今後、700兆円の債務を抱えた日本の国家財 政は破綻します。金融市場がそう認識したとき、国債(つまりは政 府予算の拡大)に向かっていた資金は、民間と国外に向かう。 そのときは、日本経済が、再び世界に飛躍する時期にもなる。 国債が0.8%金利でいくらでも売れるということは、政治家と官 僚が、自由に予算を拡大できることを意味します。そんな経済は、 もうやめたほうがいいのです。 以上が、国家財政破綻の明るい意味です。 増税の財務省イデオロギーは国を潰します。 ■8.6月25日大手町サンケイプラザでの講演のご案内 Applied Business Academyの主催で、ゲスト講師として『サプライ チェーンとロジスティクスは、何を変えるか』というテーマでの基 調講演を行います。 日時:6月25日(火)13:00〜14:40(基調講演) 会場:東京大手町サンケイプラザホール 会費:10,000円 詳細な案内と申し込みは、↓ http://www.logi-scm.com/seminar.html 今回は、IBMフォーラムとは違い、セミナー団体の主催ですから、 有料です。どなたでも申し込みができます。400席で、残数があ るようです。 ※Applied Business Academyからの依頼があったので、本案内を載 せました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【ビジネス知識源 読者アンケート】 1.テーマと内容は興味が持てるか? 2.理解は進んだか? 3.疑問点や質問点は? 4.その他、感想等 5.差し支えない範囲で読者の横顔情報があると助かります。 コピーして、メールに貼りつけ、記入の上送信してください。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ▼著者へのひとことメール yoshida@cool-knowledge.com ※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。 あなたと、会社の、知識とスキルのブラッシュアップを。 ▼<ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊分を超える 情報価値をe-Mailで>のサンプル閲覧と申し込み http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?keyword=P0000018 有料マガジンベストトセラーを継続中です。 http://premium.mag2.com ▼クール・ナレッジ掲示板(BBS)で投稿 http://cgi.members.interq.or.jp/venus/yoshida/BBS/light.cg |
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