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日銀による不良債権買取という方法

               (02年6月17日)
こんにちは、吉田繁治です。前回のマガジンで<日本の最善策は国
家財政破綻から
>をお届けしました。

財務省がもくろんでいる財政再建のための増税は、GDPの中での
官の領域を拡大的に固定し、民の経済を圧迫(クラウディング・ア
ウト)するため、この国の経済を「静かな死」に至らしめることを
示したかったのです。

多くの感想をいただきました。官僚に対する反発が、予想以上に強
いことに、認識を新たにしました。

小泉内閣の「構造改革」へは、官が税と予算で支配する経済を脱す
ることに期待があった。構造改革の(今の結果ではなく)方向に対
し、国民の約8割が支持を与えた。

ハチャメチャな論理としか思えない田中真紀子への支持も官僚への
嫌悪からでした。

既得権派(橋本派)の抵抗と、リーダシップの欠落で進まない構造
改革の蓋(ふた)を開けてみれば、「詐欺的に」期待に反するもの
だった。首相は信頼できないという世論が急に増えた。

内閣の支持率は35%に急落し、不支持は40%〜50%になった。
日本の国政史上最高の人気内閣が1年でレーム・ダック内閣にな
った。ワン・フレーズ内閣の支持はタレント的なものであったこと
が証明された。

まず、財政再建(地方財政を含む)という必ず出てくる財務省の政
策が、どんな背景を持つものであるか知る必要があります。意外に
皆、財政の内容を知らず、財政を包括的に明らかにする記事もない。
英国のベーコンが言ったように「知はパワー」です。

官は、民に知らしむべからずとの姿勢がある。官僚国の特徴です。
米国の分かりやすさとは違います。(ただし米国は国防に絡む、C
IAの国際諜報戦略で、分かりにくさがある。)

今回は、論を進め、<日銀による不良債権の買い取りという方法>
の考察です。要は、形式上日銀の財政を破綻させるのです。日銀を
債務超過に追い込む。それが民の経済のための最善策。

といっても、通貨発行権を独占する日銀は破綻しない・・・中央銀
行の信用は、マネーの不思議さにつながる経済学の謎の機関です。
「だれも損をしないように$100万をとり戻し、日本経済を再び
繁栄に導く方法」がある。英国のジェフリー・アーチャーの痛快な
小説『$100万を取り戻せ』 筋はだいぶ違いますが(笑)




Vol.104 日銀による不良債権の買い取りという方法>

【目次】

 1.国内総支出と、政府の借金の中身を見れば
 2.歳入と歳出はどうなっているのか
 3.440兆円の累積債務の財投がある
 4.81.2兆円の政府の歳出合計
 5.低金利・ゼロ金利が長期続くことが市場に認定されれば
 6.根底の問題は、日本の金融機関のゼロ〜マイナス自己資本
 7.最高の策は、日銀による民間銀行の不良債権買い取り
 8.民間企業への資金還流の回復
 9.6月25日:大手町サンケイプラザでの講演のご案内(再掲)



1.国内総支出と、政府の借金の中身を見れば

▼国内総支出


以下に、最新の国内総支出(≒GDP)を示します。1兆円を1億
分の1にして1万円で読めば、ほぼ人口一人当たりの数字になりま
す。(実際は126百万分の1ですが)

          2001年  02年1−3月期(年換算)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 民間最終消費支出 291兆円  296兆円
 民間住宅投資    19兆円   18兆円
 民間企業設備    86兆円   79兆円
 在庫品増加     −2兆円   −2兆円
※政府最終消費支出  89兆円   91兆円
※公的資本形成    35兆円   36兆円
 輸出        55兆円   57兆円
 輸入       −45兆円  −44兆円
(純輸出)    (10兆円)  (13兆円)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国内総支出     529兆円   535兆円
         (実質金額であり物価は1995年基準)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
               (日経新聞02.06.07)

291兆円(構成比55%)民間最終消費は、個人消費とも言われ
るものです。正確には民間企業と世帯の消費や購買分です。

01年の、国内総支出521兆円のうち、
・上記で※印の政府最終消費支出89兆円(構成比17%)、
・および※の公共投資である公的資本形成35兆円(構成比7%)、
合計で124兆円(構成比24%)が、中央政府および自治体の
領域です。

1億2600万人の国民で一人あたり年間100万円は官のGDP
領域であるとすると、官の肥大した大きさが分かるでしょう。

4人世帯で年400万円分が官の予算の領域になる。

イメージ化すれば、税込み年収916万円の4人家族世帯に対し、
国・自治体・特殊法人・政府機関が(ほぼ断りもなく)400万円
を使って生活インフラや福祉・教育・医療を支えているということ
です

例えれば・・・

われわれの意識では、奥さんもパートで働いている4人家族の世帯
年収916万円のなかから、

  526万円(収入の57%)で生活をし、
  150万円(16%)を預金と保険で貯め、
  税と社会保険料(直接国民負担)で240万円(26%)を
  支払っているのですが、
官は、いつのまにか生活の周辺で、時折、景気対策とワン・フレー
ズを叫び、税収の1.7倍の400万円分を使っていた。

そして政府が使う400万円を少しでも減らせば、「失業とホーム
レスが溢れる」と脅される。財政赤字だから、しかも、これからも
っと高齢化(2025年で25%が65歳以上)に向かうから、税
と社会福祉負担を増やすと国は言う。

日本人の家計の経済意識は、世界で最高に健全な、ヴェーバーのプ
ロテスタントのように、資本忠義的な倹約の精神が横溢。
米国人の、借金や株での消費生活を横目で見て、累積で1400兆
円も生活を切り詰め節約して貯めた。

切り詰めた結果として日本のみならず米国を中心とする世界に、本
源的な資本を供給した国民が日本人です。世界の90年代の繁栄は
日本人の資金から生まれたことが実体です。

この優しい心を持つ国民から、官の知らしむベからずの姿勢での、
富の合法的な簒奪は許せるものではない。だから、知の勝負です。

日本国民の経済感覚とつつましい生活意識には一点の間違いもない。
間違いは預金を預かる金融機関、税を預かる政府部門で起こった。
うまくそれを操ったのが、米国の金融マフィアです。

世界史上の最高の本源的資本家(日本人)が、日本国政府と米国か
ら簒奪を受けている。そうした姿が浮かぶのです。

家計の健全さの上に胡坐(あぐら)をかく政府部門は、豊富な個人
金融資産を使うザルです。公僕として国民の税や預金を預かってい
るという意識ではなく「官が蒙昧な民を指導する」と言った風情。

イデオロギーは、マクロ経済学を発明したケインズ主義だった。

日本では目に見えた搾取はなかった。しかし、国民の資金を預かっ
た金融機関と行政が、占有(運用権)を所有権と勘違いし、資本の
未来の配当を搾取した構造がある。預金が生む金利は未来の配当で
す。これをどう取り戻すか、これが今回の考察の目的です。

家計で言えば400万円に相当する政府最終消費支出と公的資本形
成(国全体では124兆円)を、マクロの資金フローから見ると、
政府の収入と支出はどうなっているか。

2.歳入と歳出はどうなっているのか

       2002年       03年試算(財務省)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【歳入合計】  81.2兆円(100) 85.5兆円
  税収    46.8兆円( 51) 46.4兆円
  税外収入   4.4兆円(  5)  3.5兆円
  国債発行  30.0兆円( 37) 35.6兆円

【歳出合計】  81.2兆円(100) 85.5兆円
  国債費   16.7兆円( 21) 17.3兆円
  地方交付税
  及び交付金 17.0兆円( 21) 19.2兆円
  一般歳出  47.5兆円( 58) 49.0兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

02年では、個人所得と企業から徴収する税収と税外収入が51.
2兆円で、歳出(支出)は81.2兆円ですから、30兆円の資金
不足(財政赤字)です。歳出は、平安時代から続く官の気取った用
語です。民の支配をおこなうという歴史感覚を持っています。

例えれば、年収512万円の人が、その59%増しの812万円を、
毎年使う家計。すごい赤字家計です。通貨発行権を持つ国家(日
銀は国家機関)でなければ、サラ金または借金倒産が目に見えます。
同じことですが、これが国家財政破綻です。

普通に見れば国家財政は破綻している。国家財政の破綻でも、たい
したことは起こっていない。そう認識することです。破綻はこれか
ら起こるのではない。既に起こっている。これで気が休まります。

家計で例えれば

政府債務の累積残高は(195兆円の地方債務を合わせると)約
700兆円ですから、年収512万円の家計で言えば7000万円
相当の住宅ローンやカードローン負債をしていることに相当する。

年収の13.7倍の借金です。住宅ローンでも年収の5倍が限度で
す。収入が今の2.7倍にならないと正常化しない家計と同じです。

名目GDP(国民経済のフローの総額)である500兆円の1.4
倍の政府借金と言われる700兆円の政府累積債務がこれです。

国家の資金では戦時中の「国家総動員令と国債乱発」を、90年代
は民需不足、民間投資不足を補う景気対策のために実行したと言っ
てもいい。金融では57年前の敗戦後に似ています。戦艦ヤマトや
ゼロ戦の代わりに、箱ものや道路、空港が残った。

政府の投資によって、92年からのバブル崩壊後の需要不足、投資
不足は補われ500兆円のGDPが維持されてきた。GDP総額が
維持され5%失業で雇用が維持されたのがいいことか、公共投資4
00兆円分がムダになったのか、ここで国論が分かれる。

ベルサーチが好きな長野県知事の「コンクリートのダムは作らない」
は官の経済のムダを訴えたものです。これに対し、90年代を通
過したとき国民の50%にまで拡大してきた直接・間接の、官の予
算の受益者、関係者はどういった態度をとるか。ここに、50:50
に分かれる国論の2分がある。

ここで驚くのはまだ早い。財務省資金運用部が郵貯や厚生年金を使
う「財投」という第2の占有予算がある。この国の官は巧妙です。
(幹部は民間採用をするという米国風制度を導入すべきですね)

3. 440兆円の累積債務の財投があ

政府債務には、700兆円の他に財政投融資(財投)を行っている
「資金運用部特別会計」が加わります。これは主として郵貯と厚生
年金から占有的に借りています。

国家による資金運用で、一般会計とは形式上は別ですが、財投が国
会審議が曖昧な「特殊法人や政府機関を通じた公共投資の別枠の予
算」になっています。

族議員と業界団体は財投に「たかった」。
田中角栄の権力の根源だった負の遺産とも言えます。

資金運用部特別会計の借金:2000年度末】
 郵貯から       247兆円
 厚生保険預託金から  132兆円
 その他         61兆円
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 合計         440兆円

上記に含まれる00年の新規財投は、37兆4660億円です。予
算委員会で審議される政府の一般会計47.5兆円に対して79%
の規模を持ち、田中派と旧大蔵省の支配権力、族議員の票の源泉に
なった第2の予算。

財投の累積債務が、440兆円。民間銀行からの企業融資が500
兆円であることを思えば、特殊法人、住宅金融公庫を含む政府機関
へ流れた融資の440兆円の大きさが分かる。無限に膨らむように
思えた郵貯という制度が、この財投を生んだのです。

日本の金融のコアには世界最大の資金を貯めた郵貯・簡保がある。

財投の440兆円の借金を含めれば700+440兆円=
1140兆円もの政府借金です。(財務省)資金運用部は資産とし
て長期国債を73兆円保有していますから、国債の2重計算を除け
ば、1067兆円です。

大枠で言って、合計で1000兆円の政府債務と見ていいでしょう。

21年の未来の先食い

1000兆円は名目GDPの2年分で、個人金融資産1400兆円
の71%にもなる。政府の税収の21年分です。国は21年分の税
を、ケインズ主義のイデオロギーで先食いしたといっても同じこと
です。

政府が、GDPの2年分の借金をしている官支配経済が日本です。

不良債権爆弾

仮に、政府借金を使った投資で不良資産が(ごく少なく見積もって)
20%分あれば、それで200兆円です。財投の資産(貸付金等)
には、土地価格の下落を含む時価評価はなされていません。

巨額赤字を出す空港の設備や公共施設の不動産も、公共投資の取得
原価のままです。バブル期に比べ地価は20%から30%になって
いるはずですが。

財投は融資の内容、融資先の資産の評価が明らかになれば、民間不
良債権より大きな不良債権爆弾になると言われて久しい。

日本の政府は、だれが見てもこれ以上借金を積み上げることは不可
能と思われる規模の債務を抱えています。残っているのは国有資産、
地方自治体の資産、および特殊法人や政府機関の資産です。

目に見える風景は

県庁や市庁舎、および各県の空港等が、90年代で立派になってい
ます。5月から6月の全国連続講演で、地方都市10箇所を回り、
驚嘆した。全部、国民からの借金でできています。

民間投資では、郊外のロードサイドに安っぽいファミリーレストラ
ン群や、ローコスト店舗・ショッピングセンターができた。

地方自治体の設備や道路はそびえるように屹立し、冴えて立派にな
った。工場団地はがら空きで、新鋭工場は海外に移転した。
これが90年代でしたね。

立派な設備を作った国と地方の財政は、赤字ですから、作った設備
の維持費でも、また借金(国債)を積み上げる構造がある。

90年代の公共投資は、国民の要求でもありましたから、官のみの
責任というのは酷ですが。

4. 81.2兆円の政府の歳出合計

政府は2001年度は30兆円国債(借金の紙)を発行し、それを
民間に(民間分を日銀が買い上げします)売って、収入を補填し、
税収と合わせて、一般会計81.2兆円の支出を行っています。

国債費の16.7兆円(税収の36%)は国債の金利払いです。

政府予算の赤字の30兆円分は税でまかなうべきだというのが、財
務省の主張の根底にあります。

赤字の30兆円を税でまかなえば、現在の国税は76.8兆円にな
って、64%分も上がる。64%の増税でも、支出入のバランスで
すから、累積債務の国債は減らないのですが。

2003年の財務省試算では、新しく必要な国債発行が35.6兆
円に増えます。来年度予算の編成は、困難な状況を迎えることが確
定していますね。

このまま推移すれば、年間で30兆円から40兆円の国債が増える。
10年で300兆円から400兆円が増えます。

財務省の立論

向かうところは(必然的にだれもが分かる)国家財政破綻になるか
ら、
(1)政府予算を縮小するための、
   ・行政改革(特殊法人の民営化を含む)、
   ・政府予算の縮小(年金の見直し、医療費本人30%負担等)    
   の福祉カット、
   ・公共投資のカットという、3大改革をやること、
(2)および、いろんな手段で結局は増税を図るというのが、財務
省の判断です。

経済の縮小要因
政府予算のカットと増税は、いずれも民間経済の縮小要因です。

財務省は、国家財政が破綻するから、(やむなく)民間経済を縮小
させるという政策です。しかし、民間経済が縮小すれば、税収は減
って、更に政府予算は、赤字を拡大する可能性が高い。

童話の北風と太陽で言えば、外套を脱がせるのに北風を吹かせると
いう政策です。民間経済を活性化して、利益が出るようになり、同
じ税率でも、結果として税収は増えるという政策ではない。

国家財政破綻

前稿では、国家財政破綻、つまり大量の国債の引き受け難が起こっ
て、金利が上昇したほうが、1400兆円の個人預金の受取利息が
増え、官の縮小とともに民間経済は成長に向かうことを示しました。

国家全体で言えば、官の支払い金利は、民の受取金利と同じ額にな
る。金融は、ゼロサムゲームです。

政府が1000兆円の借金で(普通に)支払うべき金利は、金融の
歴史で妥当な5%の50兆円ですね。

この50兆円分は、90年代中期以降、個人から政府に所得移転さ
れています。国民はゼロ金利で、第2の税を払っていると言っても
同じ意味になる。米国の国債なら、01年で急速に金利が下がった
今でも5%弱の利払いはあるのです。

低金利策を取ることで政府は、自分が政府予算として使う分を維持
し、預金をした国民が受け取るべき年間50兆円を奪っていると言
えます。

ところが2002年の国家の税収は46.8兆円に過ぎない。

国債利払い16.7兆円以上の増加利払いの余裕はないどころか、
利払いが更に新規の国債増加になる。これを普通は破綻した財政と
言います。

企業で言えば、営業の赤字で、利払いのための借金が膨らむ状態に
なっていて、借金の元本が最後は無限大になる。

とすれば、政府・日銀は「人為的に」低金利策・ゼロ金利策を、ほ
ぼ永久に続けざるを得ないということになります。これが1000
兆円の政府借金の意味です。政府には、1000兆の正常な金利、
5%、つまり50兆円を国民に支払うことはできないのです。

重大な結論】
この結論は重大です。「政府も日銀も金融調節策としての金利政策
の余地を既に失っている。どこまで行ってもゼロ金利に貼りつけざ
るを得ない」のです。これを国家財政破綻と言います。


ここまでの予備知識で、以降では、佳境に入ります。
結論は、日本政府・日銀からすれば「金利を上昇させる余地はない」
これが、将来どんな意味と、国際金融を含む展開を含むのか。

5.低金利・ゼロ金利が長期続くことが市場に認定されれば

政府は、金融市場の自動的、自律的な判断による動きを無視します。
資金マーケットは政府政策にとって邪魔だという意識がある。政府
も、巨額の金融市場では1プレーヤーに過ぎないという認識はない。

財務大臣の塩爺や小泉首相の折に触れての、資金市場や株価への発
言は、金融経済の「自律的な動き」を邪魔に思う財務省の意識を代
弁します。

特に、政府側の金融のグローバル化、海外逃避、金利を求めるマネ
ーの国外エクソダス(脱出)の認識は、完全に欠如しています。

今も、外国為替が制限していた時代の意識のままです。1998年
の、橋本金融ビッグバン以降、外為規制の全廃で海外への資金逃避
はいくらでも規制がなく、若干の報告で可能です。4年では、意識
は変わらないのか・・・金融経済に専門的な用語が多いのが原因で
しょうか。(今後この面では、いろんなことを解きます)

なぜ超低利の日本国債が売れるのか

世界の主要国の10年もの国債の利回りを示します。

                機軸通貨の米国債利回りを
 利回り      100としたとき
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
日本国債   1.385%      29 
米国国債    4.811%     100
英国国債   5.029%     105
ドイツ国債  4.996%     104
フランス国債 5.083%     106
イタリア国債 5.238%     109
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
      http://www.bloomberg.com/jp/markets/japan.html

世界の為替が変動相場ではなく機軸通貨である米$との「固定相場」
であれば、だれも低利の日本国債や金融債は買わない。国債金利
は、金利のアンカーです。国債金利と国債価格で、金利の体系が決
まる。

第一のフォーカスポイント:変動相場制

第一のフォーカスポイントは、変動相場制です。1円の円高(ドル
安)になると、1円÷125円=0.8%の金利は消える。日本国
債と米国債に今ある3.5%の受取金利差は3.5÷0.8=4.
4円の円高・ドル安で消えます。

日本の金利が超低金利、短期資金では日銀の買オペ調節でゼロ金利
に固定されていても、「為替変動を蒙らない円建て国債」を金融機
関、機関投資家が買う構造がある。

為替変動は、だれも予測ができないリスクです。不良債権で自己資
本がない今の金融機関は、リスク取りができないのです。

第二のフォーカスポイント

第二のフォーカスポイントは、国内民間企業融資のリスクです。

不良債権に懲りた金融機関は、羹(あつもの)に懲りて膾(なます)
を吹く風情で、国内企業への融資より、リスクがない(と制度的
にされる)国債を買う。年間30兆円以上も増加発行される低利の
国債が売れる理由です。これで民間経済が活性化するわけがない。

ここでは、官の経済が民間経済を圧迫する「クラウディング・アウ
ト」が起こっているのです。

大手銀行の自己資本(リスク耐性)は、金融庁認定によれば、「軒
並み総資産の10%以上で健全」とされます。

金融機関にリスク耐性があれば、リスクをとった融資ができるはず
ですが、民間融資より国債購入意欲が強いところを見れば、自己資
本比率10%は嘘だということがだれの目にも分かる。

以上のように、今は、海外債、国内企業融資に向かわず異常な金利
の円建て国債に向かう構造がある。

第三のフォーカスポイント:円は周辺通貨

世界に資金供給ができるマネーは、実質的には機軸通貨です。つま
り、純経済的には、過去は貿易黒字によって、現在では海外からの
受取金利で経常黒字を稼ぐ円のみが、機軸通貨の資格がある。

円が国際基軸通貨なら、円は利をもとめ世界に流出したはずです。
ところが、円は財務省の指導によって経常赤字国の米国債を買って、
ドルの価値、基軸通貨体制を支える裏方の役目に過ぎなかった。

ここまで論を進めると、根底の問題に迫る準備ができました。

6.根底の問題は、日本の金融機関のゼロ〜マイナス自己資本

金融機関の機能は、預金を預かってリスクを含んで運用し、高い利
益を稼いで、預金者に利益を還元することです。金利は、預金者の、
現在の生活の節約に対する、将来の見返りです。

ところが、金融機関の自己資本がゼロまたは、債権の時価評価をす
ればマイナスであるため、リスクを抱えることができない。

そのため、民間企業への増加融資ではなく国家が無際限に発行する
返済のあてのない国債を、人工的・制度的な無リスク債権として購
入する。企業融資は、90年代後半は、なんと継続的に減少です。

過去に米国債や株に流れていた日本の金融機関と機関投資家のマネ
ーは、2000年の米国のITバブル崩壊以降、米国景気浮揚のた
めに5%の低金利になった米国債を買うのに躊躇があって、それも
日本国内低金利を維持することに役立っています。

官製の論の根底に誤りがある

財務省、政府、日銀、そして御用経済学者は、超低金利であるのに、
民間の資金需要がないということを言います。

その証拠として低利の国債がどんどん売れている。だから、国家は
需要不足を埋めるため、80兆円余の予算規模を維持するとなる。

これが行き着く先は、官の領域の年間30兆円(GDPの6%)の
拡大で、その分、民間に資金が流れず、経済は官製の赤字だらけに
なって、全体は、国の予算にすがる人が年6%ずつは増えるための、
結果が公平な、しかし「静かな死」です。

ここで、どんな対策があるのか・・・

■7.最高の策は、日銀による民間銀行の不良債権買い取り

民間金融機関が、民間融資のリスクをとれないことが、この国の問
題です。不良債権処理は、民間銀行の処理に任せておくことはでき
ない規模です。

民間銀行に任せれば、新規の企業融資はどんどん細って増加資金で
は国債を買うだけの御用機関。現実はそうなっています。

もともと御用機関になっているとすれば、更に御用機関にすればい
い。方法は、以下のプロセスです。

(1)日銀は短期ゼロ金利の調節ではなく、民間企業の不良債権を、
銀行の簿価そのままで買い取る政策に転じる。

必要資金は総額でも(わずか)150兆円くらいです。国家の借金
1000兆円に比べれば、15%で少ない。

日銀は、マネーを発行できる機関ですから、通信回線で一瞬のうち
に、これをやることができます。国会で日銀法改正(緊急臨時立法)
をし、日銀に実行させればいいのです。

構造改革派の日銀は抵抗するでしょうが、金融の構造改革そのもの
である不良債権処理を民間銀行に任せず、直接、日銀がやることが、
長年望んだ構造改革そのものだと反論すれば、日銀はグウの音も
出ないでしょう。それこそ日銀が望んだことです。(笑)

不良債権をカットするのではない。銀行から簿価で買い取る。そし
て回収は、日銀の新設機関で行うのです。

(2)不良債権の回収は、全部、日銀の下請け機関のRTCに任せ
る。規律ある金融の精神が分かっている中坊公平氏を再度招いても
いいですね。米国から大量に経験者を招聘してもいい。

不良債権は回収しないのではない。だから、ダイエーのような、債
権カットでの企業救済ではない。債権カットは愚策。

(3)不良債権の買い取りを受ける現銀行の役員クラスは、過去に
野村證券が行ったように、貸し手責任を問って、パージする。

これによって民間銀行の自己資本は、実質的に10%になる。今は、
粉飾の上にのった自己資本であることが問題なのです。粉飾では
維持はできるが、融資のリスクを抱えることはできない。

これによって、日本の金融機関は「1日で」信用を回復します。

瞬間にやることです。文字通り、世界に冠たる金融王国の金融機関
が回復します。

民間銀行の不良債権を簿価100%で購入する日銀の信用は落ちま
す。日銀の信用が落ちることの問題はない。通貨の発行券を独占す
る機関だからです。民の苦しみの総額を、バブルを政策的に潰した
日銀に、単に移管するのです。

日銀は、国家機関ですから、国家財政破綻の責任を日銀がかぶるこ
とになる。同時に、日銀は国家の赤字である国債も直接引き受ける
ようにします。

ハイパーインフレは起こりません。資金供給ではなく、不良債権の
買い取りだからです。リップルウッドがやったことを簿価で日銀が
やる。

国家が総額で1000兆円の負債を抱えることはもう分かっていま
す。それを150兆円分だけ新規に増やすのです。これが、新たな
融資を受ける民間企業にとって乾天の慈雨になる。民は今、マネー
不足です。

国家のバランシートが不安なら、時価150兆円分の国有資産売却
(証券化)を行えばいい。借金をした人の最後の手段は資産売却し
かないのです。

こうして、90年代の、官の経済の肥大、民の経済の圧迫は解消さ
れます。民の圧迫が日本経済の最大の障害です。この障害を大きく
しようとしているのが財務省です。この頑迷な財務省は、政治と世
論で押さえることができます。

こうした政策の難点は、唯一、銀行に恨みを持つ世論です。

世論は、民間銀行の不良債権を、帳簿価格のままで買い取ることに
抵抗します。

理由は以下です。
(1)金融機関の給料も退職金も高い。
(2)幹部・役員の給料も異常に高い。
(3)だから銀行救済策に反対する。

金融機関の給料の、30%くらいのカット(民間企業並みにするこ
と)と役員のパージで避けることができる。
不良債権を作った貸し手責任を問うのです。

■8.民間企業への資金還流の回復

90年代経済の問題は、
(1)民間資金を400兆円も、政府が使って後世に利を生まない
公共投資をしたこと、
(2)国内資金余剰分が、米国債購入になって、米国を富ませたこ
とです。

民間企業から見れば、金融大国の1400兆円もある個人金融資産
の資金は、90年代は、政府と米国というわき道を素通りした。

90年代の国内金融機関が、増加資金で民間企業への融資を行えな
かったことが原因です。日銀の低金利策は国内融資の例金利を生ん
で、その金利では融資にともなうリスクヘッジができなくなってし
まった。

2%や3%の貸付金利では若い企業へのリスク貸出しはできない。
そのため、日本企業の新しい芽が、ほぼ摘まれてきた。
融資は、リスクの少ない既存有名企業へのみ向かった。
これは、経済の固定化を生みます。

もちろん個別には、中小企業でも、低利で融資をうけることのでき
る企業もあった。ここで言うのは金融機関全体の、資金還流の構造
のことです。

民間の資金需要がないというのは、完全な認識の誤りです。
150兆円分の民間不良債権が整理され、その過程で、お買い得な
物件や企業がごろごろ出てくれば、資金需要は急に増える。

海外からの買いと、国内からの買いで、資金需要は沸騰します。
海外の禿(は)げ鷹ファンドに、買わせるより遥かに得策です。

民間不良債権が、金融庁の認定でも80%も小額で、不良債権の下
に、資産が固定され動かないことが、根本問題なのです。

不良債権処理は、短期で、果敢に実行しなければならない。いたる
ところM&Aが起こりますから、失業は思ったほど増えないのです。

試算

不良債権処理は、不良企業の資産の価格を底打ちさせることを意味
します。1兆円の簿価資産で、8000億円の負債を抱え、売上が
5000億円という構造が問題です。

8000億円の民間銀行の債権を、日銀が簿価の8000億円で買
い取って、(仮に)純資産を2000億円と評価します。日銀には、
6000億円の損失が残る。

その企業は、一転して総資産4000億円で、2000億円の負債、
売上が5000億円の優良企業になる。これを、日銀は、競争入
札(つまりは株式市場)で買わせる。こうした負債構造のリストラ
をやれば株価時価総額は、おそらく5000億円くらいにはなる。
そうなると、日銀が抱える損は、6000億円−5000億円で、
1000億円に過ぎなくなる。

これは、企業の借金8000億円が、5000億円の株に(つまり
企業の自己資本に転じた)ことを意味します。日銀の損失は、実は
見かけのようには大きくならないのです。

不良債務があっても、設備、人材、会社組織はある。過大借り入れ
で身動きができなくなっている設備・人材・組織を、負債を自己資
本に転じることで、動くようにする。これが、日銀による150兆
円の不良債権の買い取りです。

絹のハンカチ組みの日銀にはそこまでの骨太の腕はないでしょうか
・・・

今回は、<日本の最善策は、国家財政破綻から>に続いて、<日銀
による不良債権の買い取りという方法>でした。官の都合に過ぎな
い、官製の論にごまかされないクールな知性を持つことです。言葉
は武器です。

火曜日の配信になったことをお詫びします。昨日、徹夜しようと思
ったのですが、サッカーを見て、ソファに座ると熟睡でした。今日
は、トルコ戦、私は熱狂的に日本チームを応援します。TVを見て
拍手で手が痛くなることを期待します。紙幅が尽きました。じゃ今
日はここで、see you again with the delight of japan's victory


9.6月25日:大手町サンケイプラザでの講演のご案内(再掲)

Applied Business Academyの主催で、ゲスト講師として『サプライ
チェーンとロジスティクスは、何を変えるか』というテーマでの基
調講演を行います。

日時:6月25日(火)13:00〜14:40(基調講演)
   基調講演終了後、他の人の物流関係のセミナーが続きます。
会場:東京大手町サンケイプラザホール
会費:10,000円  
詳細な案内と申し込みは、↓
http://www.logi-scm.com/seminar.html

今回は、IBMフォーラムとは違い、セミナー団体の主催で有料で
す。どなたでも申し込みができます
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