| フロントビューとバックミラー(2) 見える過去と見えない将来 |
<フロントビューとバックミラー(1)>の続きをお届けします。21世紀の幕開けです。<大きく・巨視で>考えましょう。 (第4号にまで、拡大する感じです:丁寧に解きます) 孫正義氏はマスコミからは色眼鏡で見られやすい人物です。実は私も、根拠なくそう感じていた時期があったことを正直に告白します。しかし<素直>に見ると違います。<目からウロコ>です。 まず孫氏の歴史<観>から。 観とは、事実としての過去ではなく、事実をどう整理して巨視的に観るかということです。未来への観。 その前に確認すべきことがあります。 情報というものの価値です。これをまず整理し解きます。 今後のナレッジ・マネジメントでも役にたつはずです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■情報の4階層 <情報の価値>とはどんなものか? 情報社会というなら、ビジネスに関連する情報の性質を知る必要がある。 情報の性質は、4階層に分けて考えるとよくわかります。 <データ⇒情報⇒知識⇒観>までの整理を行います。 いろんな場面、会議、システム設計、研究で応用が効きます。 ▼第1階層:データ <富田:IXYデジタル:52000円:2月1日:ヨドバシカメラ> 第1階層では、データが分類されて、要素に分けられています。 順に顧客、商品、売価、購買日、店。これらを整列させて、コードを付け、<秩序>付けて並べたものがデータベース。名簿・電話帳・住所録・辞書もデータベース。 ひと塊の情報を、独立した要素(項目)に分けて、秩序付けて、一定の順序で並べた記録です。簡単なものは、誰にでもできます。 項目化・コード化すると、機械で記録し処理することができる。 MSアクセスを使えば簡単。 ▼第2階層:情報 <富田さんがキャノンのIXYデジタルを5200円で2月1日にヨドバシカメラで買ったというメッセージ> 情報とは、人間が解釈して意味がわかるメッセージ。 データを処理した結果です。処理とは、集計、並べ替え、データを選んで、関連付けを行うこと。つまり出力設計ですね。 ここまでは、分かるでしょう。POSデータ利用もここで終っている。 問題は第3階層以降。情報社会とは、データが昇華され第3階層以降に至ること。このことは、考えていない人が多い。 ▼第3階層:知識 <富田さんはカメラが趣味でカメラを年に2回買う。富田さんを固定客にするには、小型で完成度の高い製品を、特別割引の時に、早く紹介することが効果的である。アナログカメラではライカのファン> (行動を起こすメッセージ) 中性的なメッセージである情報が、別の知識や情報と意味が深まるように関連付けられて、有効な販促を行えるメッセージになった。 <知識化>のプロセスを経ることによって情報がマネーにまで結びつく可能性が拓けるのです。 (試行錯誤の無駄を省くのが知識) 試行錯誤の無駄を減少させるのが、知識の効果。 上記の例では<固定客は価値である>という<仮説>が裏にあって、その仮説に基づいて、情報が整理され、より高い階層のメッセージになっています。 ビジネス・オペレーションでの有効な知識の多さとは、データベースが昇華された結果としての<価値化された情報>の多さです。 <ノーハウ>と言ってもいい。 コンサルタントの仕事は、経験と体系的な知識によって、企業に<価値化する知識、及び価値化の方法>、さらにはより深い<観>を植え付ける仕事です。私はそう理解しています。 更に深く検討します。 固定客が店舗にとっての<価値>になる理由は? ここには、購買行動は<信頼>に基づいて行われるという、より深い層の仮説がある 【派生的な余談:信頼の価値について】 e-Businessでは、<信頼をいかに得ることができるか>が勝負です。 Webのホームページのみでは、信頼は得られません。せっかくのWebが成果を生まず、立ち枯れる理由がここにある。 グローバルマーケット、広域マーケットは、グローバルな広域の信頼を勝ち得なければひらくことができない。 具体的な店舗は、建物と商品があって無言で信頼感を与えていた。 しかしWebでは、最初の不信からどんな方法で広く信頼を勝ち得るか、これが入り口での勝負。 (1.メソッド) e-Businessの設計は、単にサーバ上のWeb設計ではなく、e-Businessの全プロセスの業務設計です。 i)最適ロジスティクスの方法の設計 ii)最適在庫管理の方法 iii))購買前から、購買後までの、快適で便利なカスタマーエクスペリエンス(良質な顧客体験)のプログラム化 iv)アフター・セールス・サービスの業務設計、までを含む必要がある。 HTMLでWebデザインしたり、商品画像や説明文を作ることは、Webビジネスの業務設計のごくごく一部に過ぎない。 ソフトウエアハウスではカバーできない<業務設計>がある。 業務設計>最適プログラム設計、の順序である。逆ではない。 (2.Web通販の現状) 現在の日本の99%のWeb通販は信頼を勝ち得る前の露天商のレベルに見えます。 激安サイトはバナナの叩き売りに近い。発展段階の入り口の入り口。 露天商は原点。しかし小売の発展はそこでは止まらなかった。 (3.信頼の価値) 店舗と顧客の間に信頼関係を樹立できると、信頼関係は多くの購買行動を引き寄せるという価値を生む。 <信頼関係>が樹立されると、購買はその結果にすぎない、となる。 店舗作り・店舗運営の本質は、顧客との信頼関係をどういう方法で強くするか、という人間の活動であると言えます。 (4.ブランドの価値とカスタマー・エクスペリエンス) <狙ったターゲット、またはある一定の顧客グループ>から信頼を勝ち得た状態を<ブランドの確立>といいます。 品質・満足、つまり良質なカスタマー・エクスペリエンス(顧客の購買前から購買後の商品使用までの全体験)の積み重ねでしか得られないものです。 ブランドは価値です。ブランド確立には時間がかる。失うのは一瞬。 過去のブランド価値が徹底的に破壊されているのは雪印でしょう。 カスタマー・エクスペリエンスとは、広告からの購買前体験⇒購買⇒使用の快適さ⇒アフター購買の全過程をいいます。 勝負はカスタマー・エクスペリエンスの卓越性、良質さ。 モノの販売業はモノの取引だけではない。無形のものを売るサービス業に限りなく近くなってきている。小売業が深く認識すべきことです。 さて本論に戻ります。知識のつぎは観。 ▼第4階層:観 <デジタルカメラで、富田さんと類似の価値観をもち同じ購買行動の人は日本に5万人、世界に30万人いる。この30万人のグループは年率30%で増える。30万人を購買行動のポータル(入り口)で捉えるには****の戦略が最適である。3年間の最終投資収益は80億円である。従って、この戦略を実行する> (おおきな戦略を生むメッセージ) 観のレベルは、末来を<観る>ためのメッセージにまで知識が高められた状態です。<観>では知識はさらに拡大され、構想によって末来を覆うものになる。 おおきなビジネスはこの<観>によって生み出される。知識のレベルではローカルビジネス。観は<構想>を生みます。 一人の人間の脳髄のなかに、世界をカバーする<観>が生まれる。 <観が構想となり、実行戦略に> マネー(資本)を集め世界を導く。 (蛇足ですが・・・cool-knowledgeの目標) cool-knowledgeは、知識を整理して昇華した<観>のレベルの情報の提供を目標にしています。 更に私の<修練>が必要ですね。研究と試行錯誤で、頑張りましょう。 まだまだ、ほんの1合目。3ヵ月の赤ちゃんサイトと認識しています。 どうか、なんなりとご意見をおよせ下さい。 yoshida@cool-knowledge.com ―――――――――――――――――――――――――――――― ■なぜ<観>ができるのか・・・部分から全体への方法 <観>のレベルでは、部分(富田さんの購買行動)が、30万人の全体の購買行動にまで、フラクタルに拡大されます。 <部分と全体は相似系(フラクタル)の運動である>=仮説 部分から全体を推し量る能力が、想像力です。 ▼部分と全体のフラクタル(相似)構造 【部分と全体】 世界の60億人は、みんな部分。部分的情報の解釈・判断で生きています。孫氏もわれわれも部分であることで公平です。 しかしほとんどの人は部分で終る。 部分から全体を<観ること>できたとき、情報が大きな価値に至る。情報が宝のタネ、ということはそんな意味です。しかしタネのままでは、たった1粒のとるに足りない価値。 ▼情報の価値化(リフレイン) 【1. 情報の価値化の方程式】 タネ1粒を、太陽が降り注ぐ土壌に植えれば、<出会いと結合による情報の価値化へむかった化学反応>が起って、豊穣な実りが得られる。 情報の価値化の方程式。これがビジネスです。 <情報×判断×マネー=新しい価値>という、出会いと結合による化学反応が必要なのです。情報の価値化です。 【2. 20世紀の価値】 20世紀は、人と人の出会いは、実は大きな価値を持たなかった。 <資本>と<モノ>と<装置>の時代です。 人間は労働力、入れ換え可能なものとして、吸収されていた。 モノを装置で処理して付加価値を生み、量産した。 生みだされた、<モノとしての商品>が富でした。 労働の価値は、モノの価値に封じこまれたのです。 モノの量産では、経営組織は、情報を集めて指令する中央集権のピラミッド組織が、トップダウンの金太郎アメが適合し、規模の経済が利益の源泉でした。 【3. 21世紀の新しい価値】 ところが、情報が価値を生む21世紀は、人と人の出会いが、新結合での価値を生むための<場>になった。<情報>は人間のみが解釈できるからです。 【4. 機械と人間の関係が逆転する】 情報を解釈して意味を解き価値に至らせるのは、人間です。 モノの生産は機械が行い、人間の労働は、機械に従属した。 しかし情報の意味の解釈と情報生産では、機械を人間が使う。 コンピュータの出力とは、人間に向かってのものである。 データ⇒情報⇒(人間)⇒知識化⇒観と<昇華>されるにと情報の価値が上昇。豊穣な新しい世界を拓く。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■前号の概要 前号では、孫氏の発言を分析して、重要な原則を示しました。 (1)想像力に基づく構想が生むフロントビュー (2)バックミラーの景色は事実ではあるが、抜け殻である。 (3)21世紀の構想とリーダシップの組織原理 (4)情報×判断×マネーが生む、将来価値 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■そして今回は・・・ 孫氏が見たのは、秘密の情報でもなんでもない。 ありふれている情報。情報はいたるところにある。 それを大きく歴史観を持って、<観る>ことで価値化したのです。 過去は二度と繰り返さない。個々の事実は1回限りの特殊なものです。 しかし<観>は違う。<観>は、事実に対する人間の見方・判断です。 観で見ると、歴史は繰り返すように観える。 そう観えると、普通は不確定な末来に確信が持てる。 機会を狙って判断し行動する。人とマネーは、その後を追いかける。 孫氏は、一体なにをフロントビューに見ていたのか? なぜ、それに確信が持てたのか? ここが解くべき焦点になる。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■個人の態度と21世紀 自分は、大きな決定ができる立場にいない。だから孫氏とは違う、ということを感じる人も多いと思います。 実は、私もそう感じるところがある。当然です。 にもかかわらず、孫氏の思考を丁寧にたどっていくと、そうは思えない。21世紀は、日本でも会社は、終身で個人生活を保証する生活共同体ではないという性格が色濃くなる。これは確実です。 順次ソフトバンク風<プロジェクト組織>のようなものに変ります。 各社で、驚くほど急速に採用され始めている<年俸制度>、<成果給>はその前兆です。 <順次>の横並びの変化、しかし10年では一変。日本が変る時の特徴であり方法です。一挙の<革命>はない。次第に変る。しかし業種、業態、製造、卸、小売に係わらず驚くほど同じ方向と歩調を取る。 <順次革命の国民性>といっていいかもしれない。 <島国の和>からきているのか? 多分そうでしょう。 日本でも英国・米国型の<CEO―Vice President−Manager―Worker>の区分が次第に行われつつある。全雇用約5500万人のうち、約20%部分はすでにパート、フリーター、派遣社員であり、それがどんどん拡大していることが前兆です。 そうなると、個人は会社ぐるみでなく<個人>としての判断を行う。雇用の前提が変るから<次第に>ライフスタイルがそうなる。 雇用の圧倒的多数(80%)は中小企業です。 中小企業はほとんどが100%株主=社長の会社所有形式。 資本を供給してきたのが間接金融の<銀行>。不動産担保。不動産の継続的な値上りで融資が行われた。 会社は必死に土地を確保したのです。 会社を大きくするのに<増資>手段は回避。銀行融資で資本が供給されたから、情報開示が必要になる株主を増やす必要がなかったのです。 90年代からそうした資本供給の根底が<順次>変りつつある。 <株>、それから始まりつつある<不動産の債権化>は個人が資本主義・市場経済に<参加>できる制度です。いままで、個人はこうしたものと無縁だった。所有は住宅のみ。住宅は<ローン>で月割りの細切れの支払い方法があったから多くのひとが取得できたのです。 <株>と、<不動産の証券化:REIT>は個人が細切れで資本主義に参加できる制度。 住宅ローンと同じように、誰でも<月割り支払い>で参加できる。 住宅ローン手法のみでなく<新たな資産作り>の機会を得る。 住宅や土地は今後も値下がりするから、借家でいいのです。 <住宅が個人の唯一の頼れる資産>の時代は終った。 <仕事はワーカーでも、実際は資本家>になれる。世界最大の小売業Wal-Martではレジのオバサン(Worker)も資本家。賃金は少なくても、億円レベルの株を持っているひとがゴロゴロいます。 こうした変化が、次第に起る。<10年では一変>となる。 伸びる会社を<観て>見つければいい。渦中のプレーヤーになる必要はない。 資本主義は、利用すれば、素敵な参加の制度を準備している。 現在は個人の総金融資産1380兆円のうち、株は100兆円(7%)の構成比。圧倒的に銀行預金・郵便貯金・生命保険等です。 物的資産は、住宅のみだった。 日本人は世界の伸びる企業の資本家になれる<ベース>はある。 <会社ぐるみ>のみではなく、個人の生活設計が重要ですね。 時代を積極的に見れば、メソッドを変えれば、見えてくる世界も変る。21世紀は、12700万人がほぼゼロからのスタートです。10年のスパンで見れば<革命はもう起った>のです。<リセット>です。 ぜひ、そうした観点で、孫氏の<観>を解きましょう。 感情的な反発に過ぎないマスコミ視点を押さえながら・・・ ―――――――――――――――――――――――――――――― ■孫氏の歴史<観> 単純で巨視的な歴史観 <人類の20万年の歴史を振りかえってみると、3つのステージがありました。第一番目のステージは農耕社会のステージ、第二番目が工業社会。第3番目、これから間違いなく情報社会のステージに入る> <この情報社会のなかには、さらに4つのステージ、分野があるんです。僕が勝手に言い出したんですけれど、次の4つの分野が順番に来るんです。 1番目は、アナログのテクノロジー、2番目がアナログのサービス、3番目がデジタルのテクノロジー、4番目がデジタルのサービス> ―――――――――――――――――――――――――――――― ■情報社会の産業の4段階発展を解く 孫氏が整理した情報社会の4段階発展<観>を具体的に示します。 ▼情報社会の第1段階:アナログのテクノロジー産業の時代 アナログのテクノロジーとは、ラジオから始まりテレビ、アナログAV、カメラ、ファクシミリ、電話、通信などです。家電メーカー、電話会社の巨大化の時期。最初にこれがくる。 日本はこの面では、量産・高品質で世界の最先端、最高技術です。 モノの加工技術です。 アナログテレビ(モノ)は5万円で1回買えば、数年は使う。ところが情報は、毎日、膨大に、異なったものが提供される。テレビというモノの生産・流通の合計より、テレビの情報産業の合計のほうが大きい。(ああ、そうだと思います) 単純化した整理ができます。 <アナログのテクノロジーの後は、アナログサービス産業が、どんどん大きくなった> バックミラーの歴史的事実。 ▼第2段階:アナログのサービス産業の時代 アナログのサービスは、ラジオやテレビ放送事業を代表に、音楽事業、映画事業、写真事業、音声電話事業等です。出版や新聞も入れていいでしょう。 アナログ機器の、全世帯への普及とともに、膨大な雇用と多種多様な産業を生む<アナログのサービス産業の時代>が来た。 映画産業・ニュース産業・タレント・プロダクション産業・番組作り、広告産業。まとめれば情報産業のほうが、テレビの生産・流通産業より何倍も大きかった。 【具体的に見ると】 テレビという道具(モノ)の出現以降、アナログサービス産業の勃興で、新たな雇用が生まれ経済が成長した。 テレビ本体(モノ)はますます低価格になって雇用が縮小した。 外見上はテレビ(モノ)を買って来たように見える。 家計支出がそこで完了するからである。本当に完了したのか? 1台のテレビの背後には、情報生産・流通産業があります。 われわれはテレビ(モノ)を買ったように見えて、実はテレビで得られる<情報>を、毎日、毎時間、有料で買っている。 情報サービスの量産の大産業が生まれた。 広告費は、商品売価の原価構成要素になって隠れた。 情報料は、無料には見えるが実は有料である。 情報サービス産業の新聞も購読料50%、広告費50%で成立。 新聞宅配は、膨大なチラシの配布料で成立している。 広告費は企業が支払っていて、モノやサービスの売価の構成要素となっている。 テレビというアナログテクノロジーによって、その背後に膨大な情報生産のための雇用が生み出されることになった。 アナログサービス産業での最先端、最高技術は米国です。アナログ情報産業。生産地はロス・アンジェスル、アトランタ、NY、東京、パリ、ロンドン。いずれも、コストが高い地域ですね。 【情報生産には脳が集まる<場>が必要】 情報生産はコストが高い狭い地域に、脳と人手が集まらないと、日々の結合が生まれず、生産できない。これがモノの生産とは根本的に違う点です。出会いによる新結合が情報生産の条件なのです。 人里はなれた工場ではなく、都会の<場>です。 一方で、テレビを代表ランナーとしたアナログテクノロジーは、技術進歩で、デジタルテクノロジーに完全に移行した。 ▼第3段階:デジタルテクノロジー産業の時代 最初はメインフレームコンピュータ、オフコン、それからPC産業と展開。通信も携帯電話を含んでデジタル化へ。 IBM、つぎにDEC等のミニコン、現在はPC。 Windowsを代表とするPCのOS、ソフトウエア産業の時代が来た。 付加価値の高い基本ソフト部分の生産は米国だった。 日本の産業は、モノ作りのアプローチで部品を提供して参加した。 この部品はソフトウエアに比べると付加価値が低くすぐ価格競争が起った。終りなきコストダウン、合理化、機械化、量産化。 時代のトップの成功者が、O/Sのマイクロソフト、CPUのインテル、ルーター(デジタル情報交換機)のシスコ。データベースのオラクル。いずれもその上に、<いろいろなものが生える基本ソフト>を押さえている。 デジタルテクロジーのソフトの部分のプレーヤー、マイクロソフトの利益は、売上対比40.0%(00年9〜12月期)。4%ではありません。売上対比40%の税前利益。モノでは絶対得られない利益。 デジタルテクノロジー産業は、ソフトとハードで構成される。 利益率が高いソフト部分は、頭脳は米国が押さえている。 デジタルテクノロジーでもモノの部分はマネされてドンドン安くなる。PCメーカーで、儲けている所は少ない。 18ヶ月で同じ性能のものが半分の以下の価格になる(ムーアの法則) ますます高性能になるが、安くなり、その結果物凄い速度で、普及。 アナログのテクノロジーの後は、アナログサービス産業がどんどん大きくなった。それで、膨大な新しい雇用、職業、企業を生んだ。 そうすれば・・・ <デジタルテクノロジーの後は、デジタルサービス業が、デジタルテクノロジー産業よりもっと大きくなるはずである> これが孫氏の<観>です。 デジタルテクノロジーのマイクロソフトの時代も終る。 O/SではLinux、ハードではモバイル、携帯電話でその前兆。 マイクロソフトにはあせりがある。 ビル・ゲーツは2000年に<.net>(ドット・ネット)に死命を賭けると表明。つぎは、デジタルサービス産業の時代です。 ▼第4段階:デジタルのサービス産業の時代へ <デジタルサービスの、交通網としてのインターネット> インターネット(情報の交通網)の上にe-Commerce、メディア事業、テクノロジーサービス事業サービス事業、インターネットインフラ事業、放送メディア事業インターネットカルチャー事業、海外ファンド事業、e-Finance事業が、乗っかる。ソフトバンクの事業領域。 デジタルテクノンロジーのモノの産業は、もうすでに、苦労の割に儲からない産業になった。競争が激しくなったから。 デジタルサービス産業は、まだ入り口にも達していない。 入り口では、米国の本場でベンチャーによる膨大な試行錯誤と淘汰が起った。 2000年、2001年がデジタルサービス産業は、第1次淘汰の時期になった。ちょうど、1930年代の不況期の新興自動産業で、米国の200社のベンチャーがフォードとGMに統合されたようなものである。 淘汰された198社を見れば、新興の自動車産業は終りに見えた。 しかしその後、自動車産業は巨大な産業になった。 【情報の価値】 デジタルサービス産業の的確な情報をもっているのは、ジフ・デ―ビスである。宝の地図がある。5000社を分析し、それぞれの分野でナンバーワンになる可能性のある100社を選択する。 【判断とマネー】 ここをしっかりと見て、戦略的な事業設計を行っているのが日本では孫氏(株を取得する手法)、ソニーの出井伸之氏(プレーヤーになる手法) メーカーであったソニーは、出井戦略で第1段階のアナログのテクノロジー業から、第4段階のデジタルサービス業へと見事な変身を遂げつつある。 一方、90年代初期の超優良企業であったソニーの関連会社のアイワは、どんどん安くなるモノの、さらなる低価格化に直面している。 対策はリストラ・縮小・工場閉鎖。 ▼更に先は? <テクノロジー、サービス、テクノロジー、サービス、この順番が大事です> なるほど・・・また道具⇒情報⇒道具⇒情報の順序。サイクル。 以上が、具体的に解いた、孫氏の歴史<観>のすべてです。 極めてシンプルに整理されている。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■孫氏の企業の価値<観> 以上のところまでは、なるほどそうかと、納得できるでしょう。 孫氏がユニークなところはここからです。 ユニークとは、独自であること。 独自であることはみんなと違うことです。 以降で解くことには、<異論>があるでしょう。 特に、銀行融資からの<間接金融>が基本であった日本では、マーケットマネーの意味が理解されていない。(ドイツも日本に類似) 株式市場、債券市場のマーケットマネーが、何を理由に、どんな利益を求めて、瞬間移動するのか理解を超える。 ▼過去の論客 デジタルテクノロジーのモノ作りの過去の論客、NEC元会長の関本氏は折りに触れて、<マネーゲームが市場を攪乱する。モノ作り産業にとっては迷惑な話だ>と言っていました。 乱高下するマネーマーケットは、関本氏の理解を超えていた。 従って、曰く、<不可解> 大部分の日本人は、関本氏の見解には賛同するところがある。 モノに付加価値をつけることは分かる。 戦後の日本人はそれを一所懸命やってきた。職人風の価値観。 マネーゲームは一瞬で巨大な利益や損失を出す。 為替も乱高下。安定した原価計算もできない。 とても迷惑だ。やめて欲しい。 しかし目の前の<現実>を自分に都合のいいように解釈し、外部世界をありのままに<観る>ことができなくなれば、産業のトップとしては終わる。 私は1997年頃、関本氏の発言を聞きながら、ああこの人はもう終っていると思えたのです。 経団連は、過去のモノ作りの成功企業。 バックミラーで、世界を見ている。 孫正義が歪んでいるのか? 経団連が歪んでいるのか? ▼経団連的なフロントビューの暗さ 経団連的なフロントビュー、政府、大マスコミはリストラ・雇用の削減・失業・年金と福祉のカット・増税・工場の海外移転、そして少子・高齢化の暗い未来しか見ていない。 なぜか? ゼロサムのモノの世界にのみ着目している。モノが富である。モノの高付加価値化以外には、富や豊かさはないとの見解が見える。果たしてそうか? 経済評論家も、実は、経団連と同じメッセージ内容しか発してない。横並びで毎日・毎日、膨大な<縮小へのメッセージ>を発している。リストラに耐えよ・・・増税に耐えよ・・・個人責任・・・ 来るべきデジタルサービス産業・・・<形>が定かでない。デジタルサービスは目に見えるモノではないからです。 しかし、孫氏と出井氏は、その形を<構想>しすでに戦略化している。 ▼素直に見た現実 モノは、いつまでも絶対に必要です。しかしモノが<どんどん伸びる>時代は、この国では確かに終っている。 急減はないが、総量は増えない。 【モノの呪縛から解放】 積極的に言えば、OECD10億人は、人類史上初めて人間がモノの呪縛から解放されたとも言える。モノはありふれている。モノの加工は、50億人の途上国で行う。OECD10億人は広義の流通・サービス産業で生きる。そのサービス産業にデジタルサービス産業が新たに加わる。それを原動力に成長する。そんな、21世紀の図式が見えますね。 【サプライチェーンモニター】 インターネットでは、原材料、工場、在庫が物理的にどこにあろうが障壁がないのです。一瞬で、モニターできる。 東欧の工場、トルコの工場、インドのソフトウエア開発、中国の工場までサプライチェーンのモニター(監視)、製造工程、在庫、物流の工程のビジビリティ(可視化)が進行することが確実。 それが、e-Market Placeです。 前に解いたように、e-MPは、パソコン一台を接続すれば、世界中を可視的にできるように発展する試みです。 ↓ http://www.cool-kowledge.com のe-Market Place3部作。 日本の、製造技術は職人的に世界最高。世界の生産現場の技術指導は日本人が担当し、緻密な無駄のない工程へ。資本は利を生むために、もっとも優れた技術を、高賃金で呼び寄せて、使います。 世界が、日本人の高度なモノ作り技術を利用する。e-MPはそこまでの、技術集結の装置、インフラです。 英語の問題? 心配要りません。PCの入力から出力までのスループット速度がスーパーコンピュータ並になれば、言語処理がリアルタイムでできる。技術用語と論理は世界共通です。翻訳が容易。小説の翻訳は、翻訳家しかできませんが。 【現在の風景】 国内工場は減り、工業団地は空き地だらけ。一目でわかる。 小売では、店舗を作ればちょうどその分、古い店舗は消える。 問屋は統合淘汰。モノの伸びがないとそうなる。 21世紀は、この国でモノの製造がどんどん伸びるか? $が200円のころは、日本が世界の最適生産地だった。 $が100円では先端的な高付加価値のモノ以外では要素コスト(労働コスト)では最適地ではない。 中国・インド・ロシアでは、途上国⇒工業国の発展プロセスで、モノが伸びる。日本の1960年代を再現。歴史は途上国で繰り返す。 ▼しかしながら、欠如している<大きな戦略> 日本は個人貯蓄総額では、人類の歴史上空前絶後の、最高の国。 一方米国は、そのマネーを引き寄せて、94年からの繁栄。 このマネーを米国の破綻を回避しながら奪還すれば・・・と考えるのが産業トップ、経団連の基本発想でなければならないでしょうね。 しかし経団連にもう期待はできません。業種構成が過去形。 縮小するモノ作りの路線でリストラや合併という人のカットに奔走するのが、能ある経営者とは思えません。 しかしモノ作りのみでは選択肢はそれしかない。 雇用を増やし、賃金を上げ、利益を上げてマネーと人が集まってくる産業を興さないと、と思考すべきです。 デジタルサービス産業の現場は、大量の人手が要るのです。サービスは人対人です。デジタル情報だけでは、サービスにはならない。人手をカットしたサービス業は概念矛盾。機械が応対するサービスは価値と価格が低い。 機械化のビジネスホテルと、人手の高級ホテル。サービスの対比。 デジタル情報を大量に、大量の人が消費するのがデジタル<サービス>の事業の本質。価値あるデジタル情報生産には、膨大な人手と脳が必要。 Yahooの検索ツリーに情報価値があるのは、人手をかけて人間が、情報を意味化し、秩序化しているからです。 意味化には、判断するための大量の人間の脳・知識が必要。 ▼金融ビッグバンと時価主義会計の現実 マーケットマネーは企業利益の周囲に集まる。日本からマネーが逃げたのは、90年代は日本の企業より米国企業の利益率が何倍も高く、米国に渡った方が増やしてくれる、と判断したからでしょう。 90年代の企業利益つまり投資利回りでは、圧倒的に米国だった。 マネーは義理では動かない。利に恋をして結合する。マネーはどんな障害を乗り越えても恋する人に逢う。障害があればあるほど、恋の焔は熱くなる。規制や障害を、いずれ焼き払う。 銀行の間接金融時代は大蔵省・日銀で、<ある程度は>指導できた。 日本の銀行は大蔵本部・日銀出張所であった。大蔵(財務省)や政治家、企業トップですら、未だに、そう思っている。時代錯誤です。 マーケットに解き放たれたマネーは自由に動く。パンドラの箱は開いた。人為的な規制を嫌って、より自由な場所に逃げる。 90年代のマネーの恋人は、米国ハイテク企業だった。 利に恋をするマネーの本質に戻したのが90年代の金融ビッグバンです。<金融ビッグバン>とその一環である<時価主義会計>は、根本的な部分で企業の<資本>を変える。 この国では、戦後50年間の規制金融で、ほとんどの人が金融ビッグバン後の資本の世界を、<身体で知らない> 頭で解釈はする。しかし、結論は<コントロール>できると思っている。これが錯誤なのです。 変な例えです。処女と童貞が性を頭で理解している段階。 それくらい、島国で過保護だった。<恋>が分からない。 50年は永かった。約2世代を費やした。 金融はネット化で先駆けてグローバル化した。 つぎは経営の規準を変える<時価主義会計>の施行が来る。 私はこの企業の<時価主義会計>への移行が、経営・仕事の現場を変える、最大の変化を促すものと判断しています どうすればいいか? 複雑化ではない。過去が複雑だった。 <マネー>が本質に戻った。より単純化した。 企業は、現在そして将来の企業収益を高めること、キャッシュフローを生むこと。この1点を焦点に、マネーが動く。 善悪ではない。倫理ではない。経済原理です。 金融ビッグバンと時価主義会計が、20世紀型企業を淘汰する。 約10年後は、企業風景がまるで変る、というのはそのことです。 2001年は<時価主義会計>も<金融ビッグバン>も入り口に過ぎないのです。 いま、金融をはじめ、統合・リストラが行われいる根本の理由は、金融ビッグバンと時価主義会計に耐えられない企業の淘汰です。 ここで、一旦配信します。 次回は、21世紀の経営の焦点となる<時価>の本質に迫ります。 <時価>に謎がある。 (第3号へ続く) ご感想ご意見は yoshida@cool-knowledge.com 【本マガジンの、友人・知人・取引先等への転送は自由です】 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ビジネス知識源:インターネット時代の経営の成功原理と原則 良質な経営・IT・ビジネス知識の提供を目標に <メールマガジンの登録・解除・及び記事のバックナンバー> http://www.cool-knowledge.com Systems Research Ltd. chief consultant吉田繁治 2001年1月30日増刊号 :フロントビューとバックミラー(2) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |
||
copyright : Systems Research Ltd. Chief Consultant 吉田繁治