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フロントビューとバックミラー(4)
       
                 見える過去と見えない将来

<フロントビューとバックミラー>の完結編です。ソフトバンクの事業発想を素材に、これからの<構想の意味>を考察してきました。

もっとも肝心なところは、資本主義つまり株式会社での<資本>をどう捉えるかということです。まともに考えると、<資本>は数々の謎を含んでいます。

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資本の源(みなもと)と、その流れの図式

1991年までのマネーの大きな流れ

国民の貯蓄⇒銀行・郵貯・生保⇒不動産担保⇒企業融資へ

不動産担保の価値が細って、資金循環のボトルネックになったのが1992年以降です。血液(マネー)を集めて運んでいた大動脈(土地)が、92年から突然、細くなった。
商業地が約90%、住宅地が約50%下落し、価格はおよそ20年前に戻りました。
<貯蓄の増加分>が国内では企業融資増加にならず、金利が低下した。

総地価】
1991年の2200兆円の日本の総地価が、1000兆円レベルへ。
   住宅地は10年間で50%の下落で半分の価格
   商業地は10年間で90%の下落で1割の価格

▼1992年以降約10年間の図式(貯蓄増加分の逃げ先)

貯蓄の増加分⇒金融機関⇒政府国債・地方債⇒公共投資と銀行救済へ
貯蓄の増加分⇒金融機関⇒米国へ⇒米国の国債・債券と米国IT株へ

細った大動脈の代わりに、日本国債と、米国への二つの支流ができた。

米国は、90年代は国民貯蓄の増加がほぼゼロ。金融資産の増加は、とりわけ1997年からのナスダックとNYSE(ニューヨーク証券取引所)の株価高騰でした。

日本は家計が持つ株は、1380兆円の金融資産の7%に過ぎませんが、米国の家計では約半分が株です。預金証書の代わりに株券。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)には3万社が上場】
  NYSEの総時価は1380兆円(2000年末)
  情報・通信関係が多いNASDAQは400兆円
  合計で1800兆円

NYSEの30,000社とは日本の東証一部上場企業数2,000社の15倍。これが、米国の<株式本位資本主義>の内容です。
15倍とは凄い数。株価で資本を作る構造が米国です。
同じ資本主義とはいいながら、根本で極端な違いがあった。

今後
今後ともわが国の貯蓄額は増加します。これは確実。
貯蓄率は、急には下がらない。
定期預金、定額預金、生命保険の掛け金です。
実は住宅ローンの返済も貯蓄勘定です。

このマネーが集まって株式会社の<資本の源泉>になる。
事業を創業、及び運営、成長させて行く上で最も重要なことは資本をどこから、どんな方法で調達するかということです。

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日本の<株式>会社とはなんだろう?

言われてハッとすること

<日本企業の問題点を指摘すると、例えば株主に対する決算報告で、社長は「我が社は・・・」と呼びかける>
<株主に対してYour Companyと呼びかける米国のCEO(経営最高責任者)と対照的だ>(西正臣氏:朝日新聞掲載)

株主は会社の所有者ですから、日本の上場会社の、自社株を持たない社長が出席した株主に対して「我が社は・・・」というのは、とても変ですね。
ところが当の社長も、また出席した株主もこの<変な感じ>に気がついていない。
株を持たない社長が言う<わが社とは?> 

意識上では?

株主は会社に対して<人気投票した>お客様であるというのが、日本の上場会社の社長、役員、社員の意識でしょう。会社はわれわれのもの。
法的にはともかく、意識の上では株主は単にお客様です。店舗を通じて商品を買ってくれたお客様と、ほぼ同列に見なされている。

理由は?
事業の資本つまり<投資資金>を供給してきたのが長年<銀行>だったからです。50年の間接金融体制。
株の発行は、株券で小口に分割した会社の売却です。
しかし、証券会社を通じて買った人も株の値上りを狙っただけでソニーという会社の一部を買ったという意識はない。

新株を発行した会社側も、資金調達の意識はあっても会社を売ったという意識はあまりない。だから<わが社>

今後は?

21世紀は、こうした日本人の意識が、大きく変る時期になります。
理由は? 金融機関を通じた融資分が減少し、債券市場、証券市場を通じた資金調達に代わって行くからです。これが確定しています。

不動産担保(バックミラー)に代わって、事業構想・戦略・将来収益(フロントビュー)の<実現可能性>が資金を呼び寄せる。

資本を呼び寄せるために、必要なものは土地の権利書ではなく企業の事業構想と実行戦略の<情報開示>になった。
マネーの面では、もうグローバルな情報社会になっているのです。
経営の根本・事業運営・投資戦略を変えることになります。
人間の認識はいつも遅れます。

戦後40年の<土地本位資本主義>が、90年代の10年の空白を経て、<株式本位主義>に戻る。
会社の根本部分が変るのですから、10年間も要したわけですね。

こうしたことは実は<価値観の大転換>ですから、過去は、戦争や下克上の<革命>によるリセットを経ました。
しかしこの10年は、表面上は静かに、しかし本質では劇的に変った。

目に見える現象では<バブル崩壊>とか<90年代不況>だったのです。しかし内実は<空白の変化>ではなかった。

金融ビッグバンが、あなたの仕事のみでなく、生活までを変える、と言ったのはそうした意味を含んでいます。

現代の革命は、フランス革命のように目に見える国民の蜂起やギロチン、武器を使った大量殺戮の戦争があるわけではない。静かなしかし本質的な<価値>の転換です。実は<マネーのホットな戦争>だった。

土地本位主義の会社の、象徴的な退場劇

土地本位主義の経営を進めたきた中内功氏は<流通革命は30%しか進んでない・・・栄光のダイエーを取り戻して欲しい>と言って、昨日、舞台から退場しました。果たして<栄光>だったのか?

私は、中内氏にとっては流通革命を掲げることは事業拡大の<手段>だったと判断しています。事業の実体を見れば、銀行の大量融資での<土地の購入>が事業の本質でした。土地はどこよりも買った。

ご託宣の<流通革命>が目的であるとしたら、1970年代初頭から流通業で売上日本一になったとき、中内氏が掲げた<価格革命>を推進する基盤は、他のどこよりも揃ったはずです。
その後30年・・・ダイエーに代わって価格革命を推進した会社はどこですか?と聞けば子供でもわかる。

中内氏は、価格革命には<量>が必要だと言いました。量では一番になった。価格では保守勢力になった。悲しい事実です。
米国ナンバーワンのWal-Martは、価格の旗手です。

マネー市場が見る事業の将来評価

・ダイエーの株価総時価   1427億円(01年2月3日)
・ユニクロの株価総時価 1兆1869億円(00年12月末)

流通業で最大の土地を持つダイエーの308店舗は、1店当たりの<時価評価>では4.6億円であるとマーケットは判断しています。
ユニクロはダイエーを80回も買える企業評価です。
比較すれば、これくらい劇的に差がある。

ユニクロの税引後利益は約300億円(00年8月期) その税前利益の約40年分が、株価となって現在に実現している。40年分の末来までを含んだ株価です。将来収益は、現在の株価に含まれている。
これがPER理論の説くところです。将来を含んだ現在。

機会
事業構想力⇒戦略立案力⇒戦略実行力⇒将来収益>が、マネーを呼び寄せるための必要条件です。
土地ではなく人間の知的パワーですね。
21世紀はモノ主義ではなく、人間主義になります。

21世紀の機会は土地がない多くの人にも開かれた、と見ていいでしょう。それを<機会>と見て、その機会に対する<事業構想:夢>
情報社会の生産手段は10万円のPCになって、誰にとっても機会が開かれた。インドの少年にもトルコの事業家にも平等に。

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時価総額という<謎>の構造

株主価値の最大化

<本来経営者は、株主価値を最大化することを一番の目標にすべきなのですが、従来は会計士が考えた物差し、つまりバックミラーのほうばかりに経営者の頭が向いてしまっていたわけです・・・
経営者の唯一、最大の物差しはMVA:株主価値を増加させることでなければならないのです・・・孫正義>

株主価値とは、時価総額のことです。例えば1000円で買った株が1万円になれば、9000円の増加株主価値(MVA:Market Value Added)を株主に提供できたことになる。

米国のCEOが、株主に向かってYour Companyと呼びかけるのは、このMVA(増加株主価値)を意識しています。(やはり日本の上場企業の社長の<我が社は・・・>というのはとても変です)

株価は多数が参加した<将来利益の実現性の読み>で決まる。

将来利益を生むための夢:構想作り、その構想を実現するための戦略作りがCEO(経営最高責任者)の最も重要な責任業務になる。

日本の約250万社のトップが、まだ深くは意識していない部分です。現在も大切ですが、それ以上に<将来構想>が大切。
土地担保(バックミラー)での資本調達が50年も続きましたから、仕方がないとも言えます。
しかし、マネーの動きは過去とは変わっています。

2001年2月5日の孫氏の発言

しかしながらソフトバンク株はピーク(00年2月)から大幅に下がっています。孫氏は今はどう言っているのか? 2001年2月5日、今日の日経新聞での発言です。

<株価低迷時に逃げるのは素人。われわれプロは今が絶好の仕込みの時期と見ている>
<ネットビジネスの潜在成長力に比べて、低すぎるネット企業の株価はわれわれにとっては追い風・・・>

一方アナリストは、
<高株価をテコに投資を続ける経営手法が限界を迎えている>と判断しています。これが多数派の見方でしょう。

読者の方はどう判断しますか? これを機会に、考えるべき問題ですね。足して2で割った見解もある。それでは動けませんが・・・

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さて時価の謎へ

難しいことはありません。時価の原理の本質は、寿司屋の・・・あの怖い<時価>と同じです。
時価の寿司を頼めるのは、<経験上>およその見当がつくからです。
この時価の見当をつけるのが、<見通しという判断>ですね。

定価と時価

実は本当は<定価>のほうが、変なのです。
定価とは、実際は日々変動している時価のリスクを見こんだ上で、そのリスクを顧客側にかぶせる、または、企業側が被る仕組みです。

銀行の<固定金利>も同じ、為替の<固定相場>も同じです。
定価、固定金利は変動リスク部分あらかじめ含んでいるのです。

例えば、書籍の定価2000円は平均して約50%の書店からの返品のリスク、つまり1000円分をリスクとして含んだものです。それによって出版が成立。

近代資本主義では、中世は時価取引であったものを、商品購買に大衆を参加させるために<定価>を発明。これで実質価値、時価が判断できない人も、安心して買えるようになった。いわゆる一物一価。

(海外に出かける日本の小売のバイヤーは工場を見て商品の実質原価、実質価値つまり、<時価>の適否を判定できる必要がある。日本人バイヤーはこの<時価>に慣れていないですね。値踏み力のなさです。)

【日本での定価の発祥】
江戸時代は<定価>という概念がなかった。
価格はその都度の<取引>つまり<時価>で決まった。
小売で現金・定価販売を最初に始めたのが、呉服の<三越>でした。
これが三越の成長の最初の原動力だった。ご存知でしょう?

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異論のある<株の総時価>

孫氏のメッセージ

<一番目は、アナログのテクノロジー、二番目がアナログのサービス、三番目がデジタルのテクノロジー、四番目がデジタルのサービス。・・・この順序に時価増額の繁栄が移って行きます。時価総額とは、その会社がこの先10年、20年と続いていって将来稼ぐであろうキャッシュフロー、つまり利益ですね。
これの総和を現在価値に割り引いたものです。それ以外のなにものでもない。
つまり過去12ヶ月の経常利益は、単に会計上の過去の業績をあらわしているだけで、それでは(赤字の)インターネット関連の株式の価値というのは表現できないわけです>

▼異論

マネーゲームだ、企業の株の総時価が企業の将来価値を表しているとは思えない。普通の見解です。しかし、そんなに軽く片付けていいものではないのです。どうですか?おそらく読者の方の70%くらい、いや、90%の方は<?>でしょう。

株取引では、売る株数と買う株数は等しい。
取引が成立した結果が時価です。
これを解釈すると、
i)株価がこれ以上は高くならないと判断して売る人と、
ii)高くなると判断して買う人が、つまり見解の違いが常にある。

現在の株価、東証1部の1株平均株価の1071円(1月30日)がマーケット(参加者)の総体での<集合的>判断の<結果>です。
従って、1株1071円が日本企業の将来収益から見て高いのか安いのかの見解は、2分される。統一見解や定価はない。

今日の株価には<判断の間違い>が含まれているという見解

株価は、時々刻々と変動する。なぜ変動するのか?
将来の利益は不確定で、判断間違いを含むからです。
定価はない。その代わりに、将来の利益の判断のための情報、企業財務構造、将来構想を開示する。あなたはいくらの値をつけるか・・・

人は、異なる判断をする。同じ数字と情報の解釈は、個人で異なる。
将来収益の判断が異なるからです。

▼見解がひとつになったとき、土地や株の異常な暴落や暴騰がおこる
バブルや暴落とはみんなが同じ見解になったとき起る。
市場経済で、見方がひとつになるのは危険。しかし見解がひとつになると、みんなは安心する。

その安心が、高くても安くても実は、危険の頂点。
みんなが同じ見解の時、株価は安過ぎるか、高過ぎる。
赤信号、みんなで渡れば・・・その後はとても怖いのです。

市場の安定とは異論が参加して取引を行うこと
ところが異論のなかにいるのは、とても不安である。みんなと同じ見解で動きたい。経済マスコミは、大衆の見解をひとつにまとめる機能を果たす。
従って、株価の時価は高くも安くも、必要以上に大きく振れる。

特に日本人は異論と同居するのに慣れてない。他人が同じ意見をもっていると安心する性癖が、英国人・米国人より強い。ドイツ人は日本人に似ている。市場経済を嫌い、時々統制に傾斜する。
ライン型資本主義。
自由市場は、危険でリスキーで粗暴に見える。
NECの関本氏のように<不可解>となる。

市場経済は、異なる見解のある人が、情報をFairに開示して取引をする経済です。

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しかしながら・・・<将来の利益の現在価値>という深淵

<時価総額とは、その会社がこの先10年、20年と続いていって将来稼ぐであろうキャッシュフローつまり利益ですね。
これの総和を現在価値に割り引いたものです。それ以外のなにものでもない>

未来の収益の現在価値とは?

5年後の100万円は、現在はいくらか? この計算が、将来の利益(キャッシュフロー)の現在価値という<仮説>です。
将来の利益を現在化するため学は、<金利>と<確率>を持ってきます。

期待金利を5%とすると、100万円÷1.05の5乗=100÷1.28=78万円
金利を5%とすれば、5年後の100万円は、今の78万円の価値と等しい。期待金利の<期待>とはなにか? まずここに<深淵>がある。

日々変動している金利が5%である確率が80%とすれば、5年後の100万円が、現在の78万円である確率が、80%となる。
(注)実際はもっと複雑な確率計算を行います

企業価値の末来利益は、期待金利と確率の計算によって、割引き価格、つまり<時価>に含まれた。
末来が、計算で現在になった。現在が末来を含んだ。

手品のような計算。

末来は見えない、しかし未来のマネーを割り引いて、末来を現在に還元できるとの<仮説>。計算だけは、だれにでもできる。
方法は、<見えない末来利益という確率的な深淵>を、<確率的な期待金利という深淵>で割る。

5年後の(確率的な)100億円は、(確率的な)金利が5%のとき、今受け取るなら78億円の現在価値である。時価総額は78億円。
本当に・・・本当にそうか? これは、実は誰にも分からない。
先に進むしかない。結果は確率です。

金融工学を調べても、本当のところは、分からない。金融工学は、<期待>を<確率の数字>に変換し計算可能にしたものです。

金融工学の結局は?

結局は確率分布です。末来は確実ではないが、確率である。
ところが確率は、実は過去の事実の解釈と統計的な集計です。
天気予報の、<明日の雨は30%、今年は厳冬です>となんら変らない。過去の気候のデータを統計処理して、それを末来へ延長する。

ノーベル賞経済学者が運営したLTCM(Long Term Capital Fund)はロシアのデフォルトの確率を、100万年に1度として設定し1997年に破綻したことは有名です。ウォール街は震えた。

<現在価値仮説>では、末来が現在化できた。これは新しい見解ではない。ありふれている時価価値仮説。学はそこまでしか行ってない。

私たちは、そこで立ち止まる。深い断崖に見える。

孫氏はここで跳ぶ。徹底した調査の結果を、単純にまとめた<観>に確信を持って<事業構想>を創り、買収を実行する。

孫氏の脳髄では情報が判断を生み、観になって、構想を生み実行戦略になった。一人の人間がなし得ることが極めて大きくなるのが、情報社会です。

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孫氏の目で、将来を観ると

孫氏のメッセージに耳を澄ましましょう。自分の将来をどうするか、仕事をどうするか、生活設計に、深くかかわります。会社の戦略、生活、ライフサイクル設計。
マネーが必要な世の中が続く限りは、直接・間接にすべての人が係わることです。

孫氏の<観>は議論を誘発するはずです。
孫氏が読めるのはなぜか? 

リフレイン

【第1ステージ】
<情報社会の第1ステージとはテレビやステレオを中心に作っていたころの松下電器やソニー、フィリップスやRCAなど電気メーカー。アナログ情報世界のツール屋さん。彼らは大活躍して時代を引っ張りました。>

【第2ステージ】
<しかし、第2ステージ、つまりアナログ情報をサービスするNTT、あるいはフジテレビ、日本テレビ、あるいは朝日新聞(非上場)、ニューズ・コーポレーション、ディスニーといった会社の時価総額はどうなっているのか・・・>

<情報社会の第1ステージにおける会社の、10位までの時価総額と、2番目のステージの(アナログサービス)のトップテンをくらべると後者が、前者を超えた。業界全体の時価総額で比べても、2番目のステージの会社は、1番目を越えているわけです。>

【第3ステージ】
<(つぎに)3番目のステージが来た。まさにそれが、マイクロソフト、インテル、オラクル、サン・マイクロ・システムズ、シスコ・システムズという会社ですね。デジタル情報のツール屋さんです。
アナログのツール屋さんとサービス屋さん、両方を足したものを、デジタルのツール屋さんが超えた。マイクロソフトは世界一になった>

【第4ステージ】
<とにかく、3番目のマイクロソフトをはじめとしたデジタル情報のツール屋さんが、1と2を足したものを超えた。そして必ず歴史は繰り返し、ここで止まりません。4幕目が来る。この4幕目、4番バッター(デジタルサービス産業)というのは、1と2と3を足したものを超えるというのが、僕の予言なのです・・・
市場にツールが行き渡ってくると、必ずそのサービスの世界がおおきくなるんです。>

インターネットは途上国にも行き渡る。大陸中国が既に日本のインターネット人口を超えたのはご存知でしょう。
必ず第4ステージのデジタルサービス産業の大波が来るはずである。その時は、第3ステージのマイクロソフト、インテル、シスコ、オラクルも過去の企業になっているかもしれない。

日本に大きな将来が見えない理由は、先端産業もデジタルテクノロジーの部品の供給、つまり、第3ステージのモノの生産で留まっているから。モノは作るのが真似られてどんどん安くなる。

我が社を転換する必要はない。そんなことは、できません。
現業の競争力のコア・コンピタンスの樹立、強化が最も大切で確実。
それがタネになるのです。
新しい分野は成功より淘汰される可能性がずっと大きいのです。成功の<確率>は2%くらいでしょうか?
10000社のうち200社。今はまさに、第1次淘汰の時期。

ソニーの出井戦略のように第4ステージのプレーヤーになるのも選択肢でしょう。しかし日本は郵貯が約300兆円、銀行預金が約500兆円、個人金融資産の国、投資のための大きなタネはできているのです。
私には、そのタネがありませんが・・・(笑)
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総時価の性格と、株取引の利益と損失

▼ちょっとした思考

株の売買で得た利益とは、どんなものでしょうか、それを考えてみます。単純化します。わかると世の中が違った風景に見えてきます。
(効能は?)バブルやバブル崩壊が、怖くなくなること(笑)

【株取引の利益と損失とは?】

(取引)
・小淵さんが総額100万円で買ったソニー株を、森さんに時価400万円で売ったとします。
・小淵さんは300万円の利益。この利益は、一体どこから来たか?
・森さんの懐からでた400万円のうち300万円を利益として小淵さんがもらった。ソニーが支払ったわけではない。

(時価)
(仮に2が同一人物なら)
小淵さん、森さんが実は同一人物だったとしたら、最初の投資の100万円にプラスして、300万円を加え今は時価400万円の株券を持っているだけです。
株価上昇とは言っても、もともとは自分が出したものですね。

全体視点では、株取引と土地取り引きは、ゼロサム

個別には、売却の時損をしたり得をしたりするが、全体の富が増えも減りもしないことをゼロサムといいます。

【株と土地の取引の本質】
株(土地も同様)の取引とは、最終結果は、最後にもっている人の分、つまり現在の時価にすべての投資分が含まれていて、その間の損をした分と得をした分は、完全に等しい。損得のゼロサム。損得は人から人へ移ったに過ぎない。

証券市場の外部からの資金流入があると・・・

株の総時価が高くなる唯一理由は、株式市場以外の外部から投資が増えるということでしかないのです。

NYSEの総時価1380兆円(2000年末)、米国NASDAQ400兆円、東証一部の368兆円(1月30日)が、更に高くなるかどうかは、証券市場の外部から、株を購入する資金が増加するかどうか、その1点にかかっているということになります。

逆に安くなるときは、株式市場から資金が別のところに引き上げる時です。
株式市場を含む、世界の富は増えも減りもしない。ゼロサム。株も土地も全く同じです。どこまで行っても、ゼロサムなのです。

バブルの発生と崩壊の本質

こうして、バブルの発生とは、土地や株に、大量の外部からの資金が投入されることだと言えます。このことは重要。
つまり、株や土地の値上りが、特にテレビの話題になるときは、もうマーケットからは逃げるほうが勝ち。
そこから投資を始めた人のマネーが、逃げた人に移るゼロサムゲームです。

株や土地のバブルの崩壊とは、実はバブルで損をした人のマネーが、別の人の懐に入ったということです。それだけに過ぎない、と言うには重過ぎる事実ですが・・・
つまり、マクロで見れば富の所有者が変わっただけのことになる。

ですから、日本のバブル崩壊の後は、アメリカの株の高騰が起ったわけです。こうした国際的な資金移動の総量がレバレッジ(テコ)がかかって何倍にも増え、移動速度が速まったのが90年代。

このマネーが近づきたくなるような魅力をつけることが、これからの会社経営だということになります。
4回の<メールマガジンでのセミナー>で、ここまで単純化できました。
ちょうど1週間の短い(長い?)4回の旅。

バブル崩壊でもマネーの総量は減少せず、次のバブルを準備することでもある。バブル崩壊で終りではないのです。冷静な事実ですね。
ここを確認しておきましょう。見えてきました。

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第4ステージが見える

デジタルサービス産業の総時価が、第3ステージのデジタルテクノロジー産業の総時価を上回るかどうか、これはデジタルテクノロジー産産業に投資するマネーが、増加するかどうか、にかかっています。

総時価を上げる投資マネーの二つの源泉

1つの源泉】
極めて具体的に言えば、デジタルテクノロジー産業、代表がマイクロソフトの株を買っている人が、それを売って、デジタルサービス産業への投資へ移行する。その時は、マイクロソフトの株が下がります。

【2つ目の源泉】
もう1つの源泉は、今まで株を買わなかった人が株を買う、または、株購入のための資金を増やすことです。

【投資マネーの二つの源泉は増加するのか?】
一時的な縮小はあっても、今後、やはり株式市場へ流入するマネーの総額は増加すると見ることができるでしょうね。それが妥当であると判断します。

【スタープレーヤーの原理】
株式市場は、必ず次のスタープレーヤーを探すことになるでしょう。新人タレントの発掘と、何ら変りません。

その新人タレントが、前の歌手より歌の技術が優れているかどうか、人々の心に訴えるかどうか、誰にも比較・評価はできないのです。
技術や満足を図る共通の尺度は、どこにもない。
<新>と<同時代>の価値があるだけです。

新人タレント、新しい企業、新しい構想を、新鮮な目で見ることができなくなったとき、興味を持てなくなった時は、どこかに<老い>が忍び寄っているのでしょう。新しいものは、過去の精巧に完成されものに比べれば欠陥が目立つでしょう。でもこれはバックミラーです。

スターになった新人タレントの所得は、1世代前のタレントの所得を、短時間で簡単に超えます。
なぜか? 音楽を聞く人が、前よりずっと増えているからです。
一瞬で300万枚も売れることは以前はなかった。

インターネットの接続人口が増えれば? 音楽CDと同じことになるはずである。
孫氏の4段階ステージ論での株価総時価は、それと同じ意味です。
日常的に理解すると、きわめてわかりやすくなる。

しかし、タレントの世界とは違ってマネーの動きは資本主義の根幹に係わり、われわれの生活すら左右することです。

貯蓄の増加分⇒金融機関⇒政府国債・地方債⇒公共投資と銀行救済へ
貯蓄の増加分⇒金融機関⇒米国へ⇒米国の国債・債券と米国IT株へ

これを、再度、日本企業が奪還できるかどうか、これによって、日本の21世紀が明るいかどうかが決まります。

【21世紀は再び日本の時代になるとの楽観】
私は、長期的に(2003年以降)は極めて楽観的に見ています。
もともとが、われわれ12,700万人の1380兆円の貯蓄から来ているからです。
日本の若い人って、諸外国の人に比べても、才能がある感じを受けます。

米国の現在は家計の貯蓄率ゼロで、全部ではありませんが大部分は日本人のマネーを、呼びこんで巧みに利用した繁栄です。
貯蓄しか<本源的なマネー>の生まれるところはないのです。
株や土地は、結局ゼロサムでしたね。

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<僕達がデジタル情報産業のインフラになるんだという気概をもってやっていく以上は、どうしてもジフ・デービス(ZDnet)や、シェルドン・G・アデルソン(コムデックス)を手に入れたい。デジタル情報のインフラになるんだという、まず志ありき、です。
でも、志はあってもお金はなかった>

マネーは生むことができた

<コムデックスを買収するときの資金は、日本の銀行にお願いしました。できないという返事ならば、(事前研究で)アメリカの銀行でやれるということが分かっていますから、即アメリカへ行きます、と言いました。
いや、待て、やってみようということで、興銀が中心になって大変協力していただいたんです。(コムデックス買収の500億円の調達)>

構想を詰めるということ

<実際の事業が始まって、サービスや営業を開始するときには全体構想の9割は、終っていないといけないんです。もちろん結果はわかりません。準備の段階で勝つべく調べ尽くして、構想がすべて固まってもハプニングが起きるわけですから・・・>

リーダシップの条件

<1番最初に重要なのが、理念と志。2番目に重要なのがビジョンです。似たような言葉ですけど違います。そして3番目が戦略です。これがリーダシップを発揮して、事業を志す人が持つべき重要順の3つのポイントだと思っています。>

ソフトバンクの理念とビジョン

<ソフトバンクの場合、理念はテクノロジーを活用することによって、人類の知恵と知識を共有し、創造的で幸せな社会を実現するということです。ビジョンは、あらゆるシ―ンがインターネットにつながるということです>
理念もビジョンも単純・明解ですね。

戦略

<戦略として、1.デジタル情報サービスで世界ナンバーワンになる。2.サイバースペースに集中する。 3.自己増殖型組織で昆虫のような群戦略 4.企業価値を創造する経営、となるわけです。こういうことを基本戦略としてはっきり掲げています。>

(注)21世紀型の経営組織を解くことは、別稿でやります。

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■4回にわたって、孫正義氏の事業観を素材に、21世紀のフロントビューを見てきました。

想像力って素晴らしい。文字が、情景を描き、場を描きます。孫正義氏は、今戦いの最中です。確信はあっても成功するかどうかはわからない。ただし、他の人にはない大きな夢を持っています。

こうしてまとめると21世紀型の事業の、クリアなモデルとしてスタディができます。
マスコミ風のバックミラーに流されるのではなく、フロントビューを大きく観て、構想し、その構想を詰めに詰めて、出会い、機会、マネーを呼び寄せる。小さな1粒のタネさえあれば、グローバルマーケットだからこそ、今まではなかった、巨きな機会が生まれます。

<ソフト・バンクはたまたまパソコンソフトの流通で始まりましたけれど、僕はトラックで配送するパソコンソフトの流通だけを本業にしようと思ったことは、創業以来、1日たりともありませんでした>

強い願い、調査と構想、戦略、リーダシップ、21世紀の事業のキーワードです。改めて、思います。個人の時代。
ネット株崩壊の合唱の今だからこそ、冷静に判断できるはずです。

終章・・・勇気と夢とほんのすこしのおかね

ライム・ライトという映画がありました。
チャップリンが扮する老喜劇俳優。
精神的なショックで脚が麻痺し、踊れなくなった美しいバレリーナ。
ガス自殺を図ったが、アパートの隣室に住む老喜劇俳優に助けられる。
彼は絶望しているバレリーナに言った。

人生は素晴らしい。生きるのに必要なのは勇気(courage)と夢(imagination)と、ほんのすこしのおかね(a little money)・・・

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   Systems Research Ltd. chief consultant吉田繁治
2001年2月6日増刊号 :フロントビューとバックミラー(4)
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