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| こんにちは、吉田繁治です。NYツアーのための事前視察から帰り ました。皆さんは、お盆休みでしょうか。 米国景気には、個人消費の表面上の変調は見えない。相変わらず個 人消費は好調です。住宅価格は弱含みではありますが、目立つ値下 がりは、大都市圏を除き、全米的にはまだない。 このことが個人消費を支える原点になっていると、改めて実感しま した。本稿は、感想的な短信です。 <短信:Ground Zero> 【目次】 1.経済構造の原点 2.Ground Zero 3.5番街の日の丸 4.ご報告 ■1.経済構造の原点 【米国人の一般世帯にとっての住宅資産の意味】 米国人にとって、日本人の預金に当たるものが住宅資産です。中古 住宅を購入し、ホームデポで住宅部材を買い住まいの改善の手を加 え続ける。購入したときより高く売れるようにする。 子供が大きくなるに従い、改善した住宅を売って、より大きな住宅 に買い替え資産を作っていくライフスタイルがある。価格では、住 まいの躯体設備と内装、そして建物を取り巻く周辺環境や景色を評 価する価値意識を作っています。 住宅を買うというと、まずは中古住宅を思い浮かべるのが米国や西 欧です。分譲住宅は、遠い郊外にしかない。 買うのが新築である日本とは違います。 日本は、住宅文化では途上国です。 まず長持ちがせず、そして狭い。 住宅対策こそ、日本経済浮揚とGDPの内容、生活の高質化の要で すが、この国の政府と財務省、国土交通省の発想には、すっかりそ れが失われている。民に恨みでもあるのでしょうか? (1)100年の耐久力のある125平米を超える広い家ほど、6 0年の超長期が利用できる「高質住宅ローン支援制度を含む総合対 策」を立案し、資金を吸収し、 (2)住宅ローン金利の全額を、別荘を含む3件目の住宅までは、 払い終わるまで、所得控除ができるようにすれば、あまった建築・ 土木業も活気付きます。 日本人の、レジャーを含む生活が、目覚ましく、がらりと変わるで しょう。60年の超長期住宅ローンは証券にして、小口債権化し、 銀行や証券会社の窓口で簡単に売買ができるようにすればいいので す。 更に、60年の定期借地権と組み合わせながら、同時に、住宅用の 土地売却は、非課税にする特例を作る。銀行に政府マネーを注ぎ込 むより遥かに有効な政策。 <ダムの代わりに住宅を>でいい・・・21世紀の政策の目玉にな るはずです。住宅の田中角栄が現れることが必要です。角栄は、 1970年代以降の、増額公共投資の政策路線を作った政治家です。 族議員の仕組みは、彼の発明です。 それ以降、政策の発明がない。30年経った。30年は1世代。 そろそろ、次の30年の政策の柱が必要ですね。 この政策がなぜ立案されないのか、私がいつも不思議に思うことの ひとつです。これをやれば政治家も人気が出ます。明るい顔の日本 人も増える。核家族化にも、歯止めがかかるはずです。父親も権威 を取り戻す。高齢者預金の、利用にもなるのです。 子供たちに「家風」を残せばいい。 住まいに魅力がない国は、滅びます。 90年代は、公共設備のみが立派になった。 21世紀は住宅でしょう。 ▼日本の資金循環 【日本の習慣】 日本では、新築住宅を購入したあと、住宅の建物の価値は、どんど ん下がる。建物が粗末だからです。メンテナンスや改善の観点から、 米国流のホーム・インプルーブメントをする人は稀です。インプ ルーメントに、有効性がないのは、もとももとの躯体の貧弱さから です。 建物価格の下落を補ったのが、1991年頃までは、人口減少地帯 を除く、全国一律の土地価格の上昇でした。住宅価格が下落し、賃 金が上昇を止めたとき、個人消費の低迷が始まった。 同じ不動産とは言っても、単純化して言うなら、米国では建物の価 値であり、日本では土地の価値です。日本では、正確に言えば、my home(私の住まい)ではなく、my land(私の土地)だった。 個人に限らず、とりわけ中小企業では土地の担保価値が上昇しない と、銀行からの増加融資(つまり、増加資本)は供給されない。 日本の大手優良企業は、80年代中期ころから銀行融資を離れ、市 場資金か、営業キャッシュフローを増加資本の源泉としている。つ まり、自律した資本調達構造を作ってきた。 優良な大口融資先を失った銀行は、1985年頃から上昇していた 過剰評価の土地を担保に、中小企業融資に走ったが、1992年以 降の地価下落で、資金回収を余儀なくなされた。日本国全体で10 00兆円くらいの土地評価額が失われたのです。 こうして、90年代は金融機関の増加資金は、政府の国債や自治体 の地方債購入、つまりは政府部門の赤字を補填する資金供給機関に なって、現在までそれが続いている。 90年代から現在の資金循環を単純化すれば以下です。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 大手企業 =資本市場の資金+営業キャッシュロー 非上場企業 =土地担保 →信用縮小 →資本減少 世帯 =土地担保 →信用縮小 →資産縮小 国家 =国家信用 →信用拡大 →負債増加 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 金融機関は、企業への融資(資本供給)を減らし、国家への資本供 給(国債購入)へ走った。低金利の増加資金は、企業ではなく国が 使った。 【根底】 資本市場(株式市場)にクローニー(仲間内)性がある日本では、 融資の担保となる土地価格が底を打って上昇しない限り、中小企業 を中心とする民間企業への資金の流れは生まれない。 資本主義経済では、世帯の可処分所得からの預金を本源的な資本の 源泉として、全体の資本供給が増えない限り、経済の浮揚はないの です。 世帯がMy Landを拠り所にするように、非上場の企業は、保有土地の 価格上昇によって増加資本を得る経済構造が厳然として残っている。 このことを、常にまともに見ておかなければならない。 日本の金融機関の問題は、土地価格問題と集約できます。普通預金 のペイオフ解禁(延期が確定)をめぐる騒動は、土地価格下落の、 派生的な結果に過ぎない。 【常に記憶すべきこと】 以上、当たり前のことを申し上げた理由は、日本企業と世帯の資本 増加の源泉であり、今でも同じ資本構造でありつつも、ここ数年の、 経済論では、土地の評価価値の問題が論の正面から消えているか らです。そうした理由から、本稿では改めて取り上げます。 ▼日本の人口構造の特性と土地価格 日本の人口構造の他国より強い特徴は、 (1)団塊シニア(53歳から55歳)の人口が各年齢250万人 で、合計750万人と、突出したふくらみがある。 (2)団塊ジュニア(27歳から30歳)は、各年齢が200万人 で、合計600万人と、団塊シニアに続くふくらみになっている。 こうした激しい突出は、米国や西欧に見ることはできない。もっと なだらかなのです。(旧西ドイツが比較的日本に近い) 両世代の、それぞれの世代としての共通行動を見れば、他国より、 比較的容易に(しかも確実に)将来予測ができます。 団塊シニア750万のマイホームブームは、20年前、1980年 代初頭でした。1986年頃からは、土地価格バブル経済に入った。 この世代に次ぐ塊である団塊ジュニアは、今20代後半です。この 世代が第一次住宅購入に走る時期が、あと数年すれば来ます。この とき、日本経済は、底を打って浮揚します。住宅購入は、付帯的に、 車と耐久消費財(200万円から300万円)の購入までを伴う のです。 人口ピラミッドのグラフ↓ http://www.stat.go.jp/info/guide/8-06-083.htm 人口ピラミッドは、事業発想の原点です。 ここから、いろなものが見える。 ■2.Ground Zero WTC(世界貿易センター)の跡地はGround Zeroと言っています。衝撃 的な、9.11から約1年も経った。 NYでウォルール街を散策した折り、トリニティ教会から、WTC 跡地まで散歩しました。今は整地され、何もない空間になっている。 この、何もないという景色が、すごい。9.11以前には、NY へ行くたびに、このワールドトレードセンターには行っていました。 地下はショッピング街で、コンパクトな書店もあったのです。話 題のビジネス書があったので、よく買いました。 低い塀をめぐらせていますが、その隙間から見ると、ミノル・ヤマ サキが設計した415メートルと417メートルの2つの巨大ビル がない。その日は、青い空とくっきりした雲が見えた。 しかし、想像力の目には、何かが見える気分がします。 じっと見ていると、頭が締め付けられるような感覚に襲われ、嘔吐 しそうになった。こうした経験は、初めてです。霊の存在など、私 は信じるほうではない。死ねば無機物に分解すると思っています。 そこに10分くらいいたでしょうか。急に疲労を感じ、タクシーで ホテルに帰ろうと思ったのですが、歩きました。タクシーに乗ると、 きっと嘔吐したでしょう。 Ground Zeroから1キロくらい離れると、頭を締め付けられる感じと 嘔吐感が、すっかり消えた。 このサイトでは、Live Cameraで、リアルタイムのGround Zeroを、 見ることができます。↓ http://www.earthcam.com/usa/newyork/groundzero/ こうした経験をした人々は、おそらくものの見方を変えただろうと 思った。 FRB(連邦準備銀行)と、今も場立ちをやっているNYSE(ニ ューヨーク証券取引所)の建物は、米国の誇りを示すように壮麗で す。91年12月に発覚したエンロンの粉飾事件を端緒に次々に発 覚している不正経理は、米国の自信を、揺るがせています。 日本では、以下の順で権威が崩壊した。 (1)1970年代の田中角栄以降の、毎年の政治家の不正 (2)リクルート事件を発端とする1990年代の高級官僚の不正 (3)2000年代は雪印事件を発端とする一流企業の不正 日本人の生涯観で、崩れつつあるのが、 <一流大学→一流企業→マイホーム→幸せな家庭>です。 幻想の価値だったと、心の深い部分で思っています。 米国では、 (1)日本に比べれば政治家は、まだ権威を保っている。 (2)しかしアメリカンドリームは、政治家ではなく、高額の報酬 を得て喝采を浴びるスポーツ選手と、ベンチャーおよび一流企業の トップでした。 エンロン事件は、金融バブルとともに飛躍した90年代成長企業の、 デリバティブを含む複雑な経理操作のビジネスモデルに息の根を 止めるくらいの衝撃と、判断していいでしょう。 90年代以降、雑誌の表紙を飾るのは、各社のCEOでした。つま りCEOは、子供達の憧れだった。そのCEOという3文字から、 輝きが消えた。 米国人の生涯観は、 <ベンチャー企業を起こす→CEO→富裕→広大な住宅と、レジャ ー>でした。ここに亀裂が入った。ビル・ゲーツの象徴的価値は高 かった。 日本も米国も、これから10年くらい、奥深い部分で心理的な<ア パシー:虚無>を抱えるはずです。 『象徴的なこと』の意味は、それくらい重い。 ラスベガスの砂漠のような、Ground Zeroが見える。 何もないキャンバスに、次の絵を描くのはだれか。 ■3.5番街の日の丸(プロジェクトXを見て) NYは世界の事業家の「夢と、夢の軌跡」を見ることができる「国 際都市」です。国際都市ということの意味は、狭いマンハッタン島 に米国のみでなく「世界がある」いう意味です。 昭和37年(1962年)、当時のソニーの営業担当盛田副社長は、 5番街のショールーム(現ソニープラザ)に日の丸を掲げた。町 工場であったソニーのビジョンは不遜にも<(技術によって)日本 の戦後復興を果たす>ということだった。 海外赴任者が羽田でプロペラ機のタラップを上るとき、会社や一族 郎党の日の丸の旗が振られ、永久の別れのようだった。旅行者の外 貨は乏しく、オフィスはボロビルで、コーヒー1杯をオーダーするの も考えるくらいであり、大臣の一行すら安宿を探していた時代だっ た。 「日本製は品質が悪い」と取引を断られ、価格は叩かれ、どぶねず みと揶揄された実直な背広姿で、脚を棒にして歩いていた。ミノル タ等のカメラメーカーや家電メーカーを含むNY駐在員は、5番街 に初めて揚がったソニーの日の丸を見て、涙したと言います。 そうした人々が、今の日本の信用をつくった尖兵だった。それから、 40年・・・ NYでは世界の人々や事業家の想いの跡が見える。タイムズスクエ アの広告塔を見れば、数年単位で変わる「世界の企業の勢い」も見 える。世界を受け入れ、受け入れられれば世界に発信ができる都市。 NYの街角に立ったときの、心が騒ぎ立つ感覚は、こうしたところ から来ているのかもしれません。 タイムズスクエアでは、HSBC(英国資本の香港・上海バンク: 中国を含むグローバル金融)と韓国サムスン(半導体で世界ナンバ ーワン)の広告が目立った。日本企業は、目立たず隅に消えていま す。 今のマンハッタンには、あるけば至るところ、日本のコンビニエン スストアくらいの密度で香港・上海バンクが目立つ。以前は少なか った。これは、何の初まりで、何の終わりか。 http://www.hsbc.co.uk/ 今回は、感想的な短信でした。 see you again the next week! ■4.ご報告 ニューヨーク視察・研究のツアーの参加者数は、8月12日時点で 以下です。ゆったり座れる感じですね。 第1陣:参加者24名(47名乗りのバスを使用) 第2陣:参加者42名(59名乗りのバスを使用) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【ご案内】 1ヵ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-mailで 姉妹誌:ビジネス知識源プレミアム(有料版) 600円/月(毎週水曜日発行) <まぐまぐプレミアム>のサイトで会員登録が必要です。↓ http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?keyword=P0000018 会員登録の翌週から配信され、いつ申し込んでも、同月配信分の全 部は読むことができます。バックナンバーの購読もできます。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【ビジネス知識源 読者アンケート】 1.テーマと内容は興味が持てるか? 2.理解は進んだか? 3.疑問点や質問点は? 4.その他、感想等 5.差し支えない範囲で読者の横顔情報があると助かります。 コピーして、メールに貼りつけ、記入の上送信してください。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ▼著者へのひとことメール yoshida@cool-knowledge.com ※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。 あなたと、会社の、知識とスキルのブラッシュアップを。 ▼<ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊分を超える 情報価値をe-Mailで>のサンプル閲覧と申し込み http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?keyword=P0000018 有料マガジンベストトセラーを継続中です。 http://premium.mag2.com ▼クール・ナレッジ掲示板(BBS)で投稿 http://cgi.members.interq.or.jp/venus/yoshida/BBS/light.cg |
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