| ライフ・プランの戦略:第2部 3つの、重要概念を解く ・Financial Attitude マネーに対する態度 ・Financial Literacy 資産を見分ける経済観念 ・Financial Intelligence マネーを生む知恵 |
| <ライフ・プラン戦略>の第2部をお届けします。 ▼Financial Attitude 、 Literacy、Intelligenceを解くことにします。 ・Financial Attitudeとは、マネーに対する態度のことです。 ・Financial Literacyとは、資産を見分ける経済観念のことです。 ・Financial Intelligenceとは、マネーを生む知恵です。 大切なことでありながら、大部分の人が苦手なことです。しかしながら、常に目先の欲望に負けてきたと言える自分が、分かったようなしたり顔で、ライフ・プランを人に説けるか?ここを悩んだのです。 今回の考察を通じて、諸概念を明確にし、単純な原理を導きながら、正面から見据えて、克服しようと決めました。 そこから、有効なメッセージを伝えることができるかもしれない。 i)最初にFinancial Attitudeを解き、ii)つぎにLiteracy、iii)最後にIntelligenceと進めて、この3つの概念を解きます。 (注)個人のライフ・プラン戦略だけではなく、主語を企業経営に変えれば、企業戦略でも全く同じであることをお忘れなく。 ■Financial Attitude(マネーへの態度)を曇らせるもの ▼<節約の学>はどうなった? <大学で経済学を勉強したのならお金儲けが巧いでしょう?>ということは床屋談義や落語ではなく、まともに答えるべき正当な問いです。床屋談義に答えられない学は、実学としては意味がない虚学です。公的資格も大きな意味はない、名刺の肩書きです。 経済学とはeconomy、つまり節約の原理を解く学でなければならないはずです。しかし経済学を学んでも<マネー・マネジメント>ができない。難しい用語に満ちた、実は仮説まで遡ると俗説を超えない<学説>を有り難く読んだだけです。 【経済学の前提の問題】 書かれざる大前提は<人間は経済合理的に行動する> 果たしてそうか? 私にはそうは思えない。非合理に行動して自分で墓穴を掘ることも多い。<経済的合理>の尺度は? これには経済学者は答えない。思考のための有効な概念は多いが、経済学の前提には問題がある。 自己破壊へ向かう非合理な人間を描くドストエフスキーやニーチェ、そして文化や行動規範の構造を解き明かす構造主義を読めば分かることです。 経済は人間が動かすのに、経済学では人間の想定が浅い。過去の解釈(バックミラー)はできても、予測(フロントビュー)を大きく間違える。予測は、i)不可解に想える人間の心理と文化、ii)社会の行動規範の要素を解いて含めないと、できないものです。 経済はその中に深く組み込まれている。 事業計画やライフ・プラン作りは、過去ではなく将来への企図、投企(フランス語のprojet)です。人間の心理・文化・行動規範が深く絡むことになる。 ▼マネー・マネジメントの第1原理は単純 資産を残す人(企業)は、 i)目先の欲望に負けず、 ii)支出を制御(コントロール)し、 iii)計画をもって将来利益を生む資産を取得し続けた人(企業)のことです。 【5つのキーワード】 資産、欲望、制御、計画、将来利益という5つのキーワードがある。 人類が、その日暮らしを脱して、貯蓄ができる農業社会に入って以来、何千年もこのために戦ってきた。 本稿ではその中身を具体的に解きます。 また、<制御:コントロール>は、<目標>を設定したときはじめて意味があるものになる。目標のない制御・節約はない。従って、制御ができるには、i)目標の設定、ii)その目標と現状の差異の測定、iii)目標に至る<最適>な方法作り、が必要です。 【失う人】 マネーを失う人は、収入の総額より目先の欲望に負けて残らないものに使う金額が多かった人。ああ、実は収入の多さは関係がなかったんだ、と気がついたのが私の最近です。とても、遅れています。 【間違った考え】 <収入が増えれば貯めることが出来る>という大部分の人の考えは嘘。これは体験上言えます。収入が増えると私も含めて95%の人は、<欲しかったもの>をすぐに買い、<我慢してきたこと>をやり始める。累進課税で税も驚くほど急に増える。細かく贅沢をしたり、残らないものに使う。街に1歩出れば、欲望を喚起することだらけ。 本質的には無駄なものを、どんな方法で、余分に買わせるかが資本主義です。 アメリカの店舗には、その実験と研究の成果、新しい需要喚起の試みがある。 【方法の間違いがある】 欲しいものを買うのは、間違いではない。 欲しいものを手にいれる方法に、間違いがあるのです。 どんな方法で<大きく>手に入れて、しかし資産は減少しないどころか増えつづける方法を確立すること、これが後で解くFinancial Intelligence(マネーへの知恵)、結論部分です。 【95%の人は、収入が増えても何も残さない】 収入が増えても、それだけでは何も残らない。これは自戒です。 会社経営でも同じです。個人の写し絵が会社です。 本社が豪華になった時は、古今東西、衰退のレールに乗った時です。 長期のリソース戦略、言いかえれば<経営資源蓄積計画>のない経営者は、少し儲けが出ると、今まで我慢してきたことを始める。 そして貴重なタネの経営資源と時間を失う。これを繰り返す。 支出の理由は、いくらでも見つかる。 理由を見つけて、自分を納得させる。 【分岐点】 ITベンチャーの経営者に、マネーの順風が突然吹き、1999年には、思わぬお金が集まった。最初にやったことは、欲しかった高級車と高額マンションの購入だった。 入ったお金の額に比べれば、使ったのはわずかな額です。 しかし、ここに大きな問題と分岐点がある。 目先の欲望を制御できなかったという<経営者資質>の問題です。 利益から、欲望をコントロールして使うのはいい。 しかし、マネーと人をリーダシップをもってマネジメントすべき経営者が、マネーに使われてはいけない。経営者の職能はマネジメント。 【マネーが集まった理由とすぐ離れた理由】 マーケットが預託したマネーは次の投資を期待するためのものだった。<マネーは将来の期待利益>に集まるからです。 <自己資本>への勘違いがある。会社にとって資本は株主からの借り物です。だから会社から見て、資本は<自己>ではない。 <自己資本>に集まったマネーを、ベンチャー経営者は<自分の過去の実績>で集めたものと誤認した。自分のマネーになったものと思った。今までの実績は大赤字。過去が評価されたのではない。 実は、多くのベンチャー経営者はFinancial Attitudeがなかったのです。素晴らしいアイデアやビジネスモデルはありながら、多くのベンチャーが振りとされて、ブーム後に泡沫として消えて行く。 日米で、そして世界で共通です。 バブルの時も現在も、遠い昔も今も変らない人間の儚(はかな)い性(さが) 【マネーの順風の時の危険】 時流でマネーの順風が吹いた時、<実はその時が第1段階での振り落としのテスト>が始まっている。 一体誰がそのテストをするのか? マネーが、です。マネーは人をテストする。将来投資を行って、その結果、最終的にもっと増やしてくれる人に集まるのです。 【テストのステージ】 マネーはその金額の各ステージで、次々に人間を、経営者を試す。 最初はおよそ1000万円のステージ、3000万円、1億円、5億円、40億円、400億円、2000億円、4兆円・・・ 各テストをクリアすると、マネーは指数関数で巨額に機会を開く。 それが現代マネーの基本性格です。 テストとは? 株価に対する現在利益率(ROE:Return On Equity)と、将来利益率:FROE:Future Return On Equity(新造語)です。 各ステージで金額に飲まれ、目先の欲望に負けて、自己をコントロールできない状態に陥る多数の人が出ます。経営者も普通の人。 マネーに試されて、振り落とされ、そして消えて行く。 マネーは、増やしてくれる人を求めて高速で浮気する。 ▼現代のマネーの基本性格 将来利益を現在化するエクイティ(時価発行)と、レバレッジ(テコ)での投資が普通になった現在、ドッグイヤーの速度で、コントロールできるマネーが集まる可能性がある。 【ドッグイヤー速度が生じる真の背景】 レバレッジで肥大したマネーの移動速度は、極めて早い。5%の利は10倍のレバレッジがかかっていれば、同じ時間で50%の利になる。1年の利益や損失が、10年分になるのです。10倍の速度。10倍の密度の時間がある。 現代経済がドッグ・イヤー展開されることには、こうした理由がある。 【不意に現れる巨大な可能性】 シリコンバレーでもシリコンアレー(NY)でも渋谷でも、そんなことが起った。一過性の一度のバブルではない。末来を現在化する<エクイティ>とテコで肥大する<レバレッジ>が続く限り、バブルは現代経済に深く組み込まれているのです。 従って、バブルは今後も何回も起る。 過去は30年(事業と組織の1世代)もかかった大成功が、わずか3年で可能になった。それくらい大きな機会の舞台、一方では没落の舞台があるのです。企業体は安定した装置ではなくなった。3ヶ月前の業績が、もう翌3ヶ月は激変する。米国の四半期決算を見るたびに思うことです。 日本では、業績が伸びて2年でセブンイレブン、IY堂に次いで流通業3位の時価総額(2000年末:1.1兆円)になったユニクロを見れば分かることです。 ■分岐点 月給が80万円(日本人の平均の2倍)になったら?と想像したとき、<車、服、住宅、家電製品・・・など>を想い浮べる人が多い。 欲しいものを手に入れるために苦労して働いたと考える。 今入手したお金は、過去の労働の成果であると考える。 入手した経緯は、それで間違いがない。 欲望の対象であったモノに変れば、マネーは通過するだけになる。 お金を見て、増えた数字を見て、世間からの末来投資をその金額の分だけ任されたんだ、と考えることができるかどうか? ここが、Financial Attitudeの重要な分岐点。金額の多寡ではない。 多くのひとが、収入が増えた時、分岐点で間違える。 冷静に見れば<自己コントロール>がない。 人のことを言うのはたやすい。自分はどうか? 反省すると、私も自己コントロールがない。 お金ではなく<欲しいモノ>を見ている。 わずかなお金があると欲しかったものに変っている。 【ギャッツビーの小使い帳と計画】 貧困に生まれたギャッツビーは、後に大金持ちになる。ニューポートの豪邸に、大勢の人を呼んで毎夜晩餐会を開く。想い続けていたが、過去にお金がないために振られた女性と再び出遭うために。ある日晩餐会にその女性が来る。ギャツビーは、部屋に招き、その日のために買い揃えていた膨大なシルクのシャツをクロゼットから狂ったように放り投げる。 富豪になったギャッツビーに再会して女性は目を輝かす。二人は、想い出を語る。 妻の浮気の相手と間違えた無関係な男が、プールに浮かぶギャッツビーを撃った。 子供の死を知らされて、田舎から出てきたみすぼらしい身なりの父が、主が消えた邸に来て言う。あの子は子供の頃からずっと・・・小遣い日記をつけ・・・わずかなお金を貯めて、<計画>を持っていた・・・ 父には、愛情の直感で、ギャッツビーの将来が見えていた。 【お金を通して見えているもの】 目の前のお金が、あるいは預金の数字が、欲しかったモノとダブって見えた時は、その人は、お金に動かされている。 お金は、欲望を満たすものに形を変える。 経済はそれで廻るが、マネーは通過する。 次に迫った支払いのために、日々働き、それを何十年も繰り返す。 収入が増えれば欲望も増える。誰にとっても欲しいものは次々に現れる。 【欲望に使われる人間】 欲望に支配されていて、お金を<制御>できない状態。 いつまで経っても、どんなに収入が増えても差し引きで残らない。 マネーは<通貨>になって、モノに変って、その人を通過するだけです。 マネー・マネジメントの第1原理、<収入の総額より、使う額をプランをもって節約し、利を生むものに投資>すること。 実は、会社でも個人でも、この第1原理しかない。 それ以外のことは、全て派生的なものです。 問題は、この<プラン>の中身は一体何であるか? 後半部のFinancial Literacy(経済観念)の項で示します。 ▼不純ということ 【社会主観】 大学教授・裁判官・医者・弁護士が<本業>以外に不動産やアパート経営、株で儲けていることが分かるとどう思いますか? 本来行うべき研究をおろそかにして金儲けしている、不純で信用のおけない奴だということになる。日米欧に共通の<社会主観>です。 <本業>とは一体なにか? <純粋>とはなにか? Financial Attitude(お金への態度)作りとは、お金=不純なもの、お金儲け=汚いことという、暗黙の倫理を脱するところから始まる。 【お金にまつわる悪のイメージ】 儒教倫理から来たものか? 確かにその面はある。 しかし米国・西欧でも共通です。 中学1年の頃、訳も分からず、恰好付けのみの目的で、ゲーテを読んだのが私の読書の始まり。ゲーテは実務面でも有能だったが、お金儲けのことは決して肯定的には書いてはいなかった。事業家は吝嗇(ケチ)と高利貸し、厚顔で非人間だった。(フランクリンを除けば、他の古典的名著でも同じです) そのメッセージだけは、受け取った。 学校の先生の<暗黙>のメッセージもそうだった。 先生も両親も、貧乏だった。 <語られざる部分>、しかし、これが伝わることが曲者です。 【Professionの倫理の問題】 <学んで社会に役に立つ人になれ>というのが共通メッセージだった。お金儲けをしろとは、先生も親も言わなかった。先生も両親もお金儲けをしたこともなく方法も知らなかった。 メッセージは3つだった。 (1)勉強していい学校に行き、専門的で高度な知識を得る。 (2)安定した一流会社や官庁に勤めて、昇進する。 (3)専門的な職業を通じて<社会に貢献>する。 3番目が、社会に出たときの最も良質なメッセージだった。 Profession:職業倫理です。これは大切です。 【Summing Up(要約すれば)】 ホンネではお金は大切なもの、お金持ちならいいなとは思っていながら、それに向かって懸命になれない<感じ>がつきまとっていた。 社会へ出て以降、働いてきた。マネーの運用も行わず銀行預金だけだった。預金額も知らなかった。収入はだんだん増えたが、大部分は<残らないもの>に消えた・・・それが私です。 ■恐怖が支配するRat Race(ねずみの競争) <みんなお金がなくなったら、どうしようという心配ばかりしている・・・いつか恐怖がなくなることを願いながら仕事をしてお金をもらう。それでも恐怖がなくならないから、仕事をしてまたお金を稼ぐ・・・でもいくら働いても次の朝起きると、昨日と同じ恐怖が待っている・・・朝になるとベッドから飛び出して、仕事に行く。自分達の魂を蝕むこの恐怖を給料が消してくれるだろうと願いながら。こういう人の人生は、お金に動かされている。> :Rich Dad Poor Dad Rat Raceです。ほとんどみんなが、これに陥っている。米国人も日本人も。それならば・・・仮にもっとお金ができたらどうなるか? 恐怖からくるRat Raceから逃れられるのか? <みんなは欲望のために働く。つまり、お金で買えると思っている喜びを手に入れるために、お金を欲しいと思うんだ。でもお金がもたらしてくれる喜びは、たいていあまり長続きしない。だから人はもっと楽しいことを、もっと快適な生活を、もっと安定した生活をしたいと思ってより多くのお金を必要とするようになる。だから働きつづけるんだ。恐怖と欲望でゆがめられた魂がお金によって癒されると思ってね> なるほど収入が増えても、お金が貯まっても、何も解決しない。 この方法では、いつまでもSolution(最終解決)には達しない。 私もそうだった。現在もそうです。 <収入が増えたからそろそろ・・・と若い二人は夢に見た我が家を買う。家を手に入れると、税の負担が増える。固定資産税。それから二人は車を買い、家具を買い、新居に合わせて電化製品を新しくする。そしてある日突然、住宅ローンやクレジットの支払いで、負債の欄がいっぱいであるのに気がつく> 全くその通り。一体どうしたらいいのか。Solutionへの途(みち)はあるのか? 以降で重要なことを示します。 ■富の定義 ▼富の定義 富というのは、あと何日間その人が生き残ることができるか、つまり今日仕事をやめたとして、あとどれぐらい生きつづけられる(生活できる)か、その能力を指す。 <富>というものの定義です。 ▼日本人の個人金融資産富か? 日本人は1390兆円の個人金融資産を持つ。しかしこれは、<ライフ・プランの戦略:第1部>で示したように、主として高齢者の世帯からなる20%(1000万世帯)が60%を持っている。↓ http://www.cool-knowledge.com 80%の世帯(4000万世帯)では556兆円、世帯当たり1390万円。現金・預金が53.8%で750万円。1年の生活費やローン支払いでゼロになる儚(はかな)い富です。 しかしこの<預金額>は平均では西欧を超え、米国を超え、世界で最高です。 日本経済の、というより日本人の世界に誇るべき<華>の部分と言って良い。金利はほぼゼロ。 これは、本当の<富>と言えるだろうか? ▼富を生む資産とは? まず<資産>とは何か?を解かないといけない。ローン支払いが続く持ち家は資産であるか? 複式簿記では資産です。 負債としてローンが残っている。 ▼1000万世帯のバランスシートの悪化 日本の全世帯5000万世帯の中の1000万世帯は、1987年から1995年位の間に、住宅を高く買っている。この間に買った住宅は平均すれば50%の時価にしかならない。18年前の1983年の価格に戻った。住宅の時価を上回り、更に金利を加えたローン支払いが続く。 現在の日本の停滞経済の大きな理由のひとつは、経済的に活発な世代1000万世帯の家計のバランスシートの悪化です。 ▼住宅は資産か? では5000万世帯のうちの4000万世帯にとって60%が持つ住宅は資産であるか?<資産>とはどう考えるべきものか? ここで言う資産は、会計学的な意味での資産ではありません。 ●少し休憩で余談です:会計学で思い出すこと 会計学的な資産・負債は、企業会計原則に基づくとは言え、要は、税金をとるための資産や負債の計上方法を定めているに過ぎない。 私は、20代の末に、簿記・会計学・税法を独学した。 ある税理士さんが私の先生役でした。考え方に気品があり、数少ないホンモノの学識のある方でした。 数年前、帰郷した折に訪ね、事務所で話していると、突然、吉田さん・・・フランス料理が好きでしょうと言われ、まだ仕事の時間だったのに食事に行った。赤ワインを2本空け、他の店に行って、午前3時頃までお話をした。先生は税理士を開業した当時のことを話し、涙を流されていた。私も泣いた。 昨年の初夏、オフィスのエレベータの中で突然の脳梗塞、そのまま、お亡くなりになった 奥様から聞いた。あんなに遅く帰ってきたのは結婚以来、初めてでした。あの時は吉田さんと一緒で本当に楽しかった、と言っていました。ありがとうございます。聞いた瞬間、風景が見えなくなった。 1年間に200万円分の書籍を購入されていた。私も真似た。 長男は東大医学部を中退した弁護士です。 (医学部は誤植ではありません) 会うと、お昼からお酒になって、寿司屋で早朝まで議論です。 酔うと、お決まりの科学と哲学の論争になり、お互いに何を話しているのかわけがわからなくなって、じゃまた、と別れます。 会計学では、この妙な複式簿記を発明したイタリア商人の頭はどうなっているんだ、と思った。仕事上の必要性から、名著といわれていた分厚い本を20冊ほど読むと次第にすっきりと頭に入った。 税法では、大蔵省の巧妙な仕掛けを感じました。 こいつらには騙されないぞ、と思ったことです。 その後30歳の頃から経済学を読むと、国家財政や企業経営がよくわかる感じになって、経済学が実感に結びついたのです。私がとった方法を、すべての人には薦めることはできません。ガイドはできますが、最適な方法は個々人の適性・投入時間で違うでしょう。 私のProfessionのシステム領域では、簿記・会計学・原価計算論・経済学で得たものが、ベースになったと思っています。 大学時代に読んだのはフランス実存主義・構造主義でした。 ▼富を生む資産の定義 ここからFinancial Literacy(富を作る知恵)へ入ります。 会計学ではなく、ライフ・プラン戦略のための<実学>です。 会計学も下手に学ぶと、却って目を曇らせる。 【富を生む資産の定義】 <富を生む資産とは、自動的にキャッシュフローを生み出す資産である> これだけです。単純ですね。 持ち家の住宅は<資産>であるか? 会計学では資産ではあっても、<ライフ・プラン戦略上の資産>ではないのです。 なぜなら毎月の家計のキャッシュフローでは、ローン支払いの支出にはなっても、収入は生まれない。 住宅は生活上で必要な<負債>であると行ってもよい。支出が必要だからです。ローンの支払いが少なくなった時、または無くなった時は、資産に<近く>なるが、依然キャシュを生む資産ではない。 現金の収入が得られない限りは、<ライフ・プラン戦略上の資産>ではない。本当は資産でないものを、会計学に見事に騙(だま)されて、資産と誤解している多くの人がいる。 ▼ライフプラン戦略上の<資産>:本当の富とはなにか? 【ライフ・プラン戦略のGoal】 (1)生活に必要な支出が、毎日の仕事からの収入ではなく資産が生む収入から得られて、 (2)その資産収入に剰余があって、 (3)余剰部分で、更に現金収入を得ることのできる資産へ追加投資できる状態。 これがライフプラン戦略のGoal(到達点)になる。 この状態に達すれば、収入を生む資産がスパイラル(螺旋)状に増える。<富の自動拡大のレール>に乗ったことになるのです。こうなると早い。<お金持ち>が誕生する、最もオーソドックスな方法、われわれにも、可能な方法がこれです。 【本当の資産を見極めるLiteracy】 <資産>とは自分が働かなくてもそれによって現金収入を得ることのできるものでなければならない。こうした資産を入手すること、ここに集中すること(戦略)が<富>を残すことです。 世界で現在の個人金融資産の内容からして、この<富>に至る最も近道にいるのが日本人です。全員とは言いません。 おそらく、5%でしょう。収入の多寡ではなく、目先の欲望に負ける。 米国は世界の商品を集めた消費の王国、顕在化した消費欲望が支配するRat Raceを行う国です。平均貯蓄率ゼロの国。富の極度な集中と格差の国。 日本人は富を自動増殖させる資産への投資を行う可能性をもつ。 ▼日本の高齢者世帯の個人金融資産の概要 60代以上が多い個人金融資産上位20%の1000万世帯は、1390兆円×60%=834兆円、1世帯平均で8340万円の金融資産、現金・預金ではその53.8%の4500万円を保有します。 4500万円×10%の現金収入なら年間450万円(源泉税を含む)が得られます。全部が60代ではありませんが、年金の300万円くらいと合わせると年間750万円の現金収入。 4500万円の元本を減らさず、しかも働かないでも生活できる<可能性>があります。日本人の20%は既にこうしたレベルに達した。 今の日本で、いや世界で金融資産に最も恵まれた世代グループです。 ゼロ金利で今後も見込みのない銀行預金、郵貯の運用方法の変更を考えればいい。その方向に動く。日本のシルバーマーケットは世界の中でも最も<持てるマーケット>です。大衆貴族に近い。 <主として高齢者からなる1000万世帯もの大衆貴族>の支出をどう振り向けるか、ここに今後の日本経済のひとつのキーがある。 しかし富裕な20%世帯も、現状の預金のみではスパイラル(螺旋状)の富の自己拡大のレールには乗っていない。 今は名目金額が減らない、というだけです。 インフレがあれば急に目減りする。その可能性も大きい。 調整インフレの議論が出始めた。 ▼住宅を例にとったFinancial Literacyの思考 Financial Literacyとは、<経済観念つまりキャシュを生む資産を見分ける能力>と言えます。買った後キャッシュを生まないものは資産ではない、会計学的資産を脱すれば、見分け方は単純です。 サラリーマンにとっての最大の<資産>とされてきた住宅を例に考えてみます。観点は<キャッシュフロー>です。 【住宅の資産幻想】 自分が住む住宅は資産ではない。しかし賃借では15万円かかり、住宅ローンが月間20万円で、住宅の価格が維持されるとするなら、差し引き5万円分が純支出であって、15万円分は金利ゼロの長期の積み立て貯蓄と見てもいい。しかしそれも数年に1度は大掛かりに必要な維持費、増える耐久消費財、固定資産税で大部分が消える。 (値下がりの時はひどいことになる) 住宅の購入価格が4000万円で、年率で5%値下がりしていれば、年間200万円(月間17万円)の潜在的なマイナス。 <住宅ローン支出20万円―同等分の賃借料15万円+値下がり分17万円=22万円>の月間実質支出になっているのです。 (値上がりの時でやっと現状維持か) 一方、年率5%で値上りするなら、<20万円―15万円+17万円=22万円分>だけ、金利ゼロの貯蓄が増加していることになる。 持ち家ではこのことが想定されていた。今は崩れた過去の方法。 (キャッシュフローの観点では) キャッシュフローの観点では値下がり・値上りに関係なく、<住宅ローン分20万円―賃借相当分15万円=5万円の支出>ですから、やはり収入を減らすものである。 住む住宅は、キャッシュを生む資産とは言えないのです。 【住宅取得でRat Raceへ】 自分の住まいで必要以上に高いものを買えば、住まいの費用分が拡大して、余剰部分が消えます。収入の増加があっても、価値のない耐久財や支出の増加でRat Raceから抜け出せなくなる。 みんなが<資産>と幻想している住宅は、こうした観点で根本的に見なおす必要がある。 【住宅値上り原因は人口の増加】 今後は、日本の住宅は人口増加地域・地帯を除けば、値上がりを見込めるものではない。世帯数を14%も上回る住宅がある。ゴルフ会員券や高級車などは、Financial Literacy(経済観念)の観点では論外ということなる。 【過去の方法】 住宅が一律に値上りした1970年代までの方法は、過去のもの。現在の60歳以上の世代ではある程度は正しかった<住宅は貯蓄>は、団塊の世代以降では、間違った方法になっています。 つぎはFinancial Intelligence(マネーを生む知恵)を見ます。 ここが、本稿<ライフ・プランの戦略(2)>の結論部分です。 ■マクドナルドの本当のビジネスとは? ▼Profession(職業)とビジネス 職業とビジネスの区分と言ってもなんのことか分からないでしょう。 同じことを違ったコトバで言っているに過ぎないと考えるのが普通ですね。<私の職業がビジネスだ> ここに、Rat Raceの落とし穴がある。 マクドナルドの創始者レイ・クロクが講演を行った <私のビジネスはなんだと思うかい?> みんなは笑った。誰も答えないのを見て、レイはもう1度同じ質問をした。 一人の学生が思い切って大声で言った。 <レイ、あなたがハンバーガーを売っていることは世界中の人が知っていますよ。> レイはにやりとした。わずかに間を置いてレイは続けた。 <いいかい、私のビジネスは、ハンバーガーを売ることじゃない。不動産だよ。> 会社の経営戦略上のビジネスの基盤は、ハンバーガーを売ることにあるが、レイはそれと同時いつも店舗立地のことを考えていた。 店舗のある建物、その立地条件こそが、その店の成功を左右する重要な要因であることを彼は知っていた。 基本的には、マクドナルドのフランチャイズ権を買った人はレイ・クロクの会社がその店舗のある土地を買うための代金を代わりに払っていることと同じことをしている。 現在マクドナルドはひとつの会社としては、世界最大の不動産を所有している。:Rich Dad Poor Dad ▼マクドナルドのビジネスモデルに見るFinancial Intelligence 【Professionとビジネス】 マクドナルドの創始者レイは、 i)ミッション上のProfession(ハンバーガーの販売)と ii)ビジネス(不動産)を見極めて戦略を立てていたことになります。 Financial Intelligence(マネーへの知恵)と言えます。 図式化すれば、(Financial Literacy)×戦略=Financial Intelligence 【Financial Intelligenceのあるビジネスモデル】 レイのマクドナルド本部は、不動産を買う代わりに、フランチャイズ権(=ブランド力×システム力×ナレッジ)を売った。 これによって、 (1)フランチャイズ権の契約では現金収入が得られ、 (2)不動産を買って店舗を作ったのと同じ売上が確保(フローでの収入)ができる。 本部はキャッシュをもらって、フランチャイジーの土地を支配し、ハンバーガーの卸のProfessionを行ってフローの収入を得る。これが、レイが考案したビジネスモデルです。 【マネーを生むFinancial Intelligence】 レイのフランチャイズ本部は、出店で1円も支出はないどころか、却って現金が増える。日々卸の収入も増える。 キャッシュはこれらが2つも重なって生まれる。 マネーを生む知恵の、典型モデルですね。 【レイのマネーを生む知恵】 このケースでのFinancial Intelligenceを数式化すると以下のようになります。 レイのFinancial Intelligence キャピタルゲイン←(ブランド力×システム力×ナレッジ) フランチャイズ権(キャピタルゲイン)+卸収入(フロー収入) 【フランチャイジーの利益】 フランチャイジーは、現金を生まなかった土地を<資産>に変えて、キャッシュフローを得る。 フランチャイジーの利益= ハンバーガー売上―本部仕入―費用―フランチヤイズ権支出 ■<ライフ・プランの戦略(2)>のまとめ <学校教育の問題点は、そこを卒業した人間が、学校で習得した能力を使った仕事につくとが多いという点だ。たとえば、料理の勉強をした人は、コックになる。法律を学んだ人は弁護士、自動車整備の資格が取れれば、整備士になる。習得した職業につくことに問題があるのは、そうすることで自分自身のビジネスを持つことを忘れてしまう人が多いからだ。そういう人は自分の人生を、他人のビジネスのためにここを砕き、その人をお金もちにさせることに費やしているようなものだ。経済的な安定を得るには自分のビジネスを持つことが必要だ。 Rich Dad Poor Dad> ▼自分のビジネス Professionの教育は学校でできる。しかし<職業=自分のビジネス>と思い込むとRat Raceへの落とし穴に嵌(は)まる。 この点がポイントです。マクドナルドのレイのFinancial Intelligenceを例にとって、<富>を生むビジネスモデルを示しました。 あなたのビジネスはなんですか?と聞かれたとき、会計士ですと答えるのは普通ですが、本当に会計士だけであるとすれば、収入がどんなに増えても欲望のための支払いや税金に消えるRat Raceになる。 自分が働かなくても現金の収入を得る<資産>を判断(Financial Literacy)し、戦略を持った投資を行って、その投資から得られる現金収入(キャッシュフローであり損益計算上の利益ではない)で、次第に生活上の必要支出を賄えるようにするライフ・プランがなければならない。 キャッシュフローの意味は以下の、SCMの焦点の記事で。 http://www.cool-knowledge.com しかし資産から得られるキャッシュフローで、生活上の必要収益が賄えるレベルでは、ライフ・プラン戦略は完結しない。 次のステージまで登らなければならない。 それが、ライフプラン戦略のゴールになる。 この戦略作りが、Financial Intelligence作りです。 マクドナルドのレイは、彼の事業で見事にこれを作った。 【結論:ライフ・プラン戦略のGoal】 (1)生活に必要な支出が、毎日の仕事からの収入ではなく、資産が生む収入から得られて、 (2)その資産収入に剰余があって、 (3)その余剰部分で更に、現金収入を得ることのできる資産を入手できる状態。 これがライフ・プラン戦略のGoal(到達点)になる。 この状態に達すれば、収入を生む資産がスパイラル(螺旋)状に増える。富の自動拡大のレールに乗ったことになるのです。 (続く) ご感想・ご意見・連絡は yoshida@cool-knowledge.com ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ビジネス知識源:インターネット時代の経営の成功原理と原則 良質な経営・IT・ビジネス知識の提供を目標に http://www.cool-knowledge.com Systems Research Ltd. chief consultant吉田繁治 2001年3月14日号:ライフ・プランの戦略(2) Financial Attitude&Literacy&Intelligence ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |
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copyright : Systems Research Ltd. Chief Consultant 吉田繁治