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ライフ・プランの戦略:第3部:
                             Financial LiteracyとIntelligence
                             (資産を見極める能力と、マネーを生む知恵)をめぐって
           経済的な価値の、大転換の内容を見極めること

ライフ・プランの戦略:第3部:Financial LiteracyとIntelligence(資産を見極める能力と、マネーを生む知恵)をめぐって>をお届けします。

ナスダック株の暴落でここ1年間で400兆円を蒸発させたことを発端に、非常時に向かいつつあります。やはりマネーの動きが一番早い。
昨年から本メールマガジンをお読みの方は、数回を使って予測をしていますので、向かう方向がお分かりでしょう。

2001年は、日本にとって経済では厳しい事態になります。
2002年からは、様相が一変するでしょう。

本稿の3つ章

(1)日本人の不安の根源

今年になって、日本人が急に経済記事に関心を持つようになりました。不安なのです。
この不安の根源に、どんなことが横たわっているか示します。
漠然たる不安が、最もいけないことです。
精神を蝕(むしば)むだけです。
不安の構造・内容を知れば、対策も戦略も出てくる。

なぜ今、マネー面でのライフ・プラン戦略が必要か、そこを正面からロジカルに現実的に見つめます。少々、辛い現実ですが。

(2)つぎはFinancial Literacyをめぐって

<資産>の見極め方を、具体例を交えて示します。
ライフ・プランと仕事、及び経営において、資産の見極めが将来を決めると言って過言でないだろうと思っています。

会計的な資産の常識とは、全く違う観点ですから丁寧に説明します。
Financial Intelligenceへの知的な関門ですね。

個人のライフ・プラン、会社経営、今日の仕事も、根では同じ原理で動く。これを忘れずに読み進んでください。

(3)最後に現下の焦点:調整インフレを

株価が激しく動いています。3月15日の日経平均は一時11,500円を割って金融の危機ラインの13,000円を下回り、予断を許さない緊迫した状況。
マネー戦の山場です。敗者と勝者が確定する。

日本では90年代のケインズ主義:政府の借金での財政拡張が、限界(ceiling)に達したのです。
財政拡張は、民間の投資と個人需要の不足を埋めるものでした。
それはもう限界との、世界からの認識。じゃどうするのか?

(デフレ認定)
3月16日、ついに経済財政省は、戦後はじめて<デフレを認定>
この意味は、今後はデフレ対策、つまり<調整インフレ策>をとるということの事前準備ための世論対策です。
今後、ホットな議論の焦点になるのが、調整インフレ論。
鍋がぐつぐつ煮詰まって、最後の手段がぬっと現れたという感じ。

これは、過去の債務の清算、ご破算を行う妖刀ですね。
<ハイパーインフレと次のバブル>に向かう可能性がある危険な策です

■最初は日本人の不安の根源

▼急激な経済への関心の高まりが見られる

従来は、経済に関心を持つ人は、日本では10人に1人もいなかったんじゃないでしょうか?
理由は、i)分かりにくい、ii)自分には大きなことは関係がない。

しかし、この<自分には関係がない>ということが、変ってきた。
何か、とんでもないことが起っていることを、みんな感じている。
いままでは、長期雇用で会社依存、そして最後は国への依存だった。日本人は、表面では国を声高に批判する。
でも根では、最後は国がなんとかしてくれると思っているのです。

中国・台湾・米国では、表では、国家を日本のようには批判しない。
しかし根では、国を信用していないのです。
中国人(特に華僑)・米国人は、子供の頃からマネー教育を行って、個人資産作りを大切にします。

▼知られていないこと:日本の年金の巨額の積み立て不足

80%の米国人は預金を持っていない。しかし年金資産は1096兆円(00年6月)もある。一方、日本人は預金は持つが、年金は130兆円(00年3月)の積立てしかないのです。
国民一人当たりにすると、日本人は、米国人の4分の1の年金積立てしかない。
しかも日本では、資産空洞化が明白な<財投>で運用されている。

一方、米国では、401Kでの個人選択での運用です。

日本の年金の積み立て額が少ない理由は、3つあります。
(1)<高額退職金制度>で、年金の少なさを補うものだった。
(2)住宅が値上りして<資産>になるだろうとの前提があった。
(3)年金制度が新しい。

【日本人が資金運用に関心がなかった理由】
日本人が、米国人のようには、年金や資金運用に関心を持たなかった理由には、(1)成果を最後に受け取る退職金制度と、(2)住宅の値上がりという背景があったのです。

【西欧では】
西欧では、住宅の値上りもあまりなく、退職金はわずかです。
それで将来不安がないのには、理由があります。
社会保障の充実です。

【極めて高い国民負担率】
その代わりに、<国民負担率=国民所得に対する租税+社会保障費の負担>がスウェーデンで75.6%、ドイツ55.7%、英国44.4%、フランス60.0%です。
つまり膨大な積み立てをしている。
西欧では失業しても退職しても、社会保障で生活レベルは落さないどころか、あり余る時間で、旅行三昧の生活ができるのです。

【日本の社会保障の空洞化】
日本の(租税+社会保障費)の負担率は、36.4%です。
その運用は例の<公共投資> 利を生まないどころか、第1部・2部で指摘したように税の追加投入が必要な空洞化ですね。

日本の年金の運用は、公共投資。
社会保障としての、リターンがまるでない状態に陥っています。

【生活面では未熟な国家:日本】
日本は、米国・西欧に比較した時、<生活面では未熟な国家>なのです。
政府発表をもらって、独占的な記者クラブで写すことしかしていないマスコミも、所得は世界一、金融資産は最高と言うだけで、その本当の内容を知らない。政府とマスコミの業界談合での堕落ですね。

日本人は預金はあるとは言うが、これには世代間格差が大きい。
以下、あまり知られていないことを示します。

<日本人の金融資産は世代で2色>に分かれるのです
しかし。ほとんどの人に、このことの認識がないのです。
1390兆円の貯蓄で、日本は豊かだと一律に思うのは間違いです。

▼高齢者世代のみの豊かさ

第2部で示したように、60代以上が多い個人金融資産上位20%の1000万世帯は、1390兆円×60%=834兆円。
1世帯平均で8340万円の金融資産。
現金・預金ではその53.8%の4500万円を保有していいます。
住宅ローンも返済済みで、価格は20年以上前に買ったときより上がっている。

高度成長の果実を受け取った世代】
日本の高齢者世代は、
(1)退職金は充分もらって預金に残っている。
(2)家もバブル前に買って、住宅ローンは残りわずかで、価格は買ったときより高い。
(3)年金は、自分が支払った分より多くもらえるのです。

多くの高齢者が元気で、海外旅行に出かけたり、国内旅行ができる理由です。
つまり<日本のいい時代の果実>を受け取ったことになる。
とても消費力のある世代ですね。

日本の年金制度は、自分の積み立ての受け取りではなく、若い世代の積み立て分を年金受給者に廻す所得移転の制度なのです。
(米国の401Kでは自分の積み立ての運用分を自分で受け取る。)

▼30歳代後半から40歳代、50代前半の世代はどうか?

30歳代後半から40歳代、50代前半になると、様相が一変します。団塊の世代以降の若い世代です。

【貯蓄の格差】
サラリーマン世帯の平均貯蓄残高は、1356万円(00年12月)
これにも格差があって、70%もの世帯がこの額以下の貯蓄です。
サラリーマン世帯で最も多い分布が多いのは、貯蓄265万円です。しかも、負債残高が平均で580万円、主として住宅ローン。

【90年代で崩れたライフ・プラン】
(1)5年後、15年後、20年後の退職金はあるのか?
(2)住宅は値上りしないどころか下がった。
(3)多額のローンの支払いが残っている。
(4)年金はあてにできないかもしれない。

今の日本経済を支えている、30台後半から50代前半のサラリーマンは、一体どうすればいいのか。
資産面で大きな不安を抱えていると言わなければならないでしょう。

【ライフ・プランの崩壊後の6項目の現実】
従来は、
(1)もっと所得が伸びる、
(2)買った住宅も値上りする、
(3)退職金も十分にもらえる、というのが<暗黙のライフ・プラン>だったでしょう。
その認識があって、社会の安定性が保たれてきたと言っていい。

60歳以上の世代は、果実を受け取ることができたのです。
しかし、その後の世代の過半の世帯は、
(1)貯蓄は265万円、
(2)ローン残が580万円、
(3)住宅は値下がり、
(4)税金は上がるだろう、
(5)退職金は、そもそももらえるのか?
(6)年金はあてにできるのか?

書いていても、なんだか、辛くなる6項目の現実ですね。
以上のことは現実です。すべては、真正面からの認識から始まります。

ライフ・プランを、根底から作りなおさないといけません。
ほとんどの人が<実は崩壊している過去のライフ・プラン>を今も漠然とあてにして、現実を見てないような感じを受けます。まるごと、会社依存、国依存だったのです。

会社を通じて、現在の生活と将来の生活が保証され、最後は国が面倒を見てくれるという前提のもとでの、ライフ・プランでした。ローンで買った住宅も値上りしているという前提。

【未熟な生活国家:日本】
日本人のほとんどのサラリーマンは、株はもちろん、経済にもあまり関心を持たず、狭い業界のわが社の仕事だけに一所懸命、そして住宅ローンだったのです。

まるごと会社ぐるみの人生。住宅のみには関心を持っていましたが。

【米国人は?】
一方、米国人は手元の預金はないが、年金資産が1096兆円(00年6月)と巨額、1人あたりでは日本人の4倍の年金資産があるのです。
物価も住宅も安く、同じ生活レベルなら日本の半分の生活費。

米国人がリタイアの時期を楽しみにし<あなたもリタイアができた!>と祝うところがあるのには、高額の年金と、安い生活費というちゃんとした理由があるのです。

<日本は未熟な生活国家である>と認識して下さい。
生活の奥行きが、実に浅い。

【右肩上がりの賃金カーブと退職金】
日本人は年金よりも、就職の約35年後の退職金を、あてにしていたのです。
前の世代の人は退職金をもらえた。
自分たちは年金の積み立て不足を補うような、数千万円の退職金がもらえるのか?
年金が期待できない、退職金もあてにはならないとなると、一体どうするのか?

みんながこれを知れば、社会不安が起ることに近い状態です。
しかし、日本人は、まだその根底を見てはいない。見る余裕もないのか? または、やはり情報不足なのか?

ここへ来て日本人の二つの信頼、会社と国がおかしくなってきた。
さてどうしたらいいのか?
ここが、日本人の根源的な不安、将来生活への不安です。

個人と経済の関係を解くのが、この<ライフ・プランの戦略>の目的のひとつです。戦略は会社だけのものではない。個人生活、生涯設計で必要になった。日本人は、<個人責任>を迫られているのです。

さて、とても辛い現実を認識したところで、気分を変えて、末来へ向かう2番目のテーマ移ります。

ライフ・プランで重要になる、Financial Literacyから


しかし、株価は今日・明日の生活や仕事に関係があるのか?

日本人の生活や仕事は、地価や住宅価格とは深い関係があったが、株価とはあまり関係がなかったと言えますね。
新聞の一面を眺めても、8割程度の人はそう思っているでしょう。

昨年の大晦日、<朝までナマTV>で司会の田原総一郎が、株価が景気と関係あるのはなぜか?と問ったら、討論参加者は誰も回答を出せなかったのです。
ご覧になった方も多いでしょう。
<識者>と言われる人、学者、経済ジャーナリスト、オピニオンリーダーでも、日本人の経済インテリジェンスは、悲しいことにまだそのレベルです。

利を生む資産の変化

最初にFinancial Intelligenceを作るための関門、つまりFinancial Literacy(資産の見極め方)を、具体的に見ていきましょう。
21世紀の利を生む<資産>は、従来の実物主義の会計では捉えることができないのです。

資産の意味、内容、価値が、90年代から根本で変りつつあります。
資産を誤って持てば、支出を増やすだけになる。

企業経営とライフ・プラン戦略に深くかかわることです。

■Financial Literacy(資産を見分ける能力)を曇らせるもの

従来の会計学の常識には、現代企業を見誤らせ、<本当の資産>を見極める目を曇らせるものがある。それを示します。資産価値の転換期。
資産を見極めなければ、経営戦略もライフプランも作れませんね。

▼土地本位資本主義だった

日本の戦後は<土地本位資本主義>であって、米国・アングロサクソン型の<株式本位資本主義>ではなかった。
その土地本位資本主義、実物資産主義が崩れた。
バブル崩壊ということではなく、もっと本質的な部分の、土地の有効性の減少なのです。

小さな例ですが、メールマガジンでも、私がどこにいるか、配信機能がどこかは関係がないですね。
地中海の船上にいようが、トルコでもアイルランドでも、あなたの隣に住んでいても同じ。読者の方にも海外在住の人が多い。しかし即時配信。
こうしたことは、小さく、あちこちで徐々に起るから、重大な変化には見えない。
鋭敏でないといけません。地価の下落は、従来の<土地の価値公式>が変ったことを、評価の尺度=マネーがつきつけたものです。
ネットワークが、従来の土地の有効性を減価させたのです。

◎Financial Literacyの第1原理:
Financial Literacyは価値を生むものを見極める<観の能力>と言ってもいい。しかし観の障害になる常識の罠(わな)がある。↓
http://www.cool-knowledge.com/0206Frontview(1).html

▼21世紀の企業価値は?

結論を最初に。実物資産ではない<無形資産>です。
i)知識とデータベース
ii)現場のノーハウと技術
iii)ビジネス・モデル
iv)リーダシップ
v)システム化とネットワーク力
vi)顧客との関係
vii)ブランド力

無形のものが、利を生む資産に浮上したのです。
<伝統的会計>が、正当に捉えることのできないものばかり。

【典型事例】
土地をほとんど持たないセブン・イレブン本部が、有店舗小売(不動産業の1面がある)でナンバーワンの時価総額(3.9兆円:01年3月初旬)なのか?
伝統的会計では見えない無形の価値を、マネーマーケットが既に、実際の金銭で評価している証拠です。
一方で不動産を最も多く持っているダイエーグループは解体される。

伝統的会計ではなく、マネーマーケットが評価するものを作ること(=経営戦略)、見つけること(=ライフ・プラン戦略)が、21世紀の資産作りでしょう。
<資産の常識>は、もうすでに変ったのです。

◎Financial Literacyの第2原理:
株価時価総額では、末来の利益が、予想金利で割引されて現在に折り込まれる。ただし、評価の<ゆらぎ>を含みながら。末来価値は共同幻想で<ゆらぐ>からである。

▼リーダシップの価値の一例

90年代の日本が、外国と比べた時、優秀な国民であると見えるのに資産を減らした理由は、国及び企業の運営で、<新しい方向を示すリーダシップ>がなかったためとまとめることができますね。
トップが誰であるかが、根幹的に重要になった。なぜ?
価値の転換期で、ほとんどの人に方向が見ないからです。

1980年代までの価値の安定期では、<トップは調整役>だった。
今は方向を間違えば、立派な工場・建物・店舗・商品が価値にならない。街を歩けば、過去は評価された資産の残骸だらけ。

恐ろしいくらいの空洞化>が起ってるのが見えますか?

瀕死の日産で、カルロス・ゴーンが乗り込んで強いリーダシップで改革をおこなったことの1年での成果を見れば、了解できるでしょう。
過去の<調整役>が眠らせた資産(経営資源)を活きかえらせた。
見事な再生。リーダシップは、それくらいの価値を生むのです。

カルロス・ゴーンのリーダシップは、人間的なものであって無形のものです。リーダシップの価値は、現在の貸借対照表にはあらわれない。

◎Financial Literacyの第3原理;
企業価値の要(なかめ)の部分は、伝統的会計が捉えることのできない<無形の価値>に移行している。
伝統的会計の<実物資産>は、大きく価値を減少させた。

▼会計学の常識の遅れ

実物資産主義の貸借対照表は遅れています。
i)イタリア重商主義の17世紀ころの価値観をそのまま引きつぎ、
ii)税を取る目的の、旧大蔵省の意図で決まったものです。

伝統的会計の資産、つまり土地・建物・商品在庫は、21世紀では、いわば<影>です。
さすがに現在は、商品在庫を増やすべき資産とは考えなくなったでしょう。
しかし、70年代までは在庫は価値だったのです。

価値を見誤った結果が、(会社の予算⇒投資・賃金・経費の配分⇒達成目標⇒日々の仕事)になります。
Financial Literacyのない経営者は、根幹の予算配分を誤るのです。

経営者の3機能は、i)予算配分、ii)人事、iii)リーダシップです。
経営者の仕事も、根は単純です。

◎Financial Literacyの派生原則:
経営、ライフ・プラン戦略では、<無形の価値>を見極めることが根幹である。


■Financial Literacy

▼混乱状態にある本当の資産の見極め

i)将来価値を生むであろう投資・支出・経費と、ii)将来は価値が減少する投資・支出・経費を、実物資産主義の会計では区分ができない。

流行の<リストラ>は、それでいいのですか?希望退職に最初に応じる人は、他の会社でもやっていける自信のある人でしょう。勿論、過信かもしれません。

【リストラの典型的な失敗】
ダイエーのリストラで初期に辞めた人は、能力のある人、人物としても評価でき、流通革命を信じて身を粉にした人が多かったことは証明されていますね。多く日本型のリストラは、3年後に失敗であったということになる。容易に予測ができる。

会社の経営・投資・経費配分・経費の合理化を行う時、将来価値を見極めるFinancial Literacyがないと、こうした結果を生むのです。
まさに、Financial Literacyは今日の仕事に直結。
モノではなく<人間の知識と顧客との関係>が資産化するのです。

経営者、事業部長、プロジェクトリーダー、そしてスタッフは、今の仕事で、わが社の<無形資産へのFinancial Literacy>を働かせないと、その場は無難に済んでも、後で大変なことになるのです。

▼一例:顧客との関係性の価値

CRMでの<顧客との良好な関係>は、最も重要な無形資産でしょう。
(CRM:Customer Relationship Management:顧客との良質の関係の維持と、改善を行って、顧客を増やす活動) 

お金は、過去のように、実物資産が生むものではないのです。

お金を生まないものは、会計上は資産でも、キャッシュフロー上は経費であり、将来価値の観点からはお荷物にしかならない<死産>でしょう。
<ソリューション提供に向かう米国小売業>で解いたように、今の顧客が評価するのは<ソリューション提供>という無形のものと、リアルなモノがセットになった時です。

http://www.cool-knowledge.com/0305solution-teikyo.html

多くの企業の貸借対照表は、価値の観点では、キャッシュフローを食うだけの死産に満ち満ちているように見えます。

【本来のリストラ】
本来のリストラは事業再構築であり、
i)過去と現状の顧客との関係性を分析し、
ii)その改善を図る方法をつくって維持し、
iii)新たに良好な関係を築くことに集中(=戦略決定)すべきです。

顧客との関係(Relationship)が、キャッシュをもたらす唯一の将来資産だからです。それ以外にはない、と言ってもいい。

◎Financial Literacyの第4原理:
顧客との関係性が、価値の源泉(リソース)である。
モノとセットになったソリューションの提供を、顧客は評価する。

▼顧客との関係が重要な価値になった理由

第一の理由は、世界の生産力の拡大で、商品が<ありきたりのもの>になったことです。商品だけで、顧客を惹きつけることはできなくなった。
(しかし、相変わらずそれだけと思っている人が多い)

顧客は、実は、商品はどこででも買えることを知っている。
安く買えることも知っている。差がないことも、知っているのです。

【コモディティブランドの脆弱(ぜいじゃく)さ】
雪印は、乳製品でナンバーワンでした。でも、特に雪印の牛乳である必要はない。みどり牛乳でも同じである。雪印のブランドイメージが急落すれば、すぐ他のモノに変るのです。雪印である必要は全くない。それくらいモノの価値は危ういものです。
他の商品でも、実は同様です。商品は、世界に溢(あふ)れている。

【商品の差別化の脆弱さ】
企業は、商品の差別化のみでは、大きな差別化ができない。
差別化を集中するべきは、<顧客との関係性>でしょう。

ソリューション提供へ向かう米国小売業>で示したHome Depotで売ってる個々の商品は、実にありきたりのものです。
提供の仕方が、<住まいのソリューション提供>なのです。

貸借対照表では、超優良企業であった雪印は、顧客との関係性の価値を全く見誤っていた。<私は寝てないんだ>の石川社長は、経理の出身でした。実物資産しか見てなかった。旧い。だから衰微する。

▼無形資産の評価ができるのはマネーマーケットのみ

【無形資産の評価の舞台】
無形資産を、<将来の予想利益>という金額に換算して、予想金利で割り引いて評価するのが、マネーマーケット(代表が株式や債権市場)です。今のところ、これが唯一の評価の舞台。

評価の行き過ぎ、評価の歪みは常にある。過去は確定しているが、将来は確定せず<ゆらぎ>があるからです。

【傍観者】
日本で株を買っていたのは、個人では300万人のみです。(米国は7000万人)
残りの人は、下がれば内心ではざまぁみろ、だからやらなかったと自分を納得させる感じでしたね。
人間は機会損失は考えず、過去の行動に自己肯定の材料を探す。

日本の世帯では、株式投資はどんな条件が整っても絶対しないと答える世帯が現在76%もあるのです。株は胡散臭く、関係がなかった。

◎Financial Literacyの第5原理:
無形資産が生む将来価値を見極めるのがFinancial Literacyである。
将来価値は、常に新しいから胡散(うさん)臭く見える面がある。

【深い関係】

21世紀は、生活と仕事が、株とは無縁な世界ではなくなったのです。それくらい深く、マネー経済は、実体経済・投資・リストラ・企業の成長・給料・生活設計に組み込まれています。

<資産の概念>を変えて見る必要がありますね。

なぜか? 21世紀の<無形資産>を評価できるのは、証券市場しかないからです。
銀行は実物資産の評価のみ。これは米国米国でも同じです。

この認識を作るためもあって、今回は<ライフ・プランの戦略:第3部:Financial Litaracy Intelligenceをめぐって>をお届けしています。
個人として、及び会社としての今後の<資産戦略>作りの素材に利用して下さい。
(内容には自信があります。過信かなぁ)

さて、以降は時事的な状況分析を行い、近未来を見ます。

■2001年は重大な分岐点になる。

2001年は、日本と世界の経済の分岐点になる年です。
日本人がホンネでは頼ってきた国の政策では、3つしか残ってないのです。

(1)増税して、その税を金融機関の資本に組み入れ、消えた分を埋める。(消費税アップ)

(2)インフレ宣言をおこない、紙幣を増刷してインフレを起こし、個人金融資産の1390兆円を実質的に減価させる。(調整インフレ)

(3)自己責任で、リスクを含んだ運用をしてもらう。(日本版401Kと、証券市場への個人資金導入)
以上の3つの方法を、総合対策でミックスする。

不良債権処理(=倒産処理)を行いながら、3つの方法をめぐって緊迫した議論が始まり、世論を作って実行するのが2001年です。

極めて重要な分岐点の年。経済から目が離せない年。
10年も先送りした問題が煮詰まって、大詰めの年になります。

▼将来経済を予測するための方法

ここで、i)世論の醸成と、ii)日本的な政策決定のメカニズムをまとめます。そこをクリアにしておかないと、将来予測ができないのです。
経済原理を、人為的に修正するのが<政策>です。

将来経済=経済原理±予想される政策的な修正です。

経済原理部分は確度のある予測が可能です。
しかし政策決定部分には、ゆらぎがある。
政策を予測するには日本型の意思決定をみなければならない。

手がかり:日本は、米国流<リーダシップ型政治>とは異なって<根回し型のメカニズム>で政策が決まります。<和>の国です。

◎Financial Literacyの第6原理:
将来経済は、<経済原理±予想される政策的な修正>で決まる。
政策の予測には、政策決定のメカニズムを見ることが必要。



■世論の醸成と政策の決定方法

世論は決して自発的におこるものではない。
世論を作って導く、日本型な合意形成のプロセスがある。
特に90年代からの政治は、ポピュリズムの政治です。

日本型世論の形成方法と、政策決定の8ステップを示します。

政策決定の時の8ステップ

(1)源流は、米国の経済学者・シンクタンク・高官の論文や発言。
国際世論の形成力が強い3大メディアは新聞では英国Financial Times、週刊誌で英国Economist、雑誌で米国Foreign Affairs

(2)日本の学者は、それを読んだり翻訳したりして、発表する。

(3)新聞・雑誌が<国際世論や国際標準>として紹介する。

(4)TVでは、評論家が<欧米では・・・>との常套句を持ち出して、政治家や官僚、民間のダメさを喧(やかま)しく叱る。

(5)国民の間に<空気>ができる。

(6)政府の審議会で、空気を反映した答申を作る。

(7)国会で多数派対策を行う。

(8)政策が決まる。

この8ステップで、今どの段階かを新聞で見ておけば、政策はかなり容易に予測できます。

【識者と称せられる委員】
新聞やTVのマスコミに出るほとんどの評論家・学者、マスコミ幹部・大手企業経営者はなんらかの審議会の委員になっている。
大臣や総理名での誘いがあると、政府を非難している人も結構出かけるのです。審議会では反論は言わせて、封じを行います。時間がなく忙しい人を選ぶ。最後の決まり文句は<時間がない>

【余談:ほんのわずかな片隅の体験】
政府の、マイナーな審議会に、数回、システムの専門委員として出たことがあります。三文判を押すと、1万円弱の手当てと交通費の振り込みがあった。安い!と思った(笑)

内容は官僚が書くというのは、その時は違っていた。原文を私が書いて、官僚(課長補佐の下のスタッフ)が行政表現に修正して作り、課長がまとめた。彼らの能力は<常套句組み合わせ表現法>

なるほど、これが根には狙いをもち、無難な文章かと思ったのです。
<通産省指針>として有力紙にも出ました。面白い体験でした。

▼以降では、世論の醸成を通じて、最終的には日本政府の政策になるものの、2001年3月現在での大元(おおもと)を見ます。

今後の日本経済の政策の方向が、大枠で予測できます。
本質や底流、基調低音を見れば意外に単純な構造がある。



■2001年から<調整インフレ論>が出てきた

ブッシュ政権の対日政策は、まだ不明確な部分が多い。
しかし、注意深く観察すれば、はっきり見えてきます。

【外圧の作成】
過去も現在も大きな転換が必要な時、日本の高官は、米国の高官やシンクタンクの発言をもとめて合作し、国際的な外圧を作るという方法を取ります。外圧は意図を持って<作られる>のです。

外圧を使う理由は、日本国民が、抵抗しないからです。抵抗しないのは、ホンネでは米国の傘の下であることを認めているからです。

米国発の最近の発言

(1)これまでのような、ケインジアンの財政支出拡大は、効果が薄いことが証明された。米国の1980年代のように減税による景気刺激策で、長期の経済成長をもたらすようにすべきだ。
(バンク・オブ・アメリカ:チーフエコノミスト:M・レビー)

(2)通貨増発目標を採用すべきだ。年率8〜10%程度の増加とするのが有効だ。
(コロンビア大学教授:C・カロミリス)

(3)輸出主導型の回復を確実にするため、円安誘導の姿勢を明確にすべきだ。1ドル130円台、140円、150円を目指すと言っても決しておかしくない。
(AGランストン大学教授:D・ジョーンズ)

(4)財政での刺激策に限界が来ており、インフレ率目標の導入などの、積極的な金融緩和策が必要だ。(国際経済研究所上級研究員:M・ゴールドシュタイン:以上は日経新聞:01.3.13)

M・レビーの減税案のみが違いますが、方向は全部が同じ。
(1)日銀が通貨を増発して、国内をインフレにし、
(2)米ドルをもっと買って、円安にする。

調整インフレ論の原点はクルーグマン教授だった

以上のように米国発の処方箋は、<通貨増発⇒インフレ+円安>です。

最初に、これを言い出したのは、マサチューセッツ工科大学の人気教授で、鋭利な頭脳を持った、髭のポール・クルーグマンです。
↓流動性の罠:1998年5月発表
http://web.mit.edu/krugman/www/japtrap.html

クルーグマン説が議論の原点になる

Webで、改めて読んでみました。プリントすると英文で9Pです。
結論を2つに要約します。

(1)価格の下落期待があるときは、ゼロ金利でも購買は増えず、消費は先送りになる。
理由は、みんなが来年になればもっと商品価格は下がると予想し、お金を使わないからである。

(2)日銀は、商品価格の下落期待を消すために、短期ではなく長期でインフレ策を取るということを宣告したうえで、通貨供給量を増やし、国民に蔓延しているデフレ期待を消すべきである。

クルーグマンの<流動性の罠(わな)論>のポイント

調整インフレ論のポイントは、<短期ではなく長期で>インフレへ向かわせることを、日銀が宣言することだと彼は言います。

<短期>で金利を下げても通貨供給を増やしても、実は効果がない。
後では金利が上がって、通貨供給も減ると見透かされれば無効です(合理的期待形成)

発表後3年の今、調整インフレが議論の焦点になる。
先行した説が出て<3年>、これを記憶すべきです。
半歩進むのが合意のコツ。3歩進むと大きな機会にはなるが、お客が集まらず、途中で息切れがすることもある。
こうしたところにも、実務での合意形成のコツがありますね。

【余談】
コンサルタントのコツも似ています。3年後のことを言うと、関係がないというような表情が出ます。本当は、それが大切なことなのですが。でも、6ヶ月後というと真剣に聞きますね。
6ヶ月では、大きなことや根本的なことはできない。
Financial Intelligenceでは3年後をみなければならない。

以上のことは経験で分かっていますから、私は長期戦略、短期戦略と区分して書いたレジュメを渡すことにしています。

企画書・提案書では、この方法を皆さんも試みて下さい。有効です。長期と短期の区分ができていないものは、読むほうが混乱するのです。しかし、3年後を見ることのできる人が少ないことが本当の問題。
その間、実は巨額の経営資源とマネーを浪費する。

【したり顔の議論が見える】

2001年はクルーグマン説を原点に、派生的な議論が喧(やかま)しく出るはずです。
したり顔の議論、下品なことです。日本の新聞も論説では、海外一流紙の引き写しがとても多い。やはり、知的堕落の国かなぁ。

インフレと円安

(1)インフレは通貨を大量に増発して、全般的な商品価格の水準を上げて、国内での円の価値を下げること
(2)円安は、円を大量に売って(=$やユーロを買って)国外での円の価値を下げること

いずれも、日本人の個人金融資産1390兆円の中身を目減りさせ、実質賃金を切り下げることです。

(1)銀行・国・企業は、返せないものは返せないという居直りを合法的かつ正当な手続きでやり、
(2)価格水準をあげて、個人の貯蓄と所得を、次第に、借りている企業と国に移転させるということです。
露骨に言えば収奪ですが、ソフトに言えば調整インフレです。
(続く)

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   Systems Research Ltd. chief consultant吉田繁治

2001年3月19日号:ライフ・プランの戦略(3)
Financial LiteracyとIntelligenceをめぐって
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