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リーダシップをめぐって:その第2部
      オフィスの仕事の情報作業化が、新しい組織を求める
      リーダシップは、知的作業のマネジメントに必須になる
      新しい組織でのValue(行動綱領)を決めるもの

こんにちは、吉田繁治です。仕事場の窓から見えるのは水色の空、白い雲、春風にゆれる葉桜。今日は、とても爽(さわ)やかです。

【異変】
先週、当メールマガジンの申し込みで、ちょっとした異変が起りました。マグマグで、読者有志と編集部からの推薦を受けて、3日で2800人位の方が新規に申し込みをされ、新たな仲間に。

まぐまぐ読者さんの本棚☆第7回◆
このコーナーでは、読者さんが選んだお気に入りマガジンをご紹介します。
【今週の読者さん:enochan さん/40代/男性/22年サラリーマン生活】

「ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則」(週刊)
http://www.mag2.com/m/0000048497.htm
(読者)お客様への情報提供の源になっています。受信するとプリントアウトし、電車の中で読み耽っています。
(マグマグ編集部)主なテーマは経営戦略、情報技術戦略、小売・流通業、経済、金融…。1回分がA4換算で約17ページ(!)だそうです。読みごたえ、あり。


昨年の10月下旬に第1号をお送りして以降、6ヶ月で約1万人に達しました。1万人の読者は、当初の目標でした。メールマガジンとしてはすこし専門的な内容のものですから、すごい人達のグループでしょうね。
因(ちな)みに、専門書の新刊の発行部数の採算のメドは4500部くらい。

【新しい読者の方に】
本号は<リーダシップをめぐって>の第2部です。
先週の第1部は、修正を加えクール・ナレッジのWEBに掲載。
過去にお送りした30数編の考察も、改訂を加え載せています。
興味のあるテーマから、ふとした折りにお読みくださいね。
きっとなんらかの発見があると思います。

 【本号の目次】
 1.リーダシップの視点での政治の時事分析
 2.ライン―スタッフ型組織モデルの終焉
 3.情報作業
 4.情報化組織モデルの素描:変化対応を組み込むこと
 5.知識労働のマネジメント
 6.Value:守るべき価値


最初は、リーダシップについての格好の時事的な話題から

■リーダシップの視点での政治の時事分析

自民党総裁の予備選で、変化のうねりが生じました。国民的な人気が最も高かった小泉氏が、予想外の圧倒的勝利。派閥で勝っている橋本氏の惨敗です。

野党の顔色がありません。森首相のヘマや失言にほくそえみ、人気のない橋本氏を求めていたのは野党です。テレビで見た管直人に、うろたえた雰囲気があったのに気が付きました。流れが変わった。

管直人氏の本質は小才のディベーターです。手法は、責められた時は相手の非を瞬間に探し、それを拡大表現し、論点をすりかえる目くらまし方法。舞の海の猫だましに似ています。良く観察してみて下さいね。

▼意味するもの

昨年末の<加藤の乱>以降の流れが結実。加藤の乱ではインターネットBBSのバーチャルなものでした。今回は投票というリアルなものになった。インターネットは、リアルなものの変化を、約6ヶ月先行して示したと言える。

<首相生産装置>の中核であった田中派〜経世会〜橋本派の政治的パワーが低下が明白になった。公明党との信頼関係と、最大多数の橋本派をバックにした人斬(き)り人が野中氏です。角栄から習った恐怖で議員を動かしてきた。古い手法です。

本質は、異能の政治家田中角栄が発明した強固な<族議員での予算配分システム>が、国民の幅広い支持を得られなくなったことを示すものです。

▼族議員システム

族議員のシステムは、<業界団体―族議員―縦割り行政・官僚―公共投資の予算配分と財政投融資>の仕組みです。米国の政治とは異なる裏制度と言っていいでしょうね。マネーを背景にした裏権力です。

根にあるのは、i)郵便貯金225兆円、簡易保険積み立て112兆円、年金積み立て140兆円の、合計477兆円を使った財政投融資、ii)それに、666兆円の国債・地方債の問題です。

小泉氏の政治的持論は<郵貯の民営化>です。巨額の資金配分を指揮してきた官僚と族議員の、背骨を切るということです。

ここ30年くらいの、日本の政治システムの根幹は族議員システムでした。官僚、特殊法人、業界団体までキレイに配列された、精緻で強固な組織だったのです。角栄は組織作り、つまり戦略の天才。ここが変わる兆しが具体的になった。小泉氏が体現したと言えます。

実行ができるかどうは、総論から具体論になったとき、国民的な支持が得られるかどうかの1点にかかっています。妥協が必要になるでしょうね。大切なことは、変人の小泉氏がコトバを失わないことです。

構造改革とは曖昧(あいまい)なコトバですが、政治・経済の面では、族議員・官僚による分配システムの解体を行って、マーケットマネーへに転じることですね。ここを、ぼかさないことです。

▼テレビ政局

もうひとつ注目すべきは、密室の談合だった総裁選びが、テレビ討論に変わったこと。4人の候補者は、10数回もテレビで討論を行っています。はじめてことですね。この変化も大きい。米国流です。
昨年末、加藤氏が使ったインターネット投稿(BBS)も新現象でした。
政治という最も古い世界における、メディアの変化ですね。

派閥の談合での材料は、党役員と大臣ポストの配分でした。公開討論では、大臣ポストの配分の相談はできない。論理的な主張、ディベートのアングロサクソン手法に変化しつつある。<情報社会への変化の1現象>と言ってもいいでしょう。

世の中では、いろんなところで同時に、形を変えた共通のことが起こりますね。

▼情報社会

情報社会では、<予期できない変化が急に生まれる>という原理も見えます。今回の予備選を見るとそう思います。約10年前にソ連を潰したのは、テレビパワーでした。権力の根源だった情報独占と情報コントロールができなくなったのです。

ピラミッド組織が成り立つ条件は、上層の情報独占と下への強制権力です。情報は縦に流れる。

しかし情報社会では、情報は横に流れるのです。ここが本質です。上からのコントロールが効かない。

▼組織を動かす原理

このことが意味するのは、人を動かす権力の様態が、情報社会では変わるということです。強制型の権力ではない。

リーダシップによる引張り型です。
 リーダーは明確な方向(ビジョン)をコトバにしてチームをまとめ、
 チームを成功を導くための助力、コーチ、支援をする。

恐怖を与えることによる、強制権力ではない。

▼コトバとスタイル

派閥領主が主宰した日本型の料亭政治も、変わった。森首相は本当に良く、物理的に食べる人ですね。(笑)内実の変化は、これからでしょう。数人の首相交代と政治家の世代交替が必要。ポストと裏金と公共投資での政治から、<コトバとスタイル>による政治です。

財政の破局で、国家予算を増やして分ける力は、もうないのです。

▼予想される問題

小泉氏の政策で出てくる問題は、構造改革が最初という選択です。まだ総論の段階です。具体論になると、不利益を受ける人、既得権を剥奪される人が多数出ます。失業も増える。1980年代の英国のサッチャーの福祉の改革に似ています。

抵抗は、死に物狂いのものになる。こうした時、テロが起りやすくなる。穏やかな手段なら私生活スキャンダルを暴くことでしょう。野中氏、亀井氏の裏手法ですね。こうした戦いまで見えますね。米国ブッシュ政権は、小泉氏を歓迎するでしょう。

▼自民党型政治の根

予算の増加配分ができなければ、自民党型の政治は終ります。
特に田中角栄以降は、国民をマネーで引っ張ってきた政党です。

▼変曲点への<観>

世の中の事象は、行きつくところまで行くと、急に転換する。<変曲点>といいます。変曲点の判断を行うと、変化の先が予測できる。

現象から、この変曲点を見極めることです。情報社会の極意。以上、リーダシップと意識の変化を中核に据えた時事分析。本質部分を見ると、変化は、着実に起っています。


■ライン―スタッフ型組織モデルの終焉

会社の組織作りでマネされたのは、<現場での実行部隊のライン―指揮を取る少数スタッフ>というプロシア軍モデルでした。日本型の<部課長組織>にまで、つながっているのです。ピラミッド型組織や、縦組織というときも、同じことです。

プロシア軍型モデルの本質は、
i)知識と技術をもつ専門家であるスタッフに情報を集めて解析した上で、指揮と命令を行わせ、
ii)現場は、あらかじめ定められた手順で、指示された作業を実行する、ということです。これが、過去の組織の基本。

▼4つの条件

【ライン―スタッフの組織モデルの4つの条件】
(1)指揮するスタッフが現場作業を細部まで知っていること
(2)変化を示す情報が、遅滞なく、スタッフに集まること
(3)現場は状況判断を行わず、スタッフからの命令を実行すること
(4)成功の功績も、不成功の責任も命令を実行した現場にはなく、スタッフが負うこと。

(注)実際の組織では、
i)スタッフはライン(現場)の長である指揮官の参謀役を勤め、
ii)ラインの長に効果的な命令を具申してコントロールする方法をとって、スタッフが現場に直接に命令を下すことはありません。
リーダーは指揮官です。そのリーダシップを専門知識と、情報分析で補佐するのがスタッフです。

▼組織作り

こうしたことから、
i)まずは専門知識と技術を持つスタッフの教育による育成、
ii)そして、多くの人が従事する現場作業の定型化が、会社の強さや大きさ、生産性を決めることになったのです。

生産性を計る最終指標は、一人あたり付加価値額、つまり粗(あら)利益高です。

▼ライン―スタッフモデルの有効性の減少

<ライン―スタッフモデル>は、現場が身体を使った単純労働を行うときや、組み立てラインでの製造を行うときは、うまくいく組織モデルです。

工業化の途上国、その典型の中国なんかがこれでしょう。人間は、生産ラインの部分的なお手伝いをする仕事。現場での情報の解釈は必要ない。1920年代のT型フォードの量産、それに米国流と西欧流のチェーンストアの組織モデルでもありました。テーラーイズムと言ってもいい。

▼しかし、仕事の内容が変わった

2001年現在、米国では10人のうち7名が、日本では10人のうち6名が現場作業者ではなく、オフィスワーカーや営業・販売。自分の手で作ったり加工する、定型作業は少なくなったのです。モノの加工は海外に移転し、多くがこれからも移転する。

工場の組み立てラインは、コンピュータ画面に向かった知識労働になっている。労働の外観は変わった。

▼定義:オフィスは<情報作業の工場>である。

西欧、米国、日本の現代の生産工場はオフィスです。<モノ>を生産する工場ではない。社員は情報作業を行って情報を加工・生産する。外部からの情報、内部の情報を集めて、解釈し、知識で判断をし、加工した情報を伝達する。

<情報の仕入⇒知識を加えた加工⇒伝達>、これがオフィスワークの本質でしょう。情報作業というあたらしい仕事の概念がふさわしい。コンピュータとネットワークは、この方法を根本から変えることになる。
情報作業という概念は、ビル・ゲーツが使っていますね。

情報の価値の本質は<差異>です。同質の情報は意味がない。
差異は変化を生む。したがって、情報社会では変化が激しくなる。


■情報作業

本質を規定すれば、とても難題のオフィスワークの有効性と生産性上昇の方法も解ける。

オフィスの情報作業は、コトバと数字の加工、知識による判断です。
そのためのツールが、コンピュータとネットワーク。

10人のうち6名が、情報作業に関わることになった。この人たちの生産性が上昇しないと、利益も、経済の成長もない。

まとめれば<知識>が利益と成長を大きく左右する。そんな時流です。KM(Knowledge Management)は今後のキー概念のひとつです。KMへの取り組みは、知識の分類とデータベース化です。

▼情報作業に適合する組織設計の遅れ

肉体作業で現場に人が多いピラミッド型の会社は、とても少ない。しかし多くの組織は、少数のスタッフに情報を集め、命令やマニュアルを下ろすプロシア軍モデルです。オフィスワークとは言いながら、ワークスタイルは工場労働の時代と変わっていない。

▼組織の不適合の現象

情報と知識を手にした人が、<上からの方針が間違っている>と心で異議を唱えながら、多くの会社で悶々(もんもん)としている。そう感じます。方向の定まらないエネルギーは、利益と成長を決める、オフィスの生産性を落とします。

先進諸国では過半の人が<知識による判断が必要な情報作業>に従事している。

外形的には、パソコンとLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、無線LANが急速に普及。1980年代からの20年で、ワークスタイル(仕事の様態)が、外形から変わってきた。

現実はすでに、少数のスタッフに情報を集め、現場に指示・命令すれば済むような仕事の内容ではなくなっている。ここを深く認識すべきですね。従来のライン―スタッフ型組織モデルのみでは、有効ではないのです。

▼作業変化の事例:商品の発注作業

【大型店1店舗の情報量】
店舗で最も大切な作業は、商品の発注処理。5万品目を扱うのは、大型店では普通のことです。百貨店やビッグストアなら100万品目以上。

5万品目でも1店舗分の1日分のPOS情報は、1種類の帳票のみでも1666枚になる量です。(1ページ30品目とする)

情報の解読作業の多さ】
普通、3種類くらいの帳票は使う。とすると4998枚。厚くて重い広辞苑が2600ページ、この2冊分です。これが5万品目の1店舗、1日のPOSが吐き出し、人間に解釈を迫る情報量です。

1ページ読んで判断するのに10分かかるとすると49980分(833時間)、8時間労働として1店舗分の1日の判断結果を出すのに104日もかかる。真面目にやれば不可能な作業です。無理なことをやるのは無謀。これこそ大きなリスクでしょう。

リスクは、実は細かい日常業務の中にこそある。
5万品目のうちの1品目の処理は問題としては小さい。

しかしその1品目の発注処理と品目カット、在庫数が集まって、店舗の全体の品揃えと、バックヤード在庫、生産、物流が決まっている。

5万分の1の処理では、いいかげんでもいいかも知れない。
それが5万品目で繰り返されると全体は恐るべきリスクになる。

▼1品目の処理

小売業の現場の本質は<小>売業です。細かい1品目の処理が根幹になる業種。顧客は自分が買って食べたり、使ったりする1品目を選ぶ。

作業時間から見て、不可能な作業をそのままに放置して、店舗に与える。強いるというのではない。店舗作業と組織の設計者が、深い検討を経ないままに、または気がつかないままに、放置する。

店舗の商品の中味は巨大なリスクと機会の損失を抱えている。
今日も明るい売場で、実は暗闇の手探りが行われている。

▼情報の経済効果

情報の実際的な効果は、その情報がなければ生じたであろうリスクを、減少させることです。

Aという品目の統計解析結果を使ったグラフやパターンを使えば、発注のリスクは減少する。リスクを減少させた度合いが、他の店舗と比べた時の、その店舗の利益の多さになるのです。

▼業務の情報化の実態

業務の情報化では現場を示せば、こうした内容の作業なのです。
少数の本部スタッフのみではできない。

業務の情報化やデータ・マイニングとは言うが、実際には、情報はあまり利用されていません。ワークスタイルの外形は変わったが、内容が変わっていない。この原因を探りましょう。

▼方法と手順の設計の遅れと組織が原因

コンピュータは使っているが、
i)判断作業の方法と手順の設計と、
ii)判断の結果を有効にするための組織が遅れているのです。
これでは変化対応が遅れ、機会ロスだらけになる。

なにが売れるか分からないことの結果で、エイままよと、多品目を並べる大型店を作り、予想通り運営に苦労している。多くの店舗の実態。日本の80年代以降の大型店の根拠も、内実はこの程度ですね。
組織は、プロシア軍型でしょう。

▼チェーンストアの組織論

従来の日本型チェーン(渥美俊一氏)の組織は、プロシア軍型の、少数のスタッフが情報を解釈して指揮する組織論でした。

これは、品目の売れ行きが安定増加している時代の組織です。変化を示す情報が少ない時のモデルです。

【過去の安さの仕掛けは値入率ミックスだった】
ダイエーの初期の成長期、独特の流通でとても高かった肉と薬を狙い、仕入原価で売った。利益はゼロか原価割れです。しかしカレーライスを作ろうと思ってくる客は、肉だけを買うことはない。野菜やカレー粉も買う。飛ぶように売れた。

<食事の素材を集めて総合品種の品揃え>にするのを、日本特有の表現でスーパー化や業態化と言った。米国ではラインロビング手法です。

スーパー化すれば、象徴品種を原価で売って客を集め、関連品種で利益を出す。値入率ミックスと呼んでいます。今は当たり前の手法。

肉屋では主力の肉を原価では売れない。スーパーは象徴的に高い品種を安く売って、生鮮3品を市場から調達、調味料や他の食材も並べる。

バイヤーは、仕入れ先をとびまわる。店舗では届いた商品をトラックから下ろして、値札をつけ、一刻も早く売場に並べる肉体作業だった。

情報は少なくて済んだ。判断は定型的で、命令で動く機敏で正確な動作がすべてだった。プロシア軍モデルが適合します。ビッグストアの教育は、私の嫌いな軍隊調です。

【商店組織の近代化】
本質がプロシア軍組織である日本型ビッグストアは、丁稚奉公の世界に、<ライン―スタッフ型の組織による近代化>をもちこみ、コントローラー、商品部、店長というスタッフを、教育したものだったのです。

1970年代初期までは、これで成功した。その後は変化対応に遅れた。

▼10年という期間の深い意味

ダイエーは、日本型ビッグストアの1号店の千林店をつくって、10年後の1973年に三越を追いぬいて、売上高で日本ナンバーワンになった。スタッフの猛勉とハードワークの成果。時流に乗るなら10年でゼロからナンバーワンになれるのです。

繰り返しますが10年。10年後の2011年、小売に限らずあなたの会社も、トップランクへ登る可能性がある。30%成長なら10年で13倍。13倍とは、既存部分は1、12の部分を新たに加える戦略。したがって現状の方法の否定です。現状肯定は停滞しか生まない。



■情報化組織モデルの素描:変化対応を組み込むこと

2001年には、30坪3000品目のセブン・イレブンが、9000店弱になって、ジャスコを追いぬき、総売上高でナンバーワンになった。ユニクロはセブンイレブンの利益を追いぬいた。両方とも小型の店舗ですね。

セブン・イレブンは、9000名の店主にPOS情報を使った情報作業を行わせる組織です。全国9000名のショップマスターに情報を与え、現場教育の材料を持ってくるのがフィールドカウンセラー。

ユニクロは調達ソースを変更し低価格と高粗利を両立させた。
情報化組織は、スーパースター店長制度で作った。

いずれにも、プロシア軍の組織の<近代化モデル>から、情報化組織の<現代化モデル>への移行があるのです。

▼組織の現代化とは?

日本型ビッグストアは、近代化以降の組織イメージをもつことができなかったように見える。組織の<現代化>とはなにか?

【具体事例】
少ない情報に基づく本部命令ではなく、多くの情報を、現場が自律的に解読、解釈して、運営できる組織です。
事例は、セブン・イレブンの<本部―店舗>の組織です。

本部は、フランチャイジーに対する、情報提供と教育の機関です。
自店の利益責任をもった約9000名の店主が、POSの商品情報と顧客を解釈し、集めた地域イベント情報を加味し、日々の発注決定を行う。

情報作業を行う店長:ショップマスター】
1店舗の現場に1名、全国に9000名の自律する<ショップマスター>を配置した情報利用型の組織ということになる。9000名が、日々の3000品目の売上情報を読んで判断する。膨大な量の知的作業。

コンビニエンス・ストアは3000品目で売場が小型です。大型店では?
管理可能な狭さへの売場部門(カテゴリ)への区分けと、ショップマスター制度、カテゴリマネジャー制度と言っても同じです。
同じことを、ユニクロでは、スーパースター店長と呼んでいます。

【作業内容の問題】
こうしたことを研究し、実証して考察を加え、開発する作業を、<店舗作業システムの設計>と言います。

日本では、商品部と店舗作業の情報化した作業の設計がとても遅れているのです。それが原因で、流行のサプライ・チェーン作りでは、ソフトはいれたが、十分に稼動しない状況が頻発していますね。

世間の空気で外形を真似する。それがソフトウエアの導入です。つぎは、その中味の問題(作業設計)になる。日本的な手法と言っていい。外形から始めるから、改革のプロセスではトンチンカンなことが起るのです。最初に、意味が付与されず名詞の肩書きが横文字になる。

▼売れ行きの変化を、自店の機会にすること

3000品目のコンビニエンス・ストアが、店舗過剰とは言われながらも、90年代にも増えた原因がこれです。増えた理由がある。

売れ行きの変化を、顧客からタダでもらった<情報>とし、需要変化に、即刻、細部で対応できる組織を作った。顧客は、買ってくれた上に変化の情報をもたらす。その情報を利用して本部は更に儲ける。

需要の変化を示すPOS情報の利用ができる組織を作ったから、顧客の需要変化が機会に転じたのです。需要変化がないと、価格競争にしかならない。変化が障害になるのは、変化対応が遅れるからです。
しかし、ここにはもっと深い内容がある。

【変化があることが機会になるということ】
情報利用型の組織では、変化を機会にできる。
プロシア軍型では、変化は障害になる。

ダーウィンは、生物は進化してきたと言った。動物は環境変化に適合して進化した。しかし、実際は先に変化したグループが、変化できなかったグループを滅ぼしたというのが正しいでしょうね。

▼知識化すべきいろいろな労働

【現場は知識労働者】
コンビニの店主は、店舗現場の、<自律的な>知識労働者でしょう。
集計・分析された情報をもとに、商品の判断をする。

現場ワークに対するこうした位置付けが、重要です。
近代化組織では、本部は命令、現場は実行のモデル。
現代化組織は、本部は情報解析と解釈方法の提供、現場は判断。

【過去のワーカーとは違う】
コンビニではアルバイトの店員も知識労働者です。同世代の好みについて店主に意見を言い、学校の運動会や花見、試験、付近の工事のイベント情報をもたらす。環境は変化する。

それらは、お弁当の発注数決定のキー情報。9000店で全部が異なる生活イベント情報。遠方の本部のスタッフでは管理できない。従ってこれは、現場が行う。

【本部】
本部が行うのは、情報の組織化(Organize)の仕組み作り、つまりシステム化と、データの集計解析です。

アルバイトやパートも単に定型作業を行うワーカーではない。
地域情報を集め判断している。消費者モニターですらある。

【必要な現場の自律】
伸びている企業では、外見はマニュアルワーカー、実際の仕事の中身は、情報と知識に基づく<自律的>な判断を行っているのです。
過去は、スタッフに限られていた仕事を、時間給で現場が実行している。生産性の上昇ですね。

400品目のユニクロも、同じようなことをやっていますね。
店舗現場に、分析した結果の解析情報を与えている。

【情報型企業の利益】
情報型企業は、他社にとっては都合の悪い需要変化、環境変化、品目の売上の低下を示す情報から、価値とマネーを生み出しているのです。

【調理士】
繁盛している旅館の調理士も、作業の中身は知識労働に変化。
1970年代までの宴会や社員旅行、団体ツアーに出していたような横並びの定型料理ではダメ、顧客は飽き飽きしています。

日本中の人気のある旅館、世界の人気ホテルが、どんな料理を作っているかという情報と知識の上で、技術を磨き、差別化した料理を<創ら>なければならない。顧客は、他の旅館、他の地方とは違う良質な創作料理を期待している。山荘でマグロの刺身がでてきたら興ざめでしょう。

調理士も、すぐれて知識労働になった。ワーカーではなく、調理クリエーターです。ラーメン店、豚カツ屋、寿司屋、居酒屋、パブ、美容院も同じでしょう。


■知識労働のマネジメント

▼知識労働

現場が知識労働であると規定すれば、マネジメントの方法は命令や強制権力ではない。上司と部下の関係はあっても、命令で動く関係ではなく、同じチームの同僚です。判断の方向を示し、方法を教えコーチしてチームを成功に導くのがリーダシップです。

知識化した労働のマネジメントの方法が、変化を機会にするリーダーシップ型組織です。

▼営業の事例

営業は顧客情報の解析を行い、自社の商品知識、他社の商品知識を総動員して、個人向けの商品設計、つまりソリューションを提供する仕事に変わった。決まった商品を、定型的トークで売りつけた過去のセールスマンは、通用しません。

異なる個人のニーズに、真正面から向かうべき営業こそ、情報解析のアナリスト。顧客情報解析アナリストになった営業に、上司はどう命令できるのでしょう? 知識や経験を提供し、一緒に考えることしかできません。

家電のサービスエンジニアは、家庭訪問すれば情報機器への知識と技術を試される。電話線の工事者も同じ、インターネットへの知識が必須。多くの人が知識労働者。

▼日本が発明した部課長組織と、QCでの勝利

10余年前の1980年代末には、日本が米国産業を乗り越えたと言われた時期があった。日本的方法は、現場を実務経験した社員から、スタッフに昇進する部課長を育成した。そして、よく知っている現場に改善を加えるQC手法だったのです。

専門知識のレベルは高いが、現場を知らない米国・西欧型エリートのスタッフが指揮する組織に、現場を知り一体になれる部課長の組織が勝った。組織は、それくらい重要性を持つものです。

組織設計と人員配置こそ、戦略であり経営であると判断します。

しかしQCは、会社の方向を変えるものではない。
現在のような大きな変化には、弱いのです。QCの後は?

▼QC後のCSとCRMの位置付け

QCの後は、米国発での顧客満足(CS:Customer Satisfaction)が言われた。最近では、顧客との良好な関係の維持(CRM:Customer Relationship Management)。

全顧客を、需要変化の情報をもたらすモニターとして位置付けることが出発点です。QCは品質と作業改善が到達点だった。

【深い意味】
CSやCRMは顧客を起点にする。ここに深い意味がある。外部顧客を、作業命令を発する人として位置付け、そのニーズ充足の作業を、会社が行う。

【作業命令】
CSやCRMの方法では作業命令を発するのは、組織内部の部長、店長、トップではない。顧客です。顧客の情報=命令で組織が動き、必要作業と商品調達や加工が発生する。これがCSとCRMの本質ですね。

売りたいものを売る営業手法ではない。カスタマー・セントリック(顧客中心)とは、産業への指令を顧客が行う。そうした方向を示すものですね。

組織の根本的部分での変容を行わないとCSやCRMにはならない。これに気がついている人は、少ないようですね。
21世紀は、上からの命令のプロシア軍モデルではないのです。

指示や命令は、横から、顧客から来るのです。それが情報社会。

▼昨日びっくりしたこと

昨日の夕刻、場所を聞くために、業界最大手の大型店の新店に電話をした。予想通り3人にたらい廻しされた後、<大きい店だから来られれば分かると思います>が最終応対だった。わからないから聞いているのに。

店に行ったら、全体が、電話の印象と同じで、品揃えに至るまできれいに<悪しき統一>が取れていた。ダメなことの宝庫として、ツアーを組み、研修に使おうかと思ったくらい。約1時間、売場を見ながら、とても興味が深かった。人が悪いかなぁ。店名を言いたいのですが、我慢(笑)

発露の一例をあげると、カスタマー・サービスカウンターの表示が<レシートがなければ返品はできません> チェーン・ストアで良く見かける否定表現ですね。<一切>というイヤな響きが加わっていることも多い。消費者は王様とは、どこの国のこと?

同じことを言うなら<返品の際は、レシートの提示をお願いします>というくらいの肯定表現を行うのが、案内の書き方でしょう? 細部ではやるべきことが多いですね。小売は細部のビジネス。だから<小>売り。

しかし、どこにこうした問題の根があるのか?

■Value:守るべき価値

この店舗の事例は、現場作業者を強制権力の粗(あら)い命令のみ動かし、自律的に応用できる良質な知識を与えていない組織作りの結果です。

もっと深く言えば、経営トップの精神に問題があるでしょう。これが、組織全体の<Value:何を大切にすべきか>を決めるのです。

<行動規範>と言ってもいいですね。同じ業種でも、それぞれの会社が大切にしていることには、天地の差がある。顧客の視点から見れば、いつの時代も決して供給過剰ではない。不足している商品、不足しているサービス、不足している価格。

商品や価格は類似していても、Valueに着目した差別化を計れば、ビジネスの機会がある。顧客は、そこまでを見る。

あなた個人、及び部署、または会社が、大切にしている価値を3項項目にまとめて、言い表せますか? 
(1)
(2)
(3)

3項目が顧客の評価と一致した時、ブランド価値ができたという。
ブランドの意味は有名ブランドだけの狭い含みではないのです。価格や品揃えが全く同じタバコ屋でも、ブランド価値は作れる。

ここで<リーダシップをめぐって>の第2部を配信します。
最初の読者の方、いかがでしたか?

(第3部へ続く)

ご意見、ご感想、連絡は
yoshida@cool-knowledge.com

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2001年4月23日号:リーダシップをめぐって:その第2部

ビジネス知識源:インターネット時代の経営の成功原理と原則
    良質な経営・IT・ビジネス知識の提供を目標に
        http://www.cool-knowledge.com

執筆者:Systems Research Ltd. chief consultant吉田繁治
  感想・意見・連絡は⇒  yoshida@cool-knowledge.com

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copyright : Systems Research Ltd. Chief Consultant 吉田繁治