| e‐Market Placeが21世紀の商取引と流通構造を決定する :わが国の流通慣習と流通構造は急激に変わる。 (その前半部分) |
今回のテーマは、イー・マーケット・プレース(e-Market Place:以下eMPと略)です。 欧州や米国で、インターネット時代の流通の革命として大きな話題なっている割りには、日本では取り上げられません。 【その理由】 i)あまりにスケールが大きい、世界的グループ化の構想であること、 ii)データ交換で、多くの流通マスコミや小売のコンサルタントがその意味を知らない、ASPやXML(eXtensible Markup Language;拡張型符号付言語:HTMLの拡張版)に関係するものであること、 この二つの理由で、その本当の意味の解釈ができないのでしょう。 日本の流通業界の世論をリードしているのは、IY堂の鈴木敏文氏です。鈴木氏の見解で、流通マスコミの空気が決まります。 その彼は、こう言っています。 『共同調達では、小売り業の差別化につながらない』 私は鈴木氏はeMPの意味を見事に捉えそこねている、と判断します。時々彼は、意図的に他を惑わす政治的発言をしますが、これもその一種なのか。 あるいは、そろそろ、判断力が鈍る時期でしょうか。 eMPが共同調達であることは、現象の一面に過ぎません。新たな流通網作り、ロジスティクス、ネットワーク、データベースの共有、データ交換、グループ化が本質なのです。 ▼マスコミには、当然、なんの判断もできてませんね。流通評論家といわれる人達も、コンピュータシステムやネットワークが分からない人がほとんどですから、論評できていません。 日本ではバブル崩壊の整理で、それどころではない、来年のことより明日の資金繰りが問題、となっているのでしょうか? マネーの世界を除けば、世界での日本の存在は随分軽くなりました。 (日本の生保の資産劣化と解約の急増の問題は、今、とても大きな、マネーの面での波乱要素です。) IT革命を!とはいいながら、IT革命の最先端であるe-Market Placeに関心がないのですから・・・この国は一体どうなっているのでしょうか。 パソコンをばら撒いて、光ファイバーを引けばそれでいいのでしょうか?相変わらず、ハコモノ発想です。 ―――――――――――――――――――――――――――――― このeMPは、世界のあらゆる産業、製造業・卸・小売に、衝撃的な影響と結果をもたらします。 BtoB(企業間)のe-Commerceの決定版が、eMPでしょう。 来年の2001年から、eMPを中心として、あれよあれよという間に、次々に、大きな変化が起こります。 最初は、ギクシャクや、紆余曲折があります。新しい試みは、実験要素を含みますから、当然です。日本ではその時、例によって岡目(おかめ)で、eMPはうまく行かないという論評が出るはずです。このことも容易に予測ができますね。保守化しています。 eMPが影響を及ぼすのは、大企業のみではありません。中小企業を含み、全産業レベルで世界を巻き込んだe-Commerceとe-Logosticsによる流通の真の革命に向かうのです。 ▼eMPは、インターネットを通じてBtoB(企業間商取引)の商品取引、購買を行うことから開始されますが、そこに留まりません。 i)物流システムとのネットワークでの連繋(e-Logisticsと e-Fulfilment)、 ii)共同売上予測・商品計画・在庫計画システム(CPFR)、 iii)ASPによるアプリケーションの提供までを含むものです。 インターネットでつなげば、ASPでのアプリケーションの提供までを受けて、オープンな参加ができるのがeMPの近未来です。 インターネットって、本当にすごいメディアであると改めて思います。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【まず4つの基本用語を】 ・ASP :Application Service Provider インターネットを含むネットワークを通じて、ユーザーが利用するアプリケーションを必要な都度配信する新しいソフトウエア提供方法 ・e-Logistics :発注システムと倉庫管理(WMS)、及び輸配送システムのネットワークでのデータ連繋 ・e-Fulfillment :1回の入力で、在庫と配送までが手配されて、すべての処理が完了するシステム。 ・CPFR : Collaborative Planning, Forecasting, Replenishment:小売とメーカーのデータ、及びデータベースのリアルタイム共有化での発注・在庫・生産計画、売上予測、在庫補充プログラムの実行を行うこと。 【3つの注意事項】 (1)ここで取り上げるのは、 i)世界のトップランク小売業の参加で、約59兆円の合計年年商のWRE(WorldWide Retail Exchange)、 ii)合計で24兆円の大手小売が終結する GNX(Global Net Exchange)、 iii)及び単独で19兆円小売総額のウォル・マートによるRetailers MarketXchange.comです。 (2)いずれも、想像を絶する規模の小売のネットワークでのグループ化です。 しかしeMPにはこうした大規模なものばかりでなく、それぞれの業種や専門品種に特化した中、または小規模なものが、現在1400はあるといわれています。 こららの多くは、併合か淘汰されたり、消滅する見込みです。 (3)ここでは、個々のeMPがうまくいくかどうかという視点ではなく、eMPというBtoBのシステムのコンセプトを取り上げます。 個々のeMPがうまく行くかどうかでは、うまく行く所もあれば、失敗するところもあるということしか言えません。 つまり私は、eMPの設計者の立場から、考察します。 【世界のBtoBのインターネット取引の実績と予測数値】 インターネット関連のサンプリング調査による推計数値は、実績も予測も振れの幅が大きく、現状では調査機関もふくめて誰も全体数値は把握していません。新しいビジネス領域の調査の常です。 しかし数値があるとイメージ作りにはなるので、一例をあげます。 1999年推計実績 2004年予測 世界 : 14.5兆円 72.9兆円 日本: 1.1兆円 8.6兆円 アジア:0.9兆円 9.9兆円(日本以外) (データ:ガートナー・グループ) 日本経済のGDPシェアは世界の約14%ですが、BtoB取引金額でのシェアは1999年が7.6%の推計、2004年は11.7%の予測です。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■いよいよ、日本の小売業者の意識と認識の遅れが目立つ (情報不足) 私は約20年、コンピュータ業界と小売業との付き合いがあります。小売業一般でいつも感じるのは少数(約20%くらいでしょうか)の覚醒したトップを除くと、新しい情報の不足が目立ち、特にIT関連では誤解も含んだ状態にあるいうことです。日常会話の中心は、業界情報が80%でしょうか。 ▼口では皆、顧客満足の追及とかお客様のために、と言ってはいます。それを本当のミッション(社会的使命)にして、実行のための戦略にまでできている企業はほんのわずかです。 この業界は、これから想像を超える激震を蒙ります。 ユニクロ1社で、しかもこのわずか2年で、ファッション全体に激震が走ったように。 ▼店舗の価値 わが国小売業の最大の問題は、142万店舗のほとんどの小売業が、『顧客から、なくなっては困る店舗という評価を受けていない』ことです。 しかも、そのことを、各社のトップが問題視していないことです。商圏が商権として受け取られている感じがします。 ▼百貨店で売上高ナンバー1の『そごう』が崩壊しても、困るというのは従業員と業者、および地方自治体、金融機関、つまり利害関係者だけでした。 顧客からの声はありません。閉店セールを待って、誘い合って出かけただけ。百貨店の老舗、売上高ナンバーワンのそごうの、企業としての価値は、一体どこにあったのでしょうか? ▼今年から解体プロセスにはいったことが明白な、量販店売上ナンバー1の『ダイエー』も同じですね。 ダイエーがなくなるのは国民的な損失であるという意見は、消費者からは、まず出ないでしょう。今日も400万人もの人がダイエーで買い物をしているはずですが。 ▼本当に生活を支えたり、生活をリードしている産業という顧客の評価があるなら、今、消費者からの自発的な支援の声が出るはずです。それどころか、もう中内さんにはうんざり、という気分。 米国では、70年代にシアーズが危機に陥った時、シアーズ支援の運動が実際に起こったのです。 ▼では『ソニー』のケースでは、どうでしょうか? 仮に、ソニーが危機に陥ってなくなるような事態が発生したら、日国民、及び世界の損失って感じがします。 将来はわかりませんが、現在の『ユニクロ』や『セブンイレブン』も、なくなったら生活に困るでしょう? ―――――――――――――――――――――――――――――― ■企業の本当の価値はどうやって計るのか? こうした顧客にとっての価値の観点で、企業を見ると、『その企業の本当の価値』がわかりますね。 ▼『果たしてあなたの会社は、消費者から、なくなったら困ると思われているでしょうか?』 この、素朴で実直な問いにまともに答えられますか? これが、まさに今、トップ・幹部・社員が行うべき根本的な反省。 ▼もう1度そこからミッション(社会的使命)と、ビジョン(目標)そして目標に向かうための実行戦略の設計をすべきです。 これが王道です。 ビジョンと戦略の再構築(これが本来のリストラ)の無い経費カット、リストラでは、ますます墓穴を深く掘ります。 (蛇足ですが) では、このcool-knowledgeがなくなると困ると思っている人が何人いるでしょうか(笑)・・・まだ誕生1ヶ月の赤ちゃんですが・・・ 私も、他とは違う、価値のある情報や成功の原理を提供して、もっと認められないといけませんね。ガンバリましょう。 一人一人が、こんな素朴な問いを発するところから、21世紀に向かって再出発する必要があります。 ▼青臭い議論ですか? そうですね。まさに青臭い書生の議論。その青臭さが消えたのが、日本経済の衰退の、もっとも大きな原因でしょう。 森首相を見ていると、本当に(大変失礼な表現ですが)飽食した後の日本人の醜さの象徴に見えます。過去の買春事件には蓋。毎夜の料亭では、青臭い議論なんか、しないでしょうね。 自民党単独政権の最後の首相であった宮沢大蔵大臣も、例のように小首をかしげて、はぁ?そうですか?って・・・あさってみたいなコトバが出るだけ。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 『私どもは、現社長(岡田元也)とテスコの会長が親しい関係だったこともあって、日本で最初の創立メンバーとして、WRE(World Retail Exchange)に加わりました。 それで今、他のいろんな他の小売業と一緒にやろうと声をかけているところです。 ところが、日本の流通業の人たちの多くは、この状況が感覚的に理できない。 行政も遅れていて、つまらない規制をやめようとしない。商工会議所や商店街はもとより、いわゆる流通関係の評論家の中にも遅れている人がいる。 外資が日本の特殊な市場で成功するのは難しいなどと、未だに高をくくっているんです。 (中略) その点では現在の日本は、アジアのなかでも、遅れてしまっています。・・・』(イオングループ会長 岡田卓也氏;文芸春秋2000.8) その通りですね。文芸春秋に載った岡田会長の引退の弁の内容に賛成します。 以前、私はびっくりしたことがあります。 大型店の出店に反対する店舗側のリーダーの『われわれの生きる権利を、大型店が奪う・・・』との発言に、正直びっくりしたので ▼横並びで生存できたことの問題 店舗の顧客は大型店が奪うのではありません。顧客が店舗から自主的に離れます。 つまり大型店に奪われるような、どこで買っても差がない、横並びの価値しか提供できない商売だった、ということでしょう? 反対するエネルギーと時間があれば、大型店と競争して、つまり別の商品価値とサービスを提供して、顧客をつなぎとめることで勝ち残ることを考えるべきでしょうね。そこが競争のよさですね。競争は企業を磨きます。 ▼大型店は、普通、品揃えの面で『小型店の品揃え包みこみ』を行います。それが一番成功しやすい、リスクのない方法だからです。 技術的には、『ライン・ロビング』という方法です。 これが日本型大型店の最大特徴ですね。サービスも粗雑。従業員もマニュアルワークのパートです。よく見ればたいしたことはないのです。 しかし、小型店が大型店の粗雑なライン・ロビングとは違う商品価値、サービス価値、価格価値を提供しなければ、規模の効果でやられますね。 独自といっても100%の商品で、ではありません。それは不可能でしょう。主力の20%の商品でOKですね。60%以上となるとPB商品開発しかありません。 ▼消費者は大型店を歓迎し、地元商店は反対運動。 これでは、商店主が言う顧客中心は、お題目ですね。 これを顧客が冷ややかに見ているのに、気がついていないことが問題ですね。 誤解を招かないために申し上げますが、私は大型店の味方をしているわけではありません。例外は多数ありますが、一般に小売業のトップの意識が、以前から、とても低すぎるということを言っているのです。 ゼロから小さな店舗をはじめたときの、顧客奉仕を第1に考えた青雲の志が、今は枯れて、朽ちて、腐ってしまっていますね。 ▼みんなゼロからの出発だったはず 事業はどんなところでもゼロ、家族資本、借入、小規模、有為な人材不足から始まります。小規模であることが不利だったら、事業は伸びるどころか、残っていないはずです。 ▼店舗ブランドの信用はゼロですから、一人一人のお客様に対して商品でもサービスでも、心底から顧客第1を実行しない限り、顧客は来なかったはずです。 この、顧客との真剣勝負の緊張感を、いつまでも組織として持続したところが、伸びたのでしょうね。 経営学風の用語で言うと、ミッションとビジョンの実行です。 ▼ミッションは単純で、端的で、具体的なほどいいですね。『顧客第1』、または『社員第1』の5文字でOK。 問題は,その実現に向かうための中身、つまり方向性を示すリーダシップと、実現のための戦略なのです。戦略はおよそ5年単位で、有効なものの内容が変わります。ミッションやビジョンは長期のもの (参照) 前回送信の、『リーダシップとはなにか?』 これを改めて読み返すと新たな発見があるはずです。この考察も、好評をいただきました。 http://www.cool-knowledge.com のバックナンバーに掲載しています。 ▼消費者は、店舗に1歩入るとその会社のミッションが全体の雰囲気、社員のちょっとした動作・言動で、直感的にわかるのです。大型店でも、小型店でもおなじです。 ▼日本の小売業は、これから各地域・各業種で、その1番、2番しか利益が出ない寡占の時代に入ります。これが明白です。 (その理由) 理由は、全国で142万店もある現存店舗が消費者にとっての独自の価値を提供できていず、商品選択肢も狭く、消費者にとって横並びの品揃え、価格、サービス内容だからです。 横並びであるということは、その店舗を他と比較した時の、存在価値優位がゼロ水準であることを意味します。 ▼90年代後期以降の消費者は、店舗に独自の価値を求めるようになったのです。これが消費行動の『成熟』の真の意味。 現在の顧客が、80年代までの顧客とは異なったという大きな変化ですね。 ところが、未だに、店舗が変わってないのです。 消費行動の成熟の原因を述べます。 ▼消費行動の成熟の原因はなにか? その品種を初めて買う時は、リスクを避けるために、横並びでポピュラーな商品を選択する行動を取ります。しかし、数回買って、商品価値が判断できるようになると、他との商品価値の違いを自分で判定します。次第に同じようなモノを買わないようになるのです。これが、OECD諸国10億人の消費傾向。 ▼わが国の店舗数は142万店。人口一人あたりの店舗数では、日本は米国の2倍です。しかもどこも似たり寄ったりの横並びの店舗。日本の流通の合理化、効率化はこれからですね。 どこでも大差がない横並びの商品やサービス内容なら、店舗をまとめたほうが生産性が上昇して、国民経済の観点でも効率化します。 ▼小売りに限らず、建設業、銀行を含む金融業、証券、保険も同じですね。商品が横並びだから独立しては生存できず、経済性の原理で合理化の大合併が起こっているのです。 ▼政治の立場からは、流通の合理化の進行を遅れさせる対策が打たれることでしょう。しかし、それも消費者が支持しなければ、単に時間の問題。もう勝負は、明白についているのです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■eMPのプロトタイプ・モデル(原型) 【最初は90年代初頭のウォルマートのリテイル・リンクから】 最初は、世界のナンバー1小売業、19兆円売上、60万人社員のウォル・マートのリテイル・リンク(Retail Link)です。 リテイル・リンクは、eMPの原型となったベスト・プラクティスのビジネスモデルです。 (現在は、Retailers MarketXchange.comといっています。) 今後のeMPを分析して予測するには、90年代の、ウォルマートのシステム化、物流、取引先戦略をたどる必要があります。 http://www.walmart.com ▼eMPのコンセプトは、これから新たに実験されるシステムではないのです。10年間のウォルマートでの成功の実証があるのです。 そこに、ネットワークではインターネット、データ交換でXMLが加わったのです。 今年突然起こった、夢のような話しではありません。 ―――――――――――――――――――――――――――――― CAOは、メーカー側へのPOS売上データ・在庫データのリアルタイム送信によって共有化し、共同予測をし、店舗へ自動補充する仕組みです。 i)この実験の成功でウォルマートは、次々にリテイル・リンクの取引先を拡大。 ii)企業間物流では、クロス・ドック・システム(Cross Dock Sytem)を整備。 iii)最初に物流センターを作るロジスティクスシステムで、店舗運営のコストを下げ、低い損益分岐点で、次々に出店しました。 ▼小売業の商品調達システムの効率性、店舗補充のリードタイムの短さでは、世界の小売業で群を抜いています。対抗できるのは、日本のセブンイレブンくらいでしょう。 ▼ウォル・マートでは、最初から店舗の発注商品の毎日の補充を行ったのです。 ですから、ある地域に店舗を作る前に、物流センターを作りました。戦略的な順序が正しいですね。 ▼一方店舗は大量に作ったが、POSと物流システムの連繋が全く遅れていたディスカウントストアの先発企業Kマートとは、IT、ネットワークの利用とクロスドック物流で、戦略格差がつきました。 70年代に発展したKマートや、60年代に伸びたシアーズは、発注では80年代までは適合した手法のバイヤー王国だったのです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ▼小売業で、何がもっとも重要な日常作業かといえば、発注作業。 この、判断が必要な発注作業を機械で自動化するなんて、とんでもないというのが普通の反応でしょう。IY堂をはじめ、流通評論家もふくめて、日本の小売り業はそう反応しました。1980年代末期のことです。 ▼しかし、POSで売れた商品から、i)展示をはずす計画の商品、ii)追加発注しない商品を除いて、定番展示するアイテムを決め、自動発注にしたらどうでしょう? 発注の全作業のうち80%は自動化できるのではないでしょうか。 残りの20%を、人間が判断すればいいのです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― (1)どんな商品グループ(商品クラス、品種、品目)が自動発注できて、どんな商品グループは自動発注が不適か (後に需要パターンを見つけるための、データ解析手法、つまりデータ・マイニングと言われます) (2)自動発注するには、メーカーと従来の取引関係とは違う、どんな協働関係の構築が必要か、 (後に戦略同盟:Strategic Allianceといわれます) (3)物流センターでは、どんな機能とリードタイムが必要か (後にクロスドックセンターと言われます) (4)ネットワークでリアルタイム共有化するデータではどんな仕組みが必要か (後に、ASN:事前出荷明細情報、RTI:リアルタイム在庫情報と言われます) ▼この4つの技術要素は、1995年頃、SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)として、コンサルタント会社がまとめました。 わが国に紹介されたのは、つい2年前の1998年からです。 CAOの実行には重要な前提の整備が必要です。 それが毎日補充を行える物流でのクロス・ドック・システムです。 (クロスドックシステム) 発注した商品が、店舗別に仕分けされて即日に物流センターに届いて、ノー検品・無開梱で店舗に出荷できる物流と倉庫の仕組み。事前出荷明細(ASN)の情報ネットワークが必要。 ――――――――――――――――――――――――――――― 発注数の決定で、もっとも難しいのは、売上予測です。これはどこまでいっても過去の売上データ分析からの予測でしかありません。 ▼では今日発注したものが今日、または明日の早朝、確実に店舗入荷する物流システムが、店舗のバックシステムとしてあったらどうでしょう。 今日のPOSの売上データ通りの発注数で、ほぼ(±20%)間違いない商品が過半であることが分かるでしょう。つまり不正確な予測の必要性がなくなるのです。 ウォルマートは、CAOと毎日入荷のクロスドックシステムを連結したのです。 ▼これで、店舗の生産性が上昇。ローコストオペレーションの真の意味がこれですね。 人手の作業を機械(コンピュータ)に変えること。 機械化できるための条件を見つけて、それを整備すること。 ▼物流のクロス・ドック・システムがなければCAOは機能しません。ここがポイントです。 今日発注したのものが1週間後に入荷だったり、または入荷リードタイム不定であったりすると、CAOの有効性はそれに比例して減少します。予測が必要になります。CAOでは1週間の入荷リードタイムは長すぎるのです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ウォルマートは、CAOとクロスドックの実験の成果で、物流と調達の戦略面で圧倒的な優位に立ちました。 ▼クロスドックシステムでスーパーセンターを展開 ウォルマートは、毎日補充が必要な、食品の取り扱いを開始。その店舗はスーパーセンターと命名しました。スーパーセンターが、現在のウォルマートの成長を支えています。 米国では従来、食品はスーパーマーケット、コモディティの雑貨・衣料・ドラッグ・H&B・スポーツ・玩具はディスカウントストアと流通チャンネルが分かれていました。ここは日本と違いますね。日本ではデパート、量販では食品が主力。量販売上の45%くらいは食品。 ▼買い物にとても時間がかかる米国の店舗は、社会進出でますます時間がなくなった主婦には不便。そこで、食品と衣料・ドラッグ・H&B・住関連を一緒にして、2倍の大きさの店舗にしたのがスーパーセンターです。 ▼米国では90年代に一人あたり労働時間が増加したのは、ご存知ですか? 生産性の上昇より労働時間の増加で経済が伸びたのです。日本の90年代は、週休2日が定着で、労働時間は減少でしたね。 スーパーセンターが食品に進出して、約10年に過ぎません。その10年でウォルマートは食品の小売りでもナンバーワン。 それを可能にしたのが、CAOと物流のクロスドックシステムです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 米国食品スーパーは、スーパーセンターへの対抗策として、ウォルマートのリテイル・リンクを模倣した、サプライヤーとの戦略同盟を展開しました。 その内容は、ウォルマートのCAOの発注データと連繋する物流のクロスドックセンターです。 米国コンサルタント会社はECR(Efficient Consumer Response)と名づけました。 ▼1998年頃からは、ネットワークと物流、倉庫管理、流通のパイプラインの在庫管理に更に重きを置いて、サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)と言っています。売上予測と生産管理までを含む発展概念ですが、内容は、ECRと、ほぼ同じです。 ▼物流では、規模の経済、及び店舗の地域ドミナント(店舗数の優位性)の経済がモロに働きます。 米国の食品スーパーでは,ウォル・マートのCAOとクロスドックセンターによる毎日補充に対抗するために、大手は軒並み合併、または買収。びっくりするような変化が、1998年頃から始まったのです。 Kマートは、これについて行けていません。これがKマート不振の本質です。店舗は、店頭での販売だけでなく、そのバックシステムとコンピュータネットワークの内容の競争に突入したのです。 ▼1990年代後半の、米国の食品流通での変化です。 わずか、ここ数年での変化なのです。1年で7年分の変化が起こるド ッグイヤーですね なぜ変化の速度が加速したのか。成功も失敗もインターネット、メールで瞬時に情報が伝わる時代だからです。相互学習の効果が、凄いのです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 小売業の競争力の基幹部分の、調達・物流のバックエンドを、メーカー販社や問屋任せにしたのが日本の小売業です。これを日本的流通と言います。 日本の商慣習は、このバックエンドをメーカー任せ、問屋任せにしたことから生じています。日本の特殊な文化ではないのです。 メーカー販社や問屋は多くの小売りと取引します。だから、日本の店舗が、どこも横並びの商品やサービス、価格になったのです。 日本的取引とか日本的商慣習とか言う人が多いですが、それは間違い。 単に、日本の小売業の平均規が零細であったということに過ぎません。 小売りが米国並の平均規模になれば、日本的取引や商慣習は、簡単に米国流に変わります。 (ここでeMPの前半部分終了) 以上、ここまでが、eMPに関する前半部分の配信です。 次ではこの後半部分、世界を巻き込んだ、eMPの中身を述べます。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ビジネス知識源:成功の原理と原則 メールマガジン登録・解除、及び他の記事は http://www.cool-knowledge.com 2000年11月14日号(火曜日) 著者:吉田繁治 吉田へのメールは yoshida@cool-knowledge.com e‐Market Placeが21世紀の商取引と流通構造を決定する。 :わが国の流通慣習と流通構造は急激に変わる。 (本稿は前半部分です) |
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copyright : Systems Research Ltd. Chief Consultant 吉田繁治