ついに、ユーロが非常事態を宣言した
This is my site Written by admin on 2011年9月14日 – 09:00
おはようございます。夏の名残りに思える、秋晴れです。水色の空
のキャンバスに、白く盛りあがった雲が鮮やかで、湿度は低く、気
温は高い。いつか行った地中海の空が、これでした。風景は、過去
の記憶になって、経済問題を考えるとき、情景が浮かびます。

スペインやイタリアの、海を望むリゾート不動産は、ドイツ、フラ
ンス、英国からの買いが多く、東京の住宅並みに高かった。ユーロ
17か国は、通貨では1国です。同じユーロですから、統一通貨前の
ような為替リスクはない。

ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシア、スぺイン(まと
めてPIIGS)の国債は、ドイツ、フランスに比べ、金利が高かった
。ポルトガルは、なぜか、マカオのときに個人的に好きな国でした
。まだ行ったことがないのに変ですが。

このためドイツ、フランスから、PIIGSに資金が流れる構造的な理
由があった。資金が流れれば、債券や不動産の買いですから、不動
産と債券が高くなるバブルを起こします。そして、ピークで崩壊す
る。その3年後が、現在です。

中国と日本が、仮に統一通貨だったら、為替リスクがなく、日本か
ら中国への投資が殺到することをイメージすればわかるでしょう。
いや逆に、中国から、日本が買収されるでしょうか。

輸出力が強いドイツは、単独通貨のマルクの時代(1999年まで)だ
ったら、経常収支の黒字が続くため、マルク高になり、このマルク
高が輸出を抑制するはずでした。BMWが1000万円になったかもしれ
ません。

ユーロでは、17か国の経済力が、平均化されます。ドイツにとって
は、この12年ユーロ安でした。輸出は多くドイツ経済は成長してい
ました。その経常収支の黒字資金が、金利の高いPIIGS国債の買い
と、値上がりが激しかった南欧不動産への、対外投資になっていま
した。

PIIGSにとってユーロは高く(金利は低く)、赤字国債でも、海外
から高く買われた。このため、南欧諸国の政府は、国債のファイナ
ンスを気にすることなく、財政赤字を拡大することができていまし
た。

統一通貨が原因だった「PIIGSの国債と不動産のバブル」が崩壊に
向かったのは、2007年からの、米国の1年遅れの、住宅価格のピー
クアウトからでした。

米国は、住宅関連の証券が$11兆(880兆円)と、米国債($14.3
兆:1144兆円)に匹敵する残高です。住宅価格が下がり、借りた人
の債務不履行(デフォルト)が増えると、住宅関連の証券価格(RM
BS、MBS)が下がります。

いま住宅関連証券の流通市場は、価格がつかず、ほぼ消えています
。気配値は、AAA格のものでも額面の50%でしょう。400兆円の住宅
関連の不良債権が、銀行と、それを買いあげた政府・FRBのバラン
ス・シートのなかで「凍結」されています。買うのは、政府とFRB
のみです。

ユーロ17か国の経済規模は、米国(GDPで$14兆)とほぼ同じで、
日本の2.4倍です。人口は3億2600万人で、日本の1億2700万人に対
し2.6倍です。1ユーロ=105円換算(現在のレート)での所得水準
は、日本とほぼ同じです。

3年前の2008年9月、世界金融危機前は、1ユーロが160円付近でした
。金融市場は、ドルより、財政赤字が少ないユーロが強いとみてい
たのです。それに、米ドルの対外債務が、ユーロより多かったから
です。

ユーロは、円やスイスフランに対し、この3年で、35%も下落して
います。この下落幅は、米ドルに似ています。08年9月(金融危機
)のあと、ユーロ債とドル債が売られたためです。

本来ならユーロの金利は、5%以上に上がらねばならない。米ドル
も同じです。債券が売られる国の通貨は下がり、金利は上がります
(原理的に)。

欧州中銀(ECB)による、
(1)低金利策と、
(2)国債を買う量的緩和が、上がるべき金利を、下げているので
す。

米ドルの長期金利も、5%が妥当です。
今は、ユーロ1.84%、米国2.03%です。
3%以上のかい離があって、これが、今後もユーロとドルを下げる
原因になります。

ユーロの住宅関連証券も、現在米国と同じ、$11兆(880兆円)で
しょう(推計)。不動産の下落率も、米国とほぼ同じなので、ユー
ロでも400兆円規模の、住宅関連の不良債権があるはずです。

●PIIGS国債の不良債権は、金利の上昇によって、国債価格が暴落
し、現在進行形で、増えています。加えて、1990年代から東欧への
貸し付けた$2兆の不良債権化もある。

(注)欧州政府や米国政府が「金融支援策をとる」という政策の発
表があると、その後3か月くらいは、落ち着きます。しかし、ほぼ3
カ月をすぎる頃、また、市場の実勢が勝った動きになっています。


【重要】以上3つの合計が、ドイツ・フランスの銀行の、不良債権
になっています。ユーロの全銀行は、昨年から、自己資本(欧州の
合計で100兆円)の、何倍もの不良債権(住宅ローンだけで400兆円
:推計)のため、債務超過になり、事実上、つぶれています

ECBとユーロ当局が、マネーを刷って、金融機関に対し決済用のマ
ネーを貸し付けているため、システミックな崩壊と、金融危機が引
き起こす経済恐慌が避けられているだけです。

銀行預金は、国家が保証するとしているため、預金者も、取り付け
を起こさない。そのため、表面は、不況で済んでいるように見えま
す。

円債やスイスフラン債が、ドル・ユーロ債を売って、代わりに買わ
れている理由は、2つです。

(1)為替リスクがあるのに低金利
ユーロの長期金利は1.84%、米国は2.03%で、予想されるユーロ安
とドル安を、ともに、カバーできないことです。日本やスイスに比
較し、ほぼ3%のスプレッド(金利差)がないと、ユーロ債・ドル
債は、為替リスク高くて買えない。

通貨安の見込みが高い国の国債金利は、その為替リスクをカバーす
るスプレッド(金利差)がなければ、買われません(原理)。

長い間、ドル債を買ってきた日本と米国の、必要なスプレッドは3
%ポイントでした。いま、ユーロ・ドルともに、これがない。そう
するとユーロとドルは買われない。

このため、円やスイスフランとのスプレッドが3%になるまで、ド
ル・ユーロのレートは(原理的に)下がるでしょう。

(2)埋めきれない銀行の不良債権
2番目は、日本の銀行、スイスの銀行に比べ、上記のように、英国
とユーロの銀行、および米国の銀行が、凍結しているままの不良債
権が多すぎることです。

中身は、
・住宅証券(損失が最大)、
・PIIGS債(中くらい)、
・そして東欧債(PIIGS債並み)です。

このため、米国とユーロは、海外から国債が買われるために必要な
分、金利を上げることができない。中央銀行が、海外からのユーロ
債の買いを促すために金利を上げれば、PIIGS債・住宅証券・東欧
債は、ますます下落し、損の穴が巨大になるからです。

こうした構造があるため、ますますドル安、ユーロ安が続く構造が
、あります。方向としては、$1=60円台、ユーロ=80円台です。
ただし短期での、通貨投機があるため動きは波動し、ランダム・ウ
ォークの、ジグザグな為替相場のグラフになる。

(注)日本の株安は、売買額の60%~70%を占める外人の売りが原
因です。米国と欧州の金融機関とファンドに、損失が増え、リスク
・テーク(価格変動が大きな債券を保有すること)ができなくなっ
ているからです。

日本株の売却代金で、外人が買ったのが、円の短期国債(満期1年
内:金利0.15%)です。金利はゼロですが、円高による利益が見込
めます。このため、円国債の長期金利も、1%を割る水準(0.99%
)です。国債も買われば上がります。買う価格が額面より高いから
、利回りは下がる。

ユーロ、米国、そして日本で、ユーロとドルの同時危機への認識が
、甘いように感じます。特に、日本です。大震災の被害と原発危機
があるため、「大きな危機に、慣れてしまった」のでしょうか。本
稿を書く目的でもあるのです。

今後、ユーロがどう向かうか。本稿のテーマとします。

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<555号:ついに、ユーロが非常事態を宣言した>
         2011年9月14日号

【目次】

1.欧州中銀は、いくらでも国債を買ってマネーを刷ると宣言した(
2011
年9月初旬)
2.市場の実勢なら、経済恐慌だった
3.これから、中央銀行(欧州はECB)が、際限なくマネーを刷れば
ど
うなるか?
4.PIIGSのユーロ離脱が方策だが、それが取れない。
5.ユーロの解体をせず、ECBが「いくらでもユーロ債を買う」なら
ど
うなるか?
6.結論             

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■1.欧州中銀は、いくらでも国債を買ってマネーを刷ると宣言した
(2011年9月初旬)

いや、マネーを刷るとは言っていません。しかし、国債の買い切り
は、マネーの増刷ですから、同じことです。

伏線は、11年7月、ユーロ19行のストレス・テスト(資産査定)に
あたった関係者が、新聞(FT紙)に漏らしています。

「主要19銀行の、住宅証券での、時価評価での損失は言えない。言
えば大変なことになるから。」です。当方の推計では、400兆円で
す。

▼欧州銀行の自己資本は、驚くくらい少ない

ドイツ・フランス・英国の、全銀行の自己資本は、100兆円です。
どうやって計算するか、簡単です。BIS規制(バーゼル合意)での
自己資本必要額は、リスク資産の8%が最低基準です。ユーロと英
銀の総資産・総負債は、1500兆円くらいです。したがって金融機関
の合計自己資本は、1500×8%=120兆円です。

自己資本が健全にのこっているとしても、100兆円です。欧州の銀
行の自己資本は、最大でも100兆円と言えます。(注)実際には、
ドイツの主要銀行の自己資本比率は、8%よりはるかに低い。2008
年では3%付近でした。

他方、住宅証券だけで、推計400兆円の含み損です。これに株価下
落(約20%)が加わります。株の損が、最低でも200兆円です。以
上で、損の合計が600兆円です。(注)PIIGS問題だけが注目されて
いますが、その損よりおおきなものが、住宅証券の下落損です。

証券と株の50%を銀行がもち、50%を個人や機関投資家(年金や保
険の基金)としたとき、銀行部門の損は、600兆円×50%=300兆円
で、自己資本の3倍の不良債権(含み損)です。これは、90年代の
日本の、銀行の公称不良債権100兆円の3倍です。

▼バランス・シートには見えない

3か月で決算する銀行のバランス・シートに、この300兆円の損が現
れないのは、政府が、2008年9月以降の3年、銀行と証券会社の時価
会計を、緊急に停止しているままだからです。このため、表面上、
平静です。(注)米国の銀行・証券も、その含み損で、欧州とほぼ
同じです。

以上が、欧州中銀と当局が、「いくらでもユーロ建て国債を買い、
マネーを刷る。」と宣言した理由です(2011年9月初旬)。

ユーロは、米ドルより、一足先に(6か月先行か?)、事実上の、
非常事態宣言をしたのです。金融の非常事態は、「上限なく、マネ
ーを刷ること」です。

■2.市場の実勢なら、経済恐慌だった

なぜ、ECBが、これを言ったのか? 理由は、世界の債券市場と為
替市場の実勢(ユーロ売り)に任せておけば、
(1)ユーロ債が投げ売られ、リーマン・ショック(08年9.15)以
上の規模の信用恐慌が起こり、
(2)信用恐慌の結果引き起こされる実体経済の恐慌が、確定して
いたからです。

信用(通貨の価値)が減れば、商品購買が減って、恐慌に向かいま
す。

恐慌は、
・失業が20%を超え、
・通貨は暴落し、
・世帯の所得は減って、
・GDP(商品生産)が10~15%は収縮することです。

回復には、最短でも3年はかかる。いや5年か。ユーロが暴落するこ
とで、ユーロが生産する商品の価格が下落調整され、輸出が回復し
て、もとに戻る期間です。

▼リーマン・ショックの日本への影響は、輸出の半減だった

その間、日本からの輸出は減って、日本には、リーマン・ショック
のあとより大きな、対米輸出・対欧輸出の急減が起こります。

リーマン・ショックの前(2007年12月)、
・わが国の輸出は93兆円(年間)と好調で、
・外需の大きさが、日本経済の唯一の成長部分でした。

この輸出が、米国の世帯の信用縮小(増加借金ができないこと)を
原因に、09年3月期には、51兆円へと42兆円(45%)も減りました
。

2年間で減った輸出の42兆円が、そのまま名目GDPの減少(517兆円
→461兆円)、つまり46兆円(9%)の減少になった。これは、285
万の企業+5000万の世帯の所得が、2年間で減った額と一致します。


国民1人当たりで、36万円(1カ月3万円)の所得減です。
今の不況は、これが原因です。
1カ月に1人当たりで3万円も買い物を減らしたからです(2年間)。


2011年9月のユーロの非常事態は、リーマン・ショックの2倍の規模
にもなった信用収縮の可能性とみています。

なお、リーマン・ショックの直後、米欧の全部の金融機関が蒙った
損害は、$5兆(400兆円:2010年春のIMF推計)とされました。そ
の後、米欧が注入した公的資金は、ちょうどその$5兆です。

ただしこの$5兆は、公的な貸付金です。
金融機関にとっては、$5兆の負債の増加です。
国が与えた金融機関への利益ではない。
負債は、いずれ返済せねばならない。

●米・欧の住宅価格が、再び2006年までのような、値上がりに転じ
ない限り、不良債権は減りません。この事実の認識は重要です。な
お住宅価格は、次の30代、40代世帯で、買う人が増えないと上がり
ません。

08年9月以降も、米・欧の住宅価格は、下がっています。このため
不良債権は増えていたのです。新興国の株価の上昇で、金融機関は
、2年間の息をしていたにすぎない。

不意に襲った2011年8月の第二週は、世界の株価総時価で640兆円を
失う暴落でした。それ以前の株価時価総額は、$56兆5900億(4530
兆円)でした。

640兆円×70%(米欧シェア)×50%(金融機関+ヘッジ・ファン
ド)=224兆円が、11年8月に、新たに加わった米欧の金融機関の損
失でしょう。

■3.これから、中央銀行(欧州はECB)が、際限なくマネーを刷れ
ばどうなるか?

なぜ、ECBが、ユーロ債をいくらでも買うと言ったのか。
世界の債券市場で、ユーロ債の売りの勢いが強いからです。
市場の実勢に委ねれば、どうなるか。

・ユーロ暴落(たぶん、105円→80円)、
・ユーロ金利の高騰(2%→5%)、
・ユーロ債の下落(15%以上)、
・株価の下落(30%)が同時に起こるでしょう。

中央銀行が国債を買って、政府と金融機関に、マネーを供給するの
が「マネタイゼーション(マネー化)」です。原義は、国債を紙幣
にすることです。

普通の時期は、中央銀行による債券市場での国債の購入は「現先(
げんさき)」という方法です。買い現先なら、買った国債や証券を
、一定期間が来ると売り戻すことを条件として買うものです。「一
時保有」になる。

ある時期、市場での国債や公社債の買いが少ないため、金利が上が
ると判断したとき、中央銀行は「買い現先」を発動し、金利の上昇
を抑えます。これが、普通のときの、中央銀行の国債買いです。

米国FRBが08年9月からの3年間行ってきたこと、そして欧州ECBが行
っているのは、現先で売り戻す方法ではない。「増加買い」の一方
向です。

「買い切り」とは、3年ではまだ言えませんが、予測される将来(
今後3年)、FRBとECBが買っている国債と住宅証券($5兆:440兆
円)を売るとは考えにくい。

本当は売って金利を上げ、マネー供給量を縮小させねばならないの
です。

ECBが、今回のように「必要なら、いくらでもユーロ債を買う」と
いう非常事態宣言をした理由は、欧州の銀行の、資金繰りがひっ迫
し、緊急に資金をいれないと、決済不能(倒産)になる状態がある
と判断できます。欧州の銀行は、いま、デフォルト(債務不履行)
寸前の状態です。

●欧州当局は「政治的な演技で」、PIIGS債の金利高騰が理由と言
っています。

確かに、ギリシア国債では、1年以内の短期債の金利は100%(10%
の誤記ではありません)、2年債の金利が70%、10年債が25%です
。短期金利100%とは、サラ金の4倍以上で、言うまでもなく短期金
利100%は国債が発行できないということです。

つまりギリシア国債は、すでにデフォルトしています。ところが、
その損は、ギリシアが受けるのではない。PIIGS国債を買っている
フランス、ドイツの金融機関と、EU(政府部門)が受けます。

PIIGS債の金利が、売られて上がれば、PIIGS債をもつフランスとド
イツの銀行の損失が増える。株価が下がって、社債は発行できない
。過去の社債の満期(償還期)は次々に来ます。借り換えのための
社債が発行できないと、銀行は数カ月内で、資金不足に陥ります。
普通、銀行株では30%も下がると、社債の発行が不能になります。
買い手がいなくなるからです。そして、銀行間で借りるコールの金
利も上がる。担保も差し出さねばならない。

以上が、ECBが「ユーロ債をいくらでも買う」と宣言した理由です
。EU当局が、「PIIGS債に当てこすって」言うのは、本当はフラン
スとドイツの全銀行がつぶれると、絶対に言えないからです。政治
家に求められる演技です。

言えばどうなるか。その日に、預金の取り付けが起こって、現金が
引き出されます。企業間の送金も、できなくなる。

ユーロの紙幣印刷の輪転機はフル回転し、銀行にトラックで100ユ
ーロや500ユーロ札を運ぶ。これを、国民に見せるように行います
。

銀行には現金はいくらでもあると、安心させるためです。以上のこ
とまで、想定されます。取り付けが起こると、銀行システムは崩壊
し、その結果、経済恐慌が起こります。預金や送金のマネーがなく
なって、経済取引ができなくなります。

クレジットカードの発行会社(銀行に相当する)が倒産すれば、カ
ードが使えなくなって、手元の現金でしか買い物ができないのと同
じです。

日本の銀行が、全部、一斉につぶれる状態を想像して下さい。いま
、ドイツ・フランスの大手銀行がその状態にあるとみていいでしょ
う。

ペイオフは停止されていて、銀行預金は、政府が全額を保証してい
ます。政府が保証しないと、危険を感じる人々、とくに1億円以上
の多額預金者が取り崩すからです。預金は、金額の格差が大きい。


預金封鎖は、行えません。行った途端に、世界中から取りつけが起
こるからです。ユーロは暴落し、ユーロ経済は破滅します。

日本では、円の価値が上がる「円高」が大変と言っています。自国
の通貨が上がるのは輸出企業にとっては円での売上減になるため、
大変です。しかし本当の国難は、「通貨の高騰」ではない。通貨の
暴落です。輸入ができず、輸入資源の価格が数倍に上がることから
のインフレです。

■4.PIIGSのユーロ離脱が方策だが、それが取れない。

PIIGS諸国は、ドイツ・フランス・英国から借りている債務国です
。PIIGSにとっては、ユーロ離脱という方法がある。そして満期が
来た国債について、満期30年の30年債と交換する。国債の持ち手も
、応じざるを得ない。PIIGSにお金がないからです。

これが、事実上のデフォルト(債務不履行)です。
損をするのは、ドイツ・フランス・英国になる。

イタリアがリラ、スペインがペセタ、ギリシアはドラクマ、ポルト
ガルはエスクード、アイルランドはアイルランド・ポンドに戻る。
そのとき、PIIGSのユーロ建て債を、ユーロのままにしておく。そ
して、それを、返済が可能と思われる、ユーロ建て30年債と交換す
る。

新リラ、ペセタ、ドラクマ、エスクード、アイルランド・ポンドは
、個別に、新ユーロとの交換レートをきめる。1新リラは、0.5ユー
ロくらいになるでしょうか。イタリアの物価と賃金は、ユーロから
みて、今の50%に下がります。(注)他の4か国も同じです。

日本からも、15万円のイタリア旅行が、国内旅行並みの7万円付近
に下がる。人気のイタリア観光は「物価が安い。本場のスパゲティ
が400円。生ハム500円」とブームになるでしょう。

イタリア車(スーパーカーのランボルギーニ、普通車のアルファ・
ロメオ)も、50%の価格になります。輸出と、海外からの並行輸入
は増え、経常収支の黒字国に転じ、ユーロ30年債の返済ができるよ
うに変わります。

ペセタに戻ったスペインも、日本人が退職後に、20万円/月で暮ら
せる国に戻るでしょう。温かい南欧は、北ヨーロッパからみて、退
職後の生活の適地です。

こうした方法がある。資金をもつドイツが決断すれば、PIIGSの切
り離しはできます。もともと、ユーロへの加盟条件は、政府の財政
赤字は、GDPの3%以内でした。ドイツは-1.7%です。フランス-5.8
%、イタリア-3.7%、スペイン‐6.5%です。加盟維持の条件を満
たしていません。この赤字がPIIGSに累積しています。

PIIGSにとっては高い通貨のユーロ圏である限り、PIIGS国債が、ギ
リシア債を追うデフォルトは避けることができません。経常収支(
国の対外資本)が、絶対に、黒字にはならないからです。

以上の、決定的な方策があるのに、なぜドイツは、ユーロの体制維
持に固執しているのか?ドイツ銀行の不良債権が、想定以上に多い
ことが理由か。PIIG債を30年債に切り替える過程での暴落に耐えら
れないのか。

フランスには、その気配を感じます。
ドイツもフランスと同じかもしれません。

(注)公式には、短期国債の金利が100%のギリシア債も、EUが貸
し付けするからデフォルトではないとされています。まぎれもない
デフォルトなのですが・・・年率100%の金利をつけねば、貸せな
いということが、短期金利100%です。

■5.ユーロの解体をせず、ECBが「いくらでもユーロ債を買う」な
らどうなるか?

【重要な変化】2008年9月の世界金融危機のあと、金融市場の認識
が変わっています。「中央銀行が、国債の買い切りを行い始めたと
きは、その通貨と国債は売り」ということです。

世界の為替市場では、
・1日に500兆円の通貨の売買があって、
・政府(G20の先進20か国)の政策的な通貨介入は、「バケツの中
の1適」です。

なぜ500兆円にもなったのか。
記憶では、2000年当時の100兆円の5倍です。

【1日500兆円の、通貨の売買】
1日の通貨現物の交換は、世界の貿易額(1日で約3兆円)くらいと
わずかです。FX(通貨先物)にみられるような、先物の売買(これ
もデリバティブ)だからです。

個人のFXも、25倍のレバレッジがかかった信用売買で、証拠金(元
金)の25倍に膨らんだ売買ができます。日本人のミセス・ワタナベ
だけでも、1日平均で5兆円の売買です。1日1~1.3兆円の、薄商い
の、日本株式の売額の5倍です。

日本政府は、高騰した円を下げる目的で、11年9月に「4.5兆円のド
ル買い・円売り」を行いました。

1日に500兆円の通貨の売買額に対し微量です。1カ月の短期では効
果はないとは言えないものの、待ち構えるディーラーたちの反対売
買で、すぐ無効になります。(注)円とドル交換だけの売買でも、
1日の世界市場で50兆円。東京市場で26兆円です。

ヘッジ・ファンドなら、100倍のレバレッジをかけることができる
でしょう。100億円の元金で1兆円のユーロ、円、ドルの先物の売買
ができます。元金1000億なら10兆円です。400倍もかかる短期取引
もあります。

売買量を増やすのにすごいのが、1ミリ秒単位での、ロボットによ
る回転売買です。1秒で1000回も売買します。1回で1億円の売買が
、1秒で1000億円相当になります。

ロボット・トレーディングは、いま、先物市場の全体売買の50%~
70%を占めます。当然でしょう。ロボット・トレーディングは、全
部が、現物証券のない先物の売買です。売ると同時に買う回転売買
です。

通貨先物で、たとえば、「11年12月物のドルを100万円買う」。今1
万2944ドルになります。レートで言えば、100万円÷1万2944ドル=
77.3円です。12月の限月(げんげつ:期限日)までに、1ドルが(
仮に)80円に上がったとき、ドル売り・円買いの反対売買ができま
す。100万円が、80÷77.3=103.4万円になって、3.4万円が利益で
す。

・ドルの先物買いは、ドルが上がるとき、利益が出ます。
・ドルの先物売りは、ドルが下がるとき、利益が出ます。

100万円分の売買が、個人でも4万円の証拠金できます。差金決済だ
からです。

同じように、ユーロ債(フランス債・ドイツ債)やPIIGS債をもっ
ていなくても、ユーロ債先物の売り、あるい買いは、誰でもできま
す。

ブラック・ショールズ方程式で計算した、2%くらいのオプション
料(プレミアム)を払い、権利行使価格で買う権利、あるいは権利
行使価格で売る権利を買うこともできます。これらは、30~50倍く
らいのレバレッジがかかります。

こうした先物売買によって、為替の売買が、1日500兆円に膨らんで
いるのです。先物は、現物から派生した金融商品ですからデリバテ
ィブです。

なお日経225やダウ、ナスダック、S&P500、ユーロ・ファースト、F
TSE100の先物も、全部、デリバティブです。

●ECBが「いくらでもユーロ債を買う」ということの意味は、債券
市場で売りの勢いが強く、ユーロ債の買いが不足していることです
。つまり、ユーロ債は値下がりの可能性が高い。金利が上がる可能
性も高いということです。

そうすると先物市場では、
・ユーロ売り(=円買い、ドル買い、スイスフラン買い)、
・ユーロ債の先物売り、
・ユーロ債のオプションでの売りが出ます。

これらの、市場での反対売買が、ECBによるユーロ債の買いを、無
効にしてしまう。

日本の財務省が円高阻止のため、4.5兆円の「ドル買い・円売り」
をしたとき、為替市場では、待ち構えたように、逆の「円買い・ド
ル売り」が増え、政策が無効化されたのと同じです。

今の金融市場では、「中央銀行が、国債の買い切りを行い始めたと
きは、その通貨は売り」と判断され、政策を無効化する動きが勝つ
ことが多い。

■6.ユーロへの結論             

▼以上の結果、どうなるか?です。

「ECBが、ユーロ国債をいくらでも買うと言ったこと」を材料に、
・市場ではユーロの、先物売り、
・ユーロ債の、先物売り、
・ユーロ債の、オプションでの売りが出る。

こうした、世界の市場の動きが、ECBによるユーロ債の買いを、い
ずれ、無効にしてしまうでしょう。

各国政府は、先物売買、オプション取引、金利をきめているCDS(
回収保険:Credit Default Swap)などの巨額デリバティブを認識
したうえで、金融政策を立案せねばならない。しかし政府には、デ
リバティブへの認識が、徹底して欠落しています。

EU当局はユーロ国債の「空売り」の禁止も発動していますが、これ
も、政策の狙い、つまりユーロ債の価格を守ることに対して逆効果
です。

空売りを禁止しても、空売りと同じく、ユーロ債を下げる効果をも
つ「国債先物の売り」と、「権利行使価格での売りのオプション」
は、禁止できないからです。禁止すれば、金融市場の閉鎖と等しい
。

金融市場を閉鎖すれば、債券の流通市場(売買の市場)が消えます
から、売買ができない銀行は、資金がなくなって、100%確実に破
産します。

次は、ドルを述べねばなりません。

【後記】
成功した8センチスピーカーに続き、もっていた20センチスピーカ
ーユニット(FOSTEX FA220X)で、挑戦中です。鉛のインゴットを
25KGアマゾンで買いました。なんというか・・・重い。宅急便の人
が、「重いですよ」と言いながら、運んでくれました。

特殊な金属接着剤(MG-8300)で、スピーカーの背面の磁石に固定
する。工作は、これからです。約1カ月をかけます。図面を書き、
寸法が正確で、丁寧な作業が必要です。時々、5Kgとこれもまた重
いスピーカーを抱き、細部の構造をつらつら眺め、手で撫でて感触
を確かめて、工作の順序と最終型へ向かう構想(ビジョン)を固め
る。

水もれしていたメイン・コンピュータ、デルXPS730Xは、明日、修
理があがってくるという。仕事場の、「モノの移動」が激しい。明
日は東京です。

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