ユーロ、ドル、円の同時危機はどう向かうか
This is my site Written by admin on 2011年9月7日 – 09:00
おはようございます。台風一過といいます。素晴らしい晴天。豪雨
、河の氾濫、土砂崩れでで、また、おおきな被害がでました。大丈
夫だったでしょうか。国連のデータで調べると、21世紀の11年、世
界の大きな自然災害は90年代の2倍。29万人が亡くなられています
。先週のNYはハリケーンでした。なぜ自然災害が増えたのか、原因
は不明です。予感では、これからも多い・・・。原発問題では、政
府の偽装発表が、次々に明らかになっています。

朝起き、電源をいれても、突然動かない。一瞬、雨漏りかと思った
のです。天井にその跡はない。2年使っている重く大型のパソコンD
ELL XPS 730が、水漏れを起こし、壊れていました。CPUが高熱を出
すので、水冷式ですが、失敗だったかもしれない。

かけつけた技術者は、同じ型の機械を2000回くらい修理しましたが
、この壊れ方は、ほかに見たことがありませんと言う。コンピュー
タの箱から、べとべとした冷却水が出るとは、信じられない。中を
見ると、水がはいっていたブラスチックの箱に、亀裂がはいってい
ます。温度で劣化したのか。

データを記録しているハードディスクは、上方にあるので、無事か
もしれません。直すのに、工場に送って10日かかるという。その間
、ノートブックで書かねばなりません。不便ですが、出張のホテル
と同じです。不満は、言いますまい。

カスタマー・サービスの女性は状況を聞き、びくびくしていた様子
。デルの水冷式を信用した、私の間違いです。実は、この機械は買
って到着したとき、出荷テストは済んでいるはずなのに、水冷ファ
ンが不調で動かなかった。デルは2台目です。

仕事と生活は、いま、微妙なものに支えられています。
本稿のテーマである、国家財政と金融もでしょうか。

パソコンがないと、連絡などもできない。ライフ・ラインです。い
ま使っているのは、このデルと、ソニーのノートブックで、同じモ
デルのもの2台です。

ハードが壊れにくい機械は、どのメーカーの型でしょうか。ご経験
があれば、教えてください。安心しているとき予告なく壊れ、始末
におえない。素晴らしいから期待する。忘れたころ、裏切られる。
システムですから、微細な一か所がダメでも、全体が動かない。シ
ステム式の機械が、生活と仕事の周りに増えています。1990年以前
の機械は、簡単でした。
              *

ユーロの国債と金融が、月を追って、深刻な様相をしめしています
。2008年以降の住宅ローンにかかった証券(RMBS)、および不動産
証券(RMBS)の下落を、3年も飛ばしてきて、時価評価ができてい
ない。

米国の例で言えばシニア債(AAA格)で50%、エクイティ債(BBB格
)ゼロに近い時価でしょう。

新聞は報じませんが、欧州の、都市部の高かった不動産価格も米国
とおなじように、50%やそれ以下に下がっています。南欧のPIIGS
では40%以下も多いでしょう。ローンのデフォルトや、繰り延べが
増えれば、当然に、その回収権を担保としたデリバティブ証券であ
るRMSBやMSBも、暴落しているからです。

欧州の住宅ローンは、米国と、ほぼ同じ$11兆(880兆円:推測)
あるはずです。銀行・金融機関がかかえる含み損は、少なくとも30
0兆円はあるはずで、これは、欧州の銀行を、完全に壊滅させる規
模の不良債券です。欧州の銀行の自己資本は、100兆円に満たない
からです。特にドイツの大手銀行は、自己資本比率が3%程度と極
めて少ない。

銀行のストレス・テスト(資産査定)にあたった担当官は、「不動
産証券を評価すれば、たいへんなことになる。だからできない。」
ともらしています。昔から欧州は、金融機関が米国より秘密主義な
ので、数値は推理によらねばならない。

ギリシアのように政府自身が、財政赤字と対外債務で嘘の報告をす
るくらいです。PIIGSのみならず、程度の差はあっても、欧州に共
通します。そのため、08年9月の世界金融危機のあと、突如、大変
な事態が明らかになり、大騒ぎになる。フランス、イタリアも危機
です。

【欧州も、最大問題は、住宅証券の下落】
新聞では、ユーロの金利の高騰、PIIGS国債の危機が言われます。
もちろんそれもある。しかし、不良債券でもっと大きなものは、欧
州の住宅関連証券です。それに、最近は報じられない東欧への融資
と国債投資の不良債権もあるのです。

住宅関連証券の価格回復は、再び住宅価格が上がらないと、絶対に
ない。いまは、信用の優良なひとにも、住宅ローンがおりない。米
国では、100人がローンを申し込んだとき、おりるのは、わずか15
人です。欧州も同じでしょう。

理由は2点:
(1)銀行が不良債権をかかえ、株価は暴落していて、ローンを出
せない。銀行株の暴落は、金融債の発行不能を示すのです。
(2)住宅価格が下がっているのでローンの担保にならない。

状況は、1年や2年では、解消しません。あと数年、あるいは5年は
かかる。もっと長期で、日本のように、不動産が底値付近でじりじ
り動くだけになるのに、10年はかかるかも知れません。その根柢の
理由も明確です。欧州は、日本とほぼ同じ人口の年齢構成です。特
に、敗戦国だったドイツとイタリアの年齢構成は、日本と瓜二つで
す。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8920.html
http://esa.un.org/unpd/wpp/index.htm

住宅価格は、8月末の552号で、日本を例にとり、その根拠をあげて
述べたように、あとの世代(40代、30代)が買い手です。この人口
が少ないと、住宅価格は、下がることはあっても、上がることはな
い。上がるのは、一部の大都市で、海外からの買いがあるところで
す。

米欧は、08年9月の金融危機のとき、「日本の、バブル崩壊の90年
代のような、長期低落の経済にはしない」と言い、早期に、政府・
中央銀行が金融機関にマネーをいれ、国債も買いました。しかし、
それでは埋めきれない。

今は焼け石に水です。11年8月の株価暴落で、せっかくの公的資金
も蒸発してしまったのです。

米欧が、緊急にいれた公的資金は、この3年の合計で$5兆(400兆
円)です。08年12月と比べた10年12月の、デリバティブの価値の下
落からみて、隠れた不良債権は、$15兆(1200兆円)はあります。


この中に、デリバティブである住宅関連証券(RMBS、MBS)の、時
価の下落も含まれます。RMSBやMSBの価格の下落は、BISが言うデリ
バティブのバリューの低下です。
http://www.bis.org/statistics/otcder/dt1920a.pdf

日本は、1990年からの資産(不動産、株価)のバブル崩壊による金
融機関の損失の確定(公称100兆円)までに、2001年からの小泉内
閣まで、11年を要しています。長期がかかる理由は、金融機関が損
失を飛ばしたり、隠したりするからです。

【金融機関の、損失公開は、数年以上が遅れるのが普通である】
金融機関が大きな損失を、あらゆる方法を使い、ギリギリまで隠す
理由は、預金の取りつけを、おそれるからです。取りつけがあれば
、一夜でつぶれます。米欧の金融機関も、かつての日本のように、
損失額を確定しない限り、公的支援もできない。

米・欧が、金融機関の政府管理の面で、日本より先を行っていると
はとても思えません。財務省が支配し、日銀も加わって頻繁に調査
する日本の金融機関のほうが、管理では進んでいます。いい悪いは
別にして、金融機関の公的調査は、日本では実に多い。米欧ではこ
の習慣はなく、自主的な報告です。問題があればSECが調査する。

今、米・欧は、金融危機のあと3年です。その損失は、住宅証券と
株価下落、及びPIIGS債の下落で、日々増えているので、総損失の
確定に至るはるか前の状況です。

あと3年は、優にかかるでしょう。
歴史で調べても、大きな金融危機の回復は、数年以上に長引きます
。

●重要なことを言えば、「金融機関の損失が公表されるのは、政府
の対策が決まった後である」ということです。

政府が支援対策の金額を決めないで、損失のみを公開すれば、人々
が預金を失うことの恐怖から、定期預金の崩しと、普通預金のとり
つけになるからです。このため、金融問題は、いつも、分からない
状態におくのです。

そのはるか前に、08年9月、11年8月のように、株価暴落があること
が想定できます。さすがに、株価は大きな損失を嗅ぎ付けます。

早ければ、8月の三カ月後、11年11月でしょう。三カ月になる理由
は、先物売買の限月で、ヘッジ・ファンドが設定するのは三カ月後
が多く、四半期決算の配当期にも符合するからです。

【現在進行形だから、損失は公表できない】
米欧の金融機関の不良債券問題は、3年後のいまも、現在進行形で
す。

東電の、原発事故での、公的発表での情報隠しを見て、大手企業の
体質は、すでにお分かりでしょう。メルトダウンの事実が現れるの
は、国土と命の一刻を争う危険でも、すいぶんあとになってからで
した。理由は、国民のパニックを恐れたからと、保安院と細野原発
担当大臣は言っています。

広く預金を集めるために公共性ももつ金融機関も、東電と変わりま
せん。新聞とマスコミも同じです。理由を繰り返せば、「とりつけ
(預かり資産を失うパニック)」を恐れるからです。このため、政
府も、損失隠しに加担し、「資産の時価評価停止」を、もう3年間
も発動し続けています。(注)ずっと前に書いた東電OLと原発問題
は関係があるというご意見をいただきましたが、それはないと思え
ます。

誰でも、BISのデリバティブの資料から計算すればわかることです
が、$15兆が米欧の、デリバティブの価値の下落による損失と言っ
ているのは、たぶん世界で当方のみです。いずれ(3年後か?)、
皆、言うようになるでしょう。

【日米欧の、金融機関の自己資本の3.5倍】
$15兆(1200兆円)の、世界の、金融機関の総損失の意味が、分か
りにくいと思えます。米国と欧州の金融機関の合計自己資本は200
兆円程度です。日本は100兆円くらいです。

日米欧の、金融機関の自己資本は300兆円。含み損失が、この3.7倍
です。3.7回分も、自己資本を失ったメルトダウンと言えば、お分
かりでしょうか。銀行は、総資産の8%の自己資本がないと国際業
務ができません。「言えば、預金とりつけがおこる」、だから、政
府、金融機関、マスコミが言えない・・・(注)日本ではデリバテ
ィブは、米欧よりはるに少ない。

すごいことです。これは、1929年の世界大恐慌並みの不良債券です
。実体経済(GDP)が大恐慌になっていない理由は、FRBとECBによ
る公的資金の投入があったからです。

しかし、もっと多額に、おそらく$10兆(800兆円)は必要でしょ
う。果たして、中央銀行が、こんな巨額を出せるのか。無理やり国
債を買って、出せばどうなるか? QE3で、足りるわけもない。

FRBのベン・バーナンキ議長が、2013年まで、金利ゼロを続けると
い言ったこと(11年8月)の本当の意味は、FRBは、今後、いくらで
もドル札を刷るということです。

中央銀行は、表現を工夫し、普通の人には、分からないように言う
行政的な義務があります。2011年秋から、恐慌学者だったヘリコプ
ター・ベンの、本領が発揮されます。

前FRB議長のグリーンスパンは、(隠れた)金本位論者でした。本
メールマガジンの2009年12月号の、<091202 緊急新論:ゴールド
と紙幣そして経済(全3号)>の特集で、書いたことがあります。
その後、金価格は、予測したような動きです。

他方、バーナンキ氏は、ペーパー・マネー有効論者です。本稿は、
<ドル、ユーロ、円の同時危機はどう向かうか>とします。

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<554号:ユーロ、ドル、円の同時危機はどう向かうか>
        2011年9月7日号

目次

【プロローグ】

1.ドルの危機
2.米国は、今後も海外からの資金流入が必要
3.ユーロの危機
4.無理の結果が、PIIGSバブルの発生と崩壊
5.ユーロは解体に向かわざるを得ない
6.円の危機
7.国債金利が低すぎることからの、将来危機
8.金融商品の、価格変動の本質
9.事実ではなく、事実への認識が金融
10.金融商品の価格はいつも、高すぎるか安すぎる、このためひと
びとは売買する
11.債権王も、共同幻想を無視したことからの、巨大な失敗【後記
】

【後記:書籍:金:スピーカー】

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【プロローグ】
米・欧の不動産の、ほぼ50%の価格に向かう下落を起点とした金融
危機は、金融機関に、推計$15兆(1200兆円)の不良債券を生んで
います。

米・欧の政府と中央銀行は、3年間で$5兆(当時は500兆円)くら
いの公的対策費を投入し、それが政府の財政赤字の急増と、中央銀
行の資産・負債が2倍から3倍に膨らむ結果を招いています。

●しかし株価(総時価で$56兆5900億)の下落が加わるため、対策
費の増加は、とてもそれでは終わらない。2011年8月の2日間だけで
も世界の総時価は14%(640兆円)を失い、3年間の、米欧の政府・
中央銀行の金融対策費を無効にしたからです。

【肝心なこと:認識が遅れていること】公的資金の$5兆が、わず
か2日の株価下落で消え、その後も株価は下がっているため、今、0
8年9月に続く、新たな世界金融危機になっています。

問題は、これを、FRB・ECB・日銀が、埋めるマネーを印刷できるか
どうかです。印刷はできます。しかし、通貨価値が維持されないと
、印刷したことにならない。

【重要】現下の、金融・経済の最大問題がここです。実は・・・近
い将来の、欧・米・日の、国家の財政破産は、11年8月の株価暴落
による、600兆円くらいの総損失で、確定してしまったのです。

ドル、ユーロ、円の危機の 内容は、財政赤字の増加額では共通要
素が多いのですが、対外債務・対外債権では、大きく異なっていま
す。これを、本稿で見極めます。目的は、各国通貨のこれからを見
極め、金融資産と対外投資で、無用な損をしないためです。

■1.ドルの危機

▼ほんとうの政府債務はGDPの約200%
 
【住宅証券$11兆】
国債残は$14.3兆(1144兆円)であり、GDPの100%とみなされていま
す。しかし政府債務には、住宅ローン証券($11兆:880兆円)も
政府が保証する債務として、含めねばならない。住宅金融会社のフ
ァニーメイ、フレディマックは、08年8月に破産し、それ以降は、
政府の資本になったからです。わが国で言えば独立行政法人です。


この住宅証券を含めば、連邦政府の負債は、$24兆(1920兆円)に
膨らみGDPの170%です。ファニーメイ、フレディマックの資金不足
は、米国政府が負担し、MBS(住宅ローンの回収権を担保にした証
券)はFRBが$1兆の額面で買っているからです。

政府が仮に、保証をはずせば、米国の住宅ローン関連証券($11兆
)は額面の50~40%に向かい暴落します。このため、政府保証をは
ずせない。$3兆の商業用不動産ローンの証券も、事情はこれとお
なじです。(注)欧州も、不動産証券では、その金額と下落が米国
とおなじです。

赤字と破産状態が多い、州政府の負債は、含んでいません。これも
含めばGDPの200%になり、米政府の負債も日本と並びます。

▼ただし、対外純負債は、15%のドル安で、すでに消えている

米国のおおきな特徴は、まだドルが、世界の60%のひとから基軸通
貨と見なされているため、対外負債が$21兆(1680兆円)と大きい
ことです。

【海外が40%をもつ】
米国が、毎月発行している米国債と不動産証券(MBS)の約40%は
、海外金融機関や年金基金による引き受けでした。他方、対外債権
は$18兆(1440兆円)であり、対外純債務は$2.7兆(216兆円)です
(2011年 米国経済白書)。米国は日本と違い、対外純負債があるの
で問題だとされますが、実は、それは違います。

【米国の対外負債は、ドル建て】
 戦後世界が、ドルを基軸通貨と認めてきたことから、米国にとっ
ての対外負債はドル建てです。他方、対外資産は、現地通貨建て(
円、元、ユーロ、南米・アジア通貨)です。ドルの実効レートが15
%下がると、対外資産($18兆)は、15%切り上がって$21兆に増
えたかのようになります。対外負債は、ドル建てですから$21兆の
ままです。

米国はドルの、15%の実効レートの低下で、対外資産・対外負債を
バランスさせ、$2.7兆の対外純債務は、魔法のように消えます。
これに対応する損をするのは、対外資産を563兆円ももつ日本と、
外貨準備を$3.2兆(256兆円)もつ中国政府です。

この米国の対外債務($21兆)が集計されたのは、2009年末です。
当時の$1は90円付近でした。いま、76円です。米ドルは、円に対
して14円÷90円、つまり15.6%も切り下がっています。

【世界の認識は、いつも、遅れる】
●世界ではまだ認識されていないことですが、米国の対外純債務$
2.7兆(216兆円)は、すでに、消えています。つまり米国は、いま
はもう対外純債務国ではない。これが、世界が米国に与えた基軸通
貨特権です。

■2.米国は、今後も海外からの資金流入が必要
 
米国の対外純債務の問題は、すでに、08年9月のあとのドル安で消
えています。

このため米ドルの危機は、住宅ローンと国債を含む$24兆(1920兆
円)の借換と、新たな国債発行(年1.6兆:128兆円)を、どうファ
イナンスできるかという問題に集約されます。1年1.6兆の連邦政府
の財政赤字は、GDP比で11%と大きい。GDP比の財政赤字では、日本
とほぼおなじです。

▼毎年の財政赤字は$1.6兆(128兆円)

 国内で$1.6兆の国債をファイナンスするのは、米国の貯蓄増の少
なさからして無理です。このため、やはり$1.6×40%、つまり1年
に$6400億は、海外からの買いに依存します。

仮に、日本・中国・産油国が「ドル安」のおそれから$6400億の米
国債を増加買いしないと、FRBが2011年6月まで行ったQE2($6000
億の国債の買い切り)を、QE3として実行せねばならない。

【軍事費 $6610億(53兆円)】
 米国財政の問題は、まず軍事費$6610億(53兆円)の大きさです
。日本の自衛隊費の10倍です。米国では軍需産業(航空機、兵器、
軍人)が$7000億と大きく、黒字をかせぐ輸出産業でもあります。
自動車産業並みです。軍事費を減らす計画はいつもありますが、実
行が困難です。政府が軍事費を減らすと、軍需産業に従事している
1000万人に失業が溢れるためです。それとロビー活動がすごい。

【医療費 $2兆(160兆円)】
2番目は、$2兆(160兆円)と日本の約3倍の医療費です。これに対
しても、医療費削減のプログラムは作っても、実行されていません
。公的保険にもはいっていないひとが4700万人(人口の16%)もい
て、それらのひとたちに医療を供給すれば、総額の医療費が膨らみ
ます。

【60歳以降は、医療費が3倍に増える】
加えて、戦後ベビーブーマーが60歳を超えると、1人当たりの医療
費は50歳台までの3倍になり、人口構造問題から増え続けます。政
治と法を動かす医薬・医療のロビー活動も、軍需産業に劣りません
。

 GDPの10%もの経常収支と財政赤字国の通貨が、基軸通貨であり続
け、対外収支の黒字国(中国、産油国、日本)がドル安で損をし続
けるファイナンスの、不均衡の構造は、維持できません。最大でも
、期間は数年でしょう。

▼今後、数年内に素通貨バスケットへ

 その後は、世界からの要請で、本メールマガジンで前述した通貨
バスケットが、ほぼかならず志向されることになるでしょう。

実際に貿易や対外投資を行ってみれば、1ヶ月に数%も下がり、ま
た数%も上がるドルでは、利益の目処がまるでたたず、使えないの
です。先物予約をして利益もありますが、その利益と同じ確率の損
もあります。中国を含む、2000年代に、新興国のGDPと貿易比重が3
0%に高まったので、ドル基軸の維持は無理になっています。

 世界の合意から、IMFのSDR(特別引出権)のような通貨バスケッ
トになると、米ドルもユーロ、円、元のような、SDRの従属通貨に
なります。

このため米ドルは、長期傾向でいえば、$1=60円に向かうとみま
す。それが、米国の貿易が均衡するレートだからです。なお、金本
位への回帰はないとみています。金も、通貨バスケットの中の、一
要素になることはあるでしょう。

■3.ユーロの危機

ユーロ17ヵ国の合計GDPは、米国とほぼ同じ$14兆です。ユーロレ
ートの変化で、毎日大きく変わるので、金額をドルで正確にいうの
は困難ですが、ここでは$14兆とします。

▼最初からの、統一通貨の無理
 
ユーロ諸国は、国境が陸続きですから域内貿易が大きい。継続的に
下がるドルを使っていれば、損をする。ユーロ統一通貨は、フラン
スとドイツが貿易するときでも米ドルを使うことに嫌気がさしたこ
とがきっかけです。

ドルを使うことは、 日本のように、米国に貢献し続けるようなも
のだということからです。ただしこの通貨統一には当初から無理が
ありました。経済力、法、税制、財政、制度が違うままに、通貨だ
けを統一したからです。

2008年8月までユーロは、経済力が強いドイツによって、その通貨
価値が高く維持されていました。当時、1ユーロが160円でした。い
ま109円で32%安です。暴落と言えます。

通貨価値が高いということは、海外(米国、英国、日本、中国、産
油国)からのユーロ債の買いがあって、ユーロ内の金融機関にマネ
ーが流入することです。このため、金利も低かった。

■4.無理の結果が、PIIGSバブルの発生と崩壊

一方で、観光が最大産業である地中海に面した南欧(PIIGS)の不
動産価格は低く、経済力が低いPIIGS債の金利は高かった。

このため、資金が潤沢だったドイツ、フランスの銀行から、高い金
利収益をもとめたPIIGS債の買いが起こり、同時に、リゾートの不
動産投資が殺到しました。

【ユーロに属したことのつけ】
 ユーロ圏でないなら、リラ、ペセタ、ドラクマの通貨下落のリス
クがあります。このため、PIIGS債投資と不動産投資は抑制されま
す。統一通貨では、この為替リスクがない。他方、低い金利のドイ
ツと高い金利のPIIGS債には、利回りの差(スプレッド)がある。

 これが、PIIGS債が高く買われ、地中海や湖のそばの、太陽が燦々
と輝くリゾート不動産が、2倍から4倍に高騰する、南欧の資産バブ
ルを生みました。当時、PIIGSの財政が破産に向かうということは
、想像すらされていませんでした。

マドリッドに行ったとき(これも書きました)、郊外の100㎡の狭
い住宅が、1億円でした。4倍以上に、上がっていたのです。そのこ
ろスペインに旅行し、バルセロナで会った家人の知人に、不動産と
株は大きく下がるから、投資をひきあげたほうがいいと会食のとき
言いましたが、相手は不思議そうな顔でした、バブルの渦中では、
歪んだ価格が見えないのです。

1990年代の初期のスペインは、物価も住宅も安く、日本人が月20万
円の年金でも退職後の生活ができるとして移住するひともいたので
す。しかし2005年頃は、物価も住宅も高く様変わりしていました。
イタリアもおなじです、普通のスパゲティが2000円でした。2倍以
上高いと思えたのです。ユーロの実力は、80円程度でしょう。

 2009年末に露呈したのが、まずギリシアの財政偽装でした。ゴー
ルドマン・サックスが、デリバティブを使い、ギリシアの財政赤字
をオフ・バランスにしたため、隠れていたのです。飛ばさない限り
、満期には、ばれます。その後は、ご存知の通りです。

 2010年5月に、ギリシア債の金利が12%を超える国債の暴落が起こ
った。それは、ギリシアと類似の財政だったポルトガル、スペイン
、そしてイタリアに波及します。対外負債が多かったアイルランド
は、いうまでもない。それまでは、ユーロ内は同じ通貨圏なので、
PIIGS諸国の対外債務は無視されていました。域内の通貨下落リス
クがないからです。

【東欧問題もある】
 ドイツ、フランスの銀行は、PIIGSだけでなく、東欧に対しても約
$2兆の債権をもっています。ソ連崩壊(1989年)のあと、東欧投
資が急に増えていたからです。国家の債務危機は、その債券を金融
資産として買った金融機関の危機になります。

 つまり東欧の国債危機、南欧の国債危機は、そのまま、フランス
とドイツの大手金融機関の危機になって、現在に至っています。な
お、ドイツの大手銀行は、自己資本比率が3%程度と、脆弱な財務
構造でした(08年)。

■5.ユーロは解体に向かわざるを得ない

ユーロ諸国は、日本を追う高齢化です。このため、GDPの将来成長
率は1%~最大でも3%台と低い。発生している不良債権が、GDPに
対し年々小さくなることはない。途中でいろんな政策は出されても
、最終的に、ユーロは解体せざるをえないでしょう。

 ギリシア、スペイン、そしてイタリアの財政については、ほぼ毎
月、新しい悪化材料がでています。PIIGSにユーロ保証債を与える
ことも俎上にのぼってはいますが、実現しない。鍵になるドイツが
、資金不足のPIIGSにマネーを与え続けることを、国民の世論がゆ
るさないからです(これは確定的です)。

 PIIGSにとって高すぎるユーロのままなら、経常収支の黒字転化は
ない。もとの通貨に戻せば、いつの時代も人気があるイタリアやス
ペイン観光は、リラ安とペセタ安のために増え、観光収入が増え経
常収支も改善に向かいます。

対外債務が大きくなった国は、通貨を下げる方法で回復に向かうし
か方法ない。アジアと韓国の、対外債務の多さが原因だった通貨危
機のとき、証明されたことです。

【イタリア問題も加わった】
 ユーロでは、PIIGS問題に関し$4400億(35兆円)の公的支援金が
準備されています。一時の小康は得ても、足りるわけもない。イタ
リアの公的債務は$1兆6000億ユーロ(176兆円)と大きい。

イタリアに対しては5000億ユーロ~1兆ユーロの、保証が必要でし
ょう。ところが欧州、中央銀行(ECB)と域内17中銀の、合計バラ
ンスシートは、すでに1兆9000億(209兆円)です。

●重要:米国FRB(資産・負債:$2.8兆)に近くにまでふらんでい
て、与信の余力は残されていません。つまり、スペインやイタリア
に対し、必要な公的資金は出せないのです。出せば、ユーロは、一
時は小康を得ますが、たぶん6カ月後には暴落します。出さなくて
も、暴落します。

 PIIGS債の下落防止はできず、高利になった借換債の単独での発行
はできない。最長でも2年内に、ユーロは解体でしょう。ドイツの
メルケル首相も、ドイツ世論にしたがって、PIIGS支援に積極的で
はないからです。ドイツ国民が支援しない限り、ユーロは解体です
。80%の世論が、PIIGS支援金に反対しています。解体のほうが、
日本にとっても、いいのです。

■6.円の危機

 政府債務は950兆円と、よく言われるように名目GDP(469兆円)の
200%です。この点では、住宅証券と州政府を含むと米政府の債務
とおなじです。

【対外資産の大きな目減り】
 米国と異なるのは、日本は対外資産が563兆円で、対外債務は312
兆円であり、251兆円の純債権国であることです。ただしこれは、2
010年末のものであり、当時の1ドルは、85円付近でした。いまは76
円で、年初来10%のドル安です。

このためドル建ての対外資産563兆円は、56兆円減って507兆円の時
価でしょう。金融機関と政府がもつ外債の時価評価は、約1年は遅
れます。この56兆円は、日本の、全金融機関の自己資本(総計100
兆円)の56%です。つまり、日本の金融機関は、今度は、米国債の
、ドル安による下落で不良債券を抱えたのです。罪なことですが、
これが真実。

▼ドルに忠実であったため、ドル安・円高で消える対外純資産

 このため、対外純債権は、すでに195兆円に減っています。日本が
対外資産を利用するには、ドル債を売らねばならない。最大のドル
資産をもつ日本が売れば、米ドルそのものが下落します。このため
対外資産も「大きくは使えない資産」という矛盾をかかえています
。

 日本がドル債を売るとき、中国が買ってくれればいいのですが、
期待できない。逆に、中国が先に、ドルのまずは短期債を売る動き
をしています。中国では、政府が外貨準備でおおきな損をすると、
政府が国富を減らしたと国民から非難されるので、ドル債の価値に
敏感です。他方、日本では、ドル安は歓迎される。そのためドル債
でのたとえば100兆円の巨大損も、マスクされるのです。

貿易で稼ぐよりはるかにおおきな損なのに、です。一貫してドル買
いを主導してきた政府と財務省に、猛省を促します。

日本が、ドル基軸体制に忠実でありすぎたことの帰結です。仮に通
貨バスケットになったときは、ドルは下落します。日本の虎の子の
資産である対外純資産は簡単に消えます。対外資産の減少は、外債
をもつ金融機関と政府にとっての100兆円以上の巨大損になるでし
ょう。

 円の危機は、1年に40兆円~50兆円の新規債を、どうファイナンス
するかにかかっています。この点については、国債買いの原資であ
る日本のマネーストックが、どこで増加できるかが問題です。

世帯の金融資産の増加が、最大でも1年に10兆円程度と少なくなっ
てきたため、いまは企業への融資の回収金で、20兆円分くらいの国
債がファイナンスされています。(前号で詳述しています。)

■7.国債金利が低すぎることからの、将来危機

円の危機は、10年債の金利が1.02%(11年8月末)と低いことが発
火点になります。40~50兆円の新規債が、債券市場でファイナンス
困難になると、国債金利が上昇し(国債の信用リスクが高まって)
、既存の政府債務950兆円の、おおきな価値下落が起こります。

これが、国債の持ち手である金融機関の自己資本を消して、国債下
落を原因とする金融危機を招いてしまいます。

 短い期間なら、米国FRBのように国債買いの量的緩和(QE2等)を
行って、買い支えることはできます。しかしそれが、債券市場に買
う原資がないことが原因の買い切りであると認識されれば、国債価
格が下落し、金利が上がることを日銀では防止できなくなります。


このときは一転して、円安にむかうでしょう。金利のもっとも低い
円債に、円下落のリスクが高まって、内外から売られるからです。


▼増税は、税収の増加にならず、GDPを減らすのみ

 なお、政府がもとめている消費税等の増税を行えば、GDPを減らし
、所得税を減らしますから、財政の再建に、効果は少ない。

世帯所得、法人所得が増えている時代の増税は、税収を増やす効果
があります。しかしGDPが増えず、5000万の世帯所得が増えない時
期の増税は、消費税の増加分(たとえば5%)、買物額を減らすた
め、企業の所得税を減らしてしまうでしょう。

5%は、世帯当たりで1年35万円、1カ月3万円もの消費税の支出増加
です。景気がどうなるか、火を見るより明らかでしょう。

【近い歴史的な事実】
1995年3月31日に阪神・淡路大震災があり、東日本大震災の今年と
そっくりでした。その後、震災対策費の財源確保の目的で、1997年
の橋本内閣が、消費税を3%から5%に上げたとき、同時に社会保険
料と特別減税を行って合計9兆円が増税になりました。

そのとき以降、わが国は名目GDPが減って、増税と逆に所得税が大
きく落ち込み、日本の税収は1997年を上回っていません。

財務省はこれを指摘されるといやがりますが、まぎれもない事実で
す。震災後で世帯所得、法人所得が減っている時期の増税は、名目
GDPを減らすため税収額は増えず、逆に、政府の財政危機を深めま
す。これもまた確定的なことです。

▼通貨は相対的な価値

ドル、ユーロ、円の為替価値は、相対的なものです(かつての、金
のような基準がない)。円高と言っても、円の価値が上がっている
のではない。いまはドル安です。

国際コモディティ(資源、エネルギー、穀物、食品、ゴールド)は
、米ドルの実効レートが下がると、それ以上に上がります。円高に
なっても、輸入物価は上がって、1年に5兆円程度に減っている貿易
黒字は、輸入物価の高騰で消えてしまいます。

ドル、ユーロ、円のうち、どれが、いまより下落が早いかというこ
とになります。政治的な要因もからむので予測は難しいのですが、
問題の大きさからみると解体前のユーロ、円、ドルに思えます。

■8.金融商品の、価格変動の本質

▼ケインズの美人投票論

あらゆる金融商品の価格の原理は、短期で言えば、上がると思って
買われるものが上がり、下がると考えるひとが多いものは下がると
いうことです。自身も株と国債の売買をし、利益も損もだしていた
ケインズは、短期変動の本質を言い切っています。
 
 株や債券で利益を出すことは、多くのひとの票できめる美人投票
と同じある。この美人投票では、自分が美人と考えるひとに投票し
ても、勝てない。多くのひとが、誰を美人と思うかを予想して、仮
に自分が美人と思わなくても、そのひとに当票しなければならない
(要旨)。

 たとえば米ドルが下がるとします。そうすると買われるのは何か
。それがいまは金であり、円とスイス・フランでした。ドルは安く
なり、ユーロも危ない。相対的に安全なのは、金、円、スイス・。
フランと認識されたからです。

 ただしこれも、今後も、半年~1年以上の長期で、その傾向が続く
とは言えません。上がった後の価格を高値とみるひとが増えて利益
確定のための売りが増えると、かならず下がるからです。短期では
こうした価格の動きをします。

■9.事実ではなく、事実への認識が金融

金融商品の価格は、ファンダメンタルズ(金融・経済指標)の事実
データではなく、その事実を、ひとびとがどう認識するか、美人投
票のように美しさの要素として、何を重んじるかによって、買いと
売りが決まります。

この認識と、重んじる指標は、時期によって、変わります。図式的
に言えば「指標という事実→その指標へのひとびとの認識(何を重
んじるか)→売買の行動」です。

 美人投票でも、あるときはAさんを美しいと思うひとが増え、別の
ときはBさんを美人と思うひとたちに変わって、評価は変化します
。そして、本質を言えば価格変動がなければ、金融商品でない。上
げと下げの価格変動があるから、ひとびとが売買します。たとえば
ドルと円が固定相場なら、ドルを売買するひとはいなくなります。


▼ファンダメンタルズは、長期傾向を示す

 長期変動はどうか。ほぼ、ファンダメンタルズ(基礎的な経済指
標)にしたがった動きをすることが多い。たとえば1971年には$1
=360円付近だった米ドルが、いまは75円付近です。ドルは40年、
継続的に価値を下げたのですが、原因は、米国の恒常的な経常収支
(ファンダメンタルズ)の赤字です。

円が、ドルと逆に価値を上げたのは、金融機関や政府の継続的なド
ル買いとは逆に、米国の経常収支の赤字を重んじてドルを売るひと
のほうが多かったからです。

 本稿では、ファンダメンタルズを、述べています。市場がGDPに対
する国債残の多さを、経常収支の黒字や赤字より重んじれば、円は
売られます。重視されるファンダメンタルズが、常におなじなら簡
単ですが、これが、時期によって動く。ひとびとの考え、つまり心
理的な、共同幻想の移動です。

 ただし、金融商品の短期価格は、ファンダメンタルズの科学(理
性)ではない。心理(感情)です。個人の心理には、世間の共同心
理が、大きく入り込みます。TVタレントでも、華と見えるオーラが
感じられ時期があり、それが移ろいます。

現在、ゴールドは燦然と輝いています。古来、それは、物理的(科
学的)には変わっていません。しかし心理がつける金の価格は変わ
り、あるときは燦然と、別のときは、くすんで見えるのです。

■10.金融商品の価格はいつも、高すぎるか安すぎる、このためひ
とびとは売買する

金融商品の、ピーク・ボトムの価格の性格を言います。「上がるも
のは上がり過ぎ、下がるものは下がりすぎる」ということです。価
格が上がっていると、まだ上がると思うひとが増え、買いが増える
からです。これが行き着いたのが、あとではかならず大きく下がる
バブル価格です。1~2%の利回りしかない先進国の国債価格は、い
まがピーク価格に思えます。

 バブル価格は、古くからの格言どおりに、半値×8掛け×2割引、
つまりピーク価格の32%が底値になることが多い。理由はひとびと
の心理です。国債は満期での償還を政府が保証するので、ここまで
は下がりませんが、バブルの株価や不動産は、ピークの30%付近に
は下げます。逆に言えば、バブル価格は3倍以上です。

 下がるものも、妥当な価格(理論値)より、下がりすぎた価格を
つけます。過去の価格変動グラフをみて、一層下がると考えるひと
が増え、売りが増えるからです。売りが増えると下がり、下がると
また売りが増え、結局、ピークの30%付近に下がって、今度は、底
値から反発する。

 財政が破産すれば金利が高騰するため、その国の、ほぼ全部の金
融資産の価格が、大きく下がります。国債の金利は、上がります。
通貨は下がる。そうすると、別の国の債券や資源証券が買われて、
逆に上がります。

 金融資産による利益は、別のひとの損と同額で、両者は一致しま
す。このため、損と同額の利益を出すひとが、生まれます。高く売
ったひとたちの利益は、安く売ったひとたちの損です。金融商品や
不動産のおおきな価格下落は、富の所有者を移転させます。

 国家の財政破産という、大規模な金融資産の価格下落があっても
、高い時期に売ったひとには、利益が出ます。財政破産は、巨大な
利益を出すチャンスとも言えるのです。こうした200年の底値買い
で、資産を作ったのがロスチャイルド家でした。

▼金融商品の下落が危機であり、チャンスになる

 若干脇道にそれますが、戦後の西武や阪急財閥も、第二次世界大
戦の敗戦後の、焼け跡の不動産を買い占めたことが利益になったこ
とは有名です。いまはいずれも、不動の価格下落で資産を大きく減
らしています。

戦後の財閥は、1990年までは不動産閥でした。ある経営者から聞い
たことがあります。

「営業利益は、がんばっても、売上の数%のわずかなものです。土
地の購入での利益と資産が、はるかに大きかった。」 これも、199
0年までのことでした。欧州では、1998年から2008年まで、米国で
は2000年から2008年までのことでした。

■11.債権王も、共同幻想を無視したことからの、巨大な失敗

世界の債券王と言われ、$2450億(約20兆円)を運用していたヘッ
ジ・ファンド、ピムコのビル・グロスが、2011年2月に米国債は下
がる(金利は上がる)ということに賭けて大損をし、国債売買から
撤収を言っています(11年8月末)。

ビル・グロスは、ジョン・ポールソンと同じように、住宅証券の先
物売りで巨大利益を上げ、運用資産を増やしていました。いまは、
グロス個人も破産しているでしょう。

 ビル・グロスの失敗は、FRBによるQE2($6000億:48兆円)の米
国債の買いを原因に、予想とは逆に米国債の価格が上がって、3.5
%付近だった10年債の金利が2.17%に下がったからです(11年8月
時点)。

加えて、FRBのバーンナンキは2013年までは、ゼロ金利策を続ける
と表明し(11年8月)、この報道から、米国債の買いに追随するひ
とが多かったからです。

 相場を動かせるように見える資金額を運用する、最大級のヘッジ
・ファンドも、個人と変わらず、予想をあやまれば破産もします。


ビル・グロスの予想は、たぶん1年、早すぎました。ヘッジ・ファ
ンドの先物売りは、限月の設定で3ヶ月が多いからです。これは、4
半期決算で配当をきめる期間に付合します。

 こうしたことが典型的な金融資産投資・投機の、誤りです。ビル
・グロスは、米国財政と経済のファンダメンタルズから、米国債の
暴落は2011年5月までにおこると考えていた。そのため11年2月にお
おきな先物売りをしかけた。

【人々の投票は遅れる】
 ところが、多くのひとは、FRBのQE2による国債買い(国債は上が
り、金利は下がる)に追随していた。このため米国債は、株を売っ
た買いが増えて、金利は下がり、国債価格は上がった。ビル・グロ
スはFRBの金融政策をみて、ほかのひとがどう考えるかという美人
投票の原理を忘れていたように思えます。

 じゃ、米国債は少しずつ上がり続け、長期金利は2.17%以下に下が
り続けるかと言えばそうではない。いまと違い「米国債価格は上が
り過ぎた」という認識のひとが増えれば、売りが増えて下がるから
です。美人投票原理を、常に忘れてはならない。

 日本国債、ユーロ債についても、この米国債とおなじです。本稿
で分析したようなファンダメンタルズからみて、財政破産の可能性
はきわめて高い。

ところが、ひとびとは、まだそういった認識をしていないように思
えます。ビル・グロスの失敗は、まさにこれでした。彼は、FRBの
国債買いが米国の財政破産であり、ドル価値の下落と考えていまし
た。しかし、市場の大勢は、逆の考えであり、ドル債は安全資産と
して買われていたのです。

▼認識の転換の時期はいつか? これが金融利益

 中央銀行の国債買いが効果を上げ、市場で国債を買うひとが少な
くなっても、国債価格は高く、金利は低いままであろうと考えてい
るひとが、まだ多いからです。 

これが変わって、中央銀行の国債買いは無効であって、逆に、その
国の通貨価値を下げると、ひとびとが認識しはじめたとき、米国債
は、大きく売られます。

 問題は、国債の先物売りの限月を、いつに設定するかです。3ヶ月
では早すぎる。6ヶ月では?1年では? いや1年でも、早すぎるか。
認識の変更に2年はかかるだろか・・・この時期の判断です。念の
ために言えば、多くのひとびとが認識を変えたあとでは、遅すぎま
す。1年内の短期の先物売買なら、ひとびとが認識を変える1年から
数ヶ月間前を、予想せねばならない。

多くの読者の方々から要望がある、ソブリンリスクの中での、金融
資産の運用についても、述べねばなりません。どう書くか・・・な
かなか難しいことですが挑戦します。

【後記:書籍:金:スピーカー】
約1カ月かかって、やっと250ページくらいの単行本の原稿があがり
ました。あとは編集→校正・修正→出版です。店頭は、10月の20日
ころでしょう。8月の暑い日、外に出るのが嫌だったので、書くこ
ともできたと言えます。主調のテーマは、<世界同時のソブリン・
リスクが襲うなかでの、金融と経済>ですが、書名を考えるのはこ
れからです。

何が国債危機の共通原因かと言えば、高齢化です。世界共通に40代
のとき、金融資産が大きく増えます。この時期が、バブルになる。
そして金融資産=別の人の負債であるため、負債が増えて払えなく
なる。

金融危機が起こるが、政府はそれを防ぐため、公的資金を入れる。
もともと赤字の財政は、ますます赤字が大きくなって、民間金融機
関の不良債券は政府・中央銀行に移転される。その結果国債の下落
危機が起こる。この時点ではデフレである。

中央銀行がその国債を引き受け、国家の不良国債が、中央銀行に移
転される。今度は中央銀行が債務超過になって、通貨の暴落が起こ
る。通貨の暴落は、先進国が輸入する資源・食品の価格を上げ、基
礎物資と食品が上がるインフレになる。

インフレは期待金利の高騰を生み、国債価格は更に下がって、暴落
し、国家財政は、借換債が発行できず破産する(いまのギリシアと
同じ)。預金取り付けも起こるので、中央銀行は、ますます紙幣を
印刷する。銀行、世帯、企業に現金があふれ、現金決済の経済に向
かう。ハイパーインフレは、生産力の町家があるので、起こらない
が、物価は2倍には上がる・・・金融資産の価値(商品の購買力)
は半分になって、国家の債務も実質価値が半分に減る。その中で、
上がる大きく金融資産がでる・・・まだまだ、次の展開は続きます
。

ゴールドは、ドルの反通貨です。以下の推移です。
1970年   $35(31.1グラム:ドル・金本位制)
1980年   $612(2回の石油危機で高騰)
1990年   $423(中央銀行による、金価格を下げるための放出)

2000年   $316(同上)
2010年  $1225

(99年以降、2000年代はワシントン条約で中央銀行の相互協定。金
売却を1年400トン以下に制限し続けた。新興国の中央銀行が競って
金を買うようになった。このため、金はドルの反通貨になった。誰
が大きく買い占めたか? 次の基軸通貨は、この買い占めたところ
が決める。)

2011年9月$1880(08年9月の世界金融危機以降、米ドルが下がり続
けバブル的な高騰になっている)
2012年  可能性・・・

ぜひ2009年12月の金リポートを読んでください。
そこに、書きつくしています。

手づくりスピーカー、思いのほか、多数の方からのメールが続いて
います。自分も作るというメールです。オーディオマニアも多いの
でしょうか。趣味の徹底は時間を忘れます。もう一個、今度は20セ
ンチ口径のスピーカーを、修理中です。完成は、早くても10月末で
しょう。

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