リーマン・ショックの、2倍の危機の再来
This is my site Written by admin on 2011年10月5日 – 09:00

おはようございます。不意に、寒く感じる日がある時節になりまし
た。平安の和歌は、漢語だった公式文ではあらわしにくい、心を伝
える手段でした。季語を含まねばならないとした理由がよく分かる
のが、この日本です。心は心臓ではない。人や事物への認識にとも
なう情感を言います。日本は古来、情感的な世界観が強い。その対
極は、分析的で自然科学的な世界観です。水をH2Oと考える。H2Oに
情感はない。

本居宣長は、日本人の認識の特徴を、情感が混じる「もののあはれ
」と言っています。季節にも、情感を感じる。木々や花、山、川、
風景、虫の鳴き声も、擬人化し、情を感じる個性をもつ。源氏物語
は、人の世のあはれを、光源氏の女人遍歴を通して描いたと、宣長
は解釈しています。

欧州の銀行が、喧伝(けんでん)されるPIIGSと、話題にはなりま
せんが東欧および世界への不良債券で、激しく揺れています。

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    <558号:リーマン・ショックの、2倍の危機の再来>
              2011年10月5日号

目次
1.世界に対しエクスポジャーが多い欧州の銀行
2.欧州と米国の大手銀行は、同時危機
3.金融のシステミックな危機とは何か
4.恐慌を防ぐために、マネーを印刷するのが中央銀行ではなかっ
たか?
5.マネタイゼーションは、その国の通貨の売りになった
6.1日の外為売買は世界で500兆円:円・ドルだけで58兆円
7.3%のインフレ:10%の失業率:長期金利2.17%という矛盾
8.ユーロ危機の深化は、何を意味するか?

【後記】・・・メーカー製SPの改造とその結果

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■1.世界に対し、エクスポジャーが多い欧州の銀行

エクスポジャーは、価格下落のリスクに晒されている、銀行資産の
割合を言います。

わが国ではあまり知られていませんが、欧州の銀行の、経済(GDP
)に対する規模は、日本や米国よりはるかに大きい。銀行の資産(
=負債)規模の大きさと、つぎに述べる、先進国以外への融資が多
いのが欧州銀行の特徴です。

このため、PIIGS国債と株式、東欧債と株式の下落(金利の上昇)
、そしてアジア・アフリカ・中東の株価下落が、欧州の銀行を直撃
する構造があります。

【GDPに対する銀行の資産・負債規模:2009年:BIS】
スイス   8.2倍
英国     6.2倍
オランダ 4.8倍
フランス 3.5倍
スペイン 2.8倍
ドイツ   2.6倍
イタリア 2.2倍
日本     1.8倍
米国     1.0倍
豪州     0.8倍

日本や米国の銀行が、新興国の債券を直接に買うか、融資すること
は、少ない。米国は、銀行がヘッジファンドに貸し、そのファンド
を通じた海外へのデリバティブ投資(先物売買、オプション、CDS
等)です。

日本の銀行は、米国債は大量に保有しますが、新興国や低開発国へ
の貸し付けはごくわずかです。

アジア、東欧、ロシア、ラテンアメリカ、中東、アフリカに対して
融資や、債券を買っているのが、欧州の銀行(主要19行)です。PI
IGS以上に問題でもある東欧に対しては、欧州の銀行が、全東欧のG
DPの55%にもなる金額の、国債・債券・株の購入および貸し付けを
もっています(07年:IMF)。

多くは、ドル建ての貸し付けです。それらが、株価下落と債券の下
落で不良化しています。世界に貸し付けた欧州銀行の米ドルは、米
銀等から借りたものです。このため、欧州の銀行にとってドルで払
わねばならない返済・借り換えの満期が、毎月来ます。

ところが、PIIGS債の下落だけでも、自己資本を事実上失っている
欧州の銀行に対し、米ドルを追加融資する国はない。このため欧州
の銀行には、極度のドル不足が生じています。日銀とFRBに対して
も、救済のドル借り入れを求めている理由がこれです。

■2.欧州と米国の大手銀行は、同時危機

PIIGS債の危機がマスコミで言われますが、ほんとうは、欧州銀行
にシステミックな危機が起こっています。メルケル首相やサルコジ
大統領が、PIIGS救済を世界に求めている理由は、ドイツとフラン
スの銀行が、不良債券で危機に瀕しているためです。

(注)欧州当局は、過去から政治的な発言をし、「ほんとうのこと
」は言いません。欧州的な成熟の仕方は、捻(ねじ)れています。
いつも、中国政府に似て、他に転嫁します。ギリシアが、政府赤字
を誤魔化していたと言われますが、こうしたことは、欧州全体にも
言えることです。

マスコミが連日報じるPIIGSは、表向きの問題です。PIIGSが財政破
産すれば、ドイツ・フランスの銀行が崩壊することがほんとうの問
題です。PIIGSを助けるのではない。自国の銀行を救済することが
目的です。

このため、たとえばギリシアを、ユーロから離脱させることができ
ない。離脱すれば、ギリシアへの債権の価値は、さらに下がるから
です。

借りた側のPIIGSは、財政破産やユーロからの離脱を、恐れてはな
い。こうしたとき、借りた側は「返せないものは、返せない。追加
の貸し付け金、つまり救済資金がいる」という態度です。ギリシア
は、フランスやドイツの銀行がつぶれるぞとほのめかして、救済資
金、つまり追い貸しを迫っていると見ていい。

本稿では最初に、これを考えます。現在のトレンドを言えば、相当
に高い確率で、2011年秋から冬あるいは2012年の年初に、08年9月
からのリーマン・ショックより、2倍くらい大きな金融のシステミ
ックな危機が起こる可能性が、高くなっているからです。

リーマン・ショックでの米欧の金融機関の損害は、$5兆(400兆円
)とされていました(IMF:10年5月)。

このため、米欧の政府・中央銀行は、$5兆を拠出し、金融機関の
資金繰りを助ける貸し付けと、価値が50~30%しかない不良債券(
住宅証券)を額面で購入して、現金を貸し付けています。この資金
で、2009年春には「金融危機は終わった」とされ、下落していた世
界の株価も上昇しました。

米国ダウが、世界の株価を代表します。他の世界市場も、ダウとほ
ぼ同じ動きなので、これを見ればいい。2009年3月の底値は$6500
でした。2011年6月には$1万2500で、2倍に近い92%も上がってい
ます。10月現在1万1000付近です。

ほぼ同じ動きの欧州のFTSE100(100社指数)は、月の6000から、い
ま5000付近です。米欧とも、銀行株の下落が大きい。いずれも、社
債が発行できず、倒産に近い株価水準です。

たとえば、ドイツ最大手のドイツ銀行は、2008年の株価が100、同
年9月の金融危機のときが16に暴落し、その後50まで回復していま
したが、11年10月4日ではふたたび破産水準を意味する25です。

米国最大のバンク・オブ・アメリカ(BOA:東証にも上場)はもっ
とひどい。2008年の金融危機前が6000円、2009年1月が1000円付近
で、その後1500円に回復し、2011年10月4日は、439円です。これは
、信用が命の金融機関にとってはまぎれもない倒産の株価です。
http://www.nikkei.com/markets/company/chart/chart.aspx?scode=8648&ba=1&type=5year

政府が救済するだろうという想定から、営業が続いているに過ぎな
い。自力での、資金調達力は失われています。普通の時期なら大問
題になる、大手銀行の株価に、非常時として、市場は慣れているの
でしょうか? バンカメだけではない。資産・負債額で二番手のシ
ティ・バンクも似ています。

金融機関は、その株価が4分の1から五分の1付近になると、社債な
どでの資金調達ができなくなります。社債も暴落し、借り入れ金利
が高騰するからです。

一方で、過去の社債の償還満期が、次々に襲う。銀行間の貸付金利
(コール・レート)も上がる。このため、数ヶ月で、決済の資金不
足に陥ります。政府か中央銀行が当面の救済資金をいれることしか
、方法がなくなるのです。

2011年10月初旬現在、米欧の大手銀行の多くが、こうした状態にあ
ります。ショック的な倒産が避けられているのは、中央銀行による
、債券購入と貸し付けのためです。

■3.金融のシステミックな危機とは何か

金融のシステミックな危機は、銀行の、乗数的な信用創造の仕組み
に由来します。Aさんが1000万円預金する。B銀行は、その預金を、
支払い準備率(たとえば5%)を残し、950万円をCさんに貸し付け
る。

必要があって借りたCさんは950万円で、設備投資をする。その設備
投資の代金が、D建設の、F銀行の口座に入る。F銀行は増えた預金9
50万円を、支払準備金48万円を残して、902万円をGさんに貸し付け
る。Gさんは借りたお金で何かを買う、あるいは投資する・・・・
という連鎖的な信用創造(マネーの増加)が起こります。

最初は1000万円の預金でしたが、それが、「経済活動」によって、
1000万円÷支払い準備率5%=2億円という無限等比級数で、銀行シ
ステム内の総預金(=総負債)に膨らみます。

以上が、銀行によるマネーサプライ(総預金=総負債)の、乗数的
な増加の仕組みです。この銀行の、連鎖の仕組みの中で、M銀行に
、500万円の不良債券や損失が発生したとします。このM銀行の不良
債券によって失われる信用額は、500万円÷自己資本比率8%=6250
万円(12.5倍)にもなるのです。M銀行は、自己資本比率8%を守
るには、6250万円のリスク債権(貸し付け金や、証券の保有)を減
らさねばならない。

銀行システムは、資産・負債の増え方は準備率の乗数です。これと
同様に、どこかの大手銀行に不良債券が発生したときの、資産・負
債の現象も乗数で起こります。

欧州の銀行に、PIIGS債と東欧債および世界の株で、100兆円の不良
債権が発生すれば、100兆円÷必要な自己資本比率8%=1250兆円の
リスク資産を減らす必要が出ます。

これは、1250兆円も証券・株を売り、融資を減らさねばならないと
いうことです。これを行えば、経済は、確実にショック的な信用縮
小からの恐慌になります。借りているところは返済を迫られ、株と
証券は売られて暴落し、マネーがなくなるからです。

こうした信用収縮を招かないために、政府・中央銀行が、金融機関
に発生した不良債券を埋めようと、
(1)その不良化した債券を額面で買い上げること、
(2)何かの担保をとって、緊急に貸し付けること
(3)返済の要らない劣後債として資本を注入すること、を行いま
す。

政府・中央銀行に、マネーがあるでわけではない。財政が赤字とい
うことは、政府収入(税収)が支払いに不足するということです。


資金源は、(1)国民に借りる国債増発か、(2)マネーの印刷です
。民間の、大きすぎてつぶせない銀行の不良債券は、結局は国家の
負債になっています。

(1)金融救済のための政府負債、
(2)もともとの政府財政赤字のための負債、
(3)税収の減少のための負債が重なって、日本950兆円、米国1120
兆円、ユーロ1000兆円の、政府負債になっているのです。

■4.恐慌を防ぐために、マネーを印刷するのが中央銀行ではなか
ったか?

中央銀行は、無償の原価でマネーを印刷できるのだから、政府が国
債を刷って、中央銀行に買ってもらえばいい。もともと中央銀行は
、銀行危機の際、不足する資金を銀行に貸し付ける「銀行の銀行」
として作られたものだという人もあるでしょう。

金本位制の時代、つまり、金の準備高に金証券(=ペーパー・マネ
ー)の発行が制限されていた時代は、不良債券の発生が銀行の損失
になって、マネー供給量が減り、頻繁に、経済が恐慌に陥っていま
した。

これを防ぐために、ほぼ100年前に、各国で、通貨を金準備高にか
かわりなく発行できる中央銀行制度が作られたのは事実です。

その間、ごく短期で、金兌換(一定量の金と交換できる)とすると
きもありましたが、1971年以降、世界の中央銀行は、金と紙幣の交
換はしません。その意味で、製造原価が22円(1万札1枚)の純粋な
ペーパー・マネーです。

ユーロの中央銀行であるECBが、PIIGSや東欧の下落した国債を、額
面で買い取れば、欧州の銀行危機は、なくなるではないか? なぜP
IIGS債が下落する中で、それを行わず、欧州政府間や世銀・IMFの
間で、あれやこれや言い合う「協議」ばかりしているのか・・・

これを検討せねばなりません。

■5.マネタイゼーションは、その国の通貨の売りになった

現在、国債も現金も電子化されています。紙の国債や現金は刷りま
せん。国債は国債口座の、紙幣は銀行口座の数字です。

なぜPIIGS債に関し、ECBが、持ち手のドイツ・フランスの銀行から
、額面で買うことを、しないのか。緊急に少しは行っても、金額が
足りないのはなぜか?

「マネタイゼーション」という言葉を覚えておく必要があります。


マネタイゼーションは、
・中央銀行が債券市場を通さずに国債(または下落した住宅証券等)
を買って、
・その代金のマネーを刷ることです。
原義は、「国債のお金化」です。

リーマンショックのあとの三年、FRBは約$2兆(160兆円)、ECBは
$1.5兆(120兆円)のマネタイゼーションを行っています。

その間に起こった金融市場の反応は、「マネタイゼーションを行っ
た国の通貨は売り」でした。ドルとユーロは売られて、円やスイス
・フランに対し、20%以上下落したのはご存知でしょう。

理由は、「マネタイゼーション」の金額が大きかったからです。数
十兆円くらいの規模なら、通常の金融調節の範囲でした。ところが
、リーマンショックを起点に発生した不良債権は、巨大でした。同
時に、FRBとECBのマネタイゼーションも大きかった。

中央銀行の、100兆円を超えるような異常な額のマネー印刷は、マ
ネーのモルトを水割りする行為です。別の例えでは、輸血ではなく
、血圧を上げるためだけの生理的食塩水の注入です。マネー1単位
(1ドルや1ユーロ)の価値は、印刷分、減ります。

■6.1日の外為売買は世界で500兆円:円・ドルだけで58兆円

記憶では、2000年の、世界の外為取引は1日で100兆円でした。11後
の現在、これが、500兆円/日に膨らんでいます。1週で2500兆円で
すから、世界のGDP(商品生産額)の半分にもなります。

FX(外為先物)の増加のためです。通貨先物には個人で証拠金の25
倍、ファンドなら50倍以上のレバレッジをかけることができます。
限月内の差金決済だからです。同様に、通貨オプションもある。

先物もオプションもデリバティブです。日本人の主婦や個人だけで
も、1日に5兆円くらいの通貨先物の売買です(250万口座)。

▼通貨の売買の意味は、資本移動

通貨を買うという行為は、買う相手国にマネーを流入させることで
す。売るという行為は、それを流出させることです。たとえば、1
億円で129万米ドルを買う。これは、日本の金融機関から1億円を流
出させ、米国の金融機関に129万ドルをいれることと同じです。逆
に、129万ドルで1億円を買えば、米国の金融機関から129万ドルを
抜いて、日本の金融機関に、1億円をいれることと同じです。

このように、国から国に、たった1日でマネーを移動させる取引が5
00兆円もあると言えば、「現代金融は、とんでもない量の資本移動
」であることがわかるでしょう。資本はマネーです。国際間で移動
させるときは、通貨の種類が違うので資本と言うのが慣用です。資
本金の意味での資本ではない。

この為替取引と、「リーマン・ショック以降、マネタイゼーション
は、その国の通貨の売りになった」ことを重ね合わせると、重大な
結論が導かれます。

●「ECBが、PIIGS債を買うマネタイゼーションを多額に実行すれば
、あるいは実行するという量的な緩和策を発表すれば、世界の外為
市場でユーロが大量に売られる。」 
    ↓
●結果は、PIIGS債を買ってECBがマネーを印刷し、欧州の銀行に与
えても、そのマネーが引き出され、国外(円、ドル、スイスフラン
等)に逃げます。これが、1ユーロ102円のユーロ安です。

安くなった通貨の国からは、売られたマネーが、買われたマネーの
国に流出しています。これは、国債を買ってマネタイゼーションを
行う中央銀行の行為が、「無効化」しつつあることを意味します。


PIIGS債を買ってユーロを刷って、ユーロ域内の銀行の口座に振り
込んでも、それ以上の金額のユーロが、銀行から引き出され、買わ
れたドルや円として米国や日本の銀行のマネー(預金)になるから
です。

ここに描いたのが、リーマン・ショック前(2008年8月)の1ユーロ
169円が、102円というユーロ安、いや、40%暴落という現象の意味
です。

(注)日銀が、日本の金融危機(金融機関の損失100兆円)でマネ
ーを刷っていたころは、$1=120~140円くらいの円安で、日本か
らマネーが逃げていました。

以上の事情から、ECBは、来週**銀行が決済ができずつぶれると
いう緊急のときしか、マネー注入ができない理由です。2000年代は
外為市場が、中央銀行の過度のマネー印刷をとがめるようになった
のですから、すごいことです。1990年代にはなかったことです。

[蛇足ですが・・・]新任の安住財務大臣は、「通貨に対する投機
的行為は、厳としてとがめる」と、得意顔で言っています。投機行
為とは何か。政府の意向に沿わないことをいうのでしょう。

じゃ、どうやってとがめるのか。民間のドル売り/円買い、あるい
はユーロ売り/円買いに対し、政府が、反対売買(ドル買い・ユー
ロ買い/円売り)を行うことしかない。政府が行うことが、よほど
投機的です。政府が行えば、投機ではないのか? ばかな財務大臣
をもって、買ったユーロとドルの通貨安で、国富を失うのを残念に
思います。3か月後に、もっとばかであることが明白になるでしょ
う。

1日に500兆円の売買がある外為市場では、政府の、数兆円しかない
介入は、餌食です。このため、ECBも、安易にはマネタイゼーショ
ンを実行はできない。

■7.3%のインフレ:10%の失業率:長期金利2.17%という矛盾

ユーロ諸国(平均)は、3%のインフレ、10%の失業率、長期金利2
.17%という矛盾を抱えています。失業が10%もあるのに、物価は
3%も上がる。普通、失業が10%ならインフレはゼロでしょう。

3%のインフレで2.17%の長期金利というのも矛盾です。実質金利
は2.17%-3%=―0.83%です。

これは、ユーロをもっていれば、物価に対し、ユーロが価値(購買
力)を失うので、損ということです。このため、ドル買い、円買い
、スイスフラン買いが起こって、ユーロからマネーが流出する。こ
れは、域内の銀行の、ユーロのマネー量が減るということです。

南欧は、ユーロに属する限り、経常収支が黒字になることができせ
ん。貿易赤字は、イタリア$497億(4兆円)、ギリシア371億(3兆
円)、スペイン$681億(5.4兆円)、フランス$892億(7兆円)
です。黒字は1973億(15.8兆円)のドイツです。大枠で言えば、
ドイツの黒字が他のユーロの貿易赤字です。

これは、ドイツにとってユーロは安すぎ、他国にとっては、高すぎ
ることを意味します。ドイツは賃金を上げ、ドイツ商品を高くせね
ばならない。

南欧も、ドイツと同じユーロの通貨です。通貨安という方法での商
品価格の調整はできない。どんな方法が調整になるか。

国民の賃金を10~20%切り下げ、社会福祉を30%カットして、公務
員を30%減らして、イタリア、スペイン、ギリシアの商品と観光を
、ユーロ建てで安くすることです。これが行えるか? 

イタリア、スペイン、ギリシア、ポルトガルで国民の賃金を切り下
げ、社会福祉をカットすることができるのか? 

政治的な強いリーダシップが必要ですが、国民の暴動が起こって、
おそらくできない。フランスなどではすぐ「革命的な暴動」が起こ
ります。(注)ウォール街では、政府マネー(つまり納税者負担)
で救済されて高給をもらう金融機関への抗議デモが2週間続いてい
います。

対外債務は、国の経常収支が黒字にならないと、返済は絶対にでき
ない。経常収支=貿易収支+観光収支+金利・配当収支

つまり、イタリア、ギリシア、スペイン、フランスに対しては、ド
イツが追い貸しをしなければならないということです。このことの
意味は、ユーロにおけるPIIGS危機は、今後、深まりこそすれ、軽
くなることはないということです。これが、厳然たる未来事実です
。

■8.ユーロ危機の深化は、何を意味するか?

先に、ユーロの銀行は、世界の新興国に対し、大きな融資をしてい
ると示しました。特に、全東欧に対してはそのGDPの55%にもなる
金額の貸し付け、国債、および株と証券の保有です。欧州の銀行は
危機ですから、世界に対し、追い貸しはできない。統一通貨圏のPI
IGSに対しても、追い貸しはできない。

引き揚げることのできる債券は売って、東欧、南欧から、マネーを
抜くことになる。結果は、東欧、南欧の株価暴落、国債価格の一層
の下落(金利の高騰)です。

つまり東欧・南欧は、同時にデフォルト(債務不履行)を起こす。
そうすると、東欧・南欧に融資が多いドイツ・フランス・スイス・
英国の銀行も、同時につぶれる。

ユーロの経済規模(GDP)は、米国とほぼ同じです。リーマン・シ
ョックで起こった金融危機の2倍の規模になると言ったのは、以上
のことから、米国に発生した不良債券(公称で200兆円)の、2倍の
規模の不良債権が生じるからです。

すごいことになってきました・・・

昨日、金融・経済の本にする修整原稿を終えました(本としては約
300ページ)。なんだか、ほっとしています。原稿を書き終えたと
きくらい、1日と超短期ですが、仕合わせな時間はない。明日はな
んでもできるという気分ですが、結局、つぎの原稿になります。

【後記】
スピーカー(SP)の改造報告です。自作8センチスピーカー(六角
柱)は、好調に鳴っています。ただし、アンプの出力は、50Wは要
ります。小さなアンプでは、スピーカーの能率が低いので、駆動で
きない。省電力と安価で、出力が大きなデジタルアンプがいいよう
です。

同じ、SP背面支持の方法で、大きな22センチSP(FOSTEX FA220)を
工作中です。SPユニットが5キログラムくらいで、これを持つだけ
でも重い。鉛インゴットは、25キログラム買いました。

宅急便で配達に来た人が「とても重いですよ」と手渡した相手が家
人でした。受け取って、転げそうになったという。「一体、中味は
何ですか。まさか・・・金」。金を、宅急便で送れるはずもない。
「鉛です!」、「まぁまぁ、また、スピーカー?」

金属を、アルム溶接並みの強度でくっつけるという特殊接着剤(GM
-8300)も買いました。1万円と高かった。この工作は、構想を重
ね、設計図を書いて行います。金属を、採寸通りに切るのは大変。


その前に、メーカー製のFOSTEX GX100を改造しました。このスピー
カーは、マニアに定評があります。一本3万9000円くらいです。

スピーカーをとめるネジを外しても、ユニットが密着していてはず
れません。困って、メーカーに電話。「改造したいのですが、ユニ
ットがはずれません。接着してあるのですか?」、「接着はしてい
ません。ゴムの金槌で、慎重にフレームの側の箱部だけを叩けば、
ユニットが浮いてきます。」 行うと、はずれました。

改造は、
(1)吸音材をとり、テトラポット型の戸澤式レゾネーターに変え
ること、
(2)ユニットの、コーン紙(実際は塗装したアルミ)につながる
ボビンを固定している「ダンパー」を切り取ること。磁石との間に
、磁性流体をいれること。
(3)ユニットの磁石の後部に、鉛を1KG接着すること、
(4)ユニットのフレームと箱の間の全周に、振動を伝えない耐震
ゲル(厚さ5ミリ×幅5ミリのひも状にハサミで切る)をはさんで、
押せばへこむくらい柔らかくネジでとめることの4点です。この目
的は、フレームの振動と箱を遮断することです。

【基本の考え】
アンプから電気信号としてきた音を、スピーカーでよくすることは
、できない。悪くしている要素を、可能な限り、取り除くことです
。SPボックスを楽器のように鳴らすというのは、悪しき習慣です。


楽器の原理とスピーカーの原理は異なります。スピーカーでは、コ
ーン紙以外が振動すれば、「音を悪くする付帯音」に過ぎない。付
帯音をきれいに響かせても、楽器の響きにはならない。箱に耳をく
っつけて聞くと、思いのほか大きな付帯音の振動が分かります。コ
ーン紙と同じくらいの音の大きさじゃないかな・・・

8センチ手作りに比べ(瞬時切り替え比較)、低温がもごもご、こ
もる感じがしたからです。ただし、専門誌の評論家の評価では、FO
STEX GX100の低音が「こもる」というのはゼロです。

(1)の戸澤式は何の問題もなく完了。(3)の鉛の接着、(4)の
ゲルもOK。 

(2)のダンパーは、上の一枚をカッターで切り取りましたが、なん
とダンパーは二枚で、底のほうにも残っています。二枚のダンパー
のSPは初めてです。ゴム製のエッジが柔らかくて、激しく動くアル
ミのコーンを支える力としては不足するからでしょうか?

FOSTEX社でも、この形式のアルミコーンで、2枚ダンパーを初めて
採用したのではないでしょうか。もう一枚も、切り取ることはでき
ますが、残しました。一枚を切って試聴し、ダメなら残った一枚も
切って、磁性流体をいれます。コーンがふらふらローリングして動
き、失敗するかも知れません。

以上の改造は、半日でできました。試聴です。もともと音は高速で
、抜けはよかった。これが、さらによくなって、低音のもごもご感
が、70%くらい消えました。改造は、目的の70%くらい成功です。


要素としては、戸澤式レゾネーター6個(一本につき)と、耐震ゲ
ルが効果が高かった感じです。一辺は、11.5cmです。中に吸音材
を切って、軽く目分量でいれます。
http://gyoblog.exblog.jp/11596551/

試みられたら、いかがでしょう。自作は簡単です。ただし、封筒張
りの内職をする思いになって、10個くらいで、飽きます。焦らない
・・・と言い聞かせないと、できません。自作の工作は、可能な限
り丁寧に採寸して切り、時間を掛けること。のりで貼るので、2時
間くらいかかります。音が変になることは、ほぼ100%ない。嫌い
なら、元に戻せばいい。改造のリスクはないのです。

ダンパーをカットした効果は、低音の輪郭がはっきりし、中音での
応答の改善です。音の感じが、8センチ自作に近づきました。リア
ル感がある。音が、スピーカーから離れます。

次は磁性流体をいれる予定。それと、難しい背面からの固定にも挑
戦します。それにしても8センチ手作りの音の良さ。ユニットは1本
3000円なのですが・・・

メーカー製に共通しますが、外見はきれいでも、見えない内部はコ
ストダウンしていて、お世辞にも丁寧な仕上げとは言えません。こ
れも、中国製でした。手作りの良さは、内部美人です。

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【ビジネス知識源プレミアム・アンケート:感想は自由な内容で。
以下は、項目の目処です】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
3.疑問点、ご意見はありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ

と記述の際、より的確に書くための参考になります。

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