早まった国家財政の危機(2)
This is my site Written by admin on 2011年5月11日 – 08:00

おはようございます。特に最近、論考をまとめようとすると、日替
わりで、方向を変える事象が起ることを感じます。1週間で、様変
わりする。数百年スケールでの、歴史的な、動乱期かもしれません

危険とされていた浜岡原発(静岡県 御前崎)で、「30年内に84%
の確率で大地震を起こす可能性がある」として、政府から停止要請
が出され、中部電力はこれを受け入れました。地震の確率とは、一
体何か?と思われた方も多いでしょう。

【地震の確率の計算方法】
「活断層と海溝型の地震は、地殻の移動等で、歪みのエネルギーが
溜まると、臨界点付近で、繰り返し地震が起こる」とされています

以上が、阪神淡路大震災(1995年)以来、前提となっている知見で
す。知見は、科学的な知識です。地殻(プレート)はわずかですが
、毎日動いている。地震がなく、歪みが大きくなるほど、起これば
大地震になる。

文書の記録がある過去約2000年に、その活断層や海溝に関連したと
推測される、震度6以上の地震を並べる。過去のデータが少ないと
きは、地震発生は「ポアソン分布」に従うと仮定されます。

ポアソン分布は、ほぼ標準偏差と同じと理解すればいい。在庫の欠
品の確率とも同じです。

帰宅の途上で、交通事故に遭う確率は?と言ったときも、同じ条件
を設定した上での標準偏差しか方法はない。金融での、国債や債券
のデフォルト確率も、標準偏差です。株価変動の確率(ボラティリ
ティ)も標準偏差です。

一般に、原因と結果の関係が複雑であるとき、つまり「原因→結果
」の線的な関係が明らかでないときは、確率しか方法がない。

交通事故は、普通、「偶然」とされます。今後一年に、自分が交通
事故に遭う確率も、以上の方法でしか計算できません。ここから自
動車保険が生まれる。偶然とは、原因と結果の関係が、一義的には
わからないという意味です。(注)一義的は、「原因→100%の確
率でその結果」が起こること。

以上の知見から、今後30年に、大地震が起こる確率を計算する。交
通事故のように、明日かも知れない。1年内かも知れない。30年内
かも知れない。60年内かも知れない。100年も起こらないかもしれ
ません。大地震や津波の高さは不明です。

「過去のような頻度で起こる」と仮定すれば、30年内に84%の確率
で浜岡原発が震度6以上の大地震にあう確率がある。

地震と津波のエネルギーは、震源地の近くであっても、地形と場所
によって大きく変わります。建物や原発の設備では、一番弱いとこ
ろに、大きな力がかかります。

今後30年内に、日本の原発が震度6以上地震に遭う確率は、順に、
以下とされています。浜岡(静岡)84%;女川(宮城)8.3%;東
海第二(茨城)2.4%;柏崎刈羽(新潟)2.3%;川内(鹿児島)2.
3%; 東通(青森)2.2%;敦賀(福井)1%

以下は1%未満とされています:もんじゅ(福井);福島第一;福
島第二;滋賀;美浜(福井);大飯(福井):高浜(福井);島根
;伊方(愛媛);玄界(福岡):(福島原発事故 対策統合本部:5
月10日)

わが国には、54基の原子炉があり、全電力(1年に1兆KW時)の約30
%が原発によるものです。(注)わが国電力の50%は、産業用電動
モーターが使います。家庭は、25%くらいで少ない。

地震の確率や地域は、もともとおおざっぱで、感覚的なものです。

各原発が30年間で2%の確率で大地震に遭うと仮定します。54基で
すから、2%×54基=108%です。(注)30年の累積確率

30年内に、福島第一の規模とは言わずとも、日本のどこかの原発が
、再び、大地震で事故を起こす可能性は、108%になります。

放射能被害が、今後、どれくらいの事故になるかは、不明です。30
年は、住宅ローンや生命保険の期間であり、1世代です。われわれ
の人生は、マネーの保険では贖(あがな)えない命と資産のリスク
の上に、乗っています。人生80年とすれば、リスクは、上記の2.7
倍です。

倒れずとも、今回、震度3の弱い地震でも数メートルの振幅での揺
れが、10分以上続く長周期振動が問題になった高層マンションの、
数千万円~数億円のローンと資産価値は、今後、どうなるか。(大
阪府庁を移転しつつあるWTCは高さ256m)

阪神淡路(1995年)の例で言えば、われわれの心理的な共同幻想(
集団心理)が忘れるのは、約5年~7年かかるでしょうか。市場の共
同幻想が、株や資源を含み、あらゆる資産価値を決めています。

【80%の原発が、今夏、操業停止(朝日新聞:11.05.11)】
54基の原発のうち、停止は7基(13%)です。

今夏には、安全性の点検と必要な耐震、対津波補強、地域住民の世
論から、42基(78%)が止まる事態が想定されています。

火力・水力を、昨年と同じ年間稼働率と維持するなら、原発の80%
停止によって、20%の電力供給が不足します(全国平均)。

火力・水力の稼働率上昇で補っても、過去の電力消費パターンのま
まならピークで10%程度は不足するかも知れません。

東電は「計画停電」をしないと言っていました。全国の原発の80%
が稼働を停止すれば、事情は異なってきます。電力供給の事情も、
毎週、動いています。

全国の家庭の、特に冷房での節電と、工場の操業日、店舗の営業時
間をずらす対策が必要になるでしょう。深夜停電は、無意味です。

不稼働の原発のコストを抱えたままなので、高くなる燃料費をまか
なうため、電力費の16%値上(東電のみでも8000億円/年:日本全
体なら2兆円/年)も検討されています。

これは、消費税の1%増税負担と同じです。商品原価を上げて経済
活動を停滞させ、GDPを減らす愚作です。行ってはならない。

(注)総電力費(13兆円)は、GDPの3%です。商品原価の総平均で
、3%が電力費と考えていい。

【節電の方法】
冷房のためピーク需要(午後2時)になる夏でも、使用量が下がる
深夜(午後11時~午前6時)の電力費(現在も約1/3と低い)を、逆
に、今よりも更に下げる策がいい。

午後11時から午前6時の電力使用量は、昼間の約60~70%です。30
~40%の余力があります。電力会社は、出力調整が難しい原発と水
力の発電は一定にし、調整が容易な火力発電と揚水発電を昼間に増
やして、需給量を調節しています。

(注)東電管内の11年5月11日(最新)では、18時から19時が3550
万KW時で1日のピークです。冷暖房が少ない5月でも、午後11時以降
の深夜は、2500万KW時くらいに、28%下がります。夏は昼の冷房の
ため、昼夜の差が大きくなります。

深夜電力を今より更に下げれば、経営的な観点から工場の稼働を、
電力コストの低い深夜を中心に、シフトするところが増えるはずで
す。曜日シフトも有効です。(注)労働コストは上がり、パート等
の賃金は、1時間当たりで25%増えます。これが、自粛での消費減
を補うでしょう。

昼は家庭の冷房と、産業用電力を節電し、深夜に電力を使う。昼の
ピークを減らした、24時間都市に向かえばいい。コンビニ、店舗、
レストラン、ホテルが深夜営業やネオンを、家庭が深夜の冷房を減
らしても意味はないのです。

3月の鉱工業生産は、15%下落(歴史上最大)しています。(注)
自動車では60%減産。トヨタでは生産の正常化に、11月~12月まで
かかると言う(浜岡原発停止前の発表)。6月から7月には、電気や
車で在庫(通常は1~2ヶ月分)が切れます。

前号で述べたように、10兆円の物損があった阪神淡路では、その後
三年で13.5兆円の、復興の、固定資本形成(=設備投資)があった
ため、その後のGDPの低下はなかった。部品のサプライチェーン・
ショック、電力問題、原発問題はなかった。

(注)復興費は、中央政府の資金が25%(3.8兆円)、民間と自治
体が75%(10兆円)でした。

今回の物損を25兆円規模(簿価:GDPの4%)と内閣府は見込んでい
ます。政府が必要とする補正予算は2年間で10兆円(直接物損の25
%)を超えるでしょう。(注)当方、原発関連以外で、20兆円が必
要と見ています。

これに、収束時期と収束方法が不明で、いくらになるか見当がつい
ていない原発賠償が加わります(政府の暫定予想は4兆円:海外の
金融機関の予想は10兆円~)。東電は1兆円くらいしか払えないの
で、政府資金になる。

2.1兆円の純資産(簿価資産12.6兆円:負債10.5兆円)があると言
っても、天然ガスや石油の燃料費が1年に1兆円増え(予想)、当面
の事故処理費(1年で1兆円、10年で10兆円か?)に使ってしまいま
す。

政府の劣後債の購入や出資が必要です。これも、必要な政府資金に
なる。国有化しても、増加燃料費と、廃炉の費用(2兆円の見積も
り)は、同じです。(注)正常な原発の廃炉は1機当たりで300~40
0億円ですが、事故機はその10倍はかかるとされます(米会計検査
院の推計)

原発関連の費用は、以上の合計です。

賠償費を仮に10兆円(東電+政府)、汚染等の事故処理費で1年1兆
円、増加燃料費で1兆円(東電のみ:全電力会社では2兆円/年)、
6基の廃炉費用で2兆円(東電)でしょうか。

今後3年で見ても、賠償10兆円+汚染処理3兆円+電力会社の増加燃
料費6兆円=19兆円でしょう。なお、全国の原発の、震災対策の増
強費も、1基平均1000億円レベルとして、数兆円かかると思えます
が、これは含んでいません。

なおこれらの費用は(変ではありますが)、アレバ社への支払いと
LNG等の輸入の増加になるもの以外は、復興対策費として15兆円く
らいがGDPのプラス要素になります(3年でGDPの3%:1年でGDP比1
%)。

原発関連費用は、1年目10兆円、2年目9兆円でしょうか。

概算で言って、
・原発関連の必要費用(2年で19兆円)と、
・震災対策費(2年で20兆円)がかかるでしょう。
(注)政府借金との関係は後述

【収束への工程表は、近々、修正】
「東電の工程表(4月18日)」は希望です。5月17日には、建屋内の
高すぎる放射線量(部分的に毎時600~700ミリシーベルト)のため
、早くも見直すと言う(政府)。たぶん、毎月、後倒しの見直しに
なるでしょう。公表されていない事実が、多すぎます。

原資炉建屋とタービン建屋(1~4号機)の地下の、致死性の高濃度
汚染水は、被覆管が溶けた核燃料に対し、水を外部から注入するた
めと、地下水と侵入した海水も混じって、9万トンに増えています
(東電推定)。

今日は、再び、三号機からの高度汚染水が、海に漏れているとの報
道です。9万トンもあれば、そうなるでしょう。(注)4月末には6
万トンでした。

アレバ社(フランス政府の資本)は、1トンの高濃度汚染水の処理
費用は、普通、2億円と言う。2億円×9万トン=18兆円(!)です
。見当がつかない。ボランティアで行うはずもない。アレバ社は、
日本政府の支払いを、信用していると言っています。

アレバ社は、稼働できていない六カ所村(政府の日本原燃:10年10
月時点)の、使用済み燃料のリサイクル(プルトニウムを濃縮した
MOX燃料作り)でもコストが高いことで、業界ではnotoriousでした

計画では、年間800トンの燃料棒の再処置(日本の使用済み核燃料
の62%)で7600億円の予算でした。18回も稼働が延期され(現在は
、部分的な試運転)、累積費用は2兆1980億円と、3倍に膨らんでい
ます。結局、成功しないと見られています。

これも国費です。原発の発電コストにはこれらの派生費用は含まれ
ていませんが、廃棄物の再処理は原発の電力コストであるべきもの
です。

(注)日本では、年間で1300トンの使用済み燃料棒が出ます(累積
残で2万8000トン:2010年)。六カ所村(青森県)の設備での、再
処理能力は、正常に稼働しても、一年800トン(62%)に過ぎませ
ん。

このため使用済み核燃料の処理ができず、やむなく、原子炉建屋の
プールで冷温保管しています(これが、4号機の危険になった)。
浜岡原発を停止しても、震災で全電源喪失があれば、使用済み核燃
料は、福島第一のように問題になるのです。核燃料の最終処理は、
まだ、方法がない。

圧力容器上部の温度が、300度を超え(燃料溶解のため)、新たな
危険になった3号機は、マスコミが報じなくなっています。当方、
継続的に観測しています。今後の経済も、大きく決める重大問題だ
からです。

部分臨界反応とも思われる異常な温度・圧力が出ると、ほとんどの
ケースで、(後付けで)計器の故障とされています。2ヶ月後も、
データの肝心な部分ほど、本当かどうか、不明が続いています。

梅雨、台風、現場作業員の被曝限度が、新たなリスクになっていま
す。

以降で、予定外の支出が2年で(最低)20兆円くらい必要になった
政府財政について述べます。

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   <537号:早まった国家財政の危機(2):増刊+正刊>
          2011年5月11日号

【目次】
1.国債と借入金で、924兆円(2010年末)
2.「広義の流動性」の増加から見る
3.国債の買い手の検討
4.民間銀行と生保が国債を買う
5.ところが、国債に対するCDSの料率が1.2%に上がった
6.日銀による、資金供給の有効性の根拠
7.QE2の後の米国経済と米ドル

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■1.国債と借入金で、924兆円(2010年末)

小泉構造改革が始まった2001年の、政府の借金は600兆円でした。

(注)政府の借金とは国債+借入金+政府短期証券です。独立行政
法人の財投債(118兆円)は含んでいます。自治体の借金である地
方債(現在約200兆円)は、含みません。

2010年12月末での政府の借金は、924兆円に膨らんでいます(日経
新聞11.05.11)。

1年30兆円くらいの財政赤字が続いているため10年で、324兆円(1
年平均で32兆円)の増加です。

10年の、国民の貯蓄増加(世帯+企業)のほとんどが、政府の借金
に使われています。10年間、GDP(=国民の所得)が増えていない
理由がこれです。(注)ここで言う国民は、自然人の世帯と、法人
である企業。

民主党政権になった2010年度は、政府の借金が41兆円増加していま
す。震災対策費の一次補正予算予算(4兆円:5月2日に成立)を入
れた後の、2012年3月期の政府の借金は、1002兆円になると見込ま
れています(財務省)。

2010年末に比べ、80兆円(2年分)の増加です。復興対策費や原発
の対策費がなくても、1年に40兆円程度の政府借金が増える速度で
す。

これに、必要な二次補正予算(不明:10兆円か?)が加わります。
前記のように、復興対策費+原発対策費で、2年間に20兆円、1年で
10兆円でしょう。

2011年、2012年を見通せば、政府の借金は、以下になるでしょう。

2011年度末・・・財務省予想1002兆円+10兆円=1012兆円
2012年度末・・・1012兆円+傾向40兆円+対策費10兆円
                      =1062兆円
2013年度末・・・1062兆円+40兆円+α    =1102兆円+α
2014年年末・・・1102兆円+40兆円+α    =1142兆円+2α

問題は、1年に50兆円規模(GDP比10%)の、政府部門の借金増加を
、どうファイナンスするかです。世帯の預金増、企業の預金増、日
銀のマネー印刷の、3つしかない。

(注)増税は、長期策であって即刻の対策にはなりません。少なく
とも今後三年は、増税は不能でしょう。そして増税しても、それが
景気を悪化させ、税収も減らすことになるからです。政府に足りな
い資金は、数兆円の規模ではなく、二年で20兆円以上、三年で30兆
円・・・と見込まれるからです。

■2.「広義の流動性」の増加から見る

震災の対策費を生むため、世帯の相続税を非課税にする特例国債も
検討されています。国債を個人に売る決め手のように言う人がいま
すが、国全体の資金循環から言えば、それは世帯の新たな貯蓄増で
はありません。

相続税を払うべき資産家世帯も、現金をタンス預金しているわけで
はなく、金融資産のほとんどは、銀行預金や株式です。例えば、あ
る世帯が1億円で、非課税特例国債を買うとします。銀行から1億円
の預金を引き出すか、株の売却が必要です。借金で買う人はほとん
どいないでしょう。

ある銀行から、2000人が2000億円の預金等から引き出せば、金融機
関は、2000億円の現金を捻出せねばならない。これは、全体で言え
ば、その金融機関が増加買いしてきた国債の購入額を2000億円減ら
すことになります。

つまり、非課税特例国債も、国債購入の資金を新たに生むわけでは
ない。銀行の預金が減らないくらいの個人の国債買いは、金額が小
さく、意味をなさないのです。

【観点は、広義の流動性の増加】
以上から、国全体の国債の引き受け力の元になるものとしては、マ
ネーサプライや、広義の流動性の増加から見なければならないこと
がわかります。

マネーサプライは、日銀が発行し個人や企業がもつ現金と、世帯・
や企業が預けた銀行・郵貯・農協を含む金融機関への預金や、金銭
信託を合計したものです。(M3という)

M3はが、すぐ現金になりやすい。(注)日銀は、マネーサプライを
、1995年以降マネーストックと言い換えています。債券が増えたた
めです。

「広義の流動性」は、上記の預金が中心のM3に、投資信託、金融債
、CP(短期手形)、債券の現先、国債とFB(政府短期証券)と外債
を加えたものです。国債やFBも、債券市場で売って即座に現金化で
きるので、「流動性」と見られます。

(注)広義の流動性は、世帯、一般企業、地方自治体、公営危企業
がもつ現金、預金、投資信託、金融債、国債、外債と見ていい。な
お、日銀を含む金融機関と政府がもつ広義の流動性は、これには入
りません。

世帯の預金が主ですが、企業預金、金融機関の保有国債も含まれる
ので、新規国債(想定で1年50兆円)を、どう買えるかを見るとき
、最も、適当なものでしょう。預金の移し替えでは、広義の流動性
の増加でなく、総量は不変です。↓マネーストック統計
http://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms1103.pdf

        M3の増加率  広義の流動性の増加率 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2009年       1.8%     0.3%
2010年       1.9%     0.8%
2011年3月     2.0%     0.1%
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2011年2月残高  1086兆円   1442兆円
http://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms1102.pdf

表に見るように、金融機関からの、世帯や企業への貸付金と国債等
の購入資金になるM3は、残高で1090兆円(11年3月)です。

1400兆円の金融資産(預金、保険、年金基金、債券、株)をもつ世
帯の預金増が少ないため、最近のM3の増加は、2%程度でした。108
6×2%≒22兆円です。

22兆円のマネーサプライの増加が、金融機関から企業への貸し付け
増をゼロとしたとき、金融機関以外が、1年に国債を増加買いする
余裕資金源になります。(注)1990年代は、これが40兆円くらいあ
りました。

M3(1086兆円)に、金銭信託(170兆円)、投資信託(75兆円)、
国債(50兆円)、外債(51兆円)等の債券を含む「広義の流動性」
は、残高で1442兆円(11年3月)、年間の増加は高くても1%程度(
14兆円)でしょう。

(注)国債の保有が50兆円と少ないのは、世帯と国内事業法人は国
債の発残高の5%程度しかもっていないからです。国債の大量保有
は、金融機関と政府の金融部門です。

【参考:
 09年3月末の主体別国債保有:681.7兆円:日銀等のデータ】

民間銀行   36.4%  248兆円(郵貯の147兆円を含む)
生損保    23.6%  161兆円(簡保の69兆円を含む)
年金基金   11.9%   81兆円(GPIFが運用)
日銀      8.2%   56兆円
海外ファンド  6.4%   44兆円
家計      5.3%  36兆円
投資信託    4.7%   32兆円
その他     3.5%   24兆円

以上が国債の買い手です。(注)政府短期証券と借入金は、上記に
含んでいません。前述したように、政府の謝金は国債と借入金で、
924兆円(2010年末)です。

■3.国債の買い手の検討

【郵貯の国債残147兆円】
国債の最大の保有者であるゆうちょ銀行は、民営化後の2008年9月
で、総資産209兆円のうち172兆円が有価証券でした。ほとんどは国
債(156兆円)です。世帯の預金を預かって、国債で運用している
のが郵貯です。

2010年9月には、総資産が192兆円へと17兆円減っています。預金が
181兆円(08年9月)から175兆円(10年9月)に6兆円減ったことが
主因です。保有有価証券は175兆円です。このうち国債は147兆円で
す。国債は、2年で9兆円(1年で4.5兆円)の割で減っています。
http://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/financial/pdf/kessan201103-1.pdf

【簡保:69兆円】
引き受け手で最大手だった郵貯も、世帯の高齢化で預金が減ると、
その分、国債保有を減らさねばならない。(特に団塊の世代の退職

国債を69兆円(08年)もつ簡保も郵貯と同じです。郵便局が売る簡
易生命保険ですがこれが減っています。簡保の保険契約は、108兆
円(08年3月)から102兆円(09年3月)へと1年で6兆円も減ってい
ます。国債保有額は維持していますが、大きく増加買いをすること
はできません。

【年金基金:79兆円】
公的な年金である厚生年金や国民年金の積立金を運用するのが、GP
IFです。運用資金は116兆円(10年12月)です。国債と財投債(国
債と同等)で79兆円(68.5%)を運用しています。

後は国内株式(13.7兆円:11.8%)、外国債券(米国債9.0兆円:7
.8%)、外国株式(12.0兆円:10.4%)です。GPIFが運用を多様
化し、国内株を10兆円も買った年は、日本の株価が上がっていまし
た。株式投資家にとって、GPIFの買いが希望だったのです。
http://www.gpif.go.jp/kanri/pdf/kanri03_h22_p03.pdf

ところが政府は、公的年金基金から、09年度には4兆円、10年度に6
~7兆円を取り崩しました。11年度も6.4兆円を取り崩して、増える
年金支給に充てる予定です。

09年度からは、年金の掛け金収入より、支給額が増えたからです。
簡保と同様、国債の約10%を保有してきた年金基金も、2011年、20
12年の増加国債の大きな買い手になるこことはできないでしょう。

以上のように、郵貯(国債保有 147兆円)、簡保(同69兆円)、年
金基金(同79兆円)は、同時に資金源が減るので、今後の増える新
発国債の引き受け手であることは相当に困難です。

(注)国債を担保に差し出して日銀から借り、その借入金で国債を
買う手段はあります。しかしこれは、事実上、日銀による国債の引
き受けと同じです。

以上の事情つまり公的金融機関が、増加していた国民からの預かり
金で、国債を買うという構造は、すでに終わっています。後は、民
間の生保と、民間銀行が国債を増加買いするしかない。それと、個
人は相続税の無税国債(ただし金利はゼロ)でしょうか。

■4.民間銀行と生保が国債を買う

民間銀行は約100兆円の、生損保も約100兆円の国債を保有していま
す。銀行(119行)の合計貸出金は、416兆円です。貸し出しは増え
ていません。増えたのは債券運用で、その中でも国債です。

【2011年3月の銀行勘定:銀行協会】
総預金   583兆円(前年比 +16兆円)
貸出金   416兆円(前年比 ―18兆円)
http://www.zenginkyo.or.jp/stats/month1_01/index.html

1年に、預金が16兆円増加した。増加したのは、現金給与が増えて
いない世帯預金ではなく、利益からの設備投資を抑制した結果の企
業預金(特に大企業のキャッシュフローの増加)です。

他方、貸出は1年で18兆円減った。他の運用額(株、債券、海外投
資)が同じなら、日本国債の買い余力は、16兆円+18兆円=34兆円
(年間)あります。

国内貸し出しの平均金利は1.55%(11年1月:日経新聞統計欄)と
低い。

416兆円の貸し出しに対し、最低でも、1%(4兆円)は見なければ
ならない貸し倒れ損失(またはCDS費用)を引けば、0.55%(2.3兆
円)の業務粗利益でしかない。

銀行の事務経費は、手間がかかる貸し出しなら約1%(4兆円)はか
かります。1%の回収損想定を見込めば、平均1.55%での貸し出し
は赤字でしょう。

他方、10年債で1.19%の低い利回りであっても、国債は確実に利益
が出ます。売買の事務経費もわずかで金利の1.19%が、ほぼ純益に
なる。(注)国債価格の下落(=金利の上昇)がないとき。

金利が上がって国債価格が額面を割っても、途中で売らず満期まで
もてば、額面金額の100%の回収ができます。回収リスクはない。
これは、貸し出しをしている民間保険会社も同じです。

日銀のゼロ金利策を原因に、貸し出し金利が1%台と低い時、そし
て当面、市場金利が上昇しないと思われる時期は、企業融資(リス
クが高い中小企業向け)は約定で回収し、追加貸し付けをせず、生
まれる余剰資金で国債を買うほうが銀行利益にとっていい。

以上の判断と行動が、総預金583兆円(前年比 +16兆円)、貸出
金416兆円(前年比 ―18兆円)の意味です。(注)これではGDPは
増えないのですが・・・

金融危機(1998年)以降の民間金融機関は、預金を集めて融資をす
るという本来の機能を失っています。融資を減らし、国債を買う機
関になった。増加預金の分の運用は、ほぼ100%を国債にした郵貯
に似ているのです。(注)中小企業への融資は、政府系金融機関に
振り替わっています。

■5.ところが、国債に対するCDSの料率が1.2%に上がった

CDSは債権の回収を保証する保険です。CDSのプレミアムが5年もの
国債(中期債:金利0.529%:11年4月)で1.2%ということは、CDS
を買えば(保険を掛ければ)、0.7%くらいの赤字になる。

歴史的に言えば、2008年は、日本政府の5年債のCDSは、0%~20べ
ーシスポイント(0.2%)でした。リーマンショックの時、一時的
に、世界のCDSの高騰の余波で1.2%に上がりました。

その後は、0.4%から1%付近を波動していました。
3.11の大震災以降、再び1.2%に高騰しました。(FT紙11.04.15)

理由は、日本政府が負うべき復興資金が(日本政府が言うより)は
るかに巨額でありという見込みからです。一般に、国債の金利も、
CDSの料率以上に上がらねばならない。そうすると、本来は中期金
利で1.5%以上、10年ものの長期金利では3%付近になるはずです。

▼金利が低下見込みという異常

今、わが国の債券市場では、逆に、長期金利は下落傾向です。なぜ
こうした異常が起こるのか。理由は、日本経済の苦境に対し、日銀
が更に金融を緩和し、債券市場で国債を買って資金供給するだろう
という見込みからです。

米国の、昨年11月からのQE2($6000億の国債の直接購入)とは方
法が異なりますが、事実上、日本版QE2を日銀が行うという期待か
らです。

日銀の追加資金供給(市場の債券買い)で、金利が1%付近に下が
れば、1.3%の発行利回りだった10年債の市場価格は以下のように
上がります。

国債価格=(1+表面利率1.3%×残存期間10年)×100÷(1
+期待長期金利1.0%×残存期間10年)=113÷1.1=102.7

100億円の長期債の時価が102.7億円に上がって、2.7億の利益が出
ます。(注)金利が上がったときは、同じ計算で損をします。

以上が、融資を回収して、1年に30兆円余の余剰資金を抱えた銀行
と生保の行動でしょう。将来リスクを顧みず、判断した決定に思え
ます。

銀行・生保が30兆円の国債を増加買いしても、2011年度は、約50兆
円の国債増発があるので、20兆円が不足します。買うのはどこか?
 日銀以外にないでしょう。

■6.日銀による、資金供給の有効性の根拠

日銀は、震災前の2月末には76.8兆円の国債を保有し、国債保有額
に見合う78.8兆円の現金紙幣を発行しています。現金の担保になっ
ているのが日本国債です。

通貨は、日銀が発行していますが、日銀のバランスシートから見る
価値の構造から言えば、無金利の1万円札は「政府紙幣」と同等と
言っていい。

他に、貸し付け金が44兆円(日銀の資産)です。これは、金融機関
が預け、日銀の負債である日銀当座預金(18兆円)と、同じ負債の
売り現先勘定(25兆円)の合計と見合うものです。

売り現先とは、わかりにくい用語ですが、「一定期間後に買い戻す
という条件付きで、一時的に国債を金融機関に売ったもの」です。
この売り現先で、日銀には現金が入りますが、売った国債を買い戻
さねばならないので負債勘定になる。

以上のようなバランスシート構造で申し上げたいことは、何か?
通貨発行は、日銀の信用(資産)で行われているのではなく、政府
の財政信用によるものだということです。日銀に、通貨発行を行え
る信用があるわけではない。これは、世界の中央銀行に共通です。

日銀の資本金は、明治以来同じ1億円にすぎず自己資本も5.8兆円(
総負債130兆円のわずか4.5%)しかない。

震災以後、日銀は、緊急対策として総資産を142兆円に増やしてい
ます(11年3月31日)。昨年の3月末(総資産121兆円)に比較すれ
ば21兆円(+17.3%)の資金供給の増加です。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2011/ac110331.htm/

日銀が、それ自体で100兆円や150兆円の自己資産(純資産=資産―
負債)をもつのなら、政府が発行する国債を買い取って。政府に資
金供給することに意味はあります。

ところが、日銀は、資産の構造から政府部門です。政府部門が発行
する国債を、政府部門である日銀が買うことは、資金の供給とは言
えません。

例えれば、A家のご主人が発行した借用証(家族債)を、奥さんが
買って、裏書きサイン紙幣を作るようなものです。

その紙幣で、政府(A家)が予算とした経費を、隣に家(B家)に支
払う。隣人(B家)はA家を信用し、紙幣の将来価値を信用する。中
央銀行による紙幣の増発が信用されるのは、こうした構造からです

1万円の紙幣の、将来信用とは何か? 
1年後も、1万円の商品の購買力があるということです。

紙幣の増発で、購買力が高まり、物価が5%上がって1年後に買える
商品が9950円分にしかならないと思われるときは、どうなるか? 
紙幣に1年で5%(50円)の金利をつけねば、価値が信用されないで
しょう。つまり金利は、物価の期待上昇率以上でなければならない
のです。

(注)日本では、商品購買力より供給力が高く、賃金も上がらない
デフレ状況なので、期待物価の上昇率(CPI)がほぼ0%です。

このため、まだ日銀が紙幣に金利をつけず発行しても、価値がある
として、商品を売る人が受け取ります。1.1%の超低金利国債が、
金融機関に売れているのも、同じ理由です。物価の期待上昇率が、
まだマイナスだからです。(注)2011年の期待物価上昇率は-0.1%
です。(FT紙:11年3月時点)

以上から、50兆円の国債増発に対し、銀行と保険会社が30兆円を買
い、日銀が20兆円を買うことが可能かどうか。総資産・総負債は16
2兆円に膨らむことになります。今より20兆円の信用の増加、つま
り紙幣増発と言っていい。

これを検討せねばならない。これが可能なら、日本のGDPの低下は
、阪神・淡路大震災の後の再現で、避けることができます。公共投
資と復興需要が、GDPを押し上げるからです。

■7.QE2の後の米国経済と米ドル

▼世界は物価上昇

今、日本以外の世界は、日本から見ればまるで別の風景でインフレ
です。

各国の物価上昇率(CPI)では、
(1)米国2.7%
(2)中国5.4%;香港4.6%;インドネシア6.7%;マレーシア2.9
%;タイ3.1%;インド4.6%;
(3)英国3.4%;PIIGSの国債危機のユーロでも2.7%;東欧で1.7
~4.5%
(4)ロシア9.4%;トルコ4.0%;アルゼンチン9.7%;ブラジル6.
3%;アラブ圏4.3~11.5%・・・です。(英エコノミスト誌:11.
04.30)

物価(CPI)のこうした上昇は、金利の上昇に向かう動きです。第
二次石油ショックの1980年代に歴史が戻ったような、世界の物価上
昇です。

【1980年に似ている】
国境付近の油田の争奪から起こったイラン・イラク戦争で、原油と
資源が高騰しました。イランでは、親米だったバーレビ国王が追放
され、ホメイニ師が主導したイスラム革命(シーア派)が起こって
います。

(注)チュニジア、エジプト、リビア、バーレーン、シリア、そし
ておそらくはサウジアラビアとも続く反体制の動きは、当時のイラ
ンと対比できます。

ゴールドの高騰も1980年でした。この時も「米ドルの下落」が、原
油と金高騰の原因でした。その後の1980年代は、物価上昇を抑える
ため、各国が金融を引き締め、高金利の時代になったのです。

▼FRBのドル印刷(形態は、コンピュータ数字の振り込みです)

今回の日本を除く世界の消費者物価上昇の原因は、リーマンショッ
ク以降、米国FRBが資産・負債を2倍にし、ドルを散布したからです
。そして追加で、QE2の$6000億の米国債買いを行った。

つまり、米国が$1.5兆(120兆円)を、世界に向かって増加散布し
た。米系の金融機関とファンドは、この金融救済対策の資金を得て
、低金利のドルのキャリー・トレードしています。ゼロ金利の$短
期資金を借り、金利の高い国の株、債券、商品先物に投機したとい
うことです。

【円は高騰】
このドル・キャリーは、ドル売りで他国通貨買いになる。このため
米ドルの、世界の主要通貨に対する実効レートは、史上最低に下が
っています。

経済状態が、世界でもっともよくない日本の円が、$1=80円付近
とドルに対し、史上最高価格になっているのも、ドル売り・円買い
のためです。

【日本株】
1日2兆円の日本株の売買のうち、今は1.3~1.4兆円分をガイジンの
売買が占めています。(注)国内の個人・企業・金融機関の売買だ
けだったら、日経平均は6000円付近に下がったでしょう。(今日は
9864円:11.05.11)

日本株の底支えを果たしたのが、ガイジンの買い超です。最近では
、売買の60%を超え、70%がガイジンのオフショアからの売買にな
っています。

【ドル印刷】
FRBが刷って、金融機関とファンドを通じて世界で増加したドル(
ホットマネー)は、資源価格の上昇ももたらし、逆にドル価値を下
げています。過去に述べたように、金の高騰は、米ドルの実効レー
トの低下に比例しています。

2010年秋以降は、FRBが$6000億の国債を直接に買ったことが、ド
ルの価値を下げることになったと言えます。

【FRB】
米政府(主人)が発行する1年に100兆円(GDPの10%)の$国債が
、国際市場で思うように売れない。このためFRB(奥さん)が$600
0億(48兆円:GDPの4.8%)分を買い、ドル紙幣に裏書きしたので
す。

これが、ドルを増加させドルの価値を下げた。
その結果、世界の物価が上がったと見ていい。
米ドルの実効レートはこの1年で、17%も下がっています。

この間の国際コモディティの加重値の上昇は、279.5(2010年平均
)から370.6(11年4月末)です。32%上がった。(注)ロイター・
ジェフリーズCRB指数

▼日銀の円国債買いは?

日銀(奥さん)が、政府(主人)の50兆円規模の赤字(GDPの10%
)に対し、20兆円(GDPの4%)の紙幣増発に裏書きすればどうなる
か? 米ドルが2010年から2011年に売られたように、2011年の夏こ
ろから、世界の円売りが起こる可能性があります。

円売りは、長期金利が3%に向かうであろう円の金利上昇であり、
輸入物価(資源・商品)が上がるインフレでもあります。(注)今
の日本のように、通貨が高い国の物価は、上がりません。

日本の長期期待金利が3%に向かうと、どうなるか?(米国は今3.3
6%:ユーロは3.27%)

【政府債務の大きさが日本の問題】
問題は、GDP比で2倍に増えた政府債務です。1000兆円と仮定します
。長短の平均残存期間は6年くらいでしょう。今1.2%の期待金利が
、3%に上がったと仮定します。これは、好況だから資金需要が増
えて金利が上がる「いい金利上昇」ではなく、国債リスクの上昇に
よる「悪い金利上昇」になります。

国債価格=(1+表面利率1.2%×残存期間6年)×100÷(1+期
待長期金利3.0%×残存期間6年)=107.2÷1.18=90.0です。

1000兆円の政府債務の価値が、900兆円に向かい下落します。これ
は、国債をもつ金融機関の自己資本を消す含み損になって、米国の
、サブプライム・ローンを起点にしたリーマンショックのような、
信用危機になるでしょう。リーマンショックは、米欧の金融機関の
約500兆円の損失でした。

GDPの10%(50兆円)の国債を発行することによって生じる悪い金
利上昇は、(PIIGS並みと言わないまでも)損失を怖れた金融機関
からの、保有国債の売りを生むので、数ヶ月の短期で起こる性格が
あります。

【CDSと国債先物の売りの怖れ】
以上が見込まれるようになると、ヘッジファンドは、どういった行
動をとるか。PIIGS国債を自分がもたなくても、PIIGSの国債にCDS
を掛けて、相対で買った行動と同じです。

CDSの保証料(1%や1.2%)が欲しい金融機関はCDS(保証保険)を
引き受け、保険料を得る。その代わり、契約期間内での国債の下落
を保証する義務があります。

他方、CDSを国債価格の1%や1.2%で買ったヘッジファンドは、1%
または1.2%の保険料を払う。契約期間内に、狙いどおり国債価格
が下落したときは、「国債の下落分(仮に10%)―支払った保険料
(仮に1.2%)」の利益が出ます。

サブプライム・ローンの流通価値下落のときも、同じでした。保証
を見込んでCDSを買う。CDSの買いは、国債の先物売りと同じ効果に
なります。

保証保険を買うことは、財政破綻の可能性(=金利上昇)に賭ける
ことです。CDSのプレミアムを上昇させ、金利を上げて、国債価格
を更に下落させます。円価値の下落と同時に、金利の上昇が起こる
のです。

恐らく、本稿で描いたように、2011年度で必要な50兆円の国債発行
が、債券市場では売れにくく、QE2のように日銀が買って、金利上
昇の気配があると以上のような動きになる可能性が高い。

【対策】
じゃ、どうするか? 日銀による引き受けではなく、日本がもつ外
債(主は米国債)売りです。その資金で、日本国債を買う。

政府の外貨準備($1.1兆:88兆円)のうち、$2500億くらいを売
ればいい。米国FRBに、売るのがいい。FRBは、6月以降、たぶん確
実に、更に国債を買ってドルを増発するQE3(予想規模$5000億)
を行う予定に思えます。日本経済を救うには、この手段しかないよ
うに思えます。

【ビジネス知識源プレミアム・アンケート:感想は自由な内容で。
以下は、項目の目処です。】

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