米国株、日本株、通貨が連動して動く理由
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もっとも新しい有料版のプロローグ部の10枚くらいに説明を加えて
修正し、14枚に増やしたものを送ります。

プロローグに続く本編のテーマは、下がった米国株に連動して、な
ぜ瞬間に日本株が下がり、日本株上昇にともなって。なぜ円高に動
くのかです。

不思議な現象ですが、とりわけ2008年9月からのリーマン危機のあ
とマネーが増された状況の中で、こうしたことが起こっている理由
の、株と通貨の売買からの究明です。株も通貨も、買いが超過すれ
ば上がり、売りが超過すれば下がるからです。なぜ、売りが超過し
たり、買いが超過する時期があるのか。

           *

歴史的だった酷暑から、10月になると、秋の気候になっています。
人は、直近のことになじむのか、薄れた記憶になった2か月前の暑
さは、フランス語の単純過去になります。現在に関係がない一回き
りのことを表すのがフランス語の時制の単純過去です。

【言葉の時制は、歴史への意識を表す】
フランス語の半過去は、英語の現在完了形(have+過去完了形=過
去を所有)のように、現在までつらなる過去です。一方で、単純過
去は、日本語にはない、観念の記憶の時制であり、われわれの歴史
感覚にも、影響を及ぼしています。(注)人の記憶は概念であり、
言葉になっています。

そういえば、私の卒論は、「サルトルの『嘔吐』における時制の研
究」でした(・・・思い出すだけで気恥ずかしい・・・)。仏文科
ながら、翻訳哲学と小説を読み、フランス語は達者ではなかったの
で、1語1語、訳本や辞書と対照して読みました。

フランスの駅、タククシー、レストラン、お店、あるいはホテルで
「ごちょごちょ」話すので、家人は「この人はフランス語ができ
る」と思い人にもそれを言いますが、本当は初歩の会話だけです。
ゆっくりなら読むことはできますが、会話はスピード・ラーンニン
グの域に達していません。

論文のテーマの理由は、サルトルは「源氏物語」の日本人とは違う
歴史への意識をもっていると考えたからです。言語は概念であり、
その言語圏の人々の共通思想です。源氏では、過去は、漂うように
現在と混じり、未来の線的な時間ではない。

明治以来の日本の150年で、理解した人は数百人もいないと思われ
る『純粋理性批判』の中で、カントが悟性の働きとして分類したの
が、この「概念」です。

概念は、言葉が表す表象(シンボル)であり、概念の学は、その意
味を知る人が少ない「形而上学」と呼ばれます。「形」が現象です。

わが国の般若心教では「色」が形(=現象)でした。形をもってい
るものが色だからです(カントではこれは空間です)。形のあるも
のは、諸行無常であり、いずれはなくなる。それで、色即是空(形
あるものは滅びる)とされた。

仏教的な時間には、一瞬と無限の区分がないように思えます。だか
ら、持続の時間をもつものも、栄耀栄華は一瞬として、諸行無常や
色即是空とする。

カントは、3次元の空間と時間を、われわれの認識の形式(必須の
枠組み)としましたが、仏教では、空間は「色(しき)」としてあ
っても、時間は一瞬で流れる。

おそらく、死の側に自分を置いて、向こう側から、現世と自分の人
生を見ると仮想したからです。このため、帰依を出家(現世からあ
の世への遁走)と言った。死ぬ瞬間には、80年の時間も記憶のなか
では一種だからです。

「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」、
秀吉の辞世の句。死の淵では。夢のような一瞬が人生という。

形而上学の「形」は仏教が「色」とした現象のことです。形而上学
は、「形(=現象)の上にある、見えないものや神」についての学
です。つまり概念、イメージ、観念、頭、心についての学です。

唯物論がベースにある科学思想では、物理の現象はあっても、形而
上学はなくなっています。このため、われわれは、古代ギリシアと
西欧中世の形而上学を知らない。科学思想が、われわれの暗黙の前
提になっているからです。これに抵抗し、芸術家の観念を言ったの
が、わが心の師、小林秀雄でしょう。

概念としての神は、五感では実証できないから、科学的には「存在
するとは言えない」しかし、ないことの証明(悪魔の証明という)
はできない。

どこかの天空に、存在するかも知れない。神という言葉とともに、
人がイメージする概念(形而上学)としては存在します。

神の存在を信じる宗教は、形而上学です。天皇が宮司である神道で
は、神は自然です。圧倒的なカナディアン・ロッキーやグランドキ
ャニオンに行って、神道が神として概念したのは、汎神論になる自
然だったと得心したのです。

【6つの言葉をもつ「概念」について】
小説は、言葉でつまり概念で、書かれたものです。新約聖書(ヨハ
ネの福音書)にある、「始めに言葉があった」というときの言葉で
す。いろんな解釈はありますが、キリスト教では、神の言葉で世界
が作られたという。自然ではなく、言葉だった。このため、言葉の
概念学だった形而上学が発達したのでしょう。

言葉の概念の、科学ではなく人が思い浮かべる共通の意味を表すの
が、近代化からの辞書です。「窓」と書く。窓という言葉(=概
念)は、具体的(これを現象という)な多くの窓から「抽象化され
た表象(シンボル)」です。人間は、動物ができない抽象ができる。
このため、商品価値をマネーで表すように、言葉はアルファベット
や漢字の記号であらわす。

「窓」という言葉で、われわれの頭に浮かぶ窓の概念は、サルトル
的なイマジネーション(カントでは悟性)がもたらすシンボルでし
ょう。

このため、優れた建築家が、今はどこにもない「理想的な窓」を、
イマジネーション(悟性=観念を作る能力)を使って、設計書を書
くことができる。経営では、これを構想力と言っています。

イマジネーションが生む概念、シンボル、構想、観念、そしてビジ
ョン、あるいはイメージが、人間が作った経済と芸術を進歩させて
きました。

この6つが示すものは、頭の中のニューロンが作るイメージとして、
科学的には全部同じものですが、文学が究明する語感は違います。
AIの深層学習は、ニューロンの働きを、ICがまねた回路です。

概念には、類似していて、その差が分からない言葉が6つもあって
違うので、人びとに混乱を引き起こし、本を読むとき、または話を
聞くときの理解の障害になっています。書く時も混乱します。理解
とは、論理的な認識に至ることです。われわれの認識方法が論理で
す。

【仕事でのビジョンと目標も概念である】
そして「人の役に立ち、買われるものを作って」、お金を得る仕事
においても、「ビジョンや目標づくりと実行」に際しても、障害が
起こっています。仕事を「事に仕える」と書くのは、仕事は人の役
に立ち、評価されるものを作って売ることだからです。

品質と機能が優れ、より役に立つ商品が、商品価値が高い。商品価
値が価格より高いとき、多く売れる。これを目的に行うのが価格の
ディスカウントです。

職業画家が新作を描くとき、作曲家が新しい曲を作るとき、彫刻家
が彫刻するとき、頭には最終型のイメージがあります。これは商品
づくりと同じです。

到達イメージは、作る過程の「モノ」との格闘で修正され、より確
かなものになっていくときと、そうでなく作ったものと合わないと
ころをもつことがある(イメージとの差)。できたものが、イメー
ジの最終型に合致していない。

だからつぎには、また新作を作って、そのイメージに接近していく。

教会音楽(または神の音楽)の作曲家だったバッハは、人間が至る
ことにできる最上の音楽を作った(・・・と私には思えます)。聞
き手(顧客)として「全能の神」を想定していたからでしょう。細
部をゆるがせにしたものは、一曲もないと思えるのです。

そのうちでも最高は、アリア(抒情的なテーマ)と30の変奏からな
るゴルドベルグ変奏曲でしょうか。グレン・グールドの演奏で、カ
ナディアン・ロッキーの、神道にとっては自然神になる青く透明な
湖を想ったのです。

芸術的な創造には、原風景があると思っています。ピカソにとって
原風景は何だったか、これは、未だに分からない。東京と京都で2
回見た、藤田嗣治では、日常の身近な、ありきたりの事物であるよ
うに思えます。繰り返し、使っていたマッチ箱、絵筆、皿を描いて
います。画家は、事物を、飽きずに数時間も熟視し、その本質を網
膜に焼き付け、絵具と絵筆という手段で表現しています。

職業芸術家の仕事は、新作の継続です。新作を作らなくなったとき
は死です。当方にとっては、買ってもらえる野菜を作る農家の農業
のように、買って読んでもらえる原稿を書いて、経営と仕事を理解
してもらえるよう、話すことです。耕すのは、畑ではなく脳です。
情報を入れ、論理を考える、これが耕すことでしょう。

新作を書く小説家も同じです。職人が、新しい優れた商品を作ると
き、その商品イメージも、芸術家と同じ目標になるものです。

【「目標による管理が経営」だとしたドラッカー】
ドラッカーは、経営を描いた本で、到達目標になる理想的な概念を
「ビジョン」とし、そのビジョンを年度化して目標にした管理、つ
まりMBO(目標による経営(=管理))を提唱しています。

「自分のイマジネーションや悟性の概念にはある、理想的なりんご
を描く」、これが、芸術の歴史でしょう。一例が、ゴッホの、その
人の本質的な個性を描いたように見える「郵便配達人」でもありま
す。りんごは、風景に、そして人物になる。

哲学の言語の自己訓練をしていたドラッカーは、日本でとくに多く
読まれる人気のある経営学者です。経営理論を作った学者より、社
会・経済思想の叙述家としたほうが適当でしょう。

ドラッカーの「経営」という概念も、西欧中世の形而上学(=現象
ではなく概念の学)を知っていることが前提で書かれたカントの
『純粋理性批判』とは別の意味で、理解している人は稀でしょう。
形而上学を超える近代化が、カントの純粋理性批判でした。

【現象と概念】
概念ではなく、経済の現象についての学は、例えば経済学です。
モノの現象にある数学的な論理を極めるのは、物理学でしょう。政
治の原理を、歴史的に追求するのが政治学、人体の健康と正常な生
活を阻害する病の原理を追求するのが、医学でしょう。

文学は、言語が表すことの研究でしょうから形而上学に似ています。
歴史学は、人間それもリーダーの過去の行動の研究です。

経済におけるマネーは、「商品価値の表象(シンボルや概念と言っ
ても同じ)」です。商品価値とその表象には、具体的な形がなく、
紙幣が表す表象である信用通貨の学はない。1万円札などの紙幣は
マネーの現象型です。紙幣が表す、目に見えない1万円の価値がマ
ネーです。金とは違い、紙そのものには価値はない。

事物からの抽象(=形而上学)である「表象」を理解しない猿や羊
は、1億円の紙幣を、紙の束としか認識しません。人間は、社会の
中で商品を交換ができる経験をして、1億円の紙幣は1億円の商品と
交換ができると知っています。このため数字が印刷された紙が価値
をもつ。

商品や資産との交換で、紙幣を受け取る人は、その紙幣で、別の商
品や資産を買うことができると信用しています。他の人が信用する
から、自分も信用するというメビウスの輪のような循環信用のもの
がマネーです。

社会の、この共通意識の中において、無人島に漂着したロビンソ
ン・クルーソーにとっては無価値になったマネーの価値が、表象さ
れているからです(無人島では他に人がいず、社会がない)。

現象を生じさせる形式(枠組み:認識のパラダイム)が、三次元の
空間と時間であるように、社会と時間は、マネーが意味をもつ形式
です。社会と時間がないと、マネーは価値を表象する意味をもちえ
ません。

信用通貨が、流通する社会とともに時間を条件とするのは、紙幣の
1億円は100年後には、デフレ分の価値が上がり、インフレ分は減価
するからです。

マネーは紙幣が表す価値の表象です。したがってマネーの学は経済
現象についての学(経済学)ではなく、商品価値の表象の学になり
ます(マネーの形而上学)。経済学には必須に思えるマネーの学が
まだないのは、それが表象であり、形而上学だからです。

ドラッカーの「表象としての目標」に戻ります。「到達すべき概念
としての目標」を言ったドラッカーの翻訳を、元の英文と照らし合
わせると、翻訳者自身が理解して訳しているとは思えません。翻訳
を読む人が、99%でしょう。翻訳では、概念的な言葉を自由に、ふ
んだんに使う叙述家だったドラッカーの経営学は、理解できません。
私の体験です。

翻訳では、キーワードのマネジメントも、その都度、何かの都合で、
経営または管理とランダムに訳されています。翻訳語に規則性がな
いので、理解が難しくなる。言葉を言霊としてきた伝統が長い国語
の語義に、古語、翻訳語、現代語が混じってアイマイなところがあ
るためでもあります。

このため、人類史上至高の小説とする人も多い源氏物語のテーマ、
「もののあはれ」は理解が難しい。私は、「もののあはれ」は、現
象を、和歌のように、情感で受け取ったときの感じを表す言葉と理
解しています。多くがメディアを通じ、情感のないカメラのように
モノを見るようになってきた現代語には、ないものです。この現代
語での認識は、深層学習のAIで代替できます。

村上春樹のもっとも新しい長編、『騎士団長殺し』は、AI時代に抗
して、人間がもつことのできる幻想、観念、あるいは夢に支配され
動かされる人を描くことで、怨霊も登場する源氏物語を踏襲してい
るように感じます。

小説は、客観的な科学的歴史ではなく、行動の原因になる個人の脳
に生じた主観の観念を、人の物語として、言葉で描かれます。描写
された人物が魅力的に感じて、読み終えるのが惜しく、二度読みま
した。一度目は速読、二度目は熟読です。

村上春樹の真骨頂は、言葉による描写と、斬新で切れ味のある比喩
の巧みさです。夏目漱石を漢語による描写の天才とすれば、アメリ
カ小説になじんだ村上春樹は秀才でしょう。言葉の選択と使用が明
晰です。

実証的には、空想的で奇妙なリアリティのない物語になることを、
作者は恐れてはいません。同じ人間である平安人の観念には、霊が
実在していたからです。

ノーベル賞選考委員はこれをどう評価するでしょう。奇想天外に見
えるかもしれない。新潮社が作った帯にある「渇望する幻想、そし
て反転する眺望、旋回する物語、そして変装する言葉」で意味をと
れる人は、70億人に1人もいないでしょう。

【管理と経営は同じことの言い換え】
ところで、経営と管理はどう違うのか? 管理の高級なことが経営
か。そうではない。管理職が行う管理は、対象となる部門を限定し
た経営です。管理職はManagerです。マネジャーは、マネジメント
(経営)に、成果責任を負う人です。商品担当のマネジメント活動
が、マーチャンダイジングです。

戦後の1960年代に、科学的な、標準偏差の管理だったテイラーイズ
ムの先の、目標による経営学を提唱したドラッカーのMBOが理解さ
れていないためか、日本の小売業には、「商品目標」を持っている
ところは稀です。

一方、トヨタなどの製造業は、「新車や新商品」という形で、毎年、
商品目標を作り、その仕様書で新車を作っています。新車によって、
売上が作られるからです。

同じものを作ってきた中世の職人とは違い、自動車会社が、毎年・
毎期、新車を作るのは、過去の新車に競合する他の会社の新車が現
れるからです。中世の職人生産では、ダイナミックな新商品作りは
なく、古くからある伝統的な商品の踏襲でした。

新商品の競争である市場社会では、常に価値(商品価値=顧客にと
っての機能・品質÷価格)を高めた新車を作り続けねばならない。
トヨタも、新車をつくらなければ、数年後には過去の資本の蓄積を
失って、倒産します。他の全部のメーカーも同じです。

【概念としての、新商品の仕様書】
エルメスが頂点のブランド衣料も、同じです。エルメスも他と価値
の差異化を計った新商品を、作り続ける。新商品が売り上げを作る
からです。新商品は、設計の段階では、仕様書です。

仕様書は「作る商品を、言葉と数字で表した概念」です。仕様書発
注とは、商品の設計図での発注です。これは、ニトリやユニクロの
商品担当が、中国で行っていることです。

【小売業の商品目標】
小売業も「売上目標だけではなく商品目標」を持たねばならない。
売上は、陳列された商品の価値(=機能・品質÷価格)の高さの、
結果だからです。

決まった商品を売っているセールスマン以外では、売上は、目標に
はなり得ない。たくさんの種類の商品を構成し(商品構成)、買い
やすいような陳列して売る小売業では、顧客にとって価値の高い商
品(=新商品)作りが、仕事の目標でなければならない。PB商品、
商品構成、POPの言葉とクリンリネスの陳列は、店舗の創造物だか
らです。

【開発輸入になった】
ニトリやユニクロは、開発輸入で毎年の商品目標を作って、中国や
アジアの工場に仕様書を渡し、委託生産をしています。中国やアジ
アの工場は、OEM(相手ブランド)の生産を行っています。アップ
ルも委託生産である点で同じです。

わが国の小売業は、1980年代までメーカーの新商品からセレクトし
て(これが商談)仕入れ、陳列すればよかったので、「マーチャン
ダイジング(=商品化活動)における商品目標という考え」そのも
のが、なかったのです。

ダイエーとシアーズは、目標とした商品の価値〔(機能+品質)÷
価格]に、高度化のマーチャンダイジングなくなったあと、時間を
おいても結局はつぶれています。

小売業も、自動車メーカーのように、商品目標をもって新車を作り、
ユニクロやニトリ、アップルのように、商品価値(品質÷価格)を
高め続けなければならない。その考えが、90年代のダイエーと、
00年代のシアーズにあったでしょうか。

(注)商業界に依頼され、1970年代は栄光の頂点にあったシアーズ
が破産した真の原因は何かを、今日、深いところから書きました。
1980年代からは、顧客にとってより、商品価値の高い新商品を作り
続けるマーチャンダイジングが、その目標を失ったことです。

【生鮮は、スーパーのPBである】
年間25兆円と消費需要額がもっとも大きな生鮮商品の販売が60%か
ら70%の小売業は、スーパーマーケット(SM)です。

SMの、販売商品としての生鮮(青果、肉、魚、総菜)は、自社で作
ったPB商品(自社の固有商品)です。青果と生産物は、農家が栽培
し、収穫しています。

しかし、店舗で売るための商品化は、農家、漁師、農協、漁協、市
場が行うのではない。店舗が調理や加工をして、または単位化し、
パッケージして商品化しています。その商品をアソートメント(陳
列=品揃え)して、販売する。

【PB作りがマーチャンダイジング】
生鮮のPB商品の開発では、「価格内で理想に近づく商品目標」を持
たねばならない。これを「マーチャンダイジング」と言っています。
訳せば、「その価格での理想の商品に近づく開発活動」です。

PBの価格ではない商品価値が高ければ、インターネットの仮想店に
売上を奪われることはない。PBは、店舗の固有商品だからです。ど
こでも売っているレベルの商品価値なら、年間3%くらいずつイン
ターネットに奪われるでしょう。

国内100万店のうち90%の小売業は、これを行っていません。わが
国の生鮮食品のマーチャンダイジングでは、著名だったコンサルタ
ントによる、米国のスーパーマーケットは生鮮をグロサリー化する
という誤った解釈のため、誤解が蔓延していたからです。(ダイ
エーがつぶれた最大原因がこれです。言いたくないことですが、あ
えて言います)。

仕事の方法としてのMBO(目標を作って、到達度を計り、対策を作
って実行)も理解されず、アウトプット・マネジメント(いわば出
力帳票経営)として、商品価値の結果である売上金額の管理しかし
ていなかった。

売り上げがいい、または悪いという「商品価値の他店との競争の結
果」を見て、じゃ、今度はこうしようという経営です。「理想的な
商品に近づくマーチャンダイジング」は弱かったのです。

【例外がセブンイレブン】
グロサリーを含む全商品を、頻回の店舗配送をする生鮮並みに扱う
ので、指導を受けていなかったセブンイレブンは、本部の商品担当
が、毎年レベルを上げ、その価格内での理想の商品に近づくための
マーチャンダイジングを行ってきました。

80年代まで800円だったお弁当を、セントラルキッチン方式で90年
代には600円、2010年代は400円以下にしても、風味と品質は高め、
最初に価値創造をし続けたのが、セブンイレブンです。低価格のフ
ァミレスのメニュー価格は、セブンイレブンの価格を追ってきたの
です。

国内で2万6000店、海外で4万6567店になり得た理由は、「日常食で、
新しいコンビニエンスの価値を作る」マーチャンダイジング活動が、
他より強かったからです。

理想に近づく新商品開発のマーチャンダイジングの面では、ローソ
ンは、一歩も二歩も、遅れています。セブンイレブンを価値で上回
るPB商品を作るという考えがない。このためマーチャンダイジング
の結果である年間売上では、セブンが1店平均2億4000万円、ファミ
リーマートが1億7000万円(セブンの71%)、ローソンが1億6000
万円(同67%)です(2016年)。

ローソンは1日の客数で、33%少ない。このため、消費期限の短い
弁当や総菜に必要な頻回の棚補充は、地方では、平均で2回にとど
まって(配送頻度を増やせず)、その分、弁当・総菜の比較鮮度が
劣化ます。

同じ業態(販売方法を言う)での、売上の大きな差、つまり集客力
の差は、新商品開発のマーチャンダイジングの差(商品価値の差)
から来ています。アイマイに「商品力」と言われるものの中身は、
高い到達目標をもった、新商品開発のマーチャンダイジングのこと
です。

【商品力が原因、売上は結果】
商品力の結果が、集客によってできる売上です。売上という結果は、
目標にはならない。売上は、決まった商品を売る保険のセールスレ
ディや、セールスマン以外では、経営管理の目標にならない。PBを
作る小売業の目標は、「商品価値の目標」でなければならない。そ
れは、今日の仕様書であり、明日の仕様書です。

セブンイレブンは最も多く理想に接近する新商品開発を行い続けて
います。このため「結果」として、陳列定番の期間は、長くても、
数か月と短い。6000品目の本部商品(店舗はセレクトして2600品
目)で、絶えず「価値の目標をもった新商品開発」を続けているか
らです。

客は、自分の判断で、自由に店舗を選んでいます。コンビニでは車
でほぼ5分、SMでは15分の商圏内で、商品価値が高い商品が多い店
舗を選んでいます。同じ品目数の陳列で、売上が33%も違うのは、
顧客が決める商品価値の差から来ています。

【モニター制が必要】
小売業では、自己満足ではない商品価値を、実際に買って使う(あ
るいは食べる)顧客に問うため、消費者モニター制が必要です。顧
客に、「他店と比較し、あるいは求める機能や品質と比較して、正
すべき欠点を聞いて、正すこと」がモニター制です。

父との路線対立のお家騒動だった大塚家具の、顧客からの評価は、
「ニトリより数段高い価格のニトリになった」ということでした。
しかし売る商品のマーチャンダイジングの修正は行われなかった。

コンサルタントを多数入れても、「その価格での理想の商品の開
発」という本質問題への着手がなく、ニトリに対抗して、ニトリよ
り商品価値の高い商品を作るための開発輸入は進展せず、行うこと
がなかった。

ニトリに対し価格が高く、商品価値が劣位のため売上(集客の結果
としての売上金額)は減り、売上収益が経費を上回って資金不足
(これを赤字という)になり、貯めていた200億円のキャッシュが
枯渇間近にまで減ったのです。

ドンキホーテの顧客評価では、「肉が安かったので買ったが、食べ
ると不味かったので、もう買わない」というものが多かった。その
声を、社員は察知していた。ドンキホーテは、自分だけでは、「生
鮮と肉のマーチャンダイジング」は解決が難しい課題と判断し、生
鮮の仕入れルートをもつ、名古屋が本拠のユニーとの合併を選んだ
のです。経営者が、利益が上がるまでの売上を作るのは、他店比較
での商品価値が高いマーチャンダイジングと知っていたからです。

            *

本稿のテーマは、「米国と日本の株価、そして通貨が連動する理
由」です。国の経済も、企業の利益も違うのに、株価と通貨は連動
しています。不思議なことです。なぜこの不思議なことが、特に、
2008年のリーマン危機のあと特に強く起こっているのか。

経済紙は、米国ダウが上がったので日本株も上がった。下がったか
ら下がったと、論理的には理由にならない情緒的なことしか述べま
せん。「連鎖」という言葉がそれです。なぜ連鎖しているのか。

米国ダウが上がったので日本株も上がったという説明に、納得がで
きますか? 日本の株価が上がるとき、ほぼ100%円が売られて
(ドルが買われ)、円安になる理由もわかりますか?

私には、わからなかったので、調べました。結果を書きます。
時間的にも経済の最先端が株価と通貨だからです。実体経済は、株
価と通貨(外為での交換価格)の後を追います。マネーが約6か月
は先を予想して動くからです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <965号:米国の株価、日本の株価、通貨が連動する理由>
      2018年10月17日:有料版

【前編:目次】
1.米国発の株価下落(2018年10月10日)の原因をたどる
2.上げも下げも、米国株と日本株が連動する原因

【後編:テーマ】
■日本株が上がるとき、円安(ドル高)になる理由の追及

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.米国発の株価下落(2018年10月10日)の原因をたどる

2万6430ドルだった10月9日の米国ダウ(優良産業株30種の単純平
均)は、2日後の11日には、2万5052ドルにまで1378ドル(5.2%)
急落しました。

時間をおかず、日経平均は、2万3506円から2万2590円へと915円
(3.9%)下げています。

とりわけ2008年9月以降、米・欧・日・中で合計2000兆円のマネー
(中央銀行の負債=ベースマネー)が増発されたリーマン危機のあ
とは、日本の株価は、上げも下げも米国株に従属しています。

日経平均の1日で3.9%の下げなどは、たいしたことはないと見ては、
いけません。信用売買、あるいは先物の売買やオプションで、30倍
のレバレッジを掛けている人にとっては、差し入れていた証拠金の
「3.9%×30倍=117%」の損が一瞬で生じて破産します・・・(後
略)

・・・無料版は、ここまでにさせていただきます。続きの有料版の
全体は、以下のページで申し込めば購読ができます(↓)。
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】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
3.疑問点、ご意見はありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
5.差し支えない範囲で、あなたの横顔情報があると、テーマ選択
と内容記述の際、より的確に書くための参考になります。

気軽に送信してください。感想やご意見は励みと参考になり、うれ
しく読んでいます。時間の関係で、返事や回答ができないときも、
全部読みます。共通のものは、後の記事に反映させるよう努めます。

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