SCMシリーズ:SCM経営をめぐる考察(第4部)
This is my site Written by admin on 2001年10月30日 – 08:00

こんにちは、吉田繁治です。福田和也という文章家がいます。文芸
評論家の枠をはるかに超え、経済・国家論を含め、幅広く大量でし
かも高質な記述ができる知的巨人です。最愛の妻を亡くし、自死し
た江藤淳に私淑していた。

最初は、質問が多い知的生産の方法を、随想風にまとめます。
その後は、SCM経営の第4部です。

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 <Vol. 11 SCMシリーズ:SCM経営をめぐる考察(第4部)

【目次】

 1.知的生産の方法など
 2.方法が確立していない、私の方法を記述すれば
 3.当事者意識ということ
 4.SCMにおける在庫問題の考察
 5.生産性のイノベーション
 6.回転寿司:「半」受注生産のマス・カスタマイゼーション手

 7.品質を維持した上での価格低下
 8.GMROIの、指標価値の浮上
 9.連絡事項:米国先端流通業視察ツアーのホテル代割引

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■1.知的生産の方法など

▼福田和也の方法

彼は最近『ひと月100冊読み、300枚書く 私の方法(PHP
研究所)』という本を書いている。帯のコピーが、「究極の知的生
産」術。

究極かどうかはわかりませんが、かなり実践的な方法、という意味
は、実際に彼がやっている方法が述べられています。

ひと月100冊と300枚(400字詰め原稿用紙)は、なんだか
自分のことを言われているようなので、目にとまって買いました。
もっとも、書くのは、ひと月300枚ではなく、原稿用紙換算では
約500枚から600枚でしょうか。書くのは苦にはなりませんが
、時間が問題。

【福田和也の方法】
(1)本を読む目的を明確にする。
(2)お気に入りの書店を見つけ、週に一度は行く。
(3)大切な部分があったら、1冊の手帳に、抜書きをして溜めて
おく。これが彼の読む方法です。気に入った万年筆で、手書きで書
く。手書きにする理由は、文章の呼吸が感得できるからである。
(4)書くには、構想を明確にする。
(5)「写生」のため、現場へ行く。現場で考えたことをメモ。
(6)編集者、同業者とのサロンで、アイデアを話しテストする。

気に入った万年筆で書くのはいいですね。万年筆は、私も好きです
。3本を使っています。字は、下手です。約15年のワープロ使用
のせいか、漢字を忘れています。

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■2.方法が確立していない、私の方法を記述すれば

講演会やメールでの質問で、<どんな方法で情報を収集したり、考
えたりしているのか?>というのがありました。参考にならないか
もしれませんが、これを機会に、まとめます。

福田和也を読んで、いろんな人が似たようなことをやっているんだ
な、と思いました。私がやっていないのは、「抜書きをして溜めて
おく」ことですね。また、やろうかな・・・

▼カードと学習ということ

名著『知的生産の技術(岩波新書)』の梅棹氏は、京大式カードを
使った抜き書きや、アイデアの記述でした。梅棹氏のものはフィー
ルドワーク的な、かなり詳細な(知的生産)カードの作成だったの
に対し、福田和也氏の抜書きは、大型手帳1冊への、メモです。

大学の頃、梅棹氏の知的生産の技術を真似したのですが、続かなか
った。理由は、「抜書きする目的」が明確ではなかったからだと、
今になって思います。知的生産ではなく、単に学習だったのです。
<知的生産>をしなくても、生きていけた。

内容が含む情報的な価値より、大文章家の「文の呼吸」、スタイル
、文体、語彙を写し、見習をしていたのでしょうね。

▼職人的世界

私は、職人・名工がいつも言う、<教えてもらうのはダメだ、親方
の仕事を見て、見続けて学べ>ということは、正しいと思っていま
す。料理人が、修行過程で、明けても暮れても包丁の研ぎ方だけを
何年もやり、料理を作らないのは正しい。

問題は、当人が修行の意味を発見できるかどうかでしょう。多くの
人が、結果が判然とせず先が見えない学習期間の意味を見つけられ
ず、途中であきらめる。やっていることの意味を、自分で見つけら
れないから、飽きる。

そうだからこそ、ごく少数の、結果として将来の選ばれたになる人
が修行を継続することに、大きな意味が生じる。おそらく結果とい
うものは、簡単に得られるものではない。

近代産業は、中世の職人的世界から、作業マニュアルの世界に移っ
た。作業マニュアルに書かれていないと、わからない、できないと
いう人が増えた。

歴史では近代産業の期間より、何十倍も、中世的な職人の世界の時
代が長かった。昔の人は馬鹿だったのか。人間は進歩できたのか。
おそらく、そうではない。文化遺産として残ったものを見れば、そ
の完成度の高さは、目がくらむほどの高みに達している。
近代の文物で、残るものはあるか。

多くの人が<わからないのは、教え方が悪い>と思うようになった
。あらゆることについて、すぐわかるはずだという、おそらく安直
な意識を持っている。

ずぐに、わかるようなことに、価値があるか。そんなに簡単にわか
るものだろうか。わからないという苦しさの中からしか、言い換え
れば、苦しさのなかでの、何年もの、時には生涯を通じた呻吟のな
かからしか、得られないものも、あるのではないか。

本居宣長は学のコツとは何かとの、弟子の質問に対し、<倦(う)
まず、たゆまず、続けること>と答えた。

おそらくこの方法しかない。安易に得たものは、安易なものでしか
ない。生涯の倦まず、たゆまず、です。倦まないこと、興味を持ち
続けられること、全力で向かうこと。

一流のスポーツ選手も、等しく、だれよりも長期間・長時間、倦ま
ず、工夫をし、ひとつのことに対して過剰な練習をする。
多くは、途中で脱落する。

倦まないことの中からしか、見つけられないものがある。見つから
ないで、終わるかもしれない。本当は、倦まず、たゆまず、よりホ
ンモノを探しつけること、これに意味があるのではないか。

ある日そう思えたとき、彼は一流になるのではないか。

自分が、まだ探し続けているのに、自分ですらわからないのに、弟
子に教えることができるかだろうか。教えられるもののなかに、本
当のものがあるだろうか。このことは、小林秀雄が、教えてくれた

ある冬休みでしたか、コタツで夏目漱石の小説を、写経的にまるご
と写したことを覚えています。抜書き部分の選択は、できなかった
。一文字、一句が、全体とのかかわりで、意味を輝かせていたから
です。長い小説に、無駄な部分が一行もない。
こうしたことが、わかった。

▼本

本は油断するとすぐ買ってしまい、かなりの速度で溜まります。数
えたことはありませんが、1月100冊にはなるでしょうか。買う
のにムラがありますが。量は福田和也並ではあります。(笑)

抜き書きはしませんが、ボールペンでの傍線、囲み、書き込み、し
おりの代わりにページの隅を折ることをします。

ここ10年、経済、経営、コンピュータシステム関係が多い。買っ
た本は、全部のページは読めません。10冊に1冊くらいの割で、
読めるものに当たります。内容が優れているかどうかで、読める、
読めないとは限らない。そのときの関心に、合致するかどうか、こ
こです。

小説を読みたいなと、時に思いますが、数年間、果たせていません
。優れた小説の文章は、想像力を刺激するからです。

▼そのときの興味にまかせる

パラパラ眺め、苦痛になるようなものは、買っても読みません。そ
の時点では、自分の興味に合わないからです。後で興味が出たとき
、またはそのテーマでまとめるとき、読むことがあります。読まな
い本を大量に残したまま、また買い続ける。これだけが、唯一続い
ていることですね。

読むことの目的が明確でないと、内容が残らないことは、強く感じ
ますね。

▼傍線と囲みと書き込み

読んだあとの本は、傍線だらけで、古本屋では無価値になります。
本棚に並べるのは、タイトルを情報のインデックスに、内容の記憶
を呼び覚ますためです。本棚にないと、データベースのインデック
スが、消えたような感じになります。

忘れた内容でも、何かのきっかけで、タイトルを見ると出てきます

▼雑誌

雑誌も、数えたことはないのですが、定期購読が30種くらいでし
ょうか。お風呂、新幹線、飛行機、出張の時などに読みます。

これも、傍線、囲みです。分野は、コンピュータ関係、経営誌、総
合雑誌、経済誌、流通誌等です。テレビを見ながら、読むことも多
い。

家にいるとき、何かを読んでいないときはないという感じです。家
での会話は「上の空」が多い。「あなたは本当は、馬鹿なんでしょ
う」と家人に言われる。自分でも、馬鹿だと思います。

▼切り抜き

新聞の切り抜きは、1週間分くらいをまとめてやります。日経新聞
、日経流通が多いですね。主に数字データを集めます。A4サイズ
のスーパーでも売っている市販のノートを、スクラップブックにし
ています。ファイリングはいろいろ試みたのですが、市販のA4ノ
ート(B5ではダメ)に、スティック糊がベストでした。この方法
が続いています。

朝日新聞は、その論調を、参考程度に10分くらい読みます。
今、この問題での一般的な世間の考えがこれだ、と注記することが
多いですね。

▼英字新聞

英字の新聞は、高校1年のころから、最初は朝日イブニングニュー
ス、ジャパンタイムス、後にヘラルド・トリビューン、ウォール・
ストリートジャーナル、フィナンシャル・タイムズと変遷しました
。週刊誌のビジネス・ウイークも取っています。
ここ1年くらいは、紙ではなく、インターネットで、必要な記事を
読みます。辞書はあまり引かなくても大丈夫ではありますが、日本
語に比べ数倍も時間がかかるのが、難点です。英語の速読ができる
といいでしょうね。できる人がうらやましい。

▼インターネット情報

インターネットの検索では、最近はGoogleを利用することが
多い。主に、経済と企業の統計データの収集です。米国のサイトに
比べると、日本のデータの不備、データベースの遅れが目立ちます
。政府、国公立大学は、数字データ整備に、もっと予算を割かなけ
ればいけませんね。
インターネット情報は、平板です。
役に立つのは、ほぼ数字のみです。

▼公的データベースの遅れ

<e-Japanが国の最も重要な政策>とは言いながら、政府自身のデ
ータベースや文書データベース整備が遅れていて、それをマスコミ
もだれも指摘しないのですから、困ったものです。光ファイバーの
敷設だけがソリューションじゃない。この国の<なんでもハード>
発想は、そろそろ終わりにしてほしいものです。こんな環境でも、
インターネット情報を利用する人は、急速に増えていますね。
▼この国は、情報後進国

税金を使い、公共のためが目的であるはずなのに、インターネット
でも、民に知らしむべからずという原則や、情報秘匿を感じます。
この面で、わが国の公共機関は、情報公開の意識がなく、後進国で
す。
税を使う機関が、公僕ではなく、行政指導的に上から命令するとい
う歴史、これは儒教の、科挙の制度に端を発します。その点、内容
はともかく日銀はなかなかやっています。論文も、公開。
誰かさんが作っているサイトも、稚拙さが目に付きますが、がんば
っています(笑)

判断では、このサイトは、まだ1歳×ドッグイヤー=7歳の小学1
年生です。謙遜ではなく、素直な感想。

▼書くとき

【書くことの効果】
書いているときは、脳が活性化しているのでしょう。眠っていた記
憶が、ある単語や文節、文章をきっかけに、呼び覚まされる感じに
なるときがあります。また、書く過程が思索にもなる。
そうしたときに、本や雑誌に当たって、改めて読むという方法が効
果が高いようです。しかし、読みふけってしまうと、時間がいくら
あっても足りなくなります(笑)
【ともかく書き始める】
書くためには、頭のなかであれやこれや考えるのではなく、書き始
めることがBESTですね。書きながら、付加・修正する方法がい
い。ワードプロセッサの便利な点です。書きながら構成を考える。
紙の原稿用紙の時は、これができなかった。
【長続きする自分流を見つけること】
私の方法は、自然流で、意識して作り上げた方法ではないような感
じがします。いろんな試みはやりましたが、結局、自分にとって習
慣的で自然な方法に落ち着くのが、いいことだと思っています。
手間がかかることは、いい方法ではあっても長続きしない。長続き
しないことは、結局はダメです。知的生産は、カッコウがいいもの
ではなく職人のような、根気の要る作業のように思います。製作プ
ロセスは、派手なものじゃないのです。
時々、<これは>と思う本は、じっくり読むといいでしょう。
著者の呼吸が伝わり、背景、人生観までが見えてくる。小林秀雄が
方法として薦めた、<誰か気に入った人の全集を読む>のもいいで
しょう。
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■3.当事者意識ということ

▼聴衆ではなく、出演者の立場で見る

TVを見るときや新聞を読むとき、当事者になったつもりで、<自
分がこの立場ならどう答えるか>という想像を、忙しく、頭の中で
することがあります。
体は、ソファでだらけていますが、頭は結構忙しい。
国会中継で、小泉首相が質問を受ける。私ならこう答えると瞬間に
準備し、小泉首相の発言を待つ。小泉首相は、答弁は下手ですね。
発言が論理的ではない。経済の基礎知識不足が目立ちます。威勢の
いい叫びが、うまい感じです。追求すると、80%支持の世論で非
難を受けるので、遠慮しています。これは、危険なことです。来年
になると、そのことの<つけ>がもっと表面化しますね。

▼新聞の論説や解説記事等

新聞の論説や解説は、書いた人が、どんな理由と根拠で、こんな推
論や結論を導いているかを考えます。短時間で短く書かれているも
のが多いので、書いた人の背景までが、あからさまになるのです。

マスコミ論調では、世論迎合を強く感じます。多くは、思索の結果
の結論ではなく、あらかじめ世論が受け入れるであろう結論に添う
、材料を並べる記述方法です。徹底した思索の跡が、見えない。だ
から、一時的に消費されるだけです。

▼アンケートなどでは

テレビで、世論調査の結果や、アンケート結果が出されるとき、ま
たは、その場でのYES・NOの回答を求める番組のときは、結果
の数字が出る前に、その数字を予測します。
私の予測の数字が、実際の結果数字と大きく違っているときは、違
った理由を考えます。数字が一致しているときは、私の推論や現実
認識が正しいだろうと想定します。試みると、とても面白い、自分
自身への小テストになるはずです。

▼小テストの効果

世間一般の考えを知ることは、例えば、この商品が売れるかどうか
、どれくらい売れるか、この店舗は成功するか、この企画は当たる
かの判断にも通じるものがあるように思えます。商品は作り手では
なく、顧客がその価値を、受動的に判断するからです。
調査結果を見てからでは、効果がない。肝心なことは、見る前の直
感です。ビジネスで決定しなければならないことには、数字データ
がないことが多いからです。初めてのことだらけなのです。初めて
のことに対しては、直感しかない。
未来予測では、過去のデータがあっても役に立たないことも多い。
ビジネスは、学問のような過去ではない。未来です。
テレビは、聴衆者のポジションから見ると情報が残らず、その場の
情報消費で終わり、時間が蒸発する感じがします。
(怖いことですが、もう、ワールド・トレード・センターの崩壊と
、戦争も風化が始まっている。75日には、あと4週)
製作者側、出演者側の立場で見れば、テレビを見るのも蒸発しない
時間になる。
なぜ、ニュースキャスターが、こんな発言をするか、とか。自分が
ニュースキャスターなら、または解説者なら、こう解説すると、決
めるのです。そうすると、短い時間で、頭のデータベースが回転す
る。

▼テレビの視聴時間

インターネットが普及しても、日米ともテレビの視聴時間は、減っ
てはいません。両国とも若干ですが、増加傾向を示しています。
テレビの国、米国では、週28時間の視聴時間です。(Nielsen調
査)
日本では、週25時間。(NHK放送研究所調査)
月曜日から土曜日までは3時間30分くらいで、日曜日が4時間で
す。
年齢別、男女別には以下のデータです。(週日:2000年)

        男性    女性
10代    2:12  2:27
20代    2:13  3:01
30代    2:27  3:05
40代    2:43  3:34
50代    2:42  4:08
60代    4:09  4:42
70代以上  5:34  5:04(NHK放送研究所調査)

テレビが、学校・仕事以外の生活時間で、主要な時間を占めている
のがわかります。インターネットは読書や新聞の時間を減らし、テ
レビの視聴時間は減らしていない。ワイドショー内閣、テレビ政局
ができ、そしてテロ事件や戦争も、テレビメディアをどう使うかで
世論が左右される。高齢者の生活も、どんな感じか、この視聴時間
の多さで見えますね。
以上の視聴時間は、記憶しておくべきです。論理ではなく、直覚的
な映像で左右されるひとが多くなっている。しかも、今はリモコン
で次々にチャンネルを切りかえる見方が、普通です。脈絡のない思
考がある。
アフガンの映像のあと、ダイエットの広告や大食ゲームなど。
血塗られた事件の報道の後の、お笑い番組。

▼時間ビジネスの観点

情報コンテンツビジネスは、個人にとっての、有限な時間を奪い合
うビジネスです。この点が、モノの販売と違う点です。モノは無限
に増やすことができますが、個々人の時間は、増やせない。
観光ビジネス、エンターテインメント・ビジネスも、時間を奪い合
うビジネスです。テレビの時間をどう、もっと有効な楽しい時間に
できるか、ここが競争です。
マルチメディア・コンテンツビジネスに当たっては、考慮すべき点
です。
<生活時間の占拠競争業>は、今後のビジネスのキー概念のひとつ

▼知的生産では、テレビの時間を有効に

テレビに自由時間を占拠されると、知的生産の時間はなくなります

【土地本位主義と、知識本位主義】
これでは、知識資本主義に向かう時代に、時間を売り渡すに等しい

土地本位資本主義の時代には、テレビを見ていても、土地を買えば
、生涯の生活を保障された。銀行からの借り入れと土地購入、値上
がりが資本を作った。

▼多くの人が時間を占領されている

知識本位資本主義の資源(リソース)は、<時間>です。
その時間を、テレビに売り渡せば、資産は残らない。マネーでは土
地やモノは買えたが、新しいリソースになる時間と知識は、マネー
で増やすことはできないのです。
テレビの視聴時間統計を見ると、知識資本主義の時代に向かうのに
、多くの人(直感で90%)は、知識資本主義の顧客にはなりえて
も、生産者にはなれない感じを受けます。つまり、客は膨大。
(注)知識資本主義の内容は、いずれ別稿で解きます。ここでは深
入りしません。

▼受動

知的生産ではない、視聴という受動の時間に占拠されると、いつま
で経っても、追随しかできない人生になる感じがします。
テレビは、私もよく見ますね。できる限りその時間を、世間を知る
時間として、出演している当事者に自分を置き換えて見ることをお
奨めします。
【即効】
このビジネス知識源プレミアムが提案するもののなかで、<テレビ
の有効な見方の提案>は、即効のあるものかも知れません。(笑)

21世紀の準備は、テレビとの付き合い方を変えることから、かな
ぁ。
ジョークで申し上げていることではないのです。
あなたが知識資本主義に向かうには、自分の時間の、発掘から開始
しなければならない。繰り返しますが、時間はマネーでは買えない
。時間は、だれにも平等に同じ量が与えられています。時間資源の
有効活用、今後のビジネスの生産性の本質は、これに尽きるでしょ
う。

▼ブッシュのスピーチ

テレビを見るときに限らず、すべての場面で自分は当事者である、
観衆ではないと決めるといいでしょう。ものの見方の、角度、視点
、意識が変わるはずです。世間では、あまりに、観衆的な見方が多
すぎる。
【ブッシュだったら】
自分がブッシュだったら、と想像するのもいい。明日の記者会見で
、米国及び世界の世論をまとめるには、どんなスピーチをすべきか
・・・想像してみてください。すごい自己訓練になる。
その内容が何も浮かばなければ、テレビを情報消費者の立場で、乗
せられて見ていますね。
電波で伝わるテレビは、情報を与えつつも、視聴者を匿名にし、姿
勢を受動化させます。テレビの前のあなたは、視聴率でのみカウン
トされる匿名の、受動的な、のっぺらぼうの情報消費者に過ぎない

▼ライブなものへの参加

一方、ライブなものは、自分も参加者の一員で、テレビとは空間と
時間の次元が違います。テレビを、ライブな体験の場にするには、
自分を当事者の立場において、偽装でもドキドキする必要があるの
です。そうすれば、擬似的に、生きた体験になる。

▼文字情報

文字情報は、受身なるテレビ情報とは、次元が違います、
文字情報は、能動的な参加を必要とする。
文字は、あなたの想像力が読む。この文章を書いているのは、物理
的には私ですが、文字を通じで喚起され、呼び起こされる映像や概
念は、吉田のものではなく、あなたのものです。ここが、テレビと
違う。
文字は、想像的参加、想像的体験のツールです。
読むのも、相手のリズムではなく、あなたのリズムです。
テレビと違います。文字は後まで残る、疑似体験に近い。
体験は、すべての知的創造の根源です。
れが、ひとつの椅子あたりの、1日顧客数を増やすことになって、
椅子の空きという、最大に無駄なコストが少なくなっている。
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■6.回転寿司:「半」受注生産のマス・カスタマイゼーション手

▼同時に相手をできる顧客数

回転寿司では、職人は顧客10人を同時に顧客にできる。カウンタ
ー寿司では数人、高級になれば一組が限界だった。
先に作って、つまり<人件費のかかっている手待ち時間>を減らし
、あとは、回転する展示在庫を補充すればいい方法にした。

▼単純作業での量産

カウンター寿司の職人が、注文の手待ちをする間も、連続的に量産
的な定型作業で、あらかじめカットしたネタで寿司を握る。これで
、職人の時間を有効に活用できる。なにも生み出さない手待ち時間
、段取り変えの無駄な時間、こうしたものが、コストの塊です。
各工程にある手待ち時間を減らすことで、1客あたり価格は、せい
ぜい1500円くらいになった。

▼品質のクリティカルポイント

ただし、
(1)最終工程を、握るだけの単純作業にするための、原材料のあ
らかじめのカットでの在庫、(およびその時間による品質劣化)
(1)それに、完成品が、回転する在庫時間(及びその時間による
品質の劣化)は、生じた。展示分が回転する間の量の、見込み生産
と客の目の前での在庫です。

▼最終需要と生産のリードタイムと在庫

1対1のカウンター寿司の受注生産を、見込み生産に変えたため、
顧客が食べるタイミングとの間に間隙(リードタイム)が生じ、そ
れがカット済みの原材料と製品の在庫になる。
リードタイム、つまり本質的には、需要のタイミングとの時間的な
ズレ、これが在庫原因です。

▼椅子の回転

しかし、一方では、最終商品はあらかじめ手を伸ばせば届くところ
に在庫されているため、顧客は注文から食べるまでの待ち時間がゼ
ロになっている。
受注後に最終加工を行うカウンター寿司では、注文から食べるまで
の時間が長かった。そのために、顧客の<滞店時間>は長くなって
いた。
この滞店時間の長さは、同じ時間に集中する食事時間の、椅子の回
転を減少させ、したがって、コストになっていた。カウンター寿司
では同時に相手をできる顧客が少ないうえに、同じ時間で回転する
顧客数も少ない。そして、それが、高価格を余儀なくさせる原因に
なっていた。
回転寿司の職人と、カウンター寿司の職人の時間当たり賃金に、4
倍の格差があるために、回転寿司が安いわけではない。時間当たり
の、最終商品生産数量に、何倍もの違いがある。回転寿司職人の作
業は、手待ち、段取り変えの時間は、あらかじめカットされた単能
工の作業になっている。
回転寿司では、食べる総量はカウンター寿司と同じであっても、顧
客は連続的に食べる。そうすると、顧客の食事時間は短くなる。こ
れが、ひとつの椅子あたりの、1日顧客数を増やすことになって、
椅子の空きという、最大に無駄なコストが少なくなっている。
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■7.品質を維持した上での価格低下

最終商品の質がほぼ同じで、価格が4分の1になると、その自乗、
つまり商圏内客数は、16倍くらいになる。価格が4分の1ですか
ら、同じ商圏人口内の総売上は4倍です。
回転寿司の、椅子の数は、従来のカウンター寿司の4倍にできた。
回転寿司は、味はともかく、食の生産性のイノベーションで、見事
に原則を守った例です。

▼商品別の在庫許容時間の見極め

最終商品が、長期在庫ができる商品であるか、短期在庫、または時
間在庫しかできない商品であるか、まずこれを見極める必要があり
ます。
単に在庫を減らせばいいということではない。
【在庫期間と商品価値】
長期在庫ができる商品は、時間が経過しても、商品価値が変わらな
い商品です。
短期、または時間在庫しかできない商品は、時間が経てば、商品価
値がなくなる、または価値がゼロになる商品です。

▼DRAMの事例

時間価値化したものは、おにぎりだけではないのです。最近の例で
は、DRAMがあります。電子機器に使う128MビットDRAM
は、1年くらいで$12が$1に下落した。ひと月で$1も下落し
たことになる。
DRAMも、時間価値商品であるアパレルに似ています。アパレル
では、季節を越せば、価格のうち7割以上が消える。
DRAMが、機能は変わらなくても、ますます時間価値商品になっ
た理由は、
(1)高度化した製造機械の償却コストが、コストの大部分を占め
るため、速度的な量産を競っていた。
設備投資が必要生産量を決めるプッシュ型生産。
(2)世界(特に韓国)がIT産業に向かって大投資をしていて、
需要が急減したのに、生産調整ではなく、作ったものの値下げに入
った。
ハイテク企業の代表のように言われたところが、硬直的生産で、ハ
イテク企業は、軒並みの多額赤字です。

▼導かれる原則

DRAMは、現代商品の象徴です。
DRAMから、以下の原則を導くことができます。
(1)生産がオートメ化、機械化したものは、2年も前の設備投資
額が、必要生産量、販売量を規定する。
(2)今後の工業は、ますます、オートメ化する。ということは、
設備投資の段階で、供給量が決まってしまう。短期での在庫調整は
効かない。
(3)従って、2年前の需要見込みが、2年後に狂えば、大幅な価
格調整、10分の1の価格になったり、足りなければ急激な価格上
昇になる。
この価格変動は、なにかに似ていませんか? 鮮魚や生鮮食品です

食では生産や出荷調整がありますから、価格変動は10倍になった
り、10分の1にはならない。しかし、上流での出荷調整をしなか
ったら、DRAM並みになるでしょう。

▼現代資本主義の変質を考察すれば

現代資本主義は、
(1)膨らんで、国際移動する過剰な資本(マネー)が背景にあり

(2)同時に、生産設備はオートメ化、ということは、生産は印刷
のように容易、
(3)しかも設備投資の世界化、があるため、ある成長分野に対し
ては、常に過剰投資が起こるのです。
鮮魚や生鮮食品は、生産量の物理的な限界があります。この物理的
限界が、価格の変動を一定幅に抑える。
DRAMのようなひどい価格下落まではいかない。
【加わった、30億人の工業化】
ところが、
(1)オートメ化した工場では、それがあちこちにできれば、
(2)しかも、例えば中国などのような国家政策での工業化設備投
資育成があると、すぐ、超過剰生産に向かうことになる。
今後も、旧共産圏の30億人の工業化は、大規模に深く進展します

日・米・欧の会社は競って、投資をします。

▼OECD内10億人の工業化の時代は終わった
従来は高集積のDRAMのようなものを作るところは、日本、米国
、西欧に限られていた。ところがこれが世界化している。従来のよ
うな、阿吽(あうん)の呼吸での価格カルテル、協調的な生産調整
は効かなくなっているのです。
今回のDRAMはまさに、世界化した現代工業が組み込んだ原理、
つまり価格は行き着くところまで行く、ということを示しているよ
うに思えるのです。
▼一般原則化

一般原則化すれば、
(1)過剰資本、
(2)生産のグローバル化(=コスト最適立地)、
(3)オートメ工場の組み合わせで、
工業製品は、低価格化、価格の相場化という構造を深く組み込んで
いるということです。
経済学者が言う、マネー量との関係でのデフレとは根本的に違う低
価格化と、相場化の方向を組み込んだ経済と見なければならないの
です
そうなると、長期在庫は、価格の不安定で経営のリスクをますます
大きくする。
どうしたらいいのか。
(1)生産段階の在庫と生産計画情報、および最終販売段階の、在
庫と販売計画情報のリアルタイム共有化をできるグループ(戦略同
盟)を形成し、
(3)最終需要に対して、全体在庫の、調整を図ることです。
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■8.GMROIの、指標価値の浮上

▼現代消費の再まとめ

【GMROIの、指標価値の上昇】
現代消費において、
(1)世界的に見れば、生産の過剰構造を含むこと、
(2)及び、最終消費者に渡るときの製品の加工度(これはTPO
Sの高度化と言っても同じ)の上昇によって、
(2)在庫時間が長期化すると価値が急速に減少する「時間価値商
品」が増加したこと。
以上によって、在庫管理、商品管理指標としてGMROI(Gross
Margin Return On Investment)が注目されるようなって来ていま
す。

▼GMROIの意味

【公式】
GMROIは、日本語では交叉比まれる。

▼トレード・オフ

回転寿司では、<商品価値とコストのトレード・オフ>を図った。
完全受注生産の、最終商品の時間価値を、ある程度犠牲にし、価格
を重視した。<工芸品>は、規格生産の<工業品>に近づいた。
回転寿司でも、安易な方法で、品質と価格のトレード・オフを図っ
たところは、初期アイデアのビジネスとして、もう終わっている。
20年は、そうした期間です。

▼工夫の競争

<ある程度>という部分で、
(1)いかにして、最終商品の品質を落とさないで、工夫をするか
、(2)行った工夫を、継続することができる標準作業工程にして
、いかに定着させるか、
(3)最終商品になり得ない原材料のロスをいかに減らすか、ここ
が、回転寿司ビジネスの競争ポイントになっている。
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■9.連絡事項:米国先端流通業視察ツアーのホテル代割引
米国先端流通業視察ツアーは、来週(11月7日~10日)に迫り
ました。参加の方は、25名です。うち、米国在住の方が6名です

会社で米国出張が禁止されているなか、休暇を取って参加の方も。

今回は特に、世界の中心、米国の現場感覚の情報が、得られるでし
ょう。
JTB札幌を通じて申し込まれた方のホテル代は、当方で交渉を重
ねましたが、当初料金から、かなりの幅での割引きが実現しました

JTB札幌の担当・田中課長の努力の成果です。割引分は、後日、
個人への返金になります。差額で、かなりのお小遣いができました
(笑)
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