2020年は、中国の金融危機
This is my site Written by admin on 2018年8月26日 – 10:00
おはようございます。もっとも新しい有料版の前半部から8ページ
くらいをお届けします。近年、人間に対してこれほど感動したこと
はない。大分県日出町の偉人、尾畠春夫さん(78歳)です。

言うまでもなく、山口県の山中で命に危機も及ぶ3日間飲まず食わ
ずで、不明だった幼児(理稀(よしき)ちゃん:2歳)を、救出し
た人です。ボランティアの仲間うちでは、知られている人という。

【行動】
過去、子供を見つけた経験から、「迷った子は、上に行く」と知っ
ていた。なぜかを研究すれば、幼児心理学になる。これだと直感し
た山道を登り、開始後20分で、水が染み出している沢の石に、はだ
しで座っていた幼児を発見し命を救いました。母は、もうだめかと
も思っていたという。

日出町は、おいしい城下鰈(かれい)の町です。前菜から鰈尽しで
有名な料亭、的山荘があります。父の命令で、小学校5年から、食
べるために近所の農家で働き、学校には行けなかった。戦中の、貧
困だった時代です。

10代後半から魚屋で修行し、自分の店を開く資金を得るため、とび
職をし、20代半ばで別府市に小さな鮮魚店を開いた。価格は東京の
1/3と安く、新鮮な美味しさで評判の店だったと顧客がいう。

「なくなって困っています。」 漁師さんや市場からの仕入価格に
付加する値入額が、低かったのでしょう。沿岸の豊富な栄養で育っ
た一本釣りの魚は、大都市の市場では高級品として売られ旨い。料
亭や、和食の料理店が主な仕入れ先です。

鮮魚店は、65歳でやめると決めていた。その後、鹿児島の南端から
北海道の宗谷岬まで、3年かけて徒歩で縦断した。好意から声をか
けてくれる車には乗らず、ひたすら歩いたという。

道端を歩いていると、岩手県のおばちゃんが、「これを食べなさ
い」と出来たての「おこわ」をもってきてくれた。素晴らしくおい
しかった。その町が、根こそぎ津波に流される映像を見て、矢も楯
もたまらず、駆けつけた。あのおばちゃんたちは、どうしているだ
ろうかという思いからだった。自分にできることはないかと探した。
(2011年3月:東日本大震災)

瓦礫から思い出の写真、ランドセル、日記、図画帳、グローブや学
用品、指輪や時計など、人の影のあるものを探し、洗って清め、遺
族に渡すため、テントの床に並べる。絵日記を読み、亡くなったか
も知れない子供が書いた文字をしばらく見ていた尾畠さんが、慟哭
する映像が残っている。

金目のものをねらう泥棒と間違えられないため、ジャンバーの背中
に、太いマジックで「大分県日出町 尾畠春夫 ボランティア」と
書かれたゼッケンを貼っている。赤い服を見ると被災地の人が安心
するとして、オレンジ色の服を着る。服は、28年目という。ほころ
びは、黒い糸で縫っている。自然に人が集まり、「思い出探し隊」
になった。

名前が書かれたグローブの子供が見つかったとき、「持ち主の喜ぶ
顔が見たいですか」と問われ、「見たい。いや、だけどいいです。
「俺のグローブが返ってきた」と子供が喜ぶ気持ちだけで十分で
す」と、想像の中で伝わる心の価値を言う。

尾畠さんのボランティアは、60歳のころから約20年、欠かさず続け
られている。全国の被災地は、オレンジの服と手書きのゼッケンが
見える。感謝やお礼を求めないのがボランティアの精神として、意
固地に断る。

孫を見失った理稀ちゃんの祖父が、土で汚れた尾畠さんを見て「ど
うか、お風呂に入っていってください」と言ったとき、「いや、自
分にはそんなことは要らないんで。ただ、子供が助かってくれれば
いいんじゃ。」と大分の言葉で謝絶した。筋金が入っています。

今日も休まない。集中豪雨で被害のある町に出かけ、床底の、ゴミ
と混じってどろどろの粘土状の厚い土砂を、スコップで掻く。78歳
の体には、普通は、重い労働でしょう。(中略)

時折、皮肉な人物評をすることもある「とくダネ!」のフリーアナ、
70歳を超えた小倉智昭が、コマーシャルの合間に泣いた目で、言葉
に詰まり、「自分は40歳でゴルフを覚え、一体、何をやってきたん
でしょうね。」と言っていた。人に、そう思わせるものがある。

【筋金入り】
ホンモノを見て、重装備で被災地の現地リポートのために行く自分
に赤面したからでしょう。政治家が、被災地に作業服で行くのは票
取りの演技です。救済どころか、瓦礫ひとつ拾うことはない。

天皇と皇后が、サイパンの集団自決の崖(バンザイ・クリフ)で、
深く頭を垂れて長く祈った姿は感動的でした。多くが、天皇陛下万
歳と叫んで落ちていったからです。東日本大震災のときの祈りも、
その背筋から、心底のものに見えたのです。心は、気として、その
立姿から見える。

尾畠さんは、無償の愛を周囲に教えたキリスト(神ではなく神の言
葉を預かった預言者)にも見えます。キリストのような言葉は使わ
ない。見返りを求めない、隣人愛の行動です。

新約聖書では、キリストが愛を説いた。無償の愛を施すキリストの
周囲に人々が集まり、宗教になっていった。愛は、自分より相手を
大切に思う心でしょう。キリストはこの愛を説き、実践した。

あるインタビューのとき、大きなトンボが飛んできて、しばらく右
手の指に止まっていた。この人は危害を加えないという「気」を昆
虫も感じたのか。尾畑さんは、トンボを見ることもしなかった。犬
が見ても仲間だと思うに違いない人でしょう。

とび職の実践技術をもつので、ボランティアの指導役(隊長)にも
なっている。現場経験がない役人も、指示を受ける。言葉で教える
のではなく、リーダーである棟梁のように動作で率先する。

夢は夜間高校で勉強することという。数年後に80歳を超えて、高校
に通う尾畠さんをみることができるかもしれない。

「自分は、周囲のたくさんの人に、とてもお世話になって生きてき
た。残りの人生で、返しているんです」と言う。ここまでできる人
が、いる。学校教育は、何を教えてきたのか。

【経済学の元祖:市場は神の手】
経済学の祖とされるアダム・スミスは、自己利益を求める行動に、
市場のメカニズムが働き、社会の福祉を高めると書いた(『国富
論』)。

パン屋がパンを焼くのは、社会への博愛の行動ではない。自己利益
を求めた行動です。それが市場を通ることで「神の手」によって、
社会を豊かにする行動になるとした。(注)行政は、市場を通さな
い。したがって、直接的に国民の福祉を高めることを官僚行動の目
的とするべきです。

国富論は、人びとが働いて利益を求める経済行動に倫理の裏付けを
与え、資本主義を勃興させた経済学でした。仕事にも倫理が必要で
す。武士の倫理は、武士道だった。アダム・スミスは倫理の哲学者
だった。倫理とは人の善意の行動です。経営では、リーダシップ論
でしょう。

東洋では、論語と孟子だった。日本では、これらが展開され、武士
道と陽明学になった。陽明学は、現代では官僚である武士の学問で
した。学の発祥は、イタリアルネサンスの16世紀からの自然科学以
前は、「どう生きるべきか」という倫理学でした。

現代の経済行動(仕事)は、果たして、アダム・スムスが言ったよ
うに社会の福祉(Welfare)を高めるものになっているのか。

コンビニや小売業の販売は、社会を豊かにしているか。官僚の行政
行動は、社会の福祉を高めているか。ヘッジファンドの先物の売買
は、金融を豊かにするものか。日銀の円の増発は、アダム・スミス
が言ったように、社会の福祉を高めているのか。尾畠さんの、直接
の奉仕行動を見て、こうした根源的な疑問も抱いたのです。
(・・・中略)

尾畠さんの行動から、村落共同体の相互扶助だった「結(ゆい)」
の復活が見える。村では、援助し、分け合っていた。「お金」の産
業社会が、この結を破壊した。世帯は、隣も知らず、深く分断され
た。「祭りの一瞬」だけ町内会が復活する。

ボランティアは、予算が減った行政の足りない分を、無償の労働で
補う。行政機関が維持できない限界村落が増え、税収が足りなくな
る高齢化社会で必要になる相互扶助の、日本的な姿を示している。
国際的に見ても、称えられるべき行動です。(・・・中略)

【官僚の精神の堕落】
ここ6年、国民の福祉を高めることが目的の、行政の精神に堕落が
ある。(中略)

学校でのテスト秀才が多い財務省、文科省、厚労省のキャリア官僚
の、悪代官風の自己利益を目的とした行動に嫌気がさしていたとき
の、素朴で、実直、風のようなさわやかさと、何よりも人間への信
頼を感じたので、書きました。

官僚は、江戸時代の武士階級を引き継ぎ、身分は国民の上にあると
考え、民を下に見ています。これは、王国で階級社会だったフラン
スや英国にも共通します。

北欧のように、国民に奉仕すべき公僕であるという意識は薄い。む
しろ統治し、法案を多数党に出し、法で支配する。北欧の国民が、
所得の60%という、世界1高い税と社会保障費(国民負担という)
を払うのは、官僚が国民の福祉を高めている公僕と認識されている
からです。(注)日本の国民負担率は38.5%です(2010年)。消費
税を10%に上げると40%になります。

戦前の「天皇の事務官」という伝統からでしょう。小泉内閣からの
行政改革は公共事業の削減ではなく、しかも省庁を大きくしただけ
の組織再編ではなく、官僚の仕事の目的にメスを入れなければなら
なかった。

行政改革は、政治しか行えません。安倍内閣では行政改革は後退し、
不公正とスキャンダルをばらまきながら、天下りの復活と省庁権益
の拡大に進んでいます。

前川前文科省事務次官のような反安倍政権の官僚は冷遇され、政権
に忠実な官僚は天下りで出世しています。エコノミストも、審議会
や研究会に取り込んで、御用学者にした。数度の経験があります。
審議会や研究会では、官僚の考えを民間の専門委員として、代弁す
る役割です。省庁幹部の意思に染まないことは、提案してもやんわ
りと無視される。大学教授の委員は、官僚に対して「あぁ、そう思
っていたんですか」と、臆面もなく、その直前の発言から変えてい
ました。

メディアも、幹部の頻繁な会食として、官への接待とは逆に、内閣
機密費のおこぼれを頂戴し、総与党になった。安倍首相は第二次安
倍内閣のとき、経済界には株価上昇が、国民に政治情報を与えるメ
ディアに対しては会食戦略が、高い支持率の命になると考えていた
からです。

株価では、日銀の増刷マネーで株を買って、株価を上げることによ
る、株主へのヘリコプターマネーです。金額は少なくても、会食戦
略は、国民の税を使う供応です。

数か月で化石化した森友、加計学園も、本質の問題は、国有資産と
税の私物化です。国有地の安価な払い下げは、値引き分が贈与です。
学校法人の認可では、国と地方の税である補助金の拠出を約束する
からです。

国民の、旧民主党とあぶくのような希望の党への失望が、総与党体
制を作ったことが、これを可能にしています。当方は、イデオロ
ギー的に、反自民ではない。しかし、政権のごり押しは過剰でしょ
う。

戦前の国会のように、問答無用とまでは言わない。国会での議論は、
避けています。野党の調査能力は、論外です。議員であることが目
的だからでしょう。民主主義の危機ではない。

政権を取って不評を買った、旧民主党の自滅的な危機です。このた
め、政府と与党の権力が大きくなった。企業の売上のように、与党
の強い権力は、国民の、野党との差の支持率が与えるものです。
              *
本稿では、「企業の不良債務から、金融危機の兆しが見えてきた中
国経済」が検討するテーマです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   <956号:2020年は、中国の金融危機>
     2018年8月22日送信分:有料版

【目次】
1.中国の金融・経済数値
2.中国の輸出経済は、1994年の元切り下げから始まった
3.リーマン危機のあとの対策は公共投資と住宅建設だった
4.ひどく増加し続けている中国の企業負債
5.中国の部門別負債
6.追い貸しを続けても、2020年には、いよいよの金融危機

【後記】
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■1.中国の金融・経済数値

中国の経済・金融の数値は、もっとも大きなGDPを含み、信頼性が
劣ります。政府(中央計画局)が、生産を計画していた共産主義経
済を引きずっているからです。

旧ソ連や中国では、政府の計画した量の生産・流通が行われたとさ
れ、計画数値がGDP(国内総生産)になっていました。商品価格は、
住宅価格(実際は安い賃料)も含み、政府が決める統制価格だった
のです。生産されたものは、全部が流通し、買われたとされたので
す。

「生産量-販売量」は、在庫になりますが、在庫と、在庫の売れ残
りの価格下落という概念はなかった。売れ残っても、価格は下がら
ず、同じだったのです。

マネーは、政府が発行する政府紙幣でした。財政の赤字があっても、
国債ではなく、政府紙幣が発行されます。このため、中国経済は、
常にインフレ含みでした。政府紙幣の発行量が増えていくからです。
通貨価値は下落し続けていました。

中国は、1980年代から「5つの経済特区」を作り、市場経済を部分
的に導入します。海外資本と技術と呼び込むためでした。人口が数
十万人から1253万人(2017年)と、東京都(927万人)を超えてい
るシンセンも、その一つです。

■2.中国の輸出経済は、1994年の元切り下げから始まった

中国の輸出経済は、米国との金融協調で、1994年に人民元の1元を
30円付近から15円に切り下げたときから始まっています。特区の前
の1980年には1元は、15円の10倍の150円だったのです。


・・・無料版はここまでとさせていただきます。中略部と、この続
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