ダブルテーマ:信用恐慌は繰り返す;マーケティング3.0(1)
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おはようございます。本稿も、60KBの送信容量を超えたため、前編
と後編の2回に分け、送ります。2度届きますが、間違いではないの
で誤って消されないように・・・

大型台風が太平洋岸を襲い、当地も空の色が不穏です。ふと気がつ
いたのですが、Webのページの左隅に東電管内の電力使用率が出る
ページがあります。

東電は、今、マーティング3.0(M3.0)ではどんなイメージの企
業か? 地域独占でなければ、潰れていた会社でしょう。まるで消
費者志向(M2.0:顧客志向も同じ)でもない。

M3.0で肝心な点は、企業のビジョン・価値観・ミッションは何か
です。民主党も、同じです。彼らのビジョン・価値観・ミッション
は何か? そこから作り直さねば、再生はない。未だに、党の綱領
もない。そのため個々人の考えはバラバラで、政権に就いたとたん
、混乱を極めたのです。自民党には、内容は別にして基本綱領はあ
ります。
http://origin.jimin.jp/jimin/jimin/houshin/index.html

7月20日午前8:55は、69%でした。8月のピークの数日(冷房が稼
働する昼間)、数%内の余力しかないときも想定されますが、ピー
ク節電の呼びかけで、ほぼ大丈夫でしょう。東電より原発比率が45
~53%と高い関電管内が、余力が少ない。

以前から申しあげているように、30%の電力を供給していた原発(
全国54基)が止まっても、年間使用の1兆KW時は、供給できます。
問題は、火力発電の全面稼働で増えるLNGの輸入3兆円(現在の総電
力費17兆円の約18%:東電で1兆円)です。税にせよ、電力費値上
げにせよ、これが企業と家庭の、いずれの時期からかの負担増です
。

震災復興費(1次,2次の補正予算で6兆円のみ)をいくらにするか
で肝心な政治については、論評する気がしませんが、一点だけ。

支持率が10%台の首相は「原発の廃止を争点にした総選挙なら勝て
る」と思っているふしがあります。やぶれかぶれ解散があるかも知
れません。(注)管政権で、そのビジョン・価値観・ミッションが
嫌われた民主党が勝てるとは思えません。ビジョンは何を実現する
かです。実に政党人は古い。

店舗の売上(全国ベース)は、6月ころから、前年同月を上回るよ
うになっています。レジャー・娯楽のサービス関連は、相変わらず
20%近い落ち込みです(全国)。リーマンショック(08年8月~)
以後は、GDPの60%を占める世帯消費(277兆円:11.3期)は、前年
比-5%を6ヶ月も続けました。回復に、ほぼ1年でした。

今回は約3ヶ月。大震災ショックは、金額で言えば、3年前の、世界
の信用危機の、半分のスケールだったと言えます。(もちろん損害
の内容は対比できません)

本稿は、ダブルテーマです。繰り返される信用危機と、コトラーの
マーケティング3.0に関する解釈です。

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<547号:ダブルテーマ:
               信用恐慌は繰り返す;マーケティング3.0>
                 2011年7月20日号

【前編:目次】
1.経済における「信用」とは何か
2.マネー・ストックの概念
3.米ドルの反通貨が金
4.金融危機が、政府財政危機になる:この項は8ページです。

【後編:目次】
5.M 1.0から2.0、そしてマーケティング3.0へ
6.小売業におけるマーケティング1.0
7.マーケティング2.0と3.0
8.以上を理解した上で、マーティング3.0

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■1.経済における「信用」とは何か

企業や個人が、経済取引(購買)ができるのは「信用」があるから
です。信用を表象(シンボライズ)するのが、マネーです。経済的
な信用とは、マネーのことです。

現金を出せば商品が買えるのは、紙幣に信用があるからです。紙幣
は、他の人も信用する。だから自分も信用するという無限連鎖の構
造をもつのが中央銀行が発行する紙幣です。

この信用はどういった性格をもったものだったか。国家の成立と関
わりがあります。(注)信用には、人を信用するというものもあり
ますが、その信用はここでは含みません。クレジットの意味での信
用です。

▼歴史を遡る必要がある

経済の最初は、必要な物の等価交換でした。穀物と衣料が交換され
、肉が交換されていた。ここに貨幣という「価値を象徴するもの」
が導入される。経済学は貨幣の登場を、単に「便利だったから」と
説明します。そうではない。

共同体から贈与を受けていた王(宗教的な指導者でもあった)が、
「稀少なもの」を、他の部族的な豪族より多く保有することを権力
の源泉としたからです。国家が課す税の元は、共同体から王への供
物あるいは贈与でした。

今もわれわれは、神社で賽銭を投げ、寺社への寄進をします。政治
家には、献金を出すこともある。古代では農作物を生む土地の支配
と、共同体の民からの贈与が王の富の源泉でした。その任意的だっ
た贈与が、強制的な税に代わって行きます。

稀少なもののうち長期で変質せず、持ち運びに便利なものが、他の
ものと交換できる「貨幣」とされます。漢字でお金に関するものに
貝がつく理由は、中国の古代に貝が貨幣として用いられたからです
。英語のmoneyの語源は、ラテン語での金属の鋳造所です。

古代中国では、翡翠、きれいな貝(子安貝)、石、農耕具(鋤)、
金属の青銅や銅、そして、国(共同体)を超えて普遍性を獲得した
金になって行く。「信用」とは、貨幣の所有高のことです。巨石を
通貨とした太平洋の島もあった。

わが国では政府が発行する通貨は、律令制(=王による中央集権)
だった隋・唐の時代の制度を、聖徳太子(574~622年)が遣隋使、
遣唐使を派遣して輸入することから始まります。聖徳大使は、その
知力(中国への情報力)で、日本に国家の概念を確立させた人です
。

身分制度の「官位12階」は、身分だった部族の長や子息ではなく、
広く才能を基準に行政の人材を登用する制度であり、以来1400年、
今も、官僚制のもとになっています。財務省の旧名称であった大蔵
省は、この時代からのものでした。

17条の憲法は、儒教・仏教・道教等を元にした、官僚と貴族の倫理
規範です。第一条の「和(やわらぎ)をもって尊しとなす」は、有
名です。現代にも通じます。小林秀雄は、『本居宣長』の後、『聖
徳太子』を書く予定でしたが、命の限界のため幻に終わっています
。

1万円札のシンボルは、明治維新の福沢諭吉ですが、諭吉の前は、
聖徳太子でした。理由は、豪族の蘇我馬子を抑え、古代日本の部族
国家を統一した推古天皇(女帝)の摂政(首相に相当)が聖徳太子
だったからです。

律令制の本格的な導入は、「大宝律令」(天武天皇の時代)として
701年でした。天皇を中心とする二官八省(現在の行政機能の元)
を制定します。同時に唐の「租庸調」の制度です。わが国に最初に
成立したのが律令による国家でした。(注)国家財政破産とは、国
民や企業の破産ではなく、この国家機関の、資金不足です。

祖が、国家が民に与える均田制での納税の義務、庸は年間20日間の
、公共事業への労務提供の義務、調は衣料を納める税です。

貴族も人民も、王たる天皇に服従すべきとされ、富の源泉たる土地
は、王の所有とされました。すべての人は、王の土地を借りるから
、租庸調の税を、賃貸料として国家に納める義務があるとされたの
です。

現在、国家が固定資産税や所得税を徴収できる根拠は、何でしょう
か? 公共事業と社会福祉が国民のためのものという理由しかない
。封建時代までのように、国家は土地と国民を支配していないから
です。なお、政府を表すGovermentは、支配が原義です。

律令制の下で708年に、大蔵省から発行された「和同開珎」は、わ
が国で最初の、中央集権国家が発行した貨幣でした。それが人々に
信用される元は、律令国家が徴収する租庸調の税でした。国家は、
支配した民から税を徴収できる。強制的に徴収できる税が裏付けに
なるため、国家が発行する貨幣は信用できるとされた。これは、現
在まで続く構造です。

その後、貨幣は金銀や中国から輸入された永楽銭や宋銭(現在の米
ドルに相当)、及び諸侯の私鋳銭など、様々なものが混在します。


完全とは言えませんが、貨幣を統一に向かわせたのが、江戸幕府で
す。金貨がベースになっています。ところが、金の含有量は、飢饉
・震災、及び、政府の抜きがたい財政逼迫(支出>税収)によって
減らされます。世界に共通です。日銀の通貨増発は、国家が貨幣の
金の含有量を減らすのに等しいのです。

▼中央銀行制度以降

明治以降、日銀が通貨発行の主体になっていますが、国家(国権の
最高機関が国会)の法の下にあるので、政府と言ってもいい。代議
制の間接民主主義では、国会が国権の最高機関です。

政府が金の含有量を半分に減らすか、金の重量を1/2下げると、増
税せずとも、貨幣の量を2倍に増やすことができるからです。とこ
ろが、商品の生産力や資産の量は、急には2倍にならない。

通貨を増発することができる政府財政にとって、増発は増税と同じ
です。金の含有量を1/2に減らせば、政府がもつ金を2倍した効果が
あります。

貨幣の流通量が一挙に2倍になって、商品生産力が同じなら物価は
、最低で2倍は高騰します(実際は数十倍になります)。人類の経
済史は、通貨発行権をもつ主権者による通貨増刷によるインフレの
歴史と言えます。

インフレは、通貨発行をする主権者(国家)が国民に課す、見えな
い税です(ケインズ)。インフレは国民の購買力を減らし、政府の
借金額の実質を減らすからです。

この原理をマネー・ストック(通貨蓄積量)という概念を使い方程
式にしたのが19世紀のフィシャーです。マネー量と経済の関係を示
す唯一のものでしょう。

M(マネー・ストック量)×V(流通速度)
                     =P(物価)×T(国民総生産:実質GDP)

■2.マネー・ストックの概念

マネー・ストック量はわかりにくい概念ですが、過去は、マネーサ
プライ量とされていました。端的に言えば、政府機関・自治体・企
業・世帯がもつ現金と預金量です。

100万円の預金は、必要ならすぐ100万円の現金になり、現金(紙幣
)をもたなくても「通貨」になるからです。(注)2008年以降は、
これを「マネー・ストック量」と言います。

(補注)フィッシャーは上記のP(物価)で、商品物価を考えてい
ましたが、現在は資産(不動産、株、金融証券)も含まねばならな
いでしょう。

現在、広義の流動性(現金にすぐ替わることができるものを流動性
と言う)をマネー・ストックと言っています。

具体的には、自治体、政府機関、企業、世帯がもつ現金及び預金と
、現金に近い債券です。内訳は、現金、預金、CD(譲渡性預金)、
投資信託、金融債、CP(短期証券)、国債、外債です。(注)日銀
統計では、マネー・ストックの主体には、中央政府や日銀を含みま
せん。また、銀行や保険、証券も、預金の預かりや借り入れが総資
産になっているので、マネー・ストックに含むと二重計算になるか
ら、これも含まない。
http://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/data/exms01.pdf

2011年6月の、わが国マネー・ストックの総量(広義の流動性)は
、1458兆円です(名目GDPの3倍です)。現金に近い金融資産がこれ
だと考えていいでしょう。

1年に40~50兆円は増発され続けている国債を、国民がいくら買え
るかも、マネー・ストック量の増加にかかっています。

ところが近年は、日銀が、経済対策のため通貨発行(日銀信用)を
増やしても、マネー・ストック量(広義の流動性:後述)は、以下
の表に見るように、ほとんど増えてないのです。せいぜい、1年に2
%(30兆円)しか増えません。減る月も多い。物価が下がるデフレ
の原因がこれです。
http://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms1106.pdf

経済における「信用」と言ったときは、マネー・ストック量を示し
ます。マネー・ストック量(経済的な信用)が増えるには、世帯の
平均所得と企業の平均利益が増え、その預金が増えねばならない。


ところが1997年以降は、この両者が増えない。このためわが国は世
界でほぼ唯一、14年間も、民間(世帯、企業)がもつマネー・スト
ック量が増えていません。(注)これがデフレの原因というのは前
述しました。

中央銀行は、金融機関がもつ債券(主は国債)を買うことで、通貨
発行量(現金紙幣+中央銀行の当座預金=ベースマネー)を増やす
ことはできます。例えば金融機関がもつ債券(10兆円)が、日銀に
預ける当座預金(10兆円)に変わるからです。

しかしこれが、企業や世帯の貸し付け金の増加にならないと、マネ
ー・ストックは増えません。世帯と企業は、将来の所得額が増える
(=名目GDPが増える)という見込みがないと、住宅ローンや借入
金を増やさない。むしろ、過去の借金を返済します。

平均所得が増えないため、世帯の預金が増えなくなった2000年以降
、企業からの返済の超過分(借り入れ増<約定返済)が金融機関に
溜まって、それで国債が買われています。大量発行される国債の金
利が上がらない理由がこれです。

以上が原因で、日銀が(異常な)金利ゼロを、わが国の金融危機(
1997年)以降、14年間敷いても、民間のマネー・ストック量は増え
ないのです。

(注)金融危機の08年以降、米国FRBと欧州ECBが、日銀の短期ゼロ
金策に追随しています。バブル後の金融危機、量的緩和という異常
な金融政策、赤字の国家財政という3点でわが国は世界最先端です
。

増えるのは、財政の赤字(46兆円)が、国税(41兆円:11年度予定
)を超えるくらい大きくなった政府の国債残高のみです。(注)政
府一般会計の税収(国税)は、バブル経済期の最終年1990年の60兆
円を頂点に、約20兆円(33%)減っています。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.htm

■3.米ドルの反通貨が金

ドルの実効レートの下落に歩調を合わせ、金が1オンス(31.1グラ
ム)で$1500の大台を超え、$1600に上がっています。短期での騰
落はあっても、5年の長期で見れば、政府の赤字からのドル、ユー
ロ、円の、同時の価値下落で金は高騰するでしょう。(注)円では
1グラム4286円(消費税込み:7月20日)です。1000円付近が2000年
でした。

長期では高騰する途中で、ヘッジ・ファンドによる
(1)資金繰り売り、
(2)または利益確定売りのため、下落があります。

金は、2000年代の11年で$300から、直近では$1600に、5.3倍に高
騰し、今は、$1800をいう論者も増えていますが、これは、いいか
げんなものです。(注)半年前は、金の下落を言っていた人が、今
は「上がる」と言っています。市場追随で、性懲りもないと思えま
す。自分が書いた論評に責任をもっていない。

金の売買を含む金融での利益は、短期ではゼロサムです。20人の人
が大きく儲けた裏には、その利益額と同額を損した80名がいます。


金に限らず、金融のほぼ90%の論評は、上がったときは上がった理
由を言い、下がるときは下がる理由を言うだけです。このため、追
随買いや売りが生じ、世界に中央銀行が刷った過剰流動性がある現
在、金を含めて、コモディティの価格変動の幅(ボラティリティ)
は大きくなります。1オンス(31.1グラム)の金(現在$1600)が
、$1000に下がることもあるということです。

【下げる要因】
資金繰り売りとは、保有した国債や他の証券、株、コモディティ、
デリバティブ、外国為替の下落による損害のため、利益が上がって
いるものを売ることです。このため金は、証券と同時下落もします
。なお,先物もデリバティブです。

利益確定売りとは、3ヶ月に一回、投資家に開示する決算書で配当
利益を出すためです。つまり、下落の原因の多くは、ヘッジ・ファ
ンドの都合です。上昇の原因は、通貨価値、特に、2000年代の米ド
ルの実効価値の低下です。今後、財政赤字が1年に$1.2兆の米ドル
の実効レート(世界の通貨に対する加重平均)が上がると思えます
か?

【金が高騰すると困る中央銀行】
金価格は、金を、実質的な準備資産としている中央銀行によってコ
ントロールされている面があります。一本調子で上がり過ぎると、
中央銀行からの放出があるという意味にもなりますが、米ドル下落
を主因とする市場の買いの勢いに勝てるかどうか・・・

紙幣を発行する中央銀行は、金の高騰があると、紙幣の信用の低下
を意味するため困ります。このため金価格をコントロールしようと
します。

【しかし、ワールド・ダラーは増加】
世界がもつワールドダラー(世界の金融機関の米ドル保有)は、$
6兆に増えています。米国の財政赤字(=$1兆付近かそれ以上の国
債発行)に比例し、1年に$1兆くらい増えるためです。

資産としてドル債をもつ金融機関は、不安でしょう。政府の金庫が
枯渇する11年8月2日までに、国債発行残の上限($14兆2940億:11
43兆円)を取りはらう特例法案が通らないと、一時的であるにせよ
「デフォルト」です。

(注)米国長期債のCDSは0.5%と日本国債(CDSが1.0%)の半分
で、上がっていません。市場は米国債のデフォルトの危機を感じて
いないということが、米国債のCDS(保証保険)の0.5%です。米
国債の信用低下があると、CDSと長期金利は、同時に高騰します。

9%の失業の雇用回復が弱いという理由をつけ、FRBがQE3(6月に終
わったQE2に続く量的緩和第三弾)として買うでしょう。

イタリアも金利が高騰(国債が下落)している、政府財政の回復の
見込みがないPIIGSの危機と、米国は内容が異なります。イタリア
の長期金利は最近、6.14%と急騰しています(7月19日)。

イタリアの7%がユーロ全体にとっての、大きな危機ラインでしょ
う。今、危険な順を言えば、ユーロ>ポンド>ドル>円>スイスフ
ラン>元と経常収支が恒常的な黒字の新興国>政府財政が黒字の国
>金でしょうか。この中の、相対的な動きです。

【新興国による、不安定な、ファイナンス】
今、為替の騰落が、債券・株価価格より、はるかに大きくなってい
ます。先進国の、同時の、政府財政の危機のためです。新興国が、
先進国をファイナンス(債券を超過買いすること)するようになっ
ているからです。

■4.金融危機が、政府財政危機になる:この項は8ページです。

古代から封建政府の時代は、王や政府の債務は、王や政体が変わる
と帳消しになって、末期には例外なく、インフレになっていました
。経済の低下時期は税収が減ります。しかしそのときも、政府支出
は減らない。逆に増える。戦費の増加も大きかった。

封建の時代にあっても、飢えた国民の反乱が起こるので、増税は難
しかった。このため政府は、通貨の改鋳(金の含有を減らすこと)
を行ってきた。これが民間のマネー・ストックの増加を生んで、生
産力はせいぜい1年に1~2%しか増えないためインフレが起こり、
政体が転換しています。

政体が転換されると、それ以前の政府債務(国債)の価値は、ほぼ
ゼロになっていました。封建時代までは、以前の政府債務が引き継
がれることはなかった。物価高騰のインフレで、帳消しになってい
たのです。

近代国家では、ほぼ中央銀行が、通貨を発行しています。日銀は明
治15年です。当時は西郷隆盛の西南の役(内戦:明治10年)で太政
官紙幣と国立銀行札が増発され、激しいインフレになっていました
。税でまかなえない政府の赤字がインフレの原因です。

【明治からのインフレは4000倍】
明治18年(1886年)に、日本銀行券(円紙幣)が最初は銀、後に金
と引き替えのできる金本位の通貨として、発行されます。

当時、$1=1円でした。明治初期の1円は、物価計算では、今のほ
ぼ4000円に相当します。125年で4000倍のインフレです。1年平均に
換算すればインフレ率は6.86%と高い。(注)第二次世界大戦の
敗戦があったので、戦後の日本では、通貨の歴史を連続して見る視
がない。

インフレが大きかったのは、生産力が破壊された第二次世界大戦の
敗戦後です。明治以降、政体の転換があっても、政府は債務を引き
継いでいますが、その価値は、125年で4000倍のインフレで帳消し
にされています。戦前は戦争と軍事費が、政府の赤字とインフレ(
通貨の増発)の主因でした。

(注)長期の視野をもつロスチャイルド家は、約200年、常に、欧
州のインフレ率を上回る利回りで資産を増やしています。1年5%の
利回りは低く見えても、200年なら1万7300倍です。当初の100億円
が、173兆円に増える。

通貨は政府赤字で増発される傾向を常にもつので、資本主義でのイ
ンフレは、長期で見れば1年3%はあるとしていいでしょう。

【近年のバブル】
途中で、資産高騰(不動産と株価高騰)の時期が、必ずある。
最近の例では、
・日本では1985年から1990年、
・米国では1995年~2006年でした。
・欧州ではユーロが成立した2000年から2008年までです。

以上は、戦後ベビーブーマーが45歳から50歳で、所得と貯蓄を増や
し、資産を購入する時期と付合しています。

政府は、赤字財政のため通貨を増発する。増えた貯蓄は、主体を変
えて、不動産や株の購入に向かう。そのため、不動産や株が高騰す
る。高騰した不動産や株は、民間の信用を増やす。増えた信用(前
記)が、更に不動産や株の購入資金になって、資産が高騰するバブ
ルが起こる。

中国で資産高騰が大きくなったのも、1994年の元の1/2への切り下
げ(=元の増発)の時期からです。通貨切り下げで1/2になった中
国は、輸出を増やします。輸出での受け取り代金は、日本が相手で
も、米ドル(機軸通貨)です。

【中国のバブル=1990年までの日本と共通】
企業が売上代金として受け取った米ドルは、賃金や仕入代金の支払
いのため、輸出企業が銀行で元に換えて元になる。銀行のドルは、
人民銀行が元を発行し、買い取られる。政府にはドル(外貨準備)
が貯まる。

政府に溜まる米ドルを国際市場で売れば「元高・ドル安」が起こる
。元高は中国の輸出を減らし、輸出売上が70%以上の工場の失業を
増やすため、政府はこれを行いたくない。

1971年以降の変動相場制は、貿易黒字の国の通貨が上がって、赤字
国の通貨は下がり、自動的に、価格調整が起こって、貿易はバラン
スするということでした。

【変動相場が働かない】
しかし変動相場の原理が働かない。貿易黒字国の政府が、自国の通
貨高を忌避して、米ドルを貯め込むからです。

【米国を離れて、世界をさまようワールド・ダラー】
1990年代までは日本と産油国でした。2000年代は中国、産油国、新
興国になった。このため、米国以外で流通しているワールド・ダラ
ーは$6兆に増えた。今も、1年$1兆の勢いで増えています。

【黒字国の政府が、ドル債を売らない】
貿易黒字国がこのドルを売れば、一挙に米ドルが暴落し、ドルを売
った経常収支の黒字国の通貨が(ドルに対し)高騰します。

しかし多くの国が、貿易の黒字維持(輸出工場の稼働)のため、手
持ちのドルが増えるまま(持ったまま)にしています。

「変動相場が、貿易の不均衡を修正する原理」が、歪められている
のです。(注)原油価格が、ある時期を見て大きく上がるのは、産
油国がドルの実効レートの低下を嫌がるためです。

米政府は、ドルが強いと言う。真っ赤な嘘です。貿易黒字国が売る
に売れず、持っているだけのことです。この臨界点は、いつくるか
?

【マネー・ストックが増えるからバブル】
資産高騰は、インフレ率を含む名目GDPの増加率以上の、大きな価
格上昇が、数年~15年続くことです。

そのとき必ず、(1)政府の通貨増発と、(2)民間信用の増加(=
資産の高騰)がある。世界通貨は、今ドルです。自国が通貨を増発
しなくても、今は恒常的な貿易と政府財政の赤字の米ドルが、世界
に向かい増発されています。ドル紙幣ではない。それはわずかです
。

増発されるのは債務の証書たる債券(国債、住宅証券、社債、株、
証券)です。これらも、換金可能なマネー(信用)です。前記のマ
ネー・ストックでもある。

【米欧の住宅価格】
2008年のリーマン・ショックは、米国債並みの安全性と価値がある
とされてきた米国住宅証券(米国住宅ローンの総額は、$10兆と国
債に匹敵)が、AAA級のシニア債で60%、BBBのエクイティ債は30%
くらいの時価しかないことが明らかになったため起こっています。


CDSのデリバティブの組成では、クォンツ達の計算に大きなミスが
あった。米国の住宅証券の、下落の最初の影響を受けたのは、2007
年8月のBNPパリバ(フランス)でした。ドル証券を買っていたから
です。(注)欧州に行くと、日本からより、米ドルはずっと近くに
見えます。

【デリバティブの誤り】
CDSは、全米の住宅価格が同時に、大きく、数年に渡って下落する
確率を100年に1度と計算し、1%程度でしかなかったのです。

これは、LTCMが1998年のロシア国債のデフォルトで計算していた破
産確率の1%(CDSも1%)と同じ、100年に一度でした。100年の長
期は、誰も考えない(ロスチャイルドは、多分、ゴールドで100年
を考えています)。

【金融機関の損が、政府債務になる】
資産が、30%~50%と大きく長期で下がると、融資債権と債券をも
つ金融機関が危機になります。リーマン・ショックでは金融機関が
被った損害は$5兆(400兆円:IMF)とされました。

この金額は、米欧の金融機関の自己資本をゼロにして余りある大き
さです。資産価格の下落で、金融機関が連鎖破産する。連鎖する理
由は、金融機関は、短資市場で相互に大きく貸し借りしているから
です。

これを政府、または中央銀行が必ず救済する。資本主義は倒産を経
た後に、その売上を獲得する企業が大きく成長するダイナミズムを
もちます。この自動調整機能を働かせない。

理由は「大きすぎてつぶせない」です。そのため、金融危機は、政
府の財政危機にもなって、長期で不況が続きます。1990年以降、GD
Pがまるで成長していない日本が、その典型です。

(注)今、日本の電力で1/3の規模をもつ東電でも同じ論理が使わ
れます。東電の社債と負債(6.2兆円)、そして株価(かつては2
兆円)がゼロになれば、金融機関の巨大損になります。

注記的に言えば、全国の原発54基が操業を停止せざるを得ず、いず
れ廃炉を行って、原子炉内の核燃料の処理を行い、LNGを輸入すれ
ば電力会社は破産します。

結果は、金融危機より小さいですが、数十兆円が必要な、政府資金
の投入です。原子炉の中の全核燃料の、安全な処理には、18.8兆
円がかかると言われます(電力事業連合会:日経ビジネス11.04.
25)。3.11以降の政府の債務に含むべきものです。

【政府の財政危機になる】
大きな金融危機の後は、2年~3年後に対策資金を出す政府が財政危
機になる。日米欧の現在でしょう。ほぼ1年遅れで、不動産価格が
下落する中国にもなるでしょう。

【実は、今、世界はインフレ】
前記のようにマネー・ストックが増えていない日本を除き、世界は
、今インフレです。消費者物価で米国+3.6%、中国+5.5%(食
品は15%)、英国4.5%、ユーロ2.7%です。通貨高の日本のみ-
1.0%(2010年)です。(注)11年4月は+0.3%でした。

ところが失業率が米国9.1%(5月)、ユーロ9.9%(4月)、英国
7.7%(4月)です。中国すら6.1%(2010)です。インフレの国
の失業率も「異常」に高い。

失業率が高ければ、商品購買力が減るので、普通はインフレになら
ない。高い失業率とインフレの同居をスタグフレーションと言いま
すが、まさにそれです。欧州のインフレは、失業しても、高率の社
会福祉(失業手当)があるからです。

(注)近年の世界の政府は、不況やスタグフレーションと言わなく
なっています。理由は、経済の不況が、政府への支持率に直結して
いるからです。

【マネーは、金融機関内で溢れる】
現在、政府マネーは「金融機関救済」のために大きく使われていて
います。不良債券を中央銀行が買った金融機関で、マネー(流動性
)が過剰になっています。それが国際商品(コモディティ)と、株
及び国債への投資資金になり、買われた資源の高騰が原因でインフ
レが起こっています。

【まずは、ユーロ危機になった】
3月以降の日本では、大震災と目を覆う政治の体たらくのため、ユ
ーロの債務危機は、さほどニュースになりません。

Financial Timesでは、ほぼ連日、一面トップがPIIGS国債の下落と
金利の高騰です。GDPに対する政府債務は、イタリア120%、スペイ
ン64%、ギリシア152%、ポルトガル91%、アイルランド114%です
。日本(GDP比の政府債務は210%)のような、政府債務の大きさの
問題ではない。

PIIGS 5ヵ国の政府債務、財政赤字、対外債務に改善の兆しがなく
、GDPの増加も見込めず、失業率と物価上昇率が高いことです。

ユーロの3位の大国イタリアも、現在6.1%の国債金利が、スペイ
ン(ユーロで4位)並みの7%に上がると、イタリアも借り換え債の
発行が困難になります。

【猶予は、数ヶ月しかない】
借り換え債の発行ができないと、財政の赤字国は、過去の国債の満
期が次々に来るため、数ヶ月で国債のデフォルト(返済不能)に陥
ります。

ドイツが救済資金を出すのか? あるいはドイツ・フランスが保証
するユーロ債を発行して、救うのか。時間が、迫っています。PIIG
Sのうちどこかがデフォルトになると、それが連鎖し、08年9月のリ
ーマン・ショックより大きな金融危機が、世界を襲います。

【マネーの避難】
世界の短期投機資金は円、ユーロ、金に避難中です。震災とGDPの
低下にも拘わらず円が、投機筋から買われて高いのは、このためで
す。金利よりはるかに、円高騰(=ドル・ユーロ安)による為替利
益が大きいからです。

今、嵐の前夜の雰囲気。8月が嵐か・・・長期で1%の利回りしかな
い円国債は、明らかに「国債バブル」です。

【日本国債】
1%より以下に長期金利が下がることはない。保有リスクをヘッジ
するデリバティブであるCDS(保証保険)の料率が上がっていて1%
だからです。ということは日本の長期債は、今が頂点の価格という
意味になる。

【あらゆるバブル価格の、21世紀的な原因はデリバティブ】
デリバティブが主になった金融は、リスクをヘッジ(回避)したよ
うに動きますから、必ず、資産バブルを起こし(バブルの数年)、
その頂点で、はじけます。ところが、今、バブルを引き起こす金融
機関に、妙な安心が見えます。

まさかの時が来れば、政府が救ってくれると思っているからです。
投資銀行の雄ゴールドマン・サックスを典型に、今の投機的な金融
には憂うべきモラル・ハザード(金融の倫理障害)が充満していま
す。

大きな金融機関にも倒産があるという意識があれば、金融危機を生
むバブルの発生もある程度は、抑えることができるはずです。1980
年代までの、古典的な金融に戻すべきです。しかし相互に入り込み
すぎているので戻らないでしょう。ということは、はじけることで
す。

【日本もインフレに転じるか?】
6か月後か、1年後か・・日本も、インフレに向かう感じがします。
インフレの認識が生じると、期待金利が上がり、(今のPIIGSのよ
うに)円国債価格も下落します。そのときは円安と、政府財政の資
金枯渇です。

円高の間は、インフレにはなりません。円安が長期の傾向になった
途端、金利が上がりインフレになります。この意味で、「今、日本
は,円安にするため、政府が介入すべきだ」という論者は誤ってい
ます。

【日本の国債】
日本の国債の95%は、政府機関と国内の金融機関と個人がもつ。PI
IGSのようには、対外債務がない。逆に対外純資産が251兆円もある
(10年12月)。従ってPIIGSのようにはならないと言う人も多い。
いや、ほとんどの人がそう言う。

確かに、財務省が、外貨準備を売ることをするなら、対外純資産は
活きます。ところがその姿勢がない。従って対外純資産は、持ち腐
れです。ドル債券のタンス預金を多額にもっていて売らず、生活は
切り詰めている人に似ています。

【海外からの異常な額の、短期債の買い越し】
以上を見越し、ヘッジ・ファンドは、円の短期債を2011年は50兆円
(1~5月)も買い越しています(昨年の2倍の異常な金額:前号に
詳述)。

海外からの円短期債の大挙した買いは、為替市場では「円買い・ド
ル売り(またはユーロ売り)」です。このため、2011年の円が上が
った。

今は、海外のファンド・金融機関が、大きくは円国債を持たないの
で、海外から売る崩されることはないというのは、二重の誤りです
。

(1)国債の先物売り:

海外が国債を持っていなくても、先物市場で、国債先物を売ること
ができます。先物市場(デリバティブと計算される)のほうが、現
物市場より大きいのです。なお先物売りでは、限月内に、反対売買
(円国債買い)が必要です。従って、半年も続けて大きく下がり続
けることはない。

(2)2011年1月~5月の、海外からの50兆円の短期債の買い越しが
ある。異常な現象です:国債金利が下がった原因でもある。

50兆円の超過買いは、1つの金融機関やファンドが仕掛けるには余
りに大きい。狙いをもった談合と協調があるはずです。

短期債は、これを買った海外勢が売らなくても、ほぼ3ヶ月で満期
が来ます。日本政府が国債口座に振り込む円で、海外勢がまた短期
債を買わない限り、円の短期債は売られたのと同じになる。

海外がわずか5ヶ月で超過買いした50兆円の短期債は、満期が来る
と円の現金になる。この円をドルに換えれば、円売り・ドル買いに
なって、円は下落します。(注)これを、近々の国債、政府財政、
円の3点の同時危機と見ています。

前編はここで終わります。引き続き、後編を送ります。タイからお
約束して3週が過ぎた、コトラーのマーケティング3.0です。いつ
か?という催促もありました。(前編 終わり)

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