インフレと国債価格、及び金利(3):完結編
Written by admin on 2013年7月19日 – 09:00
おはようございます。本当に暑い(熱い)。朝の通勤はしない仕事
なので助かりますが、毎日の混んだ電車は大変でしょう。
暑さを強く感じるのは、25度の冷房の中に、長時間いるからか。冷
房と書き、ふと思うと、昨年までの、節電のお願いがありません。
原発の稼働がなくても足りていること、そして、節電されれば、電
力会社の収入が減るからです。
参議院選挙ですが、世間の盛り上がりがない。20歳以上の有権者数
は1億400万人です。3年前、2010年の前回は58%でした。1998年の4
4.5%が過去最低です。投票率は50%以下になるでしょう。理由は
関心のなさではない。積極的な支持政党のなさです。特に、ここ数
年、近所の小学校の投票所に行くのが何か気が進まない。
前号で、2016年までの、政府の財政赤字額(一般会計)を予想しま
した。本号では、日本の財政を破産させないための、政府政策の修
正と実行すべき政策を考えて、提案します。異次元緩和は、危険に
なってきました・・・
2013年の9月から10月頃、政府の「消費税増税の1年先送り」がある
と、金利が上がる恐れが、出てきました。
三大メガ銀行は、2010年から、将来の金利上昇のリスクから国債は
売り超であり、すでに、満期まで3年以内の短期債しかもっていま
せん。平均期間は2年です。
中長期債は、地銀・第二地銀が36兆円もっていますが、地銀1位の
横浜銀行は、1000億売り払って、5年以上の中長期債はゼロに減ら
しています。
「消費税増税の1年先送り」に、安倍首相も傾いてきたという声が、
聞こえてきました。可能性は、40%くらいかも知れません。
実に・・・日銀が新規債の70%(毎月7~10兆円)を買っていて、
日銀以外の国債の買い手が、どんどん減って、危うくなってきてい
るのです。
4月にはじめたばかりの異次元緩和を、日銀にやめろというのは、
酷かもしれない。しかし、続けると危険になってきたのです。
本稿では、後半部の(項目5.)から、日本経済を、長期に成長させ
る方策を示します。金利上昇、国債価格下落という副作用が、やれ
ばやるほど大きくなる異次元緩和は、早期にやめて、本稿の提案を
実行すべきです。
誰も言っていないので、違和感があるでしょうが、これが経済成長
の本筋です。
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<664号:結論:インフレと国債価格、及び金利(4)>
2013年7月17日の有料版
【目次】
1. 異次元緩和に必要な修正
2.金利が上がったとき、長期国債を満期まで(10年)もつこと
3.国債発行を担当していた財務官僚の国債売却の行動(驚愕!)
4.日銀の異次元緩和の修正が必要
5.成長戦略の本筋は、
民間設備投資と住宅の増加を果たす異次元の投資減税
6.「異次元の投資減税」を実施する
7.以上の、異次元の投資減税の結果
8.個人には住宅ローン減税
【結論】
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■1. 異次元緩和に必要な修正
日銀がマネーを1年に70兆円も増発する異次元緩和は、物価を2%上
げることが目的ではない。
適度な(2%の)物価上昇を目指し、マネー・サプライを6%〔70兆
円〕は増やす。
生じたインフレ予想から、需要(民間消費と設備投資)が増えて、
生産を引っぱる。以上を通じ、経済を成長させることが目的です。
マネー増発とインフレは手段です。
【問題は、期待インフレ】
問題は、手段のひとつとしている「期待インフレ率」の上昇が、金
利の上昇を生むことです。そして普通ならわずかな金利の上昇も、
0.*%台の金利の、950兆円の国債にとっては、大きな金額の下落
を生んでしまうことです。
【国債の残高が大きすぎる】
国債の残高が、90年代初期のように、GDPの1倍だった時期なら、国
債の金利上昇によって生じる、
・国債による金融機関の損失と、
・借り換えの後の、政府の利払いの増加は、
国民経済の中で、消化できたでしょう。
▼満期まで保有する長期国債は・・・
国債は、途中で金利が上昇して市場価格が額面を割っても、満期に
は額面金額が政府から償還されます。
政府は、満期までもつことが目的の国債は、価格が下がっても、時
価で評価しなくてもいいという特例措置を講じています。
この点が、時価評価が必要な株式とは違います。
2000年代の金融機関が、
・持ち合い株を売り続け、
・利回りの低い国債を買ったことには、
資金の運用難以外に、2つの大きな理由があります。
【理由】
(1)国債は、株式のように時価評価しなくてもいいこと。
(2)政府が保証する安全資産であるため、金融機関の自己資本比
率(自己資本÷リスク資産)を計算するとき、資産のなかから引い
ていいとされること。
(注)貸出、株、国債以外の債券は、リスク資産です。
このため、企業への融資を回収し、株を売って国債を買うだけで、
金融機関の自己資本比率が上げることができる。
▼株は、20年間も売り続けてきた、生命保険と金融機関
90年代中期以降の生保、銀行は20年間も、
・リスク資産である株を売り続け、
・国債を増加買いしています。
1990年の生保の資産のうち、実は60%は株でした。
・20年間売り続け現在は20%くらいに減り
・代わりに、資産の60%に増えたのが国債です。
【株の長期低落の主因】
90年代、00年代の、生命保険(総資産400兆)と銀行(総資産1000
兆)が、日本株を売り続けたことは、株価が長期低落傾向を示した
主因です。
▼外人投資家が決める相場になってしまった
この結果、外人投資家の売買が60~70%のシェアになって、日本の
株価は、外人投資家が買い超のときは上がり、売り超で下がる単純
なものになったのです。なお外人の持ち株比率は28%で、時価で言
えば112兆円です。
売買の回転期間は、ほぼ3~4ヶ月です。2~3ヶ月買い続けて上げ、
1ヶ月で高く売って利益確定するサイクルでしょう。この売買の期
間とリズムが日本の株価を決めます。売る時に大切なのは、外人投
資家の次に売買額が多い日本人の個人が、「上がる」と考えて買い、
実際に上がっていることです。下がる時に、売れば、大きく下げる
ので損が出ます。
1ヶ月(4週)で1兆円、買いが多い週で4000~5000億円の買い越し
というのが、外人投資家の、買い超の金額のメドです。これで、日
経平均が、500円位上がります。
日経平均株価の500円分は、時価では14兆円分です。1万4000円のと
き時価総額が400兆円だからです。5000億円の買い超の週で、時価
が14兆円上がると、株価のレバレッジ率(上昇÷投資額)は28倍で
す。
下げは、彼らが売り超のときです。これは、記憶に値します。
(注)1日2兆円の薄商いの中で、13年7月は株価が上がっています
(日経平均1万4645円:7月17日終値)。 この7月上昇も、外人の買
い超です。1万5000円付近になると、利益確定の売りでしょう。
このため、参院選のあと月曜から下げる危険があります。シカゴ市
場の週末の先物(日経225CME)を見ておくとわかるでしょう。
【政府部門の株買い:1兆円】
なお、公的な年金基金(GPIF:運用基金120兆円:12年末)が、国
内株を、1兆円買い増しするという方針を、13年6月に出しています。
7月現在は、参院選前の買いの最中でしょう。なぜ、参院選前に公
的年金基金が株を買うのか? これは、言うまでもない。
この7月に、3週間買い越して上げているのは、またも、海外投資家です。
参院選後の2週は、売り越して利益確定というお定まりのパターンか・・・
外人でも年金基金であっても、1ヶ月で1兆円買い越すと、1000円
(+7%)くらい、日経平均株価を底上げする要素です。
http://www.tse.or.jp/market/data/sector/b7gje6000000jkrj-att/J_stk2_130701.pdf
■2.金利が上がったとき、長期国債を満期まで(10年)もつことの
危険
・・・・・・
【後記】
毎週、プロローグ部だけですが、有料版の一部をお届けしています。
参考にしてくだされば、幸甚に存じます。来週から夏休みでしょう
か。
はるか彼方(かなた)の、記憶の霞(かすみ)に写るだけの小学校
のころ、夏休みの40日は、無限の時間に思えるくらい、長かった。
年を重ねると、40日は特に長いとは感じません。
過去の記憶の時間は、未来の予想時間の感覚を、圧縮するのでしょ
うか。 12歳にとっての40日の長さは、その4倍の48歳にとっては、
1/4の10日間にしか相当しないというように・・・たぶんこれです。
思想には年齢という秘密があると言ったのは孔子だったか。思想と
は、考えかたです。
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