ドラッカーとの対論(3)
This is my site Written by admin on 2005年7月12日 – 08:00

こんにちは、吉田繁治です。7月7日、ロンドンの中心部で、同時
多発テロが起こりました。4年前の9.11を想起させる事件です。

9.11の犯人は明らかになっていません。
今後も、明らかになることはないでしょう。

原因は分からずとも、結果は明らかでした。英米軍によるイラク侵
攻です。(イラクへの攻撃理由とされた、アルカイダとフセインの
つながり、及び大量破壊兵器の存在は、明白に否定されています。)

今回のロンドンでも、真犯人は特定されません。もちろん自爆者を
含む実行犯は挙げられます。しかし首謀したのがどこか、または誰
か、どんな集団かは謎で残ります。大事件はそういったものです。

米国CIA、英国MI6、イスラエルのモサドを含む世界の諜報機
関の方法は、直接に手を下すことではありません。幾重にもエージ
ェントを通します。捕らえられる実行犯はエージェントの最末端で
す。誰が指示をしたのか、分からない仕組みが作られています。

陰謀めいた事件では、事件の後にどういった展開を見せるかという
結果から、筋を推測するしか方法はありません。「誰が、その後、
事件に絡んで利益を得たか」ということによる推理です。

イラク侵攻の結果は、イラクの原油決済代金がユーローから米ドル
に戻ったこと、及び原油の高騰です。

資源・エネルギーを、ドル基軸通貨圏の中に置くことが、一貫した
筋です。(因果関係を明証することはできません。)

本来、経済でもっとも強いと見られる国の通貨が基軸通貨になりま
す。しかし米ドルは、すでにそうしたポジションではない。とする
と、軍事という別の方法が必要になります。これが戦略です。

原油を含む資源エネルギーと国際通貨での今後の推移をみれば、9
.11以降の大事件の筋は、見えるはずです。注目しておきましょ
う。

(注)東京への同時多発テロ攻撃を心配する論調が見えます。「な
い」と思えます。陰謀的な大事件を起こし、世論をいざなう必要性
は、この国では薄いからです。

<ドラッカーとの対論(3)>をお届けします。今回は、仮想対話
の方法で書きます。番号を振った部分が問いです。その後の部分は、
ドラッカーに仮想した答えです。

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      <Vol.211 :ドラッカーとの対論(3)>
             仮想対話
【目次】

1.強みを一層強くする
2.なぜ、弱みを棄(す)てられないのか?
3.個人の強みと責任
4.自分の強みを見る
5.会社の中の業績の悪い部分

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■1.強みを一層強くする

ドラッカーの提唱の中で鍵になるのが「強み」です。本稿の中心テ
ーマがこれです。

<何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによっ
て何かを行うことはできない。>

▼問い(1)
あなたは、企業も個人も仕事では強みを一層強くすることが肝心だ
と言っている。強みは弱みと対照されるものだと思う。強みとは何
か。実際的に言ってほしい。

製造、卸、小売、サービス業共通に、昨年あるいは前期より、売上
(または利益)が伸びている商品群と、低下しているものに分ける
ことができる。伸びているものは、強みをもっている商品群と言え
る。

市場の競争の中で、買う顧客が増えているからだ。顧客は他社のも
の、あるいはあなたの会社の、他の商品と比較した上で特定の商品
を買っている。

強みが何であるかは、企業の、他より伸びている部門別、カテゴリ
別、商品特性別、価格別の売上げや利益という形で分かる。

伸びている商品群に共通の商品特性こそが、競争に勝っている商品、
言い換えれば強みをもつ商品だ。

▼問い(2)
そうすると、伸びている商品群、あるいはそれらと共通特性の商品
群を、更に伸ばすことが、あなたの戦略提唱の根幹であることにな
る。具体的にはどうすればいいのか?

店舗なら、売上げまたは利益が伸びている部門の売場面積と、伸び
ているカテゴリ(部門の中の商品の中、及び小分類)の、品目と展
示量を目立つように増やす。

製造業なら、伸びている商品群の販売先を何倍にも増やす戦略をと
る。卸も同じだ。サービス業も同じだ。個人でも変わらない。

伸びている商品群がなくても、低下率が低い商品群なら、見つかる。
これに集中する。そして、競争相手のものを調べ比較して、強み
にする対策に集中する。すべてにおいてダメな会社はない。それら
は、過去に消えている。

競争相手の商品の実態を調べることを、欠かしてはならい。
競争相手が、同じ業界の中にあると誤解してもならない。

外食産業の競争相手は、本格的な研究を加えたコンビニの弁当だっ
た。最も安く、最も多く売れているコンビニ弁当の質と価格と、価
値の差異化をしなければ、外食産業には意味がない。今は、あらゆ
る業界がクロス競争(異業種間競争)の時代である。

その際、商品価値は顧客が判断するものだと認識しなければならな
い。売る側の自己主張、つまり宣伝文句であってはならない。

長所あるいは強みを伸ばせば、欠点もなくなることが多い。

例えばちょっとした風邪にかかっても全身が悪く思え、寝込んでし
まう。しかし風邪がなおれば、元気にもどる。しかし診断を誤って
大手術をすることも多い。詳細に検査すれば、完全な健康体はない
からだ。

医者は病気を作ることもある。弁護士は訴訟を作る。コンサルタン
トは問題を複雑にする。欠陥の指摘からはじめれば、こうなる。

ある店鋪があった。業績は良くなかった。しかし競争相手よりは経
営コスト(坪当たり経費)が低いことに気が付いた。コストが低い
という長所を生かすための商品展開をやると、甦える。少なくとも
蘇生する方向は得られる。

すべての会社に長所か強みがある。
顧客がゼロではないからである。

顧客は、自分にとって価値があると思わねば買わない。
今日存在するすべての会社は、どこかに強みを持っている。

それがどこかをまず見ることだ。

経営資源の配分が、あるいは仕事の配分が、または努力の方向が、
または固定化した方針が悪いため、損失を出しているだけである。

基本方針は四半期毎に点検されねばならない。

見つかった長所を更に伸ばすことを行う。
企業再建の突破口がここにある。

注意すべきは、包括的な戦略は、失敗することが多いということで
ある。原因は、架空の理想モデルを想定し、短所を直すことを優先
するからである。

この方法は、過程でのコスト(犠牲)が大きく、理想が実現する前
に会社が消える。膨大なページを使った立派な提案にこうした類(
たぐい)が多い。

コンサルタント会社は、提案の詳細さと、報告書作成にかけた人件
費でお金をもらう。成果によって、ではない。成果契約をすれば、
コンサルタント会社が先に潰れるからである。その程度のものであ
る。

頭のいい人は先を見過ぎ、あるいは夢想しすぎ、今日行うべきこと
を小さいこととして、おろそかにすることが多い。

▼問い(3)
どの程度を目処に増やせばいいのか? 方法にするために、数値で
言って欲しい。

伸びていない商品群の平均前期比が、マイナス15%だったとする。
一番伸びている商品群の伸び率が、20%だったとする。

私が店舗運営部長や商品部長なら、伸びている商品群の売場面積と
カテゴリを20+15%=35%以上、できれば倍増、3倍増を目
処に増やす。

重点をおくものを増やせば、他のものは減らさねばならない。必然
的に、採算のとれないものから減らすことになる

ダメなものを減らすことからはじめてはならない。例えば在庫金額
減らしをやれば、高回転のものから消える。低回転のものは、売れ
なければ消えない。

欠点を潰すことに精力を使っても、長所は伸びない。

重点をおけなくなって、せっかくの長所が消える。労働の、実に多
くの部分が、成果のあがらないことに費やされている。

5%や10%の小さな部分変更では、顧客が気がつかない。最低で、
25%以上の変化、時には2倍3倍への変化でなければならない。

大胆に変化を見せる必要がある。強みに投資しなければならない。
強みに集中することによって、弱みとつきあう時間をなくすことで
ある。

▼問い(4)
その方法を、小売業では「売れ筋を増やす」とも言っている。これ
と同じか? 製造・卸・サービス業でも言えることか?

そうだ。多くの企業では、利益をもたらさない過去の商品群や部門
が棄てられていない。そのために、経営資源、つまり費用、労働、
時間を無駄にしている。80%の人が昨日の仕事をしている。明日
の仕事に手が回らない。これが、ABC分析の意味だ。

増やすものは、コストをかけ、大胆に増やさねばならない。
多くの会社が行う5%の調整的な対策では効果がない。

大胆に増やすには、経営資源(人・モノ・カネ・戦略)を、長所に
集中させねばならない。

売れ筋を増やすという方法が単純であるため、人々はこれを方法と
は思っていない。

もっと複雑なことが、戦略だと考えてしまう。
頭のいいスタッフが陥る罠がここにある。

単純化できないことは、有効な戦略ではない。
現場は単純なことしか実行できない。

対策を単純化して、普通の人が出来るように標準化し、皆が継続が
できような仕組みを作ることがもっとも大切なことだ。

■2.なぜ、弱みを棄(す)てられないのか?

▼問い(1)
なぜ、弱みを棄てることができないのか

担当者が、企業全体の売上げや収益を考えないからだ。
本当は実現しない、部分の最適を夢想しているからだ。

日本企業の多くでは、ボトムアップの方法で稟議(りんぎ)をし、
トップは上がってきた稟議をもとに決定する。稟議は、部分(部署)
から上がってくる。

担当者は、成績が悪いことについて「次期は、こうすればうまく行
く」という対策や言い訳をつけている。そのため、全体の利益責任
者も、棄てる決断を躊躇する。

あることを行うことは、他のことを棄てることでもある。
長所に集中させれば、短所を直す時間はなくなる。それでいい。

提案された改善策を、注意して現場で調べれば、うまくいかなかっ
た前期の対策とほぼ変わらないことの繰り返しであることが多い。

無益な繰り返しを避けねばならない。多くの企業が、反省のない繰
り返しを行なって、その結果として利益を失っている。

必要なことは、強みをもっと強化する対策を行なうことである。そ
れを行なうに十分であるという限界はない。つまり、強みを強化す
るのに集中すれば、弱みに付き合う時間はなくなるはずである。

弱みを棄てられないのは、強みに集中していないからである。

▼問い(2)
では、どうすればいいのか?

担当者の言葉での対策や書面だけで、判断してはならない。

現場で、
・昨年どういった対策が実際にとられたか、
・今どんな対策がとられているか、
・今後どんな対策があるか、確認しなければならない。

現場の企画書や改革書は、言われるだけで、方法をもって実行され
ていないことが多い。

対策が行われても、言われたこととは様変わりしていることも多い。
欠点を直すのは、障害が多いからだ。エネルギーとマネーと時間が
要る。

公式の会議での発言は、現場の状況を伝えていないことが多い。

仮に対策がホンモノなら、言い換えれば、対策が効果をあげるもの
なら、実行されれば効果をあげているはずだ。

ところがそうでないために、伸びていない。あるいは損失を生み続
ける。昨年の対策書の内容を、現場で振り返ればすぐ分かる。

成果を夢想してはならない。

また途中修正の対策が分からないことは、実行してはならない。
対策と方針変更は、必須であるからだ。

企業は過去の利益蓄積が幾ばくかはあるため、毎年、ムダな対策の
繰り返しを行って、人と経営資源を無益に使い続けることが多い。
過去に成功した企業ほど、方針を変えられない。

利益蓄積がないときでも、過去の日本の銀行は、経営力とは無関係
な土地の担保で資金を貸してきた。そのために利益経営が行われな
かった。

経営力とは方針を立案し、現場に徹底する力である。問題はすべて
会社の内部にある。

顧客、市場、経済環境に問題があるのではない。

もし市場に問題があるなら、それは企業にとっては機会である。
企業は顧客の問題解決を行うべきものだからだ。

長期的に顧客の所得が伸びない、または減少する社会なら、ディス
カウントにビジネスチャンスがある。これは普通の考えである。ね
じ曲げて、曲芸のような論理で修飾してはならない。

会社のお金ではなく、自分のお金を使うこと、損失とは自分のマネ
ーが減ることだという認識があれば、対策も異なる。

多くは、会社のカネを自分のものとは思わず「承認の手続き」のた
めに時間と労働を費やしている。仕事は「成果」を目的に行うべき
ものだということを忘れている。

銀行の融資が得られれば成功だと思いこむ経営者も多い。これが方
針と運営に間違いを生む。銀行はマネーを貸すが、顧客の判断をし
ているわけではない。担保を見ているだけだ。

企業は競争の中にある。顧客ニーズの全部を、ひとつの会社では満
たすことはできない。長所に集中せねばならない。経営を複雑にし
てはならない。

複雑とは、本当の原因と結果の関係が見えなくなることだ。
そのために対策を誤る。

どんなに事業が大きくなっても、原因と結果の関係がわかっていれ
ば、企業は更に大きくなる。

企業が成長を止める理由は、成功と失敗の真の原因がだれにも分か
らなくなるからである。

社外は自由競争だが、社内は官僚主義になっている会社が多い。官
僚主義では、成果を考えず、言い換えれば成果という目的を考えず
自分の部門の維持や拡張を行う。それで賃金をもらう。

だれが言うのが正しいかで判断する人が増えたとき、企業は論理を
失う。

社内での権限者は、マネーをもたらす顧客ではない。マネーは、外
部の顧客からしか来ない。社内の権限者は、マネーを使う人である。

企業は、強い部分で顧客ニーズを満たさねばならない。そして、強
みに集中することで弱みを圧縮し、強みを活かして成果をださねば
ならない。

強みでしか成果はあがらない。
弱みは損失をもたらす。

■3.個人の強みと責任

▼問い(1)
企業の強みの意味と有効性は分かった。
個人ならどうか? 売上げや利益では見えないはずだが?

「反省」という方法がある。何かをしようと思ったら、それによっ
て、今、期待していることや成果を書き留めておく。半年後、1年
後に期待と、実際の結果を比較する。これが反省だ。

私(ドラッカー)は50年続けた。期待した成果と結果の差には、
いつも驚かされた。

これを続ければ、成果をあげる自分の強みが何であるか、弱みがな
んであるかが明瞭に分かってくる。期待することは簡単な内容であ
っていい。

人の強みは、他の人にはわからない。

個人には、部門別の損益計算書や売上げ分析はない。しかし期待と
結果を比較することで、企業の損益計算書と同じ効果が得られる。

始める前に書いた期待→[*******]               
実際の結果     →[*******]

あらゆる対策は、両者の比較から見えてくる。

成果が上がった部分が自分の強みになる。実行して欲しい。
発見した強みに時間を集中することで、一層の成果が得られる。

一例をあげれば、最近、マネーの運用で利益をあげたいと夢想する
人が多い。多くは、自分の強みを知らないため、ファンドの餌にな
ってしまう。

マネー運用で期待することを書き留め、後に結果と比較すれば、必
死に考えたマネー運用に時間と精力を注ぐことが損なことが、一目
でわかる。一回の運用成績がよくても、賭のような偶然にすぎない。

賭で儲け続けることはできない。運用資金が多額にあれば別だが。
今の金融マーケットは巨額資金が動かしている。

個人は、自分を経営資源として使うマネジャーでもあるべきだ。
ムダなことに自分の時間を使うことが人生を貧困なものにする。

▼問い(2)
自分にはもともと強みが備わっていないように思える。
どうしたらいいのか?

そう言わせるのが謙遜でなければ、知的な傲慢だ。
なぜなら、人の知っている比較の世界は狭いからだ。

比較する基準をどこに設定するかで、強みも弱みも決まる。
最高の人に比べれば、皆が弱みだらけになる。

経験で言えば、多くの人が、秘かに自分は強みがあると思っていな
がら、謙遜を装って逆のことを言う。

強みだと言えば、成果をあげねばならないからだ。
これは、自分自身への自己マネジメント責任の回避でもある。

大切なことは、自分の強みを発見したら、あるいは萌芽や種が見え
たら、その強みを育て、社会や会社で通用させるために、一層の技
能と知識を身に付けねばならないということだ。

強みは目標モデルと比較しながら、日々育てるものであって、備わ
っているものではない。

だれも天才ではない。天才は、強みへの、他の人より一層強度な、
長期間の、あることへの集中によって自らを作っている。

天才は目標への意志に、使われている人だ。
優秀な人も同じだ。サラリーマンも変わらないと思う。

▼問い(3)
強みの種を見つけたら、どうしたらいいのか?

不得意なことや弱みの改善に、余分な時間を使わないことだ。強み
を高度化し洗練させることに集中しなければならない。

使える時間は少ない。時間は、何かを意識して棄て作らねば、作れ
ない。

考えるべきことは、これをやめたら、または放置したら何が起こる
かということだ。現在および将来、困ったことが何も起こらないと
すれば、今日、やめねばならない。

自分をすっかり変えることは難しい。従って成功しないことは、初
めからやめた方がいい。自分の得意とすることを伸ばすほうがはる
かに容易だ。

喜びもそれによって得られる。人は、自分が進歩していると思える
とき喜びを感じる。進歩する過程が見えることに喜びを感じる。

偶然が幸いし、成功を勝ち得たと言う成功者も多い。
この言葉を鵜呑みにしてはならない。

大きな機会に遭遇することはある。しかし、自分の側に機会を活か
す準備がなければ、機会はない。

成功者は、あるいはキャアリアを作った人は、偶然の機会を、準備
し自分で捉えたと言える。これが本当のことである。

偶然の機会が訪れるくらい、機が熟していたからである。

▼問い(4)
会社や上司から要求された仕事や職務が、自分の弱みであるときは
どうしたらいいか?

受け入れて不十分に行うことが、会社にとっても、自分にとっても
損失をもたらす。その仕事の代わりに、自分の強みを活かせる仕事
を提案するべきだ。

会社の要求へのコミットメント(責任をもって引き受けること)は、
成果のない仕事を行う義務の契約ではない。本来は期限と予算を
もった成果契約でなければならない。

自分が期待される成果をあげることができないと思えるときは、受
け入れてはならない。黙って受け入れるのも、コミットメントであ
る。不得意なことを受け入れるのは、損失と契約したことになる。

受け入れない時は、正当な理由を述べ、成果をあげる代替案を提案
せねばならない。これが給与をもらう人の義務である。

結果として損失をもたらす商品群や仕事を棄てられないのは、担当
者が、仕事の成果を考えず、その場しのぎで会社の計画や目標を受
け入れるからである。

損失をもたらす商品群は、会社全体のコストである。

それらの商品群が、経営資源をもっと投入し、コストをかけて更に
強くするべき商品の強みと価値を減らしている。そして競争に弱い
会社になってゆく。

▼問い(5)
会社の要求は断るのが難しいが・・・

現在だけを見ているからだ。結果を予想しなければならない。

仕事の目的は、行った結果の、四半期後、あるいは1年後の成果で
ある。黙って受け入れ、行った結果が、不十分な成果や失敗だった
ら、あとで一層悲惨になる。

その場を取り繕ってはならない。
お互いが、成果を生む将来を見ていなければならない。

時に、収益をあげるに数年もかかる仕事もある。これらは戦略的な
部門または仕事と定義しなければならない。

4半期毎に、精細で実際的な、将来成果のフィージビリティ・スタ
ディ(実現可能性の検査)が実施されねばならない。そうでなけれ
ば浪費で終わる。

日本の公共投資や年金財政、健康保険、郵貯、簡保が失敗したのも
、官僚組織ではだれも、国民にとっての成果の定義をしなかったか
らだ。単年度の現金収支帳でマネジメントをしていた。そして有効
性の言い訳を続けた。これは今も続いている。

官僚組織だけのことではない。大手の会社のことだけではない。中
小企業には、言い訳が多い。本来は、中小企業は有利である。短期
的なことしかできず、身軽だからである。ところが、方針に固定化
がある。

仕事をしている人は、損失部門でも報酬をもらっているから、本能
として、言い訳をする。正当な言い訳ができなければ、もらった給
与を返上せねばならないからだ。成果からしか給与は出ない。

その言い訳が、方針判断を誤らせる。

言い訳と反省の違いを認識しなければならない。はじめる前に期待
した成果と、言葉や数字で計画したことではなく、実際にとった対
策の間違いを述べ、本来の対策を立て、実行せねばならない。これ
を反省と言う。

言い訳とは、言葉を使って、成果責任を他に転嫁することを言う。

■4.自分の強みを見る

▼問い(1)
他人の欠陥や強みはよく見えるのだが、自分のこととなると難しい
。どうしたらいいか?

先に言った、はじめる前に期待する成果の記録と、行った結果の比
較しかない。覚えておくのではなく、必ず書き留める。人はすぐ忘
れる。都合の悪いことを忘れるのも、人の記憶の特性である。

多くの人は、結果は記録するが、期待を書くことをやらない。それ
では反省にならない。他人には知られなくても、心の中で、理由の
わからない失意が残るだけである。

反省とは対策の立案でもある。

方向が見えない時、または原因がわからないとき、人は不安に陥る
。不安の原因が見えれば不安は消える。お化け屋敷が怖いのは、暗
いからだ。明るくすれば、恐怖の原因が見えるから、皆、ばかばか
しくなる。それで不安は消える。

仕事や経営で、不安を抱いてはいけない。不安は原因が見えないか
ら起こる。真の原因を、自分を偽らず、求めねばならない。だれか
が言った素直な心とは、このことである。素直な心とは強い意志で
ある。

▼問い(2)
仕事や経営で成功する人とそうでない人にはどんな違いがあるか?

経営では、自分の強みと弱みを知って、弱みは幹部にカバーさせる
人だ。

自分ですべての権限を握って行えば、弱みがモロに現れるが、部下
や外部はそれを指摘はしない。そうして業績が悪化する。

これが大手企業や総合企業が陥る誤りである。

総合企業は、強みに特化した中小の専門企業に、いつもチャンスを
与えている。

自分の強みを知らない人は、弱みも知らない。比較ができないから
だ。

経営者や幹部は、自分は、社員に比べ全能であると錯覚することが
多い。

社員に比べ、自分が優れているから社長である、部長であると思っ
てしまう。社長も部長も、利益責任の機能であって、偉いというこ
とではない。

全能の人はいない。しかし全権を握る人はいる。

階層の上にある人がもつのは立場上の権限であって、能力ではない。
ところが立場が与える権限を自分の能力と誤解してしまう。

これが全能症候群という病である。独裁国家と変わらない。

現実をTVゲームのように見て、自分がすべてを支配しているよう
に思ってしまう。TVゲームの世界では、スイッチを切る自分が全
能である。

仕事で、成功する人は強みを活かす人だ。強みを育て活かすことに
よって、後で最高のキャリアを手にする。単に勤勉な人が、成果に
向う卓越した仕事を行うようことができるようになる。

すばらしい仕事をした人にも、あらかじめのキャリア計画というも
のはないことが多い。強みを知って活かしづけた結果が、後でキャ
リアになる。

キャリアは自分で作る。絵に描いたような、エリートやキャリアは
ない。30年前と世の中が激変するからである。人は40年仕事を
する。昔は石炭産業のホワイトカラーは選ばれたエリートだった。

自由経済では、過去の非エリート群の中から次のスターが現れる。
過去の前提を疑い、自分で得心し、本当に分かったことから突破口
を求めるからだ。

逆に多くのエリートは、余計な理論や過去の知識で頭を満たし、都
合のいい現実しか見ていないことが多い。

■5.会社の中の業績の悪い部分

▼問い(1)
会社の中では、業績の悪い部分に、なぜ対策が講じられないことが
多いのか?

その部分の担当者または責任者が、何が成果であるか、成果である
べきかを定義もせず、見てもいないからだ。

原因は、担当者が、仕事を単に義務作業と考えているからだ。

給与は在社時間で払われる。しかしいずれは臨界点が来て、ある日
突然問題になって消える。会社の決定で消えなければ、市場が会社
もろともに消す。

仕事や経営は、すべてにおいて、当年度、あるいは四半期の成果や
目標の定義から出発しなければならない。成果の定義がない仕事は
ない。

成果と現状の差が、変化すべきことになる。その変化を引き起こす
のが対策である。変化した後の姿を定義して描くことを、目標作り
と言う。

▼問い(2)
業績の悪い部門にいる社員はどうしたらいいのか?

行うべきは四半期、あるいは1年後の成果の定義である。成果の定
義を、担当者が自分で行わねばならない。そして会社に提案する。

こうした方法で仕事を行えば、部分を担当する社員も、大きなこと
ができる。目的とする成果の定義から仕事をはじめねばならない。

昨日と同じ方法で仕事をやっていれば、成果は、今年と同じように
逃げる。

生きることは人間の権利だが、労働は権利ではない。顧客に向かい
成果のあがる労働、または成果に向かうための労働の責任があるだ
けだ。

責任が人を成長させる。成果責任のともなわない権利や権限は、人
を堕落させる。

成果をあげる責任が自分にあると思えば、権限者に従うだけではダ
メだと分かる。権限者が認めればそれでいいとするのは、間違った
方法である。成果に向かって、正しいことをしなければならない。

どんなに大きな会社でも、担当者が顧客と、直接に接する仕事をす
る。会社ではない。1兆円の売上げも、顧客単価2000円の集積
である。一回一回の、顧客の決断の結果である。

それが、大会社という安全装置と権限の多階層が壁になって、皆に
見えなくなったとき、対策が間違う。市場変化は日々、現場で起こ
っている。現場の数字をリアルに見れば、対策は見える。

【後記】
弱い部分を無視し、強みを一層強化して伸ばす方法は、実際の成果
をあげることができます。

コンサルティングンの方法もこれです。

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4.時間をとられる会議はなぜ必要になるか
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