価値を作る志
This is my site Written by admin on 2004年6月3日 – 08:00

こんにちは、吉田繁治です。47名の読者の参加を得た4日間のNY
視察・研究ツアーが終了し、昨夜、帰りました。海外から帰るとピカ
ピカの立派な設備で閑散とした関西空港に、おおきな容器のもの悲し
さを覚えます。

随想風に書きます。

NYからお送りするつもりでしたが、持参のノートブックパソコン
(ソニー・バイオ)にコーヒーをこぼしてしまい、キーボードが奇妙な
反応をするようになって書けず、帰宅し、仕事場で書き継いでいます。
旅では、時間を凝縮した縮図のように、いろんなことが起こります。

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       <Vol.190: 価値を作る志>

【目次】

 1.観光
 2.(話題が違いますが)日本人という概念
 3.NYの魅力
 4.重なる
 5.Stew Lonard’s(スチュー・レオナルズ)
 6.存在理由(raison d’etre)

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■1.観光

▼倫理の罪

日本は、繊細な観光資源が各地にあるのに活かされていない。各都市
が官の予算での保護を求め、「一様のもの」を作るのにマネーを使っ
てきた。

旧厚生省の施設を含め、官の予算は、価値と魅力のない設備とサービ
スを作った。最終目的が、お役人の権益と天下り先の確保だからです。
公共投資はその手段だった。関連団体も、利権に乗った。

近代化という時代は、粗雑なモダニズムと一様さを価値にしていた。
今、官には価値の誤認がある。異なることは、官にはできない。

この国では、1.郵貯、2.簡保、3.大蔵省の金融支配、4.裁量
の特別会計、5.そして個人金融資産を費消する財投があったことを
理由に、すでに官の経済がGDPの47%(赤字財政を含めた国民負
担率)を占めている。官よ、支配と自己拡張ではなく、国民への倫理
に目覚めよ。

法を犯すより、倫理の罪は重いはずです。

▼玉の湯

大分県に湯布院という名の、温泉町がある。近くの山腹に両親の墓が
あり、時折、訪れる。墓からは、晴れていれば銀紙のように輝く海が
見える。

湯布院の『玉の湯』の食堂『葡萄屋』の料理は、地元産の自然素材を
活かし、いつ訪れても高度な満足を与える。商品開発の発想と方法す
ら教える。

最初は約20年前だった。お金を貯め、高価な玉の湯に正月休みに家
族で2泊した。今もこの質が変わらない。稀有です。経営者の確固と
した価値観が見える。しかも、その価値観は進歩している。

<世界に誇るものが特別にはないなかで、湯布院ならではの、何かこ
こち良いものの、ほど良さみたいなものを皆様に伝えていけることを
大切にしていけたらなと思っています(玉の湯専務 桑野和泉さん)>

http://www.riraku.net/japan/ryokan/tamanoyu-files/tamanoyu-kuwano.html

お読みいただければ解説は不要です。こうした価値観こそが、ひなび
た、本当のことを言えば貧困な盆地の温泉町だった湯布院に<観光>
を与えた。観光の価値は、開発された。

▼世界観

観光は、差異化の価値に向かう物語作りと設計。地域の、志をもつリ
ーダーの役割が、いかに重要かわかる。玉の湯のオーナーは、価値あ
る商品づくりのリーダーであり、彼の姿勢と、異なることへの情熱が
多くの人の共感を呼び<湯布院>ができた。

マネーの資本ではなく、知力とリーダシップです。1.世界の食を知
る舌、2.地域の産物の洗練の方法、3.および地域の人々の願望を
の3要素を結びつけた。温泉と料理は不可分です。

湯布院には世界観があります。使えばここちよい愛用の<つげ>の耳
かきの品質にも湯布院が反映している。耳かきでも、湯布院で商品に
なる。そうした世界を作った。知ったとき、この湯布院はただ者では
ないと思った。

▼ブランド

エルメス等のブランド作りと価値の維持、不断の新製品作りの方法も、
湯布院と同じであり、この方法はすべての製造の商品開発、小売り
の店舗開発、サービス業のサービス開発にも通じます。価値を守るに
は変化すること、年々新しいものを付け加えることが必要です。自足
すれば、終わる。

<そこでしか得られないもの>の探求と、より高い洗練と高度化に向
かうことの維持です。

各都市や街は価値作りができる。異なる価値は、人為が、方向をもっ
て創造するものであり、自然のままで生まれるものではない。

自然に安住するだけでは価値は作ることができない。単なる田舎や過
疎であるだけです。商品開発のようなプランニングと、熱い表現が必
要です。

あなたの街は、どこに他の街にない価値がありますか?
あなたの会社の、顧客にとっての存在理由は何ですか?
あなた自身の、会社にとって、または顧客にとっての存在理由は何で
すか? 

ブランドとは価値の差異化であり、顧客の期待を満たし続けることで
す。

私は1週間のNY<観光>に行った。47名のNY観光を案内した。
観とは、そこでしか得られない価値あるものを見ることだと思います。
(白川静:常用字解からの解釈)

<観>には深い意味がある。その意味を再生する(ルネサンスさせる)
ことです。閑散とした関西空港で、ひとつしか動いていないコンベ
アに乗ってからからと荷物が出てくる間、そうしたことを考えた。

■2.(話題が違いますが)日本人という概念

長年、疑問に思ってきたことを書きます。

入国審査のレーンの表示が変です。
関西空港に限らず
<日本人>、
<外国人>と表示されています。

日本人は日本人種を表すものです。この表示では、ブラジルや米国に
市民権がある日本人は外国人となる。彼らも日本人でしょう。

日本国籍をとった韓国人やイギリス人は、人種では韓国人やイギリス
人であるはずです。そして日本市民であるはずです。

法的な関係を正確に示すなら「日本市民(Japanese Citizen)」、そ
して「訪問者(Visitors)」でなければならない。これが、米国の入国
審査での表示です。

市民とは、その国の法に従うことを条件に、市民権を付与された人、
つまり国家と契約した人を意味します。

・日本人(Japanese)であり、日本市民である人
・外国人であり、日本市民である人、
・日本人であり、外国の市民である人
・外国の市民という、4者がいるはずです。

これはゆるがせにできることではない。国家の成立に係わる重大事で
す。この国の入国管理と法を与(あずか)る法務省のお役人は、一体
何を考えているのか?

意味不明の表示が、一刻も早く変わることを希望します。法務省また
はその関係者からの、明解な回答を望みます。

以上は日本人が国際化するのに必要なことに思えます。
国際化とは自分のアデインティティを大切にすることでしょう。
ローカルな価値こそ、グローバリズムの国際化に適合する。

■3.NYの魅力

4日間の、<NY視察・研究ツアー>を終わり、55丁目の和食レス
トラン(鬼が島)でのフェアウェル・パーティー。その後、連れだっ
てアッパー・ウエスト(ブロードウェイ:106丁目)にある「SM
OKE」というラテン系ジャズを演奏するバーに行きました。

NYでレストラン評論をしている日本人女性の夫である愉快なプエル
トリカンの案内によるものでした。彼は、レストランの建築エンジニ
ア。プエルトリコは、米国に属する特別自治区です。

彼の顔を見て無神経でうかつに<Are you an American?>と聞いた。
<私はプエルトリカンであり米国人ではない>と彼は誇った。

ジンベースのマティーニを啜り、曲芸のようにくるくる回るサックス
と対抗し、7色の音を出すトロンボーン、見事なリズムのパーカッシ
ョン、ピアノを聞いた。ジャズのレベルがどの程度のものか私には判
定はできない。素養がないからです。

しかし数分もすれば感興がのり、奏者と100名くらいの聴衆の心の
リズムは一体になり、熱いコレスポンデンスが生じる。共感が見えた。

古典であるジョン・コルトレーンくらいしか知らず、ジャズには疎い
私の身体にも変化が起こった。ジャズと、なみなみについだ辛(から)
いマティーニは、とても合う。

音楽は、時間を濃く共有させる。多様な人種と文化が集まるNYだっ
た。音楽は、非言語の、情動のコミュニケーションだった。

白髪の髪をたばねたパーカッション奏者の、丸い老眼鏡をかけた小さ
な顔が、マニアックだった。

■4.重なる

気がかりなことがあった。NYツアーの約一ヶ月前に、小倉に住む義
父の容体が悪くなり、突然入院した。わけのわからないことを言う哲
学与太者だった私は、義父の存在と好意によってビジネスの途に導か
れた。

所作と人格に気品があった。姿勢が確かだった。自己コントロールが
できる人だった。自分のスタイルをもっていた。

晩年は、大切にしてきた事業の不成功のため不遇だった。先月半ばに
行った門司ゴルフクラブの1番スタートにある小さな小屋の裏に、義
父が寄贈した鏡があった。縁(ふち)がボロボロになって腐食してい
た。

見舞うと、自分で食事を摂(と)ることが難しくなった義父がいた。
「君には、こんな姿を見せたくなかった。いろいろお世話になって本
当に申し訳ありません。」と言った。今はの際(きわ)に、丁寧語を
使われ、私はうろたえた。

いろんなことを言いたかったが、顔を見るのがやっとだった。耳が遠
く筆談しか通じないので「内臓は悪くなってはいないとのことですか
ら、怪我のようなものです。早く元気になってください。」と書いた。
義父はうなずいたが、返事は返さなかった。それが、最後だった。

NY視察・研究ツアーの2日目の早朝(NY時間)に、仕事関係に混
じって、次女からのメールが届いた。件名は「おじいちゃん」だった。
開(あ)けなくても、内容は推察できた。

激しく思考がめぐった。あと3日間仕事がある。日常生活がダメな私
の身の回りの世話と、ツアーのアシスタントとして来ている家人を起
こした。「おじいちゃんが、亡くなったよ・・・」

予測できていたことだった。家人は泣き伏した。

「今すぐ、飛行機を予約し帰りなさい。義父は、他のだれよりも、あ
なたを待っているはず。NYでのあとのことは私がやる。心配は要ら
ない。」

「お父さんには、ツアーの仕事の手伝いで、NYに行くと言ってあり
ます。お見舞に行って別れる前、今まで聞いたこともない大切なこと
を話してくれた。父は寿命の日をわかっていたようです。」

電話で葬儀に出席できない事情を話して近親者に謝罪した。ツアーバ
スの、朝の出発時刻が迫り部屋を出る前、彼女はバスルームの鏡に向
かい、両こぶしを握り締め、涙を飲みこんでいた。神々しい姿だった。
私は声をかけなかった。

彼女は化粧と服装を整え部屋を後にした。
私は、約50メートル後をついて行った。

セミナーの2日目でバスでの見学ツアーの初日だった。FRB(ニュ
ーヨーク連銀)に行き、崩壊したWTC跡地をバスの窓から見た。彼
女を見ると手を合わせ祈っていた。想いは遠くの空に飛んでいた。

私は世界の中央銀行でもあるFRBの機能と、不換紙幣であるマネー
価値と国際金融の怪しさと策略を解説していた。今、ドルの価値は崩
落寸前に見える。

イーストリバーに面し、かまぼこ板のように立つ頼りない国連を訪ね
た。雨だった。時折、激しくなった。セキュリティチェックは厳重で、
ツアーメンバーの何人かは、金属のバックルのついたベルトをとる
ことを要求された。

国連の入り口には、銃身をくにゃりと曲げてむすんだライフル銃の、
ブロンズ彫刻があり、撃てない銃は平和を願っていた。ネオコンには
狂気がある。

その後、マンハッタンの、特徴ある店舗を選んで、訪問した。

■5.Stew Lonard’s(スチュー・レオナルズ)

3日目には、NYのすぐ北、コネティカット州に本社がある食品スー
パー、<Stew Lonard’s>を訪ねた。たった3店舗しかな
い。いずれも繁盛店。土曜日の夕刻だった。広い駐車場は満杯で、玄
関からは大きなショッピングカートに食品をあふれるくらい載せた、
大勢の人々が列をなして出てきていた。

この店の前には、ウォルマートのスーパーセンター(食品+日用品の
6000坪規模のディスカウント・ストア)を案内していた。ウォル
マートは、食品分野でも、販売量と金額で世界ナンバーワンになって
いる。

80年代末からのウォルマートの食品分野への進出が、安閑としてい
た食品スーパーに、サプライチェーン、QR(クイック・レスポンス)
ミール・ソリューション、そしてCRMへの技術革新に火をつけ
た。技術は、つぶれるかも知れないという危機意識から生まれる。危
機は企業を育てる。

30兆円年商(世界で4000店)になったウォルマートに、おごり
が見えた。そのひとつが<ショッピングカート単位では、一番安い>
という言い訳。

この表現は1品1品の価格で負けることがあることを示す。ウォルマ
ートの創業精神とは違う。全品がどこよりも安いことがウォルマート
の精神であり、仕事の方法であって、全員が大切にしてきた価値だっ
た。

<2万ドルの世帯に、4万ドルの生活水準を提供する>ことが精神だ
った。ウォルマートならではの、顧客にとっての存在価値だった。玉
の湯の桑野和泉さんが言う<湯布院ならではのもの>のように。

約10年前、一緒に食事をしたウォルマートの元スーパーバイザー(
当時は企業コンサルタント)は言った。

<どこよりも安いことがウォルマートの価値です。他のことは従属的
なことです。障害にぶち当たると、can do attitude(なんでもできる)
とチームで声をかけあった。そして事実、不可能に思えることを実
現してきた。この精神がある限りウォルマートは成長します。>

翌日、住まいの改善というソリューションを、部品とサービスとセッ
トで売るホームデポ(Home Depot)を訪ねた。

レジの上には、<もし他の小売り店で、ホームデポ価格より安いもの
があった時は、差額と10%をリファンド(返金)します>と、大き
なサインで書いてあった。

ホームデポ価格が$100、他店価格が$90なら、(表示価格差の
$10+$90×10%)=$19を返金するという意味です。

差額だけの返金は以前からあった。今回見たのは相手より更に10%
安くするという顧客への約束だった。これは、価格への信用を与える。
今のウォルマートには、こうした精神が見えにくい。

食品は、量産の工業製品であるグロサリーと、農場の自然の産物であ
る生鮮品(肉・魚+野菜+果物+乳製品)に分けることができる。

商品管理、在庫管理、そして店内作業は、賞味期限の長いグロサリー
と、鮮度管理が必要な生鮮品とはまるで異なる。食品スーパーは、作
業では2つのコンビネーションの店舗です。

グロサリーは、ウォルマートの大量仕入れで安くなる。

他方、生鮮品は、契約した農場の生産力に依存するため、源流の確か
さと品質を求めれば、大量仕入れは効かない。信頼のおける基準品質
で、大量に供給することはできない。生鮮では、仕入量だけでは強み
にはならない。

スチュー・レオナルズはたった3店舗(4店舗の予定)。量が価格を
下げるグロサリーでは、数千店になっている食品スーパーやウォルマ
ートに負ける。

スチュー・レオナルズは<3店舗だからこそできることがある。大手
チェーンには不可能なことがある。それを実行する>と考える。これ
こそが、<弱みの中から強みを発見する戦略思考>。

http://www.stewleonards.com/

量産効果があるグロサリーは、大型食品スーパーの常識としては必要
であっても棄てる。そして、量産効果がない生鮮に絞る。こうした決
断が戦略です。

加えて生鮮でも品目を絞る。店舗は約2000坪、売上高の公表はな
い。店舗と顧客数を見れば、1店で100億円〜120億円は売って
いる。創業は新しく1969年。7名で始めた。

生鮮品だけでの顧客単価は、ショッピングカートを見れば約1万円が
モード(最頻)値です。レジで観察すれば、すぐわかる。

日本の食品スーパーの約2.5倍。アパレル・日用品・食品を含む総
合店であるウォルマートの約2倍。

部門と品種を絞った生鮮のみでありながら、スチュー・レオナルズは
顧客単価が高い。顧客が価格と品質を信頼し、買う際に他店との比較
する必要を感じないからです。購買の際の、認知の不協和がない。

あれほど多種の商品を置く日本のデーパートでも顧客単価は5000
円くらいでしょう。顧客は少なくしか買わない。価格への不信がある
からです。不安で多くを買わない。根底のところに、商品戦略での、
広げすぎた誤りがあります。

店舗立地でも、丘の頂上に、たった1店舗がある。(Yonkers 店)
店舗が集まることの常識を無視する。孤高に見える。そして、それが
コストが安い最適立地になっている。

店舗には、21世紀でもっと大切になるヒューマニティがある。価格
表示も意図的にチョークであり、POPも商品価値に合う手書きです。
売り場はまさにディズニーランド。楽しい。食品スーパーが楽しさま
でを提供する。突き抜けた徹底があるからです。

POSシステムは当然ある。しかしそれに依存しない。肉も、当日カ
ットのフレッシュ・カットです。調理法を示す丁寧な、POPが至る
ところにある。売り場がそのまま、今日の料理を提案する。裏に、ヒュ
ーマニティがある。

参加メンバーの、6名の女性に聞いてみた。
<スチュー・レオナルズはどうですか?> 

<こんな店が日本にあれば毎日でも買いに来たいです。品質は良く価
格もびっくりするくらい、安いんです>

十分な答えだった。多くの女性は食品ではプロのバイヤーです。

資本の規模が勝つ分野もある。しかし今のウォルマートでは、スチュ
ー・レオナルドを実現できない。勝つことはできない。新しい西友沼
津店を見て断言できます。

大切なところで、西友もウォルマートも方法を誤っている。月並みな
西友沼津店がなくても顧客は困らない。ウォルマートも今は資本の論
理になっている。これでは、苦労するはずです。感激がない。

創業期のウォルマートは、衝撃を与える店舗だった。

NYにはスチュー・レオナルズのように自らの強みを発見した企業が、
流通・製造・サービス、IT、金融に限らず多数ある。激しい競争
が、それらの会社を作った。

POSシステムや定番のカケラもない破天荒な、やぶれかぶれに見え
るJack’s 99セントストアでもメンバーは興奮した。ここは、
創業期のウォルマートに似ていた。

感激がある店舗を作らなければならにない。
それは、志からしか来ない。資本力では決してない。

■6.存在理由(raison d’etre)

どこにも負けない強みは、ありますか?
あなたの会社の、顧客にとっての存在理由は何ですか?
あなた自身の、最終顧客にとっての存在理由は何ですか?
どんな点で、あなたしかできない貢献を、顧客に対してしていますか?

あなたの会社がないと、どんな点で顧客は困りますか?

スチュー・レオナルズは、不利な点(店舗数の少なさ。資本の小ささ)
を、有利なことに転じたモデルです。

なぜ、こうした方法に至ることができるか?
大手ができないことで、顧客にとって必要なことを考えたからです。
大量出店と、逆のことを行ったからです。

大手の強みで競争すれば、自然に痛みもなく、負けます。
戦略が、成功を決める。戦略は資本ではなく知力からくる。

▼価値の差異化のための4つの問い

以下は、ツアーのテキストの冒頭に掲げた4つの問いです。
私自身の、仕事の指針にもなっています。改めて書きます。

(1)業界標準(または平均や競争相手)と比べて、思いきり減ら
   せる、顧客にとって不要な要素は何か?

(2)業界標準(または平均や競争相手)と比べて、大胆に増やす
   べき、顧客にとって必要な要素は何か?

(3)業界の暗黙の常識として、商品やサービスに備わっている要
   素のうち、顧客にとっては不要で、取り除けるものは何か?

(4)業界(または競争相手)ではこれまでは提供されていないが、
   顧客にとって必要で、付け加えるべき要素は何か?

横並びや二番煎じが得意だった日本では、製品価値、サービス価値の
差異化が必要です。この国では、資本の論理に負ける人がとりわけ多
い。自らを、弱い中小企業と規定してしまっている。これは自分で土
俵を降りている。そして世間の成功を、否定的に見る。

ここからは、何も生まれない。そして、資本の規模が有利になる大手
の総合化を、意味もしらず、新しい方法として真似、せっかくの企業
を失敗に導く。実に哀しい。

▼方法

業界標準(多くは各業界の大手)のところに競争相手、または目標と
している会社・商品・サービスをいれ、具体的に考えればクリアにわ
かる。

経営や戦略比較のベンチマーク手法と言う。
他方、目標にするのが、モデル化手法。

これを探すのをツアーの目的にした。参加者の多くに、方向への迷い
があった。早く目覚めて欲しい。何人が目覚め、青雲の志を抱いたか

小ささは、スチュー・レオナルドのように、有利さを発見させる。大
企業も、SBU(戦略的ビジネスユニット)で考えなけばならない。

▼発見すべきこと(再掲)

価値の差異を作るための4つの問い

(1)〔       〕と比べて、思いきり減らせる、顧客にと
   って不要な要素は何か?
(2)〔       〕と比べて、大胆に増やすべき、顧客にと
   って必要な要素は何か?
(3)業界の暗黙の常識として、製品(またはサービス)に備わっ
   ている要素のうち、顧客にとっては不要で、取り除ける要素
   は何か?
(4)〔       〕ではこれまでは提供されていないが、顧 
 
   客にとって必要で、付け加えるべき要素は何か?

〔*****〕には、競争企業やモデル企業名を入れてください。戦
略と仕事のスターティングポイントは、ここからです。戦略が誤って
いれば、労働が果実をむすばない。

近代の資本の論理は、弱点をもつ。
巨大資本の国、米国で、それが見えた。
時代は民度の高いポストモダニズム。

顧客と企業の間にあった商品情報の非対称性はなくなった。
今は顧客のほうが、より商品を知っています。
狭く限定し一個ずつ競争優位を作ることが必要です。

<『たった1店舗の、資本の論理では、ふけばとぶような零細企業、
Zabar’s が、なぜ顧客から最高の店と言われるか? 鍵は、そこでし
ょうね。』 お言葉の意味、噛みしめたいと思います。>

参加者であった熊本の、ペンション経営者からいただいたメールの言
葉です。バスの中で、私は、確かにそう言ったような記憶があります。
小さいことこそが世界的になる。それがインターネット時代。ブロ
ード・ウェイのちいさな店舗に、日本からアクセスできる。
資本の意味が、インターネットで変わってしまった。

http://www.zabars.com/

他のどこより好きな店です。サーモン切り50年の、髪がすっかり薄
くなったサムさん(中国人?)は、その日も、ゆっくりと紙のように
薄くサーモンをカットしていた。顧客はファンのように話しかけ写真
をとっていた。

貴重なものの価値を知る人々がNYにいた。サーモン切りが、サムさ
んの命だった。ゼイバースのオーナーは、マネーを超える人生という
ものの価値を知っていた。

躯が弱く、高齢の彼の姿を今回も見ることができたのは、幸運です。
ゼイバーズがあるから、NYに住む喜びがあるという人すらいる。以
前、書いたときメールをいただいた。共感は通じる。

http://www.zabars.com/history.htm
ここのzebrars video tourのクリックで一瞬それが見えます。

生涯、道を探していた義父にはもう会えない。サムさんと重なって見
え、像が歪んだ。私は大切だった4人の死に際に立ち会うことができ
なかった。父、母、義父、そして先生。

仕事とは言え、こんな人生を送っていていいのか・・・
私はナイーブすぎるか・・・

see you next week!!

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【1.6月11日の、公開講演「毎日ITフォーラム」】

6月11日に、総務省、大阪府、関西経済連合会、NTTドコモ、毎
日新聞の共催で公開講演会があり、基調講演を行います。演題は「I
Tビジネスの可能性を拓く」です。50分の講演と、後はパネルディ
スカッションです。

会場は、大阪梅田の毎日新聞オパールホールで、13:30くらいか
らです。案内は↓以下にも掲載されています。

http://www.ogc.ne.jp/it_forum/

毎日新聞にも、案内が掲載されていると思います。昨年の基調講演は、
OSのトロンとユビキタス・コンピューティングを提唱する坂村健
氏だったそうです。

【2.新刊書】
『利益経営の技術と精神』(商業界)は、全国の主要書店で発売され
ています。

アマゾンで注文することができます。
http://www.amazon.co.jp

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     【ビジネス知識源 読者アンケート 】

読者の方からの意見や感想を、書く内容に反映させることを目的とす
るアンケートです。いただく感想は、とても参考になります。

1.テーマと内容は興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
3.疑問点は?
4.その他、感想、希望テーマ等、ご自由に
5.差し支えない範囲で読者の横顔情報があると助かります。

コピーしてメールにはりつけ、記入の上、気軽に送信してください。

↓著者へのメールのあて先
yoshida@cool-knowledge.com

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▼本無料版と姉妹編である有料版の、最近のものの目次です。

<152号:情報活用の原則と方法(2)>

【目次】

1.ニューヨーク
2.マネーの輸入加工工場
3.巨額投資のタイム・ワーナー・センター
4.文化の受容の、一形態

5.情報利用とマネジメントの機能
6.コンビニエンス・ストアの個店マネジメント
7.POSによる、品目別売上結果情報の意味
8.重要:購買決定の、前に必要な選択の豊富さ
  (商品構成論の焦点)
9.ショッピング・バスケット分析
10.顧客別の購買商品分析を行えば

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