単純になった世界(1)
This is my site Written by admin on 2004年8月10日 – 08:00

こんにちは、吉田繁治です。金融の怪しい仕組みを解いた<モルトと
水>から1ヶ月弱ほど間が空いてしまい申し訳ありません。

8月6日の明治記念館での、当方の講演ブース(ウチダ・ソリューシ
ョンフェア)には、募集の2倍650名の参加がありました。

半数以上は当メールマガジンの読者の方々だったようです。テーマは
「リーダシップとマネジメント」。効果をあげる経営と仕事の方法の
基本を解くものです。

▼これ以上は短くできないように、まとめれば

リーダシップには、未だにその内容をあらわす日本語がありません。
原義はLead(先行すること)。目標(あるいは方向)を示し、達成に
向かって、チームを自発的に動機づける力です。

・目標に対しチームの共感を獲得し、
・何を実行すべきかを決め、
・チームを成功に導く力です。

他方、マネジメント(経営または管理)は、従来からあるPDC
(Plan-Do-Check)に集約される、実行の過程管理です。

端的には、
・リーダシップは「何を実行すべきか(what)を決めること」です。
・マネジメントは「どう実行すべきか(how)を決め、過程を管理
(manage)すること」です。

管理(manage)は以下の4ステップです。
・目標と実行結果を対照し「差異」を出す。
・現場を「確認」し、差異の「原因」を確定する。
・対策作業を「立案」する。
・対策作業を「実行」する。

たった15行。ことにあたって、以上のリーダシップとマネジメント
の原則に照らし、不足していることを反省すれば、マネジメントの弱
点の発見があります。

会議、決定、リポートの都度、飽きずに最初に確認する。当たり前の
ことをおろそかにしてはいけません。当たり前のことに情熱をもち、
持続し、実行することが非凡です。持続がパワーです。

本稿は、煮詰まって<単純になった世界の原理>です。煮詰めれば水
が蒸発し、隠れていた世界の中身が干潮の海のように見えてきます。
今、そんな感じを受けています。

【本稿】
米国は、今、テロで警戒体制です。空港でのセキュリティチェックは、
微に入り、細をうがちます。しかし係員の士気は低い。

テロが起これば、今年11月の大統領選すら延期すると言っています。
なぜこうした発言があるのか。

大きく単純にまとめます。

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        <Vol.194:単純になった世界(1)>

 【目次】

 1.冷戦後
 2.世界が市場経済になったあとの覇権
 3.2000年という転換点
 4.大陸欧州の認識
 5.9.11以降は、軍事による覇権

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■1.冷戦後

9.11以降の世界は、日を追って単純になってきたと感じています。
数式を描いて解くことをイメージしながら、まず、15年を記述し
ます。

【第一の仮説】
冷戦の終結(89年〜90年)以降、21世紀は「価値観で、多極的
な世界」に向かうはずでした。これが第一の仮説。ソ連の崩壊後、周
辺国が次々に独立したのがその証左です。

【第二の仮説】
世界の多極化を押しとどめ、一極での覇権を狙っているのが米国です。

【新たな闘争】
多極化へ向かうエネルギーと、覇権を狙う米国の間に、闘争が起こっ
ているのが現在です。

まず、若干の歴史を振り返ります。

▼共産国家の崩壊とは何だったか

【1.バランス構造】

・私有財産制をベースに、私的利益の増加を原理にする資本主義
・国有財産制をベースに、私的利益の分配を原理にする共産主義

<Capitalism >-<軍事力での Balance>-<Communism>

資本主義国は、反対の世界であった共産主義国と軍事でパワーバラン
スし、冷戦といわれた世界構造を作っていた。主義とは、何を大切に
するかの価値観です。

資本主義と共産主義には、労働が生む私的利益の帰属と分配について
価値観の対立があった。価値観の対立が、相互の国家政策の正当性を
保証していましたとも言えます。台湾や米国の存在によって、中国の
政権が国民の支持を受けるような構造です。

共産国家では、利益の分配を仲介していた官僚階級に、カビのように
特権が生まれます。縁故主義、政策の堕落、民の抑圧と貧困が激しく
なり、反乱を招いた。支配階級のモラルハザード(道徳の障害)を原
因に、自壊が起こります。

米国が言ったように資本主義が勝利を収めたのではない。共産国家の
官僚組織が、マネーの枯渇からくる紙幣の乱発でインフレを招き自壊
したことが本質です。

(注)今の傾向では、もうすぐ日銀の紙幣印刷だけに頼ることになる
今の日本の国家債務に似ています。

【2.過程】
Communism → モラル・ハザードの発生 → 反乱 → 自壊

モラル・ハザードは、預かった権力を、期待される公的な目的のため
にではなく、私的な利益のために使うことです。権力は、モニター(
監視)が弱くなれば、モラル・ハザードを起こす。自己規制は期待で
きない。健全なマスコミを含む外部からのモニターが必要です。

共産国家の自壊のあと、資本主義は「市場経済」という概念によって、
世界化します。

(注)わが国の規制緩和、構造改革、公的機関の民営も、市場経済が
もつ、自律的な調整機能への期待からです。世界の現象はつながりを
もちます。時代の価値観(ものの見方)は、共有されます。

【3.称揚された市場経済】
市場経済とは、マーケットでの需給で、商品と労働の価値(=価格)
を決めることです。資本を使う会社の価値も、自由な公開市場で売買
される株価で決まるとする。

同じことですが、商品価格も市場の需給で決まる。労働の価値(賃金)
も、需給で決まるとする。通貨の価値も、通貨への需給(変動相場)
で決まる。

共産主義には市場と選挙という概念がなく官僚独裁であり、価格は、
経済計画を作る官僚か、または供給側が決めていました。

冷戦の崩壊は、世界を隈なく市場経済にしたと言えます。これが、冷
戦のあとの結果です。今、われわれが住む世界です。

西側世界では、所得分配を行う修正資本主義だったリベラリズムは後
退し、世界の思潮は保守化します。その中から、軍事的覇権を目指す
ネオ・コン勢力も鬼っ子のように生まれる。

■2.世界が市場経済になったあとの覇権

市場経済には、本来は覇権と覇権がもたらす特権はない。顧客の獲得
競争があるだけです。しかしここで、覇権を独占しようとする国があ
らわれます。

【1.覇権】
覇権とは、軍事力を背景にして上に立つ特権(supremacy)すなわち、
他への支配権(hegemony)です。

冷戦下で覇権をもち、分割された2つの世界をバランスさせていたの
は、核兵器大国のソ連と米国でした。

【2.多極的な世界】
ソ連の国家体制が崩壊したあと、市場経済になれば、世界の国々は、
それぞれの価値観による文化で、多極化するはずでした。

文化は、価値観を束ねたものです。民族は、独自の文化、すなわち共
通のものの見方、そして制度をもつ。制度は、文化を固定化したもの
です。

【3.米国】
ところがここで、世界の62億人に対し、覇権を独占しようとする国
があらわれた。それが米国です。

覇権を裏付けるものとして利用したのが、
(1)突出した軍事力、
(2)世界が貿易に使う米ドル(機軸通貨)、
(3)産業では、情報処理の技術、金融技術、知的所有権でした。

【4.日本は・・・】
80年代までの冷戦下の西側世界では、生産力の競争があった。覇者
は、70年代以降は、まごうことなく日本でした。金融でも豊富な貯
蓄率をバックに、日本の金融機関が世界を買収する勢いでした。

今思えば幻想にも思える昔日ですが、冷戦終結の直後(90年)には、
「21世紀は日本の世紀」と言われていた。世界を買収できる巨額
資金を、金融機関が手にしていたからです。

このとき、米国の覇権戦略は、まず90年代の金融戦略としてあらわ
れます。

▼覇権戦略1:金融

米国の覇権戦略は、ソ連なきあと日本に向けられます。戦略的に日本
の金融の弱みをついた。戦略とは、自分の強みを活かし、言い換えれ
ば一層強化し、勝てる部分で相手の弱みをつくことです。

【1.金融】
まず、金融技術を使い、ウォール街に世界のマネーを集める仕組みを
作る。そのために崩壊したのが、日本のバブルです。

バブルは極点で、自壊する性質ももっていますが、その前に、ドル体
制を支える誇らしい役割を、米国は日本の旧大蔵省に与えます大蔵官
僚は、米国とのつながりを、自らの権力の裏付けにします。

日本政府と大蔵省に統治権を与える政治的なスポンサーは、米国コネ
クションでした。例えば反米の姿勢をとった代表であった田中角栄等
は、次々にスキャンダルで葬る。

日本の金融資産を支配していた大蔵省は、大量のドル買いを行います。
米国がとったのは債券(権利)を与え、中身(マネー)を抜く方法
です。

米国に流れたマネーは、米国が中継点になって米国の金融機関が、国
内と世界で使う。

(a 辺境意識)
日本人には、古来、極東であることの辺境意識、劣等意識があります。
ドルの方が円より上だと思っていた。国際化というコトバは、輝く
響きをもっていました。日本の国際化とは、米国との対等の関係だっ
た。

(b 2つの手段)
米国の、国益のための金融戦略に用いられたのが
(1)国際会計基準(=米国会計基準)と、
(2)BIS規制です。

国際会計基準は、日本の含み資本の虚を暴くものでした。BIS規制
は、銀行に8%以上の自己資本を義務づけることで、預金(=負債)
が膨大で自己資本が少なかった邦銀の資産を、縮小に向かわせます。

(c 弱み)
日本の金融機関は大蔵省が管理し、預金の払い出しは政府が保証して
いたため、金融機関は、利益や自己資本を増やす誘因をもたなかった。
規模拡大のみを行ってきていたのです。

保証は大蔵省がする。銀行は大蔵省営業部として庶民から預金を集め、
土地担保をとって企業に貸し付ければ、規模拡大ができる構造でし
た。

BIS規制(スイス・バーゼルの国際決済銀行による規制)は、日本
の銀行の、資本の薄さという弱点をつくことが目的でした。
http://www.nomura.co.jp/terms/b/bis.html

橋本内閣と旧大蔵省は、欧州と米国から要請された金融ビッグバンを
受け入れます。この要請は、国内では利を生まないジャパンマネーを、
欧米が利用する目的をもっていました。

財務省と金融庁は過去の、護送船団の大蔵省政策には頬被りし、いつ
の間にか主旨替えをしてBIS規制の側に立っています。

仲間内で貸してきた日本の銀行に、利益の蓄積を求めれば、反論はで
きない。今起こっている邦銀の統合、併合、買収も、根をたどればB
IS規制の派生からくる現象です。

▼覇権戦略2:インターネット

産業では、80年代までは閉鎖的な軍事技術だったTCP/IP(コ
ンピュータ間通信でのインターネット・プロトコル)を解放します。
ソフト帝国になったマイクロソフトは、TCP/IPを励起(れいき)
装置にして、誕生したと言っていい。

95年のインターネットの世界的な普及によって「ニューエコノミー」
イデオロギーが賞揚されます。イデオロギーとは、数学的論理とは
違い、価値判断を含む言説です。生産力は、ロジスティクスとネット
ワークで利用すればいい。便利なインターネットとパソコンは、世界
を巻き込みます。

(注)今マイクロソフトは、windows2000以降の戦略が描けず、資金を
余らせています。それが8兆円の株主還元です。

■3.2000年という転換点

▼マネーセンターの完成

ニューエコノミーのイデオロギーで、ウォール街が世界のマネーセン
ターになり、米国に世界の資金が集まる構造(マネーセンター)が出
来上がります。

世界のマネーは、ニューエコノミーと言われた企業に実際の成果(ア
マゾンや通信企業の利益)が出る前に、ウォール街に殺到し、株高を
作る。

株高は将来利益への期待から生じる信用(マネー)の創造です。世界
のマネーが集まって、アメリカは空前の景気になった。90年代後期
からの米国は、未曾有の繁栄と言われた。

ウォール街はマネーを輸入し、株高で増やして、世界へ還流するとい
うマネーセンターになった。これが、貿易赤字、財政赤字、家計の赤
字の米ドルを支えます。生産力ではなく、金融が富を集めたと言えま
す。

金融とは、預金者が所有するマネーを束して巨額にし、運用権をもつ
仕組みです。

【会計のモラル・ハザード】
ITバブルと言われたマネー経済は、エネルギー会社エンロンの会計
粉飾でショックを受け(01年末)、通信会社ワールドコムの不正(
02年8月)でリスクを感じ、逃げます。

集まった投機マネーの運用で、会社に、資本主義への犯罪つまりモラ
ル・ハザードが生じていた。資本主義は、根底では、コストを減らし
利益を生む経営倫理によって成り立ちます。経営者の会計への倫理を
信用し、人々は株を買う。

会計をゴマカシの手段にすれば、資本主義は崩壊します。
事実、まずは西欧、そしてアジアのマネーが米国から逃げた。

▼ドルの価値の揺らぎとユーローの誕生

通貨では、欧州にドルに匹敵する国際性をもつ地域通貨であるユーロ
ーが誕生します。これは、米ドル機軸通貨体制への衝撃だった。ユー
ローが価値を高くするのではない。

ドルへの対抗馬があらわれたことが、ドルにとっての打撃です。

国際性をもつ地域通貨であるユーロー以降、赤字を出す米ドルが、今
後も変わらざる機軸とは言えなくなった。ここが肝心な点です。

米国は、困った態度を見せず、ユーローを無視する態度をとります。
通貨当局の計算された意図です。

「貿易、財政、家計の赤字の米ドルが、どんな根拠で、何を信用に機
軸通貨でありえるか」ということを、正面から議論すれば、米国に国
益をもたらすドル機軸体制が終わるからです。

赤字のドルが弱体化しているとは、米国は言えない。米国の経済白書
には、米国の赤字が世界の輸出産業をひっぱるエンジンだという記述
が見えるだけです。そして、ドル債を世界がもつのは米国経済が強い
からだという説明になる。

機軸通貨は2つの特権をもちます。あえて分かりにくくセニョレッジ
とも言われる。

【特権】
(1)貿易赤字が続いても、黒字国は印刷された通貨を受けとる。
(2)周期的に通貨を切り下げれば、借金を減らすことができる。

機軸通貨のポジションは、近世の化学者が夢見た、富を集める錬金術
に似ています。通貨発行権が、世界の全地域に及ぶからです。

紙幣の額面は$100で変わらない。しかしその実質価値(購買力)
は、半分にすることができます。

【プラザ合意以降】
米国は、機軸通貨の地位を失うかも知れないと恐る恐る行った85年
のプラザ合意(ドルを半分に切り下げるG5の合意)のあとも、機軸
通貨の地位が失われなかったことで、自信をもちます。

紙に過ぎないドルを大量に発行しても機軸通貨の議論は起こらず、逆
にドル切り下げで、借金を減らせることに気が付いたことになる。

ソ連崩壊後の90年代は、赤字の米ドルが世界化する過程でもありま
した。

80年代以降の工業化で、低価格の日用品の輸出国に浮上していたア
ジア諸国は、中国を含み、自国通貨をドルへリンクさせます。

各国の中央銀行は、米ドルを、輸入の支払い準備通貨(reserve)とし
て積み上げます。世界のドル需要は増えていました。

需要が強い通貨は、赤字で増加発行しても価値は下げない。受け取る
人が増えていたからです。

世界の成長地域であるアジアは、輸出経済によって米ドル体制に組み
込まれます。

■4.大陸欧州の認識

世界の通貨に対しドルを切り下げれば、損をするのは、米国ではなく、
黒字を努力して貯めた国です。大陸欧州は、こうした機軸通貨特権
が米国にあることを知っていた。

米ドルが機軸通貨であり続けるなら、米ドルの巨額増刷によって、欧
州も、その富を収奪される植民地であることを認識していました。

他国の商品を輸入するには、まず貿易通貨の米ドルを稼ぐために米国
に商品を輸出しなければならない。ドルがなければ資源と商品が買え
ないからです。

【ドル、ユーロー、円】
実際にユーローが通貨として流通したのは、2002年からです。

ドルを世界通貨とするとユーローはまだ地域通貨です。円は、ドルの
赤字を補う役割を、日本の財務省が担当している通貨です。

大陸欧州は、機軸通貨特権が甘いものであることを知っています。
ここが肝心な点です。

■5.財政赤字と貿易赤字は問題ではないとした米国

財務省の為替市場での公式的な機能は、「為替平衡を図ること」とさ
れています。ドルを買う一辺倒の外為会計の正当性はそこから来る。

外為会計は、巨額損失を蒙っても、官僚は責任を問われない仕組みで
す。(なぜ、こしたことが国会の議論にならないのか、不思議です)

為替平衡の内容を端的に言えば、ドルが下落すれば円が上昇し、円で
経費を払う輸出企業が苦しくなるので、ドルを買い支えるということ
です。

▼矛盾した機能

財務省は、矛盾した機能を担っています。ドルが安くなれば、米国に
とって輸入物価が上がり、消費が減って輸入が減ります。これが変動
相場による自然な、貿易赤字の調整機能です。

しかし日本の財務省がドルを買い支えれば、ドルの下落は防止される。
巨額の赤字でもドルは強い通貨の地位を守り、米国の貿易赤字は、
いつまでも縮小しない。経済原理に反したことが続くのです。

為替マーケットに、わが国財務省によるPKOがあったため、米ドル
は、あたかも永遠の機軸通貨のように見えていました。変動相場制は、
真の変動相場ではなかった。

「財政赤字や貿易赤字など、何が問題か?」と、赤字を憂慮する前財
務長官オニールを恫喝したのが、影の大統領と言われるチェイニーで
した。

▼392兆円(3人世帯当たり約1000万円)

米国の国債だけでも、日本は官民合わせて$6398億(04年3月
末:約70兆円)をもちます。日本はドル機軸通貨体制に、深くコミ
ットしています。

米国債は、総額441兆円の40%が海外で保有され、その40%(
米国債の総額の16%)を日本がもっています。

(注)米国では、国債発行は441兆円(GDP比44%)と少ない。
しかし、社債、住宅ローンの抵当証券が合計で約2000兆円と多
額です。米国債券はこうしたものの総額です。

米国国債を含む、日本の対外資産は以下です。
               (2004年3月末:財務省)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(1)直接投資  36兆円(資本的な株式)
(2)証券投資 184兆円(債券株へのポートフォリオ投資)
(3)その他投資  88兆円
(4)外貨準備  84兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   合計    392兆円(世帯当たり1000万円)

(注)対外負債は230兆円であり、対外純資産は(資産392兆円
−負債230兆円=)162兆円です。
http://www.mof.go.jp/houkoku/1606a.htm

いずれは、貿易赤字と財政赤地の矛盾が累積し、世界が一勢にドルを
売りあびせる「変曲点」が来ます。そのときドルを最も多額にもつ国、
日本が損をする。

主要銀行(東京三菱、みずほ、三井住友、UFJ)も合計で19兆円
の外債をもっています。地銀全体では7兆円です。(04年3月末)
 

米国の金利が上がれば、米国債券は、日本国債とともに減価します。
損をするのは、結局は、個人金融資産をもつ国民です。

大陸欧州が地域通貨を作り、ドル離れを画策していますが、日本は従
来、そして今も米ドルを買う以外に通貨戦略をもっていません。

▼ドル通貨圏のアジア

$444億(48兆円)のドル準備通貨を貯めた中国は、米ドル、ユ
ーローの加重平均に元をリンクさせる通貨バスケットをアジアに向か
って提案しています(04年)。

中国は米ドル一辺倒ではない。

台湾の外貨準備は$2290億(25兆円)、香港が$1201億(
13兆円)、韓国$1636億(18兆円)です。日本以外のアジア
も、日本の外貨準備(84兆円)に匹敵する米ドルを、外貨としても
っています。(英エコミスト誌)

米国にとって、こうした米ドルの分散は、リスクの高まりを意味しま
す。年50兆円($4500億)規模の貿易赤字と財政赤字が続けば、
米ドルが分散していることのリスクが、ますます高まる。

米国は会員権を乱発するゴルフ場に似ています。黙って持っているだ
けではなくプレーを申し込めば満員になって、いつまで待ってもプレ
ーはできず、会員権の価値はなくなる。

■5.9.11以降は、軍事による覇権

【公式表明】
米国が決して言わないのは、機軸通貨の特権についてです。代わりに、
米国債や企業の社債、住宅ローンの抵当証券が、海外から買われる
のは、米国経済が強いからだと繰り返す。

しかし米国の金融トップは、機軸通貨の特権こそが、貯蓄のない多消
費、貿易赤字、財政赤字の米国経済を支えていることを、腹では認識
しています。

【デフォルト】
世界が、米ドルは機軸通貨ではないと認識すれば、一夜で、デフォル
ト(支払い不能)を発動しなければならない。ドル崩壊による信用恐
慌です。

輸入ができなくなった米国経済、輸出ができなくなった日本、そして
保有する米国債券の暴落を想像すればどういった事態になるか、瞭然
でしょう。

【他方、ユーローは・・・】
他方、ユーローの一貫した狙いは、米ドルが下がらないうちに、手持
ちのドル債を、日本やアジア諸国に買わせることです。ゆっくりとユ
ーローに換えるのがマネー戦略です。

(注)今、中国の投資バブルが崩壊しようとしている時、中国債券を
上手に邦銀に引き受けさせようとしているのも、欧米銀行です。

▼第一次変異が起こった

2000年春からの米国ITバブル崩壊の過程で、米国に集まるマネ
ーが急減します。ITバブルの崩壊は、繁栄の90年代を終わらせる
衝撃をもっていました。

ドル機軸通貨体制が終わりに向かう始まりにもなり得たからです。

そして・・・9.11(01年)が起こる。米国は、当日、準備があ
ったかのように対テロ戦争を宣言します。

世界は、イスラム原理主義のテロの恐怖下にある。テロ集団を壊滅さ
せるまで、先制攻撃(pre-emptive attack)を方法とし、20年戦争、
40年戦争を行うとの方針を02年9月のブッシュ・ドクトリンは
示す。

テロを、先進国共通の危機とすることによって、突出した軍事力(su
premacy)を背景に、オイルと資源マーケットを支配し、米ドル機軸通
貨体制を維持させるとの意味を含む感じを受けます。

そして03年は口実を作りイラク戦争に向かう。イラク戦争の遂行で、
米国から逃げるマネーを補うために、米ドルを約30兆円も買い支
えたのは、またも日本の財務省でした。(今は停止しています)

米国の景気が悪化すれば、ブッシュ政権は戦争ができなかったからで
す。

9月は、米国の新年度です。新年度は、米国の世界戦略の発表、また
は発表がなくても、兆候があらわれる時期でもあります。

米政府は、今、全米に警戒態勢を敷き、テロを予告するように「テロ
が起これば、11月の大統領選は、延期する」と発表しています。

夏休みの夜の夢は、いつも夢ではなく、9月からの戦略になります。

その後の展開は、次号で。
see you next week!

【公開講演の案内】
IBMの主催で、以下の公開講演があります。基調講演を担当し、テ
ーマは「流通業における情報利用・・・タンピンカンリ以降の方法を
解く」です。参加費は無料です。

[ストア・ソリューションセミナー]
9月17日(金) IBM東京箱崎事業所内 13:30開始
9月22日(水) IBM大阪事業所内   13:30開始

まだWEBでの案内は出ていないようです。興味をおもちの方は、下
記に問い合わせしてください。
03−3808−5480 担当 IBM 原さん

先日、講演に行った北海道の上場企業で、『利益経営の技術と精神』
を読み、会長・社長が衝撃を受け、幹部社員約300名に読むことを
義務づけたと聞きました。著者冥利(みょうり)に尽きます。

熱烈な支持と中身が難しいという感想に、二分されているようです。
情報システムの使い方で、感想が分かれるようです。次第にいろんな
企業に浸透しています。

http://www.amazon.co.jp

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     【ビジネス知識源 読者アンケート 】

読者の方からの意見や感想を、書く内容に反映させることを目的とす
るアンケートです。いただく感想は、とても参考になります。

1.テーマと内容は興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
3.疑問点は?
4.その他、感想、希望テーマ等、ご自由に
5.差し支えない範囲で読者の横顔情報があると助かります。

コピーしてメールにはりつけ、記入の上、気軽に送信してください。

↓著者へのメールのあて先
yoshida@cool-knowledge.com

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▼本無料版と姉妹編である有料版の、最近のものの目次です。

  <169号:特別テーマ:「地価形成」の構造が変わった>

【目次】

  1.地方は中核都市でも
  2.市場の価格原理への抵抗をするのが政府部門
  3.政府系金融機関も、地価の価格形成を歪めている
  4.加えてゼロ金利策という歪み
  5.重要な転換の認識
  6.地価は「全体傾向」がなくなる
  7.土地の需給要因が、根底から変わった
  8.2006年3月期からの減損会計の導入
  9.日本の土地市場には需給での歪みがあった
 10.補助金農業の実相
 11.25年くらい先駆けた体験
 12.まとめれば

▼申込み月の既発行分は、その月の全部を読むことができます。

※申込み月の1ヶ月分は発行分を無料で試読ができます。
 無料期間の1ヶ月の後の解除も、拘束はなく自由です。
 ↓
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