消費税の増税後の、景気と経済
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おはようございます。 W杯で、にわかサッカーファンになっていま
す。6月20日の朝7時から、期待して見たギリシア戦は、「0-0」の
引き分けでした。

日本チームは、ボールの支配率が2/3くらいで、相手を圧倒する攻
勢がとれていました。MFの退場を受けた後半のギリシアは、明らか
に攻め足がとまり、防御一辺倒でした。しかし一点がとれない。ペ
ナルティエリアの前で、背の高いディフェンダーにはじきとばされ
ていたからです。

皆さんとたぶん同じように、勝つことを熱望していたため、今日気
分が晴れません。

日本チームは、毎月出るFIFA世界ランキングで見ると47位(14年5
月)です。この1年での最上位は32位で、最下位は50位でした。こ
のランキングを見ると、1勝でもすれば、大活躍に思えてきます。
http://members.jcom.home.ne.jp/wcup/fifarannking.htm

ワールドカップの出場は32チームです。32チームの中で、日本は、
FIFAランクでは、最下位(オーストラリア:59位)から4番目です。

出場チームの中で日本の下にいるのは、カメルーン(FIFAランク50
位:14年5月)、韓国(同55位)、オーストラリア(同59位)と、
馴染みのある4チームだけでした。

2-1で負けたコートジボアールは、21位です。0-0と惜しかったギリ
シアは10位のチームです。次に戦うコロンビアは、トップランクの
5位です。

以上のランキングから見ると、初戦のコートジボアール(21位)、
2戦目のギリシア(10位)に対し、日本はよく戦ったと言えるので
しょう。いずれも、アジアでよく戦う韓国やオーストラリアとは
「格が違う」相手です。

TVでは意識して、出演者に期待をこめた発言をさせますが、3敗を
予想する専門家もいました。2敗1分けで予選リーグを敗退すると、
「日本の元気」が落ちそうな気がします。

コロンビアは2勝し、すでに決勝リーグへの出場が決まっています。
主力がケガを警戒し、疲労を残さないために「ガンバラナイ」こと
を願います。他力(たりき)の期待です。

6月25日(水曜日)、コロンビア戦。負けても、よくやったと心か
ら言える戦いをして欲しい。ホンネはランキングを無視し、ここ一
番での「奇跡的な勝利」を期待したい。「なんとか、ともかく、1
勝」。これは、論理ではなく人情で、神風に期待です。

                                *

本稿は、消費税増税後の景気と経済をテーマにします。毎月の景気
を調査し、評価するのは政府機関(内閣府:月例経済報告)です。
それに、民間の経済機関、エコノミスト、大手マスコミが加わりま
す。

いずれも、増税後の景気を決める「消費動向」では、3月の駆け込
み需要の反動減(4月、5月)は、「想定内」であると言う。
果たしてそうかというのが、本稿を書く動機です。

まず、あいまいなところがある「景気」とは何を言うのか、です。
内閣府は、毎月、アンケート調査し、集計結果を公表しています。

そのときの景気は、(1)商品の売買の動向、(2)設備投資の動向、
(3)及び株等の、金融商品の取引の動向、つまり経済活動全般の
動きの方向です。英語で景気にあたる単語は、意味が異なるbusine
ssくらいしかない。景気動向はbusiness cycle、またはbusiness t
rendでしょう。

しかしbusinessは、企業からみた経済活動であり、日本語の、社会
的な心理までを含む景気の語感とは違います。景気は、人々の、経
済取引への心的な態度を含む日本に独自の言葉です。大阪で「もう
かってまっか?」という、あれでしょう。

(注)本稿は、有料版の増刊号として送ったものに、若干の手を加
えたものです。1ヶ月648円の有料版は、毎週水曜日に、論考を届お
届けしています。
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<715号:増刊:消費税の増税後の、景気と経済>

                2014年6月22日

【目次】

1.内閣府の、消費動向調査の統計
2.内閣府の消費動向調査の、結果の概要(2014年6月:最新)
3.実際の分布で見れば
4.更に実数で見れば
5.安倍政権は、株価依存内閣になっている

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■1.内閣府の、消費動向調査の統計

内閣府(旧経済企画庁)は、毎月、8400世帯を対象に消費の動きと
態度を調査して集計し、公表しています。これが、多くのところで
とりあげられる「景気判断」のベースになっているものです。

全国8400世帯と少ない調査結果の平均や比率は、日本全体(母集団
:5300万世帯)のことだと言えるのかどうか?  (注)有効回答数
は5600世帯くらいです。

▼これを機会に、若干難しい統計学的なことについて:サンプル調
査の統計学的な根拠:サンプル数と標本誤差の原理

内閣府のように、8400世帯(有効調査5600)を調査したところ、景
気がいいと判断している世帯が仮に40%あったと仮定します。この
40%という結果は、わが国5300万世帯(母集団と言います)に対し、
全数を調査したときの真の値と、どの程度の誤差をもつものか。 

「標本誤差の原理」から、以下の算式で、日本全体の、5300万世帯
を合計した景気観をあらわすということができます(信頼度は95
%)。

◎標本誤差=2×√{(標本の調査結果40%×(1-標本の調査結果4
0%)÷標本有効調査数5600世帯}≒2×√(0.4×0.6/5600)≒2×
0.0065=0.013=1.3%

以上の結果から、5600世帯の有効標本で調査された、「40%の世帯
が、景気がいいと答えた結果」は、95%の信頼度で、母集団(5300
万世帯)を調査したときの[40%±1.3%=38.7%~41.3%]にあ
るということができます。

これが「標本誤差の原理」です。国勢調査のように、日本の全世帯
(5300万)を、数100億円をかけて調査しなくても、ほぼ1万分の1
の5600世帯のサンプル調査で十分な結果が出るということです。た
だし、景気の調査では、「質問の誘導的な文章」によっても答えが
違ってくるので、注意が必要です。

他の、いろんな調査のときも、同じ「標本誤差の原理」が言えるの
で、これを機会に述べておきます。

(注1)ビデオリサーチが行っているTVの視聴率調査では、サンプ
ル数は600世帯で、この、ほぼ1/10です。600世帯や200世帯の標本
調査から、母集団(日本全体)を推計すると、同じ「標本誤差の原
理」から、正確度は以下のようになると解説しています。(↓)
http://www.videor.co.jp/rating/wh/07.htm

(注2)ビデオリサーチが行ったW杯(コートジボアール戦)の視聴
率は、日曜日(6月15日)だったこともあって、最高の瞬間視聴率
が後半で46.6%(関東)でした。この視聴率の誤差は、ほぼ6%と
言えます。日本全体(母集団)の真の視聴率は、40.6%から52.6%
の間だったと言えるということです。

■2.内閣府の消費動向調査の、結果の概要(2014年6月:最新)

http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/2014/201405honbun.pdf

まず、「消費者態度指数」からです。
(1)暮らし向き、
(2)収入の増え方
(3)雇用環境、
(4)耐久消費財(家電や車)の買い時の判断、
(5)資産価格(株・不動産)の5項目に対する、アンケート調査で
す。

今後6ヶ月の期間について、「よくなるか、大きくなるか、増える
か」を5段階で質問しています。

結果の評点は以下の方法です。

・よくなる、大きくなる、増える→(+1.0)
・ややよくなる、やや大きくなる、やや増える→(+0.75)
・変わらない→(+0.5)
・やや悪くなる、やや小さくなる、やや減る→(+0.25)
・悪くなる、小さくなる、減る→(0.0)。

全体合計が「現在と変わらない」ときは、集計は0.5になり、これ
が百分率で50%と評価されます。

【ゼロの基準が0.5:50%】
合計した結果が50%より大きなときが、「これからよくなる、大き
くなる、増える」と感じる人が多いということです。100%のとき
は、全員が「よくなる、大きくなる、増える」と答えたことになり
ます。

結果が50%より小さなときは、「これから悪くなる、小さくなる、
減る」と感じている人が多いということです。30%のときは、合計
が「やや悪くなる、やや小さくなる、やや減る」と答えたことにな
ります。

「結果で50%が±0の基準」と見てください。この解釈を誤ってい
る論評も散見します。(調査結果の小数点は四捨五入していま
す。)

                      14年5月    前月差    前年同月差
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(1)暮らし向き        37%        -0.9%    -6.6%    
(2)収入の増え方      37%        -1.2%    -4.5%
(3)雇用環境          46%        +1.3%    -3.5%
(4)耐久消費財の買い時
                        37%        +4.8%    -9.9%
(5)資産価値          42%        +1.8%    -7.5%
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

暮らし向き、
収入の増え方、
雇用環境、
耐久消費財の買い時、
そして資産価値の5項目について、
今後6ヶ月(ほぼ2014年12月まで)の見通しは、いずれも、50%を
割っています。37%から42%です。

(注)本来なら、50%をゼロとし、37%は「-13%」、42%は「-
8%」とすれば、誰にもわかりやすくなります。

政府は、「国民にわかりやすくなることを、好まない」ためか、あ
るいはプラスとして見せたいためか、例えば「暮らし向き」に対し
て、37%(実際の数字は37)と集計しています。

37%や37と表現すると、「これからよくなる、大きくなる、増え
る」と答えた人が37%という風に印象づけられるからです。実際は、
マイナス17%です。「やや悪くなる、やや小さくなる、やや減る」
と答えた人が17%多かったということです。

▼世帯がもつ景気観の実際:201年5月から悪化している

この一項を見ても、政府、エコノミスト、大手マスコミの「景気は
いい」とする景況感と、世帯が実際にもっている景気観に、相当な
違いがあることがわかります。

世帯は、合計では向こう6ヶ月、「暮らし向き、収入、雇用、買い
時、資産価格はやや悪くなる、やや小さくなる、やや減る」と答え
ているからです。

大手マスコミが、なぜこれを報じないのか、不思議に思います。エ
コノミストも、言いません。最近の新聞は、戦争のときの「壊走が
転戦になった大本営の発表」に似てきています。

表の前年同月差を見てください。前年の同月(2013年5月)は、5月
23日に、
・米国のQE3(量的緩和第三弾)の縮小予想と
・中国の景気指数(製造業PMI)の悪化を受け、株価が暴落した月
でした。

日経平均が、1日で1143円(-7.3%)も下がった。1万5942円が1万
4483円に急落しました。その後、2013年11月まで、日経平均は低迷
したのです。

いずれの指標も、前年同月差で悪化しています。2013年5月の株価
の急落を受け、その後、2013年12月まで見たときより、2014年5月
に、12月までを見たときが、5つの指標が悪化したということです。

長期的に言えば、自民党が政権に就き、アベノミクスの円安を原因
に株価が上がっていた2012年12月から2013年の5月ころまでは、景
況感の、前月差での上昇が見られました。その後は、相当に大きく
下落を続けています。

2013年9月以降は、景況感の悪化しています。ところが政府は、そ
の中で「消費税の増税」を決定しました。その後、世帯は、政府の
景気への言及とは異なり、景況の悪化を感じ続けているということ
です。↓の、「第1図:消費者態度指数の推移」を見てください。

消費者の意識の、落ち込みの急な角度は、(深さは浅くても)リー
マン危機のとき同じです。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/2014/201405honbun.pdf
消費税増税後の、景況感は、世帯から見たとき、言い換えれば個人
からみたとき、「悪化」しています。

37%(実際は-13%)と低いのは、「暮らし向きと収入の増え方」
です。耐久財の買い時が37%と低いのは、消費増税後は、当然に買
い時ではないからです。

「暮らし向きと収入の増え方」は、耐久消費財の買い時と同じよう
に低くなっています。以上が、世帯の全体的な、もっとも最近の景
気観です。

確かに、2012年12月からはアベノミクスの最初の6ヶ月は、「よく
なる」と感じた人が増えていました。しかしそれでも、50%(±0
の基準点)には達せず、消費者態度の頂点は、2013年5月頃までで
した。その後、ずっと悪化しています・

新聞を読んで、「なんだかおかしい」と感じていた人は多いかもし
れません。理由は、ここで示した内閣府の消費動向調査に現れたよ
うな実感を、個人がもっていたからです。

■3.実際の分布で見れば

2014年6月調査(対象は5月)の、世帯の実数を見ると以下の分布で
す。                      
                      やや          やや          
              好転    好転  不変    悪化  悪化    合計
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・暮らし向き  0.3    3.9    49.8    35.6  10.5    37.0
・収入        0.4    4.4    53.7    29.7  11.8    38.0  
・雇用環境    0.4    18.9    55.5    18.6    6.6    47.0  
・耐久財買い  0.2    4.9    47.0    38.4    9.5    37.0  
・資産価格    0.3    6.1    63.9    22.7    7.0    42.5
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/2014/201405honbun.pdf

この原表を「好転とやや好転(好転)」、「不変」、「やや悪化と
悪化(悪化)」の3項目にまとめて四捨五入すると、答えた世帯の
実数が、更によくわかります。(注)内閣府も、こんな表に集計す
ればいいのにと思います。
                              
            好転  不変    悪化  
~~~~~~~~~~~~~~~~~
・暮らし向き  4%  50%    46%    
・収入        5%  54%    42%    
・雇用環境    19%  56%    25%            
・耐久財買い  5%  47%    48%        
・資産価格    6%  64%    30%    
~~~~~~~~~~~~~~~~~

代表的な項目の「暮らし向き」に対して、今後6ヵ月先まで見たと
き、好転すると答えるのは4%の世帯です。変わらないが50%の世
帯です。46%の世帯は、悪化です。

日銀のDI(ディヒュージョン・インデックス)に直すと、「好転4
%-悪化46%=-42%(DI)」であり、相当な悪化と評価されます。

収入の先行きも、ほぼ同じです。収入が減ると答える世帯(42%)
が、増えると答えた世帯(5%)より37%多い。わが国は、相変わ
らず、世帯収入が減ることを続けているということです。

(注)雇用環境は、復興事業を主とする政府の、公共事業の増加の
ため、好転が19%、悪化が25%と、以前より良くなっています。雇
用は買改善したが、賃金の水準は下がっているということです。

このような環境で、政府策として消費者物価を上げ、消費税を増税
する。これは間違った政策であると、はっきり言うことができます。

以上の事実に対し、政府はどう答えるでしょうか。
嘘を言うことでしか、答えられないはずです。

2014年10月に、消費税の、追加での2%上げを決定すべきではない
と判断します。もし決定すれば、ひどい経済に向かいます。

収入が減ると答える世帯(42%)が、増えると答えた世帯(5%)
より37%も多いからです。100世帯のうち収入が増えているのは、5
世帯のみだからです。

■4.更に実数で見れば

総務省は、内閣府とは別に、家計の収入と消費の金額の調査をして
います(「家計調査報告」)。

これも毎月、調査・集計され、ほぼ2ヶ月遅れで発表されるので、
最新の消費経済を知ることができるものです。

http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

内閣府の消費動向調査は、「これから6ヶ月」を聞くものですが、
家計調査報告は、家計簿つまり世帯の収入と支出の金額の集計です。

消費税の増税後の2014年4月は、世帯あたりの消費支出は30万2141
円です。増税前の駆け込み需要があった3月より、前月比で、物価
上昇を引いた実質では13.3%減っています。

実質は、名目額の支出から、14年4月の3%の消費税増税を含む物価
上昇率(前年同月比+3.4%:総合)を引いたものです。名目金額で
は、14年4月の家計支出が約10%減ったということです。

4月は、消費税3%と、輸入物価の上昇で、消費者物価が3.4%上が
ったので(1000円の商品が1034円になったので)、実質、つまり消
費数量では約13%減っています。

驚くのは、2014年4月の、世帯収入の、減りかたの大きさです。勤
労者世帯の「実収入」は、名目の金額で、13年4月比で3.3%減って、
46万3964円です。物価上昇率を引いた実質では、前年比7.1%も減
っています。

▼勤労者世帯の「実質実収入」の推移

2人以上の世帯のうち、会社に勤務する勤労者世帯の「実質の実収
入」は、2013年7月までは増えていたのです。「実質実収入」は、
「名目実収入-消費者物価上昇率」です

【世帯の実質実収入:2人以上の勤労者世帯】
2013年4月 +2.9%、5月+1.5%、6月+2.0%、7月+1.3%でした。
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

しかし、2013年8月以降は、減る月が出始めます。

2013年8月-0.9%、9月+0.9%、10月-1.3%、11月-1.1%、12月-1.
7%

減少の主因は、2012年比で20%の円安のため、その半年後からの輸
入物価の上昇が、消費者物価に及んできたからです。そして、2014
年4月には、勤労者世帯の家計の実質実収入が、前年同月比で-7.1
%という大きなマイナスになっています。

2014年1月-0.6%、2月-1.3%、3月-3.3%、4月-7.1%です。

(注)4月の、世帯の実質実収入の減り方でのマイナス7.1%は、大
きすぎます。名目でマイナス3.3%、物価上昇で3.4%減です。
物価上昇(3.4%)の影響を除く実収入の、名目で減りかた(3.3
%)を内訳で見ると、世帯主の定期収入(月給)は-1%です。
臨時収入と賞与等が7541円になって、30%減っています。妻の、
パート収入も1世帯平均では、5万5066円へと3.5%減っています。
世帯主の定期収入(月給)の1%減が、これからの傾向と見ていい
でしょう。

消費税であれなんであれ、本来「増税は、家計収入が増えていると
きしか実行してはならない」 これが、世界の、政治的な常識です。

ところが安倍政権は家計の実収入が減っている時期に、5300万軒の
世帯から6兆円を徴収する3%の増税を行ってしまいました。しかも、
異次元緩和によって、物価を上げる目標を2%にしています。

つまり、世帯の収入が減る中で、
・消費税を上げ、
・円安策によって物価を上げています。

(注)通貨下落することが原因の、その国の物価上昇は「悪い物価
上昇」です。輸入価格の上昇で、国内の所得が海外に流出するから
です。他方、供給を上回る需要の増加による物価の上昇は、「いい
物価の上昇」です。商品価格の上昇が、企業の売上の増加になり、
賃金が上がってゆく結果をもたらすからです。

悪い物価上昇で2%、消費税で3%、合計5%の負担の増加です。名
目の実収入は-1%の傾向ですから、(物価目標2%+消費税3%+
実収入の減少1%=6%)、暮らし向きが悪くなります。

以上の数値を見ると、暮らし向きと収入が好転した世帯は、ほぼ5
%しかなく、悪化が40%以上という、先の内閣府の調査結果が、肯
(うなづ)けるでしょう(14年5月時点)

            好転  不変    悪化  
~~~~~~~~~~~~~~~~~
・暮らし向き  4%  50%    46%    
・収入        5%  54%    42%    
~~~~~~~~~~~~~~~~~

■5.安倍政権は、株価依存内閣になっている

民主党政権のときのように、世帯の経済が悪化するときは、支持が
減って、政権は維持できません。

2013年の5月までは、「アベノミクスへの先行きへの期待感」で、
世帯の景気観も、好転していました。しかし2013年6月以降は、様
相が変わっています。内閣府の消費動向調査、及び、総務省の家計
調査は、実際数字で、景況感の低落を示します。

政権は、14年4月からの消費税の増税にもかかわらず、アベノミス
クで、将来の景況がよくなると見せねばならない。

このために利用するのを、株価にしたのが、安倍政権に思えます。
2014年5月の、株価対策を見て、はっきりとこれがわかったのです。

(注)129兆円という巨大資金をもつGPIF(年金基金管理運用独立
行政法人)への執拗な株買いの要請から「株価連動政権」と言われ
はじめています。
http://www.gpif.go.jp/operation/highlight.html#tab_02

東証の主体別の株式売買データを元に、安藤証券が集計している
「投資主体別売買動向」の2014年5月分を見ると、はっきりわかり
ます。

2014年5月は、外人売りから、暴落もありとされていた月です。こ
の5月は以下のような売買になっています。プラスが買い超、マイ
ナスが売り超です。(一部+二部)
http://www.ando-sec.co.jp/market/movement.html

▼信託銀行を使った、株価PKO(PKO:Price Keeping Operation:
株価維持・上昇戦略)・・・これは、マーケット操作です。

【主体別での株の売買:14年5月:-は売り超、+は買い超】
・個人      -5743億円(大きな売り超)
・外国人      -825億円(2014年は買い超を停止)
・生損保      -296億円(過去からの売りの傾向)
・都銀等      -170億円(過去のから売りの傾向)
・信託銀行    +6873億円(突然の巨額な買い:元本は年金基金)
・事業法人    +1530億円(月によって売りと買いが交替)

この主体別売買を見て、信託銀行が6873億円の買い越しをしていな
ければ、14年5月の暴落があったということがわかります。個人は
売り、外国人も買っていないからです。

増税後の、14年5月の株式の売買で、急に、しかも6800億円と異常
に大きくなったのが、信託銀行の買い超(かいちょう)です。

信託銀行は、2013年4月から14年3月まで、売り越しを続けていまし
た。2014年5月に、突然、6873億円もの買い超をしています。
「一体何があったのか」と思えるくらい巨額の買い超です。

信託銀行は、顧客からマネーを預かって、投資する銀行です。1ヶ
月に6000億円を超える株への預託金の急な増加は、世帯や事業法人
を顧客にしてはあり得ないことです。

「緊急に株を買ってくれ」と預けたのは、安倍政権の株価上昇の意
志を受けた政府系の金融機関(郵貯・簡保)、及び、とりわけ年金
基金(GPIF)です。これは推測ですが、断言ができます。上記の表
を見ると、はっきりします。

(注)株の、個々の主体(個人)別の売買額は公開されません。こ
れを知って売買を行えば、かつての村上ファンド(及びライブド
ア)のようなインサイダー取引としての経済犯です。しかし、政府
が行うと犯罪にならない。摘発されないからです。摘発役は検察で
これも政府です。

【2014年の信託銀行の株取引】
2014年の信託銀行の株取引は、
・14年1月 184億円の売り超、
・2月 1626億円の買い超、
・3月 1787億円の売り超、
・4月 943億円の売り超です。

消費税後の5月に、突然、6873億円もの買い超です。
露骨に政府の意向でしかあり得ないことです。

2014年6月の第1週も1000億円の買い超を続け、第2週は876億円の買
い超です。5月に続き6月も、月間4000億円の買い越しのペースです。

2014年の5月と6月は、信託銀行が買い越して下げ傾向の株価を支え
ています。これは政府系金融と年金基金によって支えられた相場で
す。

2014年は外人投資家が売り越し、個人も売り超を続けています。こ
うした中での、かつては売買が拮抗していた信託銀行の買い超です。

http://www.tse.or.jp/market/data/sector/b7gje6000000jkrj-att/stock_val_1_140601.pdf
http://www.tse.or.jp/market/data/sector/b7gje6000000jkrj-att/stock_val_1_140602.pdf

次は、本格的に、年金基金管理運用独立行政法人(GPIF)での本格
的な買い超です(次に株価が危なくなる、8月15日からか)。

国内株式への投資額を運用総資産(129兆円)の17%の22兆円から、
20%の25.8兆円へと、3.8兆円増やす目論見が、練られています。

3.8兆円の買い超を3ヶ月間で、毎月1兆円異以上行うと、日経平均
で、1000円~2000円の上昇要素になります。

(注)上がる時期(2014年8月末から9月)をねらい、ヘッジ・ファ
ンドは2013年に買い越して保有している13兆円を、売るでしょう。
日経平均1万6000円くらいで売り抜け、利益を確定することを狙っ
ています。

市場の60~70%の売買をする自分たちが売れば、相場全体が下がっ
て損をします。

「2013年の15兆円分の買い越しを、売るに売れない状況」にあるの
が、現在です。ここで、130兆円という世界最大規模の運用資金を
もつGPIF(年金基金)が買い手になれば、上がる相場の中で、安心
して売り抜くことができます。

政府部門の買いは、いずれ時期がくる買い増しをやめるときの、株
価下落を準備するものです。そのときは、今度は、更に露骨に日銀
に買わせるのか。  

これも、結果は買いが終わったときの、暴落です。安倍首相は、政
権維持のために、株価操作(マニュピュレーション)を道具にして
います。


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<710号:中国バブルの崩壊は、世界不況の引き金引くのか(1)>
                  2014年5月14日

【目次】
1. リーマン危機を振り返れば
2. 2倍に上がった米国の住宅価格が、2006年から低下した
3. CDSがかかって、優良債権になっているのが2100兆円
4. 巨大な不良債権の穴が、残っていることの証拠はCDS
5. 公開市場がなく、密室の相対取引のCDS
6. 不良債権の、あいまいさ
7. 中央銀行の量的緩和とは、銀行に、現金が増えることを言う
8. 3.1%という、高い保険料のCDSで保証された債権が、2100兆円
9.  一方で、資産価格は高騰した
10. ハイパーインフレのように高騰したアジアの不動産
11. FRB議長イエレンの懸念


<711号:中国バブルの崩壊は、世界不況の引き金引くのか(2)>
                    2014年5月21日

【目次】

1. 日本以外の、都市不動産にバブル価格
2.日本の不動産バブルの発生と崩壊、その原因
3.シンガポールの不動産
4.中国の不動産価格
5.高い金利の理財商品、信託商品の破産の増加
6.中国の、推計GDP成長率
7.中国の不動産バブルの崩壊が、米国債売りになるかどうか
8.中国政府が、公的資金を調達するときの手段が問題

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