緊急号 5.23の株価下落
This is my site Written by admin on 2013年5月27日 – 09:00
こんにちは、吉田繁治です。経済の先端である株価に関する緊急号
を送ります。


5月23日(先週の木曜日)に、株価(日経 225社 単純平均)が、1
万5739円から1万4483円へと、1256円(8%)値下がりしました。
日経新聞は一時的調整と言い、朝日は暴落と言っているのが面白い。

5月末は、ヘッジ・ファンドの決算による、利益確定の売りのため、
株価は下がると言ってきた通りになってしまいました。60%以上の
売買はガイジンなので、日本の株式市場は、残念ですが、ガイジン
が支配する市場です。国内投資家は、バブル崩壊以後の損で、手を
引いてしまったからです。

(注)個人は約700万人の投資家で、1日に、多い日は8000億円、少
ない日は2000億円くらいの売買です。個人の売買シェアは約15%~
30%です。ヘッジ・ファンドが50%から60%です。

わが国の株価は、
・安倍政権のインフレ目標を2%とするマネー印刷への期待から、
・昨年11月の8500円付近から一本調子に、1万5942円(5月23日)ま
で7500円(88%)も上げてきていました。

2013年の年明けからでも、5600円(55%)の上げでした。アベノミ
クス効果と言われ、2013年、14年の経済回復(実質GDPの増加)だ
と言われています。

ところが、東証1部1620社の時価総額で200兆円も増える巨大相場を
作ったのは、国内の投資家(個人、金融機関)ではない。「ガイジ
ン」でした。

日本人は個人も金融機関も、2008年の金融危機(リーマンショック
9月15日)以降の損を回復するため、6ヶ月の上げの過程では一貫し
て「売り超」でした。その売り超の合計額は、約8兆円です。

日本人は、株の売買額は増やしましたが、個人も、この6ヶ月、ほ
ぼ一貫して売り超です。理由は、8500円から1万5900円に上がる過
程で、過去の損を回復するために売りをする投資家が多かったから
です。

【ヘッジファンドの買い超が8兆円】
昨年の11月から6ヶ月間、海外ヘッジ・ファンドによる約8兆円の買
い超(「買い」-「売り」の差額:累積)により上げてきた日本の
株価は、ヘッジ・ファンドの多くが迎える決算日(5月20日)を起
点に、利益確定の売りが増え、1日の下落率で暴落と言える相場に
なったのです。

リアルタイム・チャートを、別画面に開いています。
午前の前場の終値は、455円安の1万4157円(日経225)です。

▼先鞭をつけたのは、シカゴの先物主導の下げだった

5月24日(金曜日)の、シカゴでの、日経平均先物(CME日経平均:
6月もの:円建)は下げて、終値は大証より305円安い1万4305円で
した。シカゴ先物は、米英系のヘッジ・ファンドによる売買です。
http://sisannka.com/

日経平均が1200円(7.6%)下落した5月23日は、40万枚(6兆円)
と、普通のときの4倍に、この先物売りが増えています。

(注:デリバティブ)
先物の6月ものは、6月の第二金曜日を、反対売買で清算すべき決済
の期限(限月)とします。先物の価格も、売りが増えれば、当然に
下がり、先物買い増えれば上がります。

ただし大きな先物売りは、限月の第二金曜日までに、反対の買いに
なって、株価を上げる要素になります。

【裁定取引:アービトラージュ】
先物と現物価格は、高い方を売り安い方を買う「裁定取引」が瞬時
に起こるため、金利差(先物価格=現物価格×(1+期待金利))
で一致します。先物の限月(清算期限)は3月、6月、9月、12月の
いずれも第二金曜。オプション(一定価格で買う権利、売る権利)
の限月は、毎月です。

先物やオプションでは、証拠金(元金)の数倍から数十倍のレバレ
ッジ(信用借り)をかけた取引ができます。レバレッジがかかるこ
とが先物取引やオプションの理由です。日本の株でも、総売買(現
在は1日3~4兆円)の40%くらいが先物取引であり、現物価格を先
導しています。

本稿のテーマは、「5.23の暴落」が、なぜ起こったのか?です。
追求する理由は下がった原因の中に、上がる原因もあると考えるか
らです。

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     <655号 :緊急号:5.23の株価暴落>
                2013年5月27日

【目次】

1.株価の性格
2.2013年5.23の暴落原因
3.バーナンキ発言と、先物市場での売り
4.「期待」が上げてきた株価
5.暴落的な調整に向かうかどうか?

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■1.株価の性格

企業の株(出資証券)に価格がつく根拠は、企業の上げた利益(税
後利益)が、株に帰属するからです。

会社が、その事業で10億円の純益を上げたとします。会社は、普通、
1年では解散しません。来年も、その次も純益を上げます。これら
の、将来の純益の合計(10億円+・・・・)は、出資証券に帰属す
るということから、株には、債券のような経済価値が生じます。

その中で譲渡が可能な上場株(東証では1部1721社、同二部411社、
マザーズ185社)は、株式市場で価格がつきます。

【株の理論価格と市場価格】
現代ファイナンス論は、理論価格を以下のようにしています。

「株価は、将来の期待純益(税後)を、期待金利と利益実現のリス
ク率で割り引いた債券価格と見なせる。」 株価×発行済株数=時
価総額であり、会社の価格とも言えます。

ある会社の株の時価総額(理論価)=
{予想純益/(1+期待金利%+リスク率%)}
     +{予想純益/(1+期待金利%+リスク率%)の2乗}
     +{予想純益/(1+期待金利%+リスク率%)の3乗}    
     +{予想純益/(1+期待金利%+リスク率%)の3乗}
     +・・・・・
=予想純益÷(期待金利率+リスク率)=予想純益÷株式益回り
率

例えば、予想純益が10億円、期待金利が2%、リスク率を4.5%と
見たとき、その会社の株の理論的な時価総額は、10億円÷(2%+4.
5%)=10億円÷株式益回り0.065≒153億円、です。 1000万株を
発行していれば、1株の理論価格は1530円です(153億円÷1000万
株)。
(注)赤字企業でも株価がつくのは、清算価値があるか、あるいは
将来利益への期待からです。

この場合のPER(株価収益率=P/Eレシオ)は、[1÷株式益回り0.
065≒15.3倍]です。 

2013年の世界の株価では、国際分散投資(ポートフォリオ)を組む
とき、ほぼPER15倍がヘッジ・ファンドの基準になっているように
思えます。(注)当方の判断です。

市場では、PER15倍での理論価格1500円くらいを中心点に、ほぼ±3
0%[1050円(PER 10.5倍)~1950円(PER 19.5倍)]の範囲で、
変動するようです。これが、ボラティリティで30%の意味です。

(注)ボラティリティ(VIX)は、過去の日次価格の一定期間をと
った[標準偏差÷移動平均値]です。株価の変動率、つまりVIXが
低いときは15%くらい(安定)、高いときは40%くらいです(乱高
下)。

以上の株価の性格をもとに、5.23の、暴落原因に進みます。

■2.2013年5.23の暴落原因

▼ブルとベアの一致点が今日の株価

株価には価格の根拠がないという人がいますが、そうではない。
理論株価を、どう見るかについての見解の違いが、今日の価格(弱
気と強気の一致点)を実現しています。

企業純益はもっと上がる、純益が上がるから、株価も上がるという
のが強気派(ブル)です。逆に、企業純益は期待ほどではない、従
って株価も下がるというのが、弱気派(ベア)です。

今日の価格は、今日売買したブル(買い)とベア(売り)の一致点
です。ブルが増えれば買いが増えて、各国の株価指数の基準点と想
定されるPER 15倍を越え、16倍、17倍、20倍と上がります。逆に将
来利益に対し、ベアが増えれば、下がります。

【25%くらいの過剰評価があった】
暴落する5月23日前の、日経平均(225社)は、この予想PERが19倍
くらいという高さでした。

15倍という、株価指数(日経平均等)の基準点(当方の判断)に対
して、4倍分(4÷15≒25%)くらい過剰評価であると書いて送った
のが前号(2013年5月17日)でした。

▼世界の株価下落の、直接の引き金は、FRBのバーナンキ議長の、5
月22日の講演だった

米国FRBは、金融危機の2008年9月以来、金融機関に現金を与える目
的で、国債と住宅証券(MBS)を買っています。

公表されたドル増発量(マネタリー・ベースという)は、$3兆(3
00兆円)という巨額です。日銀の円の、2倍以上の増加供給です。
http://www.federalreserve.gov/releases/h41/current/

特に、2012年9月以降は、国債と住宅証券を、毎月$850億(8.5兆
円)増加買いするQE3(量的緩和第三弾)を実行しています。

目的は、
(1)国債価格の下落(=金利上昇)の防止、
(2)住宅証券(MBS)の下落の防止、
(3)及び米国の金融機関に現金を供給することです。

市場の実勢に任せると、ドルの国債価格が下がり、住宅証券も下が
って、金融機関も苦境に陥っていた。これを防ぐためのQE3でした。

新聞等では、「米国の景気回復のためにFRBが金融緩和の継続」と
柔らかく表現されます。FRBが、米国の景気回復のための金融緩和
だと発表するからです。

実際は、量的緩和として国債やMBSをFRBが買うのは、異常な金融策
であり、それは、金融の危機のとき以外ではないのです。

量的緩和は柔らかく「非伝統的手段」という表現で言われます。
「非伝統的手段」とは、普通のときは、中央銀行が採らない方法で
あるという意味。

つまりマネーの増発は、放っておけば金融機関が連鎖して潰れる非
常時に、中央銀行が信用収縮(マネー量の減少)から生じる実体経
済の恐慌を防ぐために行うものです。

FRBは、2008年9月以来、約5年、量的緩和を続けています。

日銀は1998年の日本の金融危機以降、約100兆円の量的緩和を続け
ています。15年も続けたため、人々の意識の上でも「金融の非常
時」が、当たり前になって、不感症になっているのが現在です。

普通の感覚に戻るのは、いつか?  金輪際なく、結局は、大きなイ
ンフレかも知れませんね。

■3.バーナンキ発言と、先物市場での売り

▼QE3の縮小を開始かと見られた

バーナンキ議長は、4年毎に来る3回目の任期の2014年1月には、退
任の意志であることを伝えています。

●【前兆はバーナンキ講演】
世界の株価が同時下落する前の日(5月22日)、バーナンキ議長は、
「FRBは、12年9月から毎月$850億のマネーを増発してきたQE3(量
的緩和第三弾)を、6月から段階的に解消する方向」と解釈できる
発言をしました。

明瞭にいつからかとは言っていませんが、ヘッジ・ファンドは、
バーナンキの講演と、他の理事の発言から、「FRBは2013年6月から、
QE3の順次縮小に向かう」と考えたのです。(注)インサーダー情
報かも知れません。

バーナンキは、FRBが毎月$850億のマネー増発をいつまでも続けれ
ば、2013年に上がった株価のバブルを生んで、それがまた崩壊する
事態を迎えることを、懸念していました。

▼日経平均の先物で、6兆円の先物売りがあった

日本の市場が休んでいる土曜日も開いているシカゴ市場を含む日経
平均の先物で言えば、
・通常の売買額10万枚付近が、
・バーナンキ発言の翌日は一挙に売りが増え、4倍の40万枚でした。

先物の売買も、
・株価の下げを予想した売り手の売りの額と、
・上げを予想する買い手の買いの額が一致しなければならない。

先物の売りの金額が、買いよりはるかに大きかったので、先物価格
が下がり、下がった先物と現物の裁定売買によって、現物価格が下
がりました。

●先物は、1枚が日経平均の1000倍(約1500万円)です。このため4
0万枚の売買は、[1500万円×40万枚=6兆円]という巨額です。1
日で6兆円です。

東証の1日の売買が、現在3~4兆円くらいですから、40万枚という
先物売買(5月23日はほとんどが売り)の大きさが分かるでしょう。

売ったのは、ヘッジ・ファンドの「グローバル・マクロ」です。

(注)日経225の先物市場は、大阪証券取引所(大証)と、シカゴ、
シンガポールにあり、ほぼ24時間、売買されています。大証の先物
売買の70~80%はガイジンです。つまり、株価を先導する役割の先
物市場は、日本も、英米系のヘッジ・ファンドによるものです。

世界で最も売られたのは、2013年に、世界で最も大きく(約50%)
上がっていた日経平均でした。

FRBのバーナンキ発言を「毎月$850億の国債とMBSの買い(QE3)を
6月から、順次、縮小する」と解釈し、ヘッジ・ファンドが先物を6
兆円も売ったのが、今回の暴落の理由です。

■4.「期待」が上げてきた株価

これは、2013年冬からの、世界の株価上昇は、
(1)米国はFRBのQE3、
(2)欧州は、ECBの利下げ(0.25%)、
(3)日本は、日銀の、マネー増発への「期待」によるものです。

いずれも、中央銀行のマネー増発が原因の株価です。

その上昇は、「期待」による部分が大きいことは、日銀が実際に、
マネーを増発したのは、黒田東彦氏が総裁に就任し、「日銀のマ
ネー供給を2年で2倍にする」と言い、1ヶ月に国債を、買い切りで1
0兆円買い始めたのは2013年4月からであることが、証明します。

(1)2012年11月から4月までの日経平均の上昇
                      8500円→1万2000円(41%)

(2)実際に、日銀がマネーを増発した4月以降の上昇
                  1万2000円→約1万6000円(33%)

■5.暴落的な調整に向かうかどうか?

午後3時の終値を見ると、日経平均は1万4142円で、先週比で469円
(3.3%)安でした(13年5月27日)。

円も、$1=100円台と上がっています。
従来とは逆の、株売り・円買いです。

暴落的な調整(日経平均1万1000円以下)に向かうかどうか? 
日本人の個人が、狂乱売りにならない限り、そこまでは行かない。

想定すれば、下落があったとして、底は利益リスクを見た予想PER
で15倍(日経平均で1万2000円付近)と判断しています。

前回示したように1万5900円は、約25から30%%のバブル価格だっ
たからです。1万5900円×0.75≒1万2000円、です。

【後記】
NYダウの先物を見ると、5月27日(月)のpm 3:00は$1万5304です。
http://moneybox.jp/investment/market/f_dow.php

5月27日のダウは、下がっていません。
5月28日の日経平均にとってのプラスの材料です。

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  <653号 :同時に中央銀行バブルになった日本と世界の株価>
                     2013年5月15日号

【テーマ1:漱石の文章表現の技法】

1.言葉が表すこと:具体物とシンボル
2.事例:夢十夜の第一話:ユリになって逢いに来た女の物語

【テーマ2:バブルになった日本と世界の株価】

3.株価は30%くらいはバブル株価
4.消費者物価2%上昇のインフレは、何がどう上がることか
5.長期国債の金利が上がるという怪奇現象
6.5月9日から長期国債の金利が0.85%に上がった原因
7.円安は円が売られ、ドルが買われること
8.欧州も、実体経済は不況のなかで、株価は最高価格

【後記】

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