肝心なこと:国債保有のリスクと予想される行動
This is my site Written by admin on 2013年6月27日 – 09:00
昨朝は室内からも雨足が立つ音の聞こえる強い雨で、豪雨の被害が
案じられました。最近の天候も、経済のようにゆき過ぎます。too 
muchです。

中国の、銀行間金利が、異常に高くなっています。3%台だったも
のが、6月には突然、10%を超えています。

▼中国の金融崩壊

銀行間金利は、今日の資金に余剰が出れば、銀行がオーバー・ナイ
ト(1日)で貸し、不足なら借りるものです。

英国の不正問題が解決していないLIBOR(ライボー:London Inter B
ank Offered Rate )に当たるものです。日本ではTIBOR〔タイボ〕
で、もっとも低い金利です。過去は、電話でやりとりするのでコー
ルレートと言われていました。

現在、
・LIBORは翌日もので0.0886%、6ヶ月もので0.2286%です。
・TIBORも1週間もので0.11%、6ヶ月物で0.28%と低い。

中国の銀行間金利の、不意の高騰は、金融機関の大型倒産、つまり、
払うべきものの決済での不能を意味します。推測すれば、高騰して
いた不動産の融資での、数兆円規模の決済不能です。

中国は、政府によるマネー投入で、2年は先延ばしになっていた不
動産バブルが崩壊する時期に直面しています。

〔400兆円のバッド・ローン〕2011年に、実態では不動産バブルの
崩壊があった。不良債権は巨大で、400兆円と推計されています。
対策は人民銀行が元を刷り、決済に不足する銀行に貸すしかない。

政府が監視できていなかったシャドー・バンキング(影の銀行)の
不良債権が多いと言われます。銀行が子会社や基金を作り、高い金
利で、リスクの高い貸し付けをしたものです。

米国の金融危機を生んだサブプライム・ローンと、金融工学を使う
方法は違っても質は同じです。シャドー・バンキングの決済不能は、
親銀行の破産と同じです。10%を超える銀行間の金利は、異常に高
い・・・

中国の銀行システムの崩壊です。人民銀行がマネー印刷します。対
外的には、問題はない。しばらくすれば何ごともなかったように落
ち着くでしょう。

〔その後のGDP〕ただし、その後、投資が減るため、経済成長は数
%は下がります。日本・米国は不動産ローンの不良化で、欧州は南
欧債の信用不安からの金融危機でGDP成長が、数ポイント下がって
います。

7%台に下がったと言われるGDP成長も、実際は3%台に落ちたとい
う観測もあります。中国の発表は、こうした面で信用がない。

〔輸出減の問題〕中国の経済成長の急落は、GDP(国内総生産)の3
5%以上を占める輸出($1.9兆:190兆円:2011年)の急減による
ものです。GDPの総額は日本とほぼ同じですが、その中の輸出は日
本(73兆円:13年3月)の2.6倍もありました。

外需先(1位:欧州、2位:米国)の景気が後退すると輸出額はブ
ル・ウィップ効果で、何倍も減ります。例えばスペインの、ファッ
ション店(ZARA:低価格コーディネートのザラ)の店頭で10%売上
が減ると、過去の仕入結果の在庫が残るため、仕入は急減します。

〔ブル・ウィップ効果〕ZARAの、中国の生産委託工場への発注は、
30%や50%も減ってしまう。ブル・ウィップは牛へのムチです。手
許(消費)が少し動くと、先(生産)は大きく波打つ。サプライ・
チェーンで言われる、小売倉庫(DC:ディストリビューション・セ
ンター:店頭への供給倉庫)からの工場への発注がこうなる。

〔三角貿易〕米欧、中国、日本は三角貿易の関係です。パナソニッ
クやソニーも、日本から部品や部材を輸出し、中国の自社工場で組
み立て、欧州や米国に輸出しています。

〔外資系が輸出の70%〕このため、これらは中国の輸出というより、
実際は、日本の輸出です。中国内の工場は、中国のGDPです。輸出G
DPの急減は、日本の中国輸出の減少です。中国の景気は、日本にと
って肝心でした。中国の輸出の70%は、外資系企業のものです。

〔株価を決める次期純益〕円安(昨年比20%:2013年平均予想 95
円水準)で、わが国上場製造業の、次期純益が55%増加し、次期純
益の増加予想から、PER15倍(次期予想純益の15倍)で計る株価も7
0%は上がっていましたが、中国のため今日の梅雨のようになって
きています。

▼再び、危機に向かう欧州経済

昨年の秋、ECB(欧州中央銀行)による、無制限の南欧債の買いの
宣言のあとしばらく、市場では、南欧債を買い戻す動きが見られま
した。

ギリシア、スペイン、ポルトガル、イタリアの国債価格が回復し
(長期金利は5%台に下がり)、危機は落ち着いたと言われていた
欧州が、半年の時間をおき、再び、怪しくなっています。

(注)もともと南欧債の危機、財政危機から回復していなかった。
欧州も、当局の発表は中国に似ています。

〔回復の実相〕米国も欧州も、国をあげての金融危機に対し、中央
銀行がマネーを増発して貸す、あるいは下落した不良債権を額面で
買い取って支援するという方法で、表面を塗り固めた回復でした。

米国FRBは$3兆(300兆円)を、欧州ECBは3兆ユーロ(390兆円)を
使っています。米欧で、合計690兆円です。金融支援は08年9月の
リーマン危機からですから、すでに5年です。

なければ、世界恐慌でした。ただし、中央銀行のマネーで先送りさ
れた危機は、先送りだけのことです。

その間に、経済が、言い換えれば金融機関と企業が、売上と利益を
回復することがなければならない。これが、米欧ともこれができて
いない。ここが問題です。このため、繰り返す危機になる。

〔FRBによる住宅資金の大量投入〕米国では、2012年9月からの量的
緩和第三段(QE3)で、FRBは、毎月$400億(4兆円)のMBSを、40
%下がった市場価格ではなく、額面金額で買い、住宅金融にマネー
を贈与し続けています。

(注)MBS:多くの住宅ローン(原資産)を混ぜて、その回収権を
資産にしたデリバティブ証券。これによって米国住宅ローン資金が
提供されが、リーマン危機の以来、AAA格のものでも60%に暴落し
ていた。

年間ベースでは、48兆円という巨額マネーの投入です。3000万円の
住宅で言えば、160万軒分(米国の新築の3年分)に相当します。

FRBが、昨年9月から与えてきた住宅資金のお陰で、住宅市場で160
万軒の、FRB特需が起こって、米国の住宅価格(ケースシラー指数
:全米20都市の平均指数)は、13年4月で前年比12%も上がってい
ます。再びのバブルです。

このため、FRBのバーナンキ議長は、「量的緩和(QE3)」を停止す
る予定を、毎月、仄(ほの)めかしています。

〔$850億/月〕QE3は、毎月、米国債を$450億(4.5兆円)購入
し、額面の60%に下がっていた住宅ローン担保証券(MBS)を$400
億(4兆円)、額面で買ってきました。年間で$1兆(100兆円)の
マネー増発であり、

QE1,QE2、QE3とリーマンショック危機直後の、マネー増発を続け
てきました。危機対策を、いつまでも続けるのは、ドル信用の問題
になって無理です。

〔メッセージ〕ベーナンキの含意は何か? はっきりしています。
米国FRBは、$3兆のマネーを増刷した。これ以上の増刷を続ければ、
基軸通貨ドルへの不信が起こり、世界から、ドル国債が売られる恐
れがある。そうすると、貿易の急減から世界は恐慌を招くかも知れ
ない。 

米国の金利は2.3%が、4%、5%と高騰し、ドル国債は下落し、ド
ル安になる。・・・そこで日銀。

●FRBのあとを埋めるため、2013年からは日銀が、円国債を買い、
ドル国債も買って、円を増発してください・・・というメッセージ
です。

最近の、欧州の経済指標を見てみましょう。
26%という恐慌に近い失業率の高さに、驚きます。
                      
                       直近の               株価
            失業率    GDP成長  長期金利   2013年
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
スペイン    26.8%  -2.0%    4.6%    -11% 
ギリシア    26.8%  -0.3%   10.3%     +1%
イタリア    12.0%  -2.4%    4.3%     -1%
フランス    11.0%  -0.4%    2.1%     +5%
ドイツ      6.9%   -0.3%    1.6%     +8%
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
比較:日本  4.1%   +0.4%    0.8%     +27%
      米国  7.6%   +1.8%    2.3%     +15%
      中国  4.1%   +7.7%    3.3%      -6%
      中国 (20%) (+4%)← 推計(真の姿)              
  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
〔英エコノミスト誌13.06.22:巻末統計より作成〕

スペインとギリシアの失業率は、26%台です(!)。

実態は35%付近です。職を求める活動をあきらめると、失業者では
ないからです。これは日米欧に共通です。中国の失業は、もともと、
1年前から20%でしょう。

南欧の経済は、失業率から見て恐慌の状態です。日本は、賃金が伸
びなくても(減っても)失業率は4.1%で、世界最低レベルに低い。

このため公的失業率が10%(フランス、イタリア)や20%以上(ス
ペイン、ギリシア)の、経済や生活が想像できない。ひどいもので
す。希望がある・ないというレベルではない。日本では見られるそ
ういう問いかけすら、起こらない。

しかし、失業や病気のときの、社会保障のレベルが欧州は高い。食
べられないという困窮は少ない。このため政府の財政赤字が、後で、
問題を大きくします。

イタリアのGDPのマイナス2.4%は、スペインを追い、ひどい状態
に向かっていることを示しています。

〔フランスも・・・〕以前、週刊Economist誌(ロンドン)は、201
3年は、欧州の大国フランスが、経済危機に向かうと予測していま
したが、フランスは、イタリアに似てきました。

欧州が「ひどい状態に向かっている」ことが、中国の輸出が急減し
て中国のGDP成長を大きく減速させ、関連して、円安の日本の輸出
数量を増やさない原因です。

欧州のデータは、昨日より今日、今日より明日が悪くなっています。

日本は、昨年からのアベノミクスによる株価上昇(5月23日まで)
に、意識が紛(まぎ)れて、世界を見ていなかったようです。

13年5月までは、金融相場だった世界の株価が、日本を最高にして、
上がっていたので、世界景気はいいという認識に、傾いていました。
そして、経済データを見れば上記です。

ユーロ圏は、17ヵ国合計のGDPが実質で-1.1%(2013年:第1四半
期)です。平均物価上昇が1.4%なので、名目GDPで-2.5%にな
ります。GDPの大きな後退です。不況という域は超えています。

現下の主要国の経済を概観しました。次は、日銀が、異次元緩和を
行った13年4月、5月以降の、異常に思える長期金利の上昇です。

▼不安定になった国債市場と、上がる長期金利

日銀の、3月31日の国債保有は、125兆円でした。
6月20日には、145兆円に増えています。

20兆円の国債を買い切って、円を増発したのです。
過去の6倍もの速度での、国債買いです。

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130620.htm/

国債も、
・金融機関の間で売りが多ければ、価格が下がり(利回りは上が
り)、
・買いが多ければ価格が上がって、利回りは下がります。
金利は、国債が売買されるときの、価格に対する利回りで決まりま
す。

10年債で、満期までの残存期間(デュレーション)が7年の、表面
金利0.6%の国債があったとします。期待金利が1%に上がると、
この国債は、下の計算で価格が下がります。

計算:額面100万円×(1+0.6%×デュレーション7年)÷(1+1
%×デュレーション7年)=100×(1.042÷1.10)=94.7万円

価格は94.7%になり、100万円に対し5.3%も下がってしまいます。
一般に、満期まで7年の債券は、金利が1%上がると、その金利の調
整されるため、価格が5%の割合で下がります。

ある生命保険が、30兆円の国債を持ち、平均デュレーションが7年
なら〔30×5.3%=1兆5900億円〕のキャピタル・ロスが、一瞬で
生じてしまいます。(注)金利の0.3%や0.4%変動は1日で起こ
っています。

100万円の、デュレーション7年の国債が、94万7000円でしか売れな
かったから、金利が1%にあがったということです。

国債は、常に、安全資産と言われてきました。
金利と価格は、日銀の政策で、コントロールされていた。
金利は低くても、満期には額面100%の償還がある。
価格変動の大きな株(リスク資産)とは違う、ということです。

しかし、13年4月・5月の日銀が、利下げをしようとし、
・20兆円の、長期債の買い切り出動したときから金利が逆に動き、
・国債価格は下がり、金利は上がっています。

金利が上がった原因は、日銀の買い切り(2ヶ月で20兆円)以上に、
金融機関からの、国債の売りが多かったということです。

40兆円や60兆円分の売りがあったと思えます。
これは、異常な事態です。

日銀は、説明の言葉を失い、もごもご言う。
黒田総裁は意味のある部分を探すと「市場との対話がもっと必要」
と言うだけです。

【国債市場は相対(あいたい):OTC】
国債は、東証等の市場で売られるものはごく少ない。売買は、金融
機関の間の、デリバティブのような相対取引(OTC:Over The Coun
ter)です。

市場とは、銀行や保険会社のカウンターです。全部で290社(銀行、
生命保険、社会保障基金、政府系金融)という、ごく少数の関係者
です。

日銀が言ったのは「銀行や保険と、日銀担当が、事前によく話し合
って、売る価格を決める」という談合です。

あるいは、売らないでくれという圧力です。黒田日銀は、金融機関
の、国債取引担当の信用を得ていないふしがあります。

一体、何が起こったのか?
これから、どうなるのか?

株価よりはるかに、950兆円の残高の、国債の金利問題は大きい。
経済に与える影響では、株価の10倍は重い。

本稿は、この問題を解明します。
どうすべきか、政策も考えます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
<660号 :肝心なこと:国債保有のリスクと予想される行動>
  
                  2013年6月26日号

【目次】
1.金融機関が150兆円も減らしていた企業への融資
2.融資を減らし、増えた預金で国債買いをするのが、
                     金融機関にとって合理的な行動だった
3.金融機関グループ別の保有状況と問題:合計950兆円
4.金融機関8類型別:国債のリスク計算
5.国債下落リスクが発生したときの行動
6.金融機関が、なぜ日銀が買うより多くの国債を売るのか?

【後記】
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    <650号:結局、最後の、憑(つ)かれたバブルか(1)>
           2013年4月24日号

【目次】

1.08年9月の、リーマン・ショッから始まっている
2.FRBによるドル増刷は$2.5兆(250兆円)
3.FRBが模索している出口政策で、米国債の買い手が日本
4.金は、売り超になって下がった
5.日本の株価の高騰
6.ユーロの危機は続く
7.通貨の売買(外為市場)が、もっとも巨額
8.奇妙なところがある、日銀の金融政策
9.「補完当座預金制度:当座預金に0.1%の金利」がある
10.日銀が言ってきたことの矛盾
[次号に続く]

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