遙かな国トルコ(3):経済と文化のコンチェルト
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こんにちは、吉田繁治です。第2稿に続く第3稿をお届けします。
再び、歴史・文化の項から、経済へ。

増刊はあっても、1日に連続して送るのは、当方も初めてです。読むの
に、大変かもしれませんが、どうかよろしく。原色の経済を解く好例
です。先進国は違うと考える向きもあるようですが、それは誤りです。
経済も金融も、原理的な部分は、何ら変わらない。規模と商品の外
面が違うだけです。人類として、人体が共通であるの同じです。

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<Vol.234:遙かな国トルコ(3):経済と文化のコンチェルト>
        2009年2月21日 第3稿

【目次】

9.偶像の禁止
10.工程分業の原初型まで見える
11.現下の情勢に関連して:通貨の覇権
12.[補足]対外債務国:米国の通貨覇権が後退する時期
13.歴史
14.神の奇岩と、人間の地下都市(完)

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■9.偶像の禁止

イタリア・ルネサンスは、中世風の神的世界から脱する、人間の視点
の発見でした。これは、科学と唯物論にもなって行った。古代や中世
では、神の言葉を預かった預言者の言葉(聖書)で、あらゆることを
解釈していた。つまり、聖書が世界だった。

しかし、レオナルド・ダ・ビンチが、自分の目に見えるように描けば、
「遠近法」になった。神の世界に住んでいた中世の教会画家は、神
の視点で、遠近法のない絵を描いていた。

神にとっては、人も動物も事物も、全部が、等距離だからです。神は
無限。無限にとって、距離は消える。無限大で割れば、すべてはゼロ。
つまり、無限の天上に比べた時、地上のものの、距離も大きさもな
くなる。

ルネサンスでは、形而上学を捨てた科学(唯物論)も誕生した。人間
の尺度で測定し、科学の法則を、発見した。われわれは、自然に、唯
物論に傾く。(注)形而上学:モノの形がない概念の追求をする。

科学とは測定であり、事物間の関係の法則化だった。この科学的認識
が神を否定したわけではない。ただ、証明できないとした。

その到達は、アインシュタインのE(エネルギー)=M(質量)×C
(光速)の2乗。

事物は、光速を媒介に、巨大な原子エネルギーに還元することができ
る。エネルギーを光速で媒介すれば、事物になる。これが、現代の神
かもしれない。その関係を使い、核爆弾も、作られた。

(注1)現代金融を破壊したデリバティブは、リスクの統計化に、(意
図的かどうかわからない初歩的な)誤りを含んでいました。E=M×
Cの2乗を悪用した核兵器に似ています。

(注2)過去のデフォルト(未回収)のリスク率が、未来に延長できる
とした点が、明白な誤りです。生命保険の延命率は、未来に延長でき
ます。しかし、経済的な事象は、人の認識で動く。統計は過去のもの
であって、未来のものではない。過去70年、米国の住宅価格が下が
らなかったから、次の70年も下がらないとどうして言えるのか?

イスラム人(びと)は、アラビア語のコーランを、絶対で、唯一の真
実のよりどころとした。それは、科学の測定ではなく、人の信仰だっ
た。法や制度は、コーランの解釈から生じた。

イスラムに、西欧のルネサンスはなかった。アッラーは古今東西、天
地天上を超える無限だった。キリストも下に置く、超越神だった。

イスラムは、生存中はだれも見ることができないアッラーの姿を、人
間の想像で描くのを、禁じます。人間には描けないから。代わりに、
人間であるマホメッドが、神の言葉を啓示で預かって、伝えた。人の
肖像を描くのも禁じた。

イスラムで発達したのは、人・神・風景・事物を描かない抽象的な文
様の細密画だった。ペルシャ絨毯の文様が、その一つです。

モスクの壁にも、精密に大理石を彫った、フラクタルの文様しかない。
西欧のキリスト像や、仏教の仏像はない。偶像は、神ではない。

偶像を崇拝すれば、唯一神であるアッラーを裏切ることになる。これ
が「絶対」を置いたときの、論理になる。唯一神と言ったときそれが
無限。無限は、蒼穹の空のように無限だから、人間には描けない。

2006年にノーベル文学賞をもらったトルコ人作家、オルハン・パムク
の書いた『わたしは紅』という不思議な小説がある。

最高の技術をもつ細密画家が、イタリア・ルネサンスの、人や事物を
描いた絵画を見て、懊悩(おうのう)し、目が見えなくなって死ぬお
話です。(注)邦訳:和久井路子

<イタリア人は、お前より技術がない・・・しかし、彼らの絵には現
実味があって、人生そのものに、より似ている。世界をモスクの尖塔
のバルコニーから見るようには描かない・・・寝床、掛け布団、虎や
娘や金貨を一緒に描く。なんでも描く・・・彼らは眼が見たものを眼
が見たように描いている。その絵には、無視できない魅力がある。(
同書:P265)>

人、自然、事物を描かない絵は、イスラムのような、抽象的な文様に
なる。その細密の芸を競う。肖像画はない。アラビア文字に似ている。
(注)漢字は具象的で、ものの形が見えます。

トルコの圧倒する山、岩、平原、湖、自然を見て、これが了解できる
ように思えた。中東の壮大な沙漠も、形を消す美がある。

人間が、自然をどう描いても、稚拙な偽物にしか見えない。これが、
トルコでは実感できた。畏怖(いふ)が襲う。やはり根は、風土だっ
た。画家は、トルコには来ないほうがいいとも思えた。

新しく買った一眼レフ(ニコンD90)で、1日300枚くらい撮っていま
すが、真は、当然に写らない。備忘になるだけです。

風景を見て「絵のようだ」と言う。
素晴らしい絵を見て、本物より本物らしいと人は言う。

しかし、トルコではこうした形容が無理になる。絵が作りものになる
から。どうせ作りものなら、複雑系のフラクタル文様がいいではない
か。無限に小さく、無限に大きく繰り返す。原子の構造にも似ている。

神は、単純な文様を連続させ、描けない圧倒をもつ自然を作った。文
様(もんよう)の細密は、そう言っているように思えるのです。これ
が表現だ。

細密さに価値を観(み)る、ペルシャ絨毯を作る工場に行った。
工場とは言っても、われわれが馴染んだ「流れ作業」ではない。

1人ごとに、一枚の絨毯を編む。髪の毛のように細い透明の無数の縦糸
に、色とりどりの絹の横糸を、一糸ずつ編みこむ。

恐ろしく非効率で、細密な、手作業です。1平方センチメートル当たり、
何本の縦糸を置くか、何本の横糸を編みこむか、その数が多ければ
多いほど価値(=価格)が高い。草木染めの強い絹糸の色で、細密画
のような模様ができる。多くが女性の職人は、根気が最大の資質とい
う。

1平米くらいの小さな絨毯(と言うより壁に飾るタピストリー)を1枚
編むのに、数か月を要する。美術品のような大作は、熟練した女性職
人が、根気を詰めて2年、3年もかかると言う。一枚が、数百万円で売
られる美術工芸品です。

トルコでは、熟達の手工業が、いたるところ、高付加価値として生き
ている国でした。イスラム教が、圧倒的な力をもっていた米国様式と
文化(ソフトパワー)の防波堤になった。

気がついたことがあります。われわれが目にする西洋もアジアも、要
は、ここ100年で、米国文化が強くなったのではないかということです。
しかし、トルコや中東は、米国文化ではない。中世が、近世を経て
現代に、工業という歴史的な切断がなく続いています。

■10.ここから、工程分業の原初型まで見える

アダム・スミス風(『国富論』)の、分業はない。

【18世紀〜19世紀の西欧】
西欧の近代は、職人の分業だった。分業で、中世的世界の職人の生産
性(1人当たり商品生産量)を、何倍にも増やした。これが、英国の蒸
気機関とともに始まった、17世紀からの産業革命だった。

【20世紀の米国】
米国が、西欧的な職人の、受注生産風の分業を、機械を使う規格品の
大量生産に変えた。大量に作るので、顧客に大量に売る方法、つまり
マーケティングも、マスコミも発達した。

テイラーイズムの分業を、ベルトコンベアの工程にして作ったT型フォ
ードが、その成華でした。1908年から1927年(大恐慌の2年前)までに、
一つの車種で累計1500万台が作られ、売られた。80年前、米国は、
自動車社会になった。住まいと生活が変わった。

端的に言えば、複雑な工程を共通要素で分解し、単純作業にした。単
純作業は、非熟練工ができた。これで、要素作業をコストダウンしま
す。加工・組立工程はベルトコンベアによって結合した。

19世紀の西欧風の、熟練工による加工・組立より、米国でははるかに
速く、しかも個々人は単純作業なので、低いコスト(原価)で、同じ
規格の商品を、安く大量生産することが可能になった。

20世紀米国風の(1)工程の単純化・標準化、(2)同一規格品の量産
で、同等の商品の価格は、職人的だった分業の欧州より、はるかに安
くなった。

この結果、20世紀初頭に、富の覇権は、欧州から米国に移って行った。

経済発展とは、同じ品質のものを、より安価に作って売ることと、
異なる機能のものを開発し、普及させること以外にない。覇権とは、
権力的なリーダシップであり、その方向に人々が誘われるものです。

■11.現下の情勢に関連して:通貨の覇権

1929年に始まった大恐慌は、欧州から米国への「富の覇権」が「通貨
覇権」への移る過程で起こりました。

富(=企業の利益と世帯の所得)は、数値で計ることができます。し
かし通貨の価値、言い換えれば通貨信用は、人々の(心理的な)認識
に依存します。したがって富の覇権の時期から、通貨の信用に至るに
は10年以上はかかる。

【ブレトン・ウッズ協定】
米ドルが名実ともに、英ポンドに代わる「基軸通貨」として認められ
るのは、1944年の、ケインズも参加した「ブレトン・ウッズ協定」か
らでした。

第二次世界大戦を通じ、米国政府は世界のゴールドのうち、11万トン
(現在価格で約330兆円分)を集めたという。これが米ドルの覇権的な
価値の、直接的な裏付けでした。間接的な裏付けが、米国の生産力と
国際を引き寄せる政治の覇権でした。

以上の意味で、米国と世界にとって、自己資本を失った全金融機関と、
GM、フォード、クライスラー(3大自動車会社)の実質的な同時
破産は、シンボリックです。米国の製造業で、対外競争力をもつのは、
ほぼ、軍需産業(約100兆円:06年)だけになった。

金融機関は奈落に沈んでいます。唯一、政府・FRB資金で延命している
だけです。米国は、90年代の日本の銀行を、政府・日銀の資金で延命
した「ゾンビ」と言った。今、彼らがゾンビです。

■12.[補足]対外債務国:米国の通貨覇権が後退する時期

現在の米ドル基軸体制が、別の体制に移行するには、あと10年余はか
かると言う多くの論者の、唯一の根拠は「1929年の大恐慌から、米ド
ルを基軸通貨にしたブトンウッズ協定(1944年)まで15年かかった」
ということでしかない。

デリバティブの現代金融と、国家の財政信用に対する分析的なもので
はない。米国はもっと強いという情緒的なものです。

しかしイラク戦争後からの、米国の、経済・政治・通貨の3領域での覇
権の後退は、歴史のアナロジーでは、共産政府の巨額赤字から米国と
の軍拡競争に敗北したソ連邦の、経済・政治・軍事の崩壊(1989年〜)
に似ています。

(注)通貨の信用は、直接には、その国の財政信用に依存します。そ
の背景になるのが、経済力・政治力・軍事力です。なお覇権とは対外
的な強制権力を言います。

通貨覇権は、海外に、他の紙幣より米ドルを信用させる力です。
他の通貨より、米ドルと米ドル債を持ちたいと思わせる力です。

米ドルの通貨覇権の後退は、多くの論者が言うよりもっと速いと見て
います。その根拠は、この2009年に、何でもすると言う米政府が、金
融・経済対策の財源を作るために刷る国債が(現時点で)200兆円規模、
半年後には500兆円の発行見積もりにもなるからです。

2007年は、米国の新発国債の94%は、海外が買っていました。国内で
は買う余力がなかった。2009年、人類の歴史で最大の、米国の新発国
債を、米国はどこに売るのか? これが、オバマ政権の喫緊の難題に
なるからです。先行するのは、米国の株価です。

再び下げに入った米国株(ダウで$7465:09年2月19日)が$6000に向
かうときが、新発国債が思うように売れないことを示す先行指標にな
る。株価は、約6ヶ月、経済の状態を先取りします。企業の次期利益と
期待金利を予想して、動くからです。

政府が、金融・経済対策を「言うのは容易」です。アナウンスメント
効果。

しかし、200兆円〜500兆円分という巨額の新発債に対し、海外からの
入札が少なく、札割れが起こって、米国の市場金利が上がれば、アナ
ウンスメント効果で引っ張られていた資金は、米国債売りの逆流を起
こします。

これが、6ヶ月内に起こる可能性が、相当に高い。米ドルは、「2009年
は、他に代わるものがない基軸通貨とは言われながらも、価値が崩落
し、世界は通貨混乱の時期を迎える。」ことになる可能性が高いと見
ます。

政府と企業の決算期の3月に向かう、09年2月末を注目しましょう。

「経済救済・金融救済のためなら何でもやる」と、米政府が言うのは、
「資金の根拠ある手段はないが、ともかく、政府は手段を尽くす。」
ということの、別の表現です。AnywayやAnythingは、論理の言葉で
はない。情緒です。根拠を示せない願望であり、希望です。

政府による、あらゆる経済対策には、財源が要ります。財源を、FR
Bに国債を買わせ、マネーを印刷してもらって作る、とは政府は口が
裂けても言えない。しかし米国には余剰預金がない。

市場での通貨信用がないから(新規国債が売れず)、最後の手段にな
る。これが中央銀行による国債の直接引き受けです。これは、戦時国
債に似たものになる。

企業が、来月の資金繰りに窮したとき、社長が、「経理部長(財務省)
に手形を刷らせ、私(中央銀行)が印鑑を押す手段が残っています。」
と取引先に言ったらどうなるでしょう。

取引先が寄せる信用はなくなり、「ついに、そこまで来たか」と認識
され、商品の引き揚げや、取引停止が起こるはずです。

手形(及び通貨)は相手が信用し受け取るから、価値がある。同様に、
国債は買い手がいるときのみ価値が有効で、政府の資金源になり得
ます。

相手(海外や国内)が買わない(あるいは買えない)国債を発行すれば、
逆に、政府信用は崩壊するのです。

政府が言うAnywayやAnythingが意味することがこれです。FRBが、
物的な資産余力をもつわけではない。その中身は、空洞です。これが、
かつてのトルコで起こった、リラの暴落です。

中央銀行は単に「制度」です。各国の中央銀行に、国債以外で、通貨
発行に見合う資産があるわけではないことを申し添えて置きます。

米国の国債が売れなければ(言い換えれば、その信用がなくなれば)、
FRBも信用がなくなります。蛸(たこ)が、自分の足があるから
食料はまだあると言うことと同じ、お笑い草になる。

(注)オバマ大統領の1.21は、最高裁長官が、宣誓の語順を間違え、
やり直すというミスだけで、無事に、熱狂のうちに終わりました。ま
だ「通貨政策」は出ていません。新規国債発行の額も、まだ定かでな
い。

$2兆(180兆円)になると言われる。しかし、金融・経済対策にそれ
ではとても足りない。ゴールドマンサックスが集計した金融機関(保
有証券)での総損失は$4兆ですが、それが、今は1ヶ月$1兆(90兆円)
の規模で拡大しているからです。

忘れてはならないのは、FRBのバーナンキ議長が、「FRBが、こ
れ以上の金融機関の不良債券を買い、通貨を刷るのは、もう限界だ。」
と昨年末に、発言していることです。

本マガジンで昨年11月に示した米国FRBの、約3倍に膨らんだ資産内
容が、市場で、問題と認識されるのはいつか? 

これにかかっています。FRBの資産は金融機関から買うかまたは担保に
預かった価値の低い証券であり、負債は、その対価である金融機関の
当座預金預かりと通貨発行です。つまり、通貨発行です。

■13.歴史

民族のアイデンティティ(拠りどころ)は、その歴史です。現在のト
ルコ共和国が位置するバルカン半島(欧州側)とアナトリア半島(ア
ジア側)は、民族の往来・抗争の地でもあり、多民族が入り混じって
います。

トルコ民族はセルジュク族が治める多民族として、紀元9世紀ころ、中
央アジアに住む遊牧民だった。次第に西方へ移動し、10世紀にはイス
ラム教に改宗して、11世紀の中ごろ、当時のビザンチン帝国の中に、
アナトリア半島のコンヤを首都としてセルジュクトルコ国(12世紀〜
14世紀)を作ります。(にわか勉強です) 他民族に対しては寛容で
、文化融合を果たす。

セルジュクトルコでは、宗教的指導者メヴラーナ(1207−1273)が人
々の畏敬を集めたという。イスラムの神秘主義者と言われますが、神
秘に意味があるわけではない。倫理(=生き方)を説いて、深いとい
う意味でしょう。書を6巻著わし指導者になった。

7つの教えが有名という。リーダシップ論に通じます。日本で言えば、
「部族間の争いを避ける和」を説いた、聖徳太子に相当するでしょう
か。日本を示す「和」には深い意味がある。

1. 施しと救いは、流れる水のごとく
2. 愛と慈悲は、太陽のごとく
3. 他者の欠点を覆うには、夜のとばりのごとく
4. 怒りと苛立ちは、死のごとく葬り
5. 優しさと謙譲の心は、大地のごとく
6. 寛容の心は、海のごとく
7. 自分自身であれ、もしくは、あるがままであれ

自然に、心に沁みわたる言葉です。大島村(串本町)のエルトゥール
ル号の故事を、トルコ人が記録し忘れないのは、13世紀のメヴラーナ
に根があるのかと感じた。

彼が逝去したコンヤ市では、今も修道人(びと)たちが、白いマント
のような衣装で、イスラムの音楽に合わせくるくる回って踊る(セマ
と言う)。イスラムには仏教のような僧侶はいない。コーランの、適
正な解釈を行うのが使徒(師)とされる。コーランは法と学の淵源で
もある

生命も原子も血も、あらゆるものは、無限に循環する。精神を無にし
、回れば、仏教でいう「根底への悟り」が得られる。目が回るはずで
すが・・・座禅も同じでしょう。

物質を測定した科学は、エネルギー(=物質に変換)の、不滅の循環
法則を言います。智慧(ちえ)が行き着くところがこれです。われわ
れの「信念」にはこうした根があります。私が今、無意識に依拠して
いるのは「分析と因果論」です。根拠を求め、探す(=分析)、そし
て根拠を作る。

セルジュクトルコは、聖地エルサレム(現在のイスラエル:ユダヤ教
で旧約聖書を経典とするが異説はある)を、イスラムから奪回すると
いうキリスト教の十字軍(11世紀〜13世紀)との戦いに疲弊します。

その後は、13世紀に移住してきた遊牧民オスマン族が、イスタンブー
ルを首都に、15世紀には、地中海をまたぐ、かつてのローマ帝国のよ
うに広大なオスマントルコ(1299〜1922年)を建国します。(以降、
大きく簡略化します) 

モーツアルトの『トルコ行進曲』も、オスマン・トルコの軍隊の行進
曲がモチーフと知りました。悠揚としたトルコ音楽を聴くと、中世が
現前します。

オスマン・トルコは、第一次世界大戦(1914〜)で、英国・フランス
の連合国に敗れ、占領される。1923年には、国父とされるムスタファ
・ケマル(1881-1938)が立ち、11世紀から8世紀も続いたスルタン制
(神に由来する王政)廃して、イスラム国では初めて、世俗的な憲法
をもつトルコ共和国になる。(注)スイスの憲法を翻訳し、まねてい
ます。

日本の第二次世界大戦後の、占領で天皇親政を廃した敗戦に似ていま
す。(注)法学者は、日本を、天皇を国王とする立憲君主国ともして
いますが。

トルコ人が日本人に抱く親近感は、近世の歴史の類似からも来ている
ようです。(われわれの多くは知りませんが)

■14.神の奇岩と、人間の地下都市

トルコを訪れ、奇岩のカッパドキアと地下都市を抜かすわけには行き
ません。カッパドキアは、美しい馬が住む高原の意味という。記録は、
紀元前の6世紀(2500年前)に遡ります。

火山が噴火し、火口から岩が飛び、噴き出した火山灰が深く降り積も
った高原があった。年月を経て、雨と激しい季節と、昼夜の気温差が、
岩石の柔らかい部分を侵食し、硬い岩を残す。訪れれば、まさに奇
岩です。

長い円錐形の岩が、至る所、灯台のように屹立(きつりつ)し、てっ
ぺんには、三角の岩を頂く。キノコ岩と呼ばれますが、神が作った住
まいにも見える。岡本太郎の、吹田市の万博公園にある太陽の塔は、
多分、カッパドキアがモチーフでしょう。

もこもこと丸く、滑らかな黄土色の岩肌には、いたるところ穴があき、
玄関があって、古代人の住まい、都市であったことがわかります。

当然に世界遺産ですが、奇怪さで、それを超えています。様式の美や
諧調も超える。自然の岩が、名状しがたい感動をもたらす。

こうした、形容を超える風景を見れば、大地・空・人を神が作ったと
素直(すなお)に信じる人々が、多く生まれたことが、自然に思える
のです。激しい雨の中、やっと100枚ほどの写真を撮ることしかできず、
唖然。感動は、行動を強いるのです。

イスラムが、人が描く偶像を禁じ、文様の細密に追い込んだ理由は、
一旦こうした風景を目にすれば、だれも、風景を描けなくなるかもし
れないと思えたのです。文様の絨毯だけがあれば、いい。人工物は自
然に勝つことはできない。人間を、超えています。
http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/card/cards088.html

そして、地下都市です。防空壕の迷路の街と言えば、いいか。実に、
人間的で美しくない。しかし必死に生きたことが、わかる。外敵の攻
撃から逃れるため、山の岩を、地下へ穿った。地下4階まである。降り
れば地底に通じるかと思えます。

背をかがめてやっと1人通れるくらい狭く、暗く、湾曲し、上に下に通
じる長い通路の先に、空洞のような広い部屋が作られていた。そこは
教会と言う。共同の台所や、トイレもあります。台所の岩肌は黒くす
すけ、さっきまで火を焚いて料理しているかのようでした。

3畳くらいの狭い、岩盤の壁と床、天井しかない部屋が、いくつも、
曲がりくねった通路の両脇に、掘られています。家具は、絨毯と食器
だけでしょう。地面に細い穴を掘って住む蟻の生活を、人間のサイズ
に大きくすればこうなるのかと思えた。

一軒の家族が、この部屋で生活した。地下村には、乾燥食物やチーズ
の貯蔵庫があり、数か月、外敵から隠れて閉じこもり、1万5000人も
が暮らせたと言う。近くには、岩山に掘った、おおきな洞窟のホテル
も2軒ある。

外は荘厳な、なめらかに雨水で浸食された石灰岩の山々の神の景色、
地下都市の内部は、人の営みでした。

【後記】
この地トルコで見たこと、聞いたこと、感じたこと、推理したことの
数分の1しか、表現できていません。あえて、写真ではなく、文字で
伝えます。今日は4日目です。あと2日あります。今日は何を見るのか。

トルコについては、予備知識がなかった。来て、見て、考え、調べる
うちに、やはりイスラム教が鍵だと思えました。コーランの言葉を、
どう思うか。本居宣長が、日本の『古事記』を古代人はありのままを
書いたと感じたように、コーランを読むことで、わかることがあるか
もしれない。

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則、関連事項、経済、金融等のテーマを原理からまとめ、明快に解き
、8年継続して、週1回お届けしています。最近号の、一部の、目次は
以下です。

<419号:時事とチェーンストア正論(2)
      :ウォルマートを発展させた精神、原則、方法>
         2009年2月18日:原則の項
【目次】
1.第2稿  趣旨
2.事実の報告
3.原因
4.スーパー・ストアはサム・ウォルトン流
5.元になったアイデアは?
6.原則7 事業を成功させる原動力は、ビジョンへの共感である。こ
  こが、マネジメントの根幹だった。
7.原則8 事業のビジョンへの共感から、社員と顧客の熱気がじる
8.原則9 どこよりも低い店舗コストという根底を押さえれば、経営
  と仕事の軸はぶれない
9.原則10 信念はアイデンティティによって強固になる
10.原則11 自分の真の願望は何か、その願望を実現するために、
  やるべきことと、方法を知っているか、探したか?
11.原則12 経営におけるコスト意識の原点は100円の価値を知るこ
  とである。ウォルマートが100円を無駄に支出するたびにそれがお客様
  の財布に直接響く。
12.原則13 あらゆることは、原則に基づいて行う。

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