ついに白旗を上げたクルーグマン(1)
This is my site Written by admin on 2015年11月22日 – 10:00

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おはようございます。三連休、いかがお過ごしでしたか。しばらく、
送信が途絶えていたことをお詫びします。言い訳にすぎませんが、
約2か月間は、本を書くことに注力していました。1週間ほど前に最
終校正を終えたので、12月初旬には、書店やアマゾンに出るでしょ
う。そのときは、またご案内します。

内閣府が11月16日に公表した、2015年7-9月期の実質GDPは、年率換
算で0.8%のマイナスでした。4-6月期も0.8%のマイナスでしたか
ら、2期連続です。

IMFの定義では、GDPのマイナスが2期続いた場合、景気の停滞では
なくリセッション(不況)とされます。日銀は、相変わらず、「穏
やかな回復」としていますが、このGDPのマイナスがなぜ回復なの
か。

リーマン危機以降の、わが国の実質GDPを示します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2007年  +2.2%  福田内閣(07.6~08.9)
2008年  -1.0%  麻生内閣(08.9~09.9)
2009年  -5.5%  鳩山内閣(09.9~10.6)
2010年  +4.7%  管内閣(10.6~11.9)
2011年  -0.5%  野田内閣(11.9~12.12)
2012年  +1.7%  野田内閣(~12.12)
2013年  +1.6%  安倍内閣(12.12~現在)
2014年  -0.1%  安倍内閣(12.12~現在)
2015年  -0.8%(半期) 安倍内閣
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
民主党時代の単純平均成長率 0.27%/年
安倍内閣での実質GDP成長率  0.23%/年
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2008年9月に米国発のリーマン危機で、輸出が急減し、わが国の
GDPも、-5.5%という準恐慌的な減速を見ています。それを入れた、
民主党時代の約3年は、単純平均で見た成長率が0.27%でした。

日本を再生させるという鳴り物入りで登場した安倍政権3年間での
成長率は0.23%と、リーマン危機があった民主党の時期より低い。
一体、どういうことかと思うのです。(注)世帯所得の増加がない
ため、14年4月からの消費税の、3%増税が効いています。

日銀が国債を買ってマネーを増発する異次元緩和を開始して2年6か
月が経ちました。2013年4月には、「2-2-2」と言い、2年で、マネ
タリーリー・ベース(つまり通貨発行量)を2倍に増やし、2%のイ
ンフレにして、経済を成長させるとされていました。

そのリフレ策では、米国のノーベル賞経済学者、ポール・クルーグ
マン(元NY大学教授)が1998年に書いた『流動性の罠(わな)』が
元になっています。リフレ策とは、中央銀行が通貨を増発すること
によって、デフレをインフレにもって行く金融策です。

インターネットで公開されていたLiquidity Trap(流動性の罠)
の論文を見て、メール・マガジンでも紹介し、「日本は今後、通貨
の増発策をとるだろう」を書いて送ったことを記憶しています。

(注)現在は、山形浩生氏が01年に翻訳したものが公開されていま
す。
http://cruel.org/krugman/krugback.pdf

内閣官房参与の浜田宏一氏が、クルーグマン論文を安倍首相に説明
し、安倍内閣のもっとも大きな経済政策として、採用されています。

人々を驚かす金額の「異次元の緩和」を実行するために、日銀には、
黒田東彦総裁と岩田規久男副総裁が送り込まれました。

クルーグマンの流動性の罠論は、ほぼそのまま、安倍内閣と日銀の
政策になったのです。

量的緩和は、円安を実現するための、20から30兆円の「ドル国債買
い」という介入も伴っていたため、浜田氏は、後の日本を破産させ
る亡国のエコノミストになるかも知れないと書いて送信したことも
憶えています。(注)ゆうちょ銀行、かんぽそして公的年金基金を
運用するGPIFなどによるドル債買いです。

安倍政権と黒田日銀は、わが国の財政の破産を早期化させたとして、
歴史に名を残すかも知れません。平成の高橋是清の失敗です。

(注)財政破産とは、政府の義務的な支払いができなくなることで
す。国債の利払い(10兆円)と償還(120兆円)、公務員の人件費
(35兆円)、年金の支払い(40兆円)、医療費・介護費の支払い
(40兆円)、その他の政策的支出を、削減してしか支払えないこと
です。

財政破産は、国債を発行するとき、その金利が2.5%から3%に上が
るときから始まります。

異次元緩和の金融政策を考えたクルーグマンは、最近のNYタイムズ
紙のコラムで、10月20日と11月2日の2回、異次元緩和は、目的とし
た狙い(2%のインフレ)を果たせず、失敗に終わったという主旨
の論考を、NYタイムズ紙に載せています。

(『Rethinking Japan(日本経済の再考)』15.10.20 :『Liquidity 
Traps, Temporary and Permanent(日本の流動性の罠の一次性と永
久性)』11.02)
http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/10/20/rethinking-japan/

http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/11/02/liquidity-traps-temporary-and-permanent

いずれも、日本の3年の政府政策にかかわる重要なものです。なぜ
か日本の経済メディアでは、これについて、一言も書きません。不
思議です。当方で紹介する理由がこれです。

クルーグマンのコラムには、経済学の重要な概念が多く含まれるの
で、解説をしながら進めます。

少し長い『Rethinking Japan(日本経済の再考)』15.10.20は、先々
週の有料版で取り上げました。

ここでは、多少短い『Liquidity Traps, Temporary and 
Permanent(一時的ではなかった日本の流動性の罠)』11.02)を、
紹介し、解説風なコメントを書き入れます。

クルーグマンの英語はなかなか難しい。私の翻訳(意訳)に間違い
があるといけないので、原文も載せます。翻訳や解釈に間違いがあ
れば、ご一報ください。

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<Vol.340:ついに、白旗を上げたクルーグマン(1)>
          2015年11月22日:無料版

【目次】

1.流動性の罠論で書いたリフレ政策は、間違いだった
2.間違えた理由
3.マネー・サプライを増やすことができれば、物価も上がる
4.日本の自然成長力(潜在成長率)はマイナスだった

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.流動性の罠で書いたリフレ政策は、間違いだった

Liquidity Traps, Temporary and Permanent(2015.11.02)

Larry Summers reacts to an offhand post of mine, seeking to 
draw a distinction between our views. I actually don’t 
think our views differ significantly now, but he’s right 
that what he has been saying differs from the approach I 
took way back in 1998. And I’ve both acknowledged that and 
admitted that the approach I took then seems inadequate now
(1)

<一時的ではなかった日本の流動性の罠:
(元財務長官・ハーバード大学総長の)ラリー・サマーズ氏は、私
と見解が違うということを強調するため、私の率直な記事に反論し
ている。私には、意味ある違いとは思ない。しかし、遡れば1998年
に私が書いた『流動性の罠』と、現在の自分の見解は違うというの
は、彼が言う通り、事実だ。
日本に対する見方では、現在の考えは違うこと、そして、当時の私
の見解(流動性の罠)が不適当であったことを、ここで認める。翻
訳(1)>

クルーグマンは、1998年に書いた『流動性の罠(わな)』は、日本
に適用するのが不適当だったと、素直に誤りを認めています。

「流動性の罠」論とは、どんなものだったか。

【金利0%でも、物価が下がるときは、実質金利は高くなる】
物価が下がってゆくデフレ経済の中で、人々が抱く将来物価の上昇
率が例えば2%のマイナスであるときは、本当の負担である実質金
利は以下になります

実質金利=名目金利(0%)─期待物価上昇率(-2%)=2%

名目金利は、0%以下になりえません(ゼロ金利制約と言う)。

例えば銀行の預金金利をマイナス1%に下げれば、皆が、必要な金
額以上の預金は引き出して、現金で保管するからです。銀行は取付
けが起こったときのように、資金不足で破産するでしょう。

1998年の日本のように、中央銀行が金利をゼロにしても、人々の期
待物価上昇がマイナスのときは、現金を好む傾向(流動性選好と言
う)が生じて、借り入れでの投資は増えず、買い物も急がれること
はない。このときは0%以下がない金利政策は、無効になります。

方法はないのか。「いや、ある」と論証したのがクルーグマンの
『流動性の罠論』(1998年)でした。

【期待物価上昇率が上がれば、実質金利はマイナスになり得る】
政府と日銀が、物価目標を掲げて、物価を絶対に上げると言いなが
ら、通貨を大きく増発すればいい。これによって、人々が予想する
期待物価上昇率が例えば2%に上がれば、実質金利はマイナス2%に
下がる。

〔実質金利=名目金利(0%)─期待物価上昇率(+2%)=─2%〕

例えば、住宅ローンの金利は、変動なら0.7%程度です。ここで、
住宅価格が、将来、2%/年で上がると期待されるようになると、
実質金利は[名目金利0.7%-住宅価格の期待上昇率2%=-1.3%
〕に下がります。4000万円の住宅なら、0.7%の金利を払っても毎
年1.3%(52万円)値上がり益が期待できます。こうなると、住宅
需要は増えるでしょう。

企業も、商品物価が2%上がると予想できるなら、0%に近い金利で
借り入れをして、メーカーは生産設備を、小売業は店舗を増やすた
めの設備投資を行うでしょう。

世帯も、預金ゼロで預けたままではなくなります。来年は1000円の
ものが1020円に上がるとなれば、消費税が上がったときのような、
早期の買い物が起こるでしょう。

名目金利はゼロ以下にできなくても、期待物価上昇率を2%に上げ
ることができれば、実質金利がマイナスになって、現金が好まれる
流動性の罠から脱却できる。これが、クル─グマンの『流動性の
罠』論でした。

【日本政府の政策になった】
浜田宏一氏から説明を受けて納得した安倍首相は、クルーグマンの
リフレ策を全面的に採用し、2013年4月からは、日銀が、「2年をメ
ドに物価上昇が2%になるように、円を増発する」政策を実行した
のです。

浜田氏は「これが欧米の標準の経済学」と言っていました。日銀の
白川芳明前総裁は、リフレ策の有効性に抗議して、任期の少し前に
辞任しています。

【2013年はうまく行った】
初期は、円安で株価が上がり、高額品消費が上向いて、輸入物価が
上がり、2%のインフレ目標は達成できるかのような印象もありま
した。この時期、安倍首相は得意の絶頂の発言をしていたのです。

(注)この景気は、10兆円(GDPの2%)の補正予算によってもたら
されたものです。リフレの金融政策の効果ではなかったことが明ら
かになっています。

【消費税増税後、おかしくなった】
ところが、消費税の3%増税後の、消費と設備投資(両方が需要)
の落ち込みは、予想外に大きなものでした。

その理由は、
・世帯の所得の増加がマイナス0.7%(2014年:総務省)であり、
・消費税と輸入物価上昇で上がった物価(2.7%:総務省)をカ
バーできなかったからです。

(注)このあたりの事情も、なぜか、マスコミは報じませんね。
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm

【物価は上がらない】
消費が増えなければ、物価は上がりません。2015年6月の、消費者
物価の上昇は0.4%、7月 0.2%、8月 0.2%、9月 0.0%です(全品
目)。(注)食品と、下がったエネルギーを除いても、0.9%の上
昇でしかない。

【クルーグマンの白旗】
以上の事実を受けて、クルーマンは以下のように言って、白旗を上
げたのです(2015年10月20日が最初:NYタイムズ紙)。

And I’ve both acknowledged that and admitted that the 
approach I took then seems inadequate now(日本に対する見方
では、現在の考えは違うということ、そして、当時の見解(流動性
の罠)が不適当であったことを認める)

日本の異次元緩和は失敗したということです。異次元緩和を発案し
た当人が、誤りを認めてしまいました。

【表情が暗くなった黒田総裁】
ところが、日銀の黒田総裁は、毎月の記者会見で、「景気は、穏や
かな回復基調にある。異次元緩和は、初期の目的を果たしている」
と言い続けています。

安倍首相は、国会で質問を受けるのがいやなのか、体調も悪く見え、
必要に思える臨時国会を開かず、外遊します。外遊は、仕事の時間
を短くできるので、実は、治療かもしれません。

日銀は、今月も、年間で80兆円買い増すペースで、国債を買い続け
ていて、マネタリー・ベースを増やしています。11月12日には、現
金の発行は92兆円ですが、銀行が日銀内にもつ当座預金には、244
兆円もが貯まっているのです。2年半で増発した円は、180兆円です。
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac151110.htm/

一体これからさきどうなるのか。日銀は、どこまでも、2%のイン
フレ目標を果たさないままに、国債を買い続けるのか・・・と思え
るのです。

■2.間違えた理由

Back in 1998, when I tried to think through the logic of 
the liquidity trap, I used a strategic simplification: I 
envisaged an economy in which the current level of the 
Wicksellian natural rate of interest was negative, but that 
rate would return to a normal, positive level at some 
future date. (2)

<1998年にさかのぼると、流動性の罠の論理を元に考えようとして、
意図的に単純化していたことを告白せねばならない。日本の、実質
GDPの当時の自然成長率をマイナスと見て、自然金利もマイナスと
見ていた。しかし日本の自然金利は、しばらく後に正常になり、プ
ラスに戻るだろうと見ていたのだ。翻訳(2)>

最初に、マネーという少ない要素で考えすぎたのが、間違いの原因
だったと言っています。「strategic simplification(意図的に単
純化してしまった)」というのがクルーグマン流の、言い訳でしょ
う。

クルーグマンが犯した間違いはどこにあったか? 
ここです。
 ↓
「日本の自然金利は、しばらく後には正常になり、プラスに戻るだ
ろうと見ていたのです」

自然金利とは、潜在成長力が100%発揮され、インフレにも、デフ
レにもならない金利率という意味です。

たとえば日本のGDPの潜在成長率が1%の場合、自然金利も1%です。
潜在成長力がマイナス2%なら、自然金利もマイナス2%です。この
ため、0%ではデフレを生む金利になります。

クルーグマンは、
・1998年の日本では自然成長率(=潜在成長率)、自然金利の両方
がマイナスだが、
・それは、しばらく後にはプラスになると見ていたと言います。

自然成長率2%のプラスになれば、自然金利も2%になります。ここ
で物価を上がるようになり、実質金利をマイナス2%にすれば、自
然金利と4%の差が出ます。これは、具体的にはどういうことを生
むのか?

実質GDPは2%成長し、物価も2%上昇する(名目GDPは4%上昇)。
この中で、日銀の政策で名目金利は0%であり、物価の期待上昇率
(2%)を引いた実質金利は、マイ0ナス2%である。これは何を意
味するか? 

借り入れが増え、企業の設備投資、世帯の住宅購入、世帯の耐久財
購入、そして、世帯の、食品を含む消費財の買い物が増えることで
ある。これによって、日本のGDPは、名目で4%以上成長するように
なるだろう。

ところが、クルーグマンの見立てと違い、日本は、生産年齢の人口
の減少(年率0.6%)から、GDPの潜在成長力が0%以下の「長期停
滞(Secular Stagnation)」の状態にあり、それが長期に続いてい
る。(・・・とクルーグマンは言っています)

日本の自然成長率(=潜在成長率)がプラスに戻ると見たのが、自
分の誤りだった。実際は、潜在成長率がマイナスのままだったから、
異次元緩和でマネーを増発しても、それが借り入れ需要の増加を生
んで、設備投資や消費を増やすことはなかった。

設備投資や消費が増えないから、日本の物価は、インフレ目標のよ
うには、上がらなかった。

■3.マネー・サプライを増やすことができれば、物価も上がる

This assumption provided a neat way to deal with the 
intuition that increasing the money supply must eventually 
raise prices by the same proportional amount; it was easy 
to show that this proposition applied only if the money 
increase was  perceived as permanent, so that the liquidity 
trap became an expectations problem.(3)

<以上の考えは、マネー・サプライを増加させれば、結局、その増
加率と同じ割合物価が上昇するに違いなという直観を活かすうまい
方法と思えた。この案は、通貨の増加が永久に続くと受け取られる
ときのみ効果があることを示すのは、容易だった。通貨が増加し続
けると人々から予想されれば、日本が1998年当時に陥っていた流動
性の罠から、脱出できると思えたからだ。翻訳(3)>

日本経済の自然成長率がプラスなら、マネー・サプライ(M3)を増
やせば、マネーが増えた分、物価が上昇します。マネー・サプライ
の90%以上は、世帯と企業の預金です。この世帯と企業の預金の合
計は、銀行から借り入れをすることによって増えます。

(注1)わが国では、マネー・サプライを2004年からマネー・スト
ック(郵貯を含むM3)と呼んでいます。2015年10月のマネーストッ
ク(M3)は1232兆円です。前年比で2.9%しか増えていません。
わが国では、マネー・ストックの増加が4%以下のときは、物価は
マイナスになる傾向があり、4%でほぼゼロ、7%増加でほぼ2%の
物価上昇とされています。
異次元緩和後2年半経っても、マネー・ストック(M3)は2.9%しか
増えていないため、デフレ傾向が続くでしょう。
https://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms1510.pdf

(注2)物価と、マネー・ストックの関係は以下とされています。
マネー・ストック増加率(M)×マネー・ストックが使われる
回転率(V)=P(物価上昇率)×実質GDP増加率(T)
わが国では、マネー・ストックが使われる回転率は4%くらい低下
する傾向があります。つまり、マネー・ストック増加率(M)が4%
のとき、物価上昇はゼロです。このマネー・ストックが7%(約80
兆円)くらい増えると、物価上昇は2%になる可能性があります。
しかし、2015年10月現在の増加は2.9%(36兆円)に過ぎない。こ
れは、異次元緩和がまるで効果を生んでいないことを意味していま
す。

クルーグマンは、
・日本のGDPの潜在成長力はプラスに戻るだろうから、
・日銀は永久に異次元緩和を続けるだろうと国民が思うようになれ
ば、期待物価は上がると考えていたと言っています。

(注)期待物価とは、人々が予想する物価上昇率です。

■4.日本の自然成長力(潜在成長率)はマイナスだった

But what is this future period of Wicksellian normality of 
which we speak? 
Japan now looks like an economy in which a negative natural 
rate is a more or less permanent condition. So, 
increasingly, does Europe. And the US may be in the same 
boat, if only because persistent weakness abroad will lead 
to a strong dollar, and we will end up importing demand 
weakness.(4)

<しかし、現在、問題にしている「GDPの自然成長率のマイナス」
が今後も続いた場合どうなるのか。現在の日本は、マイナスの自然
金利が、多かれ少なかれ、永続的なった経済に見える。

海外経済の弱さが長引いてドル高を招き、それが需要不足の輸入に
なれば、欧州も米国も、次第に日本と同じ船に乗ることになるかも
しれない。翻訳(4)>

クルーグマンの1998年の見立てとは違い、日本のGDPの自然成長率
(潜在成長率)は、マイナスだった。このため、異次元緩和は、マ
ネー・ストックを、物価を上げる6%や7%増やすことができなかっ
た。つまり、異次元緩和は失敗してしまった。今後は、欧州も、米
国も、自然成長率(潜在成長率)のマイナスに向かうだろう。

以上が、クルーグマンが2015年10月と11月に上げた、敗北の白旗で
す。

クルーグマンは、「いやぁ、間違いでした。済みません。」と白旗
を上げるだけで済むでしょう。シナリオを書いた人が、手を上げた
のです。

間違えた政策を首相に吹きこんだ浜田宏一参与、そして政策を指揮
した安倍首相、実行した黒田総裁と岩田副総裁は、ピエロになって
しまいました。

失敗した異次元緩和を、今日も、今後も続ける日本はどうなるのか。
日銀は、国債を買い増す異次元緩和を、止めることはできません。

日銀が異次元緩和での国債買いを止めると言った瞬間に、国債価格
が暴落し、金利は高騰するからです。金利の2.5%から3%への高騰
は、国家財政の破産を意味します。

健康問題が深刻とも言われている安倍首相の辞任があれば、異次元
緩和はどうなるか?

われわれは、自分では左右できない、マクロの日本経済の中を生き
ています。政策の失敗は、われわれの今後の経済環境とわれわれに
降りかかってくるのです。対策は、まずどうなるかを見通すこと、
その上でどうするか、でしょう、

以下、次号で書きます。

【後記】
改めて感じるのは、経済学は、主に、米国の学者が言ったこと、書
いたことを翻訳するだけの、輸入の学であることです。

日本人による、日本経済の分析ができていない。
これが、クルーグマンの間違った説を鵜呑みにし、実行した理由で
しょう。

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<787号:通貨の信用の、根底にあるものは何か(1)>
        2015年9月2日
【目次】

1.中国の人民元発行の仕組み
2.ドルを原資産に人民元が発行されている理由
3.税収が根拠でない通貨は、通貨信用がなく、インフレを起こす
4.外貨準備にしてきたドル国債を売るようになった中国

【後記:ドル国債の問題】

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<788号:通貨の信用の、根底にあるものは何か(2)>
       2015年9月9日

【目次】
1.時事:中国の輸出と外貨準備の減少
2.2014年ころまでの米国新規債の買い受け
3.中国の外貨準備の減少の実態(可能性1)
4.可能性2:米国FRBの、秘密の米国債の買い
5.米国債の消化の問題
6.通貨と何か?
7.1971年以降の通貨は国債本位制
8.通貨は国債が、金利のない短期証券に変換されたもの

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