ビジネス知識源:福島原発のリアルタイム状況(4)
This is my site Written by yoshida on 2011年3月14日 – 11:23

(緊急注)今、ついに3号機の建屋が、たぶん水素で爆発しました。
これは、大きい。白煙が上がっています。どこが爆発したのか不明
(11:05)

建屋の内部はどうなっているのか。対策は打てるのか? 作業員は
死んでいないか・・・ちょっとこれは・・・1号機と同じレベルの
破壊ならいいのですが。炎が見えたことと、煙の灰色からして、格
納容器の爆発かもしれません。以下、この直前に書いたことです。

            *

おはようございます。巨大、超広域の惨事として起こったことの原
因を挙げることももちろん必要ですが、誰も未経験の惨害が進行中
の今、起こるだろうことを推定し、可能な対策を打たねばならない。

緊急号の(4)を送ります。好転していない「東電福島原発」に関
することです。(3月14日;午前11時時点の情報と解釈に基づきま
す)

ニュースにせよ、調べるにせよ、発表する側にせよ、言葉の基本定
義をしておかないと、誤ります。見た現や説明への反応で起こりが
ちな、感情を示す形容詞や副詞を使わず、数値による科学でなけれ
ばならない。「危ない」ではダメです。

冷徹ということではない。理性による客観です。
これが、本当は温かい態度と考えます。
(今更意味のないことではありますが)マスコミも政府も、試され
ています。われわれも試される。

今更ながら、現代経済と全機構は、あたかも生命のような「システ
ム(全体系)」と思います。システムでは、全部分が、正常に稼働
しないと、全体が動かない。日本経済は、そして生活と生命は、起
こった「想定外」のシステム不備に、耐えられるか。

きっと、耐えられると願う。第二次世界敗戦後の、焼け野原での青
い空を見ただろうときの、希望に似ています。津波の跡には、家の
跡形がない。停電は経済活動を低下させます。今、株価は514円
(5%)下げています。

あのとき、広島と長崎には原子爆弾が落とされた。
その後の、1960年代、破壊の後、高度成長した。

原因は全く異なっても、焼け野から再生する21世紀は、これだった
のかとも思うのです。今回の原因は、人が作ったあらゆるシステム
にある「設計の想定外」です。

▼メルト・ダウン(炉心溶解)とは何か?

(1)崩壊熱:
発電が止められ、燃料の核分裂が停止された後も、燃料棒には「崩
壊熱」が出続けます。まずこの事実を知ることです。

(2)炉心溶解:
これが水やナトリウムで冷却されないと、短時間で2700度以上にな
って、被覆管とその中の核燃料が、熱くなった金属が溶けるように、
溶解して落ち、厚いステンレス製の「圧力容器」の底にたまります。

「圧力容器」は、一番内部の、核分裂が起こる炉心を囲むステンレ
スの容器です。その外を、同じく厚い、ステンレスの格納容器が囲
む二重の構造。

(3)水素の高圧蒸気の発生
圧力容器の下に水がある時は、その水で冷やされるが、同時に、数
千度で溶けた熱い金属と水が、爆発的に反応し、還元反応で水の酸
素を奪う。

このため、水素が瞬時で大量発生し、圧力容器内の気圧が上がり続
けます。原資炉内のあらゆる反応は、すべて原子の時間、つまり瞬
時です。

(注)発電を緊急停止した後も、燃料棒内の分裂反応は、数%、1
%、0.1%・・・とわずかですが、継続しています。

正常な状態では、発電が緊急停止されたあと、外部のポンプから、
自動的に冷却水が入りますが、地震か津波で、その機能が、失われ
ています。

作って40年も経つので、どこかの部品が老朽化していたのか? 
不明です。

二重・三重の、Fail-Safeであるはず(推測)の緊急装置が働けば、
事故は起こらなかった。

(4)圧力容器の耐圧:
圧力容器内には、酸素がない。水素の燃焼反応(爆発)は起こらな
いが、内部圧が上がり続けると、圧力容器の耐圧設計値(調べたと
ころでは90気圧:間違っているかも知れません)を上回ると、高圧
爆発の危険が増します。

圧力容器を囲む「格納容器」内にも酸素はないので、そこでは燃焼
反応は起こらない。

(5)ベント(内圧を下げる、蒸気放出):
圧力容器内の、上がりすぎた気圧を下げるため、弁を開いて、水素
の蒸気を、容器の外に逃がす。

これが、今、外気に拡散している放射線です。爆発し、1号機の建
屋を飛ばした水素もこれです。この水素の蒸気には、高濃度の放射
線が含まれます。これが、拡散した。

(6)緊急冷却水
圧力容器の気圧を下げないと、水を入れても押し戻され、「冷却
水」を注入できないから、複数の燃料棒(炉心という)の、集合の
温度が上がり続ける。

炉の内部の気圧が、人の手による「制御状態」にあるかどうかが肝
心です。

(7)メルト・ダウン
(万一)冷却水の補充注入ができないと、圧力容器内の水が、高温
の水蒸気になる。

熱くなって臨界点で溶け落ちた燃料が、圧力容器の底に溜まって集
まり、その集合で温度が更に上がる。これが、厚いステンレスの圧
力容器を溶かして、燃料が「格納容器」内に落ちることがある。

(8)臨界反応
格納容器にも水があるので、ここで冷やされるが、どろどろの塊に
なった燃料と水が反応し、今度は、格納容器内の蒸気圧が上がる。

この間に、温度が上がった燃料に、再び核分裂が起こる「臨界状
態」を過ぎると、それまでは反応が制御されていた燃料が、核分裂
の連鎖反応を起こし、核爆弾に変じる。

最悪の状態が、以上です。原発施設に、複数の核爆弾が落とされた
状態と同じです。

●以上の連鎖を止め、燃料棒を冷却するために、冷却水の注入対策
が、個々人の致命的かも知れない被曝の危険を冒し、現場では続け
られています。メルト・ダウンが大規模化する前の、対策の成功を
願うしかない。

(9)MOX(モックス)燃料((注)読者情報):
福島第一原発の3号機の燃料は、プルトニュウムを再生処理した二
酸化プルトニウムと、二酸化ウランをまぜたものです。核燃料の再
生をする「プル・サーマル利用(国家が推進)」として使われます。
3号機は、1号機と違い、再生のMOX燃料を使っています。

MOX燃料の熱量は、1.7倍と言われ、熱効率はいいのですが、短所も
あります。何事も長所・短所は裏腹です。以下は、1号機等で使っ
ている「ウラン新燃料」との比較です。

・ウラン新燃料に比べ、放射能が高い。
・合金のため、燃料が溶ける融点が低い。
・熱伝導が低く、冷ましにくい。
・燃焼温度が高く、燃料棒内の圧力が高くなる。

「1号機のウラン新燃料」より、今回のような重大事故が起った時
の、MOX燃料は、制御技術が高度になります。3号機の、圧力容器内
の水位が容易には高まらないのは、MOX燃料という要素もあるでし
ょう。

(10)冷厳に言えば、スリーマイル島の原発事故(1979年)では、
以下のことが起こっています。

<核反応を停止させる非常用炉心冷却装置(ECCS)が動作したが、
すでに原子炉内の圧力が低下していて冷却水が沸騰しておりボイド
(蒸気泡)が水位計に流入して、水位を上げたため加圧器水位計が
正しい水位を示さなかった。このため『運転員が冷却水過剰と勘違
い』し、非常用炉心冷却装置は手動で停止されてしまう。

このあと、一次系の給水ポンプも停止されてしまったため、結局2
時間20分も、開きっぱなしになっていた安全弁から500トンの冷却
水が流出し、炉心上部3分の2が蒸気中にむき出しとなり、崩壊熱に
よって燃料棒が破損した。Wikiペディアからの引用> 

この後、緊急避難が発令されています。

●加圧容器の水位を示す計器が、蒸気泡で上がったか、冷却水での
上昇か、この判断に、担当者の技術が試されます。

●それと、<炉心上部3分の2(たぶん2.7メートル)が蒸気中にむ
き出しになった>という記述です。福島原発三号機内の、燃料棒の
露出はこれに近い。

(11)チェルノブイリ(1986年)では、<4号炉が炉心溶融(メル
トダウン)ののち爆発し、放射性降下物がウクライナ・白ロシア
(ベラルーシ)・ロシアなどを汚染した。事故後のソ連政府の対応
の遅れも相まって被害が拡大・広範化し、史上最悪の原子力事故と
なった(Wikiペディア)>

このときは、内部で核反応が起こる「圧力容器」の爆発による大気
汚染後に遅れて30キロ圏で、避難命令が出されています。(注)旧
式なもので、福島原発のような圧力容器を覆うステンレスの「格納
容器」は装備されていなかった。

福島原発三号機は、原因は地震でも、結果として原子炉内に起こっ
ている現象は、「炉内の冷却水を落としたスリーマイル事故」に限
りなく近い。(注)スリーマイルは、炉内の水位を計る計器を、読
み違えた人為的ミスでした。

今も、3号機の水位は回復していません(13日:午前10:00)

水位計による判断ができないのは、「圧力容器内に増えた蒸気泡に
よって、水位か蒸気か分か、判断がつかない」ためでしょう。

●制御の範囲を超えた超高圧の熱水は、水か気泡を含む蒸気か判定
できません。端的には、全部が気泡を含む蒸気です。水が気体にな
って沸騰する100度の臨界点を、はるかに超えていますから。

ただし、運転中の炉心の気圧は、当然高い(80気圧?)
これには、炉心を囲む圧力容器は普通に耐えられます。

問題の3号機の圧力容器内の温度は、まだ、公表されていません。
1号機、2号機も問題ですが・・・1号機は、軽度ではあっても3号機
と類似の状況を、時間単位で繰り返しています。

いずれにせよ、外部のわれわれが類推する状況はまずい。

▼危険の察知

政府、または東電、あるいは当局の経産省から、国民に対しての発
表がない時間が続くときが危険です。(今は意味のないことです
が)世界が、最大の関心をもって注目しています。

(12)本来、政府は、1時間単位の定時で、何らの発表をするべき
です。正確な定時発表をすれば、憶測は少なくなる。重大な危機管
理の要諦がこれです。政府の関係者、これに留意してください。

今の発表のロジックは、「***だから、安心して冷静に」です。
これは、過去の、原発に対する、当局の態度と同じです。

もちろん感情的な過剰反応であるパニックは、避けねばならない。
しかし事実を科学的に発表する態度とその受け止めは、必要です。
こうした重大リスクのときの情報提供は、危機管理の命です。

事実を正確に受け止めて、個々人が対応策をとるのはパニックでは
ない。政府は、そう理解せねばならない。過去からある「原子力の
ことは、知らしむべからず」が、もっとも愚策です。

政府発表は「***だから、安心して冷静に」というロジックでし
かないということが分かってしまったので、発表がないときは「悪
い事態」への憶測を生みます。必死な態度は十分わかりますが、危
機管理の大原則を守って欲しい。

政府対応が最悪だったチェルノブイリの例では、100%とは言えず
とも、安全なのは30Km圏の外です。長崎、広島でも同じだったでし
ょう。ただし、その後の、拡散した大気の風向きが問題です。

(万一)、時間の経過とともに危険になる臨界反応が起これば、ど
れくらいか? 

長崎、広島でも同じだったでしょう。ただし、拡散した大気の風向
きが問題です。戦後の長崎県生まれですが、田舎でまだ未婚だった
両親は、安全な距離に離れたところに住んでいました。

このため、今の自分の生命があります。
両親は、黒い雲が襲ってきたと言っていました。
書いて祈るしかないのは、情けないことです。

今、NHKのニュースでは大船渡市で5メートルの潮位が上がったよう
です(11:15) 福島(シンチ町)では3メートルの潮位上昇。

内容の性格上、3月13日午前11時に送った緊急第3号も再掲します。
それぞれの場と、遭遇した局面での、皆さんのご健闘を、切に祈っ
ています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【3月13日11:00の第三号】
おはようございます。東北では、余震と思われる強い揺れが、何回
も襲っています。大地震直後の映像を見れば、堤防を越えた津波が、
盛り上がる黒い原油のように変じて建物や設備を襲い、地上を根底
から瓦礫にする。

阪神・淡路大震災は瀬戸内海だったので、津波の害はなかった。
津波の破壊し尽くす暴力的な威力を、初めて、知りました。

昨日送った2通に続く、緊急番外の3通目です。刻一刻と変わる原発
の状況について、俄(にわか)に調べながら、可能な限り正確な情
報を、早くお届けすることが目的です。

当方にできることは、これくらいしかない。情報は、3月13日、午
前11時15分時点です。本稿は、情報の性格から、有料版と無料版に
共通と、両方で送ります。

▼3月13日午前8時の発表

【予備知識】
福島のような「沸騰水型の原子炉」は、
・核分裂し熱を出す炉心を覆う遮蔽容器(圧力容器)の外に、
・圧力容器を覆う格納容器(厚い鋼鉄製)がある2層構造です。
・格納容器の外が、昨日の、水素の爆発で飛んだ建屋です。

【政府の発表】
3月13日午前8時の枝野官房長官の発表では、
・最も懸念されていた福島第一原発1号機の、炉心(燃料棒)を囲
む「圧力容器」に、
・核反応を抑えるホウ酸水を含む海水を注入することができ、燃料
棒の冷却に成功したということでした。

この発表どおりなら、ひとまず、安堵できます。

最大の不安は、燃料棒が、自ら発する崩壊熱(2700~2800度)のた
め、露出部での溶解を続け、メルト・ダウンが起こることでした。

核燃料が高熱で溶けて、炉心の床にたまり、核分裂の臨界反応を起
こすか、または圧力容器を溶かし、外を覆う格納容器まで核燃料が
達し、格納容器そのものを破ることでした。スリーマイルで起こっ
た、部分メルトダウン(核燃料が溶けて落ちること)です。

この連鎖反応が起こると手がつけられなくなって、強い放射線の被
害が長期に広がり、チェルノブイリのように鋼鉄とコンクリートの
「石棺」で覆い、原発を封じ込めるしか方法がない。石棺と言う理
由はそれが、原発の巨大墓に見えるからです。

[参考情報]
当時を知るロシアの原子科学者は、福島第一原発は、チェルノブイ
リのように、燃えやすい黒鉛が炉心を取り巻く型ではなく、近代的
なタイプだから、核分裂は制御される。漏れた水蒸気から放射線が
出るだけだとは言っています。(産経ニュース:3月12日、22時51
分)

【最悪の状態は?】
制御棒を入れて核反応が弱くなっても、運転時の数%の反応は燃料
棒の内部で続きます。そして長期間、「崩壊熱」を出し続けます。

●これを放置すれば、高温になって溶けた核燃料で、再び「臨界反
応」が起こって、連鎖反応が誘発され、核分裂が制御できない原子
爆弾になる。普通はあり得ないとされる「炉心溶融」が、これを引
き起こす。これが最悪の事態です。

【午前8時の会見では、制御可能に戻ったことになる】
枝野長官が言うよう、1号機に「圧力容器」に海水を入れたことが
成功したとすれば(約5時間かかる)、崩壊熱が冷まされ、炉心溶
解は止められる方向に、つまり「人の手で制御可能な領域」に戻っ
たことになります。

海水を入れた理由は、冷却水が大量に必要な状態で、純水では間に
合わなかったからです。中性子を吸収して核反応を止める「ホウ酸
水」と、ナトリウムと電解質の不純物を多く含む「海水」を入れた
ことで、1号機を再び使うことはできなくなりました。

第1原発の2号機、3号機も、発電停止後に働くべき緊急冷却装置が
機能していなません。これにもホウ酸水と海水を入れれば、復活使
用ができず、東電は300Kw/時の発電能力を失います。300KW/時は、
約100万世帯の総電力です。

▼別の発表では3号機に、「懸念」が続く

以上は、制御可能に戻ったという1号機の状態です。今、緊急問題
になったのは3号機です。(これを書いている午前10時、新しいニ
ュースが入りました)

【13日午前10時:東電発表は、極めて重大】
3号機の燃料棒の露出が、約4.5メートルのうち「2.9メートルに拡
大」したと東電が発表しました。

露出の程度は、1号機より恐るべき事態です。(注)1号機の燃料棒
の、冷却できない露出は最大時で1.5メートルとされていました。

当事者である東電が発表するのですから事実でしょう。

●この状態は、燃料棒の崩壊熱が、(たぶん)2000~2500度を超え
ていて、核燃料の溶解が拡大し、圧力容器の内部の気圧が高熱水蒸
気で高まり続けることを意味します。事態は、刻々動いています。
3号機は、1号機より大きな原子炉です。

午前10.25では「高圧鍋の、空だき状態」です。
冷却水を入れるには、高圧で圧入せねばならない。

冷却水の緊急注入が、1号機のように成功しないと、崩壊熱による
炉心溶解の深刻な事態を、短時間で迎えます。露出の程度から見て、
高熱の燃料が水蒸気に触れて爆発(火山の噴火のような状態)を防
ぎながら、海水を入れるのが難しい。(注)核反応が停止しても、
発生し続ける「崩壊熱」の性格とその報道がないのはなぜでしょう。

3号機の、圧力容器内の気圧を下げるための、蒸気の放出(ベン
ト)が成功したとの報道が今、入りました。(13日:10:50)

以上を見ると、政府と当事者は、「情報」を小出しにしているよう
です。こうしたときもっとも避けねばならない混乱があるのか? 
福島第一原発は1号~6号機までがあります。

3号機が1号機と同じように、これから行うホウ酸水注入(及びその
後の海水注入)に成功するかどうか。ホウ酸水は、核反応を早期停
止させるために使います。

1号機の直前経験からの学習があるので、その点はいいでしょう。
また「想定外の余震等」があればどうなるか。現場での、対策の綱
渡りを想像せねばならない。対策のFail Safeは何段階か? 

自分が当事者ではない間接情報から読むのは、当事者が話すときの
表情と言葉の吟味、及び、微妙な論理矛盾を探すことが必要です。
「必要なことの何を、意識的に言わない姿勢か?」を探すことです。

【13日11:00に、再び政府発表がありました】
・3号機の圧力容器内の気圧を下げるため、蒸気を放出しはじめた
(9:20)。
・このため、人体に影響を与えない程度の「微量」の放射線放出が
増えている。

3号機も「最悪の事態に向かう悪化への方向」を止める状況になる
よう現場で対策作業をし、「状況の深刻化は止まったように思え
る」というのが、政府発表でした。

【余震と、別の地震】
日本列島は、プレート(地殻)の歪みで、今、どこが揺れるか分か
らない状態です。このため1時間毎くらいに、TVでは大小の緊急地
震速報が入っています。

今、再び、一旦は下がっていた正門付近の放射線が882マイクロ
シーベルト(0.882ミリシーベルト)に上がったというニュースが
入りました(午前10.30)。その後1200マイクロシーベルトに訂正。

これは3号機の、圧力容器内の蒸気放出をする前です。500マイク
ロ・シーベルトが、制限値になっています。(放射線のシーベルト
の意味は後述)

政府は、避難地域を半径10Kmから20Kmに拡大しています。(3月12
日18:00)。

避難範囲の20Kmは、わが国の地形では最悪を想定しています。参考
に言えば、史上最大の事故だった、平原のチェルノブイリの時、
30Km(126平方Km)が避難すべきとされた半径でした。

放射線での被曝量は、放射能源と離れた距離の、2乗に反比例して
減ります。10kmの時の被曝量を100として、二倍の距離なら25、三
倍なら11です。
[参考情報]福島原発の設計における想定地震は、マグニチュード
7.4でした。1マグニチュード大きければ、31.62倍です。今回は8.
8でしたから、想定の約100倍位の地震エネルギーです。

【公的情報への注意】今までの政府発表は、「好転に向かう材料が
あったとき、または悪化が止められた材料が生じたとき」、行われ
ています。そうしが偏りがある情報であることを意識しておいて下
さい。

科学的な根拠のない感情的な反応から過度に恐れる必要はありませ
んが、修飾や形容詞ではなく、発表される数値に注目することです。
数値には、嘘か本当かしかない。それは判断できます。そして言わ
ないことに着目することです。過度な形容があれば、数時間後には、
変わります。

▼被曝とは何か?

「被曝」は、多くとも少なくとも、放射線を浴びることを言います。
チェルノブイリや核爆発の時の大量被曝ではないので、念のために
申し添えます。たぶん、洗い落とせば安全な程度でしょう。ただし
今回、近くの病院いた人の被爆者は、最大で90名とされています。

核物質による汚染は、空気です。避難のとき、被曝を避けるには、
放射物質を運ぶ外気に、肌を触れさせないこと、これが肝心です。

外気に触れない。肌を露出させず、全身を衣服でカバーする。防塵
マスクをする。昆布類はヨウ素を含むので、多く食べれば、被曝の
害を減らすとされます。家では、窓と換気扇と、外気を取り入れる
空調は止めて密閉し(室内循環型ならOK)、外気が入らないように
することです。

【参考:放射線被曝の判断基準、つまり、ニュースの判断基準】
われわれが、普通の生活で浴びている放射線(1年間で1~2ミリ
シーベルト)の強さの約4400~8800倍です。シーベルトは、放射線
の強さを表す単位です。(注)ミリ(1000分1)は、マイクロ
(100万分の1)の1000倍です。

放射線量の判断では、発表される量(マイクロシーベルト)が、1
時間なのか、年間かの基準を意識してください。発表は、1時間そ
こにいたとき人体が被曝する量です。

診断のため、何枚も写真を撮る断層撮影(CTスキャン:PET)では、
放射線の量が、1回(約40分)の検査当たりの総量で、6.8ミリシー
ベルトとされます。

胃のバリューム透視は4.2ミリシーボルトです。普通の、胸部のX線
撮影(写真1枚)は0.08ミリシーベルト(80マイクロシーベルト)
です。以上で、医学的な検査の被曝量のイメージがつかめるでしょ
う。

敷地内で0.8ミリシーベルト(800マイクロ)という報告通りなら、
福島1号原発の敷地内では、1時間で、普通の生活での半年から1年
分の放射線を浴びることになります。

その約300倍の250ミリシーベルトが、放射線による人体の急性障害
(やけどや出血)が起こる規模です。その3倍の750ミリシーベルト
なら、即刻生命が危険に晒されるとされます。(注)被曝後に長期
で起こる「晩期性障害」が、白血病や肺がんです。

なお、放射線を直接に扱う専門家(職業人)の、1年間の限界は50
ミリシーベルトと、日本政府は限界基準を決めています。一般人が
1年に浴びる放射線の50倍です。(注)世界的には1年限界値を20ミ
リシーベルトとする勧告(ICRP:国際放射線防護委員会)がありま
す。

1000ミリシーベルトの被曝で、一生のうちに、がんになる増加確率
は5%とされています。つまり短期でも長期でも1000ミリシーベル
トの放射線を浴びると、20人に1名は、放射線が原因のがんになる
可能性があります。50ミリシーベルトの上記限界値を浴びた職業人
は、20年でその閾値(しきいち)に達します。

政府発表の、放射線流出の減少を本当だと信じましょう。

原子炉の圧力容器に、海水に溶かして注入されているホウ酸水は、
核反応を停止させ、あるいは抑え、核分裂が起こり始める臨界反応
を防ぐためのものです。

●「臨界点」は、巨大なエネルギーを出す核分裂の連鎖反応が起こ
る境界(閾値:しきいち)です。敢えて不吉な例を言えば、原子爆
弾は超短時間で連鎖する核分裂の、連鎖反応を抑制せず、暴走させ
るものです。原子力発電では、核分裂を制御して蒸気タービンを回
すエネルギーを作ります。

前号で言った、燃料棒の熱崩壊を防ぐものではありません。被覆管
(金属の筒)がたぶん溶けているので、3号機の炉心の温度は2700
度を超えています(燃料溶融と言う)。これを冷やすために、ホウ
酸水や海水を入れるには、約5時間が必要です。

・海水が、熱くなった燃料棒に触れて起こる「蒸気爆発(火山の噴
火で起こること)」、
・及び、高温の金属が酸化し水の酸素を奪うときの還元反応(酸化
の逆)でできた「水素の爆発」がおこらないよう注意が必要です。

なお、福島原発の東電関係者の電話インタビューでは、「チェルノ
ブイリの恐怖を煽る」ような、政府発表と報道をやめて欲しいと言
っています。つまりマスコミ報道は、行き過ぎと言う。「日本の原
子力制御の技術は(当時のソ連よりはるかに)進んでいる」とも言
う。

ただし、この際、「知らしむべからず」の態度はやめて欲しい。

こんなときに考える意味はないのですが、日本及び世界の、エネル
ギーと原子力政策には、大きく係わります。

想定外とされていた大きさの地震(マグニチュードで8以上)を想
定せねばならず、大きくコストが上がるからです。全国54基の、原
発の安全神話は、今回、崩れました。稀で想定外とされていたこと
が、しばしば続けて起こるからです。(マーフィーの法則)

今回の東北大地震で、日本列島の、地下の断層の歪みのバランスが
崩れたところが多いのか、かなり大きな地震が新潟や、関東にも起
こっています。

一旦は、ここで送ります。

著者へのメール: 
yoshida@cool-knowledge.com

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参考:4時間前の第2号では、以下を送っています。時間的な経過と
情報、及び解釈を対照するために、再掲します。

緊急番外の第2号です。福島第一原発で、長さ4メートルの燃料棒が
冷却水から1.5メートルも露出して、冷やすことができず、温度が
上がって、燃料棒が溶け始めたと報じられました(14時15分)。

同時に、燃料棒は冷却水の中とされていた第二原発でも緊急事態
(15条宣言)になっています。今のところは、緊急・必死の対策に
も係わらず、都合の悪い方向に向かっています。

炉心の温度は不明と、政府は発表しています。しかし、燃料棒を覆
っている被覆管が溶けてセシウムが検出されたということは、燃料
棒が1200度以上(修正:1200度は誤記で2700度が正しい)になって
いることを証明します。(12日15時20分)

燃料棒の溶解と、炉心溶解(メルト・ダウン)は、まるで違います。
崩壊熱を、安全に冷却水で冷やす(=水が吸収する)ことができれ
ば、メルト・ダウンという最悪の事態には至らない。

燃料棒の「崩壊熱」は、原発を停止させても、冷却水で冷やさない
と高まります。数千度に高まると、手がつけられない。

冷却水が(万一)なくなったときは、その後10~60分で、原子炉の
中の幾本もの燃料棒の集合が、数千度に達するとされています。

燃料棒の崩壊熱が上がりすぎ、それが、残った水蒸気や水と接する
と、急に膨張した高圧水蒸気による爆発の可能性もある。

プルトニウムの熱崩壊を、止めることはできないとされています。
原子炉に封じ込め、水で冷やすことだけです。

熱崩壊で発生する熱を冷ますための、必死の現場対策が、効果を挙
げるよう願うのみです。恐らく何段階かの準備された対策が、ある
はずです。

政府の、半径10Km範囲の住民への避難指示は、原子炉の高圧破壊を
防ぐために、炉の蒸気を逃がすとき漏れる放射能の害を防ぐための
ものです。以上、緊急に調べたことです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ビジネス知識源プレミアム・アンケート:感想は自由な内容で。
以下は、項目の目処です。】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
3.疑問点はありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ
と記述の際、より的確に書くための参考になります。

コピーして、メールに貼りつけ記入の上、気軽に送信してください。
感想やご意見は、励みと参考になり、うれしく読んでいます。時間
の関係で、返事や回答ができないときも全部を読みます。時には繰
り返し読みます。

【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】yoshida@cool-knowledge.com

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有料版では、いつ申し込んでも申し込み月の既発行分は、全部を読
むことができます。最初の1ヶ月間分は、無料お試しセットです。
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とき(このメールが当方によく来ます)

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か調べてください。ほとんどの原因は、クレジットカードの期限切
れです。お手間をかけますが、「新しい有効期限とカード番号」を
再登録してください。届かなかった月初の分の再送を含み、届くよ
うになります。
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