ビジネス知識源:福島原発リアルタイム状況(6)
This is my site Written by yoshida on 2011年3月15日 – 15:59

緊急の第6号です。東電職員が避難する事態にまで、放射性物質の
拡散が高まりました(15日午前6時)。福島県で、第一原発から
30Km圏が、新たな避難対象になっています。

【比較】
チェルブイリの事故の時、ロシア政府が出した距離と同じです。
30Kmは、放射線物質の拡散で、深刻な事態です。(注)3月15日:
13:30分時点です。事態は、まだ流動的です。

今は、チェルノブイリの爆発事故の放射性物質と放射線の量ほど、
ひどくはない。スリーマイルを、放射性物質の外部拡散という点で、
超えました。

ただし今回の放射性物質(主はセシウムやヨウ素)が放つ放射線の
半減期は短い(指数関数で、急激に減る)。汚染地域が何年も立ち
入り禁止になることはない。

最重大な拡散事故が起こっている2号機(定格出力78万kW/時)の
核燃料は、100トンと推計されます。今回の、プラント設計が想定
していない異常な事態、つまり格納容器破壊の後処理は、数ヶ月は
続くはずです(推計)。ただし、核燃料を遮蔽する圧力容器の破壊
はまだないので、全部が流出することはない。(注)時間単位で、
障害の事態は流動的です。今後、どうなるかによります。

休止中の1機を含む4機の原子炉に、同時に、身体に脅威を与えるレ
ベルの、深刻な事態が起こる展開は、人類は未経験です。(注)大
丈夫という公式発表は、時間単位で崩れました。

(注)チェルノブイリには、炉心を囲む「圧力容器」の外を覆い、
放射性物資の外気への拡散を防ぐ「格納容器」がなかった。このた
め圧力容器の爆発が即刻、放射性物質の拡散になっています。チェ
ルノブイリは「旧式」とされ、日本の原発は近代的とされた理由が
この格納容器の存在です。

福島原発2号機は、内部の圧力容器が16cmの鋼鉄で覆われ設計耐圧
は80気圧です。その外の格納容器は、3cmの鋼鉄で設計耐圧は4気圧
です。二重構造です。

3号機の例ですが、格納容器内の圧力は、1時8気圧(設計値の2倍)
を超えていたと言います。格納容器の下部が壊れた2号機でも、同
様だったでしょう。

【ベント】
圧力容器内に、冷却要用の海水(これ自身が異常な対策)の注入が
思うようにできないのは、高温の崩壊熱のため、圧力容器の内部圧
が上がっているからです。このため外の格納容器内に、圧力容器で
発生した高圧蒸気を逃がす。

【格納容器の異常高圧が生じる】
そうすると、格納容器内(設計耐圧4気圧)の気圧も、異常に上昇
する。この気圧が上がり過ぎると(たぶん8気圧以上)、今度は、
鋼鉄の厚さ3cmの格納容器に、亀裂が入るか爆発的に破壊されます。

格納容器が壊れるような深刻なことは、原発ではあり得ないとされ
てきました。しかし壊れ、放射性物質の外部への流出事故に展開し
てしまった。

2号機では、15日の朝6時10分に、2号機の格納容器の周辺で、何ら
かの爆発(詳細は不明)が起こっています。これを原因に、放射性
物質の外気への拡散を防ぐ「格納容器(厚さ3cmの鋼鉄)」に、
下部で直接つながる「圧力抑制室」のどこかに破損が起こったとさ
れています(破壊の程度と詳細は不明)。

これによって、関係者がもっとも怖れていた、高濃度の放射性物質
の流出が起こっています。格納容器は、放射性物質と放射線の、外
部への拡散を防ぐ「最後の砦」です。

2号機の燃料棒は、相変わらず2.7m露出し「崩壊熱」を出し続けて
います。

加えて今度は、(たぶん)核燃料の入れ替え等のための定期点検中
で発電を休止していた4号機に、なぜか火災が起こっています。

このため、4号機の「使用済みの核燃料」も問題になっています。
まさに「原発PLANTシステム(全体系)の、ドミノ倒しの障害」で
す。

●2号機と3号機の外の観測地点では、400ミリシーベルト/1時間の
放射線が観測されています(15日午前6時)。このため東電の職員
は、現場対策に当たる少数の作業者を除き、避難しています。

作業者も、現場で15分の対策作業を行えば、専従者の1年間の許容
量基準を超えるため交替が必要という。現場の対策作業の困難を意
味します。厳重な放射能防護服で、作業せねばならない。

400ミリシーベルト/時は、400,000マイクロ・シーベルト(1ミリ
=1000マイクロ)/時です。1時間その場にいれば、400ミリの被曝
をし、30分なら200ミリの被曝になるレベルです。

▼放射線による被曝

仮に200ミリシーベルトを浴びれば「全身被曝」の状態です。様々
な障害が後に出る。600ミリシーベルトの放射線を「累積」で浴び
ると、急速な白血球の増加があって、いわゆる白血病になる恐れが
強くなります(数値は臨床例です)。

(注)一回当たりの診療で、もっとも多く放射線を使うCTスキャン
(全身のPET:断層撮影)で浴びるのが6.9ミリシーベルト。PETは
最大でも6ヶ月に1回が限度とされます。当方、昨年12月にPET検査
を、初めて受けました。約45分かかった。なお、普通の生活での安
全基準は、5マイクロ・シーベルト/時です。

これまで、政府・東電は、パニックを煽らない目的で「***では
あるが、住民の身体には影響を及ぼさないレベル」と言い続けて来
ました。(注)日本人は核には過剰反応を示すという前提があたっ
たでしょう。

この論理が、15日午前6時に、「格納容器(または付属物)の破
壊」で崩れました。

▼惨事管理の段階

本来の重大な危機発生後の管理(Disaster Managementと言う)で
は、以下の4段階が必要と考えています。(マニュアルがあるわけ
ではない)

リスク・マネジメントは、危機の発生予想からくる備えです。
危機が起こったあとの惨事管理と、次元が違うものです。

「Disaster Management」
(1)当事者が、最悪の事態を想定し、「最悪の事態とは何か、今
後どうなれば、最悪の事態になるか」を情報として示した上に、
(2)現在の置かれた状況を示して、
(3)今どの段階であるかを、正確に伝えることが必要です。
(4)このため、情報提供は定時に行うべきです。情報提供が遅れ
ると、あるいは情報混乱があると、「何か重大なきことを隠してい
る」という、人間に共通の疑心暗鬼の不安が増大し、噂になるから
です。

【予見で動くのが人間】
あらゆることで、人がもつ未来への不安は、「分からない」ことか
ら生じるからです。重大な病気の診断での、インフォームド・コン
セントも同じです。人間は、「未来への予見」で判断し、行動しま
す。

【まずい対応】
政府と東電は、「最悪の事態」を示さなかった。これは「国民の常
識のレベル」を低く見ていたことになります。

これが原因になったものが、「(本当のことは)知らしむべから
ず」という、他の事例にも過去からある、政府の基本姿勢です。今
回の発表を、詳しく見続けて、そう感じました。

東電も、以前から原子力に関しては、この態度でした。未経験の惨
事に対する必死の対策は、及び現場担当の、自分の命を顧みない作
業は十分にわかります。しかし、単に一生懸命では不足します。

現場は、本当のことへの、対策作業を行っていたはずですから、東
電が分からないはずはない。現場は下請けの社員が多かったとは言
いますが・・・大手の会社共通に、現場を派遣や下請けにする傾向
があります。

TV情報しか見ていない上で、プラントと設備の設計者は、「どうな
ると、最悪か」を、示していました。残念なことに、原子力発電の
欠陥を告発する側でした。当方に寄せられた読者情報によるもので
す。感謝します。
http://www.ustream.tv/recorded/13293716

外部に対しては、上記の「Disaster Management」を行わねばなら
ない。被害は、国民が受るからです。

日本人は今回の最大の津波のように、街を根こそぎ消す、空襲のよ
うな惨事でも、パニック反応は起こしていません。諸外国のマスコ
ミを見ると、記者が感動する調子が感じられます。

大地震と全交通の遮断の後、タクシーを待つ数百メートルの列を作
り、秩序正しく、数時間、あるいはそれ以上待つ国民がどこにいま
すか? しかも、かなり強い余震が襲う中で、です。

【重要な訂正】
送った情報の中で、メルトダウン後の「再臨界反応」が起こる確率
については、専門的な読者(2名)の方からの指摘もあったのです
が、当方の知識は誤っていました。

「原発の燃料はプルトニウムの濃度が低い。メルトダウン後の再臨
界反応は、ごく小規模に起こるわずかな確率があっても、核爆発に
は(たぶん)至らない。」と訂正し、お詫びします。

             *

炉心熔解(メルト・ダウン)は、今、もっとも内部の圧力容器内
(厚さ16cmの鋼鉄:耐圧設計80気圧)で小規模に起こっているよ
うです。

ただし放射性物質の拡散に関しては、原発内で核爆発が起こったか
のような事態が、短い期間、想定されます。この結果として、
30Km圏の避難指示になっています。

これが、チェルノブイリのように100km圏にまで拡大するかどうか、
たぶんないとは思いますが、それは、1機で100トンレベルの核燃料
が、今後どうなるかにかかっているでしょう。

福島第一原発は、コンクリートを詰めた大きな「石棺」にされるで
しょう。日本の54基の原発も、強い反対運動が起こるはずですから、
操業を続けることができるかどうか不明です。

東電の、後で述べる、「惨事管理」での混乱的な対応(広報)のま
ずさが原因です。(注)現場は、とんでもなく難しい(世界が未経
験の)対策作業に、自らの命を賭けています。

日本では、23%が原発の電力です(2010年)。東電が、約25%の計
画停電をするのはこのためです。関電は48%、北海道が40%、九州
が41%と高い。原油がない国ですから、フランスのような原発の方
向があった。

今後、大地震を「想定外」と言えなくなります。地殻の歪みから見
た南関東の、直下型の大地震(M7級)の確率は、2007~2036年の間
に70%とされているからです。範囲は神奈川・東京・千葉・埼玉東
部・茨城南部です。

参考に言えば、日本の1年間の電力使用量は、家庭が2622億KW(26
%)、業務が2901億KW(29%)、製造業が4273億KW(43%)、運輸
が216億KW(2%)、非製造業が80億KW(0.8%)です。全電力は、
10000億KWです。1日に27億KWです。

全部を国民1人に換算すれば1人で1KW/時使っています。100Wの電球
で10個分です。電力こそが、水や空気のようにわれわれの、文明
(生活と経済のハードウエア)を支えています。電力がないと、家
電もコンピュータも通信も鉄道も動かない。生産や物流もできない。

この電力のうち、23%が原発です。今までの資源・エネルギー政策
に、今回の事故は、重大な方向転換をもたらします。原発は、いつ
まで続けることができるのか。

【経済】
ひとりぼっちになった少女が、瓦礫に向かい「おかあぁさーん」と
叫ぶ映像を前に言うのは、気分的にはばかられますが、投資家の将
来経済への態度を示す日経平均は、5%下げた金曜日の終値(9441
円)に対し、3時前の途中経過では1143円(11.9%)下げ、安値は
8227円になっています。

日銀は、リーマンショック後の以上に、マネー供給を全開にし、即
日の短期資金(オーバーナイト)の増加供給を8兆円としています。
14日が15兆円でしたから、合計で23兆円です。クライシス・パニッ
クの様相です。

今回と、今後の波及的な損害は、阪神・神戸大震災(10兆円とされ
る)をはるに超えて、広範囲で長期です。電力、生産、交通、そし
て人の心理に大きく係わるからです。直接損害の数倍になるでしょ
う。

高校3年の時、自分の不注意から自宅が火災で全焼した経験によれ
ば、数ヶ月後が心理的ショックは大きかった。直後は、たぶん補償
心理が働くのでしょうか。

メール: yoshida@cool-knowledge.com

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