日曜増刊:戦争の状況分析と経済・金融(1)
This is my site Written by admin on 2022年4月10日 – 10:00
ウクライナ戦争で忘れてはならないのは、「ウクライナはロシア系と
の分断国家」であることです。民族構成をしらべてみましょう。
http://honkawa2.sakura.ne.jp/8990.html

(本稿のプロローグは日曜増刊で有料版と共通です。本文部の正刊は、
水曜日に送ります)

(1)国土面積の約40%の東南部では、ロシア人が相当数です。

・ドネツク州   38.2%(2022年2月、ロシアが独立を認定)
・ルガンスク州  39.0%(2022年2月、ロシアが独立を認定)
・サポロジエ州  24.7%(ロシアが占拠した原発がある)
・オデッサ州   20.7%(2014年オデッサの虐殺の記録あり)
・ハリコフ州   25.6%(ロシアが制圧)
・クリミア共和国 60.4%(2016年にロシアが併合)
・セバストポリ市 71.5%(2016年にロシアが併合)   
以上のように、ウクライナの東・南部には、ロシア系住民が多い。

(2)逆に、国土の約60%の中北部と西部では、ウクライナ人が多く、
ロシア人は少ない。
・首都キエフ市  13.1%
・東北部と西部の州は、ウクライナ系が80%~95%と圧倒的であり、
ロシア系は5%から20%と少ない。

ウクライナに住むロシア系住民の総数は833万人です(総人口の17.3
%)。西部では平均5.4%、東部は30.3%、クリミアでは60.4%を占
めています。

▼戦争での民族の分断

人口面での分断が示すことは、
・ロシアとの間に「いざ」という事態が起こると、
・敵味方が入り乱れた内戦になる可能性が高いことです。

分断国家で戦争が起こったとき、どんなことが起こるかを示すのが、
今回の戦争映像です。親ロシアの軍人たちはウクライナ軍には従属し
ないでしょう。このため、ロシアとの戦争と、ウクライナ国内の内戦
の判定ができなくなっています。

親ロシアの住民と軍人は、戦場では、個人で作った白い布の目印を巻
いているという。逆に、親ウクライナの人たちは、白と区分するため
青い布をつけています。顔、髪、住まいでは、敵と味方が分からない
からです。

日本ではイメージができない民族が混じった分断国の特徴です。
長期的にいえば、ウクライナは「イスラエルとパレスチナのように二
つの国家」にならないと安定しないでしょう。ただしイスラエルとパ
レスチナは今も戦いを続けています。

【ブチャ村の虐殺とされることの分析】
ロシア軍が3月末に撤退した、キエフ近郊の「ブチャ村(人口3.5万
人)」での、300人から400人とされる虐殺は、ロシア軍がウクライナ
の住民に加えた残虐行為(戦争犯罪)とされています。

しかし、Youtube動画(明らかにフェイクではないと判断できる、余
分なものが映った携帯画像)では、親ロシアを示す白い布の目印の人
たちが、散見できます(10人くらいのうち4人を確認:腕に巻いた白
い布が視認できます)。

米軍とゼレンスキーからの、ブチャの「住民虐殺」の発表では、ロシ
ア軍が撤退した3日後、4日後まで、こうした300体から400体の死体が
放置されていたという。
(消されているかもしれません)
https://www.youtube.com/watch?v=4T2Oa3AJ9S4

ところが、市長が、ロシア軍の撤退を発表した4月1日には、虐殺を言
っていない(好意的にいえば、まだ知らなかった)。市長ならすぐわ
かるはずの、道路にも放置されていた300人、400人の死者には触れて
ない。この死体は、ロシア軍が退去したときは、なかったものかもし
れない。時系列で見ても、論理的におかしなことが多いのです。

公式の発表がないのは、ロシア軍撤退の直後にブチャ村(人口3.5万
人)への「アゾフ大隊」の分派の入場です(これは事実です)。ウク
ライナ軍に属する私兵ですが、ロシア側からは「ネオナチ」とされ、
ウクライナ政府に従わないことも多い。

中核が2000人、周囲の応援者が4、5万とされます。マウリポリでのロ
シア軍との戦闘ではマウリポリ部隊は壊滅し、首領(アンドリー・ビ
レツキー)は逃亡しています(これも事実)。

マウリポリでは、人口の32%が親ロシアの住民ですから、「アゾフ大
隊」が、親ロシア系を殺した可能性は高いでしょう(推測)。

ウクライナ側の私兵(アゾフ大隊の分派)によるブチャ村でも、白い
布の目印をしたロシア系住民への攻撃である可能性は、否定できない
でしょう(推測)。親ロシアの住民に、私刑を加えたのかもしれない
(推測)。政府の命令よらない殺戮は私刑(リンチ)です。

「アゾフ大隊」は、2014年から、ウクライナ東部のロシア系住民を、
私的に殺傷していました(この殺戮に、ウクライナ政府の命令はない。
したがって私刑です)。

南部のオデッサ市の劇場で、地下に避難していた、デモ隊の非武装の
ロシア系住民に対し、銃と火炎瓶での虐殺があったことは、歴史的な
事実です。(私兵は勝手な動きをします。したがってウクライナ政府
は、この虐殺はなかったと否定しています)

市の90%が廃墟になったとされる、南部の工業都市マウリポリ(人口
40万人:親ロシア系住民が38%と多い)の「住民の虐殺」も、ブチャ
村に類似すると見ています。マリウポリは、ロシアが併合したクリミ
ア半島(2014年4月~)と、ロシア系のが多い東部2州をつなぐ要路に、
位置しています。

【西側と露ロシアのメディアは、互いにフェイク合戦を続けている】
日本と西側の主流メディア、そしてウクライナ政府は、これらの全体
について、「ロシア軍が加えた、ウクライナ住民への残虐行為だっ
た」と主張しています。米国は、ブチャ村でのロシア軍による虐殺を
主張し、対ロシア金融・経済制裁を強化しています。

ロシアが言うように、CGのフェイクが混じっているかは検証ができな
い。しかし個人がとった編集のないナマの携帯画像を探してyoutube
で見たとき、「どの軍が、何系の住民を殺傷したのか」という疑いを
禁じえなかったのです(多くが、閲覧注意になっています。編集はさ
れていません)。

遺体には、親ロシア系を示すシンボルの、白い布切れの人が混じって
います。作られた画像とすれば、杜撰(ずさん)です。このためか、
当初は、米国主流メディアも、「われわれは確認していない」と書い
ていました。

その後、虐殺としてTV NEWSに出る画像では、遺体は小さく、ボカシ
が入っていて確認できない。(注)YV画像では証拠は見えない。

作ったフェイク画像の特徴は、9.11やイラク戦争のときのように、同
じものが、どの放送局でも何回も放映されることです。これはメディ
アが加担する「世論操作の認知戦」だからです。

ゼレンスキーによって「人間の盾になれ」とされたウクライナ人住民
の巻き添えはあったかもれない。しかし、これらを見て、ウクライナ
政府が言う、「バチャ村では300名や400名の非戦闘員の住民を、ロシ
ア軍が虐殺した」とすることは当方にはできなかったのです。日本の
メディアは、これを命じたとするプーチンとロシア軍の残虐性を叫ん
でいます。

【親ロシアと指弾がある】
主流メディアで報道された動画、文章、発言への疑問点を指摘すると、
「お前は親ロシアか」と、非論理で指弾されます。この非論理の特徴
は「ラベル貼り」です。当方は、政治、軍事的には反スターリニズム、
反プーチン、反習近平であることを明言します。

今回も、確かと判断できる、「数字がある事実」に基づき、客観的に、
分析し、事実を認識したいと考えているだけのことです。事実の数字
は、それが嘘か本当か、峻別ができます。形容詞や副詞の言葉は個人
の観念(思い)です。

ドストエフスキー、ツルゲーネフ、チェーホフ、ソルジェニツィンの
ロシア文学は好みのものです。でも・・・小説を文学と書いたとたん、
ややこしい。「文学」とは何かという、自分なりの回答を作っていな
いからです。ウクライナ出身の音楽家にも、好みの人が多い(ホロヴ
ィッツ、リヒテル、ギレリス、オイストラフ、プロコフィエフ)。キ
エフ市長になっている元ヘビー級チャンピオンで2mの巨人、ビタ
リ・クリチコのファンでもありました。

【米国の狙いの推測】
バイデンは、プーチンの辞任を激しい言葉で要求し、米軍は新鋭の兵
器を送って、「ウクライナの長期泥沼化」を目論んでいるように見え
ます。ロシア軍を引かせず、軍事費の増加による経済崩壊から、体制
の転換に至らせることが目的であるかのようです。

ウクライナ戦争の本質は、「米ロ戦争」です。
ウクライナ軍は、米軍の代理です。

              *

▼戦争によるインフレと金利と株価

◎米国FRBは、インフレの長期化をにらみ、22年4月からの毎月950億
ドル(11.4兆円:年間136兆円)の量的引き締めを決定しました(国
債が600億ドル、MBSが350億ドルの売り=QT)。

QT(量的引き締め)を始めるという5月には、株価と債券価格の、相
当のマイナスが想定されるでしょう。

◎QTの量的引き締めは、短期金利(FF金利)の利上げより、強力に作
用します。950億ドル/月は、リーマン危機後の、量的緩和のあとの引
き締めの2倍の速度(金額)です。

市場では、5月と予想される650億ドルのQTの一部「織り込み」が起こ
り、
・米ナスダックは、315ポイント(2.2%)下がり、
・日経平均は、500円(1.8%)下げました。
 米ドルは、123円です。(4月7日)

日経平均は、2021年9月の高値3万440円から、3400円下げて、2万
7040円付近(-11%)。下がったあとの、実績PERの16.79倍(次期予
想PERは12.91倍)は、円長期金利0.25%が前提です。長期金利が上が
ると、PERは下がります。

◎当方は日々、市場の株価時価総額(株価×発行済み株数)に着目し
ています。その国の、企業価値の評価が示されるからです。

・米国は、株価時価総額が5000兆円(世界の50%余)、
・日本は、米国の約1/7の700兆円くらいです。
 日本のGDPは米国の1/3、株価は1/7です。

バブル最末期の、1989年末には、日本の時価総額は米国の約2倍でし
た。米国企業を全部買っても、おつりがありました。今は逆です。米
国は、やろうと思えば、日本の全部の上場企業(約3000社)を、特別
目的会社(SPC)を作って、現金は要らず株式交換で買収できます。

株価は、「金融市場の短期的な空気」から、上にも下にも、変動する
リスク資産です。13年間のゼロ金利の中で、ウォール街に世界のマ
ネーが集まりました(ドル高:長期金利は平均で1.5%付近でした)。

ウォール街のマネーは、米国株を上げる原動力です。日本株が出遅れ
ているのではない。日本には、世界のマネーが集まっていない。ゼロ
金利の円は、逆に、海外に流出しています。
(注)日本の銀行でドル買いをすることが、円の海外流出です。

[補注1:知識源風に、短縮して示せば・・・]
(1)理論株価=EPS(1株当たり次期予想純益)×PER
       =EPS×(1÷期待株式益回り)
(2)期待株式益回り(%)=予想長期金利(米国では現在2.5%付
近)+企業純益実現のリスク率(3%~6%)です。これが株価への期
待金利にあたるものです。株価がリスク資産とされるのは、企業純益
実現のリスク率が、変動するからです。
(3)株価の期待益回り(=株価の期待上昇率:4%~8%)は、
・先行き6か月くらいの予想金利と、
・次期決算の、企業純益実現のリスク率の見積もりで変化します。


(4)上場企業は中期経営計画(中計)として、3か月前、6か月前に、
次期予想純益を出します。
(5)その中計をもとに、株主が、
 ・金融市場から、予想金利を、
 ・業界の状況から次期企業利益実現のリスク率を見積もり、
  それを予想金利に加えて、期待益回りが決まります。
 ・期待益回り(例えば5%)によって、PER(20倍)が決まります。
  EPS(期待純益)×PER=株価、です。

時価総額が5000兆円に膨らんでいる米国株が30%下がると、直接に、
金融危機→財政危機になっていくでしょう。

コロナにウクライナ戦争が重なり、世界インフレもはっきりした
2022年、23年は、
・米国では、株価下落が問題であり、
・欧州と日本では、国債金利の上昇(国債価格は下落)が問題です。

【ロシア側と、西側の経済の事実】
ロシアは、GDP比の国債残が17.7%しかない。133%の米国、230%の
日本に比べ、ロシア政府の財政は超健全です。

エネルギー・資源・穀物の輸出から、貿易でも黒字が続き、2020年の
黒字は225億ドル(2.7兆円)でした。
ロシアは、海外に依存せず、自立できる経済です。
一方、西欧と日本は、資源の面で海外依存です。

◎日本はエネルギー・資源・穀物では輸入依存であり、経済の安全保
障に弱い国家です。中国は、資源・穀物の面で輸入が必要で、輸出が
必要な経済です。

米国は資源では自立できます。しかし消費財の商品輸入では中国への
依存が大きい。たとえば世界1のファブレスメーカーのアップルは、
100%中華圏で委託製造し、輸入・販売しています。米中関係が良好
でないと、サプライチェーン製造のアップルの存在はない。

ユニクロ・ニトリ・日本の家電・自動車も、中国と東南アジアに依存
している点で同じです。日本は、2000年代から、為替変動を避けるた
め、海外生産を重点にしました。

世界が平和でないと日本の製造業もない。米国、英国、ドイツ、フラ
ンス、オランダ、日本の企業は20年でグローバルな産業になったので
す。ウクライナ戦争は、グローバル企業にとっての災禍です。

世界は、人口の面では、ロシア側についた国々(84%:65億人:53か
国)と、西側(16%:12億人)に、分断されています。
西側の合計人口は、中国一国(14億人)に及ばない。

世界のGDP(=商品生産経済:1京円)では、中国を含むロシア側50%、
西側が50%です。

(1)商品価格の購買力平価では、GDPで1位の米国を超えた中国(習
近平)と、(2)近代化に向かう経済の成長率が高いインド(人口14
億人)、(3)原油・LNG生産の中東は、ロシア側についています。
(4)ブラジル、南アフリカもロシア側です。
成長力の高い国がロシア側につき、老大国が総じて米国側です。

独裁の習近平は独裁のプーチンを兄と慕うという。
西側の敵方は、「中国・ロシア連合」の様相を呈しています。

【焦点になった天然ガス】
LNGは、同じ熱量で二酸化炭素の排出量が原油より少ない。
発電に多く使われています。

国際価格が4倍に高騰したLNG(28ドル/BTU)の世界輸出では、2563億
立米のロシアが1位です。2位は米国の1318億立米、3位はカタールの
126億7立米、4位がノルウェーの1101億立米です。

ロシア産LNGの代替は効かない。事実として押さえておくべき、最重
要な事項です。ロシア以外が増産してもLNG輸送のパイプラインの建
造と供給には5年かかります。パイプラインのLNGは、スポットではな
く、双方の合意の長期契約で供給されます。

ロシアには、ルーブルのSWIFTからの遮断と、西側の禁輸があっても、
原油・LNG・金属資源・穀物の高騰があります。

戦争と、対ロシアの金融・経済制裁が長引くと、ロシアがサウジやド
バイのように、豊かになっていきます。人口が28億人の中国とインド
が、西側に代わって輸入するからです。

西側は、エネルギーと資源を買うマネーを拠出する側であり、ロシア
が豊かになる分と同じ金額の損をします。LNGと原油は、どんなに高
くなっても一定量を買わねばならない必須資源です。高くなれば節約
されて、輸入が減る車のような商品とは違います。現在はロシア分の
不足(原油では500万バール/日)を補うため、西側の備蓄が放出され、
価格を下げていますが、約3か月で終わるでしょう。

日本が、1バーレル40ドル台と安いときにためてきた原油備蓄は240日
分とされ(現在は90~130ドルの間を変動)、他国より多いのですが、
それでも、ガソリン価格は、大阪ではレギュラーで170円台に上がっ
ています(2021年は136円くらい)。

▼グローバル金融

西側は、ロシアの銀行の、SWIFTからの排除と禁輸によって、ロシア
経済は、経済崩壊の苦境に陥っているとしています。ところが、ルー
ブルは、早くもウクライナ戦争前のレートに回復し、金利も下がって
います。ルーブルの排除と西側の禁輸に抜け穴があるからです。西側
は、必須なエネルギーと資源・穀物を輸出するロシア経済の現実を、
見ていません。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/rub.html

こうしたことまで見て、英米系ヘッジファンドと年金基金は「戦争は
買いのチャンス」とし、密かにロシア株、ルーブル、ロシア国債のポ
ジションを上げているのでしょう。

西側の金融資本の動きは、米国の経済制裁の方向と、真逆です。
中国もロシア買いをしています。日本は、ロシア売りでしょう。

ロシア国債のデフォルトがあれば、それにかかったCDS(債務回収の
保証保険)を発行して売っているのはゴールマンやJPモルガンです。
米国金融資本の損になる。バイデンはこれを知っているでしょうか。

(注)ロシア国債のデフォルト、西側が、ロシアのドル準備を約
3000億ドル凍結していることが原因です。ロシアは、資源輸出でGDP
の40%(6300億ドル:75兆円)という、GDP比では世界1大きな外貨準
備をもっています。

米財務省とFRBは知っているはずです。保険金の支払い買い義務が生
じるゴールマンとJPモルガンは、ドル建てのロシア国債を、デフォル
トさせてはならない。

▼世界の兵器と資源産業は、超好況になった

自動車産業より大きな、米国側の航空機・兵器産業(1兆ドル:120兆
円)と、原油・シェールガスの資源産業(ロックフェラー)は、ウク
ライナ戦争で、利益が大きくなっています。米国の軍産共同体と金融
資本は、戦争で利益を得るのです。

戦争は、兵器・弾薬・医薬・食糧の大量消費です。犠牲は、ウクライ
ナです。長引くコロナは、PCR検査とワクチンの産業を興隆させまし
た。コロナに続くウクライナ戦争は、ロシアと世界の資源産業と兵器
産業を興隆させています。

(注)中国古代の「孫氏の兵法」の格言では、利益を高める者たちが
戦争を引き起こすという。戦争は、自然のものではない。意図をもっ
て、引き起こすグループが存在します。

シンボリックなことは、GDPの軍事費を1.5%に抑えてきた経済強国ド
イツが、GDP比2%を軍事費(=米国からの兵器購入)にすることです
(向こう10年という)。GDP比1%(5兆円)の軍事費の日本も、いずれ、
国防予算を増やして米国からの兵器輸入を増やすでしょう。日本の予
算の拡大は、ほぼ全部が、米国からの兵器輸入になります。

世界は戦時経済に向かっています。兵器の増強は経済的には戦争です。
産軍共同体にとっては、ウクライナ戦争の「長期化(=兵器と人命の
消費)」が好ましい。

兵器・武器は、防衛用だと国民をまやかしても、自国と敵国の人命を
奪う道具です。相手国に対する、兵器での優位の認識が、戦争を誘発
します。

兵器で劣位にある国は、戦争を仕掛けません。
兵器の2強国が、ロシアと米国です。

▼状況からの推理

最終的には、ロシア側(世界人口の84%)の勝利に、終わるでしょう。
西側の金融資本は、危機のロシア買いとして、数年後を見ているよう
です。今回の戦争は、以下に示す理由から、「目的を攪乱した、限定
戦」である可能性があります。

[本気の戦争ではない・・・]
ロシアがウクライナ制圧に本気なら、まず、
(1)発電所をミサイルで攻撃し、ウクライナをブラックアウトさせ
るはずです。近代戦の常識です。

電気がないと情報通信はできず、戦闘もできなくなるからです。戦争
の前には、相手国の送電網、通信網を詳細に調べることも、軍の常識
です。

(2)次は、空港と軍事基地を爆破し、制空権を抑えます。
(3)その後に、陸軍の戦車が進軍します。

これは、勝つことを目指すなら、大国の戦争の常識です。相手の情報
網が分断されるからです。軍と統合参謀本部の連絡網がないと、戦争
はできない。

インターネットとして、情報が256バイトに分断されて迂回し、集信
されるパケット通信(TCP/IP)は、核戦争での通信の切断を想定した
米軍(CIA)が作ったものです(AEPA-NET:1960年代末)。

遠隔からピンポイントで狙うことができるミサイルで、発電所を攻
撃・制圧すれば、一夜で、ウクライナはブラックアウトし、蓄電が切
れる数日で、情報機器と通信を含むすべての機械は、動かない箱にな
ります。(この知識があるはずの、自衛隊の関係者や学者は、なぜ
TVでこれを言わないのか?) キエフ包囲の目的も不明です。

ロシアは「近代軍事の常識」の順序をとっていません。
プーチンが馬鹿になったのか、麻薬患者の精神錯乱か。

キエフ攻撃のときも、包囲はしながら相手を無力化する電力網は破壊
していません。そして、ロシアにとってはフェイクしか言わないゼレ
ンスキーを、西側のTV動画に登場させています。「なぜでしょう
か?・・・どんな答えがあるでしょう。立ち止まって、考えてみてく
ださい。イデア(観念)のように、不思議な戦争です。

電力がないと、近代世界は、蝋燭(ろうそく)、口伝(くでん)、書
簡の江戸時代にもどります。夜は漆黒で、月と星空が輝いていたでし
ょう。戦闘は、夜陰と早朝のものでした。

戦闘の跡の映像を見て、もっとも基本的な、この疑問が湧くのです。
アパート、住宅、病院の攻撃は、軍事的には無意味なものです。

ウクライナには防衛の戦意高揚を、西側には、ロシアの残虐性と制裁
を訴えるだけの効果しかない。ロシア軍は原発を占拠しても、容易に
可能な停電はさせていない。なぜでしょうか。

【推論】
◎仮説的推論ですが、ロシアは、最初からウクライナの制圧ではなく、
「ロシア人が多い東南部の限定戦(独立)」しか狙っていないのでは
ないか。このため、国の電力から破壊する近代戦ではなく、電力は活
かしたまま地上戦を戦う「特殊な軍事作戦」と言ったのではないか。

以上は、一歩引いて考えれば、世界の人々に分かる、カラクリです。

ところが日本では、戦後、戦争への常識はなくなっていて、これが、
わからない。外交と戦争についての教育は、皆無です。このため、
TVやメディアでは、ベトナムの住民と民兵がジャングルで混在して戦
っていた「ゲリラ兵のベトナム戦争(1955-1975)」と、同じ視点し
かない。

政治家も含み、感情的な言葉で、感情的に語るだけでしかない。
戦争の専門家であるべき自衛隊の幹部(軍人)ですら、事実の究明で
はなく、「ウクライナ人の愛国心」という感情的なことしか言わない。
90年前の「神国日本」という精神構造が、今も変わっていない。天皇
は、現人神(あらひとがみ)だったのです。戦後「人間宣言」がされ
ました。おとぎ話のような世界です。西欧の王でも神ではなかった。

日本人は『源氏物語』の昔から「感情的な世界観」が発達しています。
本居宣長の「もののあはれ」もそれです。今日7分が散った無残な桜
を見てきました。世界の片隅での、侘しい花宴。

【プーチンの狙いの、論理での推計】
(1)西側からの、金融・経済の制圧を引き出し、
(2)資源と食糧で自立できるロシアは、予定していた中国・イン
ド・産油国を味方につけて、
(4)資源価格を高騰させ(あたかも第三次石油危機)、
(5)世界のマネーと経済の、ブレトンウッズ体制(1944-71)以来の
転換を狙っているのではないか・・・こうした、疑問です。

傍証にすぎませんが、英米の金融資本は、ロシアに協力しています。
金融資本は、メディアでは、運用戦略を語りません。

ロシアは、国債の信用が担保のフィアットマネーから、資源(コモデ
ィティ)リンクのルーブルに向かっています。現在は世界の通貨で唯
一のものです。

水曜日の有料版正刊では、世界のマネーと経済の、ブレトンウッズ体
制(1944~71)以来、50年ぶりになる転換の動きを描きます。

事実をもとにした論理では、これが見えてきます。当方に特別の情報
源が、あるのではない。

数字のない「情報」はいくらあつめても、事実やフェイク情報につい
ての個人的なあるいはデスクの解釈(観念)です。

書いた本人の考えであり、そのままでは信用はできない。科学は、観
念性がある医学でも、事実の計測(数字)によるものです。臨床医学
は、複雑系の人体への、工学的なものでしょう。

【後記】
立場の論は、事実にもとづく科学的なものではない。近年、世界で、
金融や経済で立場の論が多すぎます。MMT(現代貨幣論) も、政府の
立場からの論です。

当方の立場は、政府、制度化された学問や学会、ジャーナリズムでは
政府の立場に立つ記者クラブではなく、国民の利益です。

雑誌や書籍など、微力な原稿を書くとき、いつも目標は、はるかに遠
いのですが、直接・間接に国民の利益になることを「正」としたいと
思っています。文章の力は、信じています。

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