理解されていないキャッシュフロー・金融リテラシーの基礎の基礎(2)
This is my site Written by admin on 2023年12月2日 – 12:00
「理解されていないキャッシュフロー」の2号目の前半では、最近の、
ドル・円と金の、奇妙に見える動きの理由を、基礎から解説します。
本稿は、中編として15ページ(8000字くらい)です。基礎とは、理論
です。

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<Vol.1387号:増刊:理解されていないキャッシュフロー
            金融リテラシーの基礎の基礎(2)>
      2023年12月2日:有料版、無料版共通
【目次】
■1.ドル・円と金が奇妙な動きをする理由
■2.奇妙な動きの原因を探れば
■3.日米の金利差とドル・円
■4.円だけが、60%も暴落した実効レート
■5.下がるべき人民元と人民元の国債が、最近は上がった理由
■6.コロナのあと世界の金融負債は5京4000兆円に膨らんだ
■7.信用通貨の1万円札と、金の価値は、社会のなかもの
■8.世界の金利が4ポイント上がって、
     ドルの既発国債と債券は25%下がっている
■9.リーマン危機との比較
■10.キャッシュフローと、名目金利による債券の時価評価で見れば、
時価評価しない簿記会計のウソが、見えてくる

【後記:新著の紹介と寄贈】

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■1.ドル・円と金が奇妙な動きをする理由

米ドルが、146円台に下がっています(円は約4円上昇)。日経平均は
11月は10月末の3万1000円に対して、3万3000円台へと約6%上がって
います。

金価格は円では、10月31日が1グラム1万575円、11月30日は6%の円高
のため、1万679円でほぼ変化がなく、わずかな波動です。

しかし、1オンス(31.1g)のドル価格では、
・10月の月中平均が1913ドル(消費税がない国際卸価格)、
・11月30日は、2046ドルであり、7%上がっています。1か月7%は年
間では、√12=3.5倍の、24%上昇に相当します。

金価格が上がる原因は、およそいつも、ドルの世界の通貨に対する実
効レートの低下です。新興国の中央銀行の、「ドル準備売り→金買
い」があります(2023年は年間1000トンに増加)。1000トンの買いは
2024年も続くと、ドル下落の可能性も高いことになるのです。

■2.奇妙な動きの原因を探れば

11月にドルが下がった原因は、米国のCPIが、23年10月は3.2%と前月
比で0.5ポイント下がったからです。インフレであることは変わりが
ない。しかし、金利が上がる予想の、ドルの買いを決めてきた高いイ
ンフレ率(前年比)が下がった。米国のインフレと失業率が今後どう
なるかが、金利とドル価格を決めます。

【FRBが参照するインフレ率が多種あって、
       一般にはわかりにくいことですが・・・】

23年10月CPIは、前年比3.2%ですが、投資家の期待インフレ率(≒
BEI=数年後の予想インフレ率)は2.25%付近です。22年3月で、CPI
が9%だったときは3.5%ですから1.25ポイント下がっています。

◎FRBは、実は、この期待インフレを2%に下げるために、名目金利の
利上げをとっているのです。
 FRBがもっとも重視するのは、期待インフレ率です。(5年債と10年
債の、物価連動債の金利:BEI=投資家の期待インフレ率)
https://www.oanda.jp/lab-education/oanda_lab/oanda_rab/breakeven_inflation_rate/

期待インフレ率は、10月は2.25%に下がった(グラフの事実)。
23年12月のFRBの、短期金利(名目金利)の5.25%からの利上げはな
い予想。24年3月には利下げ(マイナス0.25%)かもしれないという
観測を米国の金融市場がしているからです(投資家の予想)。
↓
これが、3か月先くらいの金利政策を織り込んで動くNYダウが、史上
最高価格の3万6000ドル台をつけている理由です(株価での結果)。
↓
そして3か月先の予想金利が下がってきたドルへの、他の通貨からの
買いが鈍った結果、23年11月は、円に対しては6%のドル安(6%の円
高)になったのです(通貨での結果)。

4円の円高とはいっても、2021年の110円台とは40円以上(36%)も円
安の水準です。

・・・以上の金融理論的な話は、「数字の事実→名目金利の将来予想
→通貨、株、金の価格→価格も変動」となっていて、とてもややこし
い。

しかし、売買の70%を占めているファンド運用のプロは、自動売買の
アルゴリムも使って、ここに単純化して示した考えから、多い順に言
うと、通貨、国債、株、金を売買しています。

■3.日米の金利差とドル・円

日米の名目金利差が3.5%で1ドルは146円、仮に、この金利差が2%に
縮小すれば(ドル金利3.5%、円金利1.5%になると)、ドル円は130
円から120円台でしょう。

現在の金融状況からは、起こりえないことですが、ドル金利2.0%、
円2.0%になれば、1ドル=90円台が均衡レートでしょう。

【購買力平価では、ドル・円は80円台】
よく取り上げられる、ビッグマックの価格は、米国が778円、日本は
450円です。食としての価値は、日米で同じですから、1ドル150円の
ドルは、778÷450=1.7倍くらいは過大評価です。

トヨタは、1.7倍の価格で、米国で作って、米国で売っています。
海外で70%を作って売るので、売上、経費、利益を円換算したとき、
円安の恩恵をうけるトヨタが、税引き後純益で3兆9000億円の利益を
上げるのは当然です。

株価の時価総額は、45兆円、2年前の約2倍です。1000万円もっていれ
ば、2000万円。「売りどき」でもあります。2024年からの長期的な傾
向は、ドル安・円高の可能性が高いからです。

金も上がっていることは、新興国による、金ペッグBRICSデジタル通
貨加盟のための、ドル外貨準備の売り→1000トンの金買いを示します。
↓
BRICSプラスに加盟することが決定している中東諸国の原油が、2024
年から次第に、BRICS通貨でも売られるようになって、現在ほぼ100%
のドル決済は、50%に向かって減っていくので、ドル外貨準備も50%
でいいのです。

トヨタの株価は、世界本社がある日本の通貨が約30%は下がったから、
会社の評価は2倍に上がったという変なものです。
変動相場の通貨レートって、奇妙なものです。

その国の、総合的な経済力には、関連がない(GDPの期待実質成長率
(または潜在成長力)として、すこしは関係があります)。

■4.円だけが、60%も暴落した実効レート

円の、世界の通貨の加重平均に対する実効レートは、1995年が150、
現在は60です。円の価値は40%(60%下落)に下がってしまったので
す。
(図録:ドル、ユーロ、元、円の実効レート)
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

日本の世界に対する経済力も、通貨レートと物価・賃金では、60÷
150=40%に下がっています。

【ドルの購買力平価は、88円付近】
米ドルの高い金利による、海外からのドル買いの増加による過大評価
をならして、円でいえば、150円÷1.7=88円が均衡点です。

1ドル88円なら、ハワイのラーメン3000円も1700円になって、観光地
物価の、妥当な価格になります。近くの専門店「丸源」ではラーメン
がメインの1食が1000円付近(ラーメンだけでは約800円)で、パート
の時給1時間分です。

カレーと並ぶ国民食のラーメンとパートの時給は、過去からおよそ一
致しています。米国の、現場ワーカー職の時間給は3000円付近という
ことでもあります。これが万国にほぼ共通な「経済学的な物価」です。

仮に、日米の金利が一緒になると、1ドル=88円です。ドル切り下げ
があれば、ドルは、1/2あたりと、すっと前から言っているのは、日
米金利が同じときの物価・賃金の均衡レートが88円付近だからです。
2021年以降のドルは、外為市場での通貨の売買では過大評価されてい
ます。

金融市場では、米ドルが約2倍の過大評価という見方は少ない。金融
機関の5%(20人に1人)か;当方は、ほぼいつも少数派です。

しかし、通貨の基礎を考えてみてください。米国のパート労働は、日
本のパーより3倍優秀なため、時給3000円でしょうか。そうでなく、
むしろどこからどう見ても、日本のパートが上でしょう。つまり米国
の3000円は、ドル/円≒150円がもたらす、過剰評価です。アルバイト
のコンビニのレジ担当を、日米で比較すれば誰でもわかることです。
日本の現場職は、たぶん世界1優秀です。しかし、賃金は1/3。賃金を
換算する通貨が、おかしいのです。

◎ドルの過剰評価は、本稿で解説する、日本のドルの対外純資産(=
ドル買いの累積超過)の約420兆円が、原因であるという説明すると、
了解できるでしょう。

【外為市場は巨大】
理由は何であれ、買いが多い通貨は上がります。日本を含む、世界か
らの売りより買いが少なかった円(1995年以降の28年間)や、トルコ
リラのような通貨は、下がります。

今、1億戸の不良在庫から、金融危機の淵を歩いている人民元が、逆
に、上がっています(2021年の1元は15円→現在20.73円:2年で+38
%)。原因は、中国経済の好調ではない。2021年からの中国経済は不
況です。

◎フィナンシャル・タイムズ紙が作っている世界債券のインデックス
で、なぜか(理由は不明)、人民元国債のポートフォリオの構成比を
上げたことが原因です。
(FTSC:世界の約20カ国の国債や債券の指数:2018年には、中国国債
は入っていませんでした)。
https://www.ftserussell.com/ja/products/indices/world-government-bond-index

■5.下がるべき人民元と人民元の国債が、最近は上がった理由

主にドル国債と債券を買うつもりで、金融のプロが売買している世界
の国債や債券のインデックスを買うと、人民元の国債や債券も買った
ことになって、人民元が、経済的な理由がなく上がることになります。

世界金融には、個人が行っている、単純な通貨ペアのFXや外貨の株買
いだけでなく、プロが売買している無数と言っていいくらいの金融商
品があります。

【巨大な売買がある外為市場=世界の銀行の店頭】
世界の通貨の売買は、貿易の実需の約100倍です。1日に15兆ドル
(2250兆円)と巨大です。

このなかで円の売買は、世界の通貨の、16.7%の375兆円です。米ド
ルが88.5%です。売買ですから、合計は200%:売りと買いだけでは、
ドルは半分の44.3%です。円は、世界の通貨の、8.4%の構成比です。

証券会社は、商店と同じです。売買が増えて、投資家の損得には関係
がない手数料がはいればいい。有利な商品、または安全な商品として、
デリバティブも含んで、可能な限り多種の金融商品を作ります。金融
商品開発とポジショントークが銀行・ファンド・証券の本性です。

■6.コロナのあと世界の金融負債は5京4000兆円に膨らんだ

世界の金融資産(=同額が金融負債)は、世界GDPの3.6年分の、360
兆ドル(5京4000兆円)といっても、たぶんイメージができないでし
ょう。それが(正常な)普通の人の頭です。金融のプロの頭が、
1973年からの数理金融で異常になっているのです。

【現代ファイナンス理論】
1973年:確率的な未来リスクの計算のオプション、先物のデリバティ
ブをつくったブラック・ショールズ方程式の論文から、数理金融の拡
大が、はじまったのです。ここで、伝統的な会計学(ファイナンス)
は、金融にはついていけなくなったのです。

◎デリバティブとともに、現代ファイナンス理論は、未来の金融リス
クの確率計算になったからです。

【通貨先物価格の意味】
昨日の日経新聞に出ている、FX(外為証拠金取引)でも売買されてい
るドルの、6か月先の先物価格(先物はデリバティブです)は144.6円
です。ところが、今日のドル現物価格は、146.8円です。

この2.2円(6か月で1.5%の差:年間換算3.0%)は、何でしょうか?
 ドル安(円高)のリスクが、半年で2.2円(1年で4.4円)あると、
通貨市場が想定しいるのです。

このため、ドル建て債の下落を、先物でヘッジすると、1年後の、1億
ドルの債券のドル安をヘッジするなら、500万ドルが保険料です。
為替交換の手数料と、管理の事務手数料を含むので、年間では、約5
%のヘッジ料がかかります(この5%でドル債の、1年の金利が5%消
えます)。

これが、ドル先物の、デリバティブのコスト(リスク保険の価値)が
5%ということです。これが、現代ファイナンス理論のエッセンスで
す。

〔要約〕リスク予想と金利での割引現在価値(NPV)の計算が、ブラッ
クショールズ方程式であり、現代ファイナンス理論(マーロン・シ
ョールズ)です。

【金と1万円の価値の、奇妙な一致】
1万円札が100トン(1億枚=1億グラム)で1兆円になります、世界の
金融資産=負債が、その5万4000倍と言っても、実感はない・・・。
1万円札の重さは、1グラムです。

金グラムが1万円ですから、現在は紙の重さでは金と一致します。偶
然ですが面白い。あなたの所得や預金に相当する、金の量がイメージ
できます。1000万円で、たった1Kgか、あるいは金1Kgもあると思うか。

金1Kgバーは、携帯電話より二回り小さい。比重では鉛の1.8倍の重さ
です。スピーカーの、裏からの支持を4Kgの金でやれば、音はどうな
るか(原子の密度が1.8倍濃いのでたぶんより静寂になりま
す)・・・離れ島に住んで金貨ではなく金属として使えば、価値はそ
の程度のものでしょう。

1グラムの小さな紙も1万円ですから・・・通貨と金融資産は「社会」
があってはじめて、商品と交換できる価値をもちます。離れ島では、
金1Kgは海に潜って捕まえる魚や蟹の使用価値がない。

【蟹の、社会での物的な価値】
先週、ある人の厚意から、金沢から蟹を贈ってもらいました。熱燗の
剣菱とあわせると美味しかった。「かに道楽」の味とは異次元です。
鮮度以外の、何かがあります。爪をゴムで縛られていて一瞬この蟹は
何のために生きてきたのか・・・と不憫(ふびん)でした。蟹にも意
識はあります。

われわれは、毎日、生命を食べ、これは美味しい、または不味いと言
いながら生きています。菜食も、植物の命を食べるものです。太陽の
光エネルギー、海と土壌の微生物、そして二酸化酸素と酸素と水が、
命の根源でしょう。

■7.信用通貨の1万円札と、金の価値は、社会のなかもの

1万円札や金は、食べることができない。商店で、何枚かわかりませ
んが使うと、この蟹も買えます。

今日の労働と、商品の価格を決めた分業のルール(文化)があるのが、
社会です。商品の交換の媒介(エージェント:代理役:メディアとも
言う)がマネー。

臨時国会で決まった、13.1兆円の補正予算も1万円札では1300トンで
す(4トントラック325台分の、金輸送車と同等)。人口1人あたり、
10万円(1世帯あたり25万円:25グラム金)のマネーです。あの国会
審議は、金1300トンの支出の決定に値しますか?

【1兆円を1奥分の1の1万円にすれば・・・】
世帯年収(GDP相当)を1000万円(金1Kg)として、預金、国債、債券、
株の金融商品(≒負債)の残高が3600万円の金融化した経済という意
味です。1億分の1にして、皆さんの世帯のスケールで、考えていい。

年収1000万円なら、3600万円の金融資産は平均的です。金融資産と同
じ金額の3600万円は、別の誰かの、負債です。金融資産と負債の仲介
役が、銀行、ファンド、証券会社です。

■8.世界の金利が4ポイント上がって、
     ドルの既発国債と債券は25%下がっている

銀行・ファンド・証券会社(米銀の大手は証券を兼業)の資産である
既発国債と債券には、金利(本質は通貨の通貨の下落リスクです)が
上がって、時価が下がった不良債権が隠れています。(注)

◎ドル債の名目金利が、現在、5%であるということは、1年後のドル
の、米国物価に対する価値(購買力)が、5%下がるリスクがあると
いう意味です(これが名目金利の本質です)。

金融の仲介機関は、2021年のように、世界の金利が1%台と低く、国
債と債券価格を今より約25%は高く買ったときの簿価で、4%や5%に
金利が上がった今も、バランスシートに計上しているます。この25%
が、銀行やファンドがもつ、ドル10年満期債券にある含み損です。

銀行B/Sの帳簿では、金利1%のとき買った例えば1兆円、それをいま
売ったときの時価は、7500億円ということです。

【偽装の、銀行B/S】
1億分の1にした3600万円の金融資産が含む、金融機関での時価での損
失は、3600万円×約25%=900万円です。

世帯の年収分(=GDP)に相当する損ですが、金融機関は資産を時価
評価していないので、「金融は正常(=既発国債と債権は正常な価
格)」と言い続けています。

この気分は、世界の株価が下がっていず、上がり気味でもあるために
生じたものです。仮に株価が30%下がると、一挙に現在の予想者が2
%の、世界金融危機の気分になります。

■9.リーマン危機との比較

危機が来れば、リーマン危機の不良債権4兆ドルの、4倍から5倍です。
1929年~33年の。世界恐慌並みです。リーマン危機も、2008年8月末
まで(9.15の2週間前)、ほとんどの金融マンの(たぶん世界の95
%)、「想定外」のことでした。

米国の株価が最高(NYダウ3万5950ドル;11月30日)の裏には、
・史上最大の空洞があるので、
・FRB議長の、金利0.25%を巡る発言のときの空気で、乱高下します。

◎高くて長い綱渡りが、わずかな風(0.25%の、金利変化の予想)で
大きく揺れることと同じです。

◎しかし、保守的で大本営の発表をする新聞でも、米銀の債券の不良
債権が100兆円と、ドル債の、不良債券の全体のごく一部が、出始め
ました(23年12月1日:日経新聞)。
↓
銀行と金融は正常、NYダウの株価は最高というなかで、こうした金融
市場の評価の変化は、見逃してはならない。金融市場の空気が、
2024年になれば変わっていく、初期の兆候でしょう。

健康に見え、活発に動いている人間で言えば、失血による血圧の、わ
ずなか低下に、あたります。

◎不良債権のやっかいな点は、発生したら減ることは少なく、多くの
場合、時間の経過で増えていくことです。

【FRB、日銀、銀行は、ウソを言う】
原因は、米財務省と金融機関(銀行とファンド)の95%が、「金融と
銀行は正常、株価は上がる」として、2022年3月以降の利上げで増え
てきた不良債権による、銀行とファンドの資産の空洞を、時価評価を
せず、隠してきたからです。

◎日銀も資産(国債597兆円を保有)で、10兆円の損と、含み損の一
部を言い始めました。

FRBは、5ポイントの利上げで、4兆ドルの保有国債とMBSが25%も下が
って、時価評価すれば、完全な債務超過(マイナス8000億ドル:-
120兆円)になっていますが、沈黙しています。

小さな政府と金本位主義のロン・ポールなどの議会で決議し、帳簿に
はあることになってる8133.5トンの金を見せろと要求したとき拒否し
たのは、バーナンキのFRBでした(リーマン危機のときの2008年~
2009年)。

FRBもCIAと同じように、大きなウソを言う機関です。スケールの大き
なウソは、世間では本当と取られることが多い。

◎金融ムラは、中央銀行と一緒になって、銀行とファンドの資産に含
み損が大きいときは、預金の取り付けを防ぐため、ウソをつくことが
使命の商売です。本当のことを言えば、資産への、心理的な信用で成
り立っている金融が崩壊するからです。

政府が、議会でウソの答弁をしても、政策実行のためとして、許され
てきたことと同じです。財務大臣や岸田首相の答弁で分かることです。

■10.キャッシュフローと、名目金利による債券の時価評価で見れば、
時価評価しない簿記会計のウソが、見えてくる

キャッシュフローは、現金の流れを言います。

会計での経常収支黒字の通貨円が、1995年以来25年間も下がって、実
効レートでは150から60になっています。

経常収支(貿易収支+サービス収支+海外投資の所得収支)が黒字の
通貨を続ける円は、「教科書の知識」からは、上がっていくはずです。

1973年以降の、通貨の変動相場の、教科書の原理では、黒字国の通貨
は上がって、輸出価格が上がって輸出が減り、輸入価格が下がって輸
入が増える結果、貿易は均衡するとされています。

◎教科書では、40年の黒字国の通貨(円)は上がり、世界最大の、0
年の赤字国の通貨(ドル)は下がらねばならない。
(米国の経常収支の赤字:1980-2023)
https://ecodb.net/country/US/imf_bca.html

1971年までの金・ドル交換制による固定相場(1ドル360円)から、
金・ドル交換が停止されて、ドルと各国通貨がフロートする変動相場
にはいった1970年代から1995年までは、この原理が働きました。
(ドル、ユーロ、人民元、円の実効レート:1970-2023)
実効レートは、世界の通貨レートの加重平均に対する、各国レートで
す。
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

上記のグラフで、赤の円を見ると、1970年の実効レートは指数で60で
あり1995年は150(2.5倍:1ドル80円)でしたから、確かに、黒字国
の通貨が上がる変動相場の原理が働いています。

赤字国の通貨、米ドルは155から1995年は100へと、65%に下がってい
ます。確かに、変動相場の教科書通りです。

【円の暗転】
ところが、1995年以降の28年間は、黒字国の円の実効レートは150か
ら60へと、40%に下がっています。逆に、赤字国を続ける米ドルは、
1995年の100から2023年は13へと30%上がっています。教科書とは逆
の動きです。

1995年以降の、経常収支と通貨レートの矛盾は、経常収支の黒字を続
けた円の国際キャッシュフロー(現金の流れ)で見ると、分かります。

日本は、1年に、経常収支の黒字だった20兆円から40兆円(平均30兆
円)の、ドル買い(円売り)をしてきたからです。

ドル国債の買い、ドル債債券の買い、ドル株の買い、直接投資です。
その残高が、対外資産の1338兆円(対外負債は919兆円)、対外純資
産として残っている418兆円でです(22年末)。

約20年間、日本(政府、銀行、企業)からは、毎年20兆円、ドル買い
(円売り)を超過させてきたのです。

買われる通貨(ドル)は上がり、売られる通貨(円)は下がるのが当
然です。

1995年から2023年までの、
・円の実効レート    150→60(マイナス60%)
・ドルの実効レート   100→130(プラス30%)の原因は、国際会
計上の経常収支の黒字を、そっくり、国際キャッシュフローの赤字
(ドル買いの超過)に振り向けてきたからです。

日本人が儲けたお金が、国内には投資されず、米国に投資されました。
その超過額が(対外純資産418兆円(22年末))です。

◎日本経済が成長せず、米国を成長させた原因が、日本からのドル買
い(=ドル投資)の超過、418兆円です。日本のマネーが、418兆円も
米国に逃げたのですから、
・約26年日本はゼロ成長のデフレに、
・米国は2%台のインフレの成長経済になったのです。

【財源はある】
政府は、「財源がない」と、いつも言います。日本の財源はドル建て
の、日本の対外純資産に隠れています。日本の対外純資産とは、政府
の外貨準備(162兆円)と、民間(銀行+企業)の対外純資産256兆円
です。

この418兆円の日本がもつ財源は、2024年以降の、日本の成長のため
に、利用することが可能な、マネー資産です。1年に50兆円のドル売
りを続けても、8年分のドル純資産がこの国にはあります。

【結論】
◎対外資産と対外負債は、同額で均衡するのがいいことです(国際収
支の基本原理)。
 ↓
◎2000年代に富国になった米国に、418兆円も、2000年代に貧国にな
った日本が超過貸し付けする必要は経済的には全くない。

政治的にはあるかもしれません・・・証券(ドル国債、社債、株式、
預金)を買うことは投資ですが、国と国のキャッシュフローの関係で
は、貸しつけることです。

◎2000年代の日本を貧国にしてきた、三部門の「犯人」である、1)
政府(財務省)、2)財務省の下請けの日銀、3)財務省の税務調査の
裏権力で支配されている政治家は、米国に従属しています。

次号の正刊では、418兆円の対米超過貸し付けを、まず認識し、経済
的に派不合理な対外純資産を回収して、日本経済と国民のために使う
方法を示して、検討します。認識は、方法に先立つからです。

【後記:新著の紹介と寄贈】
以上に関連する事実も、歴史的に書いた新著『金利と通貨の大転換』
は、アマゾンの財政学、マクロ経済学で1位を続けていましたが、今
は10位くらいです。

やはり1位は気分がいい。2024年以降を生きる、あなたの知識パワー
になる本と確信しています。お手数をかけますがアマゾンにコメント
を書くこと、あるいは注文もお願いします。1人1票で若干は上がるで
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◎当方の手許に出版社から来たものが、少し残っていま。5名の方に
は(下手ですが筆ペンで)あなたの氏名と当方の署名を入れた本を贈
ろうと思っています。

メールの宛先:yoshida@cool-knowledge.com

郵パックで送ります。1)郵便が届く住所、2)電話番号、3)ご氏名、
4)(書く参考のために)年齢を書いてください。本やメールマガジ
ンは、読者の年齢層で、書き方が違います。

当方から送った方を、当選とします。メールの有効期間は1週間とし
ます。届くのは、今日から10日から12日あとになるでしょうか。

メールのヘッダーには、区分のため「新著希望」と書いてください。
メールマガジンの感想も書かれていると当方の喜びです。
内容が難しい、こう書いてれとか、疑問点などでも、OKです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【プレミアム読者アンケート&感想の、項目のメド】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は、進みましたか?
3.疑問な点は、ありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
5.差し支えない範囲で、横顔情報があると、テーマ設定と記述の際的
確に書くための、参考になります。

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