米国中央銀行システムの廃止について(2)
This is my site Written by admin on 2024年2月3日 – 12:00
トランプ再選後の、米国の政策転換を示す『Project 2025』の、衝撃
的な内容の解説の2号目です。文書のFRBの章は、FRBが抑圧してきた
「国民(世帯)」の、実質的な資産の増加への転換を説くいています。

〔事実である根拠〕FRBのドル増刷は国家財政のためであった。国民
のためのものではなかったとしています。ケインズ発祥のマクロ経済
学は、国家単位で経済を分析し、インフレでの賃金の貨幣錯覚を使用
し、失業の対策の財政拡大(インフレ政策)を説いたものです。

〔ケインズ理論〕貯蓄の超過が不況を生む。そのときは、政府が国債
を発行して貯蓄を吸収する国債を発行し、国債を中央銀行が買って通
貨を増発すれば不況は終わる。これは、1年の短期では効果がある。
数年以上続くとマネーが滞留し効果がなくなってインフレになるだけ
です。

(注:知識)貨幣錯覚:物価上昇4%;賃金上昇4%より(実質賃金上昇
は0%)、物価上昇6%;賃金上昇6%(実質賃金はマイナス2%)を好
む国民が多いこと。国民が名目賃金を実質賃金と錯覚すること。
 ケインズ経済学には、国民の貨幣錯覚を利用した政策提言が多い。
ここが、近代経済学のイデオロギー性です。通貨の増発が経済を成長
させるというMMT(現代貨幣論)にもつながっています。

〔MMTだった8年間のアベノミクス〕流動性(現金と預金通貨)の流通
速度が低下する経済からの脱却を目指し、「マイナスの実質金利であ
る500兆円の円」を増刷したアベノミクスの8年は、MMT論の実行でもあ
ったのです。マネーの流通速度は、「GDP÷マネーサプライ」で計るこ
とができます。


〔流動性の罠が発生する〕マイナスの実質金利(名目金利<期待イン
フレ率)の預金は損をします。損をする預金が増えても実体経済の投
資と需要は増えず、別の金融商品をぐるぐる回る状態が「ケインズの
流動性の罠(マネーの流通速度の低下)」です。株価と不動産だけが
上がり国民所得(=GDP)が増えない状態を『Project2025』は、国民
経済の抑圧としています。

◎政府から抑圧されることのない国民経済(会社と世帯の経済)を説
く『Project 2025』は、日本では登場することのない論文です。

【分断国家の米国】
水曜正刊の1号目では、
1)事実と政治的な裁判が相反し、米国が2つになっているパラレル・
ワールド(民主党が主流派)の転換、
2)そして「FRBのドル増刷機能の停止と自由銀行化」についても書きま
した。この2号目は、その続編です。

CNN、ワシントンポスト、NYタイムズより民主党側である「ニューズ・
ウイーク」は、文書(900ページ)の内容へのコメントは示さず、「極
右の政策文書」というレッテル貼りをしています。どこがなぜ極右な
のか、当方には分からない。この非論理性が、民主党側に立場を置く
グループの反応です。

米国では公正であるべき裁判でも政治的になっていて2つの顔になっ
ています。米国の法と裁判にはイデオロギーの色が濃い。

米国人は「Fair」であるべきだと、日常でも言いますが、現代米国は、
選挙・政治・ビジネス・財政・軍事でフェアな国ではない。事例とし
ては、2020年の不正選挙とトランプ裁判が典型です。フェアの概念が
わからなくなっているのです。

民主党側(政治的左派)と共和党側(政治的保守派)の米国には、真逆
の分断があります。2020大統領選挙でも、共和党支持者の約70%は
「不正選挙だった」としています。一方民主党側は、厳格・公正な選挙
だったという。

米国の主流メディアが言う公正とは、民主党サイド立つことです。ト
ランプは、数々の違法行為(犯罪)を犯した嘘つきであり、不公正な
独裁的人物とし、民主党のバイデンは民主的、公正、穏健とする。メ
ディアのバイデン評価は、ひどく甘い、

しかし・・・トランプが正式に再選されると、政治的な裁判において
も、2020年大統領選挙は不正選挙とされます。おかしなことですが、
これが不法移民の問題を含んで、政治的事象に党派性が、一層高まっ
てきた米国です。

日本の政府とメディアは、日経、産経、読売、朝日、毎日新聞を全部
含み米国民主党側への偏向(バイアス)があります。米国が師とされ、
戦後政治、経済、軍事では米国の支配があったからです。

              *

〔1月末のFOMC〕24年1月末のFOMC(9つの連銀と政府の公開市場委員
会)は、市場の「利下げ期待」に対し、短期金利(5.25%~5.50%目
標)の維持を発表しました。3月のFOMCでも、期待されている利下げ
をしないことも示唆しています。

◎FOMCを受けて、利下げを織り込んでいた、PER31倍と高い米国ナス
ダックは、2月1日には2.23%急落しています(その後は再び上昇)。
S&P500は1.51%、ダウは0.82%の下落。1日に2.3%の下落は、月間
に延長すれば、開場日20日の平方根(=4.5倍)ですから10.7%の下
落に相当します。

日経平均(単純平均)では、値がさ株のユニクロ(1株3万9200円)と
半導体の東京エレクトロン(同2万7970円)の株価シェアが大きいと
いう歪みがあります。両社が上げているのでまだ下がっていせん。し
かし、日経平均は、若干の時間が遅れて米国株を追う性質をもってい
ます(80%くらいの追随性)。

『Project 2025』では、FRBの金利調整機能と通貨増発機能の停止
(たぶん2025年~)を書いています。ただし今回のFOMCの、利下げ延
期の決定は『Project 2025』の実行を反映したものではない。

【2024年の、物価予想に不透明さが高まっている】
下がっていた原油価格が1月16日の72ドルから76ドルに上がったこと
からFOMも、
1)米国物価の低下率の鈍化、
2)世界物価の基礎である物流費の上昇を予想したからでしょう。

原油価格は、エネルギー・資源・食料を含み、全部の物価の基礎です。
普通は価格を下げる、1)中国輸入の減速と、2)米国の増産(100万
バーレル/日)のなかで、中東の戦争情勢への危惧から4ドル(5.6
%)上がったのです。

〔注:知識〕イエメンの軍閥のフーシ派は反イスラエルです。アジア
と欧州を結ぶスエズ運河がある紅海の海峡を、通行する商船をドロー
ンとミサイルで攻撃し、封鎖しています(バブエル・マンデブ海峡の
封鎖:約1か月)。

アジアから欧州へのコンテナは、アフリカの喜望峰を回るため、時間
が約2か月は余分にかかます。

米国とイランの戦争に発展すれば、原油の通路のホルムズ海峡(幅
3km)は封鎖される可能性が高い。イランは日本、中国、アジア、西
側経済を崩壊させる武器を、もっています。封鎖されると原油・天然
ガス・鉱物資源の価格は3倍に高騰します。

イラン次第です。米国のバイデンは、原油価格高騰からのリセッショ
ンは、11月選挙で不利になるので避けたい。こうした恐怖の均衡の上
にあるが、ホルムズ海峡です。

ホルムズ海峡封鎖でひどく被害を受ける同盟国の中国があるので、イ
ランは慎重ですが可能性は30%か? いずれにせよ、懸念は多い。

日本のメディアは資源・エネルギーそして食料の安全保障の脆弱(ぜ
いじゃく)を報じません。経済の安全保障は政府のもっとも重要な責
任領域のものです。海運と商社は、平時の輸出入経済の安全保障を果
たしてきました。

〔知識〕世界のコンテナ船の輸送費は、スエズ運河に通じるバブエ
ル・マンデブ海峡の封鎖で、1500から2700へと1.8倍にあがっていま
す。海上輸送費+陸上輸送費が、物価に占める割合は7%から10%で
す。日本を含む世界の陸上輸送費(国内物価の約5%部分)もドライ
バー不足から2025年の高騰が言われています。

原油価格の再高騰を導くかのように、コンテナ船の運送費+海上保険
料が急騰しています。
(世界の標準コンテナの輸送費:1月24日)
https://moverdb.com/ja/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A%E8%BC%B8%E9%80%81/

【トランプは24年1月末から政治活動をしている】
有力度が日々高まっているトランプは、すでに「2025大統領に認証」さ
れたかのような言動をして議会と軍を動かしています。FRBについて
のトランプの関与はまだ不明ですが、パウエルFRB議長は、一期目の
トランプが任命しました。

◎先日は、1)中国輸入関税を60%に、2)世界からの輸入関税を10%
に上げると言い、3)米国の、政治的な最大の問題である不法移民は
強制送還すると言っています。

【軍事面】
トランプのMAGA(米国一極主義)では、世界から軍を引き揚げるとし、
一国経済に向かっています。日本では、政府が慌てて「トランプ対応」
の準備を進めています。最大の問題は、トランプが6年前に安倍元首
相に言っていた、駐留米軍のグアム島への撤収です。

【民主党の対応】
民主党候補はまだバイデンです。民主党は、広告費を使って敵側の共
和党のニッキー・ヘイリーの応援(=トランプ降ろし)に躍起です。
「トランプは民主主義を破壊する独裁者」であるとしています。(注)日
本の新聞も同じ論調です(事例:日経新聞)。

民主党がいう「民主主義」と「独裁者」の定義は、どこにもない。
党派が、敵方を攻撃するプロバガンダ以外ではないのです。
この二つの言葉の、意味の説明が、できますか?

【冷戦終結後、米国内に二つの世界が作られた】
地球的・歴史的に考えると、1990年の前の世界は、ソ連中心の共産主
義圏が、西側の反世界でした(冷戦体制)。両方の貿易もなかった。
米国・欧州・日本は、自由主義・市場経済とされました。世界は二つ
でした。

1989年のソ連崩壊から、世界は米国の一極覇権になっていった。この
ため今度は、米国が、
・戦争とグローバルリベラリズムの民主党、
・一国主義の保守派(共和党)の政治的世界に分断されたのです。
『Project 2025』は、保守派の政策文書です。

以降は、『Project 2025』の翻訳とコメントの、続編です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<Vol.1405号:土曜増刊:
        米国中央銀行システムの廃止について(2)>
      2024年2月3日:有料版・無料版共通

【目次】
■1.FRBの廃止(続き)
■2.未来の制度のイメージ化
■3.金担保の通貨
■4.ドル/円の150年の歴史
■5.不測の事態への懸念
■6.コロナ後の、世界の資産バブルは終わる
【後記:2冊の本】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.FRBの廃止(続き)

(Project 2025の原文:900ページ)
https://thf_media.s3.amazonaws.com/project2025/2025_MandateForLeadership_FULL.pdf

FRBの廃止に関する章は核心部に入ります。

<A core problem with government control of monetary policy 
is its exposure to two unavoidable political pressures: 
pressure to print money to subsidize  government deficits and 
pressure to print money to boost the economy artificially  
until the next election. 
 Because both will always exist with self-interested 
politicians, the only permanent remedy is to take the 
monetary steering wheel out of the Federal Reserve’s hands 
and return it to the people>

<吉田訳:政府の金融政策において問題の核は、ドル増刷またはドル
縮小への、政治からの圧力に晒(さら)されていることだ。
 その圧力とは、政府の財政赤字を支援し、経済を人工的にブースト
するドルの増刷である。これは、次の大統領選挙(24年11月)まで続
く。
 財政赤字とドルの増刷は、いつも、自己利益を求める政治家と共存
している。唯一の永久的な薬は、FRBの手の内にある通貨の輪転機を、
国民の手に奪還することである>

〔解説〕2000年代の日本と、2008年のリーマン危機のあとの米国を筆
頭にして、政府の財政赤字は、中央銀行の通貨増発と相互扶助の関係
にあります。
 中央銀行が通貨を増発し、財政赤字により発行される国債を買うか
ら、政府の財政赤字が拡大できるという関係です。
↓
FRBが国債を買わなければ、政府が国債を大きく発行したときは、国
債を買う金融市場の金利は上がるので(クラウディングアウトとい
う)、政府の赤字の持続的拡大は、抑制されます。

(注)2023年の、米国の財政赤字は、前年比で23%増の1.7兆ドル
(250兆円)に拡大しています。日本の財政赤字の約6倍から7倍と巨
大です(ロイターの記事)。

米国は、急速にGDPの2.3倍の国債がある国家の日本を追っています。
現在、米国債の発行残は34兆ドルです。米国のGDP(23.2兆ドル)に
対して1.47倍。しかも対外債務30兆ドル。いずれも5%金利の利払い
はできない。2020年代の米国は、潜在的に破産しています。

現在の政策金利5%になれば、約5年で、34兆ドル×5%=1.78兆ドル
(258兆円/年」の、政府からの利払いになっていきます。

政府は、FRBが国債を買わなくなれば、国債の利払いもできなくなっ
ていく。負債の利払いができないことを、「デフォルト(支払い停
止)」と言い、国債の価格は60%くらいに暴落します。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/
FLCVMR7PJRKLZCLLJRFKJ5SE5Y-2023-10-23/

ここでは、『Project 2025』は、「国債を買い支えることによるFRBの
マネー増発機能の廃止」を宣言しています。

金融用語では、「国債のマネタイゼーション(国債の現金化)」の停止
という重大転換です。近い将来の、米国債のデフォルトを宣言したこ
とに等しいものです。

FRBの増加国債買いの機能廃止のあと、マネー供給はどうなるのか。
日銀が廃止されあとの日本の金融も、想像が難しい。FRBでも同じで
す。今はまだ「無いもの、無いこと」を構想しなければならない。

【未来の社会システムと制度への構想】
日本人には苦手な「(まだどこにもない)未来の社会システムへの構
想力」が必要です。明治以降の、日本の社会システムの教科書は西欧
であり、戦後は米国だったからです。

戦後40年で、米国の製造業と金融分野で追いついて、1989年に追い越
し、資産バブル崩壊後の1990年から現在に至る24年は、政治と政府は、
国家の目標を見失い米国の属国になってきました。国家目標とは、国
民のための国家の姿(=社会システム)をいいます。増税、マイナン
バー、憲法改正で有効な社会システムになるとは、80%の国民は思わ
ないでしょう。

未来の社会システムと、あるべき制度については、テストも答えもな
い。テストと答えの両方を作らねばならない。未来を構想して作って
いく原動力になるものは、根拠を見極めて論理的に書く、言葉を使う
文章力です。政治は未来への政策です。今はまだ存在しない未来のも
のは、言葉でしか表せません。

政治家にこの両方がなくても、ヘリテージ財団の学者たちはもってい
ます。思想的な哲学者と質が同じ構想力です。

「米国の学者論文の、素早い翻訳を自慢する日本の学者」には、日本の
未来の、社会システムと未来の金融への構想力はない。
一方で『Project 2025』の政治的な論文は未来小説より面白い。夢で
はなく、実現ができ、リアリスティックな近未来だからです。

<This could be done by abolishing the federal role in money 
altogether, allowing the use of commodity money, or embracing 
a strict monetary-policy rule to ward off political meddling. 
 Of course, neither free banking nor a allowing commodity-
backed money is currently being discussed, so we have 
formulated a menu of reforms. 
 Each option involves trade-offs between how effectively it 
restrains the Federal Reserve and how difficult each policy 
would be to implement, both politically for Congress and 
economically in terms of disruption to existing financial 
institutions. 
 We present these options in decreasing order of 
effectiveness against inflation and boom-and-bust 
recessionary cycles>

訳文での括弧内は当方の補いです。

<吉田訳:自由銀行によって、FRBのマネー増刷機能は廃止され、コ
モディティ(=金)の価格を担保にする通貨に変える。厳格な通貨政
策を採用し、(アベノミクス、リーマン危機、コロナ危機のときのよ
うな)政治家による通貨増刷への介入は放逐する。
 もちろんコモディティ・マネーの発行をする「自由銀行システム」は、
まだ議論がされていない。
 われわれは、自由銀行に向かう金融改革のメニューを作った。
 選択肢には、1)どのような手段で、FRBの通貨増発機能を抑制する
かということと、2)各々の政策を実施することについて、議会での
政治的な障害がある。経済的な面では、現存する金融機関の破産もあ
るだろう。
 われわれは、インフレ、バブルの発生と崩壊からの不況のサイクル
を減少させる効果的な方法を示す>

〔解説〕FRBの廃止のあとは、「各州や民間の自由銀行」が、コモディ
ティ担保の通貨を発行する。
 しかし、国債を買うという政治的な面では議会に混乱が起こり、金
融では、既存銀行の崩壊も想定できる。ここで、どんな効果的な選択
肢があるのか?

<Under free banking, banks typically issue liabilities (for 
example, checking accounts) denominated in dollars and backed 
by a valuable commodity. In the 19th century, this backing 
was commonly gold coins: Each dollar, for example, was 
defined as about 1/20 of an ounce of gold, redeemable on 
demand at the issuing bank. Today, we might expect most banks 
to back with gold, although some might prefer to back their 
notes with another currency or even by equities or other 
assets such as real estate. Competition would determine the 
right mix of assets in banks’ portfolios as backing for 
their liabilities>

<吉田訳:(FRBを廃止したときの)自由銀行システムでは、例えば
銀行の当座預金勘定の負債通貨をデノミ(通貨単位の縮小のこと)し、
コモディティ通貨のドルを発行する。
 19世紀には、銀行が発行する、通貨の価値を保証する担保は、金貨
だった。ドル金貨は、1/20オンス(1.56グラム)の金だった。
 紙幣を発行した銀行では、預金者の要求に応じ、金に交換ができた
(銀行預金は銀行の負債であり、預金者がもつマネー資産です。これ
を、1971年以前のドルと同じ金準備の通貨に変える)。
 コモディティ通貨は、ほとんどの銀行で、(現在の国債から)金担
保の通貨に変わるだろう。
 ただし別の通貨や株式、または不動産の担保を選択する銀行もある
かもしれない。銀行間の競争は、銀行の資産のポートフォリオの正し
さ、負債のポートフォリオの正しさで決定される>

〔解説〕ここが、政府の規制から逃れた、民間の自由銀行による「金
準備(=担保)のドル」の発行を説くところです。この新通貨には、
「政府のためのものではなく国民主権のためのもの」という論拠があり
ます。

FRBは、政府の国債を増加買いしてドルを発行し、国民より政府の必
要を優先して、ドルを過剰発行してきたからです。

◎このように、「マネー増発に政治的な党派性のあるFRB」が金準備制
のドルを発行するのではなく、
・FRBの通貨増発機能は廃止し、
・民間の自由銀行システムが、コモディディ通貨を発行して貸し付け
るシステムです。

(注)企業と世帯の預金(=マネーサプライ)は、銀行の貸付金の総額
です。銀行システムの合併バランス・シートでは、「全銀行の貸付金
と債券の購入=全銀行の預金」です。

発券銀行(=FRBではない民間の自由銀行)が、通貨の担保とするコモ
ディティには、色々な資産が考えられる。しかし、ほとんどの銀行に
おいて、金担保のドルになるだろう、と言う。その通りでしょう。
(注)政府による金融と経済の規制をはずすことが、「自由化=民営化」
です。米国の資本主義に政府規制は要らないという論を、
『Project2025』は展開します。

■2.未来の制度のイメージ化

いろいろな自由銀行が、金担保の通貨を発行する・・・ここがイメー
ジできないかも知れません。われわれは、日銀が発行する政府通貨し
かみたことがないからです。以下のことから想像してください。

〔証券通貨である株〕自動車製造のトヨタは、相場性の金融商品であ
る株を発行します。その担保は、1株あたりの利益の累積である純資
産です(PBRで計る)。アパレル衣料のユニクロも、同じ株を発行す
る。しかしトヨタとユニクロの株価は1株あたり純資産と期待利益と
いう株の担保が違うので、異なっている(トヨタ1株2952円;ユニク
ロ1株3万8820円)。これをイメージすればいい。

◎政府規制から離れた自由銀行は、異なる担保のドルを、貸付金とし
て創造ができるように制度を変える(これがFRBの廃止)。

しかしその担保は「ほとんどの銀行では金になる」だろうと言っていま
す。理由は、金は世界で価値が安定し同じ価格であり、暴落の可能性
は0%ではなくても低いからです。価格変動(ボラティリティ)も株
価の半分くらいです。

〔担保のない仮想通貨〕ビットコインが代表の、発行主体が違う仮想
通貨をイメージしてしてもいい。第1号という伝統があるビットコイ
ンは、仮想通貨間の競争力が高く、1単位が619万円に上がっている。

売買高で2位のイーサリアムは、1単位が33万円です(24年2月1日)。
この二つの価格(1単位の借り入れと購入の価格)は、約20倍違う。
しかしイーサリアムは20単位を1単位と見れば、ビットコインと価格
が同じなので混乱は起こらない。自由銀行の発行の通貨は、このよう
なイメージです。

■3.金担保の通貨

ほとんどの銀行は、金担保の通貨を採用するだろう。この場合、新ド
ル紙幣の価値は、同じ金価格が担保するので、同じ価格になる。

〔ペーパーゴールドの金ETF(証券)と同じ〕金ETFのようなドル紙幣
になって、どの銀行が発行しても、紙幣の価値は一致します。金ETF
の価格は、そのETFに記載された量の金と同じです。

2026年ころからデジタル形式のCBDCへの傾向があるので、自由銀行が、
貸し付けと、預金の引き出しとして発行する金担保のドル紙幣はブロ
ックチェーンでの認証形式のデジタル通貨になっていく。

現在のドル預金は、引きだすときICつきクレジットカードや、スマホ
にダウンロードできる、金担保のデジタル通貨に変わる。

買い物は、店舗ではクレジットカードやスマホ、通販ではアマゾンの
ように、PCで行う。銀行の住宅ローンもデジタル通貨で降り、住宅は
デジタル通貨で買う。返済もデジタル通貨である。

FRBの、国債担保のドルでの、今の預金は引き出すとき、自由銀行の
金担保デジタル通貨に交換されて、減っていく。
「金担保の良貨が、国債担保の悪貨を駆逐します」。

米ドルが自由銀行の金準備制の通貨になって、支配的になると、円も、
金準備制の通貨にならざるを得ない。

〔固定相場に戻る〕1971年まで1ドルが360円だった「固定相場の時代」
に戻ります。金準備制の変動相場という概念は、世界共通の金価格に
通貨がリンクするのであり得ないのです。

1ドルが何円になるかは、1万円に対して、何グラムの金を発行銀行が
準備するか(担保にする)かによって異なります。

◎j100ドルが1グラムの金(約1万円)なら、同じ1グラムの金を1万円
で担保すれば、「1ドル=100円」の固定相場です。

「変動相場だから意味がある外為市場」はなくなっていくでしょう。相
対的な通貨価値(=通貨のレート)が、個々に変動しているので、通
貨交換の外為市場の意味があるのです。

固定相場で、いつも通貨が同じ交換レートなら、通貨交換(=売買)
の意味はない。これが戦前の通貨の「金準備制」でした。

■4.ドル/円の150年の歴史

明治以降のドル、ポンド、円は金準備制の通貨でした。日銀を作って、
金準備制の円が発効された明治15年(1882年)には、1ドル=1円=金
1グラムでした。第2次世界大戦の前の1930年代は、円の過剰発行から、
1ドル=2円から4円でした。

1945年の敗戦後は、1ドル=360円の固定相場でした。1971年の金ドル
交換停止あとの変動相場では、1ドルが200円台、100円台でした。
1995年の、ドル安・円高のときは、1ドル=79円でした。1995年から
29年あとの今日は、1ドルが148.3円の円安です。

〔デジタル通貨〕日本なら、三菱UFJデジタルコイン、みずほデジタ
ルコイン、SMBCデジタルコイン、VISAデジタルコイン、JCBデジタル
コインのようなイメージです。

貸し出し、預金、買い物、株の購入も、金準備制のデジタル通貨で行
います。クレジットカードと電子マネーには多くの種類があって、使
えない店舗もありますが、われわれは平気で使いわけています。

◎各社の、しかも多くの自由銀行が発行するデジタル通貨は、プリペ
イドカードと同じマネーです。以上で理解されたでしょうか。まだ腹
には落ちないかもしれない。政府の意図から「通貨理論」が普及してい
ないからです。(注)ビットコインは、まだ通貨とは認めていないのが
政府です。

市場の、金の価格は、
・そのデジタル通貨の発行銀行が、準備率を上げると下がり(金融の
抑制=通貨価値は上昇)、
・準備率を下げると、上がります(金融緩和≒通貨価値は下落)。

現在の発券銀行である、「FRB廃止」のイメージができたでしょうか。
『Project 2025』には、FRB廃止について、更に多くの記述がありま
す。結論的な内容になる、翻訳と解説は水曜日の有料版の正刊で行い
ます。

■5.不測の事態への懸念

言うべきか、迷っていますが・・・不測の事態は、今のままでは滅び
る米国民主党の勢力が、必死の思いで仕掛けるトランプテロです。ト
ランプ自身がこの危機をTVで述べているくらいです。

2020年の大統領選のあとマイアミのマーア・ラゴのトランプ宮殿が海
外側のヘリコプターからロケット彈の襲撃を受け、別の部屋にいたト
ランプは危うく難を逃れました。その犯人を、FBRは検挙していませ
ん。「仲間」かもしれない。そうした国が米国です。

日本では、安倍元首相暗殺の真犯人も、割り出されていない(山上単
独犯説には、数々の物的証拠の矛盾があります)。岸田首相を襲撃し
たパイプ爆弾の犯人の背景も公開されていません。政治的なテロは背
景がないと起こらないのです。

『Project 2025』でのFRBの廃止はトランプだけでなく、フロリダ州
知事のデサンティスも、同時に言ったことであり、共和党の保守系議
員(70%)に共通するものです。

万一不測の事態が起これば、国民からの共和党人気が盛り上がり、次
期大統領は、共和党保守派が確実になる。容易に予想できるので、軍
人の跳ね上がりの狙撃手は別ですが、民主党勢力も馬鹿なことはしな
いでしょう。

■6.コロナ後の、世界の資産バブルは終わる

いずれにせよ、現在の世界の株価(米ナスダックPER31倍)と不動産
(都市部の優良物件なら2億円から3億円以上、米国では5億円以上)の
バブルは、2020年からの日米欧の通貨を増発した約2000兆円の過剰流
動性から起こったものです。

◎トランプの2025年を睨(にら)んで、金融収縮が始まる2024年末ま
でには、崩壊に向かうでしょう(70%か?)。

中央銀行が国債を買って、ドルを発行することによって維持されてき
た、日米欧の政府の赤字財政(政府事業の拡大)は、FRBが国債を増
加買いしなければ、満期が来る国債の返済ができず、部分デフォルト
に向かうでしょう。米国債価格は60%に下がるかもしれません。

(注)金融のメカニズム:FRBのバランスシート:FRBによる財政赤字国
債の購入=当座預金通貨のドル発行→銀行にゼロ金利の過剰流動性が
発生→株と不動産のバブル価格の発生。

一方これと逆に、FRBが米国債の買いを減らすとバブル価格は崩壊に
向かいます。FRBの国債売り=当座預金通貨の減少ッ→流動性の不足
→株と不動産の売りの増加→資産バブルの崩壊のメカニズムです。

2024年はあと11か月。まず危ないのは、銀行より大きくなったシャ
ドーバンクのファンドが四半期決算の益出しのために、含み益のある
株を大きく、金を少なく売って、利益を確定する24年3月。3月が無事
にすぎれば6月、6月も無事なら9月、12月には確実でしょう。

投資家の集合的な期待(プロスペクト:未来予想)で動く金融相場は、
3か月先から6か月先を織り込むからです。

1年先には『Project 2025』が動き始めるでしょう。

【翻訳の誤りの訂正と、お詫び】
『Project 2025』の1段落に、翻訳の誤りがありましたので、訂正し
ます。有料版の読者の方からの指摘があって、読みなおしたとき、間
違いに気がつきました。

<原文:Limit future balance sheet expansions to U.S. 
Treasuries. The Federal Reserve should be prohibited from 
picking winners and losers among asset classes. Above all, 
this means limiting Federal Reserve interventions.
in the mortgage-backed securities market. It also means 
eliminating Fed interventions in corporate and municipal 
debt markets.>

<初期翻訳:今後、FRBのバランスシートの、米国債の購入による拡
大を制限する。FRBは、資産の敗者と勝者を作るべきではない。FRBの
金融への介入は、住宅証券、企業と地方の証券市場に限定すべきだ。
>

<訂正後:FRBのバランスシート拡大は、米国財務省証券の購入に制
限する。FRBは、資産の敗者と勝者を作るべきではないから、FRBの、
住宅証券市場と社債市場への(政治的な)介入は、削減される。(自
由銀行の市場になる)>

FRBの機能は、国債購入だけに制限する。ただしこの前段では、FRBの
8兆ドルに膨らんでいる現在のバランスシートは、リーマン危機のま
っでの2007年(1兆ドル)に向かって縮小すると言っています。前段
の文意ひきずられて、誤訳しました。

【2冊の本】
これから2026年までの、世界のマネーの転換を、歴史的&未来予測的
に書いた書籍(『金利と通貨の大転換』:352ページ:2420円)は、
アマゾンにリンクしています。去年書いたものですが、トランプの再
登場が確実になって、いよいよ、その予想に自信があります。コロナ
危機のあと、株価を2倍にしたFRBのマネー増発は、バイデンと国際金
融資本合作での政治的なものだったからです。
https://www.cool-knowledge.com/

過日紹介した『ファイナンス理論大全』と併せて読むと、個人投資家
のたぶん90%が知らない、金融が動く原理の深いところまで、わかる
でしょう。

自薦ではあっても、両書はNISAをやるとき必読です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【プレミアム読者アンケート&感想の、項目のメド】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は、進みましたか?
3.疑問な点は、ありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
5.差し支えない範囲で、横顔情報があると、テーマ設定と記述の際的
確に書くための、参考になります。

気軽に送信してください。感想は、励みと参考になり、うれしく読ん
でいます。質問やご要望には、可能なかぎり、回答をするか、あとの
記事・論考に反映させるよう努めます。

返事や回答ができないときも全部を読み頭に入れたあとと。読者の感
想・意見・疑問・質問は、考えを広げるのに役立ちます。

著者のメールアドレス:yoshida@cool-knowledge.com">yoshida@cool-knowledge.com

購読方法と届かないことに関する問い合わせは、ここにメール(↓)。
配送の管理は、著者ではなく配信サイトの「まぐまぐ」が行っていま
す。著者は、どこに配信されたか、分からない仕組みです。R行
ader_yuryo@mag2.com

■1. 新規登録は、最初、無料お試しです(1か月分)。その後の解除
は自由です。2か月目から、消費税込みで660円が課金されます。

(1)『会員登録』で支払い方法とパスワードを決めたあと、
(2)登録方法を案内する『受付メール』が送ってきて、
(3)その後、『購読マガジンの登録』という、安全のための2段階の
手順です。

【↓まぐまぐへの会員登録と解除の、方法の説明】
http://www.mag2.com/howtouse.html#RSegist

登録または解除は、ご自分でお願いします。
著者は、登録、解除を行うことができません。
(有料版↓)
http://www.mag2.com/m/P0000018.html">http://www.mag2.com/m/P0000018.html

(無料版↓)
http://www.mag2.com/m/0000048497.html">http://www.mag2.com/m/0000048497.html

購読方法と、届かないことに関する問い合わせは、ここにメール
(↓)。配送の管理は著者ではなく、配信サイトの「まぐまぐ」が行
っています。著者は、どこに配信されたか分からない仕組みです。
reader_yuryo@mag2.com">reader_yuryo@mag2.com

登録または解除は、ご自分でお願いします。
著者は、登録、解除を行うことができません。
(有料版↓)
http://www.mag2.com/m/P0000018.html">http://www.mag2.com/m/P0000018.html

(無料版↓)
http://www.mag2.com/m/0000048497.html">http://www.mag2.com/m/0000048497.html

■2.購読についての問題の、問い合わせ窓口
(まぐまぐの事務局が、メールで対応します)。
http://help.mag2.com/contact.html
・・・以上
~~~

◎このメルマガに返信すると発行者さんにメッセージを届けられます
※発行者さんに届く内容は、メッセージ、メールアドレスです

◎ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則
 の配信停止はこちら
⇒ https://www.mag2.com/m/0000048497.html?l=hpt0a0092e

Comments are closed.