財務省の「国のバランス・シート」を読む(2)
This is my site Written by admin on 2015年12月14日 – 12:00


こんにちは、吉田繁治です。前号では、財務省が無意識かどうか、
政府の債務を、無反省に国の債務としていて、国民の借り入れであ
るかのようにもして示していること、及びその理由を書きました。

国(Nation)は、政府(Goverment)、企業、国民で構成されるも
のです。国(Nation)と言ったときは、政府、企業、国民を統合し
た共同体として見たものです。政府の債務は、国民の債務ではあり
ません。仮に米国に帰化すれば、個人の負債は追いかけてきますが、
政府の債務を負うことはないことからも、以上は分かるでしょう。

新刊書、『膨張する金融資産のパラドックス』が、12月9日から発
売されています。アマゾンでも、「在庫あり」になっています。金
融・ファイナンスで1位や2位になっているのは、読者の方々のおか
げです。

内容紹介を含めた案内は、近々行います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<Vol.345:財務省の「国のバランス・シート」を読む(2)>
       2015年12月14日:無料版

【目次】

1.政府の資産の内容の検討
2.換金性の資産をみれば、652.7兆円のうち37%の242.9兆円
3.換金性のある政府の負債
4.政府の信用という要素
5.社会保障の総体:政府=(一般会計+特別会計)です。
6.対外資産の内容:政府分は外貨準備のみ
7.結論

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■1.政府の資産の内容の検討

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_pf/material/zaiseidg270126/siryou5sankou2.pdf

▼「国」の資産の内容の検討

【資産:2013年3月末時点】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・現金、預金  18.6兆円(現金と、日銀などへの預金)
・有価証券  129.0兆円(財務省が管理している外貨準備)
・貸付金    137.9兆円(自治体や政府系金融機関への貸付金)
・運用預託金 104.8兆円(公的年金の基金の運用をGPIFに預託)
・固定資産    177.7兆円(道路・河川、公共の建物、省庁の土地、
                          建物、防衛、空港設備など)
・出資金     66.3兆円(特別会計の独立行政法人、国立大学、
                          国際機関への出資金)
・その他資産 20.1兆円
  (未収金11.9兆円、前払い費用1.3兆円、その他資産6.9兆円)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
資産合計   652.7兆円

(注)1143兆円の負債に対応する不足資産は490.4兆円で、これが
債務超過分です。

【現金・預金 18.6兆円】
まず18.6兆円の現金・預金です。これは政府の省庁が管理している
現金と日銀への資産です。これは政府の資産としてみていいでしょ
う。

【有価証券:129.0兆円】
次に有価証券です。主に、財務省が管理している外貨準備です。輸
出で得たドルは、企業が銀行で円に交換します(ドル売り・円買
い)。財務省は銀行に溜まったドルを買い上げ、外貨準備としてい
ます。外貨準備は、輸入するとき、銀行を通じて輸入企業が買うも
のです。貿易収支が黒字のときは、外貨準備は増える傾向になり、
赤字になると減ります。

ただし財務省が貿易にかかわらず、通貨相場に介入するとき、主に
ドル売り(円高/ドル安を誘導するとき)、やドル買い(円安/ドル
高を誘導するととき)使います。外貨準備の内訳は、なぜか財務省
は公表していませんが、推計では80%くらいがドル預金やドル国債、
15%くらいがユーロ、その他(ポンドや元など)でしょう。

外貨準備は、政府の資産と言えるかどうか。財務省は税金収入(政
府の所得に当たる)でドルを買っているのではないからです。発行
に国会の承認が要らない政府短期証券という短期国債をつくり、日
銀と金融機関に売って円を得て、その円で買っています。

このため、政府の負債である政府短期証券(101.5兆円)が、ほぼ
おなじ額になっています。国のマネーを担当する日銀ではなく、財
務省が外貨準備を管理するのは、自己の権益の拡張のためです。

【貸付金 137.9兆円】
貸付金では、地方自治体への貸付けが53兆円程度、郵政金融公庫
16兆円、その他は、政府の所轄である独立行政法人への貸付けです。
都市再生機構10兆円、奨学金の学生支援機構4.5兆円、日本政策投
資銀行4.3兆円、国際協力銀行3.5兆円などです。約30の独立行政法
人への貸付けです。国有空港もあります。全部が官僚機構と言えま
す。

皇居をめぐって虎の門や霞が関あたりをぶらぶら歩くと、こうした、
大小の、一般に、知られていない独立行政法人がいっぱいあります
ね。

この貸付金も回収が可能かどうかは別にして、政府の資産と言える
でしょう。国債で調達されたマネーが、司法自治体と独立行政法人
に流れています。

【運用預託金:104.8兆円】
運用預託金は、公的年金(厚生年金、国民年金)の掛け金が、政府
に預けられたもの(国民の年金基金)を、GPIF(年金積立金管理運
用独立行政法人)が預かって、内外の国債、内外の株、内外の債券
で運用しているものです。年金積立金管理運用独立行政法人という
ような長い名前をつけるのが、行政の特徴ですね。

2015年の7月末(第1四半期)では以下の構成です。
年金基金の運用総資産 141兆円のうち、

・国債   53.5兆円(38.0%)
・国内株   33.0兆円(23.4%)
・外国債券 18.5兆円(13.1%)
・外国株  31.4兆円(22.3%)
・短期資産  4.7兆円 (3.3%)

2014年以前は、年金では長期で安全な運用が必要として、国債が
65%でした。2014年11月からは、株を上げるという政府の意向を受
け、国内株25%、海外株25%の運用枠に変更しています。

50%をリスク資産での運用に変えたのです。日本と米国の株価が上
がるときはいい。問題は下がったときです。現在は平均すれば年間
で20%の幅(VI:ボラティリティインデックス)で株価は上下して
います。

このVIは1年間で現在の株価(1万9230円:12月11日)が、2万3000
円へと20%上がる確率と、1万5380円へと20%下がる確率が50:50
ということを意味しています。1万5000円付近に下がれば、大きな
政治的問題になります。

2015年9月期には、中国株ショックからの下落で7兆円の運用損を出
したと話題になりました。今後、大きな損を出すと、世論から、厚
労省が「またやった」と非難されるでしょう。

GPIFの運用額は、国内株でも33兆円(15年6月末)と巨大なので、
買ったものを売ることはできません。GPIFが損切りで売りに出たと
すれば、株価は一層下がるからです。

「中長期(向こう3年)」で問題になるのは確実です。下がったら、
どうするのでしょうか。安倍内閣の失政になることも、50%の確率
で想定できます。
http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h27_q1.pdf

【出資金 66.3兆円】
高速道路保有・債務返済機構(6.6兆円)、日本郵政株式会社(4.
5兆円)、日本政策金融公庫(3兆円)、国際協力銀行(2.3兆円)、
政策投資銀行(2.5兆円)、日本たばこ(2兆円)、日本電信電話
(1.8兆円)、その他空港、道路等、約30の独立行政法人、国立大
学、政府系研究センター(100ヶ所くらい)への出資です。

これらはほぼ全部が「天下り先」です。政府が出資する必要がある
のかどうか疑問です。日本タバコなどなぜ出資するのでしょうか。
小保方さんの理科学研究所も混じっています。
https://www.mof.go.jp/budget/report/
public_finance_fact_sheet/fy2012/national/2012_gassan.pdf

ただし、政府資産としては、勘定できるでしょう。

【固定資産177.7兆円】
固定資産は、まず国有財産が27.7兆円です。これは、土地11.9兆円、
建物3.1兆円、工作物(橋など)が2.9兆円です。他に山林7兆円、
船舶(自衛隊など)があります。

・次は普通財産5.0兆円に分類されている土地4.3兆円や建物と工作
物0.7兆円です。
・更に公共用地38兆円と分類されるものがあります。河川の治水
18.1兆円、道路19.7兆円、港湾、漁港などです。
・加えて公共財産施設が106兆円です。内訳は海岸2.6兆円、土地改
良4.9兆円、河川の治水47.5兆円、道路45.7兆円などがあります。

以上の合計が177.7兆円です。公共投資のカタマリが、政府の固定
資産です。

■2.換金性の資産をみれば、652.7兆円のうち37%の242.9兆円

以上の固定資産は、資産ではあります。
しかしこれらをまとめた、
・河川の治水(65.6兆円:国有財産の37%)、
・道路(65.2兆円:同37%)、
・省庁等の建物(3.1兆円)、
・橋やトンネルなどの工作物(3兆円)は、民間に売って換金でき
るものではありません。

金銭である国債の負債に対応する資産とは言えない。土地は、明治
の過去から、政府が管理してきたものです。省庁の建物も売れるも
のではない。

河川に加えた治水工事(65.6兆円:国有資産の37.%)や、道路
(65.2兆円:同37%を買う民間会社はない。例えば利根川を買って
も、事業用資産としては意味がありません。公共投資をした資産で
はあっても売れないもの買われないものは、換金性の資産価値はあ
りません。

民間会社が、誰も買わない土地をもっていても、バランス・シート
での有効な資産ではないことと同じです。

河川と山林は政府の管理ですが、ほとんど換金性がない。わが国の
国土で山林は2500万ヘクタールで67%(2/3)です。世界平均の山
林率は30%ですから、日本は世界より山林面積の割合が2倍多い。

政府は公共であり、その点で特殊です。しかし会計のバランス・
シートで負債と対照する資産では、換金性があるものでないと有効
ではないように思います。

以上の観点で、資産のうち、会計的に有効なものを抽出すると以下
になるでしょう。

【換金性の観点からの、資産の内容検討】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・現金、預金  18.6兆円(現金と、日銀などへの預金)
・有価証券  129.0兆円(財務省が管理している外貨準備)
             →政府短期証券と相殺される
・貸付金    137.9兆円(自治体や政府系金融機関への貸付金)
             →資産として有効
・運用預託金 104.8兆円(公的年金の基金の運用をGPIFに預託)
             →年金基金と相殺
・出資金    66.3兆円 →換金性あり
・固定資産    177.7兆円(道路・河川・山林、公共の建物など)
             →換金性が薄い
・その他資産  20.1兆円  →換金性あり
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これらのうち、換金性のある資産は、[現預金18.6兆円+貸付金
137.9兆円+出資金66.3兆円、経過勘定のその他資産20.1兆円=
242.9兆円]です。総資産とされている652.7兆円のうち、37%です。

財務省が資産として示す652.7兆円のうち、有価証券129.0兆円は、
政府短期証券と相殺されます。運用預託金104.8兆円は、国民のも
のである年金基金と相殺されます。

河川と道路が130.8兆円(74%)である固定資産の177.7兆円は、ほ
とんど換金性がありません。

政府は、河川の工事に大きなお金を使っています。計上された土木
工事費は、50年の耐用年数として減価償却された後のです。河川工
事には、100兆円以上が使われているでしょう。

次は、負債を見ます。

■3.換金性のある政府の負債

【負債の内容】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・政府短期証券  101.8兆円(外貨準備を買うための短期国債)
・国債      855.8兆円(建設国債260兆円、赤字国債449
              兆円、年金特例公債5.2兆円、財
              投債104兆円、復興債9兆円、原子
              力支援の交付国債1.3兆円など)
・借入金     28.4兆円 (原子力賠償支援などの借入金)
・年金預かり金  112.2兆円(国民年金、厚生年金等の基金)
・その他負債    45.1兆円
 (未払い金11兆円、預託金7兆円、責任準備金9.4兆円、退職給
  与引当金9兆円、その他負債8兆円など)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
以上の負債合計  1143.3兆円

政府の負債1143.1兆円(2013年3月期)は、全部が換金性のあるも
のです。この中から対応している資産と相殺できる、政府短期証券
101.8兆円(外貨準備と相殺)、及び年金預かり金112.2兆円(運用
預託金と相殺)を引くと、929.2兆円になります。

以上を勘案し、換金性の資産と負債により、正味の政府B/Sを作る
と以下になります。

資産             負債
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・現金、預金   18.6兆円    ・国債    855.8兆円
・貸付金    137.9兆円    ・借入金    28.8兆円
・出資金    66.3兆円    ・その他負債  45.1兆円
・その他資産  20.1兆円   
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
換金性資産合計 249.2兆円       負債合計  957.7兆円  
                 債務超過  708.5兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

多くの検討は、ここで終わっています。

必要なことは、
(1)中央政府の税収の13年分もある債務超過の政府が、その後も
新規の国債(利付き借用証)を、なぜ発行できているのか。
(2)10年後にしか返済されない国債が1%以下という低い金利で、
金融機関に売れているのかの検討でしょう。借り入れにおける金利
の低さは、一般には、信用の高さを示します。

以上をどう判断したらいいのか、考えます。

債務超過の708.5兆円は、一般会計の税収(54.5兆円:2015年度)
の13年分の債務超過です。税収は企業の粗利益に相当します。

1万分の1にすると、年間粗利益54.5億円の企業において、その13年
分の資産(708.5億円)が不足していることになぞらえることがで
きます。

民間企業なら、とうの昔に信用をなくし、支出に必要な借入ができ
ずに破産しています。実際には、政府は破産していません。

■4.政府の信用という要素

理由は、将来の収入(税収)や増税ができるという信用を政府がも
っているとみなされているからです。国債の信用は、それを買う側
が認定します。社債の信用を買う金融機関が決定することと同じで
す。この信用を金額にして入れると、以下のような想定バランス・
シートになるでしょう。

【信用という資産を入れた、政府のB/S】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
資産合計        249.2兆円   負債合計  957.7兆円  
将来の税収という信用 708.5兆円  債務超過      0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

将来の税収が、債務超過を減らし、最終的にはなくしていくという
想定信用を、資産としていれたものです。

個人になぞらえると、この意味は分かるでしょう。換金性の資産が
ゼロで、500万円の借り入れできたとします。債務超過が500万円で
す。これでも借り入れができたのは、貸した銀行が、将来の所得を
予想し、(所得-消費=貯蓄)から返済ができると見ているからで
す。上のB/Sは、これと同じ考え方です。

▼債務超過額は、年々、大きくなる

ただし問題になるのは、この債務超過額が年々大きくなることです。
前号で述べたように、毎年の財政赤字のため、1年平均で23.9兆円
は増えて行きます。ここをどう考えるか。

2017年4月からの消費税の増税(8%→10%)が、食品の軽減税をめ
ぐって政治問題になっています。消費税1%は、2.5兆円の税収に相
当します。2%で5兆円です。

この消費税を、
・ほぼ20%に上げることができ、
・政府支出が同じならなら、
単純計算では、税収は25兆円増え、政府財政はバランスします。単
純計算とは、増税によるGDPの低下を考慮に入れないものです。

●ただし実際は、2015年現在で125兆円の、政府の消費的支出が年
間で数兆円は増えているので、25%から30%の消費税になります。

【要点】
国債を買う金融市場は、時期は不明でも将来は、日本は消費税25~
30%になりえると見ているのでしょう。可能性がないなら、すでに
国債は不良な債券です。現実は、不良な債券ではない。背理法です
が、健全債券とみなされるのは、将来の増税が期待されているから
です。

■5.社会保障の総体:政府=(一般会計+特別会計)です。

1年30兆円から40兆円の赤字を続ける財政の中で、最も大きく、し
かも増えている社会保障費の内容を見て、今後どうなるかを考えま
す

年金と医療費が大きくなった政府の財政支出の減額は、実行されて
も、可能な額がとても小さいのです。最大限の可能性も、増えるの
を止めるくらいです。社会保障費(116.8兆円)の支出と、その財
源は以下です(2015年度)。

【政府、つまり、一般会計と特別会計を合算した社会保障支出】
     支出           財源
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
年金      56.2兆円   保険料      64.8兆円
医療費     37.5兆円   政府負担     31.8兆円
介護費      9.7兆円   自治体負担   12.8兆円
その他福祉   13.4兆円    政府の資産収入 7.3兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
支出合計    116.8兆円   財源合計  116.8兆円

社会保障費のうち保険料でまかなわれているのは、支出総額(116.
8兆円:GDPの23%)のうち、55%です。45%にあたる52兆円です。

社会保険料(年金や医療費の掛け金)で足りない分は、政府負担
31.8兆円、自治体負担12.8兆円、政府の資産収入からの補填7.3兆
円、合計で51.9兆円の、政府部門の負担になっています。

それにしても、GDP(国民所得)が変わらない中で、年金、医療、
介護を中心とする社会保障費は大きくなっていますね。数年前に
100兆円を超えたと言っていましたが、今は116.8兆円です。2000年
には78兆円でした。1年に2.8兆円(約3兆円:ほぼ3%)増えてきた
のです。

(元の資料・財務省)
http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/201509/201509_all.pdf
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/05.pdf

【年金】
公的年金(国民年金、厚生年金)の加入者は6718万人(国民の53
%)です。受給者は、3950万人に増えています。

国民のうち31%(3人に1人)が、2014年で、年金受給者になってい
ます(2014年3月)。1人当たり平均で142万円(月間12万円)です。
夫婦2人なら20万円程度です。

【医療費】
医療費では、70%を占める、健保・国保からの公的支出分が37.5兆
円です。別に、個人負担が約30%あります(75歳以上は10%)。

公的支出分の、1人当たり医療費は年間30万円(月間2万5000円)で
す。家族3人なら、7万5000円/月ですから、大きな支出です。

なおこの37.5兆円は、わが国の全世帯の食料支出(月間7万円)と
ほぼ同額です。(注)食料と医療産業は、同じ規模になっています。

9.7兆円に増えた介護費は増加率がもっとも高く、年率17%増(1.
6兆円)です。10年後の2025年には、21兆円になるという(厚労省
の想定)。商品産業は伸びませんが、介護事業だけは大きく増えま
す。

75歳以上の人口が現在の1645万人から533万人(32%)も増えて、
2178万人になるからです。逆に、20歳未満は、2176万人から1849万
人へと15%減ります。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link1-2.pdf

(1)公的年金(56.7兆円)、(2)医療費(37.5兆円)、(3)介
護費(9.7兆円)を3大支出とする社会保障費は、116.8兆円です。

【不足分】
年金や医療費などの社会保険料からまかなえている分は、64.8兆円
(総支出の56%)です。

足りない52兆円分を、
(1)中央政府が31.8兆円、
(2)自治体が12.8兆円、税収と公債の発行で補っています。

不足分は、支出を抑えても約3兆円/年(約6%)は増えていきます。

社会保障費(116.8兆円)の削減は、政治的にも、シビルミニマム
(国民の最低限の生活基準)の観点からも、難しい。手をつけも、
毎年の増加(3兆円)を抑制することしかできないでしょう。

■6.対外資産の内容:政府分は外貨準備のみ

わが国には大きな対外資産があるから、それを勘定に入れると、政
府の財政は破産しないという説があります。

対外資産は、過去30年の、経常収支の黒字の結果として増えてきた
ものです。経常収支は「貿易収支+所得収支」です。2011年の東日
本大震災から、貿易収支は赤字になっていますが、所得収支の黒字
が1年に23兆円(2015年暦年)あるので、経常収支ではまだ黒字で
す。

経常収支の黒字分は、資本の海外投資になり、投資の結果は対外資
産になります。(2015年5月:財務省)

   対外資産       対外負債
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
直接投資  143兆円   直接投資    23兆円
証券投資  466兆円   証券投資   244兆円
外貨準備  151兆円   その他投資  210兆円
その他   183兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
対外資産  945兆円   対外負債   578兆円
             対外純資産  366兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/2014_g.htm

グローバル経済を反映し、対外資産は945兆円に増えています。直
接投資(143兆円)は工場や店舗、オフィスです。証券投資は、そ
の60%以上が米国債と米国株です。以上は民間の分です。

この中で政府の分は、外貨準備の151兆円($1=120円付近で時価
評価)です。この外貨準備は、一般会計・特別会計の資産として、
すでに計上されています。この外貨準備が、政府の資産として、別
途あるわけではない。

海外からの負債は576兆円ですから、対外純資産は366兆円です。

対外純資産が、政府の資産として、あるわけではないのです。わが
国は、大きな対外純資産があるから、財政は破産しないという主張
は、誤りです。

■7.結論

政府の債務超過は、
・河川、道路、不動産等の換金性のない資産を入れたとき490兆円、
・換金性のない資産を除いたときは708.5兆円です(2013年3月期)

債務超過額は、2000年代の傾向では、年間で25.9兆円増えています。
ほぼ財政赤字分増えるので、今後も年間で30兆円は増え続けると想
定しておかねばなりません。

もっとも金額と増え方が大きいのが社会保障費の116.8兆円です。
この中で51.8兆円(44%)は、政府(中央政府+地方自治体)が、
一般会計から補填しています。社会保障費の増加額は、抑制されて
も1年に3.5兆円はあります。

以上は、国債リスクが増して金利が上がり、国債の発行が困難にな
った結果である財政破産に向かって突き進んでいることを示します。

なお対外資産(純資産で366兆円)は、民間の資産なので、これが
あるから財政が破産しないとは言えません。政府の対外資産である
外貨準備は、政府のB/Sの資産にあらかじめ含まれています。

将来の破産を防ぐ対策は、単純です。3つしかない。

(1)財政支出の削減
(2)増税
(3)政府の債務比率(政府債務/名目GDP)が大きくならないよう
に、名目GDPを年率3%以上で増加させる。現在、名目GDPの増加は
ほぼ0%です。

(1)、(2)、(3)の、それぞれの可能性を検討し、その実現が
想定できないときは、2018年(早ければ2017年)ころから、債券市
場の金利が上がり2020年ころの財政破産でしょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。
                              以下は、項目の目処です】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
3.疑問点、ご意見はありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ
と記述のとき、より的確に書く参考になります。

気軽に送信してください。感想やご意見は、励みと参考にもなり、
うれしく読んでいます。時間の関係で、質問への返事や回答ができ
ないときも全部を読み、多くの希望がある共通のものは記事に反映
させるよう努めます。
【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】
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◎購読方法と届かないことに関する問い合わせは、ここにメール
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<793号:完結編:チェーン・ストア理論の再考と展開>
       2015年10月14日

【目次】

1.誤ったチェーン・ストア否定論
2.否定論の詳細な検討

3.次は、地域によって、売れるもの、売れないものに大きな差が出
るようになってきたということについてです。
4.チェーン・ストアは、商品本部が、品揃えの標準化と言いつつ、
地域需要にかかわりなく、店舗の品揃えを共通化しているというこ
とについて。
5.1990年代のデマンド・チェーンという革命
6.店舗の品揃えと発注は、現場である個店から行う個店経営に回帰
すべきであるということについて。

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<794号:これからの不動産>
  2015年10月21日

【目次】
1.われわれは、平均でどれくらいの資産を持っているのか
2.今後の住宅需要数
3.個人的な体験
4.過去の市街地価格の推移
5.これからの全国の人口と予想地価:2015年から2040年まで
【後記】

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