銀行危機、金融危機の基礎データ
This is my site Written by admin on 2023年11月12日 – 15:00
11月7日の日経新聞朝刊(二面)に新著『金利と通貨の大転換』
(2420円)の広告が大きく出ていました。好ましくない顔と、好まし
い本が新聞広告に出るのは奇妙な心もちです。

渾身の力を込めて書いたので、素直にうれしい。書名はポランニーの
『大転換』に、蟷螂(とうろう)の斧(おの)で対抗したものですが
内容には自信があります。

紙の本と電子版が掲載されています・・・アマゾンで1位でした(11月
7日、13時ころ)が今は2位。この順位がどんなアルゴリムでつくのか。
当方のWEBからも、申し込めます。電子版もあります。
(cool-knowledgeのWeb)
https://www.cool-knowledge.com/

             *

パレスチナ人が8mの壁の中に220万人住むガザ地区では、イスラエル
軍が空爆と地上侵攻を拡大しています。ハマスの予告のないロケット
彈攻撃で亡くなったイスラエル人は1400人という。

ネタニアフ首相は、テロに対する「報復」としてガザ地区を攻撃して
います。パレレスチナ人の死者は兵士と市民を含み1万4000人という。
イスラエル人の10倍。これを聞いて、考えたことです。

■1.イスラエル・ハマス戦争について

【正当防衛の範囲】
イスラエルの報復は、「正当防衛」とされています。しかし正当防衛
なら、「倫理的」には、「目には目を、歯には歯を(マホメット)」
のハムラビ法典にさかのぼる教義からしても、受けた被害と等価のあ
たりまで正当と考えるのは、私だけの常識でしょうか。

1人が殺害されたから10人や100人を殺す権利があるとするのは、倫理
からは不当でしょう。倫理とは人道(人のあるべき姿)であり、法の
前提になるものです。宗教が説く倫理求めることができます。

「人に傷害を加えた者は、それと同一の傷害を受けねばならない。骨
折には骨折を、目には目を、 歯には歯をもって人に与えたと同じ傷
害を受けねばならない」(「レビ記」24)

【自然権としての防衛】
これが、フランスの思想家ルソーが自然権とした、防衛権の淵源にな
った教義です。防衛にも、同じ被害までという制限があるでしょう。
これが報復の論理です。

(注)日本の新憲法は、戦争を禁じています。しかし憲法学者は、「法
以前の、人間の自然権として、防衛権はある」として、先制攻撃をし
ない防衛のための自衛隊を是認しています。

自然権以上の殺戮は、イスラエル人の多くが信じるユダヤ教の旧約聖
書であっても禁じています。

【イスラエルの、ハマスへの報復】
イスラエルの空爆と地上戦は「ガサの壊滅と支配」が目的でしょう。
支配を目的にした侵略戦争は、戦争犯罪に該当します。

世界のメディア、政治家、宗教家、法哲学者、国民が、「イスラエル
の報復は、正当防衛を10倍も超えた侵略であり、戦争犯罪の行為であ
る」と言わないのはなぜでしょうか。

ハマスの戦争犯罪(1400人の殺害)対して、イスラエルの戦争犯罪
(1万4000人の殺害)で報復するのは、旧約聖書に照らしても不当で
す。戦争であっても武器をもたない市民を殺すのは犯罪です。(注)軍
人間の闘争が、戦争です。

【国内の支持は30%くらいと低いネタニアフ】
実は、シオニストのネタニアフ首相は、一段落したら、60%を占める
ユダヤ教穏健派から「解任」される可能性が高い。離任のあと議会で
尋問しても、たぶん答えることはありませんが、イスラエル国民の
60%に、「人間がもつべき良識」があるなら「証言」は求めるべきで
す。議会尋問を、民主制(=選挙制)のイスラエル国民に要求します。

選挙制の国家では、戦争の国権も国民に帰属します。政治家は、代議
士(代弁者)です。国民がもつ権利の、代理人(エージェント)です。

ヘーゲルの国家理性は、思想家のホッブスが言った「リバイアサン
(旧約聖書の、人道のない怪獣)」であってはならない。

【米国の欺瞞】
アメリカという国家の欺瞞は、日本に対しては「非戦闘員の市民を多
数殺戮した東京空襲、沖縄、ヒロシマ、ナガサキ」の大統領令を正当
としたことから、始まっています。

正当防衛を超えた戦争を正当化するには、相手国を「悪の国家または
専制国家」と規定しなければならないでしょう。日本を悪の専制国家
としたことが、まず米国の欺瞞です。

つぎに「A級戦犯として処刑した東京裁判」の欺瞞です。(注)ペンタ
ゴンは、2001年の9.11以降、テロを悪としてます(ペンタゴンリ
ポート)。

加えて、78年続いている「駐留軍の目的の欺瞞(=日米安全保障条約
に含まれる欺瞞)」です。米軍は、日本の防衛のための軍隊ではない。
米国による日本の、政治的な支配のための軍隊です。

このため、国民を支配したい日本の政治家、官僚、日銀は、米軍に歓
呼をあげて従属しています。実は「外圧」は日本の官僚が、自分たち
の政策を、議会で通すために作った言葉です。外圧だから、この法は
仕方がない・・・

考える人が少ない「日本という国家」を、内容から考えるとき、米軍、
欺瞞、報復としては使われない核の傘が、いつも障害になります。米
国の欺瞞の上に、戦後日本の欺瞞もあります。欺瞞とは本当の目的を
言わず、誤魔化すことです。

「米国は日本の防衛ためには核を使わない。日本が核攻撃を受けても
米国は核の報復をしない。日本には核の抑止力がない」ことは、伊藤
貫氏が約30年、ワシントンで米国高官、そして軍幹部、国際政治学者
と議論し、確かめたことです。事実を言えば、トランプは、安倍元首
相には「(米国は核を使わないから)日本が核をもてばいい」と奨め
ていました。

■2.本稿の2番目のテーマは、「借金の多い国の経済は、目標金利の
利上げをしてきた中央銀行が、利下げに向かう時期からリセッション
に陥ってきた」ということです。

9つあるFRBの一角である、セントルイス連銀が示す、短期の市場金利
(実効レート)jと、その金利に、約2年、時間が遅れて起こるリセッ
ション(ひどい不況:GDPの二期連続マイナス:グレーの棒)の1955
年から2023年までのデータです。
(セントルスイス連銀:FFの実効金利の動きとリセッション)
https://fred.stlouisfed.org/series/FEDFUNDS

金利とリセッションを対照すると、過去9回のリセッションは、全部
が
・金利が上がって、金融が引き締まる時期ではなく、
・FRBの利下げが始まって、金利が下がっていく過程で起こっていま
す。

リセションとは、不況(需要不足)の大きなもので、米国では2期
(6か月)連続以上で、実質GDPのマイナスが続くことです。米国は戦
後の68年で、9回のリセッションに陥っています。

大きくて深かったのは、
・1973年の第1次石油危機、
・1980年の第2次石油危機、
・2001年のITバブル崩壊、
・記憶に新しい2008年のリーマン危機です。

いすれも上がった金利が低下したあと、1年から1.5年後がリセッショ
ンの底です。

◎普通は誰でも考える金利が上がる過程ではなく、なぜ、金利が下が
る過程が、リセッション(実体経済の大不況と株価の暴落)になるの
か? 国債を例に示します。

〔条件〕金利が上がる過程では、国債と債券を売ったときの時価(売
却価格)は、額面より下がります。

米国の長短国債(32兆円)の平均の発行金利は、1%くらいです。長
短国債の、満期までの平均の残存期間は、8年です。

〔長期金利〕2022年3月からFRBの利上げがあり、その1年半後の23年
10月からの、市場の長期金利のピークは5%、現在は4.5%程度です。
1%の発行金利の国債100万円が、残存期間8年であって、金利が4.5%
に上がったとき、市場で売ったときの価格はいくらか?

100万円÷{(1.045-0.01)の8乗}
 =100÷1.035の8乗=100÷1.317=76万円・・・24万円の損失

金融期機関やファンドがもっている国債と債券の価格は、24%不良化
しています。
↓
金融機関やファンドは、金利が上がったときどんな運用をするか?
↓
金融市場の金利が4.5%のとき売れば、24%の損失が出て、シリコン
バレー銀行(23年3月10日)のように、決済資金の不足から破産しま
す。

23年3月には、シグネチャーバンク、ファーストリパブリックバンク、
そして大手のクレディスイスも、国債・債券の損から破産しました。

銀行の破産のプロセスは、共通です。

1)金利が上がったことから経営不安の噂が出て、
・預金引き出し、
・他行への送金、
・金利が5%のMMFへの移動が起こって、当該の銀行が、1週間くらい
で資金不足になる。

2)その銀行は、今週の決済資金の不足を解消するため、やむなく時
価が、大きく下がっている長期国債と債券も売って、資金繰りに当て
る。

3)1%の平均金利の国債・債券を、市場で売ると売った金額の24%の
損失が確定し、総資産の5%から10%の自己資本が、瞬く間になくな
る。

4)銀行の実質的な破産(自己資本のマイナスまたはマイナスの可能
性)の。報告を受けたFRBは、預金は100%保護する。
破産銀行には、正常に見える大手銀行との合併を強制する。

つまり、
・資金繰りがつかなくなった銀行・ファンドが、24%の含み損のある
国債・債券を売って損失を確定する。
・資金繰りができる銀行・ファンドは、4%の含み損のある国債・債
券は売らず、バランスシートには示さないでいいとされている国債と
AAA級債券の、含み損をかかえたままで行く(これが現在です)。

以上が、金利が上がり、
・米国債の32兆ドル(4800兆円)の、平均の損が24%の1152兆円と巨
額になっていても、
・少数の破産銀行を除けば、金融が安定しているように見える理由で
す。

【金融市場の空気】
金融投資家と証券会社は、金融の表面的な安定(=破産銀行は中小の
3行のみ)を見て、「米国経済は、5.25%への利上げがあっても、ソ
フトランディングをする。株価の大崩落もない。金利は下がって行
く」としています。
(注)80%の金融投資家と証券会社が、これです。

日本の金融評論も、たぶん95%の人がソフトランディング論です。
2024年からの「リセッションと、バブル株価のハードランディング」
を言う人は「変わり者」とされています。

果たして、いつも、極端なことを言う変わり者かを検討します。当方
も、メインストリームから見れば、変わり者の類いでしょう。

【疑問点】
戦後の9回の、大きなリセッションが、
・金利が上がり、金融が引き締まる(マネー量の減少)の過程ではな
く、
・その1年から1年半後のFRBの利下げと、再びの金融緩和の過程で起
こったのは、なぜでしょうか?

米国の現在に基づいて、述べます。

【上がった金利が下がる過程で起こること】
1)FRBの利下げの過程では、売却時価が24%下がっていた国債とAAA
級の債券の価格が、今度は逆に上がります。

金利が1%下がると約7%、2%下がると14%、3%下がると21%国債の
価格は上がります。

2)短期運用が主業務である銀行とファンドは、長期運用の生命保険
とは違い、国債とAAA級債券の短期売買で、利益を出しています。

◎国債とAAA級債券で、保有額の24%の時価の損失をかかえていた銀
行とファンドは、金利が下がって保有債券の価格が回復すると、それ
を売って、資金繰りに充てることが多いのです。

3)市場の金利が低下って、大手銀行・大手ファンドが売買の価格が
上がる国債とAAA級債券を売りに出すと、金融市場のマネーは枯渇し
ます。

4)金融危機とは、
・FRBの目標金利が上がることではなく、
・金融市場のマネー量が減ることを言います。

FRBの利下げの過程で、
・「国債とAAA級債券で、保有額の24%の、時価の損失をかかえてい
た銀行とファンドが、保有債券の価格が回復すると、それを売って、
資金繰りに充てること」によって、金融市場のマネー不足が起こり、
・米国は、過去6回、リセッション入りをしたのです。

【時期の想定】
リセッション入りの時期は、FRBが金利を下げはじめてから、1年から
1年半後です。今回は、2024年の後半期になるでしょう。
(24年10月から12月、遅れても、25年3月から)。

過去9回の利下げの過程では、毎回、同じことが起こっています。
「今回は例外」という根拠は探せない。

2024年の利下げの過程で、ソフトランディングするという証拠を探す
ことができない(読者のも皆さんは探せますか?)。

◎以上から、米国経済と金融は、FRBが利下げに向かう、6か月後の
2024年の後半期からリセッションになると見ています。

1年半後ではなく、利下げ開始の6か月後からと予想するのは、米国の、
金利がつく総負債が121.5兆ドルに膨らんでいるからです。

121.5兆ドルの総負債は、
・預金金融機関が26.2兆ドル、
・保険・年金基金が38.5兆ドル、
・ファンド等の負債が56.3兆ドルの、合計です。

負債の中身は、国債(政府の負債)、債券(企業の負債)、株式(企
業の負債)、借入金(政府、企業、銀行、世帯の負債)です。
(日銀:日米欧の、資金循環の比較の先頭ページ:2023年8月)
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf

当方は、金融市場の資金循環表(全部のマネーの流れ)を見てマクロ
の金融論を組み上げるのですが、他に、このページを参照している金
融エコノミストはいません(皆無です)。

一体なぜでしょうか。分からない。
理由を知っている人はいますか?)

【米国の総負債は、GDPの5.3倍】
◎米国の金融機関の総負債は、米国GDPの23兆ドル(3450兆円)の5.
3倍に膨らんでいます。2008年のリーンマン危機と2020年のコロナ危
機で。マネーが大増発され、22年2月からのロシア・ウクライナ戦争
でインフレになったからです。・

負債の大きさに比例して大きくなる不良債権は、今回は、リーマン危
機のとき(4兆ドル:600兆円)の5倍(20兆ドル:3000兆円)になる
でしょう。

米国の、3000兆円の不良債権で、米国の金融機関全部が、同時に破産
します。94年ぶりの1929年-33年の「大恐慌」に匹敵するリセッショ
ンでしょう。

FRBには、3000兆円(20兆ドル)のドルは、増発できない。
もし、やれば米国が、今度はトルコのようなハイパーインフレになり
ます(100%確実です)。
(物価50%上昇、金利25%、ドルの実効レートは5年で1/5)。

このため、他に方法がなく、2008年のブラザ合意のようなドルの50%
切り下げを含んで、ドル紙幣の切り換えに向かうと見ています。

■後記;政府が欺瞞を言う国が米国(11年間)

米政府、とくに、オバマ政権(8年)からバイデン政権(3年)は、米国
は民主党が、欺瞞(=世界と国民にウソを言うこと)を正当とする国
になっています。

主流メディア、国際金融資本と富豪、エネルギーメジャー、兵器産業、
大手製薬、メガIT、ユダヤ人ロビーは、オバマとバイデン政権に、匿
名の政治資金の提供(匿名のスーパーPACの推計4000億円)で、加担し
ています。民主党議員の50%、共和党議員の60%は、ユダヤ人ロビー
マネーを得ています。

トランプもユダヤ人マネーは得ていますが、反軍産複合体(1.3兆ドル
:195兆円の生産)です。

岸田首相の宏池会(47人の現職議員)は、反トランプの米国民主党の
指示で動いています。日本の財務省とメディアも、米国民主党系です。

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