2007年経済予測:鍵は金利
This is my site Written by admin on 2007年1月3日 – 08:00

あけまして、おめでとうございます。正月三が日、いかがお過ごし
でしょうか。当方は、出張もなくほぼ毎年自宅です。

元旦の朝、1合の熱燗で乾杯をし、好意で大晦日に届けていただいた
精妙な味のお節をつまみ、新聞を眺め、ぼんやりTVを見て、届いた
年賀状を見れば、人々の1年の変化が文面から感じとれます。2日は
初詣。毎年、同じことを繰り返す。「マンネリズム(mannerism)」
とも言えます。

今、マンネリズムは「ありきたりなことの繰り返し、つまらないこ
と」という否定的な意味です。しかし元の言葉はマナー(manner)
で、作法や行儀という意味です。作法は行動の流儀です。伝統的に
繰り返される風習、様式、礼に叶(かなう)う型にはまった行動も
含みます。

芸術様式ではマニエリズム(16世紀〜17世紀のイタリア)として展
開され、反自然・人工・誇張・洗練という意味をもっていました。

漱石が描写の才を発揮した小説『我輩は猫である』で、美学者迷亭
氏が、水彩画に凝る主人に言うアンドレア・デル・サルト(マニエ
リズムの画家:1486−1531)がその代表です。

<彼の友(迷亭)は金縁の眼鏡越に主人の顔を見ながら、「そう初
めから上手にはかけないさ、第一室内の想像ばかりで画がかける訳
のものではない。昔イタリーの大家アンドレア・デル・サルトが言
った事がある。画をかくなら何でも自然その物を写せ。天に星辰あ
り。地に露華あり。飛ぶに禽あり。走るに獣あり。池に金魚あり。
枯木に寒鴉あり。自然はこれ一幅の大活画なりと。どうだ君も画ら
しい画をかこうと思うならちと写生をしたら。」>

<「へえアンドレア・デル・サルトがそんな事をいった事があるか
い。ちっとも知らなかった。なるほどこりゃもっともだ。実にその
通りだ。」と主人は無闇に感心している。金縁の裏に、嘲けるよう
な笑いが見えた。(『我輩は猫である』の冒頭部)>

迷亭が嘲笑したのは「自然を写す」とは作り話だったからです。
マニエリズムで、自然の描写とは、まるで逆だった。

正月と言うと、第五代古今亭志ん生の古典落語のようなこの名作を
思い出します。主人公の苦沙弥先生宅の、正月風景から小説が始ま
っているためでしょう。手許になくても「青空文庫」で読むことが
できます。http://www.aozora.gr.jp/

文章の洗練の極を示す『坊ちゃん』を読めば数時間が充実します。
正月は、クラシックなどいかが? 読めば、生涯の宝。

数学教師として松山に赴任する坊ちゃんが、母を象徴する古風な、
年老いたお手伝いの清と別れる場面。無駄な言葉が、一言もない。

<出立の日には朝から来て、いろいろ世話をやいた。来る途中小間
物屋で買って来た歯磨と楊枝と手ぬぐいをズックのカバンに入れて
くれた。そんな物は入らないと云ってもなかなか承知しない。
車を並べて停車場へ着いて、プラットフォームの上へ出た時、車へ
乗り込んだおれの顔をじっと見て「もうお別れになるかも知れませ
ん。随分ご機嫌よう」と小さな声で云った。
目に涙がいっぱいたまっている。おれは泣かなかった。しかしもう
少しで泣くところであった。
汽車がよっぽど動き出してから、もう大丈夫だろうと思って、窓か
ら首を出して、振り向いたら、やっぱり立っていた。何だか大変小
さく見えた(『坊ちゃん』)>
               
マンネリズムが否定的な意味を帯びたのは、資本主義的生産による
ものでした。市場経済の「商品」の本質が「差異」だからです。ど
んなに価値あるものでも、新しい装い(意匠:デザイン)を凝らさ
ねばならない。

過去のもの、あるいは他社のものと有意な差異がなければ、価値を
失う。『坊ちゃん』や『カラマゾフの兄弟』がいかに名作でも、新
しい小説が、大量に書かれる。(注)光文社の古典の新訳は、思い
のほかのヒットのようです。何か、根本的なものを求める時代風潮
と合致しているのでしょうか。

資本主義的な生産では、常に、新商品としての差異があることが売
れる価値になる。新年は繰り返し(マンネリズム)ではない。意匠
を変え「新しい変化を作る」としなければならない

数百年も、同じ作法で同じものを作り続けていた中世の職人的世界
観とは違います。資本主義には、シーズンごとに「新商品」があふ
れ、経済は一挙に動的になります。

さて新年です。われわれの資本主義に、どんな変化があるのか?

「世界経済は、わが国の低金利策をアンカーとして、グローバルに
リンクした債券と資産バブルの上にある。」 前号で述べたように
これが私の見方のベースです。

金利の変動が、2007年以降の経済変化の50%、またはそれ以上を決
めると見ていると言い換えても同じです。これが、金利を論じる理
由です。

今の低金利を続けることができるか。あるいは上がるか。
これによって日本経済のみならず世界の経済が変ります。

●低金利を続けるなら、07年の8月ころまでの世界経済は、日本も含
め、バブル的な好況を続けるでしょう。

●11年も続いている低金利時代が、期待インフレ率の高まりを原因
に終わり、日米欧の金利が1ポイント(%)超上げれば、まず米国経
済からリセッションに入るでしょう。2ポイントなら米国経済は90年
代のバブル崩壊後の日本のような様相を見せるでしょう。

金利が、経済の先行きを決めるもっとも大きな要素になったのが、
2000年以降の経済です。

金利が、年を追うごとに重大になった理由から述べます。

(注)本稿は、新年の有料版1号と共通とさせていただきます。本号
は2号分です。
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    <Vol.243:2007年経済予測:鍵は金利>
          2007年1月3日号
【目次】

1.根底は低金利:日本政府の債務は史上最大
2.米国の対外債務も史上最大
3.水準を変えた国際コモディティ価格
4.[経済成長率+期待インフレ率]と金利の原理的な関係
5.上がらぬ消費財価格と停滞する賃金の構造
6.峻別される価格
7.金利はどこから上がるか?
8.中東地域における米国の威信の低下
9.85年のG5(米、英、仏、独、日)による「プラザ合意」が再来
  するのか?

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■1.根底は低金利:日本政府の債務は史上最大

日本政府の総債務(国、地方、特別行政法人)は1000兆円を超え、
毎年30兆円以上増えます。

90年代の政府予算の拡大によって、年金・医療・福祉・公共事業を
含めれば、日本経済(GDP)の約44%部分(220兆円)は「官が関与
する経済」になっています。

地方の景気が総じて悪い理由は、言うまでもなく大都市より重要な
位置を占めていた公共事業の削減のためです。

(1)資本主義史上で最大の債務を抱えた日本政府は、超低金利に
   よって、財政破綻を免れています。
(2)金融機関と企業は、低金利の所得移転を得ています。
(3)米ドル・ユーロとの金利差を主因とする円安が、輸出企業の
   利益(トヨタがある名古屋の景気)になっています。

1000兆円の政府債務は、金利が1%上がれば10兆円、3%なら30兆円
の利払いが増えることを示します。そのため日本政府は日銀の利上
げには強く抵抗します。

2兆円の輸出をする企業なら、1%(1.15円)の円安で330億円の超過
利潤があります。(●でポイントを要約しています)

●日本政府と米国の利害は「日本を低金利のままにしておく」とい
うことで一致しています。

日本の政府部門(国+地方+特別行政法人)は1年30兆円規模以上の
赤字のため、金利が上がり利払いが増えることに耐えられない。

米国は、1年100兆円規模の貿易赤字のため、対外負債が増加し続け
なければならない。米国が(現在の)5%レベルの金利であっても、
海外から債券が買われ続けなければならないからです。

仮に日本の長期のベース金利(現在は1.6%)が3%に上がれば、世
界が米国債を売ります。

●「世界の期待インフレ率」が高まっているに係わらず、政策的に、
日銀が今の低金利(短期0.25%:長期1.6%レベル)を保つよう、
マネー量の調節で誘導すれば、結果として続くのは、世界の資産
(不動産・株)と債券のバブルの高揚です。

今の世界の株価は、個人の買いによって上がったものではない。ヘ
ッジファンド(元本140兆円)と年金ファンド(米国1000兆円、他の
世界1000兆円)が、主に、株式益回り(1÷PER=日本は現在4.72%)
と金利の乖離幅を見ながら買いあがっています。

PERの逆数である株式益回りは、不動産投信(REIT)の利回りにも似
ています。世界の都市部の不動産の価格水準も、REITが先導してい
ます。(注)PER=株価÷1株当たり純益=株価収益率

▼暫定的な結論(1)

2007年の日銀は、日本政府と米国政府の共通要請によって、金利の
微調整(0.25%幅)は行うことができても、1%レベルの利上げ誘導
はできない。07年に限って言えば、世界の資産バブルと株バブルの
崩壊は、避けることができるでしょう。

07年中に、日銀の利上げが起点になる世界の債券バブル・資産バブ
ル崩壊が起こることはないと見ることができます。

06年3月の量的緩和の停止(20兆円の資金吸い上げ)が、6、7月に世
界の株と米国の不動産を下落させ、米国・西欧から非難された記憶
が日銀には残っています。

■2.米国の対外債務も史上最大

米国経済は、貿易黒字国からの資金還流がなければ、ドルとともに
崩落します。米国の貿易赤字≒世界の貿易黒字という構造がありま
す。

米国債や社債のみならず1000兆円の住宅ローンも証券化(モーゲー
ジ証券)され、海外に売られています。(海外が買っています)

●米国には、毎年、100兆円分の資金流入(米ドル債券買い)が必要
です。世界からマネーを呼び込むため、米国は他国より金利を、数
ポイント(%)は高く維持しなければならない。

米国の債券や株が、中国(外貨準備115兆円)と日本(同100兆円)
を含むアジアの貿易黒字国、及び原油高騰で余剰資金をもつように
変った産油国に保有されている理由は、米国債券・株の相対的な高
金利・高配当・高い株式益回りのためです。

日欧と米国の金利差を原因に、米国債券と株を買うワールド・ダラ
ーが、米国経済を崩落から防いでいます。

日本とユーロの金利が上昇し金利差(スプレッド)が縮小すれば、
米国への資金流入は減ります。これは米国債券・米国株の価格低下
と同じ意味です。

以下に主要国の、対外資産と対外債務の最新データを示します。(
2005年末:日銀国際局の集計:単位兆円)

【主要国の対外資産と債務】
   対外資産 対外債務 対外純資産 純資産のGDP比
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【対外資産巨大国】
日本   506   326    180    36%
スイス  206   158     48    119%
香港   143    99     44    256% →中国マネー
中国   144   110     34    13%        
    
【ほぼ均衡している国】
ドイツ  483   455     28     9%
フランス 455   440     16     7%
ベルギー 156   144     12    29%
ロシア   41    41     0     0%

【債務超過国】
イタリア 188   201    −13    − 7%
カナダ  102   120    −18    −13%
英国   977   1020    −44    −18%
豪州    56   104    −48    −60%
スペイン 157   215    −58    −46%
米国   1038   1303   −265    −22%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(注)産油国は集計からもれていますが、日銀は時にいいデータを
提供してくれますね。

一般に、債権と債務を相殺した対外純資産が取り上げられ、日本は
180兆円(GDP比36%)の対外純資産、米国は265兆円(GDP比22%)
の対外純債務と言われることが多い。

●しかし、国際資金移動で問題になるのは、相殺後の対外純資産や
純債務ではない。注目すべきは、相殺前の対外資産(=対外債権)
の金額、及び対外債務の金額です。

わが国は、506兆円(名目GDPとほぼ同じ額)の対外資産を持ちます。
米国の国債の約40%を買っています。

国民1人当たりで400万円、世帯当たりで1200万円相当を米国に貸し
付けているといえば、巨額さが分かるでしょう。

(補注)日本の対外資産の中身は、直接投資(45兆円:9.0%)、株
(48兆円:9.5%)、債券(201兆円:39.8%)、貸付金(76兆円:
15.7%)、政府の外貨準備(99兆円:19.6%)、預金(29兆円:5.
8%)、その他(3兆円:0.6%)です。

米国は逆に1303兆円と、名目GDPの1年分に匹敵する対外負債を持ち
ます。3億人の米国民1人当たりで434万円、世帯あたりで1300万円に
相当する額です。

日本は、米国の対外債務のうち40%を引き受けていると見ていいで
しょう。この米国の対外債務は、常態になった貿易赤字のため1年に
100兆円、1日4000億円の速度で今日も増加中です。

資金を提供しているのは、日本、中国、そして中東の産油国です。
(注)これは「対外債券投資」と言われます。

根底をいえば、
●最大の債権国である日本が、米国の債券(国債・社債・株式)を
 増加保有し続けているという理由から、
●中国も産油国も(そして英国もスイス)も米国債券を買っていま
 す。

世界は、「日本は国防で米国に依存。米国の要請を断ることができ
ない。円は、米ドル基軸通貨体制を支える付属通貨である。」と見
ています。

(注)知られていないことですが、世界がもつ米国債の現物は、米
ドル基軸通貨体制を維持するため、米国のFRB(中央銀行)に預託さ
れていて、多額に売るには、米政府の許可が必要です。世界は権利
だけをもつと言っていい。米ドル基軸通貨体制は、米国にとって最
大の国益。これが米国政府の義務である経済安全保障です。

こうした中で、日銀が11年続けた超低金利(短期0.25%:長期1.6%)
を上げ、「金利が正常化」に向かうとどうなるか? 

金利差が小さくなるので、米国に行っている個人マネーと金融機関
のマネーが、日本回帰を起こします。ジャパンマネーが回帰を起こ
せば、米ドルが安くなって損をするので世界の資金も米国離れを起
こしまず。

そうすると、資金不足から米国金利が上がり、株価は下げ、米国債
の価格も下げます。米ドルも更に安くなる。当然に、2000年以降の
米国の消費増加を支えてきた住宅価格も下がる。

●日本の利上げで金利差の縮小が起これば、日本が90年代に経験し
 たバブル崩壊と同じ事態(デフレ経済)が、米国に起こります。

米国は世界の消費市場です。米国が、日本の金利上昇を起点にバブ
ル崩壊を起こせば、輸出で成り立っているアジア経済と、米ドルへ
の資金仲介で成り立っている英国・スイスの金融経済も同時に崩落
します。

●米国政府もアジアも、この事態がもっとも怖い。そのため、日本
 政府と日銀には、今の低金利の持続を要求し続けるはずです。

▼暫定的な結論(2)

暫定的結論(1)と同様、日銀は07年は目立った利上げができない
でしょう。そのため次に述べる世界の資源インフレも継続しそうで
す。

■3.水準を変えた国際コモディティ価格

国際コモデティは2000年以降、BRICs(ブラジル・ロシア・インド、
中国)そして、VISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トル
コ・アルゼンチン)の、35億人の近代化成長による需要増を見込み、
投機的に上がっています。

●07年の世界経済(GDP4400兆円)は、4%〜5%の成長が見込まれて
います。資本と技術の国際移転によって、資源多消費型の後発国の
経済成長率が先進国の2倍〜3倍になったのが21世紀初頭の特徴です。

80年代〜90年代まで価格停滞ないし低下を続けていた国際コモディ
ティが、2000年を起点に急に上がった理由でもあります。

国際コモディティの代表である原油価格(現在$60水準)は、60%
部分が実需増での価格、40%部分はファンドによる投機価格と見る
ことができます。

ファンドが預かり、投機運用しているのが低金利の資金です。ファ
ンドの買いは自分では使わない仮需です。いずれ売る。売買を繰り
返す。価格は激しく騰落する本質的な性格をもつことになります。
これが自分で使う実需需要との違いです。

▼【暫定的な結論の(3)】

後発国35億人の経済成長によって、近未来の需要増加が確実に見込
まれる国際コモデティの価格は、シンボリックなゴールドの価格を
含め、低金利の持続によって上げるトレンドを続けるでしょう。

ジム・ロジャースのコモディティ投資論は、07年に金利の目立った
上昇がなければ、正しい。(注)3ヶ月単位の短期での騰落があるの
は当然です。大切なことは長期傾向です。

■4.[経済成長率+期待インフレ率]と金利の原理的な関係

●世界経済が4%〜5%の実質成長をする中で、日米欧が今の金利の
 ままなら、世界はいずれインフレに向かいます。

物価に対し中立的な(理論上の)金利水準は、(およそ)以下の算
式で求めることができます。(注)実際には、以下の式よりすこし
複雑なテーラー・ルールですが、ほぼ同じ内容なのでここでは単純
化します。フィシャー公式です。

名目金利=GDPの実質成長率+期待インフレ率

式の意味は、貸す側から言えば、今年の1億円は、1年後には最低で
もGDPの成長率と物価上昇率分だけ増えねば、リスクのある貸付の誘
因にはならないということです。

・07年の世界経済の成長率を、低めに見て4%とします。

・世界の期待インフレ率は、現在の消費者物価(総合)の上昇率(
米国約4%:ユーロ圏2.5%:日本0.6%)から3%とします。

【結論】
物価を2%程度しか上げない中立的な名目金利は、
GDPの実質成長率4%+期待インフレ率3%=7%です。

日本が低金利を続けることで、世界の平均金利を4%に下げる効果を
もつとします。

・物価を落ち着かせる金利が7%
・しかし、実際の金利は4%

住宅の例で言えば、5000万円の住宅が7%値上がりするのに、ローン
金利が4%なら、差の3%(年間150万円)が含み利益になります。借
りることができる人はどういった行動をとるか? 

4%の金利で借り、住宅、株を買う行動です。結果は、需要超過で、
例えば住宅なら価格は7%以上上がります。これが、スペインやイタ
リアで起こっていることです。後発国や米国の株も同じです。

07年世界のGDP成長が4%、期待物価上昇率が3%なら、4%の金利で
借りて投資すれば超過利益が出ますから、投機的な行動が起こって
資産価格は更に上がります。

国際コモデティも上げ、近未来のインフレを準備します。

▼世界の資産(不動産・株)価格の高騰

【不動産】
世界の不動産も、国際コモディティの価格に連動し、上がっていま
す。逆に不動産の利回りは低下しています。不動産価格を上げたの
が、低金利資金だからです。

【株価】
同様に世界の株価も上がっています。これも、ファンドによる低金
利資金の運用のためです。

以上のように今の世界経済は、日本の低金利をアンカー(錨)とし
た国際コモデティ価格の上昇、及び債券と資産(不動産・株)のバ
ブルの上にあります。

・日米の債務の巨額化、
・世界の資産の高騰、
この2つと好対照を示すのが、消費財価格と現場労働の賃金です。
これが日本の80年代バブルとの違いです。

■5.上がらぬ消費財価格と停滞する賃金の構造

日米欧の、店舗で売られている消費財の(数量の)50%は、賃金の
低い後発国に「資本・機械・技術」を移転した結果の、開発輸入で
しょう。各国の店頭を見れば50%以上かもしれません。

(注)今利益が好調な、世界の企業の共通特性は、グローバルな工
程分業を果たしたところです。

グローバル生産は後発国での生産の増加です。後発国の価格との競
争のため、日米欧のモノの加工や運搬に従事するワーカーの平均賃
金は、上昇しなくなっています。世界の消費財価格は「フラット化」
が進む過程にあります。

戦後の先進国は「福祉国家」を目指した大きな政府で、高い累進課
税率による所得移転を図っていました。80年代までの先進国では、
生産と流通コストに、賃金の上昇が組みこまれていたため「店頭価
格は上がる」のが常識でした。

世界の貿易額も少なく、資本(マネー)の移動に制限がありました。

▼80年代の米国

最初の変化は80年代の米国でした。米国はチェーンストアの国です。
数千店をもつチェーンストアが、高い国内からではなく低賃金の国
から開発輸入を始めたのが80年代です。

80年代は、価格を半分に下げる「ディスカウント・ストア群」が勃
興した時期でもあります。方法はアジアからの開発輸入でした。価
格が高く品質が伴わない米国工業の空洞化でもありました。

例えばカジュアルウエアの「ギャップ」も、開発輸入のディスカウ
ント・ストア群の1企業です。農業による食品を除けば、米国の消費
財は最初に「中国化」します。

▼90年代の日欧

90年代は、開発輸入の方法が、東欧を擁する西欧と、アジアを擁す
る日本に波及します。まず西欧で、ワーカー賃金が上がらなくなり、
工場の東欧への移転で失業率が二桁になります。

80年代まで失業率が限りなくゼロに近かった日本でも、バブル崩壊
(企業の負債の超過)が重なり、米国並みの5%レベル上昇します。
失業率の高さは、平均賃金の下落を意味します。

▼商品価格と賃金

賃金は、商品価格のもっとも大きな構成要素です。国民所得の中で
総賃金(=国民所得に対する労働分配率)は70%くらいを占めます。

日本の世帯と企業の所得(367兆円:03年)
=雇用者賃金の総額(264兆円:1人当たり440万円)+企業所得(96
兆円:1社当たり30000万円)+財産所得(9兆円)

所得に占める労働分配率を比較すれば、米国72%、ドイツ72%、フ
ランス73%、日本72%(03年)です。

総じて言えば、商品の平均最終売価のうち、約70%部分は賃金とい
うことができます。(注)個々の企業の仕入れ価格の中には、他の
会社の賃金が含まれています。

商品価格
  ≒原材料費+設備費+賃金+利益
  ≒雇用者賃金+企業所得+資本コスト+税

経済が個人に関係する部分で言えば、関心の第一は賃金ですが、
「グローバル経済」は後発国への生産の移転によって、先進国の賃金
を停滞・下落させる結果を生んでいます。

▼労働の輸入をする箱がコンテナ

コンテナは商品を輸入する箱ですが、先進国は商品とともに、商品
に封じ込めた大量の低賃金労働を輸入します。

90年代中期以後の世界は、債券・通貨・商品が同時に、大交易時代
に入っています。金融の自由化、生産のグローバリズム、インター
ネット化が、同時に進んだからです。

94年〜96年の日本の景気回復に「実感が伴わない」とされる原因は、
賃金の上昇率が低く、店舗の売上は、前年割れが続いているから
です。

▼起こっていない消費財インフレ

低金利とは、マネーの過剰供給(過剰流動性の発生)でもあります。
低い金利で多額の資金調達ができるからです。一般には、この過剰
流動性はインフレの原因です。

●しかし、今のインフレ(価格高騰)は、消費財以外の領域で起こ
 っています。

資産(不動産・株)と国際コモディティ(エネルギー・金属・穀物
・一次資源)は、急には供給が増えないため、ファンドからの投機
で需給が逼迫し激しく価格が動きます。

原油は、開発に数年を要します。他の金属も同じです。木材や農作
物も同様です。

■6.峻別される価格

▼低金利と過剰流動性を原因に、価格水準が上がったものは以下で
す。いずれも、需要が増えても、供給が急には増えない性格のもの
です。

・世界の不動産
・世界の株
・国際商品であるエネルギー、金属、及び一次資源
・国際商品である穀物

▼他方、後発国での生産の増加のため、価格が停滞ないし低下した
のは以下です。後発国35億人が、順次、生産に参加しているためで
す。

・消費財
・先進国の労働価格

(注)国際通貨調整で、中国元の切り上げ(例えば30%)があると、
世界の商品は、価格が10%くらいは上昇します。

■7.金利はどこから上がるか?

日本は、世界でもっとも低金利です。次が、米国の1.5倍の経済規模
に拡大したユーロ諸国(EU加盟27カ国:人口4.9億人:GDP1700兆円)
です。日本とユーロに比較し高いのが、米国です。

【金利の比較:06年11月】

      短期金利        長期金利
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
日本  政府短期証券0.45%   10年もの国債1.65%
米国  TB3ヶ月もの 4.90%   10年もの国債4.46%
ユーロ ユーロ円先物0.69%   独10年もの国債3.3%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(注)TB=米国財務省証券=国債

◎前述のように、日本は政府債務という理由で、米国は景気後退と
いう理由で、中央銀行(日銀とFRB)が政策金利を主導的に上げるこ
とはできません。

今、利上げがささやかれているユーロはどうか? 

▼ユーロ圏におけるマネー量の増加と資産バブル

06年末で、ユーロ圏のマネーサプライ(M3)は、前年比8%も増加し
ています。M3のマネーサプライは、個人と企業がもつ現金、預金の
総額を言います。

民間向けの貸し出しは前年比で12%も増えています。明らかに資産
バブルを昂進させる水準の、大きな貸し出しの増加です。

西欧の不動産価格高と株高を演出しているのが、こうしたマネー量
の2桁の増加です。

●ユーロのマネーサプライの増加と民間借り入れの増加は、米ドル
が売られ、ユーロに海外から資金が流入していることを示します。
企業の利益、家計の貯蓄増による増加ではないのです。

比較すれば、日本のマネーサプライ(現金+預金+譲渡性預金)の
前年比増加は0.7%に過ぎません。米国に資金流出しているためです。

ユーロ経済(GDP)の07年の見込み成長率は2%と高くはない。消費者
物価の上昇率予測は2.5%くらいです。従って4.5%が、物価中立的
な金利水準です。(注)現在はドイツで3.3%と低い。

▼ユーロの利上げの可能性

ECB(欧州中央銀行)のトルシェ総裁が折りに触れ言うインフレ懸念
を理由に、ユーロが07年に利上げを誘導すればどうなるか?

米ドルとの金利差の縮小から米ドルが売られ、ユーロは買われます。
ユーロは現在の水準(1ユーロ=157円)から更に上げます。

以下はユーロ発足後の長期相場です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1999年      130円
2000年      105円
2001年9.11    90円(最低価格)
2002年      120円
2003年      120円
2004年      140円
2004年      140円
2005年      140円
2006年12月末  157円(最高価格)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2001年の9.11以降は、90円からほぼ直線的に157円まで74%も上昇し
ています。円で示していますが、円はドルと連れて動いているので、
対ドルの変化と見てもほぼ同じです。

「9.11」を契機に世界で米ドルが売られ、ユーロが買われ続けてい
ることを、この表は如実に示しています。なぜ日本が米ドルを買わ
ねばならなかったかも示します。

利上げの観測からユーロが更に高騰するなら、ユーロの経済成長は、
低下します。今も高すぎる西欧商品の価格競争力がなくなるから
です。ドイツ、フランスの失業率の増加を意味します。

●ユーロも目立った利上げはできない。
上げても、0.25%幅の微調整です。

【暫定的な結論の(4)】
ユーロも、大きな利上げはできない。
世界の資産インフレ・株インフレは持続する。

暫定的とした結論の(1)〜(3)を振り返ってみます。

【暫定的な結論(1)】
2007年の日銀は、日本政府と米国政府の要求によって、金利の微調
整(0.25%レベル)は行うことができても、1%レベルの利上げ誘導
はできない。

07年に限って言えば、世界の資産バブルと株バブルの崩壊は、おそ
らく避けることができる。

07年中に日銀の利上げが起点になる世界の債券バブル・資産バブル
崩壊が起こることはないだろうと見ることができます。

(注)懸念は、後で述べるドルの崩落です。

【暫定的な結論(2)】
暫定的な結論(1)と同様、日銀は、07年は利上げができない。そ
のため、世界の資源インフレも継続しそうです。

【暫定的な結論の(3)】
後発国35億人の経済成長によって、近未来の需要増加が確実に見込
まれる国際コモデティの価格は、ゴールドの価格を含め、低金利と
過剰流動性の持続によって上げるトレンドを続ける。

ジム・ロジャースのコモディティ投資論は、07年に金利の上昇がな
ければ、正しいということになります。

▼しかし米国経済は悪化する

世界経済の4%〜5%成長の中で、07年の米国経済は、成長率が鈍化
します。

ここ10年続けて住関連の好調な需要を示してきたホームデポの直近
の売上も、「住宅景気の終わり」を象徴するかのように、06年秋か
らマイナスに転じています。これは驚くべきことです。

06年5月〜7月期の同社の売上高は260億ドルでした。同年8月〜10月
期は231億ドルです。4半期比で−12%。相当な落ち込みです。

この景気後退は、自然な流れではユーロ買いと円買いが起こり、両
通貨に対し、ドル安に向かうことを示しています。

日銀の量的緩和の停止が始まったあとの06年7月以降の米国経済は、
明らかに変調しています。米国の公式発表はこれを言わない。
投機でダウ平均が上がっているからです。これは日本の1989年の株
価に似ています。「豚は太らせて食べろ」の格言。空売りでの利益
の機会が近づいています。

■8.中東地域における米国の威信の低下

赤字通貨の米ドルが、貿易黒字国と産油国から買い支えられてきた
理由は、9.11以後、ユーロに対しどんなに価値が下がっても米ドル
だけが、世界のどこでも通用する基軸通貨であるという共同認識に
基づいていました。

世界の政府がもつ外貨準備のうち、米ドルのシェアは65%、ユーロ
は25%です。ユーロ経済圏の規模(GDP)は、ユーロ高で米国の1.5倍
になりましたが、国際通貨はやはり米ドルでした。

世界の外貨準備での65%(米ドル):25%(ユーロ)は、通貨への
人気投票を示すと言っていい。

●米ドルとユーロの差は、商品の競争力をもつ中国と日本が、米ド
ルの勢力圏に含まれているためです。

米ドルが基軸通貨であり続けるためには、3要素がそろっていること
が必要です。

(1)中国の外貨準備が80%米ドルを続けること、
(2)日本からのドル買いがあること、
(3)世界の原油決済が米ドルであることが、どれも欠かせない。

今、イラクへの無謀な侵略から、中東のかつての親米国の中にも、
嫌米の機運が高まっています。

イラク侵攻を行った理由は、フセイン政権を倒すためでした。本当
の理由は、イラクが原油の代金をユーロに変え、フセインがアラブ
諸国にユーロでの原油決済を提案していたからです。いまアラブと
世界にとって、イラク戦争の原因は周知です。

イラクの内戦は、
・北方の少数派クルド族、
・少数派のスンニ派(フセインのバース党がスンニ派)、
・60%の多数派のシーア派(イラン系:南部油田地帯)が、イラク
の埋蔵量1500億バーレル(1000兆円相当)をめぐって争う原油争奪
戦です。

中東の産物は地下資源。いったん枠が外れると領土争奪が起こる。

▼焦点になっているイラン

シーア派のイランは昨年から、OPEC(石油輸出国機構)の総会で、
原油の決済代金をユーロに変えることを提案し続けています。

07年の米国は、イスラエルともに、シリア・レバノン・イラン連合
に戦争を仕掛けるのか? 

行えば、待つのは軍事費も海外に依存する米国の自滅です。

日本の財務省は、自国の財政赤字の累積の中で、ドル債を過剰にも
つため、米ドルを買い支える余力をなくしています。

(注)今、日本から米ドルを買っているのは、金利差をもとめ外債
投資信託に集まっている個人マネーです。

■9.85年のG5(米、英、仏、独、日)による「プラザ合意」が再
来するのか?

【G5が機能していた】
貿易赤字通貨の米ドルが、黒字通貨の西ドイツマルク、そして円に
対し大幅な切り下げを行うことができた理由は、G5の中央銀行と財
務省によるドル基軸を守るという合意と、通貨調整での協調があっ
たからです。

当時の世界は、共産圏と自由経済圏の冷戦下でした。自由圏の盟主
が米国でした。ヨーロッパはNATO、日本に対しては日米安保でした
。いずれも、米国が自由圏を守る役割です。それを自由圏は認めて
いました。米国が盟主でした。

▼9項の変化

プラザ合意から21年、世界は変りました。

短くまとめれば、
(1)共産圏が崩壊した。
(2)米国は一極主義に変化した。
(3)中国の外貨準備は$1兆で日本を抜いた。
(4)産油国の貿易黒字が急増した。
(5)米国経済より大きなユーロが誕生した。
(6)イラク戦争の後は、内戦になった。
(7)BRICsとVISTAの35億人経済が7%〜10%成長に変った。
(8)ヘッジファンドは元本140兆円に増えている。
(9)日本政府にドル買いの余力資金はない。

以上の結果、G5のような米ドルの切り下げへの「波乱ない国際協調」
は、もうできないのです。85年当時は、西ドイツと日本だけの協調
でよかった。単純な世界でした。金融の自由化も進んでいなかった。

▼国際協調の不能

●今は、中国、日本、産油国、そしてドルに代わって世界覇権を狙
っている通貨のユーロがあります。これらの国々が、ひとつの方向
にまとまってドル基軸を支える協調をするとは到底思えません。

中国、イラクを含む産油国、ロシア(サウジに匹敵する石油生産)、
そしてG5(米国、英国、フランス、ドイツ、日本)が一堂に会し、
波乱が起こらないように「ドル切り下げをする」ということは、
想像もできない。

改めて本稿で示した、世界の対外資産と負債を眺めてください。

▼ユーロしかないが・・・

米ドルを買う余力をもつのは、ユーロ(ドイツ・フランス)しか残
っていません。

●日本、中国、産油国は、十分すぎるくらいにドルを買っています。
スイスと英国の資金は、産油国と世界の富裕者からの借り入れです。
英国政府やスイスの資金ではない。運用利回りが低ければ逃げます。

●レバレッジ(信用借り)で、元本の数倍を運用するヘッジファン
ドは、自分の投機利益には忠実でも、米国という国家に誠実ではな
い。

米ドルが下落すると見れば、逆にどこよりも早く売りに転じます。
損をすれば投資家が引き揚げ、自分が破滅するからです。

残るは、世界で最大の資金量をもつようになったユーロ(ECB)のみ
です。

利に敏(さと)いユーロが、下落する米ドルを買い支える決定(損
をする決定)をするかどうか、米ドルの命運はここに絞られます。

もともと、米ドルの勢力圏を逃れるのがユーロの目的でした。その
ユーロが、通貨連合の目的に反する決定ができるかどうか疑問です。
ドイツとフランスは米国に忠実かどうか・・・

●07年の8月ころから、欧州と日本が破壊された第二次世界大戦をま
たいで、約80年も続いた米ドル基軸通貨体制の「終わりの始まり」
になる可能性が高いように思えます。返せない債務は、利払いで時
間とともに増えるからです。

【後記】
米国民主党が中間選挙で勝利を収め、ネオコンのラムズフェルド国
防長官が更迭されたことで、15万人の米軍がイラクから撤収すると
いう観測があります。

そう単純ではない。民主党にも、中東での軍事的な覇権が米国経済
の生命線と考えている議員が多いからです。

仮に、07年中にイラン戦争が仕掛けられるなら、米ドル基軸通貨以
降の、「新しい通貨体制」の契機でしょう。07年の、米国景気の後
退から、問題はいよいよ煮詰まります。

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